PandoraPartyProject

シナリオ詳細

雨の誘い

完了

参加者 : 50 人

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オープニング


灰色の地面に、ぽつりぽつりと染みが出来る。不規則に浮かび上がる黒い染みは、瞬く間に周囲一帯に広がり始め、一面黒く塗りつぶした。
雨が降っている。
先ゆく人々は足早に屋根を求め、雨粒を退ければほうと溜息を吐いた。
雨の日は憂鬱である。
じめじめとした空気は、質量などないはずなのに重たく圧し掛かってくるようだ。ズボンの裾を濡らす返り粒が煩わしい。
店商売をする人間にとっても、雨の日は客入りが少なくなって稼ぎに影響が出てくるだろう。わざわざ水に濡れてまで外に出ようと思う人間は多くない。
――そんな中。
「いらっしゃい」
「やあやあ、今日も降ったねえ」
仮設テントを引っ張りだせば、わざわざ出店を出す路地があった。
雨の日だけの、商店街。
並ぶ商品は様々だ。色とりどりの傘。水玉やマーブル模様のカラフルな長靴。動物を模した雨合羽。どれも雨の日を楽しくしようというコンセプトのもと作られている。
ある店に並ぶのは、見た目はシンプルな普通の傘。この傘、実は水に濡れると張られたビニルに鮮やかな花を咲かせるのだ。桜のような花びらを散らした風流なものもあれば、魚を浮かび上がらせ水族館のようにするものもある。
また、ある店に並ぶのは、口をぱっくり開けるようにデザインされているがま口財布。種類は雨の日と言えばこれと思い浮かべるであろうカエルの他、猫や犬、中には変わり種として蛇なんかも用意されていた。
他にも、鞄や荷物が濡れないようにと上に被せるシートだったり、落ちる雨粒を受ければ音が鳴る受け皿だったり、工夫を凝らした商品も見受けられる。
探せばきっと、好みの品に出会う事間違いなしだろう。
しかし、そんな雨の日限定の商店街はとある問題を抱えていて――。


「ヒトがあんまり来なくなっちゃったんだって」
メモ帳サイズのチラシを差し出し、『勿忘草』雨(p3n000030)は肩を竦めた。
「雨の日だから、って言うのはあるんだけどね」
どうにも、先月あたりから人が減り始めているらしい。というのも、新しい季節になると仕事が忙しくなったり、家の都合で引っ越したりと足を運ぶ機会を作るのもなかなか大変になってくる。
そんな中で更に雨の日限定となれば、当然の事とも言える。
また、この商店街、元はといえば交流の場として売るよりも話すことがメインらしい。品物を見て、雨の日も悪くないなと思って貰えたらという発案者の元、仲の良いグループが乗っかって始まったものだ。
故に、雨の日の商店街のことを知る人間は結構少ない。
「それで、君達を招いて賑やかして貰いたいみたい」
品物を見て語り合うもよし、気に入ったものを見付けて買うもよし、好きに楽しんで貰いたいのだという。
ついでにこの雨の日限定商店街の噂を広めてくれたら文句なしのようだ。この日だけ出店する雨模様ソフトクリームとかいう名物もあるらしい。うっすらと水色なだけのバニラソフトではあるが。
どうだろう、と抱えたチラシを手に雨は首を傾げる。
「この日がね、雨なんだ」
これは確実な情報だよと、雨はにんまり笑みを作ってチラシに書かれた日付を指差した。
「遊びに来てくれないかな。俺もさ、ここのヒト達の力になりたんだよね」

GMコメント

祈雨と書きまして、キウと申します。
憂鬱な日も、お気に入りがあればきっと大丈夫。雨の日のお誘いです。

●場所
 主要な通りから一本裏に入った路地通り。
 100mほどの道に出店が数十店舗並んでいます。

●できること
 商店街をぶらぶら歩いてお話をしたり、買い物をしたりできます。
 売り物は雨の日グッズをはじめとして、さまざま置いてあります。
 雑貨店にありそうな物なら大体あるかと思いますので、オープニングにはないオリジナルの商品を買いに来た、あるいは探しに来たという人にも出来る限り対応します。
 食べ歩きはOKですが、ごみを散らかすのはご遠慮ください。
 やりたいことはひとつかふたつ程度に絞っておくと良いかもしれません。

●同行NPC
 『勿忘草』雨(p3n000030)が当日参加しています。
 黒猫の耳がついた雨合羽を被って商店街をのんびり散策中。声を掛けられれば応えますので、何かありましたらお声がけください。

●注意
 お連れ様がいる、あるいは団体での参加の場合は、相手の名前とID、もしくは団体名の記載をお忘れなくお願いします。
 愛称のみの場合、迷子になりやすいので、きちんと記載して頂けると助かります。
 白紙プレイングの場合、シナリオの雰囲気を大きく損なうプレイングの場合、描写が薄くなる可能性があります。ご了承ください。

