シナリオ詳細
アクエリア狂王種掃討作戦
完了
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オープニング
●アクエリアとは
『絶望の青』攻略にむけ二十二年ぶりに外洋遠征へ乗り出したネオフロンティア海洋王国。
ローレットによる大々的な協力によって彼らはめざましい進撃をみせ、ついに絶望の青における重要拠点『アクエリア島』の制圧に成功したのだった。
「アクエリアというのは水、食料、空気、その他様々な資源が豊富で海流もゆるやか。モンスターによる危険も比較的少なく船を安全に停泊するための港も擁する……要するに前線基地にもってこいの島なのです」
絶望の青研究者キャメロン氏はそのように述べ、大きなバスケット状の籠によじよじとのぼった。
「これよりアクエリア島では前線基地建設が行われることになるだろう。
人間は食べて寝れば生きられるが、それだけで『戦う』ことはできない。
これから建つ基地は君たちを含めた全ての戦士を戦士たらしめるための回復拠点となるのだ」
絶望の青攻略のため組織されたアザラシ大艦隊の指揮をとるゼニガタ大佐は台のうえにべちべちと登った。
二人は同時にカッと振り返り、「「しかし!!」」と叫んだ。
「基地建設を行うにはまだ、外敵が多すぎる!」
●掃討作戦
外洋遠征に関わってきたローレット諸兄ならお気づきだろう。
アクエリアに至るまでの間に数え切れないほどのシーモンスターや幽霊船と戦い、一部では敗北することすらあったことに。
それらの更に奥地にあたるアクエリア島が特別安全であるという保証はもちろんなく、安全を保証するための軍が島周囲に展開し続ける必要があるのだ。
「これから軍を展開するが、まだ島周辺には狂王種や幽霊船がわずかながら残っている。
島に常駐していた魔種のうち、撤退した魔種たちが残した兵隊だろう。
隙あらば島へ上陸し、油断した我々を攻撃するつもりに違いない」
「その心配を取り去るために、皆さんには島周辺に残る狂王種や幽霊船の排除をお願いしたいのです」
範囲はこのアクエリア周辺海域および陸地全体。
自分の得意なフィールドを申告し、その時指定された現場へと急行しよう。
「少々危険な任務ではあるが、軍もともに動いている。無茶な現場を宛がったりはしないから、安心して戦いに赴いてくれ」
- アクエリア狂王種掃討作戦完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別ラリー
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年04月12日 22時11分
- 章数1章
- 総採用数49人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「ふふふ、素敵なこの世界を守る為のお手伝い、しましょうか」
駆けつけた馬車から飛び、軽やかに草地へと降り立つかんな。
彼女と入れ替わるように、海洋海軍の兵隊たちがザッと後方へと下がっていく。
それを追いかけるように大蛇の狂王種が高速の蛇行によって迫り来る。
すれ違うさま、兵士がかんなに呼びかけた。
「防衛は任せろ。基本は一撃離脱だ。できるな?」
「そう。それなら――」
パッと開いたかんなの手。かざした空中に白い粒子がねじれるようにして一本の槍が顕現した。
「得意分野だわ」
大蛇の突撃を兵士が体当たりによって防御したその瞬間、かんなは蛇の側面に回って槍を放った。
うねる大蛇の肉体を刺し貫き、ちょうど蒲焼きにするウナギのごとく固定した。
「それで終わりか!?」
「まさか」
槍を踏み台にして大蛇の上によじのぼると、かんなは両手をパッと天に開いた。
無数の白い粒子が集まり、大量に顕現された槍が大蛇へと降り注ぐ。
大蛇は大きな悲鳴をあげ、そしてすぐに動かなくなった。
成否
成功
第1章 第2節
「よおし、ウジャウジャとうざってえケモノどもを一気にブチのめすチャンスだ!」
腰の革袋から山賊刀を抜くと、肩をごきごきならしながら回した。
向かい側からやってくるのは無数の星……否、ヒトデである。
地面から1~2mほどホバリングしたヒトデの集団が、回転しながらグドルフへと殺到しはじめた。
