PandoraPartyProject

PandoraPartyProject

人と、機械と

 レリッカ村の花畑で、二対の双子のようなゴーレムが、手にしたじょうろで水やりをやっている。傍らにいるのはセララ(p3p000273)ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)で、特にはハイデマリーの傍には、他に二体のゴーレムもいた。
 双子のゴーレムの名前をセララガーデン・ゴーレムとハイデマリーガーデン・ゴーレム。じょうろを持って居ることからもわかる様に、園芸、或いは緑化保護用に作られたもののようだ。
「凄いね! こんなに大きな花畑になったんだ!」
 セララが、二体のガーデンゴーレムの仕事に関心の声を寄せる。
「みごとでありますね。もう、二人もあの子を見習うでありますよ。それでは、軍で立派にやっていけないでありますよ」
 ハイデマリーの傍にたたずむ二機のゴーレムは、マルクトアインスとアレフゼロ。前者はアーカーシュ探索事業初の、第一号再生ゴーレムであり、アレフゼロは軍により修復されたものであったが、どうにも名付け親であるハイデマリーに良くなついており、当人を守護するつもりなのか、ハイデマリーの傍を離れようとしていていない。
 アーカーシュの調査事業も順調に進み、ゴーレムの再生もかなりの数に上っていた。ゴーレムの再生・修復を担当している『EAMD』のメンバーは、日々研究と再生作業に追われ、てんやわんやの大忙しのようだ。それでも、毎日楽しいらしく、所長のガスパー・オークソンなどは「おかげで十年は若返った」などと言っているらしいが。
「二人とも、休まないと、壊れてしまうわ」
「そうよあまり無理をしてはいけないわ」
 オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)アルチェロ=ナタリー=バレーヌ(p3p001584)が声をかけるのは、オデットの命名したゴーレム・アニマートと、アルチェロが命名したNox sidereumだ。二体は大きな麦の入った袋を抱えて、朝からずっと、農作業の手伝いをしていた。水晶のようなレンズが、頷くように明滅した。ゴーレム・アニマートは倉庫に麦の入った袋を置いてから、オデットの傍に侍るように座る。Nox sidereumもまたアルチェロの前で嬉しそうに顔のランプを明滅させた。
 再生されたゴーレム達は、おおむね労働力として利用されていた。恐らく、元々このアーカーシュの大地で、そう言った労働力として利用されていたのだろう。修復の際に、思考ユニット『造花回路』を弄るまでもなく、基本機能として、様々な労働プログラムが残存していた。
 例えば、風花 雪莉(p3p010449)が命名した とみかさん は、ここ、アーカーシュに存在する室内プールのような施設の管理者だったようで、現在も再稼働した室内プールの管理人として活躍している。
「とみかさん、いつもありがとうございます」
 雪莉がそういうのへ、とみかさんは当然のことだ、とでも言いたげに水晶のような瞳を明滅させた。近くには、ソーダセレストとアクセル・ソート・エクシル(p3p000649)の姿もある。ソーダセレストは、炭酸水製造工場で作業をしていた個体らしく、現在もその能力を生かして、プールで炭酸水を生産、レジャー客に配って歩いているようだ。同じくアクセルに命名されたメンテナンスアームズは、そんな仲間のゴーレム達を、名前通りにメンテナンスする能力を備えていて、疲れた仲間(ゴーレム)達に、メンテナンスと言う名の癒しを与えている。
「ソーダセレストとメンテナンスアームズのおかげで、楽しい休暇が過ごせるよ。
 でも、働かせてばかりなのは心苦しいから……。
 たまには休んで、一緒に遊ぼう!」
 アクセルの言葉は、ソーダセレストとメンテナンスアームズは嬉しそうに瞳を光らせる。
 イレギュラーズ達にとって、ゴーレムは労働力であり、同時に友であり相棒であった。室内プールの椅子の上に寝そべって炭酸水を楽しむキドー(p3p000244)の隣には、ニューボーンとネバーモア座って同じ景色を眺めていたし、プールで泳ぐ朱華(p3p010458)を追って、『R・F・V』(レッド・フレイム・ヴォルケイノ)と朱華丸DXはバシャバシャと波をたてながら、プールの中を走り回っている。プールサイドでマッスルなポーズをきめるクロスクランチは、それを見て笑っているカイト(p3p007128)の姿に喜びを感じるようにまたポーズをとったし、ジェイル・ブレイカーは炎 練倒(p3p010353)と共に、チェス風のボードゲームを楽しんでいる様だ。
 視点を帝国軍橋頭堡に映してみれば、スーパーゴーレム護る君1号が、Я・E・D(p3p009532)と共に、基地警備部隊と打ち合わせをしているようだった。奥の武器庫では、ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)が、ウィッシュステラにあれこれ武器をあてがってみせている。武器庫にはヒンメル・ゴーレム<アイン><ツヴァイ>二対のゴーレムもおり、ジュリエット、そしてレイリー=シュタイン(p3p007270)と共に過ごすことを、喜んでいるようにも見えた。
