PandoraPartyProject

シナリオ詳細

壮絶! ゴブリン300匹大攻勢!! ガシャイヒ村を守れ

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ゴブリン大軍団到来!!
「聞けえええい、兄弟たちよォォォォッ!!」

 雄叫びであった。
 ホブゴブリンチーフが集まった戦士たちを前に、大音声で叫んだ。
 彼を群れのリーダーと認めるゴブリンたちは、武具を激しく打ち鳴らしてこれに答える。

 集まったゴブリンたちは多い。百を優に超える。
 その数、ざっと300匹――。
 まれに見る大軍勢であった。

「俺たちの同胞は、人間どもの集落を蹂躙し、恐怖に震えさせるはずだった。だが、やつらはみんな殺されちまった。何故だ!!」

 憎悪の声があった、怒りの声があった、怨嗟の声があった。

「人間どもが無慈悲だったんだゴブー!」
「あいつらは狡猾で残忍だったんだゴブー!」
「だから、ゴブたちは敵を討ちにいくんだゴブー!」

 同胞の死を嘆き、おいおいと泣きながらホブゴブリンチーフに訴える。
 人間どもがいかに恐ろしい存在であるべきか?
 無力だと侮ったが最後、村人たちが呼び寄せた冒険者たちによって返り討ちとなってしまったのだ。

「違あああああうッ!! てめえらが軟弱だったからだァ!」

 怒りすら込めた視線で300匹の同胞たちを睨みつける。
 その気迫に、あれだけ騒がしかったゴブリンたちが水を打ったように静まり返った。

「人間どもが無慈悲? 狡猾? 残忍だぁ? てめぇら! そいつは俺たちゴブリンのことだろうかぁ!」

 無慈悲! 狡猾! 残忍!
 それこそがゴブリンという種族の代名詞。

「思い出せ、兄弟たちよ! 俺たちが群れなして人間どもの集落を踏み散らし、女子供を追っかけ回して蹂躙してやった日々をよぉ? 最高だったろうが。俺たちを劣等種と侮った人間どもが、家族を失って泣き叫ぶさまはよぉ」

 ホブゴブリンチーフは、うっとりと陶酔して語った。
 泣いていたゴブリンたちも、顔を上げてやる気を取り戻している。

「いいか? 百匹もいて、ちっちぇえ村で返り討ちになったのはなぁ、無慈悲じゃなかったからだ! 騙し討ちにできなかったのは、狡猾さが足りなかったかったからだ! 女子供がいきてたのは、残忍じゃなかったからだ! 違うか? 違うかぁっ!!」

 300匹のゴブリンたちの目が爛々と光る。
 目指すは、100匹もの仲間が返り討ちにされた人間の集落、ガシャイヒ村。
 大群で押し寄せて、徹底的に踏み潰すのだ。


●求む、ゴブリン退治の勇者!
「今、ゴブリンの大集団が迫っていると報告があった!!」

 『女騎士』レディーナ・フォン・ロックシュタイン(p3n000146)は、ギルド・ローレットに現われ、冒険者たちを募集した。

「その群れは、300匹はいるという。ゴブリンどもが向かっているのは、幻想の方田舎にあるガシャイヒ村だ。冒険者の手引で100匹のゴブリンの襲撃を守りきったが、今度は3倍の数で復讐にやってきたらしい」

 女騎士レディーナは、真剣な表情で言う。
 村には、戦うことのできない村人たちがいる。
 冒険者たちが残した防御陣地もあるだろうが、300匹の群れに押し寄せられてはどうすることもできないだろう。

「手が空いている者は、早急にガシャイヒ村に向かってほしい。私も、できるかぎりのことはするつもりだ」

 女騎士レディーナの手にはガシャイヒ村の地図があった。前回の襲撃の防御施設の位置が書き記されている。
 300匹のゴブリンから、小さな村を守りきれるだろうか?

GMコメント

 
■このシナリオについて
 皆様こんちは、解谷アキラです。
 ファンタジーRPGの定番、王道のゴブリン退治のシナリオです。
 幻想の片田舎、ガシャイヒ村がゴブリン300匹の群れに狙われています。
 かつてこの村は100匹のゴブリンを迎え撃ち、なんとか退けました。
 なので、その時の防御陣地もあり、村人たちもある程度は自主避難しています。

・ガシャイヒ村
 200人程度の小さな集落です。若い男ではかき集めても20名程度です。
 村人たちは力仕事、単純作業はできますが、戦闘の役には立ちません。しかし、ゴブリンの襲撃でもパニックになることなく避難指示に従い、ある程度は手伝ってくれます。
 ただし、狡猾で卑劣な手伝いに出た村人から狙ってくるかもしれません。
 指示したことは懸命にこなそうとしますが、成功するかは指導次第です。

・風車
 風車は塔状になっており、過去の襲撃ではここに女子供が避難してやり過ごしました。
 十数名の弱者がすでに避難してはしごを揚げ、籠城の構えを見せています。

・納屋
 納屋は、村に4箇所あり、立てこもれます。
 風車に逃げなかった者たちは竹槍を持って構え、突入されたら防戦します。

・北側ルート
 北側は山地となっており、駆け下りて攻められます。
 しかし、山道は狭いので大群はやって来ないでしょう。
 バリケードと空堀が掘ってありますが、数が集まれば落ちるかもしれません。

・南側ルート
 街道沿いに面し、途中には流れの早い川があり、橋がかかっています。
 前回の襲撃と同じようにに、村人たちが橋を落として時間稼ぎをしています。
 ただし、ゴブリンたちもこの辺は学んでおり、渡河作戦用の雲梯や簡易筏を持っており、大した時間は稼げないようです。

・女騎士レディーナ
 先陣になって戦うつもりですが、放っておくと蹂躙されます。NPCですので村人よりちょいましです。

・ゴブリンの大群
 もはや戦術も戦略もなく、数の有為を生かして力押しでやってきます。
 しかし、それなりに知恵は回ります。

ゴブリン×200
 主力はショートソードや盾で武装した歩兵ゴブリンです。10匹に1匹は身体の大きなホブゴブリンがいます。
 20匹ほどが農作物の青田刈りをして火をかけて挑発しています。

ゴブリンアーチャー×20
 弓兵です。ショートボウで武装していますが、小回りがききます。火矢も撃ってきます。

・ゴブリンライダー×20
 狼を乗りこなす騎兵です。突破力よりも機動力です。

・ゴブリンシャーマン×4
 呪詛や呪文を使う魔法使いです。数は多くはありません。

???×55
 残り55匹はどういうゴブリンなのか情報がありません。戦場の霧というやつです。
 専門に索敵するまで不明です。もちろん、索敵にも成否があります。

・ホブゴブリンチーフ×1
 300匹もの群れを集めるだけあって力も知恵もあるようです。
 ウォーハンマーを振り回すパワータイプです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • 壮絶! ゴブリン300匹大攻勢!! ガシャイヒ村を守れ完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年06月29日 15時38分
  • 章数3章
  • 総採用数163人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
カロン=エスキベル(p3p007972)
対価の魔女

「死角を作らないでください! 背中合わせになって慎重に逃げるんです!」

 『永遠のキス』雨宮 利香(p3p001254)が村人たちの避難誘導を行なう。
 このガシャイヒ村は、何度もゴブリンの襲撃に脅かされている。
 村人たちも、落ち着いて誘導に従っている。

「いいですか、"おかしも"ってヤツですよ!」
「しってるー! 押さない、駆けない、しゃべらない……もどらない! だよねー」

 子供たちは、避難の基本を知っていた。

「前んときも、冒険者の方々が助けてくれたからのう。わしらもなんとかせんといかん」

 村の老人が言う。いつ何時、ゴブリンの襲撃があるかわからない。
 避難の手引を、わらべ歌にして子どもたちに聞かせていたのだ。

「……資料を読ませてもらったけどこの村絶対なにか呪われてるか立地が悪いわよ」

 避難する村人たちを見守りながら、『対価の魔女』カロン=エスキベル(p3p007972)は言った。

「はい、敵の数みてむせるとこでした。なnですかこれ、戦争ですか?」

 『ステンレス缶』ヨハン=レーム(p3p001117)も押し寄せるゴブリンの数に圧倒されかけている。
 このような片田舎だが、ゴブリンたちは何を思って殺到するのだろうか?
 確かに、本格的な警備も届かず、地形的にゴブリンが潜めそうな場所が多い。なおかつ多くのゴブリン部族の越冬ルートが交わる交差点にあある、典型的な“ゴブリン溜まり”であると言えた。
 そんな危険な場所だが、村人たちは村を捨てることはできない。
 農民は、土地を離れて生きてはいけないのだ。

