PandoraPartyProject

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ヨモツヘグイ

 豊穣が一角に存在する常世穢国――
 かの地に在る城内は一部で騒然としていた。
 城内に予期せぬ侵入者がいたからである。
 この地は、魔種たる偲雪の力によって支配されている場所。
 よって。侵入者の類がいれば偲雪がすぐに気付けるはずであった――しかし。
「ほう。侵入されるとはな――実に面白い。森や街での行いは陽動だった訳か!」
「面白い話ではないぞ。私もすっかりと目を奪われてしまった……」
 『四神』玄武による霧の加護や、神使達の幾つもの陽動などによって完全に注意を散漫にされていたのである。その行為が面白いかのように、かつてこの国で『干戈帝』と呼ばれたディリヒは高笑いし『常帝』と呼ばれた雲上なる老人は吐息を一つ零していた。
「あわや偲雪の遺骨が破壊される所だったのだぞ。お前は何をしていたのだ」
「ふむ。久遠なる森でがいてな。少し遊んでいた」
「遊んでいたではないわ」
 頭を抱える雲上。一方のディリヒはよもやの事態があっても楽し気に笑うばかり。
 ……しかしかの雲上もあまり他人の事は言えない。なにせ佐藤 美咲(p3p009818)などの陽動に引っかかり、城の事に気付くのに遅れたのだから。
「偲雪。やはりこの男は駄目だ。もういっそのこと始末しよう」
「だめだよ! ディリヒは信用できないけど、すっごく強いから頼りになるもん!」
「ははは――お前達、本人を前にして言う事かね」
 ――彼らはいずれも豊穣の国をかつて統治した事がある帝達だ。
 『正眼帝』偲雪は鬼とヤオヨロズの差別をなくさんと奔走した帝であり。
 『干戈帝』ディリヒは闘争の時代を駆け抜け楽しんだ帝であり。
 『常帝』雲上は只管に豊穣の世の中が平穏である事に努めた帝だ――
 この地は偲雪を頂点として纏まっている。
 干戈帝と常帝らはそれぞれの事情によって彼女に協力している形だ。
 ……しかし今この地には危機とも言える事態が訪れている。
 それが神使達の到来。まぁそれは久遠なる森にて行方不明事件を生じさせていた偲雪らの行いによる結果なのだが、ともあれ。
「――で?」
「ん?」
「お前はイレギュラーズ達を招待して歓待したのだろう? それがどうだった」
 ディリヒは問う。偲雪へ――イレギュラーズ達との対話はどうだったのかと。
 わざわざ懐にまで引き入れる行いをして成果はあったのかと。
「ん~……この国をもっともっと外にまで広げようって誘ったんだけどね。ほとんど断られちゃった」
「だろうな」
「でもね! 友達になろうって言ってくれた人は沢山いたよ! その中でもね――
 星穹ちゃんや瑠々ちゃんは協力してくれるって言ってくれたもん!」
 にこやかなる顔の偲雪――その背後にいるのは百合草 瑠々(p3p010340)星穹(p3p008330)だ。彼女達は明確に偲雪に協力を示した二人である……その礼に、偲雪から一つの『華』を送られる程に。
「ああ。アンタの言う世界が広がるのなら――
 誰もが平和に過ごせるんなら、それが一番良い」
「ええ……私も、そう思います。ですから参りましょうか、偲雪様」
「……」
 同時。そんな彼女達の背後にて沈黙しながら座しているのは――愛無(p3p007296)だ。
 愛無は賛同したわけではない。どちらかと言えば、星穹の事を見ている形だ。
 彼女に何かあれば海向こうの皆に――合わせる顔がないから。
 そして。偲雪と友達になりたいと申し出たイーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)の姿もあり。
(……そんなに怒らなくってもちゃんと聞こえてるよ、オフィーリア)
 彼は己が脳内に響く人形の声を聴きながら――偲雪を見据えるものだ。
 イーハトーヴの胸中は星穹や瑠々と異なり、味方になろうと傾いている訳ではない。
 この先の未来に貴女の望むような協力者になれるかはわからない。
 だけど――少なくとも今は――
「ほう。イレギュラーズにも色々いるものだな!」
「ディリヒ。お前も神人の一人として人の事は言えまい……それよりも」
「うん。そろそろさ、この国の人数も増えてきたし……
 瑠々ちゃん達が協力してくれるなら『やりたい事』もあるからね」
 意味深な。笑みを偲雪は浮かべて。
 彼女は微笑む。どこまでも変わらず。どこまでもどこまでも――笑顔の儘に。

「そろそろこの国を『外』に広げていこうか――皆が笑顔になれる世界を、もーともーとね!」


 <仏魔殿領域・常世穢国>ヨモツヘグイ の報告書が届いています――

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