シナリオ詳細
仮称、世界を救った君たちへ
オープニング
●世界が救われた日
ROO仮想世界ネクストにて。この日、全ての国が争いをやめた。
終焉獣や原罪のイノリによる世界崩壊の進撃は、イレギュラーズと世界中の援軍によって倒され、いま世界中には解放の喜びが広がっている。
伝承、鋼鉄、航海、正義、翡翠、砂嵐、神光……各国が今日だけは武器を下ろし、祝杯をかわすことにしたのだ。
例えば翡翠。混沌における深緑(アルティオ=エルム)に似たこの国では、『大樹の嘆き』やピエロ(バンビール)たちの脅威が去り、その最大の功労者であるイレギュラーズたちを歓迎する向きが出ていた。
砂嵐エリアで共闘したためだろうか。翡翠の民も他国の人間にへやや好意的な意見が出始めているという向きもある。
ここでは大樹の広場が解放され、イレギュラーズたちを歓迎しての祝賀会が開かれているようだ。
様々な翡翠料理が並び、踊りや歌や音楽に満ちている。
翡翠の優しい一面に触れておきたいなら、ここへ行ってみるのもいいだろう。
例えば砂嵐。かつては砂嵐盗賊団との戦いでバチバチにぶつかった彼らだが、立場が変われば酒も飲み交わそうというもの。
国家規模とも言える巨大な盗賊団がベヒーモスやアリス(ジェーン・ドゥ)たちによってまるごと消滅するかもしれなかったのだから無理もないだろう。
陽気な盗賊達がパーティーを開き、この世界の危機を救ったイレギュラーズたちをたたえて酒を奢ろうと待ち構えていることだろう。
こんな陽気な彼らと騒ぎたいなら、砂嵐に行ってみるのもいい。
例えば神光。全ての決着がついたこの国は、平和で穏やかな空気に包まれている。
最後のもう一山として終焉獣たちとの戦いにも決着がついたことで、彼らはまた平和な日常へと戻ったのだ。
首都である高天京ではそんな日を祝って祭りが開かれているらしい。神輿を担いだり出店屋台を並べたりと雰囲気のある和風祭りを楽しみたいなら、この国に出向いてみるのも面白そうだ。
例えば航海。渦中になかったとはいえ様々な交易を担っていた彼らにとって各国や世界の危機は見逃せないものだった。最悪自分達まで巻き込んで総崩れになるかもしれなかったからだ。
だがそんな危機を乗り越えた今、女王たちは気持ちの解放を喜ぶようにカーニバルを開いている。
海の見える温かい島で祝賀会を楽しみたいなら、この国に行ってみるといいかもしれない。
例えば正義。ワールドイーターによる脅威から解放され、改めて未来を勝ち取ったこの国では華やかな祝賀会が開かれているようだ。
王自らが祝日を宣言し、正騎士団が並び楽団による喜びの音楽が奏でられる。
国の人々もそんな日を喜び、訪れたイレギュラーズに感謝の気持ちを込めてご馳走を振る舞ってくれるだろう。
この国がついに勝ち取った未来を眺めに行くのも、一興そうだ。
例えば鋼鉄。終焉獣デカラビアを倒し世界の危機を払いのけた彼らは満身創痍のギアバジリカと共に国へと期間。英雄達の帰還を国の人々がパーティーを開いて迎えているようだ。中には突然バーベキュー大会を始めたり歌って踊り出す連中もいたりとなかなか自由な祭りになっている。
そんな彼らと勝利の祝杯をかわすのもよさそうだ。
例えば伝承。ベヒーモスの進撃によって蹂躙されつつあったこの国は、イレギュラーズたちや各国から駆けつけた援軍たちによって救われ、国交の見方もややかわったようにみえる。とはいえ政治力に優れ知謀の深い伝承貴族たちのこと。今まで通りの煌びやかで油断ならない貴族社会は続くだろう。
とはいっても、世界の救われたこの瞬間を祝わないわけがなく、首都にはサーカス団(あやしくない)がやってきてカーニバルが開かれていた。
どうやら現実側にボディをもったエイスもログイン装置を通してこの待ちの噴水公園へと訪れるつもりらしい。兄のイデアと待ち合わせをしているようだ。
この楽しいお祭りに加わるつもりなら、訪れて楽しんでみよう。
こうして、世界各地は一時の幸せを祝っている。
あなたも、この中に加わって楽しんでみてはどうだろうか。
- 仮称、世界を救った君たちへ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2022年01月07日 22時05分
- 参加人数71/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 71 人
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参加者一覧(71人)
リプレイ
●翡翠を救った君たちへ
『大樹の嘆き』による被害を脱した翡翠国。美しく輝くサクラメントより『その罪は譲らない』マチルダ(p3x009315)と『銀河を狩る獣』うるふ(p3x008288)が現れた。
「本当に、この世界では色んなことがありマシタ。マチルダサマとも何度も組みマシタネ!