「100匹もぶっ飛ばしたらフツーは安泰安穏にめでたしめでたしになるものなのだけど。……はぁ、ゴブリンといっても想像を絶する数ね。どんだけこの村を落としたいのよ」
「ガシャイヒ……ガシャイヒ……被害者…? あっ!」

 ぼやくカロンの横で、ヨハンが真相に気づいた。名前が悪い、とは言い出せない。

「さあ、楽しいパーティの始まりよ♪」

 リカは、本性のリカ=サキュバスの姿を現した。
 獣欲に猛ったゴブリンたちにとっては、ふるいつきたくなる獲物である。
 乱捕り自由のゴブリンの襲撃にとって、渡航の準備が整わないうちに、10匹ほどが抜け駆けして泳いでくる。

「今です、撃っちゃってください! オールハンデット!」
「きひひひ! 発射ァ!」

 ヨハンの支援を受けて、カロンの魔法がぶっ放される。
 どーん! どーん! どーん!
 3匹ほどが吹っ飛び、ホブゴブリンチーフは弓兵に斉射を命じる。

「味方に当たるゴブ!」
「味方だぁ? 命令違反の抜け駆けするようなやつなんざ、味方じゃねえ! 脱走兵だ。処刑の手間増やしやがって!」

 カロンの砲撃とゴブリンアーチャーの斉射で5匹ほどが死んだが、ゴブリンたちの統制は引き締められたようだ。

成否

成功


第1章 第2節

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者

「ゴブリンは街を破壊して襲われた人たちに一生消えない傷を作る……。絶対に放っておけないよ!」

 ガシャイヒ村の南、川沿い――。
 『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は、渡河の途中を狙うつもりだ。
 敵前での渡河は、大きな被害を覚悟するものである。
 さいわいなことに、村人たちが橋を落として襲撃に備えてくれた。
 彼らも、ただ蹂躙されるだけの弱い存在ではない。
 踏まれても踏まれても、なおも実ろうとする麦のような精神の人々である。

「よく300匹もゴブリン集めたよね。耐久戦してれば勝手に共食いで自滅とかしてくれないかな……」

 橋を落とした川の上手にいる『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)からも、集まった300匹の群れが見える。
 強力な群れに率いられており、そうそう自壊しそうにない。なにより、籠城や持久戦というのは援軍の当てがあってこそだ。
 いまの状況では、どれだけローレットのイレギュラーズが駆けつけるかわからない。

「数は単純にして有効な力です。油断できませんわねー」

 戦は数が物を言う。『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)もよく知っていた。
 数が多ければ、守るにしても飽和してしまうのだ。
 川を渡らせる前に、なんとかしたいところだ。

 ミルヴィとメリルナートが川へと飛び込んだ。
 その間にも、ゴブリンたちは筏を渡し、次々と部隊を渡していく。
 さらには、大部隊が渡れる雲梯を橋代わりにかけようとする。

(あれね……)

 水中のミルヴィが、筏を掻い潜り雲梯の下へとやってくる。
 すでにゴブリンたちがこれを使って渡り始めていた。
 タイミングは、今だ。

「今よ!」
「いきます!」

 ふたりが水面から大部隊を渡す雲梯を狙って攻撃を行なう。
 メリルナートの放った慈愛の氷刃が、雲梯の中央を下から切り裂いていく。
 コブリンたちも水中に落ちるが、そのまま水中の敵に向かってくる。

(ごぼっ……。こっちよ!)

 水中に潜ってゴブリンたちを惹きつける。本来なら水の抵抗があるが、彼女のカポエラの技はものともしない。

「上陸させる前にやるだけやっちゃうわ。さあ、今よ」

 セリアの指示で、選抜された村の男衆が石を放つ。革紐で作った即席の投石器を回し、勢いよく投げつけた。
 這い上がってこようとするゴブリンに対しては、容赦なく竹槍を突き出す。
 セリアも、ともにチェインライトニングを振るってゴブリンたちを叩き落とした。

「川からの奇襲だゴブっ!」
「慌てるな! 川ん中に爆裂魔法と油壷を放り込め。巻き添え食うだろうが、そっちのほうが被害は少なくてすむ」
「わ、わかったゴブ」

 慌てて、その命令を伝達する。

「やるじゃねえか。歯ごたえあるぞ」

 ホブゴブリンチーフが、にいっと口元を歪めた。

(くっ……!)

 水中での爆発は、その衝撃が水圧へと変わる。
 巻き添えを食らったゴブリンが、水面へ浮かんで流れていく。
 メリルナートも、渦に巻き込まれそうになるが、シロイルカの半身を持つディープシーの彼女だからこそ、これを切り抜けられる。

「進め進め! 川を渡りゃあ人間どもから略奪し放題なんだゴブ!」

 しかし、被害を出してもなおも前進する。立ち止まったら、味方も容赦なく殺してくる。
 前に進んだほうが生き延び、分捕品も漁り放題なのだ。

「撃ちます――」

 メイドの『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)の魔砲が、壊れかけた雲梯を渡ってきたゴブリンたちをまとめて貫いていく。それほどまでの被害を受けようとも、敵は300匹いるのだ。
 仲間たちの屍を乗り越え、ぞくとぞくと押し寄せてくる。
 そんな敵を、黒死蝶とナイトメアバレットによって狙い撃ちにした。
 しかし、向こうも弓兵を備えている。
 弓兵たちは、火矢を番えて一斉に放つ。
 狙いは、イレギュラーズでも村人でもない。後方のガシャイヒ村の家屋だ。
 村は、川を挟んだうえにそこからさらに離れた先にある。
 もちろん、ゴブリンのショートボウでは大半の矢が届かない。
 この斉射は、後方の村を焼くのだと示唆することで村人たちを動揺させるのが狙いだ。

「む、村が狙われてるぞ……!!」

 これでは、戦いにはならないだろう。

「ここまでね、無理しないで下がって。わたしもそうするから」

 セリアが後退の指示を出し、村人たちとともに引き上げる。

「まずまずだ。この程度ですみゃあ、御の字よ。野郎ども、進めええい!」

 ホブゴブリンチーフは、力強く前進を命じた。
 渡河を待ち受けるという作戦が功を奏し、20体は屠っただろう。だが300匹の大群からすれば一割にも満たない。

 残り、275匹(概算)――。

成否

成功


第1章 第3節

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

 ゴブリンたちは、渡河中に損害を出しながらも、なおも士気を保っている。
 いや、危機を脱し、目的のガシャイヒ村を前に復讐と嗜虐心を満たすためになおも凶暴になったようだ。

「数だけでも脅威だな、ゴブリンは弱い魔物と捉えられがちだが、それは飽く迄もベテランの冒険者や騎士、兵士が対処する場合の話。油断をすれば寝首をかかれることになる」

 『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は気を引き締めるよう、皆に言った。

「ゴブリンの群れか……。イレギュラーズにもゴブリンはいたが、あの人? あのゴブリンとは違って奪うだけの群れって感じだな……」

 『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)の眼前に迫ってくるのは、まさに悪鬼の集団だった。
 ゴブリンにもいろいろある。今、村を襲おうというのはまさしく略奪者だ。

