PandoraPartyProject

シナリオ詳細

春爛漫

完了

参加者 : 110 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春のイベント
「え! ハルツァーレク領内で卵探しゲームといちご狩りですか!?」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は目を丸くする。
 最近、暖かくなりサーカスやら不穏な依頼が多くなって、イレギュラーズ達は忙しいからこそ何かイベントをしなければ、という事になったそうだ。
「卵探しゲームとは何でしょうか?」
 ユリーカは資料に書かれていた説明文を読み上げる。
「えーと、卵探しゲームは、茹でた卵もしくは卵型のチョコに、色を塗ったのをうさぎが隠して、沢山見つけた人の勝ちというゲームです……?」
 読み終えたユリーカは小さく首を傾げた。
「そういえば、ウォーカーのイレギュラーズは、イースター祭というのがあってソレに使うとか聞いたわね」
 『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が横から答える。
「そうなのですね。お宝探しみたいで楽しそうです!」
「お宝探しと聞いちゃ参加せずにはいられないね」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)が楽しそうに言う。
「でしたら、イースターエッグの材料やうさぎを集めないといけないです!」
 と、言ってユリーカは逃げるうさぎの様にギルドから飛び出した。

「は、でも、うさぎってどうすればいいのでしょう?」
 飛び出したもののユリーカは疑問を口にする。
 本物のうさぎは言うことを聞かないだろうし、うさぎのブルーブラッドなんて探そうと思えば居るだろうが、無理にお願いするのも良くない。
「あ! うさぎのぬいぐるみとか、きぐるみを使えば良いのです!」
 店先に置かれていた“うさぎのぬいぐるみ”を見て、ユリーカはポンッと手を叩いた。
「ぬいぐるみ……きぐるみ……あとは、ウサ耳だけとかも、一応用意しましょう」
「イースターエッグとやらの準備は出来たよ。ユリーカ」
 買い物帰りのユリーカにオリヴィアは声を掛ける。
「はわわ、手伝ってくれてありがとうございます! 当日は楽しんで下さい!」
「そうだな。楽しませてもらうよ」
 ユリーカの言葉に、オリヴィアは答えながら笑顔で頷いた。

●いちご狩り&イースターエッグ
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。春の息吹を楽しむイベントの1つとして、いちご狩りとイースターエッグを用意したのです。いちごは食べ放題で、イースターエッグは隠す側と探す側に分けて楽しんで下さい」
 と、言ってユリーカは『特異運命座標』のあなた達に、イベントの詳細が書かれたチラシを渡した。

GMコメント

こんにちは、ルビーの和名の『紅玉(コウギョク)』です。
いちご美味しいですよね!
イースターエッグ探し、したことはないですが装飾が鮮やかで美しいです。
皆さんの参加を心待ちにしております。

【目標】
1、いちご狩り
食べ放題です。ミルクと砂糖、生クリームは用意されています。

2、イースターエッグ
うさぎに変装した人は、イースターエッグを隠して下さい。
隠すの苦手、見付からなかったらもったいない! と思う方は、普通に配ったりヒントを出しても大丈夫です。
探す側は、篭を持って楽しく探してください。

【場所】
ハルツァーレク領内

【注意】
・選択
『1』か『2』のどちらか片方を選んで、文頭に記載して下さい。
両方選んだ場合、番号の記載が無い場合はコチラで人数調整しながら片方に描写させていただきます。

・グループ参加
選択した番号の下に、『【グループ名】』や『相手の名前(ID)』の記載をお願いします。

例:
【1】
オリヴィア・ミラン(p3n000011)

【オリヴィア】
眺めていますので、お声を掛けてくだされば同行します。

  • 春爛漫完了
  • GM名紅玉
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2018年05月21日 21時35分
  • 参加人数110/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 110 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (110人)

ハイド・レイファール(p3p000089)
紫陽花の逢香
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
竜胆・シオン(p3p000103)
木の上の白烏
グレイシア=オルトバーン(p3p000111)
知識の蒐集者
レンジー(p3p000130)
帽子の中に夢が詰まってる
鳶島 津々流(p3p000141)
行く雲に、流るる水に
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
夜明けの秘劔
黒須 桜花(p3p000248)
黒傘の君
セララ(p3p000273)
魔法騎士
上谷・零(p3p000277)
恋揺れる天華
ルアナ・テルフォード(p3p000291)
絶望を砕く者
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
マナ・ニール(p3p000350)
まほろばは隣に
Lumilia=Sherwood(p3p000381)
優響の音色
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
号令者
銀城 黒羽(p3p000505)
シェンシー・ディファイス(p3p000556)
反骨の刃
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ(p3p000711)
夜に沈む
恋歌 鼎(p3p000741)
尋常一様
オルクス・アケディア(p3p000744)
宿主
コル・メランコリア(p3p000765)
宿主
アレフ(p3p000794)
純なる気配
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
アーラ・イリュティム(p3p000847)
宿主
シャロン=セルシウス(p3p000876)
白い嘘
ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
リインカーネーション
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
夢への一歩
コンラッド=フォン=ジンネマン(p3p001169)
蒼銀の神聖騎士
マリア(p3p001199)
悪辣なる癒し手
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
神威の星
サングィス・スペルヴィア(p3p001291)
宿主
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
光の槍
ミア・レイフィールド(p3p001321)
しまっちゃう猫ちゃん
セレン・ハーツクライ(p3p001329)
虹彩の彼方
コルヌ・イーラ(p3p001330)
宿主
カウダ・インヴィディア(p3p001332)
宿主
レーグラ・ルクセリア(p3p001357)
宿主
Q.U.U.A.(p3p001425)
ちょう人きゅーあちゃん
ブラキウム・アワリティア(p3p001442)
宿主
ストマクス・グラ(p3p001455)
宿主
佐山・勇司(p3p001514)
赤の憧憬
セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
一番の宝物は「日常」
楓(p3p001571)
声なきモノの代弁者
西條 友重(p3p001835)
贄の呼聲
ショゴス・カレン・グラトニー(p3p001886)
蠢くもの
九条 侠(p3p001935)
無道の剣
グレイル・テンペスタ(p3p001964)
青混じる氷狼
ラズライト・ラピスラズリ(p3p002248)
宝石妖精
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
セレネ(p3p002267)
Blue Moon
メルト・ノーグマン(p3p002269)
山岳廃都の自由人
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
玲瓏の壁
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
アニー・メルヴィル(p3p002602)
恋揺れる天華
瀬川 商業㈱(p3p002666)
オール・オブ・マイ・ビジネス
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
九重 竜胆(p3p002735)
青花の寄辺
マリス・テラ(p3p002737)
Schwert-elf
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
流麗花月
高槻・詩乃(p3p002900)
頑張るJK
レウルィア・メディクス(p3p002910)
ルゥネマリィ
枢木 華鈴(p3p003336)
ゆるっと狐姫
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日の魔法少女
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
アベル(p3p003719)
未来偏差
レスト・リゾート(p3p003959)
貯蔵食品の紅茶たいむ
コルザ・テルマレス(p3p004008)
湯道楽
妖樹(p3p004184)
彷徨う銀狐
ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)
特異運命座標
ミーシャ(p3p004225)
夢棺
桜坂 結乃(p3p004256)
ふんわりラプンツェル
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
シラス(p3p004421)
Morgux(p3p004514)
暴牛
ロズウェル・ストライド(p3p004564)
蒼壁
竜胆 碧(p3p004580)
叛逆の風
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
アマリリス(p3p004731)
倖せ者の花束
ジェーリー・マリーシュ(p3p004737)
くらげの魔女
メアトロ・ナルクラデ(p3p004858)
ふんわりおねーちゃん
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
嫉妬の後遺症
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered
ロクスレイ(p3p004875)
特異運命座標
ウィルフレド・ダークブリンガー(p3p004882)
深淵を識るもの
疾風(p3p004886)
超軼絶塵
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
ティアブラス(p3p004950)
自称天使
ココル・コロ(p3p004963)
希望の花
ヴァン・ローマン(p3p004968)
常闇を歩く
牙軌 颯人(p3p004994)
黄金の牙
クラリーチェ(p3p005010)
優雅たれ
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア
ナール=G=ヴィント(p3p005021)
灰風
アズライール・プルート(p3p005025)
アンタレス
グラ・プテ(p3p005031)
りさいくりんぐ・すいーぱー
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
暁の剣姫
銀(p3p005055)
ツェペシュ
小鳥遊・鈴音(p3p005114)
ふわふわにゃんこ
ディジュラーク・アーテル(p3p005125)
いつも鳥と一緒
ティリー=L=サザーランド(p3p005135)
大砲乙女

リプレイ

●苺が食べ放題!
 春の花は咲き乱れ、剣山の様な木々には新緑に彩られいる中で、苺を食べる為にイレギュラーズ達は甘い香りに誘われる様に集まった。
「ほー、苺狩りか。いいねぇ、こういう依頼なら大歓迎だ。最近はどうにも物騒な事件が多かったからよ」
 煙管を口から離し、ふーと煙を吐きながら十夜 縁は目を細めた。
「おっ、見事に生ってるな」
 ずらりと、地面に生い茂っている青葉の間から苺が顔を出していた。
「たくさんいちごがあるの。どんないちごがいいのかな」
 妖精の様な幼い少女の様なラズライト・ラピスラズリは、縁の隣で小さく首を傾げた。
「確か、実がでかくて赤いやつが甘いんだったか……っと、すまねぇな嬢ちゃん、驚かせちまったかい?」
 苺を摘むのに夢中になっていた縁は、隣に居たラズライトにぶつかってしまった。
「お前さんは……」
 と、ラズライトを見て目を丸くする縁。
「ララは、ラズライトってなまえなの」
「ラズライトか、綺麗な名前だな。おっさんは十夜だ、よろしく頼むぜ」
 ラズライトが自己紹介をすると、縁は笑顔で答えながら手を差し出した。
「あのね、この緑のとこ、あんまりおいしくないの。なんでなのかな」
 と、ラズライトがヘタを指しながら問うた。
「緑の……あぁ、ヘタか。そいつはそのまま食うよか、天ぷらにした方が旨いらしいぜ? 折角食うなら甘い苺にしとけ……これなんてどうだ?」
 縁はラズライトの言葉に小さく笑い声を出しつつ、ぷちっと苺を摘むとヘタを取ったのを器に盛ったのを渡す。
「ありがとう。んと、ミルク? お砂糖? 生クリームもかけるとおいしい? たくさんかけるといいのかな」
 器を受け取ったラズライトは、搾り袋に詰められた生クリームをぎゅーと絞り出す。
「っておい、んな思いっ切り絞ったら――……やれやれ、遅かったか」
 縁が止めようとするも、時すでに遅し。
 ラズライトは力を込めすぎて、搾り袋から生クリーム勢いよく出て飛び散った。
「甘い……」
 顔に付いた生クリームを舐めて、ラズライトは無邪気に笑顔を縁に向けた。
「ほら、拭いてやるからこっちに来い 」
「うん」
 縁は懐からハンカチを取り出し手招きをすると、ラズライトはこくりと頷くと駆け寄った。