飛来したヒトデはグドルフの肩や腕、頬や膝を切り裂いて通り抜けていく。
「チッ、速えな……」
などと言いながら、グドルフはとてもとても小さな声で聖句を唱え、自らの肉体から傷を取り去った。
ターンして再び攻撃してくるヒトデたち――に、自ら踏み込む。
彼の肉体を切り裂いたはずのヒトデだったが、通り過ぎた後に全てが真っ二つに切り裂かれ、泥の地面にぼとぼとと落ちていった。
「ヘッ、余裕だぜ。この最強の山賊グドルフさまの名を海軍どもにも刻みつけてやるぜえ! どんどん来なぁ!」
成否
成功
第1章 第3節
広げた地図に印がひとつ。
くるくると手で巻き取って、『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)は洞窟の前に立った。
「ここがわたしの担当エリア、ね。暗視を活用せよ、ってことかな?」
目の横でパチンと指を鳴らすと、オレンジ色の目が夕暮れのそらのようにぼわりと光り始めた。
仲間達を先導しながら洞窟を進む……と。
「止まって。くるわよ」
手をかざした途端、洞窟の奥から大蛇型の狂王種が飛び出してきた。
セリアに食らいつこうとした途端、ぎゅるりとぬめるような音を立てて飛び出す『にんげん』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)。
大蛇に自らの肉体を無理矢理喰わせると、ぐにぐにとかみ切れぬありさまにわらった。
「狂王どもを倒す。解り易い筋書きだが成す我々に余裕など有り得ない。他者を守る壁役に変化なく。私の肉は此度も傷に餓える筈よ。Nyahahahaha!!!」
自らの防御を極端に引き上げ、膨大なHPをそのまま武器にして自己回復を繰り返す極端なタンクスタイルである。
「私の肉が美味ならば幾等でも貪るが好い」
やっと食いちぎったかと思いきや、かるく一人分の体力を一瞬にして治癒し上半身をはやしなおすオラボナ。
大蛇がこれをねらっている場合ではないと気づいた時にはもう遅かった。
相手に一手無駄にさせただけで、集団戦闘においては非常につよい有利を得る。
例えば――。
「ひなたぼっこの邪魔は天誅!」
回り込んだ『爆殺人形』シュリエ(p3p004298)の腕が高次元な魔力を放出させ、大蛇に激しい電撃を浴びせかけた。
絶好のひなたぼっこスポットを探し歩いていた結果なんやかんやで洞窟の担当に回された、らしい。
反対側からはセリアが固めた拳から魔力を連続放出。
大蛇の腹めがけてぼこぼこと打撃を打ち込んでいく。
彼女たちを振り払おうとあばれる大蛇だが、オラボナにかばわれる形でシュリエは飛び退き、洞窟の壁を蹴って跳躍。
獄式『災禍』を解放。封じられていた獣の力を放出し、大蛇の肉体をめりめりと崩壊させていく。
「洞窟探検はほどほどにするにゃ。ちゃっちゃと終えて日向ぼっこスポット探しに戻るにゃ!」
ヒュオーといいながらなぞの構えをとるシュリエ。
彼女にはかなわないと判断したのか、大蛇は早速逃走――と見せかけて、洞窟の奥から大量の蛇型狂王種が飛び出してきた。
誘い込んで取り囲み毒で動けなくして殺そう、という判断なのだろうが……。
「警戒しておいて正解だったな」
チェンソーを鳴らした『らぶあんどぴーす』恋屍・愛無(p3p007296)が猛烈な勢いで突撃。
戦鬼暴風陣を繰り出し蛇型狂王種たちを次々に切断していった。
「この先に自然な洞窟構造としては不自然な掘削箇所を発見した。逃げ込んだのはおそらくそこだろう」
愛無はチェーンソーを再び鳴らし、取り囲もうとする蛇たちを視界に捕らえた。
否、視界にではない。『反響定位』による音によって蛇たちの位置を特定、側面や上部から襲いかかる蛇を踊るように次々と切り裂いていく。
「この連中は任せて大蛇を追え」
「助かるわ」
『新米の稲荷様』長月・イナリ(p3p008096)は目や耳をこらして洞窟の奥へとダッシュ。
不自然な岩を発見したが……。
「邪魔よ――『天孫降臨・迦具土連砲』!」
走りながら自らに下ろしたカグヅチの力を激しい熱量に変えて発射。
岩戸を破壊すると、その奥に隠れていた大蛇を発見した。
大蛇を守ろうと蛇狂王種が集まってくるが、技の備えは万全である。
イナリは『贋作・天叢雲剣』に天宇受賣命の力を流し込むと、薄ピンク色の妖しい気を解き放った。
