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シナリオ詳細

壮絶! ゴブリン300匹大攻勢!! ガシャイヒ村を守れ

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ゴブリン大軍団到来!!
「聞けえええい、兄弟たちよォォォォッ!!」

 雄叫びであった。
 ホブゴブリンチーフが集まった戦士たちを前に、大音声で叫んだ。
 彼を群れのリーダーと認めるゴブリンたちは、武具を激しく打ち鳴らしてこれに答える。

 集まったゴブリンたちは多い。百を優に超える。
 その数、ざっと300匹――。
 まれに見る大軍勢であった。

「俺たちの同胞は、人間どもの集落を蹂躙し、恐怖に震えさせるはずだった。だが、やつらはみんな殺されちまった。何故だ!!」

 憎悪の声があった、怒りの声があった、怨嗟の声があった。

「人間どもが無慈悲だったんだゴブー!」
「あいつらは狡猾で残忍だったんだゴブー!」
「だから、ゴブたちは敵を討ちにいくんだゴブー!」

 同胞の死を嘆き、おいおいと泣きながらホブゴブリンチーフに訴える。
 人間どもがいかに恐ろしい存在であるべきか?
 無力だと侮ったが最後、村人たちが呼び寄せた冒険者たちによって返り討ちとなってしまったのだ。

「違あああああうッ!! てめえらが軟弱だったからだァ!」

 怒りすら込めた視線で300匹の同胞たちを睨みつける。
 その気迫に、あれだけ騒がしかったゴブリンたちが水を打ったように静まり返った。

「人間どもが無慈悲? 狡猾? 残忍だぁ? てめぇら! そいつは俺たちゴブリンのことだろうかぁ!」

 無慈悲! 狡猾! 残忍!
 それこそがゴブリンという種族の代名詞。

「思い出せ、兄弟たちよ! 俺たちが群れなして人間どもの集落を踏み散らし、女子供を追っかけ回して蹂躙してやった日々をよぉ? 最高だったろうが。俺たちを劣等種と侮った人間どもが、家族を失って泣き叫ぶさまはよぉ」

 ホブゴブリンチーフは、うっとりと陶酔して語った。
 泣いていたゴブリンたちも、顔を上げてやる気を取り戻している。

「いいか? 百匹もいて、ちっちぇえ村で返り討ちになったのはなぁ、無慈悲じゃなかったからだ! 騙し討ちにできなかったのは、狡猾さが足りなかったかったからだ! 女子供がいきてたのは、残忍じゃなかったからだ! 違うか? 違うかぁっ!!」

 300匹のゴブリンたちの目が爛々と光る。
 目指すは、100匹もの仲間が返り討ちにされた人間の集落、ガシャイヒ村。
 大群で押し寄せて、徹底的に踏み潰すのだ。


●求む、ゴブリン退治の勇者!
「今、ゴブリンの大集団が迫っていると報告があった!!」

 『女騎士』レディーナ・フォン・ロックシュタイン(p3n000146)は、ギルド・ローレットに現われ、冒険者たちを募集した。

「その群れは、300匹はいるという。ゴブリンどもが向かっているのは、幻想の方田舎にあるガシャイヒ村だ。冒険者の手引で100匹のゴブリンの襲撃を守りきったが、今度は3倍の数で復讐にやってきたらしい」

 女騎士レディーナは、真剣な表情で言う。
 村には、戦うことのできない村人たちがいる。
 冒険者たちが残した防御陣地もあるだろうが、300匹の群れに押し寄せられてはどうすることもできないだろう。

「手が空いている者は、早急にガシャイヒ村に向かってほしい。私も、できるかぎりのことはするつもりだ」

 女騎士レディーナの手にはガシャイヒ村の地図があった。前回の襲撃の防御施設の位置が書き記されている。
 300匹のゴブリンから、小さな村を守りきれるだろうか?

GMコメント

 
■このシナリオについて
 皆様こんちは、解谷アキラです。
 ファンタジーRPGの定番、王道のゴブリン退治のシナリオです。
 幻想の片田舎、ガシャイヒ村がゴブリン300匹の群れに狙われています。
 かつてこの村は100匹のゴブリンを迎え撃ち、なんとか退けました。
 なので、その時の防御陣地もあり、村人たちもある程度は自主避難しています。

・ガシャイヒ村
 200人程度の小さな集落です。若い男ではかき集めても20名程度です。
 村人たちは力仕事、単純作業はできますが、戦闘の役には立ちません。しかし、ゴブリンの襲撃でもパニックになることなく避難指示に従い、ある程度は手伝ってくれます。
 ただし、狡猾で卑劣な手伝いに出た村人から狙ってくるかもしれません。
 指示したことは懸命にこなそうとしますが、成功するかは指導次第です。

・風車
 風車は塔状になっており、過去の襲撃ではここに女子供が避難してやり過ごしました。
 十数名の弱者がすでに避難してはしごを揚げ、籠城の構えを見せています。

・納屋
 納屋は、村に4箇所あり、立てこもれます。
 風車に逃げなかった者たちは竹槍を持って構え、突入されたら防戦します。

・北側ルート
 北側は山地となっており、駆け下りて攻められます。
 しかし、山道は狭いので大群はやって来ないでしょう。
 バリケードと空堀が掘ってありますが、数が集まれば落ちるかもしれません。

・南側ルート
 街道沿いに面し、途中には流れの早い川があり、橋がかかっています。
 前回の襲撃と同じようにに、村人たちが橋を落として時間稼ぎをしています。
 ただし、ゴブリンたちもこの辺は学んでおり、渡河作戦用の雲梯や簡易筏を持っており、大した時間は稼げないようです。

・女騎士レディーナ
 先陣になって戦うつもりですが、放っておくと蹂躙されます。NPCですので村人よりちょいましです。

・ゴブリンの大群
 もはや戦術も戦略もなく、数の有為を生かして力押しでやってきます。
 しかし、それなりに知恵は回ります。

ゴブリン×200
 主力はショートソードや盾で武装した歩兵ゴブリンです。10匹に1匹は身体の大きなホブゴブリンがいます。
 20匹ほどが農作物の青田刈りをして火をかけて挑発しています。

ゴブリンアーチャー×20
 弓兵です。ショートボウで武装していますが、小回りがききます。火矢も撃ってきます。

・ゴブリンライダー×20
 狼を乗りこなす騎兵です。突破力よりも機動力です。

・ゴブリンシャーマン×4
 呪詛や呪文を使う魔法使いです。数は多くはありません。

???×55
 残り55匹はどういうゴブリンなのか情報がありません。戦場の霧というやつです。
 専門に索敵するまで不明です。もちろん、索敵にも成否があります。

・ホブゴブリンチーフ×1
 300匹もの群れを集めるだけあって力も知恵もあるようです。
 ウォーハンマーを振り回すパワータイプです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • 壮絶! ゴブリン300匹大攻勢!! ガシャイヒ村を守れ完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年06月29日 15時38分
  • 章数3章
  • 総採用数163人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