  • 雨の誘い完了
  • GM名祈雨
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2018年06月17日 21時05分
  • 参加人数 50/50人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 50 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(50人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
濃紺に煌めく星
レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
黒翼の裁定者
エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)
夜鷹
レンジー(p3p000130)
帽子の中に夢が詰まってる
クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)
真実穿つ銀弾
ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
祈る者
セララ(p3p000273)
魔法騎士
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
疾風蒼嵐
アラン・アークライト(p3p000365)
勇者の使命
Lumilia=Sherwood(p3p000381)
白綾の音色
サンディ・カルタ(p3p000438)
抗う者
リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
銀城 黒羽(p3p000505)
死を許さぬ
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
アレフ(p3p000794)
堕ちた光
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
グレイ=アッシュ(p3p000901)
灰燼
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
希望の聖星
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
マルク・シリング(p3p001309)
クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)
受付嬢
ニーニア・リーカー(p3p002058)
生気奪うガスを翻弄して
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
アルファード=ベル=エトワール(p3p002160)
α・Belle=Etoile
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
玲瓏の壁
アグライア=O=フォーティス(p3p002314)
砂漠の光
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グルナディエ(p3p002562)
紅獣
蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
九重 竜胆(p3p002735)
一刀繚乱
マリス・テラ(p3p002737)
Schwert-elf
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
レスト・リゾート(p3p003959)
楽しいお花見お餅ぱーちーを
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
シラス(p3p004421)
ラド・バウD級闘士
Morgux(p3p004514)
暴牛
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
希望の蒼穹
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アマリリス(p3p004731)
倖せ者の花束
レオンハルト(p3p004744)
解放する者
リピィー・スー(p3p005001)
ティカップで眠る
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア
小鳥遊・鈴音(p3p005114)
ふわふわにゃんこ
ディジュラーク・アーテル(p3p005125)
いつも鳥と一緒
カシミア(p3p005160)
森の守護者

