シナリオ詳細
<Gear Basilica>天の王に捧ぐ凱歌
オープニング
●
機動要塞。或いは歯車大聖堂――ギアバジリカ。
張り巡らされた道を魔力が駆け巡る。
外的要素を取り込み、咀嚼嚥下する。膨れ上がる。
エネルギーは無数の空洞へと供給され、歯車を駆動させ続けている。
それはあたかも一つの生命のようであった。
磔の聖女アナスタシアはじくりとうずく額を抑える。
彼女はギアバジリカが戴く十字から『意識』を切り離し、虚ろな空洞を浮遊していた。
「ご機嫌はいかがでござい?」
耳障りな声音に、アナスタシアは眉をつり上げる。
「失せろ、下郎。二度と私の前に姿を見せるな」
「そう怖い顔しなすんなって、こんなところ俺だってゴメン被るってもんだ。
アンタの『呼び声』にでもあてられたら、俺なんざひとたまりもねえだろうからよ!」
ヒヒヒと下卑た笑いを浮かべるハイエナを、アナスタシアはくびり殺してやろうと思い、二歩近づいて――自重した。
「ヒエー、おっかねえ女だぜ。けど使えるモンは使うって言ったのはアンタじゃなかったかい?」
アナスタシアが鼻を鳴らす。
「釣れないなあ。もうここまで来たら共犯者だろう。もっと親しく扱ってくれてもいいんじゃないか?」
「もういい。黙れ」
「へいへい」
血潮の儀――儀式自体は《燃料不足》により失敗に終わったが――あの惨劇と怨嗟の絶叫に直面したとき、アナスタシアは原罪の呼び声に身を委ねた。
あの瞬間は確かに全てを諦めざるをえないと感じられた。
――懐かしいですわね司教様。
夜の教会で貴女の懺悔を偶然聞いてしまった日のこと、神学校や教会で共に過ごした日々……
今でも鮮明に思い出せますわ。
司教様、貴女は私の憧れであり、同じ痛みを抱えながら同じ道を歩む同志です。
それは今も変わりません。共に理想を実現するために身を捧げると決めた、あの日の誓いも。
ですが私、もう一つ誓った事がありますの。この手が及ぶ限り、少しでも多くの人を救うのだと。
それは司教様、貴女とて例外ではありませんわ。
決して貴女を一人にはしません。貴女のために手を差し伸べ、共に戦うと誓いましょう。
しかしそれは、共に世界を滅ぼす魔種としてではなく、共に理想を分かち合う者として。
真に貴女を救い出すために。
貴女もまた、私の手の及ぶ場所にいる一人なのですから。
たとえ過去がどうであろうとも、今までずっと苦しみながら罪を償い続けてきたのですもの。
こんな結末があって良いはずがありません。
司教様、どうか待っていて下さいまし! 今、助けて差し上げますわ――
絶望に打ちひしがれたアナスタシアの理性を辛うじて踏みとどまらせたのは、一つの返答だった。
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)に助けを求めた――魔種となったアナスタシア自身による『原罪の呼び声』を発したその時。
あの教義を体現するかのような気高い理念に裏打ちされた応答に、アナスタシアはまるで雷に貫かれたような衝撃を覚えた。
――わたしは、一人じゃない。
そも。教派による会議の場で、アナスタシアはハイエナの手引きによって過去の罪を暴き立てられていた。
立場を失った事を、己が築き上げた贖罪の歴史が脆くも崩れ去った事を、アナスタシアはその場で即座に理解した。
かつて軍に所属していた頃、略奪に携わった黒い記録の事であった。強烈なスキャンダルが瞬く間のうちに広がったのは言うまでもない。
そして血潮の儀を止めるため、単身乗り込んだ結果が現在の有り様である。
アナスタシアは反転した。これは覆らない。
あろうことか儀式はイレギュラーズ達が阻止したにもかかわらず、彼女自身の力で古代の兵器を起動させてしまった。これも覆ることはない。
ギアバジリカをアナスタシア自身の意思で首都の外へ導くまでに、一体どれほどの人命が失われたのだろう。どれも覆せるものではない。
けれど。
けれど。
だけど。
――やりなおそう。
それまで反転という現象について、アナスタシアは化物に成り果てる事であると考えていた。
だが今現時点において、後悔や痛痒は――不思議と感じてはいなかった。
微かな頭痛に苛まれている以外は、思考も体調も驚くほどクリアに思える。
けれどきっと、ああ。自分自身は『狂っている』のだろう。そうは思えども。
「ヒヒヒ、何を迷うことがあるんだい。アンタはいずれにせよ地獄行きだよアナスタシア。
それでお前に斬り殺され、生きながらに焼け死に、飢えて死んでいった奴らに申し訳が立つのかい?
もうここまで来ちまったんだ。同じ地獄行きなら、世の役に立ってから死んだほうがマシってもんじゃないか」
――ああ、そうだ。
「ああ、武運くらいは祈ってやるよ、もはや俺には関係のないことだが。
弱者も強者も、全ての人間を踏みにじって、その血溜まりの上にせいぜい理想郷とやらを築くがいいさ。
いつかアンタが望んだら、その喉をかき斬りに来るくらいはしてやろう」
――ああ、その通りだ。
アナスタシアは黒衣の裾を翻して大礼拝堂へと歩みを進める。
後を付けてくるこの卑しい男、ハイエナが己を利用したことは分かっていた。
おそらくなんらかの外的要因をきっかけに、鉄帝国ではおそらくショッケンあたりと通謀し、一連の事件を仕込んだ事も直感的に理解している。
だが今のアナスタシアはこう思う。ならばせいぜい利用しあってやるだけだと。
反転し魔種へと墜ち、けれど正気を――当人が信じる限り――保っている今だからこそ、為すべき事はある。
皇帝不在の今こそ、このギアバジリカをもってスチールグラードへ進撃するチャンスなのである。
ギアバジリカは様々な物を食い、構成を肥大化させ、また燃料としながら勢力を拡大する恐るべき殺戮兵器である。
無論アナスタシアはこの一撃が帝政の打破に繋がるとは思っていない。尚もって戦力が不足していると踏んでいた。
ならばこの木偶の坊(ギアバジリカ)に餌を食わせてやる他にないではないか。
――全てを喰らおう。
――全てを平らにしよう。
――きっとそれが平和というものなのだ。
――全ては民衆の為。
――全ては貧しき者達の未来の為。
例えこの手を更なる穢れに染めようとも。もうアナスタシアが止まる事は無い。
「それじゃ一発、スネグラーチカの皆さんに景気付けをお願いしますぜ、『大司教』サマ」
漆黒の礼拝堂には、いずれも黒衣を纏った者達が詰めかけている。
鉄帝国の現状に絶望した力なき者。
ギアバジリカの魔性にあてられ、帝国との交戦を選んだ者。
取り巻く無数の機械怪物達――それらを前にしてアナスタシアは声を張り上げた。
「如何な犠牲を払おうとも戦わねばならぬ場面がある。
子らよ、今がその時である。
我らの主を疑うなかれ。
信を持ちて進み凶暴な敵に当たれ。
恐れるなかれ。
神は我らと共にあり。
我らの屍の先に聖務は成就されるであろう。
前進せよ。恐れるなかれ。主は汝らを守り給わん!」
――前進せよ。恐れるなかれ。主は汝らを守り給わん!!