「さて、退治と行きますか」

 飛んでくる火矢を切り払いながら、群れなすゴブリンを引き受ける。

「ゲッゲッゲッゲッ! 潰せ潰せえ!」

 クロバとベネディクトめがけて、魁の十数匹が押し寄せる。走りながら手当たりしだいに松明を放り込み、穀物庫にも火をかける。

{お、俺たちの蓄えが……!?」

 動揺し、消化しようと出てきた村人を囲み殺す気だ。

 クロバが村人たちの前に立ち、これを引き受ける。

「ふむ……この距離ならば届くか──」

 ベネディクトは、冷静に距離を測る。
 観測が完了し、引き絞るような投槍の構えを取った。

「我が槍はあらゆる防御を貫く黒狼の牙、存分に受けよ!」

 ベネディクトが投擲した槍が、ゴブリンの後頭部から口までを貫通して串刺しになる。

「さ、下がっていてくれ」

 村人を守るように立つと、ひと回り大きいホブゴブリンが現われる。構えた武器は、バトルアクスだ。

「ホブブブ。どうれ、俺が相手をしてやるホブ」
「いいぜ。少しはやって見せてくれよな」

 クロバはガンブレードに弾丸を込め、そいつと斬り合いが始まった。
 大ぶりのホブゴブリンの旋風に対し、クロバの剣は爆風とともに繰り広げられる連続攻撃である。

「ゴブ!? は、疾い……ホブッ!」

 連撃に目がついていけず、連撃を食らったホブゴブリンは倒れた。
 ふたりによって2匹のゴブリンが確実に仕留められた。

成否

成功


第1章 第4節

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
フーリエ=ゼノバルディア(p3p008339)
超☆宇宙魔王

「ゴブリン一体一体は特別強力ではないにしても、300体ともなれば脅威でしかないわね」

 剣を構え、『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は押し寄せる大群を前にして言った。
 駆けつけたローレットのメンバーは、今のところ一割程度である。アルテミアを含め、イレギュラーズたちが一騎当千の強者揃いであったとしても、手数の多さは常に脅威となりえる。
 数の暴力という言葉があるが、まさにそれだ。

「ゴブリン300匹……。ですが、怯むわけにはいきません! シフォリィ・シリア・アルテロンド、参ります!」

 『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は、女騎士レディーナとともに押し寄せるゴブリンたちを迎え撃つ。
 ゴブリンアーチャーが雨霰のように降らせる火矢に続いて、狼にまたがったゴブリンライダーが突撃してくる。

「いかん、ヤツらの狙いは子供たちだ!!」

 ゴブリンの一団が、風車めがけて進んでいる。攻城用のはしごまで抱えているから、狙いは明白だった。
 叫ぶ女騎士はこれを阻止に向かう。

「ぎゃははは! かかりやがった! 野郎ども、ふん捕まえろおおおおっ!」

 遠眼鏡を覗きながら指揮するホブゴブリンチーフが、手を叩いて指示を出す。
 ゴブリンたちが用意したのは、縄に石の重りを付けた飛び道具ボーラである。
 動物を捕らえる狩猟具としても使われ、獲物を絡みとるのだ。

「って、レディーナさん突出し過ぎよ!!」

 アルテミアも慌てて駆けつける。
 彼女が心配したとおり、勇敢な女騎士は危険を顧みず突出してしまうところがあった。

「しまっ……!!」

 いくつのもボーラが投げかけられ、動きを封じられる。

 獲物を捕まえようと殺到するゴブリンたちをシフォリィとアルテミアが斬り払った。

「どんな暴威だろうと、私たちは決して屈しません!」
「けっけっけっ、強がってようがこっちゃあ数が上なんだゴブ! 囲み殺してやるゴブ!」

 斬っても斬っても、途切れることのないゴブリンたち。
 ふたりで、10匹斬ったところから数えるのを止めた。
 ひと回り大きいホブゴブリンが新たな群れを率いて現われる。
 が、そいつらは強力な衝撃波でふっ飛ばされた。

「これほどの数を集めてまとめ上げるとは、中々見どころのあるリーダーがおるようじゃの」

 ばーんと登場したのは、『超☆宇宙魔王』フーリエ=ゼノバルディア(p3p008339)である。

「助かりました、フーリエさん!」
「すまない、子供たちを守らねば!」

 アルテミアとシフォリィが女騎士レディーナの縄を解き、体勢を整えながら交代した。
 この戦いで、ゴブリンは15匹ほど倒れたはずだ。

成否

成功


第1章 第5節

新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
暁 橙史郎(p3p008531)
新たな可能性

「行け行け! ああ、惜しい! 女騎士を分捕れ! 捕まえた隊には褒美を出すぞ!」

 遠眼鏡で戦況の推移を見守りつつ、全軍への指示を出すホブゴブリンチーフである。
 風車を守ろうと突出した女騎士を捕虜にすれば、ガシャイヒ村の人々は抵抗する精神的な支柱を失う。そこまで考えての策であった。

「けほっ! けほっ……!? くるしいよう」

 ゴブリンたちは、火矢の他に硫黄とリンを混ぜた煙幕をゴブリンライダーに投げ込ませている。
 村人たちは、大切な女子供たちを守るために抵抗している。
 その守るものを失えば腑抜けになって降伏する、それがホブゴブリンリーフの残虐な作戦であった。
 その風車に、追加で火矢を打ち込もうとゴブリンアーチャーが弓をつがえる。
 瞬間、銃声が響いたのち、頭部に風穴が空いた。

「……女子供は風車に立てこもり、そして火矢を持ったゴブリンがいる、と」

 この危険な状況を予期していた『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)によるカウンタースナイプであった。
 膝立ちの姿勢で長傘を狙撃銃のように構え、即応できるようにしている。

「次、距離150メール。2時方向のゴブリンライダー」

 建物の上から、『特異運命座標』暁 橙史郎(p3p008531)がスポッターの役割を務めている。
 この指示を受け、寛治が次の標的を狙撃する。

「ありがとう、いい指示です。攫うのではなく殺すのが目的ならば、ま、この風車を狙いますよね」

 ホブゴブリンチーフの狙いは、完璧に読み切っていた。
 橙史郎の戦術指示によって、圧倒的少数でも仲間の到着までの時間稼ぎはできるだろう。

「まーでもこういうのって、後から厄介なのが来るもんだよなぁ」

 問題は後詰めを残していそうなところだ。
 橙史郎は、嫌な予感が杞憂であることを狙った。

成否

大成功


第1章 第6節

ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
ライセル(p3p002845)
Dáinsleif
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
マルカ(p3p008353)
Sweeper

「ゴブリンさんがたっくさん!」

 『『アイ』する決別』ナーガ(p3p000225)はゴブリンたちの群れの中に躍り出た。
 まるで新しいおもちゃを見つけた子供のようであった。

「ナーちゃん、こっちにやってくるまではゴブリンさんのソンザイをしらなかったけど、こーんなに『あつまって』やってくるんだね!」

 襲撃者であるゴブリンの側面から現れたナーガのただならぬ気配に、思わず後ずさる。

「えへへ、アイしがいがありそうだなぁ」

 ナーガの愛は、相手が壊れるほどの激しいものである。
 その愛を示すため、群れに向かってダッシュし、掴みかかった。
 耐えられず、壊れてしまえば次のゴブリンを、また壊れればその次をと、投げ捨てるように取り替えていく。

「たかがゴブリンといえど数が多いと脅威となりますね。油断しないようにしていきましょう」

 “愛”を示しているナーガの襲撃に突き崩された隙を、『百錬成鋼之華』雪村 沙月(p3p007273)が剣を払って斬り込んでいく。
 ウォーピックを振り回すホブゴブリンに向かい、瞬時に剣の極意を宿す芒に月の斬撃を放った。

「うっわあ、何あれ……。300人ってなにさ。多過ぎて波みたいになってるじゃん!」

 『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)は、ガシャイヒ村の上空を飛行してその様子を俯瞰した。
 村に押し寄せる大群は、まさに海だ。

「まあ、そんなに居ても何も奪わせないけど! そのために私は来た!」

 ティスルは、ゴブリンたちの狙いをすぐに察知する。
 風車に炎をかけ、逃げ惑う子供たちを殺戮するつもりなのだ。

「此処は前回も逃げ込んだのだろう? その時は相手に気付かれていたのか?」

 風車に乗り込んだ『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)は、子供たちを誘導する。
 ずる賢いゴブリンたちは、燻し出された風車に避難した子供たちを狙ってくるのだ。