「以前のトレーニング。甘味を賭けて模擬戦をいたしましたし、本日は、前哨戦。でしょうか?」
 額に小さな角を持つ黒髪の少女鬼桜 雪之丞は、隣に居る少年に視線を向けた。
「ゆきのじょーとイチゴ狩りだー……模擬戦は引き分けだったしイチゴの数で勝負……いや、どっちが大きいイチゴを見つけられるかで勝負だー……!」
 黒い翼を羽ばたかせ、小柄の少年竜胆・シオン は、抑揚の無い声で言いながら雪之丞を指す。
「ふふ。そうですね。今度は、負けませぬ」
 少し嬉しそうに雪之丞は頷いた。
「苺は、おやつを拵えるにも、様々に調理されますが、こうして食べるのも美味しいものです。シオン様は、どれがお好みでしょうか? 拙は、ミルクが好みでございます」
 と、苺を摘んで口に入れながら雪之丞は、シオンに向かって問う。
「んー……俺は普段は生でしか食べないから……あっ、ミルクでとかパフェでとかはとっても美味しいと思う……! ケーキとかだと一番好きかも……!! イチゴ使ったスイーツ好き……! スイーツ自体好きだけど……」
 シオンは頬張った苺を飲み込むと、普段より饒舌に雪之丞の問いに答えた。
「それから、いちご大福というものをご存知でしょうか? 今日は、大福をご用意しましたが、いかがでしょう」
 と、雪之丞は包みを取りだし、開くとその中には大福が並んでいた。
「イチゴ大福……! 知ってる……!! もちもちしててふわふわで……!」
 シオンは立ち上がりオッドアイの瞳を輝かせながら言う。
「あの酸味と甘味が、堪らないものです」
 うっとりとした表情で雪之丞が言うと。
「甘い餡とイチゴのちょっとすっぱさがやみつきになる……!! 食べたい……!! つくってゆきのじょー……!! 」
 こうなったら止まらないシオンは、苺を沢山摘むと雪之丞に差し出した。
「では、大福に、先程の大粒いちごを。さぁ、こちらをどうぞ」
 あらかじめ切り込みを入れた大福を雪之丞が差し出すと、シオンはヘタを取った苺をイン!
 我慢できずにシオンは、苺大福を口に頬張ると餡の甘みと苺の酸っぱすぎない酸味が、果肉の食感とお餅のもちもちがベストマッチ!
「あ、あぁ……美味しい!」
 思わずシオンは声を上げる。
「いちご狩りとしては邪道かもしれませぬが、新鮮ないちご大福は、また格別です」
 新鮮な苺が入った苺大福を食べながら雪之丞は、嬉しそうに頷いた。

「おじさま。いちご、持って帰ったらケーキ作って?」
 と、摘んだ苺を差し出しながら、苺とミルクの様な少女ルアナ・テルフォードはおねだりをする。
「流石に持ち帰りは出来んだろう。今はそのまま食べると良い」
 モロクロを付けた初老の男性グレイシア=オルトバーンはルアナに言い聞かせる。
 取り放題になると農園の苺という苺が無くなってしまうだろう、と思ったからだ。
「ケーキ以外にもあれこれ作ってもら……え。持って帰れないの?」
 以前作ってもらったケーキが気に入ったルアナは、グレイシアの言葉を聞いて緋色の瞳を丸くする。
 がっくり、と落胆した様子を見てグレイシアは小さくため息を吐く。
「取って良いのは此処で食べる分だけだ。持ち帰る為の苺は別に販売という形になるだろう」
 と、グレイシアが言うと、ルアナは苺を食べれるだけ食べようと決心する。
「はい、あーん」
 ルアナが唐突に苺をグレイシアに差し出した。
(……食べろ、という事か)
 少し考えてからグレイシアは、差し出された苺を食べた。
「わぁい! 食べてくれた!」
 その様子を見てルアナは笑顔に戻った。
「ふむ。ミルク等も受け取っているが、これはそのまま食べても良い甘さだ」
 笑顔になったルアナを横目に、グレイシアは苺を噛み締める。
「そうだな、この苺など美味しそうだ」
 と、言ってグレイシアは苺を摘むと、ルアナに差し出した。
「うん。おぃひぃ!」
 ルアナはぱくっと差し出された苺を食べると、グレイシアを見上げて嬉しそうに言った。
 笑わない魔王の彼に対し、少女は何時か微笑んでもらう為に頑張る。

「わー、美味しそうなイチゴがいっぱいだね。どれもすっごく甘そう!」
 金の髪に緋色の瞳を持つ幼い少女セララが歓喜の声を上げた。
「まぁ、ワタシも嫌いではありませんが……何方かというと好きでありますね」
 金のサイドテールに新緑の様な瞳の少女ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルクは、あまり乗り気ではない様子で答えた。
 こんな温度差が出るのは、セララに引っ張られて連れて来られたハイデマリーは内心複雑な気持ちもあったからだ。
 お誘い事態は、セララの真っ直ぐなお願いに断れなかっただけなのだが、同い年で見た目は似ているのに快く思ってないウォーカーだと事だ。
「このイチゴでジャムとか作っても良いかも!」
「いちごジャムでありますか……セララは作れるでありますか? ワタシは多少心得はありますよ」
 セララの問いに答えるハイデマリーに対して、彼女は大きな瞳を輝かせながら見つめる。
「ねね、マリーはイチゴ料理だと何が食べたいー?」
 苺を摘みながらセララは問う。
「……そうでありますな、強いて挙げるならイチゴたっぷりのショートケーキとか如何でありますか?」
 新鮮な苺を見つめながらハイデマリーは、少し悩むと思い浮かんだお菓子を言った。
「それじゃあ、帰ったら一緒にいちごたっぷりショートケーキを作ろうね!」
 と、提案するセララ。
 しかし、ハイデマリー自身は無愛想な己を連れ回す事に解せぬようだ。
 “だから異世界の人は”と心の中でボヤきなからもふと、思ったのは“同い年の子と歩くのは初めて”という事だった。
「……了解であります」
 小さな声でハイデマリーは答えた。

「いちごとか高級な食べ物が食べ放題ってすごいね」
 2対の黒い羽に青と赤のオッドアイの少女ティア・マヤ・ラグレンは驚きの声を上げた。
「ふふ……これもイレギュラーズ様の特権……なの……♪」
 猫耳と尻尾が揺れ、赤く大きな瞳を持つ少女ミア・レイフィールドは胸を張りながら答えた。
『異世界だからな、そういうこともあるんだろう』
 と、胸元で揺れる十字架の神様は冷たく言いはなった。
「だね。ミアはいちご好きかな?」
「もちろん、好き……にゃ♪甘くて、美味しい……の。配達ついでに、野いちごとか摘んで……食べたりするし……にゃ」
 ティアの問いにミアは嬉しそうに答える。
「たくさん採って、食べて……食べきれない分はジャムにして持って帰る……の。ティアティアも、ミアの宝物の中に……いっぱい入れる……の……! 自然はミアの……ホームグラウンド……なの」
 と、ミアは言いながらティアと一緒に苺を摘む。
「んふー……♪おいひぃ……の♪ミアは満足……にゃ……♪」
 摘んだ苺に生クリームを付けて食べたミアは、手に付いた果汁と生クリームをペロペロと舐めとる。
「ミア、口まわりに付いてるよ?」
 手は綺麗になったもののミアの口回りにはベッタリと付いてしまった果汁と生クリームを、ティアはポケットからハンカチを取り出して拭いた。
 すると、ミアはごろんと横たわりティアの膝に頭を乗せた。
「ふぁ……ティアティアの膝枕……ねむくなる……の……にゃう……すよすよ……」
 お日様ぽかぽか、少し風もあって絶好の昼寝日よりだ。
「ミアは可愛いよね」
 ティアがミアの頭を優しく撫でる。
『これだとどちらが上司か分からんな』
 と、呆れた声色で神様は言った。

「食べ放題……素敵な響きだよな……いやほんとマジで……こんなに苺喰える機会もねぇしな……今日は沢山喰ってやるぜ……!」
 一見モブの様に見えるが学ラン姿の少年上谷・零は、ギフトで作るフランスパンを食べて毎日を生きていた彼にとっては嬉しい事だ。
 なんだって、フランスパン以外のモノが食べられる!
「いちご狩り……いやはや贅沢な楽しみな気がいたしますよぉ」
 菫髪を2つに結び、踊り子の様な服装に身を包んだ少女レーグラ・ルクセリアは妖艶に微笑んだ。
『………』
 しかし、呪具であるレーグラは口を閉ざしたままだ。
「はいはいなぁ、零さんに迷惑かけないように気を付けますともぉ」
 察したルクセリアは明るい声で答えた。
「果物とかあんまり食べる機会もありませんから楽しみましょぉ」
 ルクセリアは苺を入れる器を零に手渡しながら言う。
「あぁ、楽しもう楽しもう! 俺も久しぶりの苺だし!」
 器を受け取ると、零はコチラの世界に来てから初めてであり、久しぶりの苺に歓喜の声を上げた。
「いちごを軽く摘まんで軽くひねるように引っ張るといいらしいですよぉ」
 ルクセリアは、呪具であるレーグラが何故か持っていた知識を言いながら、苺を摘んで見せる。
「へぇ、ルクセリアは物知りだな……知らなかったぜ。そんな感じに引っ張れば良いのか?」
 零は感嘆の声を上げながら、見よう見まねで苺を摘んだ。
「そうだぁ、零さんのフランスパンを使って苺のサンドを作れば美味しいかもしれませんよぉ」
「なるほど! その手があったか!」
 ルクセリアの提案に零は、苺を摘む手を止めるとハッとした表情で言った。
 フルーツサンドという手があった事に。
 そして、零がギフトで作り出したフランスパンに切り込みを入れて、用意されていた生クリームと切った苺を挟んで出来たのを二人は食べた。
「むむぅ、ちょっと甘いかもですねぇ」
 と、唸るルクセリアに対し、零はフランスパンを別の食べ方が出来て嬉しそうだ。
「美味かったよなぁ……また機会があれば食いたいな」
 苺だけで満腹になったお腹を擦りながら零は頷いた。
「いい場所でしたねぇ。こう、ジャムとかにしてあれば買って帰るのもよさそうですがぁ 」
 と、ルクセリアが言うと、視界に苺ジャム等を売っているお店が入る。
「ジャムか……良いよな、上手い事持って帰れるならそうしたいが……折角パンのギフトもあることだしな」
 あわよくば、それを商品にして売りたいなんて思う零であった。

