PandoraPartyProject

ギルドスレッド

足女の居る宿

銀砂通り・喫茶店

かつて銀の取引でにぎわっていた通りの一角。古本屋と軽食屋が並ぶ中にその店はあった。
扉は飴色のニスでつやつやして、はめ込まれた色ガラスの向こうでは気難しそうなマスターがグラスを磨いている。
扉を開ければ染みついたコーヒーの香りが出迎えるだろう。

しかし、この店の名物はコーヒーではない。
マスターが気難しく、偏屈であるがゆえに極めた製菓技術、その粋、「完全(パルフェ)」の名を冠する甘味こそ、訪れる客の大半が求める品である。

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
ジョセフ様、ジョセフ様は何になさいますか?
(混雑する時間をさけた為か、割とスムーズに席に座れてご機嫌でメニューを開く肉人形が微笑み首を傾げた。
開かれたメニューにはコーヒー等と飲み物のメニューと、その横に季節のフルーツの名前を冠したパフェが列挙されている)

ああ、いちご、いちごもいいですね。オレンジも鮮やかでおいしそう。
まぁ、もう桃もあるのですね。ううん、ううん、いちご、桃……。やだ、チーズケーキパフェもあるなんて……。

(パフェを食べる時に邪魔にならないよう白いリボンでポニーテールにして挑むレベルで気合の入れようだ。きっと尻尾があったら千切れんばかりに左右に振っていたに違いない)
(低く唸りながら、広げたメニューを熱心に見つめる仮面の男。目の前の少女と同じかそれ以上か。少なくとも劣ることはない。)

ううう……うむむむ。迷う、迷うな。
やはりここは酸味と甘味のバランスが取れた柑橘……いや、桃のとろける甘さも捨てがたい……。

ああ!目移りしてしまうな!自分ではとても決められそうにない!
……ジョセフ様、ここは二人で別々のものを注文いたしましょう。
そうして時にパフェを交換し合えば二種類の味も見た目も楽しむことが出来るはず。

(つっと視線が下に落ちて)

それに、その、私多分、とてもパフェを一つ食べきるのは出来そうにないので、途中から手伝って頂きたいのです。
(うむ。と唸って顎を撫でる。)

……そう。そう、であるなあ。二種類か……それでも……いや。
そうしよう。うふふふ……『わけっこ』というやつか。こう、良いな。良い響きだ。別けるのは好きだ。

構わんよ。君の助けになるならいくらでも。
では……こうしようか。
(仮面の下で微笑み無造作にメニューを指差す。迷ったときは天に任せるに限るのだ。
指差す先はいちごパフェ。)
よかった。

(一番の懸念であった己の小食という問題が解決され安心したように微笑んで)

む、では、私はこれで。

(ぎゅっと目をつむり、パフェの名前があると思しき場所に人差し指を落とす。
目を開けて確認した文字は……)

いちごと、もも、ですね。
素晴らしい!

(ぱん、と手を叩く乾いた音と共に仮面の口元がスライドする。覗いたのは白い歯。)

いちごと、ももだな。素敵な導きと言えよう。……ああ、待ち給え、私が頼もう。

(傷だらけの手を挙げて店の者を手招く。待ち切れないとでも云うように、仮面越しにも浮ついた気配が滲み出る。)
(偏屈そうなマスターに変わり、ウエイトレスが注文を聞きに来るだろう。
ご注文はお決まりですか?等と、応答はマニュアル通りだが笑顔と動作が人懐っこい)

(肉人形はおまかせしますね、と微笑んでジョセフの様子を見守っている)
(ウエイトレスに軽く会釈を返し、メニューに視線を落とす。)

やあ、どうも。
パフェをふたつ。いちごと、ももをひとつづつ。それ、と……

(仮面が礼拝の方を向く。)

飲み物は食後がよいかな?
熱いコーヒーなどでも。
そうですね、冷たいものの後は暖かいものが恋しくなりますもの。
では、私は紅茶を。ミルクもレモンも要りません。

(ウエイトレスは注文を聞き終わると、形式通りに内容を確認して厨房へ注文を持って行くだろう。
そう言えば、先ほどまでグラスを拭いていたマスターは厨房に入り準備を始めている様子だ)

ふふふ、楽しみですね。
ご存知ですか?ここのパフェは造形も凝っていると評判なのです。
ほほう、それは楽しみだ。
私、こういった所には疎くてな。甘味もこちらに来てからやっとまともに……む、前に話したか?

(仮面が僅かに傾ぐ。が、直ぐにまた起き上がって白い歯を見せた。)

まあ、いいか。
どのようなものが来るかな。本当に楽しみだ。
……以前、チョコレートをお気に召して頂けた様なので。

(聞いた、とは言わなかった。ただ、甘みを好む嗜好であると確信が得られたから、という事のみ示した)

本当に。私も噂でしか知らないので楽しみで。
ああ、でも夢のようですわ。肉人形に過ぎない私がただの娘の様に喫茶店を訪れるなんて。
ああ……グラオ・コローネの。

(勿体ぶるような、うっとりとした口調で呟く。そうすれば甘い香りと味と、記憶が蘇るかのように。)

ここは混沌。何でも有りの混沌の渦。ふふ……初めは神に見放されたのだと思ったが、今は中々悪くない。いや、これ以上とない幸福。
このように君と…………おや、来たようだ。
まぁ!