「いいか、こちらを向いているゴブリンを見つける遊びだ。多く見つけられた奴が勝ちだぞ」
「う、うん!」

 子供たちが、ベルフラウに頷き、ゴブリンたちの襲撃を避けつつ、引火している風車からひっそりと避難する。

「いたよ、いたよっ」

 子供たちが指差した先に、ゴブリンたちがいる。
 ナーガが壊れるまで“愛し”ても、それ以上のゴブリンが押し寄せ、ゴブリンアーチャーの放つ矢が降り注ぐ。
 数という暴力の恐ろしさは、対応する力を奪っていくことにある。

「すごい数のゴブリンが……。なんとか守り抜きましょう」

 風車の陥落は時間の問題である。
 子供たちを退避が完了するまで、『レコード・レコーダー』リンディス=クァドラータ(p3p007979)も守りきらねばならない。

 前回、100匹の襲撃から耐えきったが、今回はその3倍もの数が殺到しているのだ。
 リンディスの手には、襲撃に対して村人からまとめたゴブリンの習性、防御への対応を資料にしたものがある。

「中に居る方たちを守る為――ここは通しません」

 きっとゴブリンたちの群れに対峙するリンディスである。

「ギギギッ、ゴブリンライダー隊、突撃!!」

 その数は10騎はいるだろうか?
 ガシャイヒ村の防衛ラインに、ショートランスを構えたコブリンライダーが突撃をしてくる。
 防衛戦を破られれば、風車から退避する途中の子供たちに一挙に後詰めが殺到するだろう。
 そのような悪夢は、避けねばならない。

「ちっ、さすがに数が厄介だな。もうここまで来たか!」

 迎撃にやってきた『黒狼』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)がその突撃部隊に躍り出た。
 勢いに乗ったゴブリンライダーの突撃を、真正面から受け止めるという危険な役目を引き受けようというのである。

「ギイイイイイヒャアアアアアッ!!」

 矢の斉射ののち、足並みを揃えて殺到するゴブリンライダー隊の足元をすくい上げるように跳ね上げる。

「纏めて砕け散りやがれぇ!!」

 まとめて数騎を落馬させるが、その落馬したゴブリンも徒士で戦う旺盛な戦意を見せた。

「やれやれ。また懲りずにウジャウジャと雑魚どもが沸いてきやがったか」

 しかし、『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)が、立て直す前に踊りかかった。
 ここで勢いに乗らせるわけにはいかない。

「ったく、あれだけ群れてるとウジ虫みてえで気色悪いぜ。仕方無ェ。ここはひとつ派手に暴れて、注意を惹きつけるとするか!」

 山賊の斧を振るって、落馬したゴブリンを仕留めていく。
 相手が弱ったところを狙うのは、山賊の常道である。
 300匹という数で圧倒しようとする敵相手に、なりふりかまっている余裕はないのである。

「掛かってこい! 俺が相手だ!」

 女子供が狙われているとあらば、『Dáinsleif』ライセル(p3p002845)も放っておくわけにはいかなかった。
 吸血の魔剣Dáinsleifを構え、ゴブリンライダーの突撃に対して反撃の剣を振るう。

「げぎゃっ!!」

 勢いに乗ったぶん、その反動で食らうダメージは大きい。
 派手に転げ落ちたところに、『Sweeper』マルカ(p3p008353)が弾丸の雨を降らす。
 風車の上に陣取り、ハイテクアサルトライフルであるツェアシュテーラーARからの掃射をお見舞いする。

「あーはいはいゴミ掃除のお時間っスね。ゴミはほっとくと増えるもんっスから、この機会にちゃっちゃと一網打尽にしていきましょ」

 表情を変えずに、着々と仕留め、モードをフルオートに変えて弾倉を交換し、足止めを開始する。
 フルオート射撃が進化を発揮するのは、このような防御に追いてである。

「手が足りないトコにヘルプ入りに行っとくっスよヨロシク」

 マルカは弾倉を交換しながら、反撃に移る味方のフォローに入る。

「むらのみんなはさがってて」
「は、はい!」

 落馬したゴブリンライダーを叩き殺している村人に、ぱたぱたと妖精の羽で舞い降りた『妖精騎士』セティア・レイス(p3p002263)が後退を命じた。
 目の前の小さな優勢に乗じて血気にはやっても、向こうの数は圧倒的だ。
 あっという間に、囲み殺されるのがオチだ。

「ごぶりん、数すーぱーやばいっておもう、たぶん」

 セティアが聖剣だと信じる聖骸剣ミュルグレスIII-2を構え、さっそく反撃しようとするゴブリンたちを斬り払う。

「わたしたちがなんとかするから、罠とかつくってて」
「了解しました!」

 村の男衆は、こういうときに備えて用意させてある罠の準備に取り掛かる。

「さて、もうちょっとだけ付き合ってもらうわよ?」

 避難を誘導を終えた『永遠のキス』雨宮 利香(p3p001254)は、ゴブリンたちを引きつけようと、今度は大群の前に立った。

「ねえ狡猾で素敵なゴブリンさん、略奪には女の子がお似合いって奴じゃないかしら♪」

 その魅惑的な肢体を、惜しげもなく披露する。

「ギギッ、見ろ! 女だゴブ!」
「あいつはいただきゴブ!」
「てめえには渡さねえんだゴブ!」

 奪い合うかのように、利香に押し寄せるゴブリンたち。
 戦場となれば、人間もゴブリンもやることは変わりなかった。好きなだけ奪い、好きなだけ貪る。力が支配する場での力学である。

「気が強い女の子はお好きでしょう? でも残念、雑魚に押し倒されるような身体してないのよ」

 誘惑したゴブリンたちを、引き連れていく。

「ナーちゃんとも遊んでよ!」

 愛して壊したゴブリンたち投げ捨て、利香が引き寄せたゴブリンたちを奪うようにナーガが襲いかかる。

「ギギャアアアアアアッ!?」

 その愛には、耐えられなかったようだ。

「よっしゃ! 鼻の下伸ばしやがって。気持ちはわかるがな!」

 横合いからやってきたグドルフが、斧の一撃をくれてやる。

「何を勘違いしたのか知らねえが、俺の得意なのはコッチだぜ?」

 至近距離に引き込んだのならこっちのものと、ルカも黒顎魔王で薙ぎ払った。

「今、いくよ!」

 上空から、ティスルも短剣を撃ち込み、それを目印に飛び蹴りを見舞った。必殺の天使の荒業である。
 さらに、群れを蹴散らす乱撃だ。

「いきなりゴメンね! でも、少しじっとしてて!」

 ベルフラウたちとともに避難誘導を行ない、その場を守ったのである。
 この戦いで、20匹は撃退したであろうか?
 しかし、防御陣地を食い破られたのは確かだ。

成否

大成功

状態異常
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)[重傷]
運命砕き
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)[重傷]
雷神

第1章 第7節

ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
アネモネ・キルロード(p3p006806)
猟犬
サルビア・キルロード(p3p006808)
血濡れ
ナデシコ・キルロード(p3p007335)
影が薄い
ルリム・スカリー・キルナイト(p3p008142)
勇気のチャロアイト
ルビア・キルハート(p3p008342)

「これだけ食い止めたというのに、まだいるのか……」

 押し寄せるゴブリンたちは、怒涛であった。
 倒しても倒しても、きりがない。
 さしもの女騎士レディーナも、心が折れそうになる。
 その窮地を知ってか、ゴブリンたちも舌なめずりをする。
 獣欲に滾ったゴブリンたちにとって、女騎士は、最高の獲物と言ってよかった。
 じりじりと女騎士ににじり寄ってくる
 だが、そのとき――