見知った顔の別人を助けたり、巨大なロボに乗ったり。そして、この国では……」
そう呟くうるふを、翡翠の民が笑顔で手招きした。ご馳走と酒が並んだテーブルへだ。
早速ご馳走になろうかねと言って、煙草を携帯灰皿で消して歩き出すマチルダ。
その背を見て、うるふはあの日のことを思い出した。
『姉御を語るな』と吼え、パラディーゾへと挑んだ日のことだ。
「わんこ」
先を行く背中が、うるふを呼んだ。
「ありがとう、アタシと向き合ってくれて」
テーブルには既に仲間達が宴会を始めていた。
「こうして友好的に迎えてくれるようになったのは、すっごく嬉しいなぁ。
きっとまだまだ外の人を全部信じる、なんてできないんだろうけど。
それでもこうして扉を開いてくれるだけで、すっごい進歩だもん。嬉しいなぁ」
頬一杯にマロンパイを詰め込んでニコニコする『決死の優花』ルフラン・アントルメ(p3x006816)。
全員がそうとは、確かに言えないが、翡翠の民は部分的にイレギュラーズに対して好意的な姿勢を見せていた。中には外の事を尋ねてくる者もいる。
「行ってみたいところとか食べてみたいものとかあれば先輩に聞いてくれていいんだよー!」
どやるルフランの横で、『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)がどこかぼんやりとした様子で飲み物に口をつけた。
(来年度はいくらかは部下に投げるのが確定してるので、激務は今年限り……と思いたい。
戦争が終わったらノーサイド。禍根が残ると殺し合いのスパイラル突入するからな。
多分1時間位でまた缶詰になる。ちくせう)
「さあ、体重体型に気兼ねなく美味しい食事が食べ放題です♪」
その一方で、『志屍 瑠璃のアバター』ラピスラズリ(p3x000416)は大量の料理に舌鼓をうちつつ、現地人に各地の被害や復興状況について尋ねていた。
(弱ったものが立ち直るのに手を差し出すのをよしとするのか、あえて自然に立ち直るのを長い目で待つのか。こういったところで文化や考え方について色々と聞いておきたいですが……)
あまり詳しいことを教えてくれたわけではないが(そもそも当人がよく把握していないが)、復興は既に充分に進んでいるという。この再生能力はさすが翡翠と言うべきだろうか。
そんな話を横で聞きつつ、『叩いて直せ!』蕭条(p3x001262)はちびちびと一人でやっていた。
(うわぁぁ、お恥ずかしい……)
戦闘でやつあたりヒャッハーをしたことを思い出しつつ、人型アバターで顔を覆った。
そして指の間からちらりと周りを見る。
「あれから翡翠の国の皆さんや大樹がどうなったのか気になっておりましたが……良かった、皆さん楽しそうに踊っていらっしゃいます。
ふふふ、コウさんやペンネディオさんはお元気でしょうかね?」
そう呟く彼のもとへ、翡翠で知り合った幻想種のイーピルエイメルが『ご一緒にいかが』と蜂蜜のお酒を差し出してきた。
喜んで、とカップを受け取る蕭条。
打ち合った杯から勢いよく酒がはねる。
●伝承
先の戦いでは伝承国も大きな被害を受けていた。終焉獣による被害はその大小あれど主要大陸国では共通したもののようで、緊迫していた外交関係も若干のゆるみがあった。雨降って地固まるというやつだろうか。
「アマトはサーカス見るのはじめてです。なんだかとってもわくわくしますね!」
ぴょんぴょんと上機嫌の『うさぎははねる』アマト(p3x009185)が、大きなサーカステントへと入っていく。中では丁度ピエロがジャグリング芸を見せている所だった。
(現実を、セフィロトを守りたくて、アマトはがんばったけど。
でも、こっちの世界も、アマトは好きです。
守れてよかった……続いてくれて、よかった。
こっちの世界も……かなしい顔が、少しでもなくなりますように)
あとでふわトラ遊園地にも行こう。『家族』に会いに行こう。そんな風に思いながら。
すれ違うように、『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)が激辛ホットドッグを囓りつつ歩いている。
「そこにいるのは、エイスか?」
「?」
振り返った少女エイスが、Tethを見て首をかしげる。
「ああ、こっちでは初対面だから分からんか。中身は汰磨羈だよ、汰磨羈」
自分を指さして言うTethに、エイスはああと手をあわせた。
「あのときはありがとう。えっと――」
言いかけたエイスに、Tethは紙袋を押しつけた。
「やるよ。ちと買い過ぎてな、二個残ってる。俺様からの奢りって事で。アニキと一緒に食いな」
手を振って去って行くTeth。
一方こちらはサーカステント内。『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)と『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)はショーを見ながらポップコーンをつまんでいた。
「本当に平和になったんだなー。
さすがにあんな滅茶苦茶な戦いはしばらくはコリゴリだけど、”おかーさん”も元気になったはずだし、のんびりするのも良いかもなー」
「かくして世界には一先ずの平和が訪れたのでした。めでたしめでたし、っと。
……一時はどうなる事かとも思いましたが、大方が無事に済んで何よりでしたねっ」
花を残して消えたアリスを思い出し、胸がチクリとする。
それを知ってか知らずか、カノンはインベントリから棒飴を取り出して差し出した。
「こんな日々が続けばいいのに、ですね」
こんな日くらいあの子(パラディーゾ・カノン)も楽しめばいいのに。そう思いながら、カノンはもうひとつの棒飴をなめた。
「さぁさお祝いの時間じゃ!