襲いかかろうと群がる蛇たちが途端に混乱し、互いをかみ合ったりその場でのたうち回り始める。
「洞窟の蛇退治か。まるで民謡だな。まあいい……」
『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)は蛇を踏みつけると、すぐそばに転がっていた大きな岩の塊を持ち上げ混乱している蛇たちめがけてぶん投げた。
大岩に押しつぶされて無事な蛇などそうはいまい。義弘は蛇の対処をそこまでにして、今度は適当な石を握り込んで大蛇をにらみつけた。
ギラリとにらみ返してくる大蛇。
互いの視線に火花が散るかのごとくにらみ合いを続ける二人。
いや、正確にはにらみ合いではない。一瞬の動きで勝敗が決まる『観察と予測の勝負』を仕掛け合っているのである。
幾通りにも枝わけれする予測の中、義弘が選んだのはまさかの正面突破。
開いた大蛇の口に自らの腕を突っ込んで喰わせた。
喰わせたが、そのまま相手の舌を握り込んで握力で押しつぶす。
人体の構造上、舌を切られると反射的に縮み喉を圧迫。そのまま窒息死するという話がある。
それに沿った……ワケでは実はないが、泡を吹いて絶命した大蛇から義弘は腕を引っこ抜いた。
「さてと、このエリアは攻略完了かしらね?」
「ああ……」
腕をぬぐい、振り返る義弘。
「絶望の青攻略の為にも、下地を作らなきゃならねえ。
危険生物の排除はそれに必要な仕事ってわけだな。さて、次にいくか」
成否
成功
第1章 第4節
宙に浮かぶ巨大な眼球。
周囲には無数の顎が浮かび、ガチガチと岩のような歯を鳴らしている。
「……」
剣と盾をそれぞれ装備し、どっしりと構えるイレギュラーズ。
アクエリア上陸にあたって障害となっていた狂王種問題だが、奥地へと進むにもまた同様の問題が発生していた。
それがこの、狂王種が内陸のあちこちに陣取り、未だにナワバリを守る獣のごとく侵入者を攻撃し続けているという問題である。
魔種たちの多くは倒すか絶望の青のさらに奥へと撤退させることに成功したが、彼らの残していった狂王種を手放しのまま基地建設に移ることはできない。
ゆえに。
「さぁ進軍しますよ。即席パーティ、名付けてトライデント!
我々はこの大海を切り開く海神の矛なり!!」
『砲撃用意!』ヨハン=レーム(p3p001117)は自らを中心にオールハンデッドの号令を放った。
彼の強化能力が最も邪魔だと判断したらしい狂王種は眼球をぎろりと向け、無数の小さな顎を発射してくる。
それを盾で防御し、ヨハンはじりじりとラインを下げていく。
「海神の矛とは粋なネーミングじゃねぇか。名前負けしねぇように未来を切り開こうぜ。
よっしゃ、一番槍はこの俺が頂いた!」
『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は羽織っていたマントを払うと、眼球めがけてヴェノムジュエルを連射。
反撃にと放たれた無数の顎を、今度はヨハンが回り込むことで防御した。
「そういや、『黄金の果実』とやらが見つかるかも知れないらしいな? 俺もリミットが迫ってるンでね。後でその辺の小動物にでも聞いてみるか」
そう言いながら、魔術式『復讐ノ緋』を起動。紋様が赤く発光し、『月華葬送』を構えた腕までてらてらと妖しく光る。
腕から吹き上がったわずかな血が一本の矢となり、レイチェルはそれを弓につがえて眼球へと放った。
矢は炎となり、眼球に突き刺さってもえあがる。
周囲の顎と共に墜落した眼球……に安堵はしない。
新たに無数の狂王種が周囲へ発生した。
「どうやら仲間を呼ばれたらしいな?」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は反対側をカバーするように陣取り腕のエネルギーラインを発光。シムーンケイジの魔術を発生させた。
地面から巻き上がった激しい嵐が砂をまきこんで大量の眼球型狂王種たちを巻き込んでいく。
「群れを成す狂王種、か……敵もこちらの連携中枢をすぐに見抜いてる。頭が悪そうだとタカをくくると足下をすくわれるぞ」
「わかってる」
『風のまにまに』ドゥー・ウーヤー(p3p007913)は杖をかざし、ゼフィラの援護射撃にと死霊弓を乱射していく。
反撃に放たれた黒い光線が腕を貫いていくが、歯を食いしばって痛みをこらえた。