「オーホッホッホ!!」

 甲高い高笑いが響き渡る。
 『勇気のチャロアイト』ルリム・スカリー・キルナイト(p3p008142)だった。

「たとえどれだけ数を揃えようとも、所詮はゴブリン! 貴方たちなど“姫騎士”である私たちの敵ではありませんわ!」

 大剣を構え、レディーナを守るように立つ。
 いくつもの刃が、今度はルリムに向けられた。

「ルリム! 駆けつけてくれたのは嬉しいが……さすがに今回は分が悪い! 私に構わず下がるんだ!」
「いいえ、そんな事はありません!」

 内心では、ルリムも数の不利を悟っている。
 しかし、絶体絶命のピンチに陥ろうとも、今回は諦めることはないのだ。

「ルリムの要請に従い、我々キルロード家とキルハート家も此度の依頼に参加させていただきますわ」

 ルリムに続いて、キル同盟の姫騎士たちが窮地にあったレディーナを救うべく舞い降りる。
 キルロード家の『noblesse oblige』ガーベラ・キルロード(p3p006172)もゴブリンたちの前に立つ。
 彼女を筆頭に、キルロード家四姉妹が現われる。

「アハハ、まさにゴブリンの大群って感じで大変そうだね……。まあ、だけど僕達を相手にするのは役不足というものだよ」
「フフ、ゴブリンの皆さん、私、貴方たちに大変怒ってるの」
「ゴブリンの大群が来てると聞いてたけど……ルリムちゃん! ……これは酷い……どうしてこんなひどい事が出来るんだよ」

 続いて、次女の『猟犬』アネモネ・キルロード(p3p006806)、ダークエルの三女の『血濡れ』サルビア・キルロード(p3p006808)、戦闘人形のシレネ・アルメリアを胸に抱いた『影が薄い』ナデシコ・キルロード(p3p007335)、
 四者四様、個性あふれる四姉妹たちであった。

「さて……。よくも可愛い従妹を嬲ってくださいましたわね……」

 ガーベラが、すごみのある笑みを浮かべる。

「物量で押せば何とかなると思ってたみたいだけど……こっちは物量&質でも高いんだってことを……。そして怒らせてはならない人達を怒らせたと」

 アネモネも、赤槍・紅花翁の切っ先を向ける。

「“愛”を知らない哀しき獣に慈悲を与えるほど、私人間ができてないのです。ゆえに……死んでくださいまし」

 サルビアは、炎を操り、土中から土塊の拳を呼び寄せる。

『泣かないで、マイフレンド。ここまで頑張った彼女の為にも私達がするべき事をしましょう』
「うん……そうだね……ルリムちゃんの為にも俺頑張るよ!やっちゃえ、シレネ!
『イエス、マイフレンド。シレネ・アルメリア、殲滅モードに移行します。ゴミが消え去りなさい』

 ナデシコは、戦闘人形を解き放った。
 あっという間に、キルロード四姉妹との乱戦となる。

「嗚呼、ルリムお姉様……。なんとおいたわしい……アイドルである私の応援で元気になってくださいませ!」

 さらにキル同盟の一角、キルハート男爵家のルビア・キルハート(p3p008342)も駆けつけ、多くのゴブリンを食い止めて奮闘するルリムにメガ・ヒールを応援する

「ギギギッ! 俺たちゴブリン相手に姫騎士で押し寄せるとか、鴨がネギ背負ってきたようなんだゴブ!」

 そううそぶいたのは、部隊を率いるホブゴブリンである。ことわざを引用するだけだけあって、統率する知性を感じさせるゴブリンの優良種だ。

「黙れ! 我々女騎士、姫騎士は貴様ら下劣な連中には決して屈しない!」

 レディーナも、キル同盟の姫騎士たちとともに立ち向かう。

「そのとおりですわ。姫騎士を獲物と侮ったこと、後悔させてあげましてよ」

 大剣ジャスティスソード! を盾としてゴブリンを食い止めたルリムが力を込めて跳ね飛ばす。
 形勢は、6人の姫騎士と女騎士への有利な状況へと逆転した。

成否

成功


第1章 第8節

コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏

「渡れ渡れ! もう始まっているんだゴブ!!」

 渡河用の雲梯を破壊されつつも、各ゴブリンの部族たちは後続の大部隊を渡そうと押し寄せていた。
 すでに先行した部隊は、ガシャイヒ村に突入して乱戦が始まっている。
 一挙に数で押しつぶそうというのが、ゴブリン側の戦法だ。

「ウチのベネベネが村を見捨てちゃおけんって? さすがは我らが領主だぜ。僕もまったく同意見」

 この小さなガシャイヒ村を守ろうと立ち上がり、奮闘する領主に続く『一兵卒』コラバポス 夏子(p3p000808)であった。

「話し合いの余地があるならしたいけ~……どっ!」

 爛々と目に憎悪を滾らせて迫るゴブリンたちを見れば、どうもその余地はない。
 彼らを率いるホブゴブリンチーフは、少部族をまとめて大群とした大酋長である。
 命に背いたら殺戮するという恐怖によっても統制されているのだ。

「じゃ、せいぜい嫌がらせくらいはさせてもらおうかな」

 言うと、渡河途中の群れの中で激しい炸裂音と閃光がほどばしった。

「ゴ、ゴブッ!?」

 戦場での轟音と光は、大群を動揺させる。
 直接の殺傷力はないが、交代しようとすると押し寄せる後続と押し合いになって雲梯からボロボロと落ちる。
 慌てて、筏にしがみつこうとするゴブリンたちであったが、すっと美しいフォルムの何者かが舞い降りた。

「舞姫たる私がいる場はすなわち舞台の上、川を渡ってステージに上がろうとする無粋な輩には容赦いたしませんよ」

 『魅惑のダンサー』津久見・弥恵(p3p005208)である。
 這い上がってきたゴブリンを、文字通り蹴散らした。

「ギギギッ! 邪魔するなゴブ!」

 スラリと伸びた弥恵の美脚に見せられたのか、我先に争うように筏を飛び石のようにしてゴブリンたちもやってくる。
 野性的な身軽さでは、人間に勝るのだ。
 そんなゴブリンたちを、踊るように躱して幻惑する、月華繚乱の美技――。
 戦いにあって、恍惚と見惚れたゴブリンから川に叩き落されていく。

「今のアタシたちじゃあ数が足りない…っ! なら指揮官の連中を倒していくしかない」

 『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が仕掛た渡河へのカウンターは、見事に決まったのだ。
 しかし、数の違いはその優位もあっという間に埋めてしまう。
 大群の恐ろしいところは、一度も失敗が許されない少数に対して挽回がいくらでも利く点にある。
 だが、その大群を率いる頭を潰せれば、統制はバラバラにできる。

「う! うわー! ゴブリンだー! 怖いよー! 逃げー!」

 ギリギリのところで踏ん張る村人たちをまとめながら、夏子は遁走した。
 見事な偽装撤退であった。
 つられてくるゴブリンたちを、ミルヴィと弥恵のもとに誘導する。

「ガンガン行くよっ! 次っ」

 ゴブリンの部隊は、大抵はホブゴブリンという大柄な種に率いられている。
 ミルヴィは、この群れの頭から狙っていった。
 十六夜、幻惑の剣舞である――。
 華麗に群れを躱し、斬り込んでいく。

「無事? 一緒に戦おう!」
「ええ、ともに食い止めましょう」

 ミルヴィと弥恵、ともに大群の中で舞う舞姫であった。

成否

成功


第1章 第9節

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
杠・修也(p3p000378)
壁を超えよ
レッド(p3p000395)
赤々靴
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)
石柱の魔女
彼岸会 空観(p3p007169)
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
リズリー・クレイグ(p3p008130)
暴風暴威
フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)
鉛筆転がしの
ハンス・キングスレー(p3p008418)
運命射手

●北面の防御
 ガシャイヒ村、北側ルート。
 ことのほか、ゴブリンからの襲撃に遭いやすい地形のこの村だが、背後は山となっており、ここからの襲撃は難しいが、しかしまったくないとは言えない。
 街道に面した南から大群が攻めてくるとしたら、背後から突くには絶好のポイントである。

「こんな大規模なゴブリンの群れなんて……ほとんど戦争じゃないか」

 『悪夢レベル3』マルク・シリング(p3p001309)は北側の防衛にあたりながら、思わず息を呑んだ。
 ガシャイヒ村での乱戦は、まさにそのように表現してよい規模だ。すでに火の手が上がり、刃がぶつかる音と怒号が飛び交っている。

