PandoraPartyProject

ギルドスレッド

憲兵団『月影』

【RP】護り方を探してる【アレクシアさん】

幻想の端っこにある古ぼけた廃酒場。
特に何かがあるわけではないが、入り口に掛けられた民族風の飾りが風に揺れてしゃらしゃらと音を立てた。

カウンターで物思いにふけっていた顔はすぐに切り替えられて。
「いらっしゃい。なんもないとこで悪いね」
そのまま歓迎するよと淡く微笑んだ。

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「お邪魔しまーす」
入り口をくぐってから中を見回し、かけられた声に笑顔で応える
「あっ、シキ君!良かった、場所はあってたみたいだね!おまたせしちゃったかな?」
「やぁ、よく来たね。わかりにくいところで悪いね、迷わなかったかい?」

全然待ってないよと微笑んで、椅子をどうぞと促した。
その間にも手元ではお茶を注いでカウンターに置く。
客人が全然来ないわけではないのか、なんとなく慣れた手つきではあるようだ。

「いやぁ、わざわざ足を運んでもらってありがとうね。街中のカフェとかでもよかったんだけど…」

と、そこですいっと目を逸らす。どうやら話の内容的に話しやすい場所がここだったらしい。
すぐに視線をアレクシアに戻すと、ふわりと柔らかく微笑んだ。

「せっかく来てくれたんだ。話ももちろん聞いてもらいたいけれど、もてなさないとね。クッキー食べる?」
「大丈夫、ほんとにこっちで合ってるのかな?とは思ったけれどね!」

持ってきた包みをカウンターに置き、促されるまま椅子に座る。

「ううん、気にしないで、シキ君の話しやすい場所で話すのが一番だと思うから」

ここに来るのもちょっとした冒険みたいで楽しかったしね、と少し物珍しげにぐるりと室内を見回して微笑みながら付け足す。

「ふふ、ありがとう。それじゃあ折角だからいただこうかな!
 それと、私もお土産にケーキを買ってきたんだ。
 何かリラックスできるものがあったほうが、落ち着いてお話できるかなと思ってね」

言って、先程カウンターに置いた包みを解いてケーキが2つ入った箱を取り出して開いてみせる。

「シキ君の好みがわからなかったから、お口に合うかどうかがわからないけど……甘いものは大丈夫だったかな?」
「ふふ、それはすまないね。不安にさせてしまっただろう
ここは私がこの世界に来て寝床を探しているときに見つけてね
たまに客人は訪れるけれど、静かで森に近いし、気に入っているよ」

そういってアレクシアにつられて店内を見渡す。
寂れてはいるものの、ソファなどはふかふかのままだし
カウンター周りは掃除してあるのか小綺麗だ。

「あぁ、どうぞ召し上がれ。
……!ケーキ!頂いていいのかい?」

甘いものが好きらしく、きらきらと瞳が輝く。
宝石が光を反射するように瞬くその瞳はアクアマリンだ。
はっ、と表情を元の微笑みに戻すと、いそいそと自分の分もお茶を用意。追加で皿を出してきてカウンターに並べた。

「…こほん。その、嬉しいな。ありがとう!
甘いものはなんでも好きだよぉ」

そういってはまたへにゃりと表情が崩れる。単純。
カウンターの上にティータイムの用意をすれば、話の準備は整った、だろうか。
「ふふ、不安というより、少し冒険したみたいな気分で楽しかったかな!
 なるほどね、そういう経緯でここにいたんだ。確かに静かで落ち着くにはいい場所だなって思うよ。
 っと、ケーキは大丈夫そうだね!よかったよかった!」