 セレネは、初めての苺狩りに胸踊らせながら来たものの一人ぼっちに気が付いた。
「セレネ君久しぶりだね」
 見知った顔を見掛けた恋歌 鼎が、キョロキョロと周りを見回すセレネに声を掛けた。
「あれ……鼎さんじゃないですか?」
「ふふ、もしかしてお一人仲間だね?」
 セレネが目を丸くしながら鼎を見詰めた。
「ふふ……はい、実は私も1人なのです」
 鼎の問いにセレネはこくりと頷いた。
「ご一緒しませんか?」
「いいよ、一緒に行こうか」
 セレネの言葉に答えながら鼎は、黒いリボンを頭に結ぶ。
「え?」
 突然の出来事にセレネは驚きの声を上げる。
「油断大敵、なんてね? 似合ってるよ、可愛いお耳が増えてね」
 と、鼎がセレネの白い猫耳と、先程結んでピンっと立ったリボンを見て頭を撫でた。
「では、私もお返しに……えへへ、これでお揃いですね」
 セレネは鼎にリボンを結んであげた。
「おっと、結ばれてしまったね。似合ってるかな?」
 目の前でクルリと回ると鼎は、笑みを浮かべてセレネを見た。
「はい、とっても!」
 セレネが胸元で手を合わせると、嬉しそうに頷きながら答えた。
「さ、苺狩りに行こう」
 鼎はセレネを手を取ると、苺が実ってる農園へと向かった。
「ふふ、そこのイチゴ食べごろみたいだね? 召し上がれ」
 そう言って、鼎が苺を摘んでセレネの口に放り込んだ。
「は、はい?」
 唐突の出来事にぽかーんとしつつもセレネは、口に入った苺をもぐもぐと食べた。
「……あ、甘いです……とっても」
 頬っぺたが落ちそうな位に美味しい、というのはこういう事なのかと思いながらセレネは笑顔で答えながら、頬が落ちないように両手で支えた。
「なんだか餌付けしてる気分になってしまうね」
 と、笑顔で言いながら鼎はセレネを見つめた。
(か、鼎さん! 鼎さんは……女の子ですが、そのドキドキします)
「慌てて食べなくても、兎みたいに苺は逃げないよ? ほら、あわてんぼの印も付いてるしね」
 心臓が激しく動くセレネに対し、鼎は微笑んだままハンカチで頬に付いた生クリームを拭き取る。
「ほら、そっちだってお鼻の頭に、クリームがついてますよ!」
 頬を赤らめたセレネは、鼎の顔を見ないように反対に向けながら苺を口に運ぶのであった。
「だから、逃げないんだって」
 必死に照れているのを隠そうとしているセレネを見て、鼎は思わず笑い声を漏らした。

「やあ、何時かの依頼振りだね。どうかしたのかな、少しばかり元気が無い様に見えるが」
 金髪に碧眼の青年アレフは、依頼で一緒になった事のあった少女に 声を掛けた。
「あ……アレフさんだ。こんにちは。えへへ、ちょっと依頼で失敗しちゃってね」
 美しい銀の髪にオッドアイの少女スティア・エイル・ヴァークライトが、目尻の涙を拭いながら笑顔で答えた。
「……そういう事か。驚いたよ、君は何時も元気なイメージがあったからね」
 と、優しく言うアレフは、最近あった依頼が難しい内容であったのを思い出す。
「だから気分転換にいちごでも食べに来ようかなって! 美味しい物を食べたら元気になるかなって思ったんだけどね。ちょっとぼーっとしてたみたい」
 気丈に振る舞うスティアは、苺が沢山入った器を持つ手に力を込めた。
「私で良ければ話を聞くよ、これでも昔は色々な人の聞き手になっていた物だから。常に元気で居る必要はない、君の弱音の受け止めてくれる友人だって居る筈だ」
 そんなスティアに対し、アレフは微笑みながら言った。
「んー、それじゃあ少し聞いて貰おうかな。女の子の護衛のお仕事だったんだけど、守れなくてね……私より小さかったのにって」
 スティアは目を伏せながら、ゆっくりと依頼の話をする。
「そうか……私にも経験がある。あの時ほど自分の無力さを呪った事はなかったな……」
 スティアの話に同意する様に頷くと、アレフは大きく息を吐きながら青く広がる空を見上げた。
「ありがとう……少しだけすっきりしたかも。お礼にいちごをあげる! まあ私のじゃないけどね!」
 何か吹っ切れたスティアは、笑顔に戻り自分で摘んだ苺をアレフに差し出した。
「ふふ、ありがとう。私で良ければ何時でも聞かせてくれて構わないからね」
 苺を受け取りながらアレフは優しい笑みを、スティアに向けてその小さな頭を軽く手を添えた。

「さて、今日はいちご狩りに来てるんだけど…今日は一人なんだよね」
 茶色い髪を1つに束ね、赤い瞳のシャロン=セルシウスは賑やかな農園を眺めていたら、視界にキョロキョロと周りをただ見回す少女が居た。
「あれ、キミどうしたの? 僕はシャロン」
 と、シャロンが声を掛けた。
「ボクはミーシャ」
 白い髪を1つに束ね、ルビーの様な瞳のミーシャはシャロンを見上げた。
「おにーさんも一人なら、一緒だね。迷子仲間?」
 と、小さく首を傾げるミーシャ。
「じゃぁ僕と同じだね。一緒に回らないかい?」
 目線を合わせ、シャロンはミーシャに提案をする。
 シャロンの話にミーシャはこくりと頷き、二人は一緒に苺狩りをする事になった。
「これが丁度食べごろ……かな? はいどうぞ」
 ハーモニアであるシャロンは、自然疎通でどの苺が食べ頃なのかを聞いて、その苺をミーシャに摘んであげた。
「おにーさん、ありがとー。んー。あまーい」
 両手で苺を持ち、ミーシャはみずみずしい苺をかじると甘酸っぱいくて甘い香りが口の中に広がる。
「ミルクに、クリームは定番だよね? 後は、何があるかな?」
 と、首を傾げるミーシャ。
「そうだ、今日は色んな味を試してみたくて……ミーシャちゃんもどうだい?」
 と、提案しつつシャロンは懐から、チョコソースやメープルシロップ等を取り出す。
 ミルクと砂糖、生クリームは食べ飽きてしまった彼は予め用意していた様だ。
「おにーさんの服、いっぱい入ってて、魔法の鞄? チョコ! 美味しそうだよね」
 目の前に並べられたモノを見て、ミーシャは目を丸くしつつも1つ、1つ指しながら楽しそうに話す。
「これも合うと思うんだよ、甘くて美味しいね。あと、友人から託されたんだ……ショウユって言うらしい」
 うんうんと頷きながら答えるシャロンは、ふと友人から貰った醤油を手に取る。
「ショウユ……? チョコと、色は似てるよね」
 ビンの中で揺らめく黒い液体を見て、ミーシャはチョコソースが入ったビンと見比べた。
「むぐっ……うーん……これは」
 苺に醤油を掛けたシャロンは、合うのだろうか? と訝しげな表情でソレを口に放り込んだ。
 醤油の独特なニオイ、そして塩の様な辛みと苺の甘酸っぱい果汁が口の中で喧嘩をしていた。
「……ボクは、こっちのチョコ試すね? ん! 美味しいー」
 醤油を試すシャロンを横目に、ミーシャは苺にチョコソースを掛けて頬張る。
 チョコと苺が合わないハズはない!
 しかし、眉間にシワを寄せて醤油を掛けた事に後悔しているシャロンに、ミーシャはチョコソースを掛けた苺を差し出す。
「おにーさんも。口直し。はい。あーん。だよ 」
「ありがとう、遠慮無く……うん、やっぱり知った味の方が美味しいね」
 ミーシャが差し出した苺を食べると、シャロンは笑顔で楽しそうに答えた。

「華蓮ちゃんといちご狩りですのー……♪」
 水色の長い髪を風に靡かせながら、マリアは妹分の華蓮・ナーサリー・瑞稀と出掛けて楽しそうに言う。
「マリアお姉さんが迷子にならないように、とっ!」
 華蓮はマリアの手をぎゅっと握り締めた。
「むむ、つけるものが色々ありますのねー……? 華蓮ちゃんはどれにしますのー……?」
 と、マリアが用意されていたミクル、砂糖、生クリームを指しながら華蓮に問う。
「何でもいいわよっ! 全部持っていけるなら、全部でいいでしょ!」
「それも、そうですよねー……」
 キビキビ言う華蓮とは対照的に、マリアはのんびりとした口調で言いながら、ミクル、砂糖、生クリームの3つを手にすると、二人は苺を狩りに向かった。
「あ、華蓮ちゃん、美味しそうな苺がありましたのー、ほら、あーん……♪」
 と、のんびりとした口調で言いながらマリアは、摘んだ苺を華蓮の口に運ぶ。
「マリアお姉さん、あーん……なのだわ」
 食べ終えた華蓮はお返しに、摘んだ苺をマリアの口に運び返した。
 美味しいね、と互いに顔を合わせながら話しつつも華蓮は、持参したマントを地面に敷くと日傘を立てて、ティーセットでお茶を淹れ始めた。
「……外でお茶会の準備をこんな手早く出来るなんてー……!」
 華蓮の手馴れた様子を見て、マリアは感嘆の声を上げた。
 お茶の用意をしている間に何か出来ないか、と考えたマリアは沢山の苺を摘んできて、お皿を苺と生クリームを使って飾りつけをした。
「きっと、マリアお姉さんの口に合うとわよ」
 華蓮がティーカップを並べて、ティーポットでお茶を注ぐ。
 琥珀色の液体がコップを満たし、花の甘い香りがコップからふわりと辺りに漂う。
「マリアお姉さんの飾り付けも中々じゃないよ」
 華蓮が苺と生クリームで彩られたお皿を見て、絶賛の声を上げる。
「ありがとう、華蓮ちゃんのお茶も凄く美味しいてすの~……」
 ティーカップに口を付け、お茶をこくりと飲んだマリアは笑顔で言った。