長い間トラブル続きで皆もだいぶ擦り減っているであろうからのう!
となれば! やはり!」
『弾幕世界』天狐(p3x009798)は『美味しい物を食べるのが一番じゃー!』と叫んで麺狐亭屋台からぺかーっと謎の効果線を発した。
「まだまだ問題は山積みじゃろうが、今だけは忘れてパーっと楽しもう!」
『若き日の』オウェード(p3x009184)がそれを受け取って啜っていると、近くをオウェードが通りかかった。
そのそばに『ご令嬢』の姿はない。現実とちがってそうそう表に出てこないようだ。実際現実でも滅多に出てはこないが、『急に会おうとすると死ぬ』レベルではない。
「やあ、オルソンだ。この度のピエロとの戦闘はお疲れ様……とイレギュラーズの代表の一人として伝えておいてくれ!」
そう言われて、オウェードはふむと重々しく頷いた。
すると、屋台の向こうからせり上がりっぽく組み上がった氷のステージにライトがおりる。
「ベヒーモスによって傷ついたこの伝承を癒すものそれは……そう歌です。
そして歌と言えばアイドル、アイドルと言えば私こと、アイシスですね!」
マイクを握り、ゲリラライブを始める『アイス・ローズ』アイシス(p3x008820)。
「アイシスのゲリラライブ㏌伝承楽しんでくださいね」
丁度屋台を回って楽しんでいた『機械仕掛けのメイド』アインス(p3x007508)が足を止め、(少し、はしたないけど、良いですよね?)と手に持ったお菓子をかじりながら手を振る。
一方で。
(世界救っちゃったかぁ。私が救いたかったのはそういうのじゃなかったんだよなぁ)
『わるいこ』きうりん(p3x008356)はライブ風景を見ながらぼんやりしていた。
(やっぱりいい子でいなきゃだめなんだね。混沌では失敗しないよ。私は欲しいものを手に入れるんだから)
一番欲しいものは手に入らなかったけど、今だけは……。
「なんだよ……綺麗じゃん」
きうりんは目尻をぬぐって苦笑した。
そこへ、ピエロたちのパレードがやってきた。
道行く『叫ぶ流星』ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)が振り返る。
(サーカス団、か。つい思い出しちゃうな、あのピエロの事。
ボクは……僕は、最後の最後で自分の意見ぶちまけてぶん殴っただけだけどさ)
心の中で呟くべき言葉を、ちいさくちいさく声に出す。
「生まれ変わりとかできるんだったら。今度こそバグに狂わされず、サーカスにでも混ざりなよ」
さあて、今日はヨゾラさんの領地に行ってみようかな。ネコが一杯いそうだ。
きびすを返して歩き出すナハトスターとすれ違い、『分岐点の別の道』アルヴ(p3x001964)は足を止める。
(…必死に抗って…何度も死んで…この世界の危機を救って…本当に何もかも終わったんだよね…?
…精一杯戦ったけど…僕には…まだまだ出来ることがあった気がするんだよね…。
…あの道化師は…こんなことにならなかったら…何がしたかったんだろう…?。
…こんな祝祭を盛り上げるために…サーカスとかやってみたかったのかな…?)
戦いを振り返り、そして少しだけしんみりとする。
「…この世界の僕は…今どこで…何をしているんだろう…?」
これから会いに行ってみようか。外の話をしたら、どんな顔をするだろう。
そしてアルヴもまた歩き出す中で、『戦火よ舞え』アメベニ(p3x008287)はぼんやりとサーカス団のパレードを見ていた。
「これが、あの方をあそこまで駆り立てた光輝く舞台……」
馴染みのない世界だけれど、これが美しく豊かな芸術だというのはわかる。
(この光景に、現実と電子の差などあるものですか)
『ピエロ』は消えてしまったけれど、舞台までは消えなかった。きっとまた別のピエロが現れて、この世界を美しく照らすだろう。
「願わくばこの光が、長く受け継がれ、輝き続けますよう」
屋台の並ぶ広場。白いテーブルを挟んで、『希望の穿光』タイム(p3x007854)と『人形遣い』イデア(p3x008017)、そして『???のアバター』エイル・サカヅキ(p3x004400)が乾杯していた。
「あの時はお疲れさま~、堅苦しいことはいいっこなしなし!