 輝く瞳と、添えられた言葉を聞いて、嬉しそうに笑顔を浮かべる。
 並べられたお皿にそれぞれ季節のフルーツをたっぷり使ったケーキを並べれば、準備は万端だ。

「口に合わなければ私が2つとも食べちゃおうかと思ったけどその心配はなさそうだね」

 冗談めかしたように、さらに笑ってから改めて席につく。
 それから、準備が整ったティーセットを見て一つ頷き、隣の少女に話を促す。

「さてさて、それじゃあそろそろお話を聞いても大丈夫かな?
 あっ、あんまり肩に力を入れなくてもいいからね!
 友達とお茶会でもするくらいの気持ちで!」
 
 大事な話だけど、まずは自然に話せるのが大事だと思うがゆえに。
 せっかくのケーキやお茶の味がわからなくなってももったいないしね、と笑いながら付け足した。
「おや、それならよかった。
そうそう。森に近いのは何かと都合がいいしね」

そういいながらも、あいかわらず季節のフルーツが載ったケーキに瞳を輝かせていた。
となりのアレクシアの言葉をきけばいたずらっぽく笑って。

「ふふ。私も甘いものに関してはいっぱい食べる方だけれど、君も結構食べるみたいだね
こんど、気に入っているケーキ屋さんを紹介するよ」

さて、カウンター越しじゃ話も聞きにくかろうと端の方を回ってアレクシアの隣の空き椅子に移動する。
友達とお茶会をするくらいの気持ちで、という彼女にぱちぱちと瞳を瞬かせて…へにゃ、と嬉しそうにほおを緩めた。
緊張はないけれど、迷いはある。自分の気持ちを言葉にするのはそんなに得意じゃないから。
だからこそ、その気遣いが嬉しいんだ。

「えへへ、ありがとうアレクシア。そうだなぁ。何から話そうかな」

そういってお茶をひとくち。
なにから言えば伝わるだろうかと目を閉じ少し思案して…まずは正直に話してみることにする。

「私ね、ウォーカーなんだけど。混沌に来るまではあんまり明るい職業じゃなかったこともあって
誰かを守りたいとか、思わなかったんだ」

それは、自分ひとりで生きてきた故だったかもしれないが。
ともあれ「守る」という言葉を捨てた生き方だったのは本当だ。

「でも……混沌に来て私は色んな人に会った。
優しい人、強い人、まっすぐな人。…そして、こんな私を守ろうとする人」

最初は守らなくたっていいのにって思ってたんだよ、と困ったようにアレクシアに笑ってみせる。
でも、いつからだろう。守ってもらえることが嬉しくて嬉しくて、悔しくなったのは。

「いつからかね、守り方を知らない私自身が悔しくて悔しくて……。
私もその人を守れるようになりたいって思ったの。
その人だけじゃなくて、守りたいと思った人みんなを。今度は私がみんなを守りたいんだ」
そこまで行ってから息をつく。
いきなりこんなこと話しちゃってごめんね、と微笑んだ。

「でもそうは思っても、今まで知らなかったことだからどうすればいいのかわからなくて……
こんなんじゃ、きっとその守りたい相手にも呆れられるだけだし。
この前の依頼でアレクシアは守ることに対して強い気持ちがあるように思ったし、お話聞いてみたいなって」

よかったらね、と遠慮がちに呟いて。
それから「いただきます」、と丁寧に手を合わせてからケーキを一口。
おいしい!と頬に手を当てて瞳を輝かせた。

「ね、アレクシアはさ。こう、どうやって守り方を学んだのか、っていうか…
どうして守りたいなって思うようになったのかな」

良かったら聞いてみたいな、とまた微笑んだ。
隣の少女の語る話に静かに耳を傾ける。
まだ自分は、彼女のことを多くは知らない。それでも、語る言葉からその想いが伝わってくるようだった。

「話してくれてありがとう。ごめんねだなんてとんでもない。
 シキ君のことが少しでも知れて嬉しいよ」

と、微笑み返してから、それで、私のことだったよねと続ける。
どこから話すべきか、とお茶を一口飲んで考えを整理し、それから言葉を紡ぐ。

「少し長くなるかもしれないけど、ごめんね」

自分のことを話すなら、昔の話は避けては通れない。
少し迂遠になるかもしれないけれど、とあらかじめ断っておく。

「私にはね……あこがれの人がいるんだ」

今はどこにいるのかわからないのだけれど、と付け足して話を続ける。

「私は昔、身体がすっごく弱くてね。もうずっと家に籠もりきりで暮らしていたんだ。
 外の世界を知る手段はお父さんやお母さんのお話と、あとは本。
 その人……『兄さん』は、ある日、そんな生活をしていた私のところにやってきたんだ」