「ずいぶんやらちまったじゃねえか。思ったとおりとはいえな」

 300匹の群れを率いるホブゴブリンチーフは、座った目で呟く。
 何の価値もない、小さな村かもしれない。
 しかし、この村が100匹のゴブリンを返り討ちにし、イレギュラーズによって守られた。
 伝説になってもおかしくはない。
 300匹もの群れを率いて襲撃したのは、種族としての尊厳のためでもある。

 ゴブリンは数が多かろうと恐れるまでもない劣等種である――。

 そのように侮られる風潮があるのは、認めざるを得ない。
 しかし、ゴブリンこそは恐るべき略奪と蹂躙を行なう恐怖の対象でなくてはならない。
 だからこそ、“数の悪夢”を見せるつもりでやってきたのだ。
 その悪夢のためには、損害も覚悟していた。
 現在、半数がやられた計算になる。
 しかし、北側の高台には一門の木砲の配置が完了し、ガシャイヒ村の堅牢な野戦陣地への浸透も成功した。
 切り札の投入の頃合いである。

「ゴブリンマローダーども、準備はてきてるかッ!!」
「ギギギギギッ!!」

 現われたのは、全身を金属鎧に包んだ屈強なホブゴブリンたちである。
 群れの中より選りすぐった者たちに、刃を立てたアイアンサイドとチェーンアックスを装備させた精鋭部隊だ。
 さらに飼い慣らした猪にまたがる。
 逃げ惑う村人を追い回し、殺戮すること目的とした特別編成である。
 かれらが、残る50匹の群れを率いて突入するのだ」

「第二派、かかれええッ!!」

 ホブゴブリンチーフの号令とともに、角笛が吹かれ、合図の太鼓が打ち鳴らされた。


第2章 第2節

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
緋月・澪音(p3p007875)
壊レタ時計
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
マルカ(p3p008353)
Sweeper
フォークロワ=バロン(p3p008405)
嘘に誠に
エシャメル・コッコ(p3p008572)
魔法少女

 すでにゴブリンの軍勢は150匹が失われた。
 軍事的には、半数の損失は大隊機能が失われ、補充するか規模を縮小した運用を行うものだ。
 しかし、もともとゲリラ戦的な運用をするゴブリンたちにとってはこの定義は当てはまらない。
 何より、強い者が群れのボスとなり、それが絶対という原始的な社会のゴブリンたちは複雑な命令系統を有しているわけではない。
 哺乳類は頭部を破壊されると死亡するが、ミミズなどの環形動物はそうではないのと似ている。

「懸かれ――!!」

 重装鎧と凶暴な猪に乗った屈強なゴブリンたち、ゴブリンマローダーズが並ぶ。
 その後方から、50匹のゴブリンが続く突撃の紡錘陣だ。

「ギギギィィィィッ!!」

 猪が蹄で土を蹴って鼻息を荒らし、突進する。
 ゴブリンマローダーの武器は、チェーンアクス。すなわち鎖の先端に両刃斧をつけた特殊な分銅武器の一種だ。
 後方に続くゴブリンは、ショートスピアを槍投げ器に乗せ、投擲の構えに入る。

「まだ続けるんですか……」

 半数を失ってもなお戦意を失わず、戦おうというゴブリンたちには、『ステンレス缶』ヨハン=レーム(p3p001117)も呆れるしかなかった。
 前記したとおり、本来であれば全滅判定を受けるほどの被害を出している。

「その勇敢さを略奪ではなく世の中の邪悪と戦う為に使って頂けたら、劣等種などと呼ばれる事もないのでしょうが……」

 そうかもしれない。
 しかし、ゴブリンたちもいまさらいき方を変えられない。
 ガシャイヒ村とゴブリンたちの存亡をかけた戦いなのだ。

「多くても無限でなければ、まだこの力続く限り守り通せます!」

 『レコード・レコーダー』リンディス=クァドラータ(p3p007979)も、突撃に備えた。
 古来より、数で疲弊させてから、強力な突破力による騎乗突撃の第二波とは、用兵家なら誰でも夢見る戦法である。
 しかし、その強力な突撃を活かすのはなかなかに難しいのである。
 リンディスには、数々の兵法書やドクトリンとしてまとめられた資料があった。
 騎兵の突撃は、威力はあるが脆い。
 ある戦いでは弓矢の斉射によって止まった馬の追突で圧死し、またある戦いでは防御陣地で待ち構えた農民の農具で叩き殺されている。
 その弱点は、必ずあるはずだ。

「ここがメイドとしての腕の見せ所。どの様な強敵であろうと、ワタクシが料理して差し上げましょウ」

 『堅牢なる楯-Servitor of steel-』アルム・シュタール(p3p004375)は村人ともに板を使った急増の野戦築城を開始した。
 第一波の放火と北側高台からの砲撃によって、ガシャイヒ村の防柵、陣地は崩壊している。
 急増で防ぐしかない。

「敵の切り札を投入って状況かしらね? 機動力のある敵の対処が面倒ね……被害が拡大する前に対処しないと!」
「いやいや、話が早くて助かるっスよ。わざわざゴミの二段重ねで掃除しやすくしてくれてんスから。それにウチらの世界じゃ騎兵は銃のカモだったっスからね。さくさく掃除してきましょー」

 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)がファミリアーを飛ばして上空からの情報収集を行ない、『Sweeper』マルカ(p3p008353)は掃除するためのアサルトライフルを構える。
 突撃には、十分な阻止力を持つはずだ。

「角笛に太鼓……何かの合図ですわねー。前線のゴブリンの動きにあまり変化がないということはー……。後詰とか、かしらー?」

 始まる敵の突撃を前にして、『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は、その動きに注視した。
 第一波から、引き続き南側の主力を引き受けたユゥリアリアは、やはり包囲の動きがあると予想していた。
 実際、後方のゴブリンが、ガシャイヒ村の陣地に向かって槍の雨を降らせてくる。
 これで怯ませたのちに突撃するという戦法だ。

「まさか重装のゴブリンだなんて……! あれでは、簡単な武装では蹂躙されてしまうだけになってしまいます! 絶対に、ここで食い止めなければ!」

 『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174) は、降り注ぐ槍を斬り払いながら、前線に立ち、衝突を食い止めるつもりだ。
 一騎でも多く食い止め、総崩れを防ぐ。