「イチゴ狩りですね! そういった時期なのでしょう!」
 春の花の様な髪と瞳を持つ女性アマリリスが、瞳を輝かせながら声を上げた。
「イチゴ狩りとか初めてだよ、俺。なんか、空気が甘いなぁ……マリー、口調、口調」
 赤毛を密編みにして、精悍な顔付きの少年ウィリアム・M・アステリズムがアマリリスに注意する。
「ごほん。そういった時期だね!」
 軽く咳払いをし、口調を戻し言い直すアマリリス。
「そう、こう言う時まで畏まる事無いだろ?」
 そんなアマリリスを見て、笑いながらウィリアムは言った。
「丁寧語が染みついちゃって……でも二人のときは砕けないとね」
 と、信頼しているウィリアムを見て、アマリリスはニッと口元を吊り上げて微笑んだ。
「はしゃいでるのは良いことだけどな……うひゃーって」
 先程まで見ていたアマリリスとは、余りにも違う姿を見てウィリアムは思わず苦笑した。
「わっ! こっちのイチゴ、おっきい!! んふふふ、食べちゃお、うひゃー! ウィル!! こっちこっち!! こっちのイチゴとっても大きくて甘いよ!!」
 アマリリスがウィリアムに向かって手招きをする。
「はいはい、今行くよ」
 ウィリアムがアマリリスの元まで駆け寄ると。
「はい、ウィル、あーん! よくお父様がやってくれたの! あーんするとね、普段のごはんも3倍くらいおいしくなるんだ!」
 と、苺を差し出しながらアマリリスは笑顔で言う。
「あ、あーん!? そんな、恥ずかしいこと出来る訳無いだろ!? 大体人目が……っ」
 辺りに視線を向けつつ、ウィリアムは1歩下がると声を上げた。
「そんなに照れる事なのね!? 知らなかった」
 アマリリスは目を丸くしながらウィリアムを見た。
「俺からするなら、まだ良いけど……ほれ」
 と、少し恥ずかしそうにウィリアムは、苺を差し出しつつ視線を反らす。
「じゃあ!」
 ぱくり、とアマリリスがウィリアムの指ごと口に含んだ。
(ん? なんだかこの苺、固いなあ)
 と、思いながらもアマリリスは、ウィリアムの指を甘噛みしたり、ちゅーと吸ったりする。
「!? お、おま、指ごとっ! 噛むな、吸うなっ! お前、わざとやってないか!?」
 そんなアマリリスの行動に驚くウィリアムは、顔を真っ赤にさせながら指を抜こうと手を引くが、彼女はそんなのお構いなしに指から口を離さない。
 やっと、離れたはのは苺の味が無くなった頃であった。
「もう、人前で、こんな事をするな!」
 と、ウィリアムに説教されるアマリリスは、人が居なければ良いのか! と何故か前向きに考えるのであった。

「たまにアワリティアが分からなくなるわね」
『以前の礼とのことだが揶揄い半分趣味半分での提案だろうな』
 コルヌ・イーラ、いやショートヘアに力強い瞳の少女イーラの言葉に、頭に付いている山羊の角の様な呪具のコルヌは答えた。
「なんで私はこんなところにいるのかしらね?」
『仕事には正当な対価を……とアワリティアは言っていたな』
 サングィス・スペルヴィア。鋼鉄の様に冷たい、そんな印象の少女スペルヴィアは首を傾げると、体に流るる血を模した呪具サングィスは静かに言った。
「……で、なんで私達二人になってるのよ?」
『一因はレーグラ達が別行動をしているせいだな』
 イーラがスペルヴィアに視線を向けると、コルヌは小さく息を吐いた。
「…それは私の台詞でもあるのだけど?」
『来てしまったのだから楽しむのが建設的だと思うぞ?』
 冷たく言い放つスペルヴィアに対し、サングィスは前向きな言葉を放った。
「はぁ、兎の恰好をしたり卵を探すよりは向いてるのでしょうけどね?」
 と、言ってウサギの格好をしているイレギュラーズに顎で指すと、スペルヴィアは首を傾けながら言った。
『それを含めて素直に感謝するのは癪だと?』
「そういう意味じゃないって分かってるよわね? ……いいわ。似合わないなりに楽しみましょうか」
 イーラはサングィスの言葉を否定しつつ、楽しむウサギ姿のイレギュラーズを見てスペルヴィアの言葉に頷いた。
『我が契約者殿も黙って笑顔でも浮かべれば十分似合うと思うが?』
 なんてコルヌが言うも、イーラは聞かなかった事にして苺を狩りに向かった。
「果物が似合うような柄じゃないけどそれなりに悪くないわね」
 甘いものは好んで食べないが嫌いではないスペルヴィアは、苺に舌鼓を打ちながら言う。
『まぁ、滅多に食べる機会があるものではないからな』
 全ての国、地域の土地が豊かでは無いであろう。
 それに冬から春に実る苺ならば、手間が掛かり滅多に食べられないのに食べられるのは領主のお陰とも言える。
「多分美味しいのでしょうね……牛乳とか練乳も贅沢なのだろうし」
 イーラは赤く実った苺と、配られたミルクや生クリームを見て唸る
『肯定的な割には楽しそうではないな? まぁ、大体は予想がつくが……』
 と、言うとコルヌが大きくため息を吐いた。
「イーラも考え込んでいないで食べときなさいよ。そうじゃないと……」『アワリティアがまた別途気を利かせてくる……か?』
 スペルヴィアの言葉に、サングィスが更に言葉を付け加えた。
「……っ、それは勘弁してもらいたいわね」
 二人の言葉にイーラは、ビクッと体を震わせると直ぐに苺を摘んだ。
『次はもっと少女趣味な何かに送り出されるかも知れないな』
 と、コルヌは呟いた。

「これだけあったら料理出来れば色々な物作れそうだよなあ」
 九条 侠が、祖父が祖母と自分を連れていってくれた事を思い出しながら言った。
「私は作れないですけど、タルトとか美味しそうです……」
 その隣で銀色のボブヘアに眼鏡を掛けたハーモニア種の少女セレン・ハーツクライは、甘い苺の香りを楽しみながら甘酸っぱいタルトを想像していた。
「よっし、幾つか摘み取ってから食べてみようぜ。つけるのは砂糖か? 生クリームか? それともミルクか?」
 挟が摘み取った苺を見せながら問う。
「私はもちろん、ぜんぶ試します……。どれが一番合うのか、食べながら
見極めるです……」
 と、言ってセレンはスプーンを手にする。
「良し、セレン。俺が食べさせてやろう、あーん」
 そう言って挟は苺を一粒摘まむと、セレンの口元に運ぶ。
「いいんですか……? あーん……」
 差し出された苺をセレンはぱくり、と食べた。
「……おぉ、心なしか照れとる。セレンでも照れるもんなんだなあ……」
 少し顔を赤らめながら食べるセレンを見て、挟は嬉しそうに微笑んだ。
「急にどうしたのでしょう……? なんだか、少し恥ずかしい気持ちがしなくもない、です……。おいしいからいいけど……」
 と、挟に視線を向けつつセレンは、恥ずかしさで熱を帯びる頬に手を添えた。
 ミルクに浮いた苺をスプーンで潰す手に力が入ってしまう。
「砂糖を入れると美味しいよなぁ」
 挟もミルクに浮いた苺を潰しつつ、セレンの表情が変わる事に新鮮さを感じた。

「いちごか。この世界も元の世界と同じ食べ物があると面白いね」
 銀狐の妖樹は、前足や尻尾で器用に苺を摘んで食べながら彷徨う。
 その後ろからぼーっと苺を摘む西條 友重が後退しており、妖樹の尻尾にぽむっと当たってしまった。
「おっと、ごめんね。怪我とかはないかな?」
 ぺこりと軽く会釈しながら妖樹は、友重の顔を覗き込んだ。
「あっ、すいません……ぼーっとしてて……」
 と、頭下げる友重の手に、ふかっとした触り心地に気付く。
「もふもふした良い手触りの……狐?」
 顔を上げると、友重の目の前には大きな銀狐が。
「大丈夫そうかな? ん? もふりたいのかな? もふっても僕は全然構わないけど」
 友重の視線に気が付いた妖樹は、尻尾を九本出すと彼女に向けた。
「こちらに来てから、色んな方々がいて驚く事ばかりで……。今更喋る狐というのは珍しくありませんね。……それよりも、このもふもふした手触り……もふもふ……」
 差し出された尻尾に埋もれる友重。
 あぁ、柔らかく温もりを感じながら瞳を閉じた。
「もふるかわりに僕の方も君に触れてみてもいいかな?」
「そのかわりにわたくしに触れてみたいと? えぇ、構いませんよ。この死んだも同然のような身でよければ……」
 妖樹は尻尾に埋もれている友重に問うと、彼女は不思議そうに狐の顔を見つめながら頷いた。
「ありがとう、手や足を触ってみたいのだが」
「どうぞ」
 妖樹は前足で、細くて折れそうな友重の手足をぺたぺたと触る。
 柔らかい肉球が当たり、少しくすぐったそうな声を漏らす友重は、もふもふの感触を楽しみながら瞳を閉じた。

「おー色も形も綺麗に作られてる。こっちの世界じゃ貴族の特権みたいな風潮が強くてね」
 と、苺を摘まみつつルーキス・グリムゲルデが呟く。
「貴族の特権……ふむ、そうなのか。俺の居た世界じゃ普通に手が出る値段で売ってたなぁ」
 自分の事を話ながらルナール・グルナディエもぷちぷちと苺を摘む。
「量産も難しい上に輸入ルートの開拓も難しいからっていちご二十個で金貨が飛ぶのよ」
 ルーキスが苦笑しつつ肩を竦ませた。
「その点混沌はいいわ、気軽に贅沢が出来て」
 砂糖たっぷり付けた苺をルーキスは頬張り、満足げに頷く。
「何もつけなくても美味いと思うぞー?」
 ルナールが何も付けてない苺をルーキスに差し出された。
「んー、やっぱり季節の風物詩はこうでないと」
 差し出された苺を食べると、ルーキスは嬉しそうに微笑んだ。
「……俺としてはルーキスのそういう表情を見れただけでも誘った甲斐があったな」
 その隣でルナールが嬉しそうに言った。
「うん、持って帰れればルーキスに菓子にして貰えたのになぁ……それだけは残念だなー」
 ルナールが苺を頬張ると、ルーキスに視線を向けた。
「別に苺は売られているかもしれないよ?」
「それなら、買ってあげるからお菓子にしてくれよな?」
「仕方がないね」
 ルーキスの言葉を聞いて、ルナールは笑顔で言うと彼女は嬉しそうな声色で答えた。

「大変な日々が続くからこそ、こうした催しって大事よね。常に気を張りつめ続けていたら体がもたないもの。だからイベントに誘ってくれたユリーカ達には感謝しなきゃ」
 と、イレギュラーズ達が楽しそうに苺を食べる姿を見て、九重 竜胆はこの様なイベントをしてくれるユリーカ達に手を振った。
「それにヴィエラとこうして出掛けるのも久しぶりよね。今日は沢山食べて、話して、日常を満喫しましょ?」
「そうね、最近の幻想の国は色々と情勢も危ういし…元貴族としては色々と複雑だわ」
 絹の様な髪の少女ヴィエラ・オルスタンツは、竜胆の言葉に同意するように頷いた。
「ふふ、折角出かけるのだし楽しまなきゃ損だもの」
 と、言ってヴィエラは竜胆の手を取って、苺狩りへと向かった。
「たくさん実がなってるわね、どれも美味しそう」
「それじゃ、早速っと」
 竜胆は目についた苺を摘むと、大きく赤い実にかぶり付いた。
「ん、何も付けなくても十分美味しいわね。ほら、ヴィエラも食べてみなさいよ、美味しいわよ?」
 竜胆がヴィエラに苺を差し出す。
「あら、ほんと? なら私も早速いただこうかしら」
 ヴィエラは差し出された苺を口にする。
「見た目通り美味しいでしょ?」
 竜胆が笑顔でヴィエラに言うと。
「ん~……美味し。甘い物って至福だわ……ずっと食べちゃってたいくらい」
 と、絶賛するヴィエラは、苺を摘むと竜胆に差し出した。
「竜胆にもお返しでいちごを食べさせてあげるわね」
「ん、ありがとう。ヴィエラ」
 差し出された苺を食べると、竜胆はヴィエラに優しい笑みを向けた。
「ふふ、竜胆は可愛いわね。ずっと眺めてたいくらい。良し、たくさん食べるわよー」
 ヴィエラは竜胆の手を引いて、苺の農園を歩き出した。