 研究エリアでは黎明院・ゼフィラ(p3p002101)が他の研究者とともに、ゴーレムのマイルストーンの様子をチェックしていた。百合草 瑠々(p3p010340)の命名した 神か悪魔か も研究エリアにおり、研究者による内部情報のチェックを、瑠々はあくびを噛み殺しながら見学している。そんな主の姿を認めた 神か悪魔か の瞳が、返事をするように明滅すしていたので、瑠々はひらひらと手を振った。
「おどろいたな。鉄帝の設備も直せるんだな」
 フローライトアミーカが、橋頭堡の設備の修理を買って出たことに、イズマ・トーティス(p3p009471)は驚いていた。順応性や学習能力が高いのだろう。アーカーシュの色々な場所で、ゴーレムとイレギュラーズ、或いは鉄帝軍人との、友好的な関係性を見ることができた。ゴーレムは、まるで愛情か友情を感じているかのように振る舞い、主や命名者に懐いている。さながら心でもあるかのように、それは感じられていた。
 視点をレリッカ村に戻そう。丘の上、風に吹かれてぼんやりと空を見上げるサイズ(p3p000319)と共に、百里の人形は空を見上げる。ひゅう、と風が吹くと、サイズに風が当たらないように、百里の人形はさりげなく体の位置を動かした。
「いけー!『必殺! グレート超( ‘ᾥ’ )人リコリス号』ー!」
 声の方を見てみれば、リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)を背負った 必殺! グレート超( ‘ᾥ’ )人リコリス号 が、ドタバタと草原をかけていく。ライ・ガネット(p3p008854)も、 もふもふ宝玉丸! に抱きかかえられながら、アーカーシュの散歩を満喫している様だ。ステラロッサとスターゲイザー、ルビー・アールオース(p3p009378)リック・ウィッド(p3p007033)に名付けられた二体のゴーレムも、主と共に空を観測するように見上げている。展望台にいたステラロッサ、そして星を見るものの名をつけられたスターゲイザー。どちらもその性質に、空を見上げる何かがあったのだろうか。ゴーレムは黙して語らないが、なにか暖かなものは、名付け親である二人にも感じられていた。
 草刈りをする、夕焼けの守護者アメテュストの紫色のボディが、夕日を受けて優しく輝いた。
「おっと、そろそろ夕方か」
 エーミール・アーベントロート(p3p009344)がそういうのへ、夕焼けの守護者アメテュストが頷くように瞳を明滅させる。
「そろそろもどろうか? 月蒼翼」
 ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)の言葉に、月蒼翼が瞳を明滅させる。
「すごいね、アクスツー。友達がいっぱいだ」
 リオーレ(p3p007577)が、傍らに立つアクス・ツーへと言った。アクス・ツーは、厳密にはイレギュラーズの手によって再生修復された個体ではないのだが、イレギュラーズと共に歩み始めたゴーレムとしては、間違いなく第一号の存在であった。
「こんなに仲間ができるなんて……もう寂しくないよね、アクス・ツー」
 リオーレの言葉に、アクス・ツーは頷くように、瞳を明滅させた。リオーレとアクス・ツーのように、人とゴーレムは友に助け合い、遊び、生きている。心地よい感覚を覚えるほどに、それは理想的な光景だった。例えば、エーレン・キリエ(p3p009844)は、『人と人でないものが助け合って暮らしていく未来』を願って、自身の発見したゴーレムにローレンスと言う名をつけた。エーレンとローレンスも、その光景の一つであるのだ。それはどんなにかすばらしい事だろう。
「やーい! 貴女のゴーレム『スーパーたぬきち号DX』ーーーーーーーーッ!!!」
「ヴァリュゥゥゥゥゥシャァァァァァァ!!!!」
 酒樽くん1号に乗っかったヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)を、スーパーたぬきち号DXに乗った仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が追っかけていく。レリッカではよく見る光景だが、見るたびにみんな笑っていた。
「アクス・ツー。ボクたちも帰ろうか」
 リオーレの言葉に、アクス・ツーが頷いた。
 イレギュラーズ達がつないだ絆は、魂無き存在であるゴーレムに、心を生み出させたようにも思えた。
 そしてその絆は、今日も、明日も、明後日も……ずっとずっと、変わらない、はずだった。

 ※浮遊島アーカーシュで発見されたゴーレムの修復が、全機完了しました。
 ※ゴーレム達はイレギュラーズに良く懐いています。

 ※アルティオ=エルムでは『祝宴』が行われます。

これまでの覇竜編深緑編シレンツィオ編

トピックス

PAGETOPPAGEBOTTOM