リプレイ


 ザァザァと、音を立てて雨が降っている。
 豪雨とまでは行かないが、傘を差さずに街を歩くには少し重たいぐらいだろうか。晴れる気配は未だない。
 通りへと吹く風に乗って、フルートの音が鳴る。
 Lumiliaの手により奏でられるたおやかな音楽は、雨の音に混じり澄み渡る。
 雨の下のコンサートには足を止める人もちらほらと。
 Lumiliaの音に誘われて、ひとつ傘の下歩む親子に目が留まり。
 フルートの音が止む頃に。雨が未だ降る頃に。傘を見に行こうとひそり商店街の方を流し見た。
 雨の日を楽しく、というコンセプトではあるが、汎用品もそこそこ多い。
 黒羽は無難なビニル傘を買い求めれば、他の商品にも興味をやる。
 水玉模様の長靴。カエルが跳ぶエコバッグ。かたつむり型の貯金箱。
 見渡してみればなかなか面白い品揃えだ。
 ゆっくりと歩を進め、ひとつひとつじっくり眺める。
 珍しい、雨の日限定商店街を楽しんで。
 特に目を引く一品に出会える時はきっと近い。
「携帯出来る灰皿か、普通の灰皿か……」
 欲しい物をいくつか抱えたアレフは二つの灰皿を前にうんと唸る。
 どちらもシルバーのシンプルなものだが、柄に雨模様が入っていた。
 結局は普通の灰皿を選んで。他にと見渡すアレフの耳に澄んだ音が届いた。
 ちりんと音を鳴らすのは、丸く白い陶器の鈴だ。
 風が吹けばまた涼やかな音を鳴らす。雨の中でも良く通る音だ。
「ふむ、なかなか気に入った」
 これもと店員に追加して、アレフは満足げに頷いた。雨の日だって、良き出会いは待っている。
 傘に長靴に雨合羽に。
 どれもラサの砂漠の出であるクロジンデには馴染みのないものだ。雨が降っても、濡れて帰れば良いかと思えるぐらい。
 こうして見る機会の少ない品々は興味深い。
 遠目に見かけた雨の黒猫フードを思い描き、店の揃えを眺めていって。
 探すのと憶えるのは得意なのだとクロジンデは気儘に商店街を往く。
「私は雨の日、結構好きだけどなあ」
 シャルレィスがぽつりと零す。
 雨の匂いも、音も、聞いていると落ち着く様な気がして。
 それに、暴雨ともなると、あえて外に飛び出したりしてみたり。
 隣で聞く雨があまりにも静かなものだから、自分だけだろうかと恐る恐る様子を窺ってみれば。
「俺も」
 くすくす楽し気な猫耳合羽が目について。
「素敵な日に、素敵な出会いがある事を願って」
 ほらと示す先には数々の商店街。心惹かれる物が、きっと見つかる事だろう。
 数時間後、濡れるシャルレィスの手には――。
「……まあ、まあ。ざあざあと、よく降りますこと」
 この降りであれば、今日一日はやまないだろう。
 雨の日の外出は嫌いではない。何かあった時には、足を運んでぼうっと眺める。そうすれば、凝り固まった時間を忘れてリフレッシュできるから。
 ミディーセラの視線はいくつかの品物を過ぎて、とあるひとつに戻ってくる。
 口を開けてちょんと座るがま口財布が可愛らしい。その中でも蛇の財布を選んで。
 財布を包んで貰う合間、空を見上げたミディーセラが満足げに笑みを浮かべた。
 雨の日だけというのは、日常の中の非日常のよう。
「がんばって広めるといたしましょうか」
 灰色の空。落つる雨。
 いつもの風景も、今日は特別。
 リゾートは雨の日商店街で買ったカエルの長靴を履いて、日傘を手に散策中。
 ギフトで呼びだしたカエルもケロケロと上機嫌のよう。
「まあまあ」
 ぱしゃりと跳ねた雨粒は、元気に走る子供のあと。見渡せば、笑顔溢れる人々の声。
 楽しそうな気配はそこかしこにあって。
「んふふ~、みんな楽しそうねえ~」
 つられてリゾートも笑顔になるのでした。
 ふんふんと上機嫌に雨の下を行くセララ。
 雨に聞いた店へと向かえばこれだーと黒猫フードの雨合羽を手に取った。
「これ、これが欲しかったんだー」
 傘を畳んで雨合羽を装着! しゃきーん! 黒猫セララ完成!
 ちょこんとついた黒猫の耳は雨にも負けずピンと立って。
 雨の日もきっと楽しくなれるアイテムなのでした。にゃーん。
 話に聞いてはいたけれど。こうして目の当たりにするまではイマイチ信じきれないもので。
 アグライアの前に広がる通りは活気に満ち溢れていた。
 一歩進めば声がかかり、ふらふら引かれてみれば他方からも声がかかり。