「男三人集まって苺食べる? なんですそれ、罰ゲームですか?」
 と、アベルが言う。
「シラスとルチアーノはナンパ初めてだって?」
 ルチアーノ・グレコとシラスはこくりと頷いた。
「じゃ俺が指揮官として【統率】してやろうじゃん。作戦は……『苺はそのまま食べても美味しいけど、トッピングがあると楽しいかもよ?』」
 アベルが声高らかに作戦名を言った。
 長い、が……ナンパなんてした事がない二人にとっては、アベルは頼もしく感じた。
 メルティ―シュガー(砂糖)担当のルチアーノ、クリーミーシラスこと生クリーム担当のシラス、ミルク担当のアベルの3人は、ナンパをする為に農園を歩き出す。
 一人で苺を食べている高槻・詩乃をターゲットに決めた3人は、作戦開始した。
「一人? 俺はカインって者です。貴女は?」
 声を掛けられた詩乃は、見知った顔の男達を見て『まぁ楽しそうだし付き合ってあげますか』と思いながら自己紹介をした。
「君は明るい太陽のようだね。この苺たちも光合成が捗って、すくすくと成長しそうだよ。ほら、この苺はもう真っ赤になってる。……詩乃さんの愛らしさに、照れているんだね。罪作りなレディだよ」
 ルチアーノが詩乃の前で膝を着くと、籠いっぱいに摘んだ苺を差し出した。
「言ってる事はちょっとキザだけど、苺は貰っておきますね☆」
 詩乃は笑顔で苺を受け取るものの、ルチアーノには目もくれない様子だ。
「ボクらは貴女にフィーリングベターな春をコミットする苺狩り三銃士。この南風に吹かれながらスイートエンドな夢を見てみませんか?」
 折り畳まテーブルにクロスを掛け、トッピングと食器を並べたシラスは笑顔で言った。
 色んな意味で決まったシラス。
 もう、後には引けない状況の彼はもう成るようになれ状態だ!
「意味は分からないけど、苺を食べる場所は借りるね♪」
 頑張って考えた台詞を一言で片付けられたシラスは、がくっと地面に膝を着いた。
「こ、こんなの初めて」
 と、呟くもシラスの胸に何故か喜びの感情が湧く。
「脊髄反射で返すから辛辣だったらごめんね! でも落ち込むでないぞ三人衆! この詩乃さんが悲しき男たちとイチゴ狩りをしてしんぜよう!」
 詩乃が落ち込む3人に笑顔で謝ると、胸を張りながら声高らかに言った。
 アベル、ルチアーノ、シラス達は互いに顔を見合わせた。
「あ、あーし普段はこんな軽い女じゃないから! 真面目ちゃんだからね!」
 と、言う詩乃を横目に3人はハイタッチして、歓喜の声を上げていた。
 そして、4人は楽しく談笑しながら苺狩りを楽しんだ。

「今日は誘っていただき、ありがとう、ございます、です」
 大きな耳を揺らしながらレウルィア・メディクスは、雪の様なノースポールに言った。
「こちらこそ、ご一緒していただけて嬉しいです♪目一杯楽しみましょっ」
 ノースポールは、チョコに牛乳を混ぜたモノを蓋付きの容器に入れて持ってきた。
「赤く熟した苺を探します……です。甘くて美味しいと、いいな……」
 レウルィアは、持参した氷を入れた保冷袋に摘んだ苺を入れる。
「わたしは面白い形のを探します。わっ、細長い! バナナのようですっ
こっちのはゴツゴツしてて、唐揚げみたい!」
 ノースポールが両手いっぱいに様々な形の苺を摘むと、レウルィアの袋に苺を詰め込んだ。
「ポーさんの見つけた苺、いろんな形のものが沢山で、いいですね。保冷袋はたくさん入るよう、大きな袋で持ってきたので、どんどん入れてください……です」
 宝石の様な苺、縦長な苺、割れたアゴの様な様々な形の苺が袋に入っているのを見て、レウルィアは嬉しそうに言った。
「いっぱい甘くなあれ~♪」
 くるくる踊る様に苺を摘むノースポールに、レウルィアが袋が満杯になったので食べる事を提案する。
「……んん~~! 美味しいっ!」
 ノースポールは苺にチョコを付けて食べると、幸せそうな笑顔で声を上げた。
「はい、いただきます、です。チョコと牛乳が、一緒になっているんですね」
 レウルィアが苺をチョコ付けて食べると、ノースポールに向かって笑顔で言った。
「はい、チョコが固まらない様にしたのです。見た目も味もリッチな感じで最高です……♪そしてレウルィアさんの苺は本ッ当に甘い!」
 ノースポールは苺を食べる手が止まらない様子で頷いた。
「……ん、とっても美味しい、です。ふふ。また、どこかへ行きましょうね……」
「はいっ! また、お出掛けしましょう♪」
 レウルィアが嬉しそうに言うと、ノースポールは笑顔で元気よく返事をした。

「いちご、か。幸いに自然は多かったけれど……こうやって大規模に育てているのを見ているのは初めてかもしれないね」
 穏やかな笑みを浮かべたコルザ・テルマレスは、農園で育てられた苺を見て言った。
「こんなに沢山イチゴがあるのは初めて見ました、ウチの土壌だと野菜も細いのしか育たなくて苦労したなあ……」
 と、苺を眺めながらロズウェル・ストライドは呟いた。
「そういえばコルザさんはイチゴには何を付けます?」
 沢山摘んだ苺を片手に、座れそうな場所に腰を下ろすとロズウェルはコルザに問う。
「僕は……ミルクかな。ほどよい甘さになるのが良いのだよ」
「私はどれも付けて食べた記憶が……高級品なんですよね、甘味関係は」
 と、ロズウェルが話ながらも、ミルクに浸けた苺をコルザに差し出した。
「はい、コルザさん、あーん」
「……ふむ、ではありがたく」
 差し出された苺をコルザは、ぱくりと一口で食べた。
「じゃあ……お返しに全部盛りといこうか」
 食べ終えたコルザは、苺に全部付けてぐいっと差し出す。
「何、遠慮はしないでおくれ?」
 と、言いながら笑顔を向けるコルザ。
「コルザさん、目が笑ってませんよ?」
 少し距離を離しながらロズウェルは、冷や汗をかきながら問う。
 無言の笑顔で苺を口元に運ぶコルザ。
「いえ、食べますが!」
 と、言うとロズウェルは近付く苺を一口で食べた。

「言うまでもない事だが、周りの者に迷惑はかけない様に」
 と、牙軌 颯人が新道 風牙に言う。
「いちご狩りぃ~~~? なーんか地味でめんどくさそうだなあ。まあ、師匠が連れてってくれるって言うなら行くけどさー……」
 風牙はめんどくさそうにしながらも、颯人に手を引かれながら苺狩りに向かった。
 農園に着くと風牙は、年相応の反応を見せて颯人の服の裾を引っ張る。
「ししょー! 見てししょー! いちご! イチゴめっちゃある! すげえ! これ全部食っていいのか?! マジで?! すげえ! あ、砂糖やミルクもあるって! イタレリツクセリだな! 師匠! 早くいこうぜ! 早くしないと先に食われて無くなっちまう! 急がなきゃ!」
「うむ……中々立派な畑だ。農家の皆さんも苦労したに違いない」
 そんな弟子を横目に颯人は、農園を見回しながら感嘆の声を上げた。
「風牙。いちごは美味いか」
 颯人は少し不安に思いながら、隣で苺食べてる風牙に聞いた。
「ッカーーー! うめー! イチゴってこんなに甘かったっけ? 森に生えてる木イチゴとは全然違うな! 」
 大きな実の苺にかぶり付いた風牙は、味わった事のない“イチゴ”に絶賛の声を上げた。
「ほら、師匠も食って食って!」
 風牙は摘んだ苺を颯人に差し出した。
「うむ……貴重なビタミンだ。たくさんいただこう」
 弟子の様子を見て颯人は、少し杞憂し過ぎたと思いながら苺を受け取った。

「イチゴはどれくらい採っていいんでしょうか? もし沢山採ってよかったら、食べる分だけじゃなくて……持って帰って、宿でも一緒に食べたいですね。お料理にもいっぱい使って……甘いものでお腹いっぱいになれるなんて考えると、楽しみで仕方ないです」
「ローマン君、ローマン君、こっちの苺が大きいよ! おねーさんが食べさせてあげようか?」
 メアトロ・ナルクラデがヴァン・ローマンに苺を差し出す。
「……えっ。メアトロさん、食べさせてくれるんですか……?」
 メアトロの行動に目を丸くするヴァンは、驚きの声を上げながら首を傾げた。
「ちょっと恥ずかしいけど……はい、頂きます。あ、あーん……っ」
 差し出された苺を食べると、ヴァンもメアトロに苺を差し出す。
「……僕だけじゃ不公平なので、僕からもメアトロさんに一口を……」
「いただきます! うんうん、ローマン君が食べさせてくれた苺は美味しいよ!」
 食べさせて貰ったメアトロは、嬉しそうにヴァンに言った。
「えっと、持って帰っても良いのかな? 大丈夫だったらケーキ用に持って帰って帰っても楽しみたいな!」
 と、楽しそうに話ながらメアトロは苺を摘むのであった。