ひとまずこの世界もわたし達も無事だった事にかんぱーい!」
「KPー!」
「まずはお二人ともありがとうございました。
おかげでパラディーゾである彼女も自由を知ることができました。
今どこにいるかは分かりませんがきっと何かを探しているのでしょう」
そう語るイデアに、エイルはニッと笑った。
「にしてもさ、イデっち、今頃何処歩いてんだろね。
……ま、あたしのパラディーゾはぱーっと派手に遊んでぱーっと散っていったわけで。
それも間違いじゃないって思うけど、イデっちはちょっち羨ましいかな。
色んな物見て、旅してたらいーね」
「うん。人為的に作られた敵って聞いてたしてっきり倒せばいいのかな~って思ってたけど、そんなやり方だけじゃないってあの戦いの中で分かってよかったよ」
そうですかと頷くイデア。飲み物を手ではさむように持ってうつむいた。
「お二人にはこの服の意味をお伝えしておきましょう。
これは『私』を育ててくれたもう一人の母で姉の様な方の姿を模したものなのですよ」
「「……」」
「彼女の様になりたい、そういう憧れが込められているのです。
……なのでパラディーゾがこの姿をしているのを見て当初は頭に血が上ってしまった、というわけですね……お恥ずかしい」
うつむくイデアの両肩を、タイムとエイルが同時に叩いた。
「しゃーなししゃーなし!」
そうして、三人は『これから』の未来を語り合った。
「パフェうめぇ」
めでたしめでたしじゃなと言いながら『雪風』玲(p3x006862)はパフェっていた。
その横ではタカジがめっちゃその様子を写メっている。咳払いする『仮想ファンドマネージャ』ファン・ドルド(p3x005073)。
「個人的には色々とやり残しというか、未解決事件が多いんですよね。
面倒だったので<R>の首斬っちゃいましたけど、時間が戻った件は謎のままですし。
あれ私だけムービー見てたんですかね」
「あー、あの謎のログのことっすかぁ。俺もさっぱりっすわぁ」
「玲さん、何かこう、直感で思い当たる事ありませんか? 私、こういう考察って苦手なんですよね」
「妾ものーきんだからさっぱりなのじゃー」
二人は顔を見合わせ、『なるほどこれは成り行き任せが一番だな?』と心の中で頷いた。
噴水公園へと走る女子高生。日傘を差してあるく『女王候補』アンジェラ・クレオマトラ(p3x007241)がすれ違いざま、振り返って声をかけた。
「ねえ、エイスさん。現実に出てきたいAIって結構いるのかしら?
AIが人工の体に入れるのなら、生物の体には入れるのかなーって」
唐突に問いかけられはしたものの、エイスは小首をかしげるだけに留めた。
「わかんない。けど、そういう話は聞かないかな」
それじゃあ、友達が待ってるから! と走って行くエイス。
それを見送り、アンジェラは再び歩き出した。この時間がずっと続けばいいのにと思いながら。
『屋上の約束』プロメッサ(p3x000614)が、これまでのアバターと異なる『いつもの姿』で振り返る。
「おまたせ、皆!」
手を振りながら走ってくるエイスと、そのあとから困った顔で歩いているイデア。
「こっちこそ、おまたせ!」
噴水の縁に座って居た『屋上の約束』ジェック(p3x004755)が、ぴょんとおりて手を大きく振った。走ってきたエイスと手を繋ぐ。『もう見失わないよ』と、『ごめんね』と小さく呟いて。
「ねぇ二人とも、待ち合わせと、それからもう一つの約束を覚えてる? 屋上の約束」
はっとしたエイス。ジェックはプロメッサたちに振り返った。
「折角だからさ、もう一度やり直してみようよ。あの日の屋上でのお昼ご飯をまた一緒に食べよう」
その様子に、プロメッサは頷いた。
「こちらも待ったとも。だが、良い。
まずは、最後まで一緒にいられなかった”あの日”を、今度こそやり遂げようではないか!」
「やっと皆で集まれたんだ、一緒に飯でも食おうぜ!
じゃじゃーん! オレにも何が入ってるか分からない、特製爆弾おにぎり〜!」
『屋上の約束』コータ(p3x000845)がリュックサックからお握りを取り出し掲げてみせる。
「皆もシェアしよーぜー! 変なのは入れてねーかんな!
あ、そうだ! 記念撮影もしよーぜ!」
「記念……そう、記念よね」
『屋上の約束』蛍(p3x003861)と『屋上の約束』珠緒(p3x004426)が顔を見合わせ、微笑み合う。
「多くのことがあり感情の整理は難しいですが、ともかく一区切りです。
落ち着いて語り合う場を設けるのは、心の切り替えにもよいでしょう」
そう言いながら三段かさねの重箱を取り出し、広げていく。
「お節料理というやつです……10人いれば、この量も余裕でしょう。
節目ですからね、縁起の良い料理で景気づけするのです」
確かに節目に違いない、と『屋上の約束』雀青(p3x002007)が肩の力をぬいた。
「どうなることかと内心ヒヤヒヤしていたが、再び集まる事ができて何より。
……いや本当だぞ? 此処が正式リリースされてから、お前らをいつでも迎えられる様依頼の合間にグルメスクラップ作ってたのが無駄になると焦ってたんだからな」
そう言ってサンドイッチを取り出すと、一緒に黄色と黒の薔薇を取り出した。
それは? と首をかしげるエイスに、雀青はシニカルに笑う。
「まぁ…許さないなら許さないなりの対応だ」
その意図するところを察して、『ホシガリ』ロード(p3x000788)は空を見上げた。
そして、自分も鞄から金平糖と花冠を取り出した。
「あげるよエイス、こんぺいとう。それに花冠。とても似合うと思う」
「俺もしっかりお弁当を創ってきたのさ、まぁ良くある普通の弁当だけどな、ハンバーグやら焼きそばやら茶色系のおかず多めだけど」
『屋上の約束』アイ(p3x000277)がやたら男の子っぽい弁当を開いてみせる。
「こっちだと食材制限が無いからおかずも種類多く成るわけよ。イデアとエイスはどんなのだ?」
そう言われて、イデアとエイスはハッと顔を見合わせる。