●
「地点B! 異常なし!」
「異常なし!」
背後に鉄帝国帝都スチールグラードを控えた荒野は、物々しい気配に包まれていた。
「お前さん、あっちに行ったのかと思ったぜ」
帝国将校ボリスラフに呼びかけたのは、スラムの地下闘士となったヴェガルドという男だった。
「気にすんなって、こっち側で嬉しいって意味だからよ。ノルディア流ジョークってやつ、ダハハ!」
「いえ。わかっております」
苦虫をかみつぶしたような表情を貼り付けたまま、ボリスラフは呻くように答えた。
そもそもの発端はスチールグラードに存在する広大なスラム街『モリブデン』に『古代兵器が埋まっている』というものだった。
鉄帝国将校ショッケン・ハイドリヒはその力を占有すべくモリブデン確保に動き出したのだ。
悪辣で強引な地上げや住民の拉致などを繰り返し、彼等は挙げ句の果てに古代兵器起動のため『血染めの儀』と呼ばれる虐殺を企図したのである。
この虐殺はローレットのイレギュラーズによって阻止され、またショッケン一派はこの古代兵器の確保に至ることは出来なかった。
だが民衆の味方をし、ローレットと共闘してきたクラースナヤ・ズヴェズダーの司教アナスタシアが出奔、反転する事件が巻き起こる。
魔種となったアナスタシアを動力源として取り込み、『歯車大聖堂(ギアバジリカ)』となった古代兵器は、なんらかの要因によって一度首都を離脱するも、アナスタシアが根底に抱く『全てを分け合う』思想の元に首都進撃を開始したのである。
ボリスラフはそれを阻止出来なかった事に、臍を噛む想いでここに立っているという訳だ。
「でもやるしかないじゃない!」
力強く宣言したのは『セイバーマギエル』エヴァンジェリーナ・エルセヴナ・エフシュコヴァ(p3n000124)ことリーヌシュカである。
ラド・バウの闘士でありながら鉄帝国に隊長格の軍籍を持つ彼女は、部下共々貴重な戦力となるだろう。
「だな! ダハハハ!」
「あなた、話が分かるじゃない!」
「だろ?」
リーヌシュカの言葉に笑ったのは、ヴェガルドであった。
現在スチールグラードには、そのギアバジリカなる自律移動要塞型古代兵器が迫っている。
ギアバジリカは道中の村々で略奪を繰り返しながら、無数のモンスターや兵隊を繰り出していた。
鉄帝軍は外洋遠征護衛や、国境防衛等に兵力を割いており、ただちの迎撃部隊を準備することが出来ていない。これはあまりに緊急の内患なのである。
このままでは多くの人命が失われることは必至。
故に鉄帝国は軍民一体となってローレットと手を取り合い、ギアバジリカに立ち向かおうとしているのであった。
作戦はこうだ。
イレギュラーズを含めた混成軍精鋭部隊は三手に分かれ、波状突撃を行う。
これは――ここだけの話だが鉄宰相バイル・バイオンの献策だという噂がある。あくまで噂だ。
ともかく。まずは突入口に展開するショッケン旗下の部隊『エルガーヴォルフ』と交戦、道を切り開く。
次に突入口に面した大礼拝堂で歯車兵と戦い、十字架に磔となったアナスタシアを倒す。つまり『動力の源を破壊する』ことである。
だが事前の調査――それからヴァレーリヤの進言――により、あのアナスタシアはおそらく『アナスタシアであってアナスタシアではない』可能性が考慮されていた。
故に最奥のコアに向かわねばならない、最も危険な役割を誰かが担わねばならない事になる。
「突撃なら任せなさい!」
エルガーヴォルフとの交戦を買って出たのはリーヌシュカであった。
「え。お嬢ちゃん、俺に本命くれんの? 悪いねえ!」
大礼拝堂への突入はヴェガルドが手を上げた。
「コアルームへ向かうのは……私の役目でしょう」
険しい表情のボリスラフの声音は乾いていた。
ならばイレギュラーズは――
- <Gear Basilica>天の王に捧ぐ凱歌Lv:15以上完了
- GM名pipi
- 種別決戦
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2020年03月03日 22時10分
- 参加人数51/50人
- 相談6日
- 参加費50RC
参加者 : 51 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(51人)
サポートNPC一覧(2人)
リプレイ
●Ärger Wolf I
徐々に。徐々に。
地響きが迫ってくる。
北の大地、粛然の荒野をけたたましい轟音が覆い尽くしている。
機械仕掛けの要塞『歯車大聖堂』は村や町を次々と飲み込みながら、帝都へ進撃を続けていた。
今、冷たく乾いた大地と決別し、無秩序に組み上がった殺戮機動要塞を駆け上がる者達が居た。
百にも満たない有志。突撃隊である。
地上の大部隊との交戦は、徐々に結果を出しつつあった。
鉄帝国正規軍、及び義勇軍、そしてイレギュラーズの圧倒的優位に運んでいる。
いずれも失敗の許されない戦場の中で、ここは最も危険な戦域の一つだった。
目的は歯車大聖堂に突入し、コアとなる『魔種アナスタシア』を討滅を果たす事である。
「皆!」
騒音のただ中を劈くように声が響く。
プラックは船首さながら、ひしゃげた鉄板に片足をかけて振り返った。
「一丁ド派手に以降じゃねぇの!!」
一同が沸き返る。
「妾達イレギュラーズがついておる、行くのじゃリーヌシュカ。この戦い、負けられぬのじゃ!」
「デイジー! 任せて頂戴!」
デイジーの言葉に瞳を輝かせて。
敵の長は鉄帝国軍人クラインシュミット。歴戦の佐官である。さあ、指揮比べと行こう。
「さぁ大詰めです!聖女だろうと何だろうとこんな事は許さない!」
親友の名を冠する剣で天を指し、バルドの息子ヨハンが高らかに宣言する。
全軍が鬨を上げた。
オオオォォォ――!