「生クリームと合わせて食べるのは初めてですが、これは……とても好みの風味になりそうです」
 ハイド・レイファールが生クリームを付けた苺を見て、低く唸りながらも口の頬張った。
「そういえば、此処の苺は持ち帰ってしまっても良いのでしょうか? もし可能であれば、お土産として幾つか頂戴したい所ではありますが」
 ハイドはそう言いながら農園の関係者に声を掛けた。
「いちご狩りって初めてするけど……摘みたての新鮮ないちごが食べ放題だなんて、夢のようだよ……!」
 鳶島 津々流は苺を頬張りながら、少年の様に瞳を輝かせながら堪能する。
「……これは単純につけて食べればいいのか?」
 と、ミルクを見て首を傾げるシェンシー・ディファイス。
「ウォーカー達の話によると、ミルクに砂糖を入れて潰して食べると美味しいそうだ」
 オリヴィアがシェンシーに言うと、彼女はミルクに砂糖を入れて苺を潰したのを差し出した。
「なるほど、そんな食べ方があるのだね!」
 話を聞いた津々流は、ポンと手を叩くと試すために材料を揃えに向かった。
「あ、甘酸っぱい……しかも、苺を食べた後にミルクを飲むと……苺の甘酸っぱさと、ミルクのあっさりとした味がとても美味しい」
 シェンシーは、新しい苺の食べ方を知ったようだ。
「もし、お土産として持ち帰りができるようならフリートホーフの皆様の為に見繕いできればと……」
 苺を食べながらマナ・ニールは、ギルドの皆にも食べさせてあげたいと思い、農園をウロウロとさ迷う。
「貴社は、何をお求めで?」
 農園の事業に興味があった瀬川 商業㈱は、スタッフに混ざって手伝いをしていた所に視界に入ったマナに声を掛けた。
「お土産として苺を欲しいなって」
 と、マナが答えると。
「お任せ下さい。最高に美味しく食べれる苺を用意致しましょう!」
「本当?」
「ええ、ニーズの声に答えるのも弊社の役目。それでは少々お待ちを」
 そう言うと、瀬川 商業㈱は研修での経験を活かして家に着く頃には美味しく食べられる苺を厳選し、それをマナに渡した。
「春の味覚といえばイチゴです! 生クリームをつけて食べられるなんて、すごく贅沢ですよね! それに食べ放題ですよ、食べ放題っ」
 ルルリア・ルルフェルルークは、ミルクに砂糖と苺を入れて食べながら嬉しそうに尻尾を揺らす。
「……あたたかいなぁ」
 苺を籠いっぱいに摘んだ風巻・威降は、木の上で頬張りながらイースターエッグの様子を眺めている。
「もぐもぐ、もぐもぐ……うん、美味い」
 イースターで騒ぐ人々を横目にメルト・ノーグマンは、ミルク片手に食べ放題である苺を堪能していた。
「恋はイチゴ味……って最近聞いたのです。つまり、恋を知らない私でもイチゴを食べれば恋が分かるかもしれないのです!」
 と、意気込んでアニー・メルヴィルは、籠いっぱいに苺を摘んだのを見つめた。
「これだけ食べれば私にも恋というものがわかるはず! ではいただきましょう~もぐもぐ…恋とは………恋とは………もぐもぐ……」
 アニーが呪文の様に呟きながら苺を頬張る。
 しかし、彼女に恋とやらが分かる日はまだ遠いだろう。
「という訳で、ありとあらゆる方法で食してくれよう。ふふ……堪らんな」
 と、仙狸厄狩 汰磨羈は、沢山の苺を前に口元を緩めた。
「あー……。今、私は間違いなく幸福だ」
 持参したパンケーキに、山盛りの苺そして生クリームも盛った汰磨羈は、満面の笑みを浮かべながら口いっぱいに頬張る。
「このいちご、お持ち帰りは出来るのか?」
 そわそわしながらスタッフに言うと、『お待ち帰り用の苺が販売されております』と言われた汰磨羈は、買えるだけ買ったのは言うまでもない。
「よーし、正宗くん。次はミキサー機能で、いちごジュースの作成だ!」
「アイアイサー」
 ギフトで球体のメカを呼び出したコリーヌ=P=カーペンターは、摘んだ苺をメカの中に入れる。
「その次は、いちごのフリーズドライを作ってみよー。お土産として最適だからね」
 出来立てのいちごジュースを味わいながらコリーヌは、正宗くん2号に指示を出す。
「コノセカイッテ レイゾウコ ナイデスカラネ」
 と、機械的な声音で正宗くん2号は、苺をフリーズドライにしながら言う。
「練達にならあるかもしれないけどねー」
 と、フリーズドライの苺を味見しながらコリーヌは、笑顔で言った。
「フシギナトコロ デスヨネ アノクニッテ」
 補助碗で球体の体を掻く仕草をすると、体を傾けて考える仕草をした。
「……やっぱ美味い」
 果実系は肉類と違って躊躇いなく食べれるな、と思いながらMorguxは苺を口にする。
「調味料をかけるのも有りだが、そのままでも十分にイケる。こんだけ美味いなら調理用としても使えそうだな……ところで、持って帰れるのかコレ?」
 Morguxはスタッフに声を掛けると、持ち帰る用の苺が売られている事を聞いて買いに行く。
「はぁ、食べ放題でありますか。大丈夫なのでありましょうかね。あまり採りすぎると、次の分がなくなるのではないでしょうか」
 と、心配する竜胆 碧。
「大丈夫だ。皆が食べるスペースとは別に育ててるのもあるからね」
 碧の疑問にオリヴィアが答える。
「携わる全てに感謝を、でありますな」
 そう言って碧は苺を少しだけ食べると、傷んだモノが無いか? と思い農園の苺を見回る事にした。
「はっはー! 苺狩りか、懐かしいねぇ。いつ以来だ? 俺が「ロクスレイ」になる前……ヤー、もっともっと前だな。ガキの頃以来じゃねーか? まー昔のこたぁどうでもいーや。たまには童心に返るってのも悪くねーな」
 ぶつぶつと言っていたロクスレイは、過去の事を投げる素振りをすると苺を摘み取って口に放り投げた。
「陸へ上がって十数年経つけれど、苺狩りは初めてなの。お店で売られている苺は勿論食べた事あるわ! でも摘みたての苺はまた格別だって教わったの! だから今日、とっても楽しみだったんだから!」
 と、嬉しそうに声を上げるジェーリー・マリーシュ。
「だよなー。何も付けずに、新鮮なのを食べるってのが最高だよな!」
「ええ、本当に!」
 ロクスレイの言葉に、ジェーリーはうんうんと頷きながら同意する。
「何かを付ける、それは邪道というものだよ……さぁ考えてみたまえ。苺がこの世に命を産み落とす際、ミルクと砂糖と生クリームが同時に付いているか? 付いていないだろう。そう。彼らは不純物なのだ苺という崇高なる存在に対する不純物。苺は苺として存在が完成しているのだからな。苺という究極の味の邪魔をしてはならない。つまり私が何を言いたいか分かるかね?」
 ライハ・ネーゼスが早口で語り終える。
「――何もつけない方が一番美味しくないかね?」
 と、ライハは最後にゆっくりとした口調で付け加えた。
「あーはいはい。長い部分はわかんねーけど、最後の一言は分かったよ」
 ライハを横目にロクスレイはめんどくさそうに言うと、手をひらひらを振りながら苺を頬張る。
「素材そのものの味が一番なのは、本当に同意しますね」
 ジェーリーも苺を食べながら頷いた。
「砂糖を大量にまぶして白と真紅のコントラスト……いい……実に素晴らしいです」
 その近くでティアブラスが、苺に大量の砂糖をまぶしていた。
「何故!? そんなに砂糖を取ると大変ではないかね?」
「大量の砂糖をまぶして食いまくってたら太る? 甘いです、この砂糖の掛ったいちごの様に甘々ですよ。何故って? 天使は太らないのです」
 ライハが悲鳴に近い声を上げると、ティアブラスはどーんと胸を張りながら砂糖まみれの苺を食べ始めた。
「まぁ、美味しそうな苺が沢山ね。取り甲斐があるわ。菱形の苺が甘いと聞いた事があるから」
 クラリーチェは、体を左右に揺らしながら苺を摘む。
「久しぶりに食べたので味は格別ですね」
 アズライール・プルートは苺を頬張ると、久しぶりに食べた懐かしい味に笑みを溢した。
「……美味しい! 取ってその場で食べてしまうなんて、ボクとしたことがちょっとだけはしたない」
 と、言ってアズライールは首を振ると、苺を籠にいっぱい入れてミルク、砂糖、生クリームを用意して苺を堪能する事にした。
「いちご食べ放題ですかやったぁ♪……といっても食べ過ぎたら他の人の分がなくなっちゃいますし……今回は量より味、いろいろ試してみましょうかー」
 沢山の道具と調味料を持参したグラ・プテは、籠から摘んだ苺を取り出しメモを取りながらどれが合うか? を試しだした。
「チョコは当然として、酢や花椒もよさそうですし……みんなおいしそうです♪ 」
 ちょっと実験みたいだが、未知なる味が味わえそうでワクワクしながらグラは苺を口に入れた。
「砂糖と生クリームと練乳を頂こうか……嗚呼、もう少し多めに盛ってくれ。あとそうだ、こういう場所なら施設内でいくらか苺を使った菓子なども出てきたりするだろうか。可能ならいくつか食べてみたいのだが…それかレシピを頂けたらと。うちのメイドに作らせるのでね……」
 と、スタッフにあれこれと言うのは銀だ。
「ふむ、苺を持ち帰ってジャムや果実酒を作らせるのもいいな……」
 説明を聞く銀は、『苺のお菓子は無いが、苺ジャムとお土産用の苺が売ってますよ』と聞いて、作って貰いたい物をメモに書いた。
「綺麗な赤い色をした実、まず一つはそのまま食べてみようかしら」
 ティリー=L=サザーランドは、みずみずしい苺の実を摘んでそのままかじる。
「このままでも十分美味しいけど、練乳とか付けて食さてみたいのよね」
 と、言ってティリーは苺に練乳を付けて食べる。
「ふふ、美味しい……」
 ティリーは笑みを浮かべると、苺を食べる手は止められない様子で苺を口に運んでいた。
「……! 今まで食べた苺の中で一番の美味しさです。採れたての味はやはり格別ですね」
 コンラッド=フォン=ジンネマンが苺を美味しさに唸ると、もう一粒と思って食べていたら摘んだ分を全て平らげてしまった。

●イースターの兎は卵を隠す
「アトリエでペイントしたイースターエッグをこの機に隠すぞ!」
 青いタキシードに身を包んだリゲル=アークライトは、意気揚々とウサミミを付けながら声を上げた。
「ユーリエ特性のうさ耳をつける……つけるのね」
 エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌが複雑そう表情で、恋人が作ったウサミミを見つめた。
「吸血鬼がウサミミって……」
 どうなのよ? と言いたげに恋人のユーリエ・シュトラールに視線を向けた。
「えりちゃん、似合ってますよ」
 ユーリエは白いワンピース姿に、茶色いウサミミを頭に付けながら笑顔で言った。
「うんうん」
 皆とお揃いの衣装で嬉しそうなセリカ=O=ブランフォールは、同意するように頷いた。
 そんなウサギの御一行は、バルツァーレク領内の見晴らしのいい草原に身を潜めつつ進み、それぞれがアトリエで描いたイラスト付きのエッグを隠す。