 目移りするアグライアの前には水玉模様のビニルシート。
「これは荷物を濡れないようにするシートだね」
「あぁ、そうするんですね。水玉模様が可愛いですっ」
 リバーシブルなんだよと教えられればくるりと返して。
「店主様、これをひとつ……いえ、ふたつくださいな」
 自分のぶんと、もう一人。ぎゅっと大事に抱えて、散策へ。
 雨の日に、――いや、それに関わらず、外に出ることはなかった。
 いつもの暮らしは書庫の中。
 外へと踏み出したゲツクは書籍カバーを探して商店街を往く。
「出来るだけオシャレなモノが良いですね……」
 雨の日を楽しくがコンセプトならば、きっと良い物がある筈。
 そうして出会った一品は、旅の過程を絵にしたもの。
 仲間との出会い、星空の下での野宿、ドラゴンとの戦い……。雨に濡れるとまた違った絵が浮かび上がるらしい。
 なお、きちんとブックカバーとしての機能も果たしている。雨の日も外が気になる代物だろう。
 雨の日だけの商店街。その響きは、アルファードにとってとても素敵に聞こえた。
 彼女は水の欠片である。故に彼女は雨を好む。
 ぱたりぱたりと雨粒が跳ねる度、傘にふうわり花が咲く。雨粒が流れれば儚くなる雨花は、また恵みを得て咲き誇る。
 その中に混じる澄んだ音に耳を澄ませ、惹かれた先には丸い受け皿。
「……そうだわ」
 思い付いた案はきっと商店街の未来に繋がる。
 受け皿を購入したアルファードは、いつか雨を好きになる誰かを想像して。そうなれば良いとひそり願った。
 ひとつの傘下、ふたりの足跡。
 少女の方に傾けられた傘は、ぽたりぽたりと雫を落とす。
 慣れぬ装いのエーリカは、ラノールの裾を掴み歩みゆく。
 ふ、と。少女の足が止まった。釣られラノールも歩みを止める。
 エーリカの前には身を飾る拵えの雑貨店。
「ふむ……ほしいのかい?」
「ほ、ほしいわけじゃ、……なく、ないけど」
 否定の言葉はラノールの前に溶けてなくなる。見つめる先の装飾品に、なんだか目が引かれてしまったのだ。
 エーリカが言葉を探す横で、ラノールが髪飾りをひとつ手に取った。知っている、白蝶の花。
 ラノールはエーリカの髪へと蝶を留まらせれば満足げに頷いて。
「これは胡蝶蘭と言ってね。蝶に見える花弁が名前の由来なんだ」
 店員に礼を告げれば艶黒の髪にそのままに。
「……ね、にあうかな」
「うん、似合ってるよ。素敵だ」
 照れくさくて顔を俯かせたエーリカが見たのは、水鏡に映る微笑む自分。
 胡蝶蘭。そこに込められた花言葉を、エーリカは未だ知らぬ侭。エーリカがラノールを問い詰めるのは、そう遠くない未来のお話。
 雨の日には、雨の日だけの顔がある。
 この商店街も例にもれず、雨の日だけ見せる街の表情のひとつだ。
 フェスタは雨粒を蹴りながら商店街を歩み行く。目的は決まっていて、早速ドーナツ柄の傘を発見!
 迷わずその傘を手に取って。ぱっと開けばたくさんのドーナツが円になるように描かれている。
「うん、これは買いだね!」
 幸先良く納得の品に出会えれば、レインブーツも探してみて。
 今日のこの事もきっと、お散歩メモの一ページを飾る事だろう。
「雨具、ですか」
 マリス・テラは鈴音に手を引かれて人混みの間を縫っていく。
 雨具なんて、平気には必要のないもの。
「テラちゃん、鈴はテラちゃんとお揃いの傘が欲しいですにゃ♪」
 しかし、鈴音が選んでくれるのであれば、話は別だ。折角だからと黙っておいて。
「動き難いのは避けて頂ければ、それで……」
 鈴音が満足いくまでどうぞと許容する。
 いつもの如くテラに抱き着く鈴音は嬉しそう。
 似合いそうな長靴。動物の耳が付いた雨合羽。手を繋いだ二人は色々な物を探して歩く。
 そうして見つけたものは、紫陽花柄の可愛い傘。
「青がテラちゃん、紫が鈴のですぅ♪」
 はいと鈴音がテラに差し出し、テラはそっと傘を開く。
「……紫陽花の傘、季節には合うかと」
 くるり回せば鮮やかな色が咲き誇る。
 傘のお礼はソフトクリームで。
「雨とはいえ暑いですから。これはほんのお礼です」
「にゃ♪ 嬉しいですにゃ~♪」
 お揃いの傘にソフトクリームのプレゼント。受け取ればにぱりと笑顔を零し、口いっぱいに頬張って。
「また一緒にお出掛けしましょうね♪」
 二人揃って歩きながら、鈴音は次の約束を。