(前も後ろも仲間が支えてくれてる。それなら俺は全力で敵を攻撃するだけ)
彼の言うとおり、後方からは『ネクロフィリア』物部・ねねこ(p3p007217)
がぶつぶつと何かと語らっていた。
『何』と厳密に述べることは難しい。強いて言うならば『死』と語らっていたと表現すべきだろうか。
死霊とも、死体ともちがう、死の概念とねねこは対話していた。
死を愛すること。死をとおざけること。死と仲良くなること。
そうした交渉が、ドゥーの貫かれた傷口を強制的に修復していく。
「ふふふ♪ 実は狂王種の死体解剖もしてみたいなぁと思ってたのです♪」
手をわきわきと、長い指を波打たせるようにしながら唇を舐めるねねこ。
『屋台の軽業師』ハルア・フィーン(p3p007983)はその様子を見てぶっちゃけ『こわっ!』て思っていたが、これが味方なら頼もしい話である。
「反撃いくよー! えいえいおー!」
ハルアは一歩目で風をふみ、二歩目で風を飛び越え、散歩目で風そのものとなった。
ウィンクしながらジグザグに走り抜け、眼球狂王種たちを次々に切り裂いていく。
転身したレイチェルやヨハンたちの援護を受け、次々に狂王種を撃墜していく。
最後の一体を蹴りつけ、ムーンサルトジャンプで離脱したハルア。
空中で回転してから両足ですたんと砂地に着地した。
「これでよし、っと」
くずれた泥人形のごとく崩壊し、地面に赤黒いどろどろとした液体としてひろがっていく狂王種たちの死体。
これで一段落か……と思いきや、ねねこが妙にそわそわとしていた。
首をかしげるドゥー。
「どうかした?」
「いや、ええと、なんて言ったらいいか……このあたりの霊魂、やたら私たちにトゲトゲしいんですけど……みんなにたようなこと言うんですよね」
「似た、ような……?」
それは一体? とヨハンが問いかけると。
「『はやく溶けてしまえ』って」
成否
成功
第1章 第5節
大地を爆走する馬車数台が巨大なバッファロー型狂王種を追いかけていた。
軍に協力する形で同作戦に参加していた兵達が射撃を加えるも、表面の岩のごとき装甲にはじかれてしまう。
「奴め再生能力までありやがる」
「ダメだ、こんなんじゃ弾の無駄だぜ。……出番だ嬢ちゃん!」
振り返る兵。
立ち上がるで、『特異運命座標』レミファ=ソラージット(p3p007739)。
「了解デスよ」
レミファは手袋を脱ぐと、フィンガースナップを鳴らした。
「レミーの火力は――こういう時のためにあるのデス」
途端、彼女の頭上に巨大な魔方陣が発生。
召喚された浮遊砲台が狂王種へとむいた。
ふぁいあ、とつぶやいたが最後発射された真っ赤な魔力砲撃が狂王種の装甲を強制的にぶち抜く形で破壊。
「撃って撃って撃ちまくるのデス」
休む暇を与えぬ連続砲撃に、狂王種は逃げるのをやめて攻勢へと転じた。
角から激しい炎ををあげると、馬車めがけて突撃開始。
対する馬車からは……。
「こっからはボクに任せて!」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が槍を片手に飛び出した。
着地、からのチャージアタック。
狂王種による突撃のダメージを上手に受け流し、突撃のラインをもそれさせる。
「皆が安心してこの島を使えるようにするために、まずはバトル!」
槍をくるりと回すと、振り向きざまに連続火炎弾を発射した。
崩壊した装甲ゆえにか、狂王種は苦しそうに声を上げ、やめさせようとターンをかける。
だがそれこそが焔の狙いであった。
焦げ跡がつくほど強烈に地面を蹴ると、狂王種の横っ腹めがけて槍を突き立てた。
途端に燃え上がる狂王種の身体。
崩れゆく狂王種を前に、焔はフウと息をついた。
成否
成功
第1章 第6節
「本当はディルク×レオンの俺様攻めとか、レオン×ディルクの俺様受けとかを妄想して平和に同人誌を読み漁り、書きまくるのが平和主義の腐女子のありかた……だけど」
『腐女子(種族)』ローズ=ク=サレ(p3p008145)はスケッチブックを抱えて振り向いた。
風になびく紙。キラリと光る赤フレームの眼鏡。
最初の台詞のせいで今更シリアスフェイスしても無意味だが、ローズはあえて継続した。
「このまま放っておくと、男の人がたくさん死ぬことになるんでしょう?