「ギィィィィッ!! ヒャァァァァァァッ!!」

 そんなシフォリィを蹴散らそうと、ゴブリンマローダーが土煙を上げ、猛然と突進してきた。

「くっ……!!」

 猪の牙を、その剣で受け止める。
 重い、あまりの衝撃にか細い腕が砕けそうになった。

「今夜は猪肉のフルコースですわネ。……キャッスルオーダー!」

 アルムが村人たちとともに板を支える。
 本来なら、板切れ程度で止められる突進ではない。
 実際に、衝突の勢いで吹き飛んでしまう村人たちもいる。
 チェーンアクスが振り回される鉄の音と猪の牙を恐れて逃げ出す村人たちもいる。
 しかし、アルムは支え切った。

「ブオオオオオオオッ……!?」

 異変が起こった。なおも突撃をしようとする猪が、苦しむように嘶き、暴れ始めた。
 あらかじめスカートの中に隠していた香辛料の数々をまぶしておいたのだ。

「絵に描いた様な猪突猛進。――せいぜい、踏み台になってもらいましょう」

 直線的な突撃に対するなど、『壊レタ時計』緋月・澪音(p3p007875)にとっては児戯も等しい。
 斬撃を飛ばし、怯んだ隙への紫電一閃――。
 閃いた銀光が、ゴブリンマローダーの鎧を切り裂いた。
 反撃のチェーンアクスを弾き落とし、体勢を立て直す。
 そんな澪音に続いて突進するのは、二騎のゴブリンマローダーが互いに鎖を絡めあっての突撃だった。

「あれは、連環馬……!!」

 リンディスは知っていた。
 重装騎馬を繋ぎい威力をひとつとする騎兵戦法である。
 張られた鎖が澪音を薙ぎ払おうとする。

「はっ――!」

 とっさに身を翻して鎖を避ける。
 リンディスの声がなかったら、回避の直感に優れる澪音も危なかったかもしれない。
 しかし、連環馬となったゴブリンマローダーは、ガシャイヒ村の防御陣地を突き崩そうとする。
 だが、稲妻をまとったヨハンのライトニングダガーが降り注ぐ。
 狙いは、機動力となっている猪へ集中した。

これでもまだ騎乗主に従う優秀な軍馬……軍猪? ならイレギュラーズの皆さんの火力で仕留めてもらいます。オールハンデッド! 次は金属鎧を仕留めろっ!」

 ヨハンの合図で、待ち構えていたイレギュラーズも口火を切った。

「そうですね。機動力を奪うために猪から仕留めてしまいましょう」

 『百錬成鋼之華』雪村 沙月(p3p007273)も殺人剣・芒に月によって猪を狙う。
 騎士の軍馬よろしく猪もバーディングという鎧をまとっているが 、それでも確実に一騎の足を斬った。
 落馬したゴブリンだが、すぐに立ち上がる強靭さを持つ。
 しかし、逃さず、戦場にあってなお見る者を魅了する無月の刺突。
 まずは、1匹である。

「虎の子の鉄騎隊、ですか。ゴブリン用の鎧なんてどこで買い付けたんですかね。しかし、ますます此処を動くわけにはいかなくなりました」

 燃え落ちる風車に、なおも陣取る『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は、ステッキ傘に仕込んだ銃で狙撃を行なう。

「軍法これ全て山津波の如く、と言います。敵の主力と連動して、他の軽装歩兵も一斉に襲いかかってくるはず。重装騎兵に気を取られていては、他を抜かれますよ」

 この場面では、残るゴブリンライダーの迂回戦術を警戒するところだ。
 軽装騎兵による包囲殲滅……いわゆる鉄床戦術はどこの軍隊の教科書にも乗っているという。
 銃声が響くと、火矢を放とうとするゴブリンアーチャーに命中する。

「よっと!」

 避難を終え、崩落する風車から飛び降りて次なる標的を狙う。

「向こうの動き止めればあとは煮るなり焼くなりゴブ鍋と猪鍋ってとこっスよ。ウチのEXAと機動なめるなっス」

 ゴブリンマローダーの突撃に対し、マルカは移動しながら牽制射撃を行なうコンバットムーブによって優位を得ようとする。
 装甲が硬いなら、そうではない部分を狙撃する。
 ちょうど、猪の目などはそうした急所だ。

 タアァァァァァン!! ――銃声が響く。

「ブギィィィィィッ!!」

 赤く燃える瞳から血を流し、猪が暴れまわる。

「今回はちょーヤバそうなお助け案件な! ギを見てざるそばはなんとやらな! コッコがかれーにお助けな!!」

 ゴブリンたちの突撃に、『魔法少女』エシャメル・コッコも駆けつけた。
 プリンが好きな10歳児だが、突進に今旦する村人たちをドローンAIM PRIMALで誘導する。

「こういうのをなんと言うのだったかな。ええと……『鴨が葱を背負って来る』? ここは『猪がゴブリンを背負って来た』わけだけど」

 『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)にとってゴブリンマローダーの乗る猪は、食材であった。おあつらえ向きに、香辛料までまぶされている。
 突撃をひらりと躱し、片目を失って暴れる猪にランダマイザーの魔法をかける。
 混乱した猪は、イナリとユゥリアリアが待ち受ける陣地に突進し、集中攻撃を受けることになる。

「これがゴブリンというものですか。これでかなり減らしたというのだから驚きですね……」

 怒涛の勢いでやってくるゴブリンたちに戸惑いつつも、『主を失いし者』フォークロワ=バロン(p3p008405) は敵の情報を素早く探った。
 乱戦の中、崩れかけた陣形に割り込もうとするゴブリンたちの頭を、魔力銃で撃ち抜いていく。

「さぁ、何匹がこちらにたどり着けるでしょうか。まぁたどり着けたとしても別の地獄が待っているだけですけどね、詰めてきた敵はお願いいたします」

 ここで、3騎のゴブリンマローダーが倒れたが、敵はまだまだ健在である。

成否

成功

状態異常
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)[重傷]
白銀の戦乙女
アルム・シュタール(p3p004375)[重傷]
鋼鉄冥土
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)[重傷]
氷雪の歌姫
緋月・澪音(p3p007875)[重傷]
壊レタ時計
リンディス=クァドラータ(p3p007979)[重傷]
ただの人のように

第2章 第3節

ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏

 突撃に合わせるように、北側の木砲が火を噴いた。

 ドッ――!! ――……ダァァァァン!!

