PandoraPartyProject
All You Need Is Power
――帝都スチールグラード、市街。
家々は硬く門を閉ざし、くすんだ空と黒い太陽の下には銃声が響いている。
人々は飢えを凌ぎ、身を寄せ合い、怒りをひた隠しに耐えている。
街は戦場だった。ただの地獄だった。
帝都東部では一つの戦いが終わったが、街中に天衝種が蔓延ったままだ。
蓄積された疲労は大きく、誰しもが極限状態だった。
「……これが私の役割だったということか」
人は宿命というものを背負うことがある。
それは往々にして最終局面で直感するものだ。
自身の命さえ引き換えに、何事かを成し遂げねばならない時にやってくる。
今、北辰連合旗を掲げるベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)の魂が燃えていた。
全軍に付与したクラウソラスの強大な力――大精霊の神力降臨の源は彼女の命の輝きそのものであるかのように、ベルフラウ自身をも焼き尽くそうとしている。
人の身に余る力の顕現は、代償なしには成立しえない。
ならば供物が生命そのものであることに、なんら不思議はなかろう。
ベルフラウの意識が遠のきつつある――そんな時だった。
光の中に垣間見えたのは、優しそうな老婆だった。
子や孫に囲まれ、遠い眩しさの中へ消えゆく刹那、老婆が振り返る。
そして何かを呟いた。
「……ヘザー?」
その光を遠くアーカーシュから見たジェック・アーロン(p3p004755)が呟く。
ベルフラウが次に見たのは、豊かな髭を蓄えた偉丈夫――シグバルドだった。
「そう……あの爺さん」
ゼファー(p3p007625)は溜息一つ。
彼もまたベルフラウを振り返り、大笑しながら何かを叫んだ。
そして業火の中へと消えてゆく。
調停者にして戦乙女のエメラインが、二つの魂を分け隔て導いたような。
そんな幻想だったように思え――
「――リッテラムへ御旗を掲げるは貴様の役目と命じたはずだ!」
「……父上」
そんな一喝に、意識が引き戻される。
燃えさかり、灰になろうとしていた魂を、何かが救ってくれた気がする。
刹那の幻想の中でヘザーが言っていた。こちらへ来るのはまだ早いと。
シグバルドが言っていた。貴様がヴィーザルを統べて見せよと。
だからここで倒れる訳にはいかない。
アラクランを構成する魔種の一角であるエーヴェルトを打ち破った雷神の輝きは、ローゼンイスタフ全軍に光を与えていた。その一兵までもが手にした剣や銃に目映いばかりの輝きを纏っている。
そんな時だ。
街中のラジオから、街中各地の放送塔から、陽気な声が聞こえてきたではないか。
「おれたちは独立島アーカーシュ。ちょっくら耳を貸しちゃあくれないかい」
ドラムが重いリズムを刻み――
「――聴いてくれ。All You Need Is Power!」
力強いインストが街中に流れ、鉄帝国民の心に火を付ける。ゲリラライブだ。
つづけて故郷を想う旋律をヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)が歌い始めた。
更にはアツくてクサくてドデカい演奏が響き渡る。
時は今だと、立ち上がれと、訴えている。
「この機を置いて他にない。市街東部と北部を完全に制圧する」
ヴォルフ・アヒム・ローゼンイスタフ(p3n000288)は全軍に告げた。
かつて怨敵同士だったローゼンイスタフの精鋭達と、ノーザンキングスの荒くれ者が光の武器を手に、互いに顔をあわせ、勝ち気に笑い合っている。
北辰連合が再び進撃を開始する。
帝都南西部では、帝政派とザーバの連合軍が陣を構えていた。
「ようやく頃合いだのう」
前線基地の司令室で『塊鬼将』ザーバ・ザンザ(p3n000073)が呟いた。
そして立ち上がり、居並ぶ兵達の元へ歩いて行く。
全軍がザーバを敬礼で迎えた。
整列なんて出来ていはしない。
立っているのもやっとな者も居る。
棒きれに掴まっている者も居る。
将軍の前でさえ、座り込んだまま立ち上がれない者だって居る。
だがその全てが、ザーバへ熱い視線を注いでいた。
「イレギュラーズは今も戦っておる。だがこの国は誰のものか考えてみい。人が一人で生き抜くには過酷すぎる大地で、身を寄せ合う拠り所は、誰が守るべきなのかとの」
連合軍が再び動き出した。
最後の作戦だ。
その名は――ヴィルヘルム。
再び市街で交戦が始まった。
イレギュラーズの猛攻によって、新皇帝派のレフ・レフレギノ将軍を失った南西部方面軍は、ザーバ率いる旧正規軍によって一気に押され始めた。