あ、今は身体は全然平気だから心配しないでね、と笑いながら。

「『兄さん』は……あ、私がそう呼んでるだけで、血の繋がりはないんだけれど。
 ともあれ、ベッドから動けない私に、色んな話を聞かせてくれたんだ。
 外の素敵な景色のこと、胸躍るような冒険譚、人助けの話、本当に色んな話を。」

少し懐かしむように言葉を重ねていく。
どれも大切な思い出で、かといって一つ一つ語っていては時間がいくらあっても足りない。

「そんな話を聞いてるうちに、私もいつかそんな風に世界を冒険してみたい。
 色んな人を助けてあげられる人になりたい、って思うようになったんだ。
 それが私の根本。『兄さん』のようになりたい、だから護れる力を身に着けたい。
 『兄さん』が私の心を救ってくれたように、私も誰かを救える人になりたいんだ」

だから、イレギュラーズとなってから、誰かを護るための術ばかり磨いてきた。
憧れたその背中に、少しでも追いつくために。

「ただ、最初は『兄さん』の真似事だったけれど、最近は少し違うかもしれない。
 イレギュラーズとして活動を続けるなかで、色んな経験をしてきて……この目で苦しむ人や悲しむ人を大勢見てきた。
 ……そんなの見てられなかった、なくしたかった。どんな人にだって、幸せでいてほしかった。
 だからこそ、生命を懸けてでも、何かを守りたいと……そう思ってる感じかな」
ゆっくりと話し終えると、お茶を一口飲んで少女の方に向き直る。
一気に話してごめんね、と言葉を続ける。

「私が守りたい、と思う理由は大まかにはそんな感じかな……
 御伽噺のヒーローみたいに、あらゆる悲しみを、苦しみを退けられるような人になりたいんだ」

そう言うと格好つけ過ぎかな?と少女に向けて笑う。
それでも、冗談ではなく、本当にそうなりたいと思っているのだ。

「そういうわけで、何か参考になったかな?
 もし、詳しく聞きたいことがあれば、聞いてくれればできるだけ答えるよ」
「そういってくれるとありがたいよ。自分のことを話すのはあんまり得意じゃないから…少しだけ不安だったの」

安心したように息をひとつ。ふふ、と思わず零れたように笑った。
少し長くなるかもしれないけど、と前置きされた言葉に気持ち少しだけ姿勢を正す。
君のきっと大切な話をしっかりと…ひとつも取りこぼさずに聞けるように。

「その『お兄さん』が、君の根本……。
誰かを救える人になりたい、か。…すごいね。すごく素敵だ」

そんな風にまっすぐに言える君がとても眩しいと思ったから。心からの言葉で伝えた。
宝石をはめこんだ瞳を輝かせてアレクシアを見て、ぺこりと頭を下げる。

「ありがとう、アレクシア。君の大切なお話を聴かせてくれて。ごめんねなんてとんでもない。
君の大切なルーツと、それに最近のお話しも聞けて良かった」

そっと目を閉じて、この世界に来てからのことを思い返す。

「…そうだね、私も苦しむ人や悲しむ人をたくさん見てきた。
この世界にきたばかりのころはどれもこれも気に留めなかったのに、最近はね。なんでだろ、誰かが悲しそうな顔をしてると、笑ってよって言いたくなるんだ」
「笑ってくれるなら、どんな苦しみも悲しみも、なんとかしたいって」

ちょっと大袈裟かもだけど、と困ったように笑う。
以前なら持つことはなかったであろう気持ちにまだ少しだけ戸惑っているのかもしれない
そうして目を細めてから、ふわりと微笑んだ。

「格好つけすぎじゃないよ。ヒーロー、素敵な目標だと思う。
それに、ものすごく参考になった!私の中の気持ちと…向き合えたように思う。」

「それにしても、目標があるのは羨ましいなぁ。私はどういう風になりたいんだろう…。守りたいって気持ちも最近思い始めたばかりだからまだ少し、具体的な形が思いつかなくて」