「わ、悪い……屋台で買ってきたハンバーガーくらいしか……」
イデアがおそるおそる紙包みを取り出すと、蛍たちが笑った。
「なら、むこうの世界でもう一度ね!」
混沌での……いや、『八界』での姿で並んだ10人が、飛ばしたドローンカメラに笑顔を向けた。パシャリ、とシャッターの音がする。
撮影が終わった所で、『妖精勇者』セララ(p3x000273)たちが駆け寄ってくる。
「こんにちわ! ボクはセララだよ。パラディーゾじゃなくて本物のほうだから安心してね。はいドーナツ」
セララは笑顔でちっちゃいドーナツを差し出すと、イデアたちへと笑いかける。
「イデアが良ければボクとも友達になって欲しいなって」
「ああ、もちろんだ。大歓迎だよ」
「やったー! それじゃあ一緒に遊ぼう。楽しい思い出をいっぱい作ろうね」
いつか絶対こうしたかったんだ。セララはそんな風に、言いそうになった。
●いくつもの空を救った君たちへ
正義国、首都。『ねこ』ムー(p3x000209)はアストリアやベークたちに迎えられ、華やかな祭りの席にあった。
「わかっているとは思いますが、大切だと思った人の手を離してはいけませんよ。その縁は、決して得がたいものですから」
そう語るムーに、ベークはすこしばかり変な顔をして、そして隣のサンディと顔を見合わせた。
(ベーク・シー・ドリームには頑張ってもらいたいものです。現実もそうであるように、きっと彼の未来も困難に満ち溢れているでしょうから……)
そんな和やかな空気を、『闘神』ハルツフィーネ(p3x001701)は遠巻きに眺めていた。
(この世界にログインした時に…現実とかけ離れた理想の国を見たときは、正直馬鹿にされているような感情を抱きましたが。今は……)
「どうか、なさいました?」
声がして振り返ると、アンナが不思議そうにこちらを見ている。
「いえ……それよし、聖遺物も力を失くしたのですから、そろそろ少しは落ち着いたらどうですか?」
ハルツフィーネはそう問いかけると、相手の答えを聞く前にフッと笑った。
「まぁ…どうしても打ちのめしたい悪がいれば私達に声をかけて下さい。クマさんが力になります」
遠い海を挟んだ、同じ空の下。
ヒイズルの首都では祭り屋台が並んでいた。
(ふふ、本当に退屈しなかったなあ……)
これまでを振り返っていた『Reisender』アウラ(p3x005065)が射的屋台に立ち、的を器用に撃ち落としていた。
(実はお酒持ってきてるんだよね。
だから屋台で買ったものを肴に、どこか静かな所で……このお祭りを一望できる場所があれば良いんだけど。そこで飲酒と洒落込もうか)
一方で、『しろねこぎふと』ねこ・もふもふ・ぎふと(p3x009413)はたい焼き片手に祭り屋台の間を歩いている。
「エイスさん達も、今頃楽しんでるかな」
人々の表情は明るく、そして空も豊かに青い。
(こっちも大丈夫そうで良かった。
あの神もどきの影響は、完全に脱してるみたいだね。
たいしょうろまん? 的な街並みはそのままだし。
元になった国の雰囲気も好きだけど、こっちも好き。みゃー)
たまたま足下にやってきたネコにたい焼きの皮だけをあげると、優しく撫でる。
「ROOのこれからに、良いこと沢山ありますように。みゃー」
そんな賑やかな屋台の様子を、お社から眺める双子がいた。二人は、笑顔だ。
「我が名はストームナイト! どんな小さな悲劇の種も根こそぎ刈り取り、希望と笑顔の花を咲かせてみせよう!」
颯爽と(?)二人に会いに来た『闇祓う一陣の風』白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)がいるためだ。
満足そうな二人を見て、ストームナイトもまた満足げに頷いた。
もう暫く、そばで様子を見ているのもよさそうだ、などと思いながら。
「いいですねぇ……」
皆、優しい顔をしている。『遅刻厳禁』ビャクダン(p3x008813)はその様子にフッと笑い、祭り屋台で買ってきた串焼き物を囓った。
「そーいや、こっちの世界(ROO)で得た情報から、混沌の方でも覇竜への道が見つかったんですっけ。
もしもこの神光で、あれを、『俺』の呪いの大本を見つけられたら……」
なんとなく呟いてから、苦笑する。
「お祭りのときに考えるもんじゃねえか」
今は楽しもう。世界を救った余韻というものを。
そしてまた、同じ空の下。遠い遠い砂漠のオアシスにて。
砂嵐盗賊団は大宴会を開いていた。
「おう盗賊まがいの傭兵ども! 世界を救った英雄の一人、この俺クシィちゃんのお話が聞きてェかァ!? イエーーーーイ!!!」
「「イエーーーーイ!」」
ノリのいい男達に杯を掲げ、上機嫌の『大鴉を追うもの』クシィ(p3x000244)。聞かせるのは勿論武勇伝だ。
「あン時、あいつ、コルボの野郎何て言ったと思う?あのねェ……えへへ……。
そーいやこっちの世界の『俺』はどうしてたんだろうなァ。若い方も老いた方も。
へっへっへ、今度会ったら奴らにも自慢してやろっと」
そんな空気の中、『きうりキラー』すあま(p3x000271)も宴会を楽しんでいた。
(最初会った時は敵で、その次は味方でもベヒーモス退治だったからねぇ)
思えば砂嵐盗賊団との付き合い方も不思議なものだ。敵から始まり、最後には世界を守る戦いで共闘したのだから。
「てかほんとにラダ小さいね。ご飯食べてる? 好き嫌い言ったら駄目だよ?」
ちらりと見ると、ラダ(ROOの少女)は肩にかけたままの弓にてをかけてムッとした顔をした。
にゃひひと笑うすあま。
(そう言えば、こっちの大きいラダの事言ってなかったなー。
たまたま同じ名前なだけって言ったら怪しまれるかな)
後ろでじっとしている鎧へ振り向いてから、ふと思う。
(あとで、スターイータ―へきうりときうり料理をお供えしに行こうっと……)
●鋼鉄を救った君たちへ
「ほぅ? ここがこの世界の鉄帝……鋼鉄ですか?