 雨の日限定の商店街。
 数見てきた中でも珍しいものだ。レイヴンはふらり当てもなく商店街を眺める。
 傘の一本ぐらいは買おうか。名物のソフトクリームは折角だから食べて行こう。
 それにしても。
「雨か……」
 見上げた空は未だ雲に覆われて涙を落とすばかり。
 否応にも思い出すのは、あの日の事。ひとり想いを馳せて。
 何を買おうか。ふらりと足を運んだMorguxが辿り着いたのは、名物と噂のソフトクリームを売るお店。
「……これは!」
 薄い青のソフトを舐めれば、広がるのはバニラの濃厚な味わいだ。
 見た目的にはサイダーだろうし、そうだと思い込んでいたMorguxは驚愕に瞬く。
 暫し固まった後にもう一口運べば、やはり広がるバニラ味。
 これはこれで悪くない。
 薄青のバニラを頬張りながら、気になる店を探し歩く。
 前に探した時はなかったけれど、雨の日だけの場所ならきっと。
 和傘を探しに来た焔は目的の物を探しながら街を往く。
 そういえばと思い出したのは、雨の日に口ずさむという歌。
「ぴっちゃぴっちゃ じゃぶじゃぶ るんるんるーん ……だったかな?」
 なんだか少し違う気がする。
 それでも、こんな雨の日うたがあるのなら楽しくなれそうで。
 ふんふんと歌を口ずさむ焔の横を、金魚が跳ねる和傘を差した婦人が通り過ぎ。
 そうして見つけた店は、防水加工が施された和紙の品々専門店だった。
 雨模様ソフトクリーム。
 折角だから、食べ歩きしながらお店を回りたい。
 両手を使えるようになら、やっぱり合羽。
 それに、長靴も欲しいような。
 雨をしのげるグッズを考えながら、カシミアはソフト片手に店の合間を進んでいく。
 傘も良いけれど、自慢の尻尾が濡れてしまう。それならやっぱり合羽が一番で。
 しとしと降る雨の音を聞きながら、多様な店を見回って。
「うーーいっぱい色んなものがあって迷っちゃう!」
 迷ったものは次の機会に。その時は、友達も誘って。
 空を見上げる瞳は険しい。
 恵みの雨とも言うが、孤児にとって雨は天敵だ。あらゆる害悪をもたらしてきた。
 それでも、とサンディは改める。今はマシ程度にはなった。
 さて悩むサンディの姿を見つけた雨が、通りがかりにひとつを手に取り勧めてみて。
「……いや、かわいい、じゃなくて」
 サンディが呆れ顔を返せば、雨は楽し気に笑った。
「それではこちらをどうぞ?」
 差し出された傘は折り畳み傘だ。ワンタッチで組み上げられて、ふたりは入れそうな大きさに変わる。
 折り畳みほど軟弱ではなく、普通の傘ほど幅をとらない。探せば多様の柄もあるだろう。
 雨の日限定。商店街。
 商売において最初にやるべき事は、決まっている。
「雨の日限定商品にセール。制覇するぞ、クロバ」
 汰磨羈はぐっと拳を握って目を輝かせた。声をかけられたクロバも意気揚々と頷いて。
「この勝負(バーゲン)、おれたちが貰った……!」
 やる気充分のたまクロ二人組は商店街の入り口で気合を入れる。そして我先にと踏み出した汰磨羈が向かう先は。
「雨模様ソフトクリームは確実にゲットだ」
 名物と噂のソフトクリーム。出鼻を挫かれたとばかりに瞬いたクロバは溜息と共に後に続く。
「仕方ない。まぁここはオレのおごりで行こう」
 そうして迎えたタイムセール。商店街の一角で行われているのを嗅ぎつけた二人は準備万端だ。
 汰磨羈の俊敏さで潜り込んだ先で、戦利品を手にしたクロバ。
 後はもう支払いだけ、――という時に。
「すまん、1Goldくれ」
「1Gold足りない、だと……?」
 妖怪イチタリナイのお出ましだ。
 今日は一人でお買い物。
 ポテトは娘のノーラに似合いそうな雨具や小物を探しに雨の日商店を覗きこむ。
 雨合羽を手に思い浮かべるのは、これを着た娘の姿。
 アイテムを手に取る度に、可愛らしい娘の姿が頭に浮かんで。
 色々眺めていれば、ふと目についたティーカップ。
 ペアのそれは、綺麗な青と白で彩られていて目を離せない。傍らには、猫耳のティースプーンもセットになって。
「折角だし、リゲルとお揃いで買って帰ろうかな」
 出会えた物を買い求め、ポテトは満足そうに頷いた。
 一方その頃。
 リゲルとアランは街角で合流すると、商店街を二人並んで進んでいく。
「しかし、こういう男二人で買い物ってのも何だか変な感じだぜ」
 出会ったその日のうちに義兄弟になれた出来事は、衝撃的だっただろう。それだけ気が合う二人だったということかもしれない。
 そんな驚きの日からもうすぐ一年。時が経つのも早いものだ。
 今日はイレギュラーズの使命も忘れて息抜きの日。
「あっ、カラフルな傘が売ってるよ」
 リゲルが指差した先には確かに色とりどりの傘が並んでいる。その中には珍しいものもあって、リゲルが手にした一本は濡れると紫陽花の花が浮かび上がるようだ。