 着弾の後に、砲声が響く。
 その威力自体は、それほどでもない。命中もしなかった。
 しかし、村人たちが避難した納屋のほんの数メートルという位置への着弾は、ガシャイヒ村の人々をを大きく動揺させた。

「北側に大砲!?」

 『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)も戸惑うしかない。
 いくら命中率が低いとはいえ、狙い撃ちにされる心理的な圧迫は防ぎようがない。


「だけどこっちだってほっとくわけには……ああっもう!」
「今回は、敵も統率が取れているようですね」

 すっと『魅惑のダンサー』津久見・弥恵(p3p005208)が並ぶ。
 ゴブリンたちの渡河を妨害した後は、彼女も正面の敵に備える。

「来たのね、弥恵」
「ええ。北も騒がしいですが、私たちの舞台をきっちり盛り上げましょう」
「そうだね。敵は多いけど――」

 突進するゴブリンマローダーズに相対し、投げ槍が飛び交う中、弥恵とともに迎え撃つ。

「いい? 数を半数は片づけて相手が兵器を出してきたんならこっからはイーブンな戦争ダヨ……」
「はい。食い止めて大砲は他の方々に任せましょう」
「ええ、打って出るよっ。このまま南側の敵を全部倒す!」

 舞姫ふたりの舞台は整った。

「戦場彩る華の乱れ咲き、見惚れると怪我をなさいますよ♪」
「おさわり厳禁、現金よこせってネ♪」
「ミルヴィ様、皆を虜にしてあげましょう♪」

 群がる観客の中で華麗に踊る踊り子のようであった。
 闘牛士よろしくミルヴィが躱せば、突撃に続くゴブリンたちを弥恵の長い脚が蹴り倒す。
 ミルヴィの艶やかな目線に釣られたゴブリンマローダーに、躱しながら剣を撃ち込む。
 そしてようやく、1騎が倒れた。

成否

成功


第2章 第4節

ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
リーシェ=フィル=シトロニア(p3p008332)
銀翼の拳

「ひゃー。たいへんだって言うから加勢に来てみたら、本当に大変な事になってるしぃ!」

 『絶望を砕く者』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は目を見張った。
 ゴブリンの群れが村を襲うと聞いて駆けつけたが、想像よりもはるかに大きな事態だった。
 戦場となっているとは、思いもしなかったのだ。

「イノシシに騎乗した、鉄製の装備で固めた……ゴブリン?」
「うーむ。重装騎兵……というやつかのう。ゴブリン、こんなに手ごわい相手だったんじゃなあ」

 それは『月下美人』久住・舞花(p3p005056)にとっても同じだった。
 これまでガシャイヒ村を防衛した『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)には、まだ予想ができた範囲だったかもしれない。
 重装騎兵の装備というのは、かなりコストがかかる。騎士が鎧を一揃用意すると、城ひとつ分といわれる。
 さすがにフルプレートアーマーほどではないが、かなりの重装備であることには変わらなかった。
 しかも、歩兵を浸透させてから高機動による電撃戦となると、高等戦術の一種である。

「ゴブリンがこれだけの装備……どこから流通しているのだろうか」

 『銀翼の拳』リーシェ=フィル=シトロニア(p3p008332)としてはこれほどの装備をゴブリンという種族が自弁したことも気になる。
 そんな技術があるとは思えないから、多種族との売買で調達したのかもしれない。

「ほぅら退け退けぇーい! 鉄馬が通~るっ!」

 ゴブリンマローダーの後続が突撃を開始する前に、『一兵卒』コラバポス 夏子が道を開けさせる。

 ブルン、ブルルン! ブルルルルルル……。

 『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)のバイクが唸りを上げる。エンジンは、いい感じに温まってきた。

「ハッ! イノシシライダーってか! いいねェ、チームでのケンカを思い出すぜ!」

 エンジンの昂ぶりとともに、血も騒ぎ出す。
 元いた世界では、大型バイクチームで抗争に明け暮れていた千尋である。

「ああいったバカの突撃は鼻っ面挫いてやりゃある程度勢いは殺せる! 行くぞテメーーーーーーらァ!」

 ボーラをぶん回しながら、真正面から突撃した。
 ゴブリンマローダーも、突進する千尋目がけて突っ込んでいく。
 避けたほうが負け、そういうルールのチキンレースだ。

「これが奴らの奥の手か。だが──退いてやる訳にはいかんな。前に出る者は続け、千尋に後れを取るな!」

 『グロリアス・キャバルリー』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が号令をかけ、迎え撃つ。
 軍馬にまたがり、戦場を駈ける騎士となった。
 防御に徹していては、いずれ蹴散らされる。
 かつて、騎士たちは馬上試合のトーナメントで武勇を磨いた。
 それは双方騎乗してのランスチャージのぶつかり合いである。対処としては、正しいはずだ。

「…………ッ!?」

 突っ込んだ先頭のゴブリンマローダーは、千尋がまったく避ける気がないとわかり、思わず手綱を切った。
 すれ違いざまに千尋のボーラを食らって、猪の足がもつれる。

「はっ――!!」

 気合をとともに、舞花はこれをすれ違いざまに側面から斬り払った。

「わたしもお手伝いするよ! よろしくなの!」

 挨拶もそこそこに、ルアナはその猪の脚を狙ってレジストクラッシュを叩き込む。
 確実に、一騎ずつ潰していくというのが彼女たちの狙いだ。

「僕も前に出ている皆の力となろう!」

 前進しながらリーシェがマイトモーションによって自身の肉体を強化。拳から電撃を放って猪の鼻先にお見舞いした。

「油断などはしていなかったが──此処までの戦力を整えたのは、執念か」

 ゴブリンたちの猛攻を受けながら、ベネディクトもその勢いに驚嘆せざるを得なかった。
 敵も味方も、そして彼も満身創痍となっている。

「やむを得ん――!!」

 馬上から鐙で踏ん張り、ベネディクトは槍を投擲する構えに入った。
 戦神の加護を帯びたこの槍を放るのは、武器とその加護を手放すのと同じである。
 だとしても、ゴブリンマローダーの突撃を食い止めねばならなかった。
 この突撃を率いる頭を潰さねば、殲滅される危機は去ることはない。

「多分だけど左方! 超必殺技が大炸裂すりゃメッチャ効く~っ!」

 夏子も残る村人を率いてゴブリンたちの崩れ出している前線を狙って反撃を開始する。

「左方っすね! うおおおおお! みんな、いけええええっ!!」

 ガシャイヒ村の人々も、度重なるゴブリンたちの襲撃に場馴れしてきたようだった。

「一分一秒、少数で長持ちさせるのが、集団戦の大事なとこな……?」

 戦場は常に変化する。
 それに対応するのが、劣勢側が持ちこたえるための戦い方なのだ。


「やっぱり、遠距離からじゃな」

 アマギが、熱砂の精を使役し、砂嵐を呼び起こす。

「ぐおっ……!?」

 どれだけ頑丈な鎧をまとおうとも、微細な砂粒を守り切ることはできない。
 隙間から入り込んだ砂が、鎧の噛み合せに潜り込んで不快な音を立てる。

「あそこじゃ、一騎足が止まったぞ!」
「……わかった、ふんっ!」

 足止めを食らったゴブリンマローダーにベネディクトが狙いを定め、引き絞った軽槍を放った。
 槍は一直線に飛翔し、ゴブリンマローダーの鉄鎧を貫通したのであった。

成否

成功

状態異常
久住・舞花(p3p005056)[重傷]
氷月玲瓏
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)[重傷]
戦輝刃
リーシェ=フィル=シトロニア(p3p008332)[重傷]
銀翼の拳