うーん、と悩ましげに声をこぼす。少し悩むように瞳を閉じた。
「ふふ、ありがとう。私にとっても大切な想いであり目標だから、そう言ってもらえると嬉しいな」

素敵な目標、といってもらえたことに顔をほころばせ。

「どういう風になりたいか、かあ。
 きっとそれはその内に何か形を持つまで、無理に探すものでもないのだろうとは思うけれど……」

それでも、何か少しでも形にできるものはないだろうか、と少し思案する。
自分だって何かを語れるほどに成熟しているわけではないけれど、少なくとも出来得る限りの助けにはなりたかったから。

「……そうだねえ。シキ君は、さっきの話からするに、守りたい人がいるんだよね?」

眼前の少女と同じように、少し瞳を閉じて考え込む。
今ここで自分にできるのは、きっと話を聞くことだろう。

「どうしてその人を守りたいと思ったんだろう?
 きっときっかけはひとつではないのだろうけれど……そこに至るまでの出来事を振り返ってみれば、何か見つかるかもしれない」

私も人生経験がまだまだだから、絶対に見つかるとは保証はできないけれど、と少し苦笑いしながらも言葉を紡ぐ。

「シキ君は、『守り方を知らない自分が悔しくて』って言ってたよね。
 ただ守られたくないというだけなら、『守られなくていいくらい力をつける』とか思っても不思議じゃないのに、シキ君は『自分も守ってあげたい』と思ったわけだよね。
 それはどうしてなんだろう?何が君に、そう思わせたんだろう?」

なんだか小難しい話になっちゃったけど……と笑ってみせる。
あまり、こういう言い回しは未熟なばかりの自分っぽくないようで、少しおかしかった。

「要するに、自分がどう思ってきたのか……それを整理していけば、目指したい『形』もおぼろげに見えてくるかもってことだね。
 それは私のような『憧れ』かもしれないし、何か別のものかもしれないし。
 とはいえ、独りで気持ちを一つずつ棚卸ししていくのは大変だからね。よかったら、もっと詳しく聞かせてくれないかな」

単に私が、シキ君のことをもっともっと知りたいなって思ってるだけかもしれないけれど!
飲みかけのお茶に口をつけてから、笑ってそう付け足した。
「そうだね…いつか形になるまで、のんびり形作っていくのもいいかもしれない」

目を開いて微笑んだ。
アレクシアはまっすぐ話を聴いてくれる。それだけで、安心してしまうから。
続いたアレクシアの言葉にうん、と頷いて。

「どうして……か。そうだなぁ」

うーん、とまたひとつ悩む声。
しばらく瞳を閉じて、お茶を一口。彼女はきっと急かしたりなんてしない。
だから、ゆっくりじっくりと悩んでから、口を開いた。

「いつも守ろうとしてくれるんだよね。守るのが自分の役割だからって
私ね、普段の戦闘スタイルはわりと捨て身寄りっていうか…防御をあんまり考えてないんだけど
なら俺が守るから好きにすればって言ってくれたんだ」

でも……と、瞳を伏せて言葉を紡ぐ。

「前に依頼でさ。その人だけ重傷を負ってしまって…
私だって強くなったし、もう守らなくていいよっていっちゃったの
でもね、それでも守ってくれるんだよね…。私がどれだけ”いいよ”っていってもさ」

仕方ないやつだよねと、言葉とは裏腹に嬉しそうに笑うのだ。
『守られないくらい強くなる』だけじゃ駄目なのだ。どれだけ強くなったって、そんなことお構いなしに守ろうとしてくれるから。

「だから『私も守れる』ようにならないと。いつか重症だけじゃ済まなくなっちゃうかもしれない。
私ね、混沌世界に来る前にも色々あって……世界で一番守りたかった人を守れなかったことがあったの。だから、こんどこそ……」