敵軍が迫る。無数の弾丸が跳ね回る。
半身を無数の歯車に呑まれた軍人――だったもの――が、突撃銃を乱射していた。
「そうだロウ」
最後尾に立つジェック。その表情はうかがい知れないが。少なくとも彼女の『Hot Load』が第八鋼鉄猟兵隊の銃口を正確に捉えた事実は、彼女の予想が的中したことを暗に示していた。
味方の背から敵陣に銃弾を突き刺し続ける彼女は、味方に一発も当てて居らず、無論のこと非難も怯えも怒りもない。ただ彼女への信頼があるのみだ。
きりは浅く構え、衝撃を弾きながら肉薄し。
僅か一発がすべらかな頬に赤い糸を引き――間合い。きりの姿がかき消えた。
閃く凶刃の嵐は歯車を粉々に砕き、まず一人。第一陣の切り込みが始まった。
この事態を引き起こした切っ掛けはハイエナという男であろう。
だがきりは事件解決に携わってきた者として、責任を感じている。余人はそれを清廉な覚悟と呼ぶかもしれないが――さておき。
「みんなで儀式は防いだんだから! 気にしたら負けよ!」
背を合わせて剣を振るうリーヌシュカが叫ぶ。
「僕が! 僕が絶対に道を切り開く!」
この国に生きる者として、絶対に負けられない闘いだ。
雹のように叩き付けられる痛烈な衝撃は、しかし少年の進撃を止めるに能わず。
ジェネラルとは背負う者。覚悟を胸にヨハンは大盾を構えて戦場を突き進む。
人の想いは様々だ。
この国はある者にとって祖国であれば、海洋に根ざすベークにとっては敵国であるとも言える。
多大な犠牲を払った第三次グレイス・ヌレ海戦は、鉄帝国にとっては生きる為であり、海洋の民にとってはエゴイスティックな侵略とも感じられる出来事であった。
だがベークはこれも依頼だと腹をくくり、弾丸の嵐を駆け抜ける。
弾丸が持久力に優れたベークを狙う限り、他の誰かは、仲間達は、無事で居られるのだから。
辺りに甘いたい焼きの香りが漂った。
殺到する刃と弾丸のただ中で、軽騎兵隊が果敢に切り込んで行く。
「僕が守るよ――」
誰がふいに倒れてもおかしくない激闘の中で、その身を捧げるが如く戦線を支えているのは火燐であった。 一転、反撃。
「ここは妾に任せるのじゃ!」
大壺蛸天に乗るデイジーがふわりと現れた。
一撃、また一撃。放たれた月の波動、赤き不吉の光、青き冷たい光が軍人だった者、人だった者。歯車兵と化した者達を次々に飲み込む。
唸りを上げて回転する歯車を食い込ませて地を滑り迫ってくる兵を火燐が斬り捨てる。
後は――デイジーが神なる呪いを撃ち、上空へ視線を滑らせた。
「空は頼んだのじゃ!」
●●Ärger Wolf II
ラダが『彼女』と出会ったのは、丁度一年と少し前になる。
この国では未だスラム再開発の話すら聞かなかった頃だ。
プアメタルで炊き出しを手伝う仕事。乱入してきたバカ共を沈めた。
そう言えば、あの時はコインを上乗せしてもらったのだったか。
これはそのお返しだ――きっと本意ではないと思うから。
魔種になった聖女とは。この地で、天義で。
ハロルドが聖剣リーゼロットを握りしめる。嫌なことを思い出すものだ。
ともあれやるべきは変わらない。魔種は――魔族は――皆殺しだ。
「さあ、今日の俺達は弩です」
アベルの飄々とした声音にラダとハロルドが視線を重ねる。
「だな」
第十六蒸気空挺隊を名乗る者達。かつてそうだった者達。
歯車仕掛けの翼で上空を飛び回る、今や人ならざる兵がサイトの中央を外れた瞬間、トリガーを引く。
予測、偏差。風を切り裂くアベルの弾丸は寸分違わず翼の根元に吸い込まれ、歯車が爆ぜ身体が墜ちる。
嵐のように――銃声。ラダの弾丸に更なる歯車兵が墜ちる。
狙撃手達は人と夢が同じ物で出来ている事を知らしめる。
一方で二人を守るように立つハロルドは腰を落とし――
抜き放たれた二刀、放たれた無数の衝撃は豪雨のように空中の部隊を弾き飛ばして。
「狙撃手共カ」「奴等ヲ狙エ」「ラジャー」
鋼板に叩き付けられた兵達に咆哮するラダの銃声は、敵の悟りと覚悟が手の平の上にあることを告げ。
「俺達はただただ、撃ち貫くのみですよ」
鋼の驟雨を共にしたアベルが帽子の先を下げる。
こうして弩の一行が向かうのは最前線。その火力支援となった。
「行って下さい! ヴァレーリヤ殿!」
ルル家が声を張り上げる。
「ここは拙者らにお任せを!」
一行は戦火を切り開き、遂にクラインシュミットの前に立っている。
「ええ、この恩は。決して忘れませんわ……!」
大礼拝堂、そしてその先に続くコアルームを目指すヴァレーリヤ等が内部へ突入を開始した。
光線銃を閃かせ、ルル家は魔導兵を撃つ。
まったく、ままならぬものだ。優しき人程、無力を感じた絶望は深いということだろうか。
だがヴァレーリヤはまだ諦めていなかった。
だからこそルル家達はこうして血道を切り開いている。
「この手合いを野放しにして良いことはありません」
「なんか怪しいですしね!」
雪之丞の言葉にルル家が頷いた。
「それではお願いします」
「ダース! ここは任されたわ!」
「ダーダダース!」
リーヌシュカに預け。
雪之丞はいざクラインシュミットへ視線を突き刺し、愛刀桜狼へと指をかけ――
●Почему люди молятся I
けたたましい音がする。
まるで鼓膜にヤスリがけされでもされているようだ。
大空を戴く、解放された大礼拝堂の奥でアナスタシアは十字に貼り付けられ聖句を紡ぎ続けていた。
「ヒヒヒっ、お揃いってワケだ」
その下から聞こえる下卑た笑い声。影からハイエナが姿を現す。
「ハイエナ! そこから離れろ!」
「ボリスラフ!」
ボリスラフの肩に手を乗せたヴァレーリヤが首を振る。
「私達は先を目指すのです」
アナスタシアの身体(コーパス)――歯車大聖堂の動力炉(リアクター)。
見て、悟る。あれはやはり、アナスタシアの身体であって『魔種アナスタシア』ではない。
数秒だけ目を閉じ、ヴァレーリヤもまた覚悟を決める。
「行ってこいよ!」
ルカがマクアフティル振り上げる。『聖女奪還』の面々が頷く。
「邪魔はさせねぇ、道塞ぐ虫は俺が引き受けてやらぁ!」
ゴリョウが叫ぶ。
「行け、ヴァレーリヤ! 行って聖女を分捕ってこいッ!」
「恩に着ますわ!」
「ぶはははッ、その道を開けな虫ども! 代わりに俺が相手してやるからよぉッ!」
歯車が絶叫するただ中で、ゴリョウが怒声を張った。
大きな音には、より大きな声を。それがこの国でのやり方だ。
殺到する歯車兵達。人らしきモノ。人だったモノ。人ではないモノ。
そこにあるものは。いずれも最早、身体の欠片に過ぎないのかもしれない。
歯車兵がゴリョウに殺到する。
「ぶはははッ! それじゃあ、足りねえよ!」
「ダハハ! アンタ威勢がいいじゃねえか! いつかやろうぜ!」
ヴェガルドがウルフバートを抜き放つ。
「私がサポートしよう」
仲間達が最深部(コア)にたどり着かねばならないならば、やるべき事は一つだ。
「マジ? 悪いねえ!」
ゲオルグが導くのは黒羽根舞い散る退廃――理想郷の残骸。ブロークンアルカディア。
「こりゃラグナロクに来ちまったみてーだ!」
恍惚に溺れる機械兵をヴェガルドが一刀で両断する。
「鬱憤溜まってるんでね、ここらで発散させてもらおうか」
歯車に呑まれた聖歌隊ギア・ディーヴァを前に、クリムは唇の端を舐めた。
硬い床を蹴りつけ、飛ぶように肉薄する。
虚ろな歌姫の瞳と、美しいクリムの瞳。視線が絡み、断章『緋眼・■■■■』。
邪視に続く続く魔力の乱撃にギア・ディーヴァが奇声を上げた。
集まってくる。
「より取り見取りなのはいいが……面倒だな」
「ほんとね!」
隣に立つアルテナが歯車兵へ剣撃をたたき込み、クリムと背を合わせる。
二人は視界いっぱいの歯車兵と聖歌隊を一瞥し。
「やるしかない……か!」
魔力を漲らせた。
遠く視界の片隅に見えたハイエナにシュリエは溜息一つ。
人のスキャンダル好きと、伴う悲劇はどこの世界でも変わらない。
ともあれ――『世界の敵』となってしまったからには、止める他ないのであるが。
「行くにゃ!」
ゴリョウに殺到する歯車兵の中で、シュリエはとりわけ巨大なムカデ型に立て続けの大規模魔術をたたき込み続けていた。爆炎と五月雨のような魔力の奔流は、機械兵の各部に燃え移り、赤く爆ぜさせて行く。
「合体ロボならもっとカッコいいのにしろにゃ! なんでムカデにゃ!」
ほんとな!