「戦争は数じゃと言うし、人数で劣るこちらは効率的に守らねば厳しいじゃろうな」

 『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)も北側の防衛についている。やはり、数は力なのだ。

「情報が不確かな部分があるゆえ、不測の事態に向けて覚悟を決めておくとしよう」

 アマギは、守りを固める。
 周囲をエネミーサーチで警戒し、いつでも声を揚げられるよう準備した。

「この前の100匹はみんなの協力と事前準備でなんとか食い止められたっすけど、その倍以上の数なんて想定外っす!」

 『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は、かつてこのガシャイヒ村を守った勇者のひとりである。
 しかし、そのときともに戦った仲間も、村人たちもいるのは心強い。

「拒馬はまだあるっすか? あったら村の内側に配置を急ぐっす!」
「わっかりました!」

 村人たちはすぐに拒馬を設置した。
 拒馬とは、木の杭を組み合わせて騎兵に備える障害物である。断崖からの駆け下りが想定できるだけに、これを阻止するために用意したものだ。
 すでに戦端が開かれているが、襲撃に備えていた村人たちは胆が座っている。乱戦の中でも、落ち着いて設置に取りかかった。

「斥候ゴブリンが南側や東西から迂回して北側に先行しているかもっす。ファミリアーで鳥を飛ばして上空から視覚を共有して北側周囲を眺め索敵っす」

 レッドも、ファミリアによって北の山を探る。
 戦場では、鍵を握るのは情報である。
 この判断は、『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)も同じだった。

「300……。そこまで数が集まると、もはや立派な一軍ですね」

 敵は、有象無象のゴブリンというわけではない。
 現に、被害を出しつつもボスの存在を恐れて旺盛に川を渡ってくるという統制の取れた動きを見せている。

「二手に兵を分けているというのも、あまりにゴブリンらしからぬ動き。それを統率できる智慧の回る指揮官のゴブリンが居るという事か……」

 渡河作戦を成功させ、300という数をまとめ上げるとなれば、ゴブリンとはいえ力と胆力にくわえて知恵のボスがいると見ていい。
 レッドとともに北側の山をファミリアに捜索させるのは、そうした読みがあったからだ。

「ゴブリンの人たちももったいないですよね!」

 『ハードラックとダンスなう』フィナ=フォルトゥナ(p3p008257) は言った。
 それを聞いたガシャイヒ村の村人たちは、どうもったいないのかわからず、作業のさなか思わず顔を見合わせた。

「わたし、今までわりとひとりぼっちでしたけど、結構幸せに過ごしてました! だから、300人いれば×300ですっごく幸せに暮らせると思うんですよ!」

 そう、フィナはひとりでも幸せである。
 ならば、300匹もいるのだから300倍は幸せになれる、というのがフィナの計算式だ。

「お嬢ちゃん、面白いこと言うな」
「いわれてみりゃあ、そのとおりだな」
「戦争なんて不幸なことばっかりだ、お互いにな」

 村人たちも殺気立った気配の中でも、幾分が人間らしさを取り戻した。
 本来なら、ガシャイヒ村はのどかで平穏な田舎の村なのである。
 これが終わったら、そんな光景を取り戻さなくてはならない。だからこそ、敵を倒すよりも誰も欠けることなく戦うことを優先するのだ。

「こっちは方角が悪いです! 鬼門です!」

 方角が悪い、古来より兵法では方角を重視する。
 奇門遁甲といって方位を占うのは、勝利につながるのだ。
 そのへんのことは、村人たちにはわからないが、ともかくフィナの言動を無下にはしない。

「まあ、たしかに日が照ってねえから敵が隠れてやってくるにゃあもってこいだな」

 北側は、断崖および森がある。
 大群の行軍、進撃には不向きであれど、少数ならば利に転じることもある。

「略奪や蹂躙って嫌いなのですよ、私。特に無害な者を襲う知能が低い貪欲な生物は……」

 『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)は、襲い来る無数のゴブリンに対して嫌悪を覚えつつも、家屋に身を隠して機会を待った。
 北側、大群の襲撃はないとは言っても、少数の奇襲は想定しなくてはならない。
 とはいえ、彼女が引き受けるのはあくまでも全体の補助である。
 拒馬も設置され、少数とはいえど備えはできあがっているのだ。

●山中の索敵
「害獣風情がうじゃうじゃと……。ま、私は単独が動きやすい」

 背後に、ガシャイヒ村から上がるゴブリンたちの吠え声と騒乱を聞きながら、『パンドラの匣を開けし者』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095) は、山中の森にワイヤートラップを張り巡らせている。
 作業には、ペーパーゴーレムを使い、効率化を図った。
 ラルフがゲリラ戦を行なうには、格好の地形だ。
 ワイヤーを張り巡らせれば、侵入を察知しつつ足止めもできるだろう。
 北側の山地ルートでは、『暴風バーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)も索敵を行なっている。

「まずは……詳細不明のヤツらを探ってくるか。よからぬことを企んでいるかもしれん」

 300匹という規模のうち、50匹以上がいかなる戦力なのか判明していない。
 戦場は、不確かで予測不可能なことが必然的に起こる。この不確かさを“戦場の霧”というが、どれだけ霧を払えるかが勝敗を分ける。
 まして、相手は数倍の規模を持つ群れなのだ。
 慎重に、森の木々に身を隠しながら先に進む。

「南は結構人が行ってるようだ。俺はこちらに行こう」

 杠・修也(p3p000378)は、自身の判断で北側の防衛に参加した。
 通りやすい道には倒木を集め、バリケードとする。
 守りのためと言うよりは、この山道を通るゴブリンたちの進行ルートを制限するためだ。
 うまく誘導し、そこを叩く。それが修也の作戦だ。

「しかしゴブリン300匹か。ファンタジーの世界に来たっていうのを実感するな」

 待ち受けながら、修也はふと思う。
 ゴブリンの大群が押し寄せるとは、まさに王道の展開である。
 しかし、ファンタジーであるがこの世界では目の前に迫る現実なのだ。
 敵を察知するため、耳を澄ます。
 終夜の聴力は、かすかな物音さえ聞き逃さない。
 落ち葉を踏む音などあれば、すぐに襲撃を察知できる。

「……ん? 味方だな」

 修也は風を切る音に、上空を見上げる。
 蹴空で空を蹴って飛ぶのは、彼岸会 無量(p3p007169)である。

「正体のわからぬ55体の情報でも持ち帰られれば最善なのですが……」

 無量の目的は、空から俯瞰しての索敵だ。
 上空の優位は、全体像を見下ろせるところになる。
 ガシャイヒ村を襲うゴブリンたちの群れが、いかなる配置になるかを察知できるだろう。

「あれは……!」

 さっそく、無量は気づいた。
 まずは疾走するゴブリンライダーである。
 さらに後方からは、木々の間を猿のごとく跳び回って走る軽装のゴブリンレンジャーだ。
 武装はショートボウとマチェットのようである。
 隠されたゴブリンの別働隊の一部は、この山道ルートに向けられており、それだけ切り札としての働きを期待されているのだろう。。
 その後方に、さらにまとまった部隊がある
 こちらは、ゴブリンライダーとゴブリンレンジャーと比較すると行軍速度はかなり遅い。
 しかし、装備は比較にならないほどの危険性を孕んでいる。
 穴の空いた大きな木製の筒を、縄で縛って箍をはめたもの、これを三つばかり修羅(大型ソリ)に乗せ、驢馬と人力(正確にはゴブリン力だが)引いているのだ。

「ゴブリンたち、木砲まで持ち出したようね」

 無量の傍らを飛ぶファミリアを通じ、アリシスも敵の装備を把握した。

 ゴブリンの別働隊は、木製の大砲を武器とするゴブリンアーティラリーの一団であった。
 ゴブリンライダーが駆け下りつつ、山野を切り開いて先行するゴブリンレンジャーが先行し、見下ろす高台に木砲を設置、ガシャイヒ村を砲撃しようというのである。
 砲を運ぶ修羅に巻き込まれて何匹が犠牲を出しているようだが、それだけの代償を払っても運用する価値があるということだろう。