 ポテトへのお土産にしよう、と即決すれば、リゲルはアランへ向き直る。
「兄上も、ルミさんの土産は決まったかー?」
「いざアイツへの土産を探せって言われても……ん?」
 逃げるように視線を逸らした先で、カエルの目と出会って。日の光が当たると透けるカエルはじっとアランを見つめている。
「……しょうがねぇ、奴に合うのはこれぐらいだし、買ってやるか」
 無事カエルはアランの手に収まったのでした。
 雨特有の雰囲気が心地良い。
 商店街の人々の賑わいを耳にしながら、雪之丞は雨を楽しめるアイテムを探す。
 普段の雨の日を思い出して、やはり、音だろうかと行きついて。
 コンコンと音を鳴らす高低様々の受け皿の前で足が止まる。
「良い音だろう?」
「ええ。並べれば、楽器のようですね」
 雨が奏でるその日限りのメロディは、心を楽しませてくれるだろう。
 この日の事は友人に。一人で楽しむには、勿体無い場所だ。
 雨の日限定のオリジナルアイテムが立ち並ぶ。
 竜胆は吟味するように品物を物色すれば、意味深に頷いてみせて。
 どこかの世界ではもうすぐ梅雨が訪れるという。幻想はどうなのだろう。
 桜の花びらが散ばった傘を手に取りながら、竜胆は首を傾げる。
 似たような時期が訪れるのならば、きっとここも賑やかになる事だろう。
 ぱっと広げた桜の傘を手に、名物を売る店へと足を運ぶ。
「……ふぅ、結構買っちゃったかしら」
 結局、竜胆の手には沢山の防水加工つきの紙袋。次の時は、隣に誰かがいることだろう。
 折角だからソフトクリームを。
 傘があるから持てないだろうと、ルーキスは一つで良いよねと提案する。その提案には一も二もなく頷いて。
 二人で一つのソフトクリーム。ルーキスはルナールの口元へ差し出してから、自分も同じところへ口を付ける。
「間接キス貰いー」
 楽しそうに笑うルーキスに対して、ルナールは軽く肩を竦めて苦笑を零して。
「無邪気だなあ」
 そう言う所も可愛らしいのだけれど。
 のんびり散歩をしながら、ふたりは仲睦まじく並んで歩く。近い距離ゆえに濡れやしないが、ルナールはしっかりとルーキスが自身の傘の中に納まるように傾けていた。
「さー、何処行こうか」
 ルナールの手から自分用の傘を取ったルーキスは商店街の先へと進む。
 その腕を引くのはルナールだ。自分の横へと戻せば、ルーキスを真っ直ぐに見つめて。
「行先は何処でも構わないが、俺の横から離れるのは駄目だ」
 分かってる、なんて。言葉にしなくてもきっと。
「あの日もね、ちょうどこんな雨の日だったんだよ」
 声を潜め、雨に紛れぬ声量でディジュラークは囁いた。
 空を見上げる瞳は読み切れない。
 そう、忘れもしない――そうして続いた言葉に、雨はきょとりと瞬いた。
 なんてね、と肩を竦めてみせるとディジュラークはくすくす笑う。
「ね、お兄さん。イチオシを教えてくれるかい?」
 肩に留まる鳥がぴちちと鳴いて。鳥モチーフのものが良いなと言えば、こちらはと雨の声が返る。
 手に取ったそれは、小鳥の形をしたオカリナだ。
 これにしようと決めたディジュラークは通りを過ぎて往く。友に見せるにも、どうせなら、雨がやまぬ内に。
 雨の日の買い物は新鮮で。雨が嫌いな人もいれば、好きな人もいて。
 様々な思いが交錯する中で、シラスとアレクシア、アリスの三人は気に入るものを探してお店の前で傘選び。
「わあ、見て見て二人とも!」
 アリスが見つけた傘は、雨に濡れると魚が浮かび上がるものだ。ぱたぱたと水が落ちる度、魚が浮かんで泳ぎ出す。
「わあ、綺麗だね。こういう傘もあるんだなあ」
「あっ、俺もそれ欲しい!」
 アリスが選んだ傘を見て、シラスも俺もと傘をとる。選んだそれは、雨にかざすと小鳥の上に傘が浮かび出るようだ。
「私はうーん、そうだなあ」
 二人が選んだ横で、アレクシアは薄紫色のシンプルな傘を手にする。色から彷彿するのは、この時期に綺麗な紫陽花だ。
「紫陽花色もいいね、これからの季節にぴったりだ」
 それぞれ選んだ傘を見せあっこして、くるりくるりと傘を回して。
 なんだか楽しくなってくる。
「ふふ、この3人でお出掛けするのも初めてだから、何か記念に残せると良いんだけど……」
 アレクシアの言葉にシラスはぽんと思い付いて手を叩く。
「ねえ、写真に撮ってもらおうぜ」
「お出掛けの定番だもんね、是非撮ってもらおうよ!」
 3人でポーズを決めれば写真をパシャリ。
 防水性の高いカメラはデザイン性も高く、紫陽花の模様が入っていて。シラスはそれも購入へ。
 はしゃいだ後は小腹がぐうと鳴いて主張して。
 となると、目的地は決まるよう。
「名物ソフトクリーム、気になってたんだっ!」
 アリスが早くと先を行けば、アレクシアとシラスも水たまりを蹴って後に続く。
 ソフトクリームを頬張った後は、アレクシアの小物探し。まだまだ雨の日の買い物は続きそう。