●●Ärger Wolf III
ガラクタを聖堂のように集めても、矢張りガラクタだと。
身体にガラクタを埋め込んだ兵とて、人間の枠内には違いない。
人間はここにしかいない。だから彼女はここに来た。
合法的に埋め合わせるのは大変なのだ。
芒は血濡れの道路標識を振りかぶる。
轟音と共に鳴り響く鋼の悲鳴。マトを外し、当て、当て、外す。
コイントスに勝利する度に命が一つ消え失せた。
槍で突き、喰らい。愛無はクラインシュミットのナイフをつかみ取る。
「我ガ隊ハァー! 鉄帝国ハァー! 無・敵・ダ!」
愚かな事だ。哀れな事だ。人間というモノは全くもって理解できない。
聖女も、君も――
「そして欲望を他者に委ねるからそうなる」
頷いたのは舞花だ。
帝国のショッケン配下である彼等が敵だった筈の聖女の走狗となり、何をしているのか。
原罪の呼び声に翻弄され、己が何のために戦っているのか、何のために古代兵器を欲していたのか。
それすらも見失っているのだろう。
「何とも……無様な。見るに堪えないとはこの事ね。
今の貴方達を見ていると、なるほど以前はまだましだったのだと思える
ゲブハルト・クラインシュミット少佐。その武勇には敬意を表する。
故に――これ以上の無様を晒しその名を汚す前に、終わりにして差し上げます」
剣光一閃。朧月。激突が始まった。
想定よりもずいぶん生き残っているものだ。
以前の交戦を経験するヘイゼル達は、エルガーヴォルフに壊滅的な打撃を与えることに成功している。
彼女等にとっては、残党のようなものだ。
問題は原罪の呼び声の影響と、歯車大聖堂からの支援――そう呼んで良いものかはさておき――だ。
「ですが、生き恥を晒すのもここ迄なのですよ」
まあ葬るのは私ではないなどと続け、軽やかな足取りで銃弾を凌ぐ。
多少の攻勢で落とされるヘイゼルではない。敵は以前の交戦で学ばなかったのか。
「ガ、ガガガァ――!」
歯車が回る。兵が人の域を脱した角度に腕を振り上げた。骨が爆ぜる。
暴風のように迫る腕を受け流し、ヘイゼルは瞬く間に愛無の傷を調和しながら結論する。
敵は、彼等は。学びはしたが、生かすチャンスが与えられなかったのだと。
交戦は続いている。
「ぜってーに負けてらんねぇ!」
ブリッツボーイ・ガントレットを打ち鳴らし、プラックが声を張り上げた
この国には思い出がある人が沢山居るのだ。
その思い出を燃料に、焼き尽くしながら、大聖堂は進撃している。
大切な住む場所を粉砕しながら、大聖堂は猛進している。
そんなことは止めてやる。絶対に。
「セット! もっと、もっと輝けっブリッツボーイ・ガントレットォォォ!!」
――俺の想いを力に変えろぉぉぉ!!
あふれ出す膨大な魔力の奔流が波濤のように敵陣を飲み込んで往く。
イレギュラーズの猛攻は続いている。
切り開かれた道を雪之丞が駆ける。狙うは本丸。クラインシュミット。
凛と鯉口の音――抜刀。
「とくとご賞味あれ――」
それは奈落の呼び水。飛翔する不可視の斬撃が少佐の身に袈裟懸けに裂いた。
ケーブルが寸断され、血花と歯車がはじけ飛ぶ。
「グガガァァァ! 我々ハァ! 勝利! 勝利! ショウリィイイイイイ!」
身体を半壊させながらも叫ぶクラインシュミットに愛無が飛び乗った。
めちゃくちゃに暴れる腕を押え、冷ややかな視線を送る。
「誰も『君』など見ていない。ただの『障害』としか見ていない」
ナイフが突き立ち黒い粘膜が裂け、だが愛無はその力を微塵にも緩めない。
なれば。なればこそ。
「聞きたまえ」
僕が『お前』を食ってやらねばなるまいな。
僕が『お前』を殺してやらねばなるまいな。
そうでなければ『この生命』は報われない。
そうでなければ『この人生』には甲斐がない。
「お前が背負ってきたモノ。お前が踏みにじってきたモノ」
――全て僕が喰い殺す。
「クラインシュミット、呼んでいるぞ。お前の部下も、僕の『中』で」
さぁ、終わりにしよう。
黒蛇が一人のオールド・ワンを、その生命を飲み込んだ。
●Почему люди молятся II
礼拝堂での闘いは依然として続いていた。
無尽蔵とすら思えた歯車兵も、着々と数を減らしつつあった。
丁度その頃、エルガーヴォルフと交戦していた面々が礼拝堂への突入を開始した。
あちらが片付いたのだ。
「いくよ、ラクリマ!」
援軍に背を預け、ライセルとラクリマが敵陣を駆け抜ける。
目指すはハイエナ、恐らくアナスタシア・スキャンダルの元凶になった男だ。
この男が情報を撒いた事は知られており、言わば戦犯なのである。
「やろうってのか? 面倒なことだぜ。『イレギュラーズ』二人はきついかな」
ハイエナの軽口にジルがあっかんべー。他に成すべきがあるジルにとって今は精一杯の抵抗だ。
誰もが一つの結末を望んでいる。
アスタは――感情というものがあまり分からない。
人形だから。作られた存在だから。
ルールがあって、規範があって、倫理があって。
きっと聖女じゃないことを悲しんでいる。
皆、歯車のパーツのようにも感じられ――
いのちの為に人を虐げるのはよくあることだとマスターは言っていた。処刑もまた同様。
人の意識が介在した上で実行されることに違いはない。
聖女と呼ばれたアナスタシアがしたことは、間違いではないと想う。
だが心を痛めたのなら、きっとそれを『優しさ』と呼ぶのだろう。
やさしい人。
君が泣かないように僕は白い君を助けるために往くよ 。
「ありがとう!」
蛇神の詩により集中攻撃を受けていたアリアが、小物の掃討を援軍に任せ一歩引いた。
ハイエナは二人に、小物は援軍に任せ、ジル達は大型の強力な歯車兵に狙いを定め始めた。
「光ある未来を切り開くために!」
ユーリエは出来る可能な限りを成し遂げる決意を固めて、手のひらを掲げた。
「ちょっと数多いっすけど気張って行くっすよ!」
アリアを癒やしの術陣で包み込み、ジルがユーリエと手を打ち合わせる。
「負けられないもんね!」
アリアは歯車兵に不可視の刃を放ち、ユーリエと手を打ち合わせる。
「中々の無茶だけど。付き合うとするよ」
虚無の魔力を歯車兵に叩き付けたリウィルディアが、ユーリエと手を打ち合わせる。
「僕もこうすればいいのか」
小首を傾げたアスタが、ユーリエと手を打ち合わせる。
「踏ん張り所だ、気合を入れていこう!」
リウィルディアの声に一同は頷き。
「もう一度行きますね、こっちの水はあーまいよー♪ なんてね」
アリアへ殺到する歯車兵にユーリエは一瞬だけ瞳を閉じ、鋭く睨んだ。
千載一遇を逃さぬ刹那の精神統一。
放たれた神なる矢――ガーンデーヴァが雷光のように敵陣を焼き貫く。
目的はアナスタシア・コーパスリアクターを破壊せず、決着まで凌ぎきること。
彼女等が目指すのはその支援となる、歯車兵の『破械』なのだ。
破械が背を向けるのは大礼拝堂の最奥――
彼女等の円弧に守られるのは『聖女奪還』の面々だった。
あの日。喪った少女は、青年は、仲間達は二度の悲劇を赦さない。
決意に満ちたカイトは、しかしその凜々しい瞳の裏側に複雑な想いを抱えていた。
これは――妹(聖女)を取り戻すことが出来なかった罰であるのか。
聖女アナスタシアは救いたい。その気持ちは十分だ。
だがもし救えたならば、『なぜ妹は救えなかったのか』と、嘆いてしまうかもしれない。
それら全てに蓋をして、天義の命に従いロストレインの汚名を濯ぐ。
ただそれだけの機械のようになれたらば良かった。
僕は――カイトは、誰かの為の騎士だが。
僕達を――ロストレインを助けてくれる人は居るのか――――
黒い感情に蓋をしろ。
騎士として、聖女を救うために。
それ以外に、どうしろというんだ!