第2章 第5節

ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)
鉛筆転がしの
晋 飛(p3p008588)
倫理コード違反

 村に向かって、ゴブリンの木砲が発射される。
 とうとう納屋に命中弾が出てしまった。
 避難していた村人たちが、転げ出るように逃げ出している。
 ゴブリンマローダーの突撃を食い止めているが、高台からの砲撃が防御を切り崩していく。

「しかし、大砲が邪魔ですね」

 『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)は思う。
 正面からのゴブリンマローダー部隊の突撃は、なんとか仲間たちが食い止めている。
 だが、北側ルートには、まだ木砲が一門健在であった。

「うーん、大砲はこの村にはあんまり良くないです!」

 『ハードラックとダンスなう』フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)も、木砲の存在が気になるところであった。
 突撃にも対処したいところだが、やはり上から打たれる状況が続くと、防衛上不利になるだろう。


「こんな物持っているなんて、ゴブリンの人たちけっこう運がいいですよね!」

 ゴブリンたちがどうやって調達したかは今のところ謎なので、フィナも何かしらの運が働いたようだと判断し、それで納得した。

「慌てる事はない、そう何度も撃てる代物ではない」

 木法の存在については、『パンドラの匣を開けし者』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)はそのように看破した。
 命中弾が出たが、高度な炸裂弾ではないので家屋の破壊と音による威嚇効果がせいぜいであろうと判断したのだ。
 火災の心配や人的被害はさほど大きくはないのは、幾度も襲撃を受けて場数を踏んだガシャイヒ村の人々が迅速な批判を行ったことからも見て取れる。

「それより本隊の歓迎会と洒落込もうか?」

 ラルフは、自身が食い止めるべきはゴブリンマローダーの部隊だと判断した。
 ペーパーゴーレムによる囮を用意し、惹きつけるという策を実行する。

「攻城兵器がある以上呑気に防衛戦とはいかんかね」

 呟きつつも、北側に集まった味方が木砲を破壊するまで囮による陽動を実行に移した。

「数が多いというのはそれだけで厄介だね」

 『天晶鉱龍』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)は、戦況の移り変わりを上空から把握することに努めていた。
 ゴブリンマローダーに続いて、50匹のゴブリンも突破口から浸透しようとしている。

「でも、相手の得意分野で勝負する必要性も必然性もないから、私の流儀で攻めるよ」

 そのまま、木砲を構えるゴブリンアーティラリーの発射源まで飛行状態を維持して向かった。

「私の目前で、村を壊滅などさせん!」

 砲撃地点では、木砲を守るゴブリンとこの破壊を目的とするイレギュラーズの死闘が続いていた。
 『暴風バーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)も、

「おう、怪我人は治してやる」

 『特異運命座標』晋 飛(p3p008588)は、負傷者への治療に余念がなかった。
 彼には、この世界に来る前から学んでいた医療知識と薬学の心得がある。
 やってきたばかりとはいえ、冷凍睡眠を繰り返して戦い抜いたベテラン兵士である。

「ギギギィッ!! 敵襲だゴブ!」

 砲撃の指揮を執るゴブリンシャーマンが新たな襲撃を察知し、ゴブリンアーチャーとゴブリンレンジャーに防衛を命じた。
 その敵陣で、モカの毒蜂乱舞脚が唸りを上げる。
 上空からは、ェクセレリァスの蛇腹剣が切り裂いていく。

「さあ、しがみつきましたよ!」

 この乱戦の中、あろうことかフィナが砲口にしがみついた。

「こ、こいつ!」

 ゴブリンたちが群がり、引き剥がそうとする。
 どうせ袋叩きにされても、アバラ一本ですむという根性の入った妨害であった。

「集まりましたね? 下がっていてください」

 そこに向かって、リュティスが魔砲発射の構えに入る。
 木砲ごと、群れを薙ぎ払うつもりだ。

「わわっと! うまくいきました。やっぱり運がいいです」

 十分に惹きつけた瞬間、フィナは一気に離れた。
 全身の魔力が集中し、ほどばしった一閃が木砲ごと群れを引き剥がした。
 散り散りに逃げるゴブリンには、上空からェクセレリァスの無慈悲な爆撃が襲いかかる。
 瀕死のゴブリンに晋飛が駆け寄り、自白剤を利用した尋問を行なう。

「残りはどうした?」
「も、もう北側は全滅だゴブ……!?」

 後続の部隊はおらず、後は正面を食い止めればいい。
 重要な情報が得られた。

「やっぱ恐怖で縛る奴ぁ恐怖で寝返る、単純だわなっと」
「なら、この突撃を防げば勝利は目前のようだね」

 ワイヤートラップで仕留めたゴブリンを確認すると、ラルフは次なる敵へ向かった。

成否

成功

状態異常
フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)[重傷]
鉛筆転がしの

第2章 第6節

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ

「ゴブリン相手に馬は要らないと思って顔を出したら、なかなかどうして」

 『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は嘆息した。
 ゴブリンたちも群れをなせば、戦争のひとつもできるようになるのだ。

「騎兵の止め方知ってるでしょ」

 これに微笑んで『騎兵隊一番槍』レイリ―=シュタイン(p3p007270)は答え、構えに入る。
 キャッスルオーダー――。隙も見せぬ不動の構えである。
 頼もしいレイリーに、イーリンはふっと肩をすくめたのち、正面のゴブリンマローダーに向き直った。

「――対突撃戦、マローダー狩りよ! 重歩兵の本領を見せて頂戴!」

 イーリンの呼びかけに、レイリーは雄々しく答えた。

「装備だけの子鬼ども! 臆病な子鬼ども! 私を倒せるか!」

 大音声でゴブリンたちの前に仁王立ちである。
 その挑発に、猪たちが怒涛となって突撃する。
 その突撃に大してイーリンが放ったのは、チェインライトニングである。猪の足元に、のたうつ蛇のごとく稲妻が走った。

「ブモッ!? ブモオオオオオオオッ!!」

 たまらず、猪たちが叫びを上げる。
 しかし、イーリンのこの攻撃も、囮に過ぎない。
 魔力を込めたカリブルヌス・改が放たれる。
 紫電の燐光が突撃するゴブリンマローダーを穿った。
 さらに穴を作り、突撃を誘い込む。この戦場で、空堀の役目となるだろう。

「このぐらいで充分?」
「ありがとう、うまくいったわ」

 レイリーの問いに、イーリンが頷く。
 作戦がうまくいったことを確認し、ふたりはすかさず後退した。

成否

成功


第2章 第7節

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカ(p3p000996)
悪食の魔女
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
諏訪田 大二(p3p001482)
リッチ・オブ・リッチ
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢

「……!」

 『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)は戦況の展開を鋭く察知した。
 リュティスたちが大砲を破壊し、ガシャイヒ村もゴブリンマローダー隊の突撃に釘付けにされながら釣瓶撃ちにされるという危機から脱したのである。
 気がつけば、猪にまたがったゴブリンたちが向かってきている。

「……。ギャウ」

 アルペストゥスは吠えた。
 それは好奇と、歓喜の感情であったかもしれない。

(いのしし……。美味しそう……)

 肉をつけてやってくる猪は、たしかに食いでがあるだろう。

「……グルルゥ……」

 喉を鳴らし、押し寄せるゴブリンマローダーとそれに続く徒士のゴブリンたちにナイトメアバレットの魔弾を放つ。

「さすがに、こちらの損害も無視できなくなってきたね……負傷している人は集まって!」

 マルク・シリング(p3p001309)が陣地に下がった人々の回復を担当する。
 絶え間ない攻撃によって、イレギュラーズも村人たちも無傷ではすまなくなっている。

「ゴブリンどもめ、一体いつまでやるつもりなんだ……」

 村人たちも、さすがに弱気になっている。
 マルクとしても、その気持は十分に理解できる。
 しかし、村の存亡をかけた戦いであり、やめるわけにはいかない。

「もう敵に予備戦力はないはずだよ。此処を凌ぎきれば、僕らの勝ちだ」

 すでにゴブリンたちの戦力は半壊しているのだ。
 最後まで粘り続け、生き残るしかない。
 それに、ガシャイヒ村の苦境を知って援軍も駆けつけている。

「派手にやってるなぁ! ゴブリンの大群なんてそれこそゲームみたい!!」

 『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)もそのひとりである。

「う~~~~ん、どこに行こっかなぁ」

 現代の村の状況を見回して、朋子は考える。

「むふふ、だったわワシとともに北側に来んかね?」

 迷っている朋子を誘ったのは、『リッチ・オブ・リッチ』諏訪田 大二(p3p001482)であった。

「うん、そうだね、そうしよう! いくら手狭で敵の通りにくい隘路っていっても、素通りさせる理由なんかないもんね!」
「ヤングマンたちが北側を制圧したのだ。防衛が楽になるだけではないぞ。この北ルールを逆に辿れば、敵の本陣を側面からつけることになる」
「そっかぁ~~~!!」

 そう、ゴブリンたちは南を正面とすると北側の山地から側面を突いて挟撃しようと目論んだのだ。
 これを逆に考えれば、南の本隊を止めながら北側側面を辿って挟撃できるということでもある。
 
「グフフ……。ゴブリンどもの詰めの甘さ、今時の言葉で言う“そういうとこ”じゃぞ?」

 ことリスクと利益の損得になると、大二の頭の冴えは眼を見張るものがある。
 朋子もこれには感心した。

「ワシの独自の情報網と戦略眼、それに地元のダチコーの協力で概ね割り出すことができる。機動力もあるゆえ、ワシがヤングマンたちを先導しよう」

 ルートについては、自白剤を使ってゴブリンの口を割らせた仲間がいる。問題なく山地を抜けられるはずだ。

「相当ぶちのめして一切怯えないなんて、こいつらの精神構造って狂ってるのかしら? 馬鹿みたいにかったいみたいだし……」

 一方、『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)はゴブリンの旺盛な戦意と侵略欲に呆れていた。

「んじゃ、リカちゃんの出番よね?」

 そう言って、前に出る。
 みずから、突撃の標的になった。

「ああっ!? 下がってください、危険です!!」

 村人たちも、気が気でない。
 いかにイレギュラーズが一騎当千だとしても、あの勢いと数を前にしては押し切られてしまう、そう考えるのが当然だった。

「大丈夫、ゴブリンがサキュバス相手に勝てるものですか。さあ、かかってきなさい、タイマン勝負よ」

 サキュバス――すなわち夢魔。それが彼女の正体であった。

「ギギィ、あの女から血祭りゴブ!」

 突撃してくるゴブリンマローダーに、魔剣グラムを構えて立つ。
 瞬間、切っ先が三日月を描いて鎧を切り裂く。
 そのまま激しい炎の輪が一群を取り囲んだ。

「ほぉ! 重装突撃兵とはなかなかに気合入ってんな! だが、切る札の数はこちらだって負けてねぇんだぜ?」

 敵軍の動きに感心しつつも、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)も戦力の投入にかかる。
 正面から数で押し、重装騎兵の突撃というのはゴブリンにしては出来すぎた戦術だ。
 しかし、いいようにやられてやることもない。

「今だ、ぶち抜け!」

 ゴリョウみずからも突撃に向かい、仲間たちを率いて前に出る。

「たかがゴブリン、されどゴブリン。低級の魔物とされますが侮ってはいけません」

 駆けつけた『悪食の魔女』シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカ(p3p000996)も、村人たちを勇気づける。

「おお、シズカ! かたじけない!」

 女騎士レディーナも、戦友の登場に顔をほころばせた。

「レディーナ様、村人の皆さんを集めてくださいませ。これから陣を守ります」
「わかった、みんな来てくれ!」
「さて村の皆さん――槍衾、という戦い方をご存知でしょうか?」

 シズカは、そう言って槍を持つように指示する。
 槍と言っても、農具や木の杭、竹槍などの即席武器がせいぜいだが、数を揃えれば脅威となるのはゴブリンたちが証明している。
 シズカの指導のもと、槍を並べて構えて隙間のないように構える。
 これで突撃してきた猪も返り討ちに遭うだろう。
 賢しく迂回したなら、それでもいい。
 突撃の勢いを削げれば、ゴリョウたちに続いて反撃に移れるのだ。

「こんだけ数が揃えば十分厄介だねぇ! ったく、よく分からんところで無駄に高い士気を維持しやがって!」

 壮観な軍容に感心しつつも、『救い手』ヨシト・エイツ(p3p006813)は突撃を食い止める村人たちに回復を行なった。
 勇気づけられた村人たちは、ゴブリンマローダーと続いたゴブリンたちを食い止め、反撃する。

「レディーナさん気をつけて、麻呂はさすがにすーぱーつよそう、麻呂だし、がんばろ」
「え……?」
「あいつら、ゴブ麻呂でしょ」
「あ? ああ、なるほど。わかった」

 麻呂……それがゴブリンマローダーだと気づくのには、レディーナも少し時間がかかった。
 『妖精騎士』セティア・レイス(p3p002263)の言語感覚は独特である。
 村人たちがゴブリンマローダーを食い止めている間にそのまま前線に上がり、暴風のように剣を振り回した。