きゅっ、と。こぶしを握り締めた。
もう誰にも目の前からいなくなってほしくないから。
そんな感じ、と。ぱっとアレクシアの方を向いてにこにこと微笑む。

「ごめんね、全然暗い話にもってくつもりじゃなかったのに……!!
でも、自分の考えてること、初めて言葉にできたような気がする」

お茶をまた一口。啜ってから、アレクシアをみてありがとうと呟く。

「アレクシアのような『憧れ』とは、きっと違うものなのかな
焦燥感というか、焦りというか……。そういうものが根本にあるような気もする」

笑ってアレクシアが付け足した言葉に一瞬きょとんとしてから…えへへ、と嬉しそうに笑みを零した。

「ありがと! 私もアレクシアのこと、もっともっと知りたいって思ってるんだ
初めて依頼で君を見た時から、すごくかっこいい女の子だなって思っているから」
「なるほど……シキ君の『守りたい』という気持ちにはそういう根っこがあるんだね。
 暗い話だとか気にしなくていいよ。二度と大切なものを失いたくないという気持ちはとても大切なものだと思うし、それが聴けて良かったよ。
 むしろ、思い出すのは辛いことでもあると思うし」

 話をさせちゃってごめんね、と少し頭を下げる。

「でも……そうだね。そういう気持ちを持っているのなら、きっとシキ君はそのうちに自分なりの『守り方』を見つけられると思う。
 焦る気持ちがあるのはわかるよ。私も……守りたいと思った人を守れなかったことは一度や二度じゃないし、そのたびに『もっと強くならなきゃ』って無力感や焦燥感に苛まれるもの」

 焦ってもどうしようもない、というのはわかってる。
 ただ、少しくらい焦ったっていいんじゃないかとも思うけどね、と付け足して。

「無理に気持ちを抑え込もうとしたって、私達はそんなにうまくやれないんだから……
 なら、焦る気持ちも力に変えてやるってくらいでいいと思うんだ。
 ただ……自分の気持ちの根本だけは……『二度と大切なものを失いたくない』という想い。
 それだけは絶対に忘れなければ、道を外さなければ、きっとだいじょうぶ!」
 
 少し元気づけるように笑いかけながら言葉を返す。
 焦りは無理に繋がりやすいけれど、少しくらい自分の感情を肯定してやることもきっと必要だと思うのだ。

「それにしても、シキ君の『守りたい人』の気持ちは少しわかる気もするなあ。
 私もきっと、『守る』と決めたら何があろうと守ろうとすると思うから。
 強いとか弱いとか関係なくて、『守りたい』と思ったから守る……それだけなんだ。
 そしてそれはきっと、シキ君の想いにも通じる物があると思う。
 今は実感しなかったとしても、いつか同じように思うときが来るんじゃないかな」

 おお、なんかこういう風に言うと先輩っぽいね!と少しもったいぶった言い回しをしたことを、笑って照れ隠しをしながら。

「それはそうと、かっこいいかあ、ふふ、ありがとう。
 そう言ってもらえるのはとても嬉しいな!
 少なくとも、ヒーローは人前じゃあかっこよくないといけないからね!
 でも、今は一人の友達としてここにいるからね。他に聞きたいことがあれば何でも答えるよ」
「辛かった…のかな。ずっと、壊れないように、思い出さないようにってして逃げてたから。でもそれが間違いなく私の根っこで、今の私を形作っているとも思うんだ。
ふふ、謝らないでよ。お話聞いて貰えてむしろ嬉しいんだからさ」

にこにこと穏やかに笑う。人好きのする笑みだ。

「自分なりの『守り方』かぁ。
…そっか、そうだね。私たちの、イレギュラーズの生き方は守れるものがたくさんあるけど、必ずしも全部を守れてきたわけじゃない。もちろん、守るためにいつだって戦うのだけれど」