(きた、との声に体をひねって仮面の向く先を見るとそこには輝かんばかりに瑞々しく華やかなフルーツの塔が二つ。
ウエイトレスが自分の目の前に運んでくるのも待ち遠しく、そわそわしたまま自分の前に桃のパフェがおかれるのを待って……)

嗚呼……。

(目の前に置かれた瞬間、ため息が零れた。
細長い三角錐の深いグラスの頂点には、瑞々しい桃が丸々一個乗っている。
ただ乗っているだけではない。慎重にスライスされたそれは薔薇を形どっていた。
太陽の光をいっぱいに浴びて薄く桃色に色づいた果肉は正しく今の季節咲き誇る春薔薇を連想させて美しい。
柔らかな身を一体どのようにすればこのような形に整えられるのか想像もつかず、ただただうっとりと眺める事しか出来ない)

こんな、こんな美しいもの、どうやって食べればよいのでしょう。
形を崩してしまうのがもったいなくって、ずっと眺めてしまいそう。
(まず目を引くのは紅と桃色がかった白の二色の苺。見慣れぬ白い苺に暫し、これも旅人が持ち込んだものかと思案する。しかしそれも一瞬のこと。すぐに思考は繊細かつ華やかなパフェの美しさに支配された。
こちらの果実も薔薇の形に細工されている。小ぶりな果実を潰さずどうやってここまで細工したのか。低く縁が大きく拡がったグラスに二色の苺が盛られた様は、まるで薔薇咲き乱れる花束のよう。)

んん……。

(仮面の下で目が眩む。儚いもの、脆いものは苦手だ。乱して、掻き回して、暴虐に晒してしまいたくなってしまう。
しかし衝動を押し留める。それよりも、今は儚い美をそっと愛でよう。)

……ああ、よく分かるよ。どうしたものか。このままずっと愛でていたいものだ。しかし……『これ』はそうもいかない。
ああ、困ったものだ。

(パフェと、パフェ。そしてそれをうっとりと見つめる鏡のような黒い瞳。さまよう視線を仮面で隠す。)
(そう、困ったものなのだ。
この薄桃色の薔薇はとても艶やかで芸術的で美しい。
しかし、窓からの光を受けてつやつやと輝く桃の断面はまさしく蜜のそれで、甘やかなクリームの香りもこれが食べ物であると保証している。
しかもこの冷えたグラス!この冷たさを察するに中にはきっとアイスクリームやソルベが待ち受けているに違いないのだ。

造形を愛でたいという思いより、少しだけ早く食べたい、早く食べなければという思いに傾く職人の技がある。)

ああ、でも、食べ物ですし。
もったいないですけれど、頂かなくては……。

(仮面で隠された視線の移動。気付かないままに「自分と同じように圧倒されているよう」に見えるジョセフの顔をちらりと伺ってから)

いただきます。

(小さなフォークで桃で作られた薔薇の花弁を一枚刺して、形を崩さない様にそうっと引き抜いて)
(一口)

……!!!

(黒瞳がまんまるに見開かれてジョセフを見る。
口を押えて咀嚼しながら、こくこくと頷く顔にはわざわざ口に出して言わなくても伝わりそうなほどに「おいしい」があふれている)
ああ、頂こう。

(黒い瞳がこちらを見た。それだけで笑みが溢れる。
あの目のなんと愛おしいことか。スプーンを持つ手のなんと愛らしいことか。ああ、甘味を得た小さな唇はどのような形を結ぶのだろうか。
いつまでも眺めていたい。しかし、パフェを放っておく訳にもいかない。こちらもスプーンを手に取る。)

この職人技。感嘆だ。
一瞬で無くなってしまうものにこのような手間暇を…

(白く冷たいクリームと紅色の苺が纏めて掬われる。ゆっくりとそれを口に運び、そして、また言葉を続けるつもりであった。
だが、続かない。)

……困ったな。

(本当に困った。これは選べない。)
(果実はフォークで持ち上げられた事が奇跡の様に感じるくらい柔らかくて舌で押せば簡単に崩れていく。
それから口の中いっぱいに広がるのは甘く瑞々しい桃の果汁だ。果肉に付いた生クリームの甘みにも負けないほど濃厚で、しかし生の果実らしくさっぱりとした味わいが飲み込んだ後も芳香となって口の中に残る)

おいしい……。

(名残惜しそうに飲み込んでから、すぐさま桃パフェの器をジョセフへと寄せ)

ジョセフ様。ジョセフ様も食べてくださいませ。
私だけが食べるだなんて、もったいない味わいです。

(おいしいものを見つけて、共有する。
テーブルの下で足がぱたぱたと踊っているのはきっとそんな喜びに浸されているからだ)

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM