PandoraPartyProject

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廻る糸車

 からからから――
 運命は絡み合う。それは物語の始まりに過ぎず、まじないの一種であったのだろう。
 嘗ての時代に『冬の王』が妖精郷を冬に閉ざしたのも。嘗ての時代にそれを封ずる為に勇者PTが決死の力を尽くしたのも。
 永き時を経て、その封印が解かれたのも。
 全てはその地に生きた人々が紡いできた生命の軌跡(いと)に過ぎず、其れ等を織る運命(いとぐるま)は止まることはない。
 妖精女王ファレノプシスは妖精郷を守る為に『妖精の門』を封鎖した。
 だが、多少の回り道をしてでもイレギュラーズが森へ向かう事を赦したのだ。
 口では『危害を加えんとする者を排除して欲しい』と表向きの理由を口にしたファレノプシスは彼らが望むのならば恩返しとして道を与えたいと考えたのだ。
 イレギュラーズと共に活動する『花の妖精』ストレリチア(p3n000129)に言わせれば「女王様はみんなを危険な目に遭わせたくなくって渋っていたの!」との事だ。
 魔種との取引――いや、一方的な申し出と言えるかも知れない。それは大迷宮ヘイムダリオンに危険が潜んでいるとも忠告していた。
「それでも皆さんは征くのでしょう?」
「女王様は優しいの! けど、それよりもーーっと優しい人たちはみんなを助けに行くらしいの!」
 本来ならば妖精は大迷宮ヘイムダリオンへ進むことは禁じられていた。
 だが、ファレノプシスはストレリチアが飛び出してゆく事を止めなかった。
 この地より動けぬ自分の代わりに、彼女には見てきて欲しい。勇者のように凱旋する『英雄』達の姿を。

 大迷宮ヘイムダリオン――
 その内部に存在していたのは巨大な氷の塔であった
 氷の兵や獣、乙女達。硝子細工のように精巧な造形をしたそれらはイレギュラーズを待ち受けている。
 氷のフロアが存在したかと思えば、片や燃え盛る村が広がっていた。
 対照的にも程があるダンジョンの風景。立ち入る度に変化するフィールドは時には再現性東京の如き、不思議な空間をも作り出した。
 その地に訪れたイレギュラーズは例外なく自身が学生だと感じることだろう。
『Vanity』ラビ(p3n000027)はイレギュラーズを誘う時に言った――不思議な場所に行くことになります、と。

「正に変幻自在。入り込む者に対しての容赦ない仕打ちとしか思えない存在だね、ヘイムダリオン」
「そうでなくては攻略方法が編み出されて妖精郷はさっさと攻略されちゃうわ?」
 揶揄うようにそう言ったのはイルス・フォル・リエーネと『灰薔薇の司教』フランツェル・ロア・ヘクセンハウス (p3n000115)であった。
 彼女達がヘイムダリオンを越え、向かわんとするのはフランツェルの居所でもある大樹ファルカウへの祈りの場、『アンテローゼ大聖堂』である。
 大迷宮ヘイムダリオンから大樹ファルカウの麓に存在するアンテローゼ大聖堂を目指すのは事態の大きな進展だ。
 ファルカウへと程近い場所に拠点を構えることで攻略をより優位に運びたい。
 森を包み込む奇妙な『まじない』がイレギュラーズの行動をも阻害する。ならば、直ぐにでも撤退可能な『ヘイムダリオン出入り口』付近のアンテローゼ大聖堂を攻略することこそが第一歩。
 アンテローゼ大聖堂は現時点でも魔種や『何らかの敵勢対象』が存在していた。
 イレギュラーズにとっては『R.O.O 翡翠フィールド』で見た大樹の嘆きと呼ばれた存在、その上位。

 ――我らはOrdo(オルド)。我らは秩序を保つ者。我らは敵を退ける者。
   大樹の嘆きを知れ――貴様ら如き羽虫など、この地には要らぬのだ。

 オルド種と称す術士は酷く憤り、イレギュラーズを撃退する事を目的に掲げているようだ。
 深緑の森では禁忌とされる炎であれど、冬の王と同じくして伝説とされた存在であった『炎の精霊』の敵対さえも見られる。
「一体、どうして……」
 大樹の嘆きは『森を守る為の防衛機構』ではなかったのか――
 それらは何らかの影響を受けているのだろう。『迷宮森林警備隊長』ルドラ・ヘス(p3n000085)の困惑は滲み、妖精女王が示唆した巨大なる存在が背後で蠢いている気配さえさせる。
「――――……」
 言葉にならぬ儘ならぬ想いを吐き出すようにして悪魔の髑髏を摸したかのような凶悪なヘルムの黒き骸騎士はアンテローゼ大聖堂の前に佇んでいる。
 イレギュラーズの襲来を予感しての事だろうか。
「あなたは、なに? こわい? がんばる? がんばるって、なに?」
 ふと、イレギュラーズにかけられたのは柔らかな少女の声音であった。無垢なる少女のかたちをした精霊は首をこてりと傾げて言う。
「こわい、ってなに? たくさん、あふれてる。
 ねむい、ってなに? たくさん、あふれてる。
 どうして……あなた、みんなをたおしたい、ですか……?」
 首を傾げた少女はふと、イレギュラーズを見詰めてからぱちりと瞬いた。
「みんな……あなた、ここ、いなくなってほしい。……いなくなる、ってなに?」
 彼女は思い出す。自身に語りかけた美しい少女の言葉を。其れに応じた眠たげな黒猫を。

 ――どうやら、あの子はこの森が茨で閉ざされて永遠に眠っていたいと考えているそうですわぁ。ふふ、如何にも怠惰でしょう?
 あの人だって、それに手を貸すと決めたんですもの。故郷の可愛い子達に手出しするのを嫌がって。
 だから、少しだけ悪戯をして差し上げましょう。オニーサマだって派手な方が屹度お好きですもの。ねえ?

 ――面倒くさいにゃあ……。大聖堂を皆が護ればいいにゃ。
 そうすればずうっと皆で眠っていられるにゃ。ふああ……。

 思い出してから、精霊はその身に感じた『感情』に反応した。
 それは温厚なる深き森には似合わぬ苛烈なる怒りと嘆き。

 大樹の嘆きは、この森の守護者はイレギュラーズを歓迎しない。
 踏み入る者よ、遍く命よ。この森は、我らの物だ。疾くと去ね――

 ※深緑、アンテローゼ大聖堂を目指す<spinning wheel>が始まりました――!

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