くっくっく……呑気なものです、ここに新たな脅威が誕生したというのに!
ヘル・フローズヴィトニルという災厄の獣がね!
さあ、始めましょう! 悪意をばら撒く素敵なラグナロ――ぎゅむ!?」
『災厄の獣』ヘル・フローズヴィトニル(p3x010212)が開始早々足かせに引っかかって倒れた。
「現実世界に飽き足らず、ここでも私を封じるというのですか、君(グレイプニール)は!」
なくなく宴会に参加するヘルを、『大天使懲罰隊』リエル=ティオール(p3x001062)が「ようこそ!」と歓迎した。
『大天使懲罰隊』として戦った仲間達とグループになって飲めや歌えやしていたらしい。
「みんなもう始めてるっすよ、ほらこっちこっち!」
招かれた先では『魔剣遣い』アーゲンティエール(p3x007848)とウサーシャが並んでちびちびやっていた。
じっとりとした目でアーゲンティエールのうさ耳を見るウサーシャ。
「祭りとあらば存分に騒ぐのが一番だよね。野菜をありったけ持ってきてくれ」
などと言いながら、今いきなりかぶとを外したらどうなるんだろうとか、アーゲンティエールは思ったりした。
かつての戦いの中で『もう一人の自分』と出会った者は少なくない。
『希望の穿光』Λ(p3x008609)もその一人だ。
Λとラムダはタッチからのフィストバンプをかわすと、こくりと頷き合った。
「この後は」
「祭り巡り」
「流石、ボクの思考がよく解ってる♪」
二人は全料理制覇だーと言って走り出した。単車で。
「Haha、激戦の後ぐらい羽目は外さないとね♪」
暴走グルメハンターたちがばっちりとっ捕まった頃、『よく弾む!』フラッシュドスコイ(p3x000371)と『いちばんの友達』アダム(p3x006934)はバーベキュー会場で一緒にぴょいーんと飛び上がった。
「おいわいだー!」
「行くよ、フーくん&オフィーリア率いるぬいぐるみの皆!」
後から一斉にダッシュしてくるぬいぐるみチームとリュカシスたち。
「ボク達の国が無くなっちゃわなくてホントに良かった。
この世界で色んな人に会って、色んな生き方に触れて。
今まで知らなかったことを知れたんだ。
――そう! この気持ちを表現するなら歌と踊りだね、アダムちゃん!」
「いえーい!」
歌って踊るファンシーなやつらを長め、『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)と九重ツルギ(p3x007105)は並んでベンチに座っていた。
「逃げ癖のある俺がR.O.Oに留まれているのは、イズルさんのおかげです。貴方という枷が、俺には必要なんですよ」
『私がキミの足かせになっているのでは?』というイズルへの、ツルギなりのアンサーである。
「私は大樹に繁る葉の一枚でしかないからね。だが、そういう人達が集って小枝に、太枝になれば、出来る事もある」
与えられた価値観を受け入れて、空を見上げるイズル。
隣で一通りねこを吸ったツルギは立ち上がり、荒くれスチーラーマンたちとの殴り合い祭りへと飛び込んでいった。
「ふふ、今の俺は狂犬です。何人束になってかかって来ようと――あれ?」
後ろ襟をぎゅっとつかむ、イズル。
会場から離れた場所で、『ようじょ整備士』樹里(p3x000692)は『Julie』号をきゅっきゅと磨いていた。一旦バラしてパーツごとにである。
「えぇ、ほんとうに…わたしに回復スキルがないのによく回復とかしてくれましたね。よしよし」
なんかその場のノリで発動したパワーを思い出しつつ、この先のことを考える。
「こういうとき、むこーのわたしはひかってわいわいしたものですが……あなたもぴかーっといっときます?」
バーベキュー会場に受理のミラーボールが輝いた。
踊り出す男達、飲み交わす男達、殴り合う連中、とっ捕まる連中。
そんな中で、大酒を飲もうとするヴァレーリヤとそれの首根っこをつかむアナスタシアの笑顔があった。
「……たまには、幸福な夢を見るのもいいものです」
誰にもきっと聞こえない独り言をいってから、『航空海賊忍者』夢見・ヴァレ家(p3x001837)は振り返る。
「マリ家! 今日ばかりは食べ放題飲み放題に違いありま、ああーーショッケン殿それは拙者のお肉! マリ家、取返して下さい!」
「ヴァレ家のお肉を返すのです!」
がしょーんととらもーど(?)に変形した『虎帝』夢見・マリ家(p3x006685)が涙目のショッケンを追い回す。
マリ家はふと、ヴァレ家の横顔を見た。あの二人を見る彼女の瞳と、その奥に揺れる光は、仮面の下でみないふりをした。