少しだけ目を伏せて、また開く。
アクアマリンをはめこんだ瞳が少しだけ瞬いて、アレクシアを見て。

「手のひらから零すものが、もう二度とないように、『もっと強くなりたい』って思うんだよね。ちゃんと忘れないようにしなきゃ」

そう考えたらきっと、焦りや無力感も意味のないものじゃない。
元気づけるように笑いかけてくれた彼女に、ありがとうと笑みを返して。

「おや、アレクシアも中々頑固者かい?…なんて。
『守りたい』から守る、か。ふふ、シンプルで好きだね。
いつか私もそういう風に思えたらいいな」

「先輩っぽいも何も、アレクシアはすごい先輩だよ。
かっこよくて、かわいくて。私にとっても素敵なヒーローなんだよ!
でも、ふふ。友達っていってくれるの嬉しいなぁ!ちょっとご機嫌になっちゃうね」

花が綻ぶように笑った。感情に呼応するように宝石の瞳が輝く。
ご機嫌そうな鼻歌をひとつこぼしてから、再び口を開いた。

「他に聞きたい事……そうだな。
気持ちの整理はずいぶんできたし、今のところは、大丈夫。
ありがとう、アレクシア。本当に」

「何かお礼ができたらと思うんだけど…うーん、なにがいいかな」
「ふふ、そうさ!私はなかなか頑固者なんだ」

 ふふん、とどこか誇らしげに笑いながら。

「まあ、あんまり自覚はなかったんだけどね。
 一番仲のいい……大切な友達に言わせるとどうもそうらしくて。
 そのせいで心配をかけてばかりだけど……まあ、向こうも向こうで頑固だからお互い様ということでね。
 いずれにせよ、自分の気持ちに素直でいることは大事だと思う。
 私もその友達も……少なくとも、そのおかげでここまで歩んでこられているはずだからね」

「それにしても、すごい先輩って言われるとかなり照れくさいな!
 私なんてまだまだ未熟もいいところだって自分でも思ってるくらいだしさ!
 何なら、イレギュラーズのみんなはいつだって人生の先輩だって思うくらいだよ!
 私にはしたことのない経験をしてる人もたくさんいるしね!」

 真っ直ぐな褒め言葉に、照れくさそうに少し視線を泳がせながら笑ってみせる。

「そっか、それなら良かった!
 お礼、お礼かあ……そうだなあ。友達としてこれからももっと遊んでほしい!
 ……というのでもいいのだけど、これはもうお礼じゃなくても押しかけちゃうくらいのつもりなので……
 じゃあ一つお願いしたいことがあるかな」

 少し考えてから、柔らかくほほえみながら続きを告げる。

「いつか、私が迷ったり悩んだりすることがあったら、その時はお話を聞いてほしいな。
 さっきも言ったけど、私もまだまだ未熟だから。きっと、いつか躓いたり転んでしまうこともあると思うんだ。
 その時に、良かったら少しだけ付き合ってもらえないかな?」

 それがいつになるかは、全くわからないけれどね、と付け足して。
「ふふ、お互い頑固者というのもいいコンビだね!
私も自分が思うように、自分がこうしたいと思うように進んでいけたらいい。
自分の思うように動くって案外難しいよねぇ、まだ少し迷ってしまうよ」

ふわり、目を細めて。

「ふふ、アレクシアはとってもすごい先輩だけれど、他のイレギュラーズの皆も色々な人がいるよねぇ
そういう皆と出会えて関われて……私も少しは変われたのかな」

照れ臭そうに笑うアレクシアのすがたに「かわいい」とまた笑って。
少し温くなったお茶で唇を湿らせた。……と。
続いたアレクシアの言葉にぱちりと瞳を瞬かせた。

「そんなの、こちらこそだよ。
もっともっとたくさん、アレクシアと遊びたい。一緒にいろんなことがしてみたいよ
わ、私の我儘かもしれないって思ってたんだけど……
えへへ、嬉しいな」

照れくさそうに、ふわふわと笑う。その笑顔は年相応の少女らしい笑顔だ。

「だから…もちろん。
私で良かったらそのときはお話を聞かせてほしい。君の力になりたいんだ。
少しと言わずいくらでも、君が笑えるまで付き合うよ」

じゃあいつか、と。それまでちゃあんと憶えておかなくてはね、とゆるりと呟いた。

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