「グオ、こいつ!」
「罠にひっかかったゴブは、畑とか作物だよ。三人で脱穀するか耕して」
「おおっ! 皆の衆、耕せえぇぇぇっ!!」

 村人たちは、一斉に襲いかかる。
 騎士をもっとも殺した武器は、フットマンズフレイルだという。これは、農民たちが振り回す長柄の脱穀機である。
 いかに重装甲であろうが、その鎧の上から殴られる衝撃には、耐えられない。

「青田刈り、かってにすれば。おまえらを干し肉にしてたべればいいから」

 ごろり……と揉みくちゃにされたゴブリンの腕か転がり落ちた。
 アルペストゥスも、逃げ回るゴブリンを追い回している。

「ち、ちくしょお……。コイツら、ただの村人じゃねえゴブ!?」

 度重なる襲撃が、ガシャイヒ村の人々を歴戦の戦士に変えたのかもしれない。農民とは落ち武者狩りもすれば、略奪もする獰猛な集団にもなりうるのだ。

「さあ、いきますよ!」

 シズカ、ゴリョウが農民たちとともに一気に押し返す。

「グフフ、横っ腹を疲れた気分はどうだ!」
「いくよ、デルさん!!!」

 大二と朋子も横合いから攻撃を開始した。
 暴虐の悪魔が炎を上げ、ゴブリンの群れを包んでいった。

成否

成功


第2章 第8節

無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星
コルウィン・ロンミィ(p3p007390)
靡く白スーツ
ミンティ・セレーニア(p3p007959)
特異運命座標
エレン(p3p008059)
豊穣神(馬)
長月・イナリ(p3p008096)
狐です


 ドッ――!!

 ずっしりと腹に響く発砲音と、続いて金属をぶち抜く甲高い音。
 駆けていたゴブリンマローダーが横倒しに吹っ飛んだ。

「補充人員のお届けでござるよ!」

 納屋の上から、アンチアストラルライフルを構える『跳躍する星』糸巻 パティリア(p3p007389)の到着であった。
 銃声は、その一発だけではなかった。

「ふむ……なかなかの突撃力。しかし足を止めれば、良い的だ!」

 こちらも対戦車ライフルignorance over collapseを構える白スーツの『靡く白スーツ』コルウィン・ロンミィ(p3p007390)である。

「青田刈りに加えて、猪まで連れ込むとはなんということを……! この世界には蛮族しかいないのか……!?」

 豊穣界からやってきた『豊穣神(馬)』エレン(p3p008059)にしてみれば、実りを刈り取るなど信じられない行為であった。
 しかし、今は天罰を下そうにもまだこの世界にやってきたばかり。元神といえど、新米である。

「突撃してくる相手は受けるよりも挟み込むのに弱いはず」

 さいわいなことに、味方は北側から挟撃するルートを発見している。
 そのためには、今突撃している正面を抑え切らねばならない。
 エリンは馬脚で駆け巡り、みずからを囮とした。
 その背後には、ゴブリンたちを叩き殺した村人たちも控えている。

「悪を焼尽させる愛と正義の爆炎! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」

 めらめらと燃え落ちる風車を背景に、『魔法少女インフィニティハートD』無限乃 愛(p3p004443)がふたたび名乗りを上げる。
 乱戦となった村人たちに加勢するべく、さっそくマジカルサイクロンを発動させた。

「ゴ、ゴブッ……!?」

 たちまちピンク色の暴風が包み、ゴブリンたちを巻き上げていく。これぞ、魔法少女がお届けする愛である。

「シズカさんに依頼されて来たけれど……これ、結構ハードな感じなのでは……?」

 すでにシズカも村人一眼となって矢衾を展開しており、本格的な戦場となっていることに『特異運命座標』ミンティ・セレーニア(p3p007959)も息を呑んだ。
 とはいえ、呆けていることも許されない。
 槍衾を切り払おうとするグレートソード持ちのホブゴブリンの斬撃を守りながら、反撃して押し返す。

「……くっ、とにかく数を減らす事を優先しないとね!」

 ガシャイヒ村とイレギュラーズは、終始優勢ではある。しかし、数の脅威を漸減しなければ、この戦いは終わらないのだ。
 突撃の圧力に屈することなく、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は剣山の構えで対処した。
 攻める側にも反撃のダメージが与えられる。
 これに対し、一旦馬首を巡らせて2騎のゴブリンマローダーが連環馬を組んで破ろうと鎖を絡ませた。
 しかし、そのとき――。

「助太刀にござるよ!」

 立体機動で大きなアンチアストラルライフルを抱え、戦場を飛び回るパティリアの狙撃が命中したのだ。その1騎が倒れると、もう1騎ももつれあって倒れる。

「よし、狙いはあいつだ」

 ここぞとばかり、コルウィンのミスタ・デスペラードで全弾を発射する。
 敵の突撃に対しても、陣形は持ちこたえつつあった。
 しかし、それでもなおゴブリンたちが数の上で優勢であった。

「弓兵隊、射て射てえぇっ!!」

 後衛に続くゴブリンアーチャーが陣に穴を開けようと矢の雨を降らす。

「みんな、一旦下がって備えるんだ!」
「は、はい!」

 囮を務めていたエレンが号令をかけ、村人たちを後退させる。

「いかなる悪の目論見も愛と正義の前には無意味であると、ここに示しましょう」

 何を思ったか、そこに愛がにっこり微笑んで魔砲を構える。

「お、俺たち味方ですかから!?」
「さあ、ご安心を! インフィニティハートの回復魔法です!」

 魔砲をぶちかますかに見えて、NEW魔砲で回復させるという愛の特殊手段である。混沌特許出願中らしい。

「私の耐久だと少し不安だけど、近接戦闘を挑むわよ!」

 引いたところに押し寄せてくるゴブリンマローダーに、天孫降臨・春雷建御雷によって神の力を宿したイナリが超高速の一撃を叩き込んだ。

「こちらはなんとか支えきりました。ご安心を」

 村人たちの槍衾と連携し、ゴブリンたちの接近を追い払ったミンティが言う。

「じゃあ、戦況を確かめなくちゃね」

 ひと息ついて、イナリはファミリア-を上空に飛ばす。
 ゴブリンマローダーも大半を返り討ちにしたが、まだ乱戦は終わらない。


成否

成功


第2章 第9節

ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
アンネリース(p3p004808)
炎獄の魔女
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
メルーナ(p3p008534)
焔獣
晋 飛(p3p008588)
倫理コード違反

「マローダーのほうも気になるけど、たぶん働かされすぎて過労だーとか言いながら自滅するでしょ」

 戦況を見て、『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)はそのように判断した。
 猛威を奮ったゴブリンマローダー部隊であったが、村人とイレギュラーズによる防御陣地の強固さによって壊滅しつつある。
 さらに、引き際を追撃するように攻め立てられている。

