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未だ来ぬ『終焉』

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未だ来ぬ『終焉』

「おいおい、マジかよ……」
 空に近ければ感じる圧迫感は何より大きい。
「冗談にもなってねえぜ……?」
「こ、これは大変な事になりましたの……!」
 思わず茫洋と呟いたサンディ・カルタ(p3p000438)ノリア・ソーリア(p3p000062)が蒼褪めた顔を見せていた。
 空の戦いを展開していた彼等は誰よりも先に『異変』を察知していた。
 黒い太陽がその質量を爆増させたのだ。
 それだけばかりか――重く静かに動き出し、地上目掛けて降下を開始したのだ!
「あんなものが堕ちたら……」
「……最悪ですね。少なくとも下は――誰も生き残れない」
 アルテミア・フィルティス(p3p001981)に応じたシフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の言葉の言外には「バルナバス以外は」が含まれている。
「そんなこと……ッ……!」
 アルテミアは思わず唇を噛むが、状況は最悪だった。
 最善を尽くし、死力を振り絞った戦いとて、バルナバスを止めるには至らなかったという事だろう。
 戦いの中、憎悪を怒りを喰らい続けた『権能』は凍れる大地の全てを溶かす審判そのものだ。
 それは昏き七罪の意思のままに生命を貪り喰らい、大地を焼き尽くす決定だった。
 それを阻む人智は無く、見上げた誰もが終わりを確信する以外の術を持たなかった筈だった――

 ――だが。

 重苦しいムードを振り払ったのは拡声器でがなり立てた『提督(バイル)』の声だった。

 ――特異運命座標、聞こえるか? この艦はもう『無理』じゃ!
   これまで良く戦ってくれた事に心より感謝する。
   これより当艦はあのデカブツめに質量を武器とした吶喊攻撃を敢行する!
   お主等は急ぎ離れ、避難するも――クソ皇帝をしばき上げるも己の為したい事を為すがいい!

「体当たりで止める気……?」
「……みたい、だね」
 アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)の呟きにヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が頷いた。
 成る程、超巨体のグラーフ・アイゼンブルートは質量兵器である。
 その上、バルナバスJr他、多数の亜魔種の猛攻を受けてきた船体は最早死に体に近い状況だ。

 ――総員、聞いたな?
   わしは艦と運命を共にする! 貴様等は――

 バイルの『最期の命令』に誰もが息を呑む。

 ――退避しろ、等と言う訳が無かろうが!
   わし一人でこんなもん動かせるか!? 貴様等も全員艦と運命を共にせよ!

 ――宰相閣下、最高!

 ――その御命令を待ってました!

 ――任せて下さい。ブチ当てて見せますからね!!!

 全会一致、『最高の命令』にブリッジからは拍手喝采が伝わってきた。
「心の底から鉄帝国じゃねーか……」
「……すっごい男の子な結論なのよねぇ」
 アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)が呟く一方、ガイアドニス(p3p010327)は思わず納得せざるを得なかった。
 頭鉄帝、それは時に最高の誉め言葉! 彼等は未だこの戦いを諦めてはいないらしい!

●終焉の時 II
「おお……勝ったぞ!」
 バトゥはその輝きに歓喜し、ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は「ジーザス!」とばかりに天を仰いだ。
「困りましたね」
「困るで済めばいいんですけど……!」
 只野・黒子(p3p008597)の言葉に長月・イナリ(p3p008096)が思わず声を上げ、
「さて、どうする詰みか?」
「Nyahahahaha!!!」
「馬鹿野郎――」
「――試合はここからっスよ!」
 試すようにそう言ったカイト(p3p007128)の言葉をグドルフ・ボイデル(p3p000694)日向 葵(p3p000366)が笑い飛ばした。
 最悪の状況、間近に迫る終焉に向かうのは人だけでは無かった。
 敵にこれ程までに理不尽な権能があると言うのなら、可能性の獣が積み重ねた時は奇跡めいた運命を紡ぐ事もあるだろう。
「これは……」
 思わず息を呑んだリースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)はその輝きに目を奪われていた。
「……こんな事が」
「あったのね……」
 ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)レイリー=シュタイン(p3p007270)また同様だった。
 各戦場で活躍を見せるイレギュラーズの内、『フローズドヴィトニル』の欠片を有する彼等はこの瞬間、文字通りの奇跡を目の当たりにする事になる。