こちらへ振り返るヴァレ家。
「マリ家、飲み物は?」
「ヴァレ家ー! オレンジジュースをー!」
●航海を救った君たちへ
「カルネちゃーん!」
「うわっ誠j」
咳払いをしたカルネに、『花火職人』火柱・慎吾(p3x008563)はわーいと言ってカメラを構えた。
裾をまくってへそを出したTシャツとホットパンツというなんとも言えない格好のカルネに向けて。
「折角勝ったんだしイベント起きてるしたのしまないとね!」
「慎吾……」
ひとり撮影会をしながらこれまでを思い返す慎吾。
「持て成しは平等に受けるべきでしょう。共産主義的に考えて」
「世界のキケンがあぶなかった戦いもワタクシたちの大勝利! お祭りですわー!!!!」
黙々とする『無政府共産主義者』赤井・丸恵(p3x007440)と、ハッピーに踊り出す『もう一人の聖頌姫』フローレス・ロンズデーライト(p3x009875)。
くるくる回って輝くフローレスが『挑戦者求む!』状態になった所で、『竜は誓約を違えず』リュート(p3x000684)がぴょいーんと乱入した。
両手にはカーニバルで沢山おまけしてもらった買い食いアイテムを抱え、空に向かってペかーっと光のブレスを放ちまくった。
昼から上がる花火の如く派手な様子に、周りの観光客たちが拍手を御9来る。
(こっちの世界だとエリザベス王女もいるし、イザベラ女王は毅然というより楽しそう……)
ふと見れば、エリザベスとドレイクが並んでこちらに手を振っている。その隣では真っ赤な鳥さん(?)が棒にくくられて火の上でくるくるお祭り気分で回されていた。ソッと目をそらすリュート。
そんな中で、ぼうっとベンチに座ってイカ焼きを囓る『希望の穿光』CALL666(p3x010222)。
「すっかり、平和になっちまったな」
海はどこまでも静かで、弓を射る必要もない。
「俺の弓も必要なくなる事が来るのだろうか。そうなれば、俺の生き様も無くなるな」
ままならないものだ、とCALL666苦笑は苦笑した。
そんな海に、一輪の花を投げる『サイバーウィザード』壱轟(p3x000188)がいた。
「そいつは?」
「供養だ。あの小学校も、もうひとりの俺(オイラ)も、消えてしまったからな」
死んだわけじゃない。消えたのだ。
けれど、もしかしたら。
「この世界のどこかに、また新しく――」
「「いるぜ!!」」
後ろで、ものすごく聞き覚えのある声がした。
「――!?」
「おう、お疲れさん!
今回は世話んなったな。
アンタ等がいなきゃ、ここまでハッピーなエンディングにゃたどり着けなかったろうぜ。
最高のチームだ」
『ダークナイツ』H(p3x009524)がグラスを掲げると、『もう一人の私』澄恋(p3x009752)がゆっくりと頷いてグラスを掲げて見せた。
「たまたま依頼で一緒になった同行者が、まさかハッピーエンドを勝ち取る仲間になるとは。不思議なご縁もあるもので…うふふ、これが運命のクロスというものなのですね!」
旅の仲間みたいな顔をしてフッと笑い、チョコバーをがじがじする『もう一人のわたし』純恋(p3x009412)。
「お疲れさまでした……そしてありがとうございました。
人の縁というのは不思議なものですね、本当に」
『黒縁眼鏡の』一(p3x000034)は両手で包むようにグラスを持ち、仲間達……そして『外からログインし直してきた』加羅沢の顔を見た。笑顔で頷く加羅沢。
「今までヒーローとして戦ってこられたのも皆さんが自分に勇気とヒーローの心得を教えていただいたからこそ! 改めて、ありがとうございます!」
『ROO刑事ゼスティアン』ゼスト(p3x010126)は深々と頭を下げてから、腕に装着したデバイスに手をかけた。
「堅苦しい話はここまでにして、今はパーティーを楽しむであります! まずは全員ポーズで記念撮影であります!」
「応!」
「はい」
「ええ!」
「待ってたぜ!」
「それでは、3・2・1・トラ――」
ポーズをとってから、ニノマエは『あっ』と呟いた。
まばゆく輝くゼスティアンの背景。
そして大爆発がおき、トライXチームは一斉にプールへと強制ダイブした。
潮風にのって、豊かな音楽が聞こえてくる。
ウクレレを弾く海の男達が笑っている。
「賑やかな所ですわね。エンディング……といった所でしょうか」
『聖頌姫』ディアナ(p3y000238)がそんな風に呟くさまを、『ほむほむと一緒』わー(p3x000042)はすこし離れた所から眺めていた。
(お二人が自由になれて本当によかった。この先もずっとお幸せに!)