「向こうも必死だろうから痛手を被るだろうけど、それがあるから楽しいんだ。さあ、殺したり殺されたりしよう!」

 『炎獄の魔女』アンネリース(p3p004808)が凄惨な戦場に躍り出る。
 アンネリースには、村を守るだとかイレギュラーズの使命といったものはなかった。

 暴れられるなら、なんでもいい――。

 残忍で純真な衝動が赴くままに行動する。
 引き上げるゴブリンたちを追い、村の外まで押し返していく。

「あははは、待ってよ!」
「な、なんなんだゴブ……!?」

 ゴブリンすら、戦慄を覚えるほだ。
 マギシュートを放ちながら、アンネリースは逃げ惑うゴブリンを追いかけてくる。

「ズイブンと『おもたそうな』ゴブリンさんだね? かわいいイノシシさんにものっているみたいだけど……ナーちゃんが『かるく』してあげるよ!」

 防御陣地の杭を引き抜いたのは『『アイ』する決別』ナーガ(p3p000225)だった。
 これを軽々と突撃する猪の鼻先に投げつける。

「ブモッ!? ボオッ……!!」

 うめき声をあげて倒れる猪と転げ落ちる鎧のホブゴブリン。

「く、くそう……」

 起き上がった彼が見たものは、笑みを浮かべて迫るナーガであった。

「じゃ、『かるく』するよー!」

 ゴブリンマローダーの鎧をむしり取った。
 尋常ならざる腕力によって、簡単に鉄の鎧がひしゃげてしまう。

「は、離っ……!?」
「『かるく』なったでしょ? ナーちゃんったらとってもエラい!」

 にっこり微笑むと、力を入れた拍子にホブゴブリンも泡を吹いて白目を剥いた。

「うん、あっちは大丈夫そうだ」

 ふたりの奮戦を見て、セリアは安心して北側ルートに向かう。

「ギッ、ギギギギ……。よくも!」

 北側高台、木砲は破壊されていたが、瀕死のゴブリンシャーマンが最後の一発を打ち出そうと手をかける。
 しかし、そこにセリアの星夜ボンバーが炸裂した。

「ほ、砲がやられたゴブ!?」

 派手な爆音は、ゴブリンたちの切り札が破壊されたと雄弁に告げていた。
 動揺して浮足立つゴブリンたちに、イレギュラーズの猛攻が開始された。
 セリアの星夜ボンバーは、高らかと勝利を告げる凱歌となった。
 占領地となったことを示す、軍機の代わりとなったのだ。

「ふん――なぁに? 耐久と勢い重視の突撃兵ってワケ? それならまぁ、私の出番ってとこかしら」

 巨砲を抱えた『焔獣』メルーナ(p3p008534)が言い放つ。
 人呼んで、世界征服砲。

「将を――とか認めたくはないけど、仕留めたいなら、まずは馬からだっけ?」

 ゴブリン相手に“将”などと認めるつもりはないが、この格言は実戦でも有効だ。

「これでも――喰らいなさい!!」

 後方の狙撃武隊とともに、まずは一発ぶっ放す。
 狙うは、猪たちの足元だ。

「どうやら決戦の時だネ。アタシも混ざるよ~」

 地上からの砲撃に加え、上空を飛行する『劫掠のバアル・ペオル』岩倉・鈴音(p3p006119)が支援を行なう。
 負傷した村人、イレギュラーズの傷も癒える。

「じゃあ、もう少しだから張り切っていこうか~」
「おおう!!」

 村人たちも、さらに気合が入ったようだ。これほどの数のゴブリンを食い止めていることが、大きな自信となっている。

「けっ……カスどもが。何度来ようが何をしようが無駄だってんだ!」

 ゴブリンマローダー部隊を撃退しても、なおゴブリンたちが群がっている。
 斧で斬り払いながら、『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)は吐き捨てるように言った。

「こちとら山賊だあ。てめえらが好き勝手奪うってんなら、おれさまも好き勝手に奪ってやるまでよ」

 これほどの大軍を相手に、やはり無傷というわけはいかない。
 ライトヒールでみずからを癒やしながら、死にものぐるいのゴブリンたちを屠っていった。

「ギッ――!?」

 火矢を放つゴブリンアーチャーも、前線までやってきたのはグドルフが斧をくれたので最後だ。
 後は後方にどれほど残っているだろう。

「北の敵は全滅って話だ。AGが呼び出せるようになったし、機能テストとやっておきますか」

 『鋼鉄の冒険者』晋 飛(p3p008588)がAG(アームドギア)を呼び出した。
 通信から、2分ほどで3メートル級の二足歩行の戦闘ロボットがやってくる。さっそく乗り込んでみるが、反応はいまいちである。

「弱くなってたのは知ってたが出力の足りねぇ攻撃しか使えねえじゃねぇか!」

 とはいえ、ぼやいている暇はない。
 なんとか駆けつけ、戦闘に参加する。

「……っと、残りはどんなもんだ?」

 ゴブリンたちの反撃を喰らいながらも、晋 飛は敵残存戦力の解析を試みた。

「貴様らなんぞにやられないゴブ!!」

 言いながらも、ゴブリンたちは南の本隊に合流しようと引き上げていく。
 向こうも、そろそろ余裕をなくしているようであった。


成否

成功

状態異常
晋 飛(p3p008588)[重傷]
倫理コード違反

第2章 第10節

ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏

「北側は決着ついたっぽいよ! よーしならあと少しっ!」
「ミルヴィ様、行きましょう。不埒なゴブリンさん。私たちの舞台はこんなものじゃありませんよ!!」

 『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)と『魅惑のダンサー』津久見・弥恵(p3p005208)のふたりが、残存するゴブリンたちの群れを相手に舞いを始める。

「さあ来いっ! アタシが相手だ!」

 ふたりが引き寄せたゴブリンマローダーを、ミルヴィが十六夜の剣舞によって恍惚に導いていく。
 美しい弥恵の肢体に、吸い寄せられるように集まったゴブリンを、叩いて叩いて叩きまくった。
 弥恵の舞は、死薔薇の舞踏――。
 猪たちを毒の沼に沈めていく。もはや、そこから先に逃れる術はない。

「私たちの舞は、これからですよ」

 妖艶に笑って弥恵が言った。

「アタシの踊りは笑顔を作り、この剣は笑顔を守るために!」

 ミルヴィも、微笑み言った。
 本心で言えば、ゴブリンたちであろうとも傷つけたくはない。
 今は争うしかないが、いつかきっと平和が来る。そう信じる。

「はっ――」

 弥恵の龍炎舞踏が、炎の龍を呼び出して赤々と燃える。
 ミルヴィが二刀を構え、嵐のように一群の中を駆け抜ける。

「畜生! 全軍後退! 一旦立て直す!」

 ホブゴブリンチーフが、引き上げの号令をかける。
 切り札の木砲も沈黙し、頼みのゴブリンマローダー部隊も壊滅した。
 ガシャイヒ村を襲うゴブリン、残り50匹――。

成否

成功

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