「クラリーチェくん、こっちこっち!」
「はい。何でしょう?」
 グレイがクラリーチェの袖を引っ張って。見付けた雑貨屋さんへご案内。
「猫ちゃんへのお土産にね……どれがいいかな?」
 並ぶのは様々なリボン。シンプルな単色のものもあれば、フリルがついていたり模様が入っていたりと多様な種類が取り揃えてあるようだ。
「なるほど、リボンですね。ちょっとじっとしていてくださいね……?」
 苦い顔の煤猫ちゃんはグレイに抱き上げられて衣装合わせ。
 クラリーチェが店員に許可を貰ってサンプルをいくつか合わせてみれば、しっくりくるものをひとつ見つけて。
「目の色に合わせた金か、夏に向けて涼し気な青系はいかがでしょうか」
 ぴっと合わせたリボンは金装飾の一本で。そこはかとなく、煤猫ちゃんも満足げに見えるような。
「っと、僕らのお土産も忘れないようにしなきゃね」
 面白そうなものを見つけたんだと、グレイはクラリーチェを連れて商店街へと足を向ける。楽しい時間はまだまだこれからだ。
「こんなところに、商店街丸ごと隠れ家みたいなところがあったんだね」
 初めましてもいれば、二度目ましてもいて。元からの知り合いも混じる雨の買い物組は待ち合わせ場所で挨拶を交わす。
 マルクが物珍しそうにあたりを見渡せば、ニーニアやヘイゼルも頷いて。
「ぶははっ、雨の日をちょっと楽しくか。なかなか粋だな!」
 ゴリョウがもち腹を揺らし豪快に笑う。
 皆が歩く先には傘に雨合羽に長靴に。多種多様のアイテムが揃えられている。
「ゴリョウさんの合羽、大きさもだけど生地が丈夫な方がいいんじゃないかな」
 マルクが手に取るのは身体が大きい種族様に作られた雨合羽だ。
 隣で可愛らしいペンギン柄の合羽を手にしたニーニアがわあと声をあげる。ニーニアぐらいならすっぽりと隠れてしまいそうな大きさだ。
「こんなのはどうかな?」
「ぶはははっ、こいつぁ良い。でもべビーピンクは勘弁してくれ!キャラに合わなさ過ぎるだろ!?」
「んー、ダメかなあ」
 その横にあった別の柄もオススメしながら、和気あいあいと合羽探しに興じる。
 ニーニアとゴリョウの探し物が終われば、次は傘に興味は移って。
「まあ、皆様は合羽派なのですね」
「ヘイゼルさん、今日は傘なんだね」
 買った合羽を見てヘイゼルが微笑みかける。普段は防水コートを使っているヘイゼルも合羽に興味はありつつも、今日は傘を探す日だ。
 普段馴染みのない傘だからこそ、雨の日だけの珍しい日に探してみようと思い立って。
 マルクも同じ場所で傘を探す。
「誰かが困っているときに、一緒に入れるくらいの大きさがあれば、役に立てることもあるかなって」
「じゃあこれはどうだ?」
 ゴリョウが差し出したのは二人入るのに困らない大きさの傘。シンプルな見た目ではあるが、しっかりしている骨組みは安心感をもたらすよう。
 雨の日ならではのアイテムが沢山あって。
 ここで買った物を持ち歩けば、きっと、目についた人の興味を引けることだろう。
「やばい」
 セティアは空を見上げて呟いた。
 雨粒が切れ間なく零れている。手には壊れた傘がある。
 今この場所でなければ、帰り道はびしょぬれになっていた事だろう。
「お嬢ちゃんも傘、見に来たん?」
 ふらり商店街へと傘を探しに訪れた蜻蛉が声を掛ければ、セティアは頷いて。
 挨拶と自己紹介を済ませれば、蜻蛉は傘探しにセティアを誘う。初めましての誘いに、セティアは少し嬉しくて。
 蜻蛉の選ぶ指先は、瑠璃色の青い蛇の目傘を選んだ。
 隣を見れば、真剣な表情で悩むセティアの姿がある。どうやらカバとゴリラで迷っているようで。
「それ気になるん? ……ほな、うちが片っぽ買うたげる」
「ぱない……ありがとう」
 雨の日の素敵な出会いの記念に。
 蜻蛉が差し出した傘を挙動不審気味なセティアは大事に受け取って。
 見詰める先にいる蜻蛉が、セティアにはとても綺麗に見えて。
 笑む蜻蛉を見つめながら、セティアはいつか、こういうのが似合う大人になりたいなと、ひそりと思った。
 目的の品を買った行人は、ふと感傷に浸る。雨と言えば、と思い出す事もあるだろう。
 行人にとって雨とは、道具の手入れがやりやすかったり、落ち着いた音に安らいだり、様々だ。時には旅人に襲い来る水不足を雨で凌ぐ事もあった。
「皆は、どんな思い出があるかな」
 年齢も、種族も、性別もバラバラなイレギュラーズを眺めて笑みを深める。
「ともあれ、ここをどうにかするにはコレを味方に付けないと、な。ユィさん?」
 雨はいい切欠だ。思い出を呼び起こすトリガーになれば、雨の日だけの場所に来る人も増えるだろう。
 同じ雨を呼び分けて、行人は雨ことユィに呼びかける。
 行人に倣い、空を見上げた雨はそうだねと頷いた。