堕ちた聖女は、誰しもあの日を思い出さずにはいられない。
助けても『彼女』が帰ってくるわけじゃない。
「それでも私は!」
サクラが抜刀する。
「行こう」
カイトが剣を抜き放つ。
「どんどん減らしていくよ……!」
ムスティスラーフが放つ膨大なエメラルドの魔力に貫かれた歯車兵の群れが赤く溶け、焼き消える。
「絶対に! 今度こそ助けてみせるんだ!」
スティアは瞳を輝かせ、癒やしの術式を紡ぐ。
激闘の渦中、ライセルとラクリマはハイエナを猟犬のように追い立てる。
「おいおい、どっちがハイエナだってんだ、よ!」
「――お前の相手は二人かもしれないが、俺にちってのコマは二つじゃない!」
ラクリマの宣言。遂に仲間の被弾に崩れ落ちた足場に追い詰めた。
「報いを受けるっすよ!」
その奇跡さえ願わんばかりのジルの宣言と共に、『破械』の面々が猛攻を開始する。
「助かる……!」
「言いっこなしっすよ!」
ジルの術式がライセルの身を包み、ラクリマは安堵の溜息一つ。
「っざけんじゃねえぞ! 小娘共!」
歌声が響き、ハイエナはアリアに狙いを定めた。乗った。
「逃がさないよ!」
リウィルディアの放つ虚無の波動が、ハイエナの身を蝕んで行く。
「僕は――わかった、そうするんだな」
魔力を纏うアスタの連撃がハイエナの凶相を更に歪ませて。
「切り開きます!」
エネルギーの奔流が唸りを上げた。
ユーリエのガーンデーヴァは、きっとこれで打ち止めだ。
「ッチ」
青年の美貌、その眼前に迫るハイエナの炸裂弾を、だがライセルは身に浴びる。
「俺の事はいい! それよりも好機を逃すな!」
「貴方は――!」
「俺の血は十分だろDáinsleif!」
ライセルの剣が肩を突き。覚悟を受け取ったラクリマは賛美の生け贄と祈りの歌を紡ぐ。
赤の剣と蒼の剣がハイエナの身を穿ち――男は奈落へと墜ちて行く。
後は、コアに向かった者達が。上手くやってくれさえすれば――!
●Aagnus Martyr I
「アナスタシア様……」
「ヴァレーリヤにボリスラフ、それから――ああ、イレギュラーズか」
ボリスラフが戦慄き、アナスタシアが鼻を鳴らす。
「今なら見逃してやろう。裏切り者共。疾く去れ」
「うらぎっ!? そうは、そうは……それは……」
「しっかりしなさい、ボリスラフ!」
「救いましょう。ここで救えなければ、貴方一生後悔しますわよ」
「アナスタシアさん……あの時止められていれば……」
アレクシアが唇を噛む。思い出される過日の依頼。
悔やんでも時は戻らない。
御天道・タントは笑わない。
御天道・タントはその指を鳴らさない。
御天道・タントは、この日。ただ『責を負いに』来た。
あの時レルーシュカ(ヴァレーリヤ)の手を引いたこと。
アナスタシアから引き剥がしたこと、その結末の責を。
レルーシュカ、私の大切なひと。
貴女の未来が少しでも幸福になるように。
わたくしは全身、全霊をもって……戦います!
タントの浄潔な意思に導かれるように、イレギュラーズが散開する。
今できる精一杯をやるために。力を漲らせる。
黒き聖女への道を遮るのはスネグラーチカ。六人の側近だ。
「ナジェズダ、クラーヴジー、ヴァルラム。道をあけなさい。
リージヤ、ズラータ、エヴゲニー。そこを退きなさい」
見知った顔にヴァレーリヤが叱る。呼びかける。
「我等ハコノ身ヲ平和ニ捧ゲタ。貴様コソ、スネグラーチカヘ下レ!」
彼等もまた原罪の呼び声に、その狂気に翻弄されているのだ。
堕ちる前に、終わらせなければならない。
歯車がバチバチと火花を散らす。
誰が何のために作ったのだろう――
それを見ただけでも価値があるとゼフィラは想う。
だがゼフィラ不滅の指揮杖を握りしめ――調査は騒動を修めた後にしようと前を向く。
激突が始まった。
誰もが得物を握りしめる。
タントが、ゼフィラが、その力で仲間達を支えている。
「行きますよ――!」
炎が揺らめくように、シュラが紅蓮の大剣を振り上げる。
闘気が漲り、極大の威力を纏う未完の剣技――デストロイブレードが唸りを上げる。
吹き荒れる赤鋼の暴風にスネグラーチカの身体が跳ね飛び、砕けた歯車が飛散する。
メートヒェンはあの時。子供達を連れて退いた選択が間違いだったとは思わない。
だけど――アナスタシアを無理矢理にでも連れて帰れば、もしもの歴史が脳裏にこびりついて離れない。
それでもヴァレーリヤが諦めないならば、メートヒェンは構え――
「そんなやり方じゃ、誰も幸せになんて出来ないんだよ……っ!」
痛烈に罵倒する。二人が奇声を上げ飛びかかり、メートヒェンは二歩踏み込み、裏拳をたたき込んだ。
「全テ平ラニ。全テ平等ニ!」
「そんなものは、絶望だ!」
エッダの腕が唸りを上げる。
鋼の拳がスネグラーチカを突き上げる。
「喧しい家政婦が。私が相手をしよう」
立場も違う。信条も違う。一つ間違えば刃も交える。
だが自分は、私たちはここにいる、手を取り合っている。
貴女の、そしてこの愛する友の信念を、私は護る!