「仕掛けるより、一刻も早く皆に伝えましょう」

 無量は、すぐに引き返して北側にやってきたイレギュラーズに伝えた。

●砲撃を阻止せよ
「……木砲!? 設置されたらまずいわね。食い止めないと」

 モカたち、北側の山を登ったイレギュラーズたちに戦慄が走る。崖からの駆け下りも脅威だが、高台からの砲撃をされてしまうと甚大な被害が予想された。

「やはり、彼を知り己を知れば百戦殆からず。情報収集は大切でしたね。これからは宇宙警察忍者の実力、お見せしましょう!」

 『シリアス忍者』夢見 ルル家(p3p000016)はさっそくゴブリンアーティラリーの足止めに向かう。
 全員でそちらに向かうと、ゴブリンライダーの駆け下りを阻止できないので、戦力を分けるしかない・
 ルル家は、さっそく木々を飛び交いながら木の葉に紛れてその身を迷彩する。さすがは宇宙警察忍者だ。
 そして、五感を研ぎ澄まして敵側の様子も探る。
 
「これは……ゴブリンシャーマンの呪文の詠唱?」

 情報として、ゴブリンシャーマンがいるのはわかっていた。どうも、筋力を付与する魔法で木砲の牽引を急がせているようだ。

「へえ、北の方じゃあんまり見ないから、あたしゴブリンって正直良く知らないんだけど。これだけ数がいるとなれば、温い戦いにはならなさそうだね」

 『荒熊』リズリー・クレイグ(p3p008130)が大戦斧を構え、切り込みに備えた。
 ゴブリンライダーとゴブリンレンジャーは皇族に任せ、ルル家と無量を追って砲を潰しに向かう。

「ギギッ、人間どもだゴブ!?」

 勝敗を決するための切り札の設置を悟られたゴブリンたちは慌てふためいたが、砲の上にまたがり、指揮を執るゴブリンシャーマンがこれを統制する。

「落ち着け、兄弟たち! 返り討ちにするゴブ!」
「ギギギギギィィィィ!!」

 砲を守ろうと、10匹ばかりがイレギュラーズに向かってくる。

「ふふ、上等じゃないか。後味の悪い仕事でもないし、思いっ切り暴れてやるさね」

 リズリーは剽悍なる女戦士であった。
 獣の猛々しさで斧を振るい、文字通りにゴブリンたちを薙ぎ払った。
 木砲の一門は潰せそうだが、ゴブリンシャーマンは犠牲を出そうが必ず砲撃する意地を見せた。
 これに対し、モカも加わり毒蜂が群れるがごとく鋭い蹴りを繰り出す。
 ゴブリンたちも死を決してまとわりつき、その間に呪詛を込めた砲弾を装填させる。

 ゴォッ―――!!

 その木砲に砲弾が装填され、発射される前に修也の魔砲が砲身を貫通する。
 これでm一門が沈黙した。
 二門目は、発射とともに砲の内部で暴発した。木砲だけに強度はない。
 フィナがもたらした不幸の結果だ。

「ゴブリンの人、村に来た段階でもうヘトヘトですよね! 帰って平和に過ごしませんか? その方が、きっと幸せですよ!」

 健気に呼びかけるフィナであったが、ゴブリンたちも引くわけにはいかない。
 この戦いには、種族としての意地がかかっているのだ。

「最後の一門だけでもぶっ放すゴブ!!」

●ガシャイヒ村北断崖駆け下り戦!!
 轟音が響くとともに、ゴブリンライダーとゴブリンレンジャーたちが突撃を敢行する。

「ギギギギッ!! 突撃ィィィィ!!」

 予定外のタイミングで木砲が発射されたなら、作戦は失敗したのだ。
 ならば、為すことは崖を駆け下り、一兵でも多く後背を突くのみ。
 猛然と突き進む1騎が、首にワイヤーが絡まって落馬する。もはや、被害が出ようがかなまわない。
 どちらが種族としての存亡するかをかけた戦いなのである。
 ラルフのワイヤートラップとイレギュラーズの待ち伏せで半壊したが、それでも5騎が崖を一気に駆け下りる。

「小賢しいってのは厄介でよ……。弱さを理解して利用してるってことだ」

 バイクのスロットルを回し、 『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)は駆け下りるゴブリンライダーを追って並走した。

「ギギッ、貴様……!」
「ドでかい一発を食らわせてやるぜ」

 先駆けを飾るゴブリンライダーの真横につく。
 お互いに体当たりでぶつけ合う。度胸等での比べ合い、負けたほうが転がり落ちる。

「おらよ!」

 巧みにチェーンでなぎ倒すと、そのゴブリンライダーは無残に転げてレッドたちが仕掛た拒馬に当たって砕けた。

「オオオオオッ!! 隊長に続けえええッ!!」

 雄叫びを響かせ、ゴブリンライダーは突撃する。
 その後方で、木砲の砲声がまた一発響く。
 ガシャイヒ村の防御陣地に、一矢報いた形だ。
 十分な破壊力によって、障害物を弾き飛ばす。
 その崩した一角に殺到する突撃を押し戻したのは、『鋼鉄冥土』アルム・シュタール(p3p004375)であった。

「ワタクシ守りの堅さには自信がございますのデ」

 まったくもって脅威であった。
 死兵となったゴブリンライダーの突撃を、まとめて食い止めたのだ。
 弾き飛ばされたゴブリンたちは徒士になって白兵戦を挑むも、レッドに防がれ、アマギが起こした砂嵐に飲まれていった。
 だが、ゴブリンたちの攻勢は終わらない。村を蹂躙するという憎悪が彼らを突き動かす。
 続いてゴブリンレンジャーが駆け下りながら、弓を放ってきた。

「ふふ、バカで元気なゴブリンさんたち──さぁ、おいで?」

 『強者食い』ハンス・キングスレー(p3p008418)の誘惑によって、その矢の狙いは村人たちから彼へと代わった。
 その隙に、駆け下りるゴブリンに対し、マルクも反撃に移った。

「空堀やバリケードは城壁のようにはいかないけれど……『一時的な足止め』になれば十分だ。敵が集まった所に範囲攻撃を撃ち込んで、数を減らしていこう!」

 放った激しい光が弓を撃ったレンジャーを仕留めていく。
 ガシャイヒ村北側も、敵は少数であったが、激戦であった。
 仲間と村人の回復を終え、オーガストもゴブリンレンジャーへの反撃に加わる。

成否

成功

状態異常
アカツキ・アマギ(p3p008034)[重傷]
焔雀護

第1章 第10節

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
諏訪田 大二(p3p001482)
リッチ・オブ・リッチ
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
緋月・澪音(p3p007875)
壊レタ時計
羽住・利一(p3p007934)
特異運命座標
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
海野 郷(p3p008561)
人生をもう一度

「おうおうおう、雑魚が懲りもせず徒党を組んでゾロゾロと!」

 『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)は
 村に押し寄せる在来種のゴブリンどもを蹴散らしながら啖呵を切った。

「てめえか! 人間どもに味方するってのは」

 ゴブリン側の戦士がその前に歩み出る。ひと回り大きいホブゴブリンだ。
 キドーの名は、彼らにも響いていた。
 このガシャイヒ村を襲撃するゴブリンたちを一度ならず二度、そして三度目も防ごうというなら尚更だ。

「馬鹿が! これだから弱っちい在来種はよぉ! 俺ぁゴブリンだが外来種、同族だなんて思われなくないね」
「外来種だとぉ?」

 眉根を寄せて怪訝な面持ちになると、ニィっと笑ってそいつはバトルアクスを構えた。

「野郎ども、そいつもろとも押し潰すゴブ!」
「ギギッ!!」

 すでにガシャイヒ村に斬り込んだ部隊に加え、さらに新たな部隊を率いて突撃する。
 砲撃とともに、南北合わせての挟撃である。

「……? …………グゥ?」

 茂みを揺らし、現われたのは『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)であった。

「ゲエエエエッ!? ド、ドラゴン……!?」

 その姿に度肝を抜かれたのはゴブリンたちであった。
 小さな村に、何故ドラゴンが?
 数を揃えようとも、種族差というものは如何ともし難い。

「…………。……」

 辺りを見回し、二、三度首を傾げたのち、アルペストゥスは理解した。
 眠りを妨げたのは、この群れなすゴブリンたちである、と。

「グルルルル……グァアアウッ!!」

 後ろ足で立ち上がり、伸び上がるとまばゆい光を放った。
 光の帯が、ばっとゴブリンたちを薙ぎ払う。

「群れる悪を切り裂く愛と正義の光刃! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」

 名乗りを上げながら、『魔法少女インフィニティハートD』無限乃 愛(p3p004443)が登場する。
 今、燃え落ちんとする風車に立ちながら、魔砲を放ってゴブリンたちの突進に穴を開けた。
 上がる血飛沫、血風が愛の心を示すハートの形を成す。