同じく、アラクランの将ターリャを打ち破った独立島アーカーシュも、その『火力』を叩き込むため、帝都中心部へ徐々に移動を開始している。
残る戦いは市街中央部のグロース師団、新たな国を作らんとするアラクラン率いるフギン=ムニン、そして本丸である冠位憤怒バルナバス・スティージレッドだ。
「最後の一押しを始めましょうか」
大闘技場ラド・バウの中心に立つビッツ・ビネガー(p3n000095)が艶やかに微笑むと、喝采が上がった。
狩人闘士ペッコが弓を取り、門の外へ歩いてゆく。
そこでは襲い来る天衝種へ、剣を構えた悪辣ガッツが口角をつり上げた。
「やれ老骨にはこたえるわい。さっさと行くぞ小僧共!」
ライフルを撃ちながら突撃してくるアラクラン兵の前に立ちはだかったのは、全身鎧で大盾を構えた『裁きの大門』ゼラー・ゼウスの姿だった。
全ての闘士達が、ついにリッテラムへ向け進撃を開始したのだ。
「あなたと共闘する日が来るとはね、だが悪くない。私達の勝率は100%です」
「ここは引き受ける、進め!」
カリストと背を合わせたヴァイアが叫ぶ。
ナターシャが舞うように敵陣へ斬り込み、ヤーナの炎と共に踊る。
「右大胸筋が、こちらだと告げている!」
「ギェェェェェェェ!」
「マイケルも『今がこの時だ』って言ってる」
「かっとばせー! ターイーターンー!」
胸をひくつかせたアンドリューが力強く拳で指した先では、タイタン桜沢が『おばはん』ラウスター、それからウォロクやマイケルと共に魔物を吹き飛ばした。
ガゼルが、メイスが、ジェイビーが、カタラニアやシェラと共に進撃している。
「やれやれ、こんな化け物ごときをこの僕に、ね」
「痛かったらさっさと降参して下さいね」
ファクションに
シェフォン、名だたるスター達の姿も見える。
「貴様如きが、このダアラに勝てると思うか!」
「さっさと終わらせないとね、こんな馬鹿みたいな戦いなんか」
「オラァッ、つまんねえんだよ、アタシに本気ださせろや木っ端共!」
ダアラが、ティセが、ウヴェーリが――遂にA級闘士達までもが破竹の勢いで敵陣を切り裂いて往く。
「おい見ろよ! 街中が試合みてえじゃねえか!」
「革命派って連中が銃をしこたま抱え込んでいるらしい」
「別に革命がしてえ訳じゃねえ、取り戻してえだけだろ」
「新皇帝ぶん殴るんなら、革命でいいじゃねえか!」
「がはは! ちげえねえ!」
家々から人々が姿を見せ始める。
鬱屈した怒り――憤怒を吹き飛ばすように、歯を見せて笑っている。
何かが徐々に、変わり始めようとしていた。
※帝政派ザーバ派連合:
最終闘争――ヴィルヘルム作戦が開始されました。
決起の時が待たれています。
※ラド・バウ独立区:
闘士大集結が発生し、帝都中心部へ向けて進撃を開始しました。
※革命派:
帝都市民達が武器を求めて殺到しています。
最終闘争が開始されようとしています。
※北辰連合:
神輝クラウソラスの真価が発揮され、北辰連合全軍が光の加護を纏いました。
三つの魂の最後の『願い』によって、発動に伴うパンドラ減少が大幅に低減されています。
黄金飢狼とユーディアの加護の元、帝都東部地域と北部地域の制圧作戦を開始しました。
※独立島アーカーシュ:
鉄帝国の歌が奏でられています。
帝都中心部にそびえる城リッテラム上空への移動を開始しました。
※All You Need Is Power(鉄帝国のテーマ) 作曲:町田カンスケ
※<鉄と血と>の決戦シナリオで戦勝報告が挙がっています!
※『フローズヴィトニル』の封印を開始するようです。
※王城リッテラムの戦況が変化しました!
※最後の切り札『人民軍』が発動しました。グロース将軍との戦いは最終フェーズへと突入します!
※独立島アーカーシュより、勝利の報が届いています!
※イレギュラーズの手に入れている切り札が大いなる力を纏っています!
※スチールグラード帝都決戦が始まりました!!
※領地RAIDイベント『アグニの息吹』が始まりました!!
※帝政派、ザーバ派は連合軍を結成している為、勢力アイテムが『帝国軍徽章』へと変更されました!
※ラサでは『月の王国』への作戦行動が遂行されています!
鉄帝動乱編派閥ギルド |
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これまでの鉄帝編|ラサ(紅血晶)編|シビュラの託宣(天義編)
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