「――お覚悟なさいませ。」
エッダは、その絶望を踏み越える者だ。
魔種アナスタシア。
あれが司教様――ヴァレーリヤの大切な家族、か。
柔和なウィリアムの表情は、その声音は凍えて、しかし瞳は希望を失わない。
「どうにかここまでたどり着いたね……」
ウィリアムが癒やしの魔力を編み上げる。
良き戦いを、どうか君の願いが叶いますように――
咲耶の悪刀乱麻。紅牙流暗殺術。
不意打ちがスネグラーチカの一人、その身を駆け抜ける。
外道非道と罵られても、勝利をつかみ取る暗殺剣。
「お主は一つ罪を犯した。それは、己自身を許せなかった事。
今こそ堅く握った拳を解く時でござる。その凝り固まった慚愧の念、拙者等が全て祓ってしんぜよう!」
切り開いた道へ。
「行けぃ、ヴァレーリヤ殿! お主の想い、存分に彼女へぶつけられよ!」
「ええ! 前進せよ。恐れるなかれ。主は汝らを守り給わん!」
「主の御手は我が前にあり。煙は吹き払われ、蝋は炎の前に溶け落ちる……」
戦棍をアナスタシアが手のひらで止める。
爆炎が散り、辺りを赤々と照らしあげる。
「前進せよ。恐れるなかれ。主は汝らを守り給わん!」
アナスタシアの黒い手のひらがヴァレーリヤの胸に触れ――刹那。
吹き荒れる青い炎にヴァレーリヤが壁に背を打ち付ける。
「この程度、慣れたしごきですわよ、司教様!」
「その名で呼ぶな! 最早私は貴様の上官ではない!」
「何度でも呼びますわ! 司教様、もう止めて下さいまし!!」
いつも言っていたではありませんの。
誰もが幸福になれる道を探そうと。
やり直しましょう
もう一度、私達と一緒に
どうか手を取って下さいまし
――――私達……家族でしょう!
「く、ぁ、あ、ああ……や、め……ろ」
アナスタシアが両手で頭を抱え、ぐしゃぐしゃに髪をかき乱し――
●Aagnus Martyr II
仲間の繋いでくれた戦場に、リュカシスは立つ。
美しく燃えさかる果焔が爆風を吹き荒し、スネグラーチカの胸を打つ。
「グ、ガッ!」
歯車がひしゃげ、崩れ落ちる。
「司教様――!」
吹き飛んだヴァレーシアが歯を食いしばる。
満身創痍で立ち上がる。ただ一縷の奇跡を祈る。
「私だって絶対退かない! 諦めない!」
スネグラーチカの機械仕掛けの刃、唸りを上げて回転する剣をシャルレイスが受け止める。
人のタガを外した膂力。そのけたたましい音と共に火花が舞い散る。
「乗せるよ――」
貴女と共に戦ったのはたったの一度。
でも、同志と呼んでくれたのは貴女の方だよ
助けたい理由何てそれだけで十分
それに、友達が悲しむ姿なんて見たくないから
その為の『コインの上乗せ』なら幾らだってする!
命でもパンドラでも、何でも賭けてやる!
シャルレイスの壮絶な決意がコインを一枚積み上げる。
「聖女アナスタシア。……司教様」
リュカシスは語る。
「この戦いは、国の歪みは、貴女がたったお一人で背負われる事では、決してない」
「なに、を。今更……私、は……ッ!」
頭を抑え、アナスタシアが呻く。人ならざるその腕でイレギュラーズをなぎ払う。
「ボク達は知っています。貴女のなさった事、人々に寄り添い尽くされた事」
弱者の救済、希望の星よ、出来る、停まれる――まだやれますよ!
止まれ、停まれ、ギアバジリカ。
祖国を守るための力を、どうか。
リュカシスが願いのコインを一枚積み上げる。
あの日――もっと上手くやれればよかった。
マルクが歯を噛みしめる。赤い鉄の味がする。
紡ぎ続けた調律の魔術は、最早限界に近い。
あの時――あの時――後悔ばかりが積み上がる。
それでも、ヴァレーリヤが奇跡を望むのであれば――
「届かないかもしれない。戻れないかもしれない。それでもせめて、幸せな記憶で終われるように」
マルクがコインを一枚積み上げる。
この日どれだけ斬り、どれだけ斬られたか。
満身創痍のオリーブには最早思い出すことも出来ない。
或いは己には――荷が重い戦いなのかもしれない。
そのようには、おそらく誰も思わないが、彼自身は想う。
けれど。
「それでも自分は、後悔したくないのです」
オリーブが血塗れの長剣を握りしめる。
見知った人が居なくなってほしくない。その一心で。
仲間の命のために、オリーブはコインを積み上げる。
黄色く小さな花が咲く。
意思の波動。極小に圧縮された膨大な魔力に大気が爆ぜ、埃さえ紫電を纏う。
「仲間の、何より大事な友だちの想いを無駄になんてさせるものか!」
――フェニカラム・ヴァルガーレ。
妖花がスネグラーチカの胸を劈いた。
「ヴァレーリヤ君、願いに手を貸さない理由なんてないよ」
アレクシアが更にコインを積み上げる。
薄い、薄い。微かな光が。願いが。希望が。集って行く。
クロバは見てしまった。
妹が姉を想う様を――
「あんたが奪うのは勝ってだ、だがな――」
「私は、奪ってなどいない!!」
頭を抑え、金切り声をあげたアナスタシアが聖句――だったもの――を紡ぐ。
青い爆炎がイレギュラーズを劈いて――クロバは炎の中を駆け抜ける。
「そんな玩具手に入れて”妹”の笑顔をも奪おうってか?」
――ふざけるな。そんな事、許してたまるものか!!
二刀のガンエッジで十字を切る。
血の繋がりがなくとも、そこに想いが繋がれているのなら――
「本当の暴力を見せてやる。俺の助け方は誰よりも荒いぞ、この大馬鹿野郎!!!!」
吹き上がる爆炎と共にアナスタシアの身を斬り抜け――ブラスティア・ロンド。
「我等コソ平等、我等コソ公平!」
叫ぶスネグラーチカの一人を、アランは遂に斬り伏せる。
「『また』聖女かクソが」
アランが吐き捨てた。
――私は、この状況に命は惜しまない。
誰もロストレインを救えないもの。
「変なこと考えるんじゃねェぞメルト。あの野郎をぶっ殺す!!」
悲壮な決意を抱えるメルトリリスの意思を、闘いの場へ引き摺り出すようなアランの鼓舞。
だが――
「――嗚呼、黒い聖女。
ロストレインの不正義と同じね、また聖女が……」
こんな事のために、貴方は生きてきたんじゃないでしょうに。
「オイ、クソメルトォ! 相手が聖女だからって同情してんじゃねぇぞクソが」
「父が殺してしまった命たちが、許してくれることはないって姉さんも言ってた
貴方も積み重ねた犠牲に囚われているの?」
メルトリリスが一歩踏み出す。
「……頑張ったのね」
一人で、背負わなくていいの。
貴方の背負ったものを、私も背負うわ。
同じ聖女だもの。
「わたし、は、ひとりじゃない、の……?」
「貴方は一人じゃない。
寂しいのなら、私も一緒に逝くよ。
だから、もう手を汚すのはだめよ!」
「私も背負う? 一緒に逝くだァ!? 無責任で身勝手なこと言ってんじゃねェ!」
アランは責任を果たす。父親の責任を。
目の前のメルトリリスと、そして彼女の本来の父と姉を救えなかった責任を。
「でもこの聖女を救わないと、私は後悔する!」
「ンなの、保護者である俺が許さねェ!