「心に愛がなければ、吹けば飛ぶ綿毛にも劣ります。そのことをしっかり身に覚え、帰っていただきましょう」

 数の暴力には、愛の心で対抗する。
 魔法少女の心意気であった。

「グフフ……ゴブリンとは、まるで餓鬼じゃのう」

 『リッチ・オブ・リッチ』諏訪田 大二(p3p001482)は、群がるゴブリンたち相手に、一芝居打つ算段である。
 馬車に酒樽などをこれ見よがしに満載し、豪華な格好で逃亡する有力者の振りをするのだ。

「見ろ! お宝持って逃げるつもりゴブ!」

 こうして戦闘中のゴブリンどもを引き寄せ、分断するのが彼の狙いであった。

「戦闘中に略奪などするようではとても兵とは呼べぬぞ?」

 大二の策は当たり、見事に分断に成功する。

「まだ、使いこなせているとは言えない名刀。
けれど、奇縁にもこの手に有るのは、この一刀のみ――」

 『壊レタ時計』緋月・澪音(p3p007875)が飛翔斬によって隙を突いた。
 馬車に引き寄せられたゴブリンに斬りかかり、さらには一刀両断と名刀・鏡花水月の冴えを見せる。

「ゴブリンの生態なんてよく知らないし、勘で行かざるを得ないわ」

 敵の動きがわからぬ限り、見えた敵から切って捨てるしかない。

「よし、いくぞ!」

 女騎士レディーナは、心強い味方の増援にいくらか落ち着きを取り戻した。
 正直言えば、この数のゴブリンを相手にするのは恐ろしい。
 その怯えは、村人たちの士気にも関わる。
 ここは打って出るのだ。

「レディーナさん、いえーい」
「……えっ?」

 舞い降りた妖精が、無表情でダブルピースを決めた。
 ローテンションな『妖精騎士』セティア・レイス(p3p002263)である。

「だいじょぶ? わたしローレットのセティア、軽くがちめにぱないから安心して」

 軽く、真剣に半端ない状況である。
 一瞬、理解がおよばなかったレディーナであるが、崩れないバベルの法則によってニュアンスは伝わった。

「わたし、妖精騎士だから。わたしはごぶりんの天敵みたいなものだから、たぶん」
「そうだな。私も女騎士としてゴブリンどもを駆逐しよう!」

 彼女たちは、騎士である。
 騎士とは弱気を助け強きを挫くもの、意気投合し、このチャンスに打って出る。

「ごぶりん、いっとくけどもう泣いても許さないから。全部倒したら蹴るしライターで火つけてやるから、たぶん」

 セティアは力強く言い放つ。
 徹底的に許さぬという意思表示だ。
 宣言とともに剣を振るい、ゴブリンたちを蹴散らす暴風を引き起こす。これぞ妖精騎士の剣術であった

「レティーナさんがひとりだと危なかしすぎる、私が一緒についていないと……!」

 『レプリカ・コレクター』海野 郷(p3p008561)は慌ててその場に駆けつけた。

「レディーナさん無茶がすぎます! もう少し引き気味でやりましょう!」
「すまないな。よく言われるんだ」

 女騎士レディーナは、強がりながらも安堵の笑みを返した。
 300匹という数に圧倒されがちであったが、今は軽口を叩く余裕もできている。
 100匹以上で押し寄せた第一波から村人たちを守り、今や押し返しつつあった。

「あなたが犠牲になっては、守られたみんなの気持ちはとても辛いものが残ってしまいます。だからこそひとりではなく私たちと共に戦いましょう!!」
「わかった。ありがとう。……その、君の名前は?」
「海野 郷、です」
「ありがとう、郷! みんな、ともに行くぞ!」

 激戦はまだ続くも、女騎士はイレギュラーズとともに、奮起した。

「ゴブリンめ、今回は気合い入っているようだネ」

 そしてこの戦場と化したガシャイヒ村に、『劫掠のバアル・ペオル』岩倉・鈴音(p3p006119)が緊急参戦する。

「おそらく五分刈りにしているのだろう♪ 髪型がボブがリーダーだナ♪」
「そ、それはどういう……? あっ」

 鈴音の突然のボケに、女騎士レディーナはキョトンとしていたが、一瞬の間を追いて意味を理解した。

「ふむ、ホブゴブリンだからボブカットなのだな!」

 鈴音はフッと笑みを浮かべるだけで答え合わせをするつもりはないようだ。
 折れそうになる戦意、後がないという状況の緊張から、わずかにでも解放されればそれでいい――。
 意味深な微笑みからは、そうした意図が読み取れた。
 それもまた、お色気担当軍師の役目である。
 鈴音が綴る英雄叙事詩となるだろう。

「まあ数は多いけど雑魚かな」

 さらに余裕を見せる。
 ゴブリン側は多くの兵を失ったとはいえ、集まったイレギュラーズは、数の上だと大きく劣る。
 天使の歌によって疲労する仲間たちを癒やし、逆襲に転じるのだ。

「仕掛けるか。他に前に出る者は?」

 燃え落ちる風車から、女子供の避難を完了させ、『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は反撃の指揮を執る。
 ホブゴブリンに率いられた突撃は、キドーの防戦と大二の奇策によって見事勢いを削がれた。

「防衛は性に合わねえ、打って出るぜ!」

 『人類最古の兵器』郷田 貴道(p3p000401)はこれに呼応した。

「ゴブリンといやぁミーが本気で殴ると血のシミになっちまうようなチキン野郎どもだ。だが、どうやらマシなのが混じってるみたいだな」

 拳を固め、ボクシングスタイルで打って出る。
 ゴブリンたちは、これを遠巻きから矢とショートスピアの間合いから囲もうとする。
 しかし、その小賢しい戦い方をものともしない右ストレートが貴道にはあった。
 ショートスピアの突きに対してカウンター気味に決まり、吹っ飛ばす。

「おら、進め進めえ!!」

 キドーの持つ意思が、衝撃波となって放たれるフォースオブウィル。
 敵陣営を突き崩し、押し返した。

「味方の善戦で、徐々に敵の数も減ってきた。
だが、いまだに敵の全容が把握できていない」

 『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934)は、乱戦の中でも戦況を冷静に分析する。
 予備兵力のうち、一部は北側のゴブリンアーティラリーだと判明している。
 残り20匹程度がいまだ不明なのである。

「敵の軍容が俯瞰できる場所はないか?」
「そうだな。風車は燃え落ちてしまったから……」
「私のファミリアーがあるわよ」

 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)が答えた。イナリの肩に、一羽の鳥が留まっていた。

「それはいい。君はこの村周辺の地形にくわしいのですか?」
「ええ、この場所も懐かしいわね……。うん、またゴブリンが出たなら、倒さないとね、徹底的に♪」

 かつて、ゴブリンたちはガシャイヒ村を100匹の群れで襲った。そのとき、イナリは鉄条薔薇によって陣地作成に貢献している。

「なら、偵察を手伝ってほしい。情報は鮮度が大事だ、拙速は巧遅に勝る」
「いいわ、防御陣地はもう十分みたいだし、こっちは蹴散らしながらの威力偵察になるわよ」

 押し返したゴブリンたちを、さらに後退させるように天孫降臨・迦具土連砲による熱線を放っていく。
 この中を突き進み、ファミリアーを通じてイナリが利一と見たのは、重武装のホブゴブリン20匹からなる突撃部隊であった――。

成否

大成功

状態異常
郷田 貴道(p3p000401)[重傷]
竜拳

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