それは妄想の枯渇に繋がる緊急事態よ! くらいなさい『壁サーの女王』と呼ばれた伝説の――ギャムン!?」
突っ込んできたゴリラ狂王種に平手打ちで吹っ飛ばされるローズ。
「うっ、そうだったわ。こっちの世界で一度力が制限されてるんだった。誰かー! 守備力の高い誰か! できれば殿方が! 殿方の絡みが!」
「殿方でも絡みでもなくてすみませせんね!!!!」
と言いながら、追撃に殴りかかってくるゴリラのパンチをシールドでカットする『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)。
「けど防御力といえば私、リカちゃんですよ。お待たせしました!」
再び構え直したゴリラに対し、リカは剣を握った手でくいくいと手招きする。
「いやぁ、私は別に空や海でもいいんですが……こっちのほうが、ね」
リカに執着しパンチラッシュを打ち込んでくるゴリラ。
対するリカはがっちりと防御を固めてパンチを受け流し……つつ、スキマスキマに剣を打ち込んだりゴリラの生気を吸い取ったりしていった。
「――! 下がって!」
リカはローズを連れて大きく後退。
ゴリラはそれを追いかけようと走り出す姿勢に入った……直後、足を打ち抜かれた。
バランスを取ろうとよろめいたところでもう一方の足が打ち抜かれ、転倒したところで頭に三発の銃弾が撃ち込まれた。
「ふう……」
近くの茂みから姿を現す『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)。倒れたゴリラにライフルを突きつけたまま慎重に近づいていく。
絶妙なタイミングで必殺の一撃……いや、連撃をうちこんだのだろう。
狂王種はもはや起き上がることはなく、死亡を確認したところでラダは腰を上げた。
「私も、飛べもしなければ泳ぎも得意ではないからな。こっちをやらせてもらう。次の獲物はどこだ?」
ライフルを担ぎ、振り返るラダ。
するとローズは両手の指をこめかみにあてて唸っていた。
「……どうした」
「まって。今男子化パロで想像してるから」
「本当にどうした?」
成否
成功
第1章 第7節
「あの方の命を助けるためにもアクエリアをしっかり開拓して、なんとしても冠位魔種のアルバニアを引っ張り出して倒してみせます!」
無数の蝶が『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)へと集まり、巨大な蝶の羽根を作り出す。
幻は存在しない羽根を羽ばたかせ、空をジグザグに高速飛行した。
巨大な蜂の巣から飛び出し群れを成す蜂型狂王種。
常人なら悲鳴をあげて逃げ出しそうな光景に、しかし幻は立ち向かっていく。うすく微笑みすらして。
「僕の大切な方のために――」
あるひ大切なひとが呪いにかけられた。
幻が『ただの女』であったなら、膝から崩れ落ち何日も泣いただろう。
けれど『ただならぬ女』であったから。
「死んで頂けますか?」
巨大な蜂型狂王種めがけて奇術『夢幻泡影』を発動。
どこからともなく発生した無数の蝶に包まれ、蜂はバラバラに切断されていく。
「……幻様があの方と別れて以来、悲しい笑顔なんですメェ……」
そのさまを、『味覚の探求者』ムー・シュルフ(p3p006473)はゆっくりと首を振りながら眺めていた。
「……それにいつも影であの方に生きてもらいたい一心で必死になって戦ってる姿をみると痛ましくてなりませんメェ……。
……だから、私は幻様を守りますメェ……」
構えるまで三秒。
突撃まで一秒。
敵に肉薄するまで、コンマ一秒。
相手にまな板を叩きつけると、密集する無数の蜂狂王種に対して目を見開いて笑みを作った。