だから今はあの反転しやがったクソ聖女をぶちのめすんだよ!
ついて来いメルトリリス!! これは『生きる』戦いだ!!」
●Почему люди молятся III
「行くよ……ッ!」
襲い来る歯車を、サクラは一刀で斬り伏せる。
堕ちた聖女――
天義のあの時を思い出さずにはいられない
アナスタシアさんを助けても…あの方が返ってくる訳じゃないけど
それでも私は!
歯車兵の鋼の身体が斬り刻まれ、奈落へと墜ちて行く。
あの時、魂を戻す事が出来たなら…
魔種になっていない身体が残っているなら…!
アナスタシアさん!
みんながあなたを助けるために頑張ってるんだよ!
どうか――どうか戻ってきて!
コーパスリアクターの激しい猛攻がイレギュラーズの身を苛み続けている。
唸りを上げる機械の鉄槌が、刃のような歯車が、ルカ達の身に無数の傷を穿っている。
「上等じゃねえか!」
それでも彼は声を上げ、その身を、心を、魂を奮い立たせて立ち向かう。
「ダチが助けに来てんだ! シャキっとしやがれ!」
その一撃がはついにアナスタシアの『身体』を機械から引き剥がし――
崩れ落ちるアナスタシアの身を、ムスティスラーフがそっと抱きしめる。
暖かな腕で、逞しい腕で。
けれど、その身体はあまりにも冷たいのだ。
「あ……ぁ……」
「諦めない、絶対に!」
それでもスティアはアナスタシアの胸に手をあてる。
呼吸は、心臓は、わからない。
歯車の音で聞こえやしない。
「あの時、魂を戻す事が出来たなら……
魔種になっていない身体が残っているなら……!」
それでもサクラは叶うかもわからない、僅か一縷の望みを抱いて。
それでもムスティスラーフは言葉を紡ぐ。
君は独りじゃないよ――問いかける。
しっかりと見て――父のように諭す。
待ってる人がちゃんといるよ。
むしろ迎えに来てくれてるよ。
頼まれたのだから。
絶対に連れ戻す。帰るべき場所は――僕らがつくるんだ。
奇跡が必要なら、何度だって起こしてやる。
ただそう願って――
●Анастасия
主よ、力なきは罪なのですか。
主よ、何故この子が吹雪に凍え、飢えて死なねばならなかったのですか。
私はこの子に一欠片のパンすら与えられなかった。
主よ、この子の死が無駄でなかったと仰るならば、どうかその証を
――『君に幸あれと、ただ願っていた』
至近の魔導弓から放たれた星の宿り、その輝きがアナスタシアを貫いた。
数多の流星、降る欠片、雷雲を這う、竜神よ。
天地悉く降り注げ 息絶えるまで、何度でも。
「わたしは、ひとりじゃない」
息を呑む。流れる血が、赤かった。
「みんないっしょ、に。白い、平和を――ッ!」
再び青い爆炎が吹き荒れる。
「はは、楽しくなってきた!」
満身創痍のヴァレーリヤの前に立つ。
「おにーさんの仕事だからね」
飲み込んだ生命の水。
奇跡の癒やしに、その身に刻まれた傷が瞬く間に消え去る。
飄々と言ってのける。死者を出さない。そのためなら喜んで身を捧げる覚悟があった。
誰もが自分の想いのために戦っているのだ。
ヴォルペはどんな無茶だって止める気はない。
「だから俺のことも止めないで」
笑ってみせた。
その身を不落の要塞として、ヴォルペがアナスタシアの前に立ち塞がる。
「どいて……あなた、は――あ、ぐ……邪魔だ!」
額を抑えよろめくアナスタシアは、突如跳ねるように拳をたたき込んだ。
だがそれでもヴォルペは膝を屈しない。
アランが、シュラが、エッダが。アナスタシアの身に怒濤の猛攻を仕掛ける。
身体を折り、ねじ曲げ、それでもアナスタシアは、歯車大聖堂は止まらない。
「神様、あの人を……助けて……」
ヴァレーリヤが膝を付く。目を閉じる。
まるで頭をたれるように、まるでその首を差し出すように。
アナスタシアの手刀が唸りを上げ――
「俺が死なせねえ!」
その人ならざる膂力をグレン――守護聖剣ノルンが受け止める。
自身の命を、奪って繋いできたちっぽけな命を。
だが酒の席、たとえそれが『俺ではない誰か』に向けられた言葉だったとしても。
見たならば。聞いたならば。『誰か』に「死なないで」などと願う者が居たならば。
命を賭ける時なのだと信じて。
一点張り。願うのは救済でもなんでもない。ただ『想いを届ける為』にグレンがコインを積み上げる。
ヴァレーリヤは。
過分な幸せなど、望んでいなかった。
ただ家族と笑って過ごすことが出来ればよかった。
二度と家族を喪う悲しみを味わいたくなかった。
なのに。なぜ。
その程度の事すら叶わない。
願うことすら、赦されないのか。
そのためなら。
命でも、魂でも。
何を引き換えても良かった。
命を賭して可能性の奇跡を願うヴァレーリヤは、イレギュラーズ達は。
手の内に現れた光は。
ヴァレーリヤ達が積み上げたコインは。その淡い希望は――
世界は。この無辜なる混沌は。
――誰の願いすらも聞き届けはしないかのように無慈悲に途切れ。
アナスタシアの身体がゆっくりと崩れ落ちる。
「ヴァリューシャ……」
「司教様、ナーシャ様。今連れていきますわ……私達の、帰る場所へ……だから」
だから――
魔種アナスタシアは、いまだ生命活動を停止していない。
ならばリアクターはどうか。
答えるには。
生命とはどう定義されるのかを問わねばならない。
仮に呼吸を、瞳孔の形を、心臓が動いていることを『生きている』と定義するならば。
エンバーミングを施し、胸の中心を押し込み続けるだけで、人は甦ったと言えるだろう。
たとえ現実に横たわるものが。
二度と考えず、二度と笑わず。
時間と共にただ朽ちて往くだけの空っぽな肉の塊であったとしても。
結論を述べるならば、アナスタシアの身体は『死んでいる』。
心臓を揺さぶり鼓動をさせても、血はめぐらない。
奇術を弄して肺と喉と唇を借りても話させても、生きてはいない。
不可逆は覆らない。
そんなことは分かっている。
スティアは、イレギュラーズ達は次々と知恵を絞り、最終的な結論を見いだした。
誰かが地に拳を打ち付けた。
ハロルドが目を閉じた。
ああ。たった今。誰も望まない。誰も喜ばない。
けれど『絶対にやらなければならないこと』が、出来てしまったのだ。
地響きが消えて行く。
ヴァレーリヤがアナスタシアを抱きしめ。
停止の衝撃に叩き付けられて、尚――
『人が生きる為に、人は命を奪います。
家畜の命を奪う事を罪と思わぬ人など多数いるでしょう?』
『ええ、けれど、シスターナーシャ? それは生きる為に必要な事でしょう。
私達は、全てに感謝をし、自身の糧として先へと進むのではありませんか』
――それは、神学校の頃の思い出だ。
アナスタシアの真剣な眼差しを今でも思い出せる。
『夜毎に夢に見る。ああ、どうして私はあの時……
後悔が私を縛り付けて離さない。雁字搦めの鎖で深き海に沈められたかのようだ』
『ええ、ええ、アナスタシア様。私も、私も同じだったのです。
愚かにも黄泉がえりや過去に戻ることができればと、そう願ってしまうのです』
――それは、教会で再開した頃の思い出だ。
アナスタシアの悲痛な眼差しを今でも思いだせる。
『ならば……此処は、共に行きましょう。ナーシャ様』
――そう言った事を、昨日のように覚えている。
誰かに触れられた気がして。
ヴァレーリヤが己が震える肩に手をあてた。
良く知った声が聞こえた気がして、彼女はゆっくりと顔をあげた。
――――ヴァレーリヤ!