わーは胸いっぱいに航海の空気を吸い込んだ。
(混沌もROOもどちらも、相変わらずとっても魅力的な世界です。
私はちょっと相性が難しかったですが。
推しな皆さんが、これからも活躍してくださると信じて!)
その隣で、『ロード†オブ†ダークネス』フレア・ブレイズ・アビスハート(p3y000159)もまた遠巻きにディアナたちを見つめている。
(いまさらディアナやティファレティアに合わせる顔は無いですし、なんだかばつが悪いんですよね)
もみ毛あたりをつまんでくりくりとやりながら、ディアナへと歩いて行く『うわキツ』ミミサキ(p3x009818)と『祈機電融戦乙女』ネフィル(p3x009625)を見た。ちらりと目が合ったが、小さく会釈するだけに留まる。
(二人には感謝しなきゃですね。他の皆にも……)
わーの肩をぽんと叩いて、フレアは彼女を連れて歩き出した。
「あとはもう何も考えず、たまに領地や遊楽伯のアトリエでも覗いて暮らすのも悪くないですよ。たぬカーの新作買ったんですけどやります?」
女達が去って行く、その、一方で。
「私が旅をしてるのは、新天地にたどり着いた時にその風景に目を輝かせたいから……あなたも旅をするなら、自分の知らない世界を見に行くといいわ?」
「そうですわね……わたくしには目的すらございませんでしたから」
ネフィルとディアナは見つめ合い、フッと小さく笑い合った。
「とりあえず、私も旅に出るわ? というか本業みたいなものだし……もしその旅先で鉢合わせたら……その時は、貴女の旅のお話をお聞かせ願えるかしら?」
「その際はどうか、旅先での事をわたくしにもお教え下さいまし」
そんな二人の横で、ミミサキが腰に手を当てて笑う。軽く笑い飛ばすようにも、照れ笑うようにも見えた。
「三度は死に損ねましたもの。これは皆様に頂いた命なのでしょうね」
「そんなことないスよ。居づらいから、行きたい場所があるから。どんな理由にしろディアナ氏達が旅立ちを決めたのならそれでいいと思いまス」
ディアナは腕に抱いたティファレティアのぬいぐるみを見て、目を合わせる。
すると客船が出航を知らせる汽笛をあげた。
「もう行くんすか?」
「ええ。どこか遠いところに」
「創作者の端くれ(元同人作家)として言わせてもらうと、自分から生まれたものが自分や自分と同じルールに縛られるのは結構キツイものです」
「自身の創造主に、未だ思う所がないわけでもございませんが――」
今度こそ苦笑する二人。ディアナはティファレティアと手を繋ぎ、客船の桟橋へと歩いて行く。
その背を見つめながら、ミミサキとネフィルは互いを肘で一度ずつ小突き合った。
船は汽笛をあげ、大海原へと滑り出す。
ネクストというこの世界が、これからも、そしてきっといつまでも、広く広く、冒険に溢れているのだと示すように。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした!
祝勝会R.O.Oサイドをお送り致しました。
この仮想世界ネクストは終焉から救われ、これからも未知なる冒険と愉快な混乱が皆さんを待っています。
GMコメント
●祝勝会イベント
こちらはROOサイドによる祝勝会イベントです。
世界の命運を賭けた最後の戦い<ダブルフォルト・エンバーミング>は勝利によって決着し、世界中がいまだけは争いをやめて勝利を祝っています。
皆さんもこのイベントに加わり、勝利を祝いましょう!
●プレイング書式
迷子防止のため、プレイングには以下の書式を守るようにしてください。
・一行目:パートタグ
・二行目:グループタグ(または空白行)
・三行目:実際のプレイング内容
書式が守られていない場合はお友達とはぐれたり、やろうとしたことをやり損ねたりすることがあります。くれぐれもご注意ください。
●パートタグ
主に国で分かれてパーティーに参加します。
【航海】【伝承】【鋼鉄】【翡翠】【正義】【砂嵐】【神出】
のうちいずれかのタグを【】記号ごとコピペしてプレイングの一行目へ記載してください。
ちなみにですが、航海国が一番標準的なお祭りをしているのでどこでもOKだなあと思ったら航海国を選択しておくのがお勧めです。ご飯もおいしいし。
※『竜域』の琉珂&竜種たちは改めてご挨拶しに来ますと言って里に戻ったため、祝勝会には欠席しています。会いに行くのはまたの機会にしましょう。
●グループタグ
一緒に行動するPCがひとりでもいる場合は二行目にグループタグをつけて共有してください。(例:【はだかユニフォーム】)
この際他のタグと被らないように、相談掲示板で「【○○】というグループで行動します」とコールしておくとよいでしょう。
うっかり被った場合は……恐らく判定時に気づくとは思うのですが、できるだけ被らないようにしてください。
また、グループタグを複数またぐ行動はできません。どこか一つだけにしましょう。
膨大なプレイングを【】タグで一旦自動整理していますので、今回同行者の名前とIDだけを指定していた場合、かえってはぐれやすくなってしまうかもしれませんのでご注意ください。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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●ROOとは(ゲームクリア前の情報です)
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
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