 雨の日の外出も悪くはない。
 レオンハルトは傘を手に、商店街を歩いていく。見かける人々は笑顔に溢れ、なかなかこの企画も成功しているように見えた。
「楽しんでくれてる?」
 するりと猫の様に人混みを抜けた雨がレオンハルトに声をかけた。頷く彼に、狼は嬉し気に笑う。
 屋根付きのベンチに向かう雨を見送り、レオンハルトはのらりくらりと歩を進める。
 休憩スペースにはちらほらと人の姿があった。
「ゴルディロックス・ゾーンという言葉があってね」
「……なんて意味?」
 休憩中の雨が問いかければイシュトカは丁寧に説明して。
 雨はこの世界が生命の存在に適した環境にあることを示す象徴的な奇跡と言って過言ではない。かの言葉はそうした話に用いられる単語だ。
 的外れなお節介に過ぎないのだろうと肩を竦めるイシュトカに雨は笑う。
 しとりしとりと降る雨を暫し二人で眺めれば、雨は別れを告げて。
 イシュトカは買い求めたサンドイッチを一口放れば、去りゆく姿と、道行く人々の、移り変わる景色を眺める。
「日頃のお礼をさせてもらうね」
 歩み始める雨の後ろに、暗殺者よろしく気配を消したルチアーノがスッと現れた。
 これには雨もびくりと肩を跳ねさせて。完全に気を抜いていたらしい狼は尻尾を丸めて振り返る。
 そして、目の前に出てきたのは雨模様ソフトクリーム。
 一転人懐っこい笑顔で笑うルチアーノは同じ言葉を明るい声で雨に告げた。
「ユィさんは、雨は好き?」
 雨の日といえば、遠い昔の事を思い出す。あげられるのは良い思い出ばかりではなくて。
「今日の雨の日も、誰かの癒しや、思い出になるといいね」
 頷く雨にルチアーノは笑いかけた。
「ウィルは何を買うの?」
「俺は雨具かな。コートとか買おうかと思って」
 雨の日の買い物も、たまには悪くない。
 ウィリアムとアマリリスは二人揃って泣き模様の空の下を歩み行く。
 大好きな雨だけれど、今日は不思議と憎らしくて。
 夜は星が見えないのかと思うとちょっぴり残念だ。
 肩を落とすアマリリスの横で、ウィリアムが空を見上げ息を吐く。確かに、雨の夜は少し寂しい。
 声を掛けようと視線を落としたウィリアムは、ふと気になった物を見付けて手を伸ばす。
「なあマリー、こんな傘があったぞ」
 ウィリアムが開いた傘は、内側が星空になっている一本で。
 曇り空の下でも、この傘の下だけはいつだって綺麗な夜空だ。傘を開けばいつだって星を眺めることが出来る。
 寂しい夜も、これがあれば大丈夫。
「これ、お前にやるよ」
「え!? いいの?」
 大好きな雨と、綺麗な星空と、一緒に楽しめる傘だ。もう寂しい気持ちになる必要はない。
「ウィル、ありがとう……! わ、え……? 本当にいいの?」
 傘を貰ったアマリリスは大げさなぐらいに喜んで。
「これから毎日雨でも、いいかもしれない」
 嬉しそうにぎゅっと傘を抱くアマリリスを前に、少し照れくさいウィリアムなのでした。
 入りの店で傘を買ったレンジーは、雨粒を新品の傘に添えてのんびり散歩。
 いつもの帽子はお留守番。そのお陰か、濡れると花が咲く傘の模様が良く見えた。
 賑やかな喧噪と雨の音。心地良いBGMに耳を澄ませながら路地を往く。
「やあ、これはいい!」
 通りの終わりには雨の日カフェ。雨の日は限定メニューを提供している様子で。
 カラリと鈴の音鳴らして席に着く。紅茶の匂いと雨と本。贅沢な時間の始まり。
 雨の日はゆううつ。でも、どこかおもむきがあって。
 心惹かれた傘を手に、そのままおさんぽにくり出すリピィー。
「さむさで冷えたら、やっぱりこうちゃね」
 進む先に出会ったカフェであったかカモミールに口を付けてほっと一息。
 通りを過ぎるカラフルな傘は雨の日だけの風景で。
「なんだか、お花ばたけみたい。とかいも、とってもすてきなところなの」
 くるくる回る赤の傘。追い抜いていく青の傘。ひとつ大きな黒に、隣に並ぶ小さい白。
 ふんにゃり頬を緩めて、リピィーは飽きずに眺めていた。


 雨の日は、憂鬱で。地面を濡らす黒は絶え間ない。
 そんな日でも、きっと。手に入れたお気に入りがあれば、外に行くのも悪くない。
「ありがとう、皆」
 黒猫フードの雨は、訪れたイレギュラーズ達へお辞儀した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

雨の日のお出掛けはなんだか特別な気がします。
かくいう祈雨は、お出掛けよりも無意味に雨の中に飛びだすのが好きです。
傘を差さずに濡れるのが良いのですよね。
プレイングお疲れさまでした! ご参加ありがとうございました。

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