その声は失血が見せた夢であろうか。
――――何をぼさっとしている!
儚く消えた奇跡のひとひらであろうか。
――――手を休めるな! 立ち上がって前を向け!
或いは――『強欲に堕ちた聖女』の残滓が見せた、終の幻想だったのか。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
決戦お疲れ様でした。
MVPは。理由は察して頂けるかと思います。
それではまた皆さんのご参加を願って。pipiでした。
この後、TOP<涙の王国>へ続きます。
GMコメント
pipiです。
悲劇を止め、未来を掴みましょう。
どうか思い残すことのないように……
●同時参加につきまして
決戦及びRAIDシナリオは他決戦・RAIDシナリオと同時に参加出来ません。(通常全体とは同時参加出来ます)
どちらか一つの参加となりますのでご注意下さい。
●成功条件
ギアバジリカを止めることです。
ゲーム的には以下。
魔種アナスタシアの討伐。
アナスタシア・コーパスリアクターの破壊。
●状況
鉄帝国の荒野を、巨大な移動要塞がどんどん進撃してきます。
正規軍の到着が遅れる中で、これをどうにかしなければなりません。
このシナリオでは『内部に突入』し、『敵を蹴散らし』て、『魔種アナスタシアを倒す』作戦です。
〇A:突入口
ショッケンの機甲師団に属する大部隊『エルガーヴォルフ』が居ます。
いずれも原罪の呼び声の影響を受けています。
ここを突破しなければ、『大礼拝堂』にはたどり着けません。
『大隊長クラインシュミット少佐』
エルガーヴォルフ全体の指揮官です。強いです。
銃とナイフを使った軍隊格闘術の他、周辺の味方能力を底上げする指揮能力を持ちます。
『少佐直属兵』×3
少佐の部下です。若手将校と、熟練の兵士に見えます。
若手将校3名はピストルとサーベル。
熟練の兵士はアサルトライフルとナイフで武装しています。
『第八鋼鉄猟兵隊』×6
甲冑に身を包み、各々が高度な判断を下す裁量権限を持つエリート部隊です。
ガトリングガンと巨大な手甲で戦います。
『第十一特殊機械化騎兵隊』×4
推進装置のついた甲冑を纏った、火力と耐久、機動に優れた主力部隊です。
アサルトライフルとナイフで武装しています。
『第十六蒸気空挺隊』×3
飛行戦闘を可能とする人員で固められています。
他部隊との連携を得意とする遊撃部隊です。
スナイパーライフル、長弓等、飛び道具で武装しています。
大変邪魔な動きをしてきます。
『第十七電子化魔導隊』×3
巨大なデバイスを抱え、長衣とマスクで身を覆った部隊です。
周囲を近接を得意とする魔道兵で固め、その他大多数の人員は一心不乱に長尺の儀式詠唱を続けています。
詠唱はおそらく強化付与の他、なんらかの儀式の精度を向上させるものです。
〇B:大礼拝堂
多数の歯車兵が存在します。
ここを突破しなければ、『コア』にはたどり着けません。
『ハイエナ』
凶相の商人です。
戦闘能力は高く、またずるがしこい人物です。
彼の討伐は依頼の成功条件には含まれません。
『歯車兵(クモ型)』×6
鉄線を吐き出し、攻撃の他、麻痺のBSを保有するメカです。
『歯車兵(サソリ型)』×6
ハサミで攻撃する他、猛毒の液体を射出するメカです。
『歯車兵(ムカデ型)』×3
攻撃力とタフネスに優れた巨大な合体メカです。
HPが減る毎に、分裂していきます。
一体につき最大12体まで分裂します。
合体中も範囲攻撃が有効です。
『ギア・ディーヴァ』×12
聖歌隊です。原罪の呼び声の影響を受けています。
神秘遠距離攻撃の他、回復も行います。
『磔の聖女』アナスタシア・コーパスリアクター
白アナスタシアの抜け殻。
ギアバジリカの起動装置となった存在です。
動きませんが、周囲の機械を制御して激しい物理攻撃を行ってきます。
〇C:コア
『魔種』アナスタシア
黒アナスタシア。冒頭でしゃべってたほうです。
・致命者に捧ぐ讃歌(A):神自付:防技、抵抗、EXFを跳ね上げます。
・至高き光栄は神に帰し(A):神至単、連
・太陽が燃える夜(A):神超貫万能、高威力、高命中
・死者の果実が実をつける前に(A):神至単、乱れ、崩れ、反動、必殺、AP吸収
・ブラックハンズ(P):???
・スネグラーチカ(P):???
『歯車近衛兵スネグラーチカ』×6
歯車兵の精鋭です。原罪の呼び声の影響を受けています。
おそらくクラースナヤ・ズヴェズダーの革命派だった者達です……。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●プレイング書式
【グループor同行者ID】
【A~C】
本文
上記の形式でお書きください。
例:
アルテナ・フォルテ(p3n000007)
A
はぐるまぐるぐる。
●味方
イレギュラーズと共に積極的に戦います。
特に指示しなくても、そこそこ上手いこと連携してくれます。
指示をしても構いません。そこそこ無茶でも聞いてくれる筈です。
A:『セイバーマギエル』エヴァンジェリーナ・エルセヴナ・エフシュコヴァ(p3n000124)
突入口を攻めます。
ステータスは満遍なく高め。若干のファンブルが玉に瑕。
格闘、ヴァルキリーレイヴ、リーガルブレイドを活性化しています。
・セイバーストーム(A):物近域、識、流血
A:鉄帝国軽騎兵エヴァンジェリーナ隊×12
突入口を攻めます。
サーベルによる切り込みを得意とする精強な部隊です。
B:『冒険者』アルテナ・フォルテ(p3n000007)
大礼拝堂を攻めます。
両面型前衛アタッカー。
Aスキルは格闘、飛翔斬、ディスピリオド、剣魔双撃、ジャミング、物質透過を活性化。
皆さんの仲間なので、皆さんに混ざって無難に行動します。
具体的な指示を与えても構いません。
絡んで頂いた程度にしか描写はされません。
B:『氷剣』ヴェガルド
大礼拝堂を攻めます。
屈強な北海の戦士で、スラムの地下闘士です。
至近単体攻撃、近距離列攻撃、中距離攻撃を持ちます。
保有BSは凍結、氷結、弱点、ショック
C:ボリスラフ
コアを攻めます。
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)さんの関係者。
鉄帝国軍人にしてクラースナヤ・ズヴェズダーの協力者。
アナスタシアに入れ込んでおり、事態に対して極めて強い後悔があります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
以上。がんばってみてください。
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