「………探すよりは……向いてる……」
『比較という点では正しいな』
 ウサギの仮装をしたメランコリアが言うと、心臓を模した呪具のコルは淡々とした口調で言った。
「………隠すのもそれなりにあれでしたね」
『方法は問わないが隠し給えよ?』
 ウサギの仮装をして肩を落とすアケディアに、眼球を模した呪具のオルクスは言った。
「……さっ、がす……よりは、いいけどっ……」
『まぁ、隠す方も人でいっぱいになるわなぁ』
 インヴィディアがウサギの姿で恥じらう仕草をすると、尻尾を模した呪具のカウダが呑気に言う。
「……うっ、……い……ぃつ……隠しに……?」
 メランコリアとアケディアの二人と合流したインヴィディアは、早くこんな恥ずかしい格好は辞めたいと言わんばかりの表情で言う。
『はっはっは、現実を見ようぜ? 我が契約者殿』
 と、カウダが笑い声を上げた。
「……うぅ……そう……だっ……た」
 回りはイースター気分のイレギュラーズの姿がちらほらと、イヤでも目に入る。
『まぁ、最悪は同胞に見つけてもらえばいいだろうさ』
 ケタケタと笑いながらカウダは言う。
「……冷たい……空気と……温かい空……気の………」
『せめて最後まで説明をするべきだと思うが』
 メランコリアが途切れ、途切れの言葉で説明するが、コルは困惑した声色で言った。
「まぁ……たぶん……そこまで強力じゃなかった……」
『蜃気楼と同じ現象が起こる程の気温差はないな』
 大雑把な説明をするメランコリアが首を傾げると、コルがどの程度なのかを付け加えた。
「……メランのおかげで涼しいですし動きたくないですね」
 メランコリアのギフトのお陰で涼しいアケディアは、恥ずかしがってるインヴィディアを眺めた。
『せめて渡された分はきちんと隠し給えよ』
 と、オルクスは、アケディアのエッグを見た。
「………オルクス的には問題ないのですか?」
『問題はないがそういうことは来る前に聞き給えよ』
 アケディアが首を傾げると、オルクスは呆れた声色で答えた。
 その頃、インヴィディアはカウダの力を借りつつ、卵を隠していた。
「誰かが見つけるまでのんびりしていましょう」
『寝て落とさないように気を付け給えよ?』
 メランコリアとアケディア自身のエッグを頭上4m程上に浮かべると、オルクスは少し不安そうに言った。

「どうですか? 可愛いですか?」
 ウサギの耳と尻尾を付けたココル・コロが、オリヴィアとセティア・レイスに見せながら愛らしく首を傾げた。
「とても可愛いよ。流石、妖精ね!」
 と、オリヴィアが褒める。
「本当にね」
 隣に居るセティアも同意するように頷いた。
「セティアも可愛いのです! うさぎっぽいのです!」
 大きな瞳を輝かせながら、ココルはセティアの頭を撫でた。
「オリヴィアさんもうさ耳を付けましょう! 可愛いのです!」
 と、ウサギの耳を手にココルがぐいぐいと迫る。
「そうかい? 可愛いかは分からないけど、イベント事だから付けようかね」
 勧められるがままにオリヴィアは頷くと、ココルがポンと彼女の頭にウサギの耳を付けた。
 その間に、セティアは『ここにはイースターエッグとか、隠されてないから』と書かれた看板を立てた。
「オリヴィアさんとココル、どこに隠す?」
 セティアは、オリヴィアとココルの顔見つめる。
「人の多い所に行ってこっそりイースターエッグを隠すのです。木を隠すなら森の中なのです!!!」
 ぐっと拳を掲げながらココルは答えた。
「まぁ、見つけてもらいやすい場所にするよ。その看板は……良いんじゃないか? 人の好奇心ってのは、そういう罠の様な言葉に反応しちまうからね」
 と、セティアの看板を見てオリヴィアは微笑んだ。
「セティアの立て看板完璧なのです! これで見つからないのです! うちらの作戦は完璧なのです!」
 ココルが看板を見ると、うんうんと頷きながら言った。

「折角の楽しい行事ですし、仕掛ける側に回っちゃいますよ! 着ぐるみをきて私はうさぎです、ぴょんぴょん!」
 シフォリィ・シリア・アルテロンドは、60個中10個しか当たりのイースターエッグを隠し回る。
「イースターエッグねぇ……見つけられないも嫌だしわかりやすい位置に隠すか」
 と、言って黒須 桜花はエッグを適当に隠す。
「皆楽しそうだな。ま、平和だから当たり前か」
 ふと、周囲を見回しながら桜花は呟いた。
 『沢山見つけますからね……!』と言ってエッグを探しに行った楓が、ウロウロしている姿を眺めた。
「うー……重い……桜花持ってください……」
 いつの間にか集めたエッグを重たそうに持つ楓は、ただ見ていた桜花に向かって言うと、桜花は仕方がないっと思いながら持ってあげた。
「まぁた面白そうな催しを開くもんだな。せっかくだし参加させてもらおうかね」
 と、言って参加したもののウサギのきぐるみを着た銀城 黒羽は、頭を抱えた。
 きぐるみの事は予想外だったが、黒羽はエッグが入った籠を片手にとりあえず隠す事にした。
「それでは、うさぎ役としてイースターエッグを隠す任務に就きましょうか。さて、まずはうさぎの衣装に着替える所からなのですが……なんで、バニースーツがあるんですか? いえ、構いませんけども」
 弓削 鶫が何故か有ったバニースーツに着替えた。
「動きやすいのは良いのですが、この露出が何とも。まぁ、見つからなければ良いでしょう」
 と、足音と気配を消しながら鶫は、エッグを隠しに向かった。
「まあ、まあ……たまごさがし。このイベント自体も不思議ですが、異世界にも同じような催し物があるというのもまた。さものですね」
 隠したエッグのヒントを書いた紙を色んな場所に張り、ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク自身は何故かお菓子を配っていた。
 ウサギの要素? それは勿論、彼女が隠したエッグに付けられていた。
「兎のブルーブラッド……呼んだか? 呼んだな? そう、このうちこそが正真正銘の……なんてな。噂を聞いて来ただけやで。呼ばれて来るようなうちやあらへん。へへ。でもまぁこれはこれで面白そうやん。何より兎って言うのがうちや。他にもおるかもしれんけどなぁ、そのうちの一人がここに来とるんや。だったらやるしかねえな……! やったろうやないか」
 本物の兎のブルーブラッドである疾風は、名前の通りに現れてエッグを風の様に隠していく。
「視界は透視でばっちり確保、会話はハイテレパスがあるから問題なし。凄いな儂、パーフェクトきぐるみじゃな?」
 ウサギのきぐるみ姿のルア=フォス=ニアは、己に搭載された機能を使いエッグを隠し終えると、ウサギの大きなぬいぐるみの様にそこら辺のベンチに座った。
 後は、近くを通り過ぎたイレギュラーズに向けてハイテレパスで、『ヒントが欲しいか……』と伝えるだけだ。
「最近暗い事件ばかりで沈んでいるけれど、たまには息抜きもいいわよねぇ。ミルクのお酒を飲んで、ギフトで髪まで白くしてばっちりうさぎさんよぉ~……ところでさっきからなんだか目線が痛いような気がするわぁ?」
 ギフトの能力で白くなったアーリア・スピリッツは、セクシー過ぎるウサギ姿がどうやら目立つ様だ。
 自覚はしてない様子だが、すれ違う人達は目を丸くしながら彼女を姿をつい見てしまう。
「わぁ、イースターエッグだ! ユリーカさん達はウォーカーの人達に話を聞いたみたいだけれど、色んな文化がこっちの世界に浸透してたり何だか不思議な気分だよ。よーしっ、皆が今日のイベントを楽しむ為にも私も頑張らなきゃ、むんっ!」
 アリス・フィン・アーデルハイドは、ウサミミだけを付けて高い場所には飛んだり、花の影にそっと置いたりして隠し回る。

●イースターエッグハント
「あ、アトリエのうさ耳騎士のリゲルだぴょん! この辺りに卵があるかもしれないぴょん!」
 と、リゲルがエッグが見付けられないイレギュラーズにヒントを出す。
「わーい、見つけてくれたのですね! 嬉しいぴょん♪」
 エッグを見付けてくれたのを見て、ユーリエは拍手しながら笑顔で言った。
「わぁ、見つけられたんだね! わたしがげっとされちゃったみたいでドキドキしちゃった……!」
 と、胸元に手を当てながらセリカは、安堵のため息を吐くと微笑んだ。
「さあさあ、レンジ―うさぎのゆかいな謎解きタマゴだよ! 見つけた人にはもちろんタマゴが手に入る!」
 声高らかに言うのはレンジーだ。
 帽子に耳を付け、尻尾はズボンに付けて、隠し場所のヒントを書いたチラシを撒きながら、レンジーは笑顔で歩き回る。
「宝探しみたいで、わくわくするよね♪」
 チラシを手にし、ヒントを見ていたシャルレィス・スクァリオは、籠を片手に楽しそうにしながらエッグを探す。
「どんなところに隠してあるのかなぁ? 草の陰とか岩の陰とか? あれ? もしかして街の中だったりする?」
 レンジーがあてずっぽうに探しているのに、行く場所に必ずと言って良いほどにエッグが隠されていた。
 これも、彼女が冒険者なのだからだろうか?
 Lumilia=Sherwoodが、聞いた事のある曲調でフルートで奏でていた。
 その曲の歌詞がヒントとして、皆に伝わるように大通りに響かせた。

「ジェイク様が見たいと仰るので、恥ずかしいですけどバニーガール姿に着替えてきました。似合うでしょうか? 肌の露出が多いような……」
 バニースーツに身を包んだ夜乃 幻は、じっとジェイク・太刀川を見つめた。
 その姿を見て、胸をときめかせながらジェイクは抱き締めようと、幻の体に腕を回そうとするが『ここは人前だ』と己に言い聞かせて、腕を下げた。
「ジェイク様、卵を隠しました。ヒントは『胡蝶の行方』で御座います」
 と、幻はジェイクに隠した場所のヒントを言った。
「探してくる」
 ジェイクは踵を返し、超嗅覚で幻の匂いを辿ると……花壇に辿り着いた。
(俺が恋人の匂いを忘れるわけがねえしな。それに、幻とはずっと一緒に過ごしてるんだ。きっと見つけられる筈だ)
 分かりやすい、とジェイクは思いながら花の花弁に包まれたエッグを見付けた。
 エッグを手に取ると、小さなメッセージカードが添えられておりそこには……。
『貴方の蜜に毒されて、僕はもう貴方の虜。貴方なしには生きていけません。ずっと貴方のお側に』
 と、書かれていた。
「ふっ……幻っ!」
 何度ても、何回でも、幻の言葉に胸を熱くされるジェイクは、見付けたエッグとメッセージカードを手に幻の元へと駆け出した。
 言葉で返さずに、彼は愛しい恋人を隠して人目のつかない場所で、一言だけ呟くと壊れぬ様に離さぬように、大事に抱き締めた。