 ――コオオオオオオオオオ――

 鳴り響くのは絶対の凍気を司る遠吠え。
 しかしながらそれを発したのは氷の悪狼……ではなく随分と可愛らしい『氷の子犬』のようなものだった。
 エリス・マスカレイドが制御する魔狼(フローズドヴィトニル)はこの分水嶺で権能にも近しいその異能の一角だけを最悪の事態に向かわせる事に成功したのだ。吹き付けた吹雪が落下してくる太陽を押さえつける。僅かにそれが遅くなり、抵抗は時間を産み出した。
 だが、止まっては、いない――

 ――何じゃ、そろそろ儂の出番かの。
   言うとくが長くは持たぬぞ。兄ちゃん、姉ちゃん、はよ何とかせえ。

「……あら、責任重大になったわね?」
 手にした『槍』を一撫でしたゼファー(p3p007625)が笑った。
 戦場全体に響いたその声は戦場ならぬラド・バウのど真ん中でこの時を予期していたかのような大精霊(ミシュコアトル)のものであった。
 バラミタ鉱山の地下からやって来た『怠け者』は炎の結界を巻き、氷狼の食い止めんとする黒い太陽に二重の守りを展開したのである!
 ジリジリと進む黒い太陽を阻まんとするのはバイルと同じように人も同じであった。
 可能性の獣、特異運命座標のみに任せるでは余りに鉄帝国流ではない。
「出力100% 臨界点突破 出力120%、140、160、200! ……250!」
 融解が始まりました! 砲身崩壊まであと7秒!」
 鉄帝国の切り札たる『新時代』の内部は蜂の巣を突いたような大騒ぎであった。
「287%、限界だ。撃てーーーっ!」
 彼等の砲撃先は黒い太陽の中心だ。
 不可能であるかではない。為すか為さぬか。
 少しでもダメージを与え、その威力を軽減する――守りに対しての援護を加える。
「ダメージの算出を急げ!」
「――およそ、4%です……!
 太陽の膨張……依然として止まりません!?」
「次弾装填!」
「ですから、もう無理です。ぶっ壊れます! いやもうぶっ壊れてますってば!?」
「いいから、撃て――ッ!」
 一致した想いが『焼き切れるまで』の限界稼働を求めている!

●終焉の時 III
「……本当にテメェ等諦めが悪いんだな?」
 目を丸くしたバルナバスは思わず彼らしくも無い苦笑を見せていた。
 動き始めた黒い太陽を死力を尽くした全ての抵抗が辛うじて食い止めている。
 即座に思われた破滅の時は、もう幾分かばかりの猶予をこの戦いに与えていた。
「言っておいてやるが――時間稼ぎにしかならねぇぞ。
 俺は『権能』は不得手だが、ぶっ壊す威力だけは誰にも負けねえ自負がある。
 どれだけ邪魔をした所で『黒い太陽(ブラックサン)』は止まらねえ。
 原罪(イノリ)でも、ルストの野郎でも無理だ。せめて神代種(ガラクシアス)でも持って来ない限り絶対に、な」
 バルナバスは断言するも、その声色は先程のような軽侮が薄い。
「テメェ等に敬意を表してやる――」
 赤いオーラの量を増したバルナバスが姿を変える。
 黒い髪を逆立てて、猛然たる戦闘の為の形態を取っている。
 それは羽虫を潰すかのようだった先程とはまるで違う、競い合う好敵手を見つけた喜びにさえ満ちていた。
「――さあ、時間切れまでやり合おうぜ。
 安心しろよ、特異運命座標。テメェ等は俺を殺せる。
 だが、俺はその百倍はテメェ等を殺しやすい――分かって、とっとと。
 何度でも、全力全開でかかってこい!」


 All You Need Is Power(鉄帝国のテーマ) 作曲:町田カンスケ


 バルナバス・スティージレッドとの最終決戦が始まりました!
 ※<鉄と血と>の決戦シナリオで戦勝報告が挙がっています!
 『フローズヴィトニル』の封印を開始するようです。


 王城リッテラムの戦況が変化しました!
 最後の切り札『人民軍』が発動しました。グロース将軍との戦いは最終フェーズへと突入します!
 独立島アーカーシュより、勝利の報が届いています!


 イレギュラーズの手に入れている切り札が大いなる力を纏っています!
 スチールグラード帝都決戦が始まりました!!
 ※領地RAIDイベント『アグニの息吹』が始まりました!!
 ※帝政派、ザーバ派は連合軍を結成している為、勢力アイテムが『帝国軍徽章』へと変更されました!


 ※ラサでは『月の王国』への作戦行動が遂行されています!

鉄帝動乱編派閥ギルド

これまでの鉄帝編ラサ(紅血晶)編シビュラの託宣(天義編)

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