「さぁて、あの娘たちを探しにいくとしますかねぇ」
『隠された卵を探すのが目的のはずだが?』
 アワリティアが準備体操をしていると、両腕を模した呪具のブラキウムが首を傾げた。
「さぁ、探して頂きましょうか」
『何やら乗り気と思ったが中身が目当てか……』
 グラが籠を片手に歩き出すと、胃を模した呪具ストマスクが呆れた声色で言った。
「ん? あぁ、あれですか。少しお待ちを。……えぇ、この角を右に曲がればすぐに着きますよ」
 アワリティア達の後を付いて行ってるイリュティムは、迷子や困ってる人に手を差し伸べる。
『流石に修道女の恰好をしているとよく声をかけられるな』
 と、翼を模した呪具アーラは、その様子を見て呟いた。
「普段の演技の賜物というものでしょう……心地よいですね」
 人の役に立つ、という事が嬉しく感じるイリュティムは笑顔で言った。
『少し遊び過ぎたな。グラに卵を渡してアワリティアを追う必要がある』
 視界からアワリティアが見えなくなったのをアーラは、イリュティムに告げた。
「まぁ、さておきまして迎えにいきましょうか」
『同意しよう。あの姿を見るに自発的には動かないだろうしな 』
 イリュティムの言葉に、アーラは同意するように頷いた。
「ううん、あれでアケディアさんは隠しいるつもりなのでしょうか?」
『十中八九、動かずに出来る方法を選んだだけだな』
 頭上に浮かぶエッグを見てストマスク首を傾げると、グラはその行動を推測する。
「ですよね~。まぁ、逆によい目印になりましたし良かったです」
 ストマスクが安堵のため息を吐き、エッグを手にした。
『楽しんだようであれば何よりだ、我が契約者殿 』
 その楽しそうな様子を見て、グラは嬉しそうに言った。
「ん~、今回は珍しい組み合わせになったもんだね」
 アワリティアが、苺狩りに行った二人を眺める。
『スペルヴィアとイーラに関しては我が契約者殿のせいだと思うが』
 と、ブラキウムが呆れた声色で言った。
「なぁに、ちょっと世話をかけたからお礼ってやつさね」
『半分程度は揶揄いが混じってそうだがな?』
 笑顔でそう言うアワリティアに対し、ブラキウムは低く唸った。
「ちょっと急ぎすぎちまったかねぇ?」
『あちらは卵を探していたりしたみたいだな。まぁ、すぐに追いつくだろう』
 悪そびれた様子も見せずにアワリティアは、エッグ探す為に一人でずんずんと進んで行った。

「たまごがいっぱい! すごい! カラフル! きれい! たのしそう!」
 ハイテンションのQ.U.U.A.が、イースター祭の雰囲気な街並みを見てわくわくが止まらない。
「きゅーあちゃんはたまご探しするよ!」
 アクロバットや跳躍で屋根の上に登ったりして、Q.U.U.Aは普通の人では見付けられないであろうエッグを楽しそうに集めている。
「さて……と、探すっても何処から探していくかね。何処から何処までの範囲に隠してるのか分かんねーし……。とり敢えず手あたり次第探してみるかね」
 ウサギの仮装なんて似合わないだろう、と言う理由で探す側の佐山・勇司は何となく目に付いた場所を探す。
 チョコレートのエッグもあると聞いたので、孤児院の子供達の為に沢山見付けなければ、と思いながら勇司は街を駆け回る。
 グレイル・テンペスタも、己の身体能力をフルに使いエッグを探す。
「……さて……どこに……隠してあるのかな……?」
 鼻をひくつかせながら、尻尾をゆらりと振る。
「……とんでもない場所に……隠してあったりして……」
 と、グレイルが首を傾げると、宙に浮いているエッグが。
「……本当に……面白い……」
 尻尾をぶんぶんと振りながら、グレイルは浮いているエッグを華麗に取ると、嬉しそうに耳を動かしながら籠に入れた。
「……うん……負けてられないね……!」
 周囲のイレギュラーズ達の籠を見て、グレイルはもっとエッグを見付けるべく駆け出した。
「イースターエッグってけっこう好きなのよね。ただ飾り付けただけのたまごっていうのは分かってるんだけど、きれいだったり、可愛かったり。お菓子みたいに美味しそうなのもあったりして」
 植物や動物達と意思疎通してエッグを探すエスラ・イリエは、手が届かない場所の取る場合はファミリアーにお願いしていかた。
「器用だね」
 感嘆の声を上げるオリヴィア。
「こう見えて私、探しものはけっこう得意だったりするの。こんな風にね 」
 エスラが花壇の中からひょい、とエッグを難なく見付け出す。

「どうしてこう此処まで綺麗に転べるんでしょう? 運動神経ゼロ、獣とはなんだったのか」
 と、目の前で盛大に転ぶ小鳥遊・鈴音を見て、マリス・テラは呆れた様子で言う。
「ちゃ、ちゃんと鈴音は猫さんが半分ですよぅっ」
 ぷくーと頬を膨らませながら、鈴音は獣の部分を指す。
 毎回転ばれては困るマリスは、鈴音の手を引いてエッグ探しに向かった。
「奥に隠れてますよ。右の……そっちは、左です」
 マリスが指す場所に、鈴音が顔を突っ込むとエッグが有った。
「わぁ♪テラちゃん凄いですにゃ! ありましたの~♪ふふ♪二個も見つかりましたわ♪」
 エッグを見付けて嬉しそうな鈴音は、マリスにゲットしたエッグを見せる。
 誰かがペイントしたのだろう、緑色のワニの様なイラストや天使の絵が描かれていた。
「で……これ、見つけ終わったらどうするんです?」
 イースターの事を知らないマリスは、エッグに視線を向けた。
「多分、食べるんじゃないでしょうか……? 食べ物ですし~?」
 鈴音が2本の尻尾を揺らしながらエッグの香りを嗅ぐと、甘いチョコレートを匂いがした。
「あ、あの……また一緒にお出かけしてくださいませね……?」
 と、言って鈴音は、マリスの服を引っ張る。
 マリスはそっと、鈴音の頭を撫でると笑顔を向けた。

「いーすたーえっぐとやらを見つけるのじゃ!」
 嬉々として枢木 華鈴は、ゆらゆらと尻尾を揺らしながら元気よく言った。
「うん。一緒に探しに行こうか。これはおねーちゃんに」
 と、桜坂 結乃が隠す為に用意したのだが、華鈴と楽しみたいという理由で止めて籠にエッグを入れた。
「うむ、それじゃあ一緒に探しに行くのじゃ!」
 華鈴は結乃の手を引いて、エッグを探しに向かった。
「……この可愛いたまごは食べるものなの?」
 ウサギの耳が付いたエッグを見付けた結乃は首を傾げた。
「この卵は茹でられておらんのか?」
 と、言って華鈴は、エッグを包んでいる紙を破る。
「えっと、これはチョコレートなの」
 甘いチョコレートの香りを感じると、結乃は華鈴に言った。
「綺麗な殻を壊すのは確かに勿体ないんじゃが、それ以上に食べ物を食べない方が勿体ないからのぅ」
 と、唸る華鈴。
「ん。じゃあ今から見つける分と、渡したぶん。後で一緒に食べようね」
 そう言って、結乃は駆け出した。
 どんなエッグがみつかるのかな? と、胸の鼓動を高鳴らせながら。

「イースター・エッグとは何だ……? 食べられるのか……?」
 ウィルフレド・ダークブリンガが低く唸る。
 確か、ウサギが卵を隠してどうとか位は聞いた彼は、先ずはウサギの痕跡を探す事にした。
「ウサギさん、私にモフモフされるのイヤ?」
 道端のベンチに座ってるウサギのきぐるみのルアに向かって、リディア・ヴァイス・フォーマルハウトが今にも泣きそうな表情で言った。
『……良かろう、ハグするがよい』
 と、ルアが言うと、リディアはぱぁと笑顔になるとぎゅっとウサギのきぐるみを抱き締めた。
「あらあら、今日は可愛らしい兎さんでいっぱいね~」
 ウサギの姿のイレギュラーズ達を眺めながら、レスト・リゾートはエッグを探していた。
 レストの肩にとことこと、リスがエッグを持って来た。
「は~い、よくできましたあ~」
 エッグを受け取ると、レストはリスにナッツをご褒美に与えた。
「春の陽気に楽しいお祭りか。いいね、見ているだけで幸せな気分になれそうだよ」
 ディジュラーク・アーテルがギフトで、鳥を呼び集めると隠した場所に複数で止まるようにお願いをする。
「さぁ、鳥を探して」
 と、エッグを集めている仲間に向かって言うと、ディジュラークは黒いウサミミを揺らしながら微笑んだ。

(って、届かないー!)
 木の枝に紐でぶら下がっているエッグを取るために、ナール=G=ヴィントは届きそうで届かない高さにあるエッグに手を伸ばす。
「ふふっ ここは一緒にやろっか?」
 ミルヴィ=カーソンが隣に立ち、ナールに提案をする。
「ミリー! ……うう、かっこわるいとこ見せちゃったなっ」
 ミルヴィの顔を見るや否や、ナールは俯きながら言った。
「もーウサギ役も変なトコに隠すなァ」
 何とかエッグを取ったミルヴィは、小さくため息を吐いた。
「ウサギが隠したんだっけ? ミリーもバニー姿似合いそう!」
「ン? アタシはバニーとかやんないからね! 背ェ低いから似合わないし……ほら、気ィ取り直してどんどん探すよー」
 ナールは大きな瞳を輝かせながら言うと、ミルヴィは直ぐに話を終わらせてエッグ探しに向かった。
「そんな事ないよ可愛いもん!」
 と、声を上げとナールは後を追った。
「ミリー、見て見て! エッグが沢山見付けたよ!」
 ナールは、籠いっぱいのエッグを嬉しそうに見せる。
「本当に頑張ったね」
 ミルヴィはナールをぎゅっと、抱き締めると優しく頭を撫でた。
「……えへへっ、ありがとうミリー! やわらかー……」
 蕩けそうな笑顔のナールは、ミルヴィの体に頬を擦り寄せる。
「ふふっ あったかいなァ」
 ナールの温もりを感じながら、ミルヴィは静かに目を閉じる。
「また秋になったらどんぐり拾い一緒に行こうネ♪」
 と、ミルヴィは優しい声色で言う。
「うん!」
 腕の中でナールは、嬉しそうにリスの耳と尻尾を揺らした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

この度、参加してくださった多くの皆様、大きく遅れてしまってすみません。
楽しんで頂けるように、遅れた分だけ込めました。
こんなに沢山の皆様方に参加してくださり、とても感謝しております。
ありがとうございます!

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