狂王種たちはすぐに思い知るだろう。
彼が『殺しても死なない』男であるということに。
相手をしていてもキリがないと距離をとろうとしたところで……。
「……こんなよぼよぼの老人に背を向けて逃げるなんて、恥を知れ!!!」
びしりと意識を固定された蜂たち。
そこへ――。
「……確かに、大佐さんが言ってたみたいに敵が多いねぇ。油断せずに数を減らしていかなきゃだよぉ」
両手に朱と碧の糸を発生させた『特異運命座標』シルキィ(p3p008115)が駆けつけた。
ムーに意識が集中してしまっている蜂に向け、無数の糸を発射して貼り付ける。
途端、シルキィの腕がばちばちとスパーク。
糸を通じて浴びせられた電撃に蜂たちが飛行能力を失って墜落し始める。
そんな中、ムーを逃れる形で回り込んでいた蜂がシルキィへと急接近。
尻の針を突き刺す動作を仕掛けてくる。
素早くあやとりの動きで蜘蛛の巣めいた網を作って勢いを殺しにかかるシルキィ。それでも殺しきれなかった勢いで肩に針が突き刺さるが……。
「愛の魔法は癒やしの魔法」
どこからともなく……というかすぐそばで段ボールを被ってじっとしていた『魔法少女インフィニティハートD』無限乃 愛(p3p004443)が突如現れた。
「『蔓延る悪を駆除する愛と正義の暈輪 !魔法少女インフィニティハート、ここに見参!』」
年季の入った魔法少女ポーズをとると、マジカルサイズをくるりと回して魔法を操作。
先端部分にある対物ライフルみたいな銃口をあろうことかシルキィに向けた。
「安心してください。痛くないですから」
「えぇ……」
ピンクのハート型ビームが照射っていうかぶっ放され、シルキィのの体力がみるみる回復し蜂にさされた傷が元通りのつやつや素肌になっていく。
「これぞ混沌特許出願中回復魔砲です。お求めは魔法少女まで」
ビッて二本指を立ててキメる愛。
と、その瞬間仲間からの合図に二人同時に離脱。
愛は地面にビームを撃った反動で、シルキィは糸を発したストリング移動で。
味方の消えた敵密集地帯。その中央にはムーひとり。
『どうぞ』と手招きする彼に応じて……。
「もとより散るつもりもあらへんけど…ふふ。うちの花は、割としぶといんよ?」
『*嘯風弄月*』を広げて笑う『涙ひとしずく』蜻蛉(p3p002599)。
彼女の放つ『焔華皇扇』の術が発動した。
美しく舞う蜻蛉による扇子の動きにひかれるように、災厄の炎が蜂たちを包み込んでいく。
「……熱かったら堪忍してね?」
パチンとウィンクする蜻蛉。
蜂たちは熱に耐えきれずに墜落し、じわじわと動いていた腕すらも止めた。
(とっくの昔に腹は括っとるし、ここまで来たらなるようにしかならん。
それに……何もせんとおるより、何かして散った方がええでしょ)
扇子を畳み、着物をぽんぽんと整える。
そして黒髪をみみにかけると、遠くの空を振り返った。
「……少しは綺麗になったやろか」
成否
成功
第1章 第8節
アクエリア島の空は決して安全ではない。
基地建設にも聖域化にも、天空を旋回飛行し続ける狂王種の集団を常に見上げ、警戒し続けなければならなかった。
ゆえに――。
「『起動せよ、起動せよ、八ツ頭の大蛇』」
黒翼の天使ともいうべき姿をとって、『黒翼の裁定者』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)が天空へと舞い上がる。
彼の敵対的な動作に反応した鳥たちが炎や電撃を纏い殺到してくる。
「鎌首をもたげろ、ハイドロイド。存分に食い散らかせ」
集中する攻撃を右へ左へ回避し、直撃コースにあった雷の矢を手刀によって破砕する。
対抗して召喚した海蛇が歓喜の咆哮をあげ、雷の鳥を激しく食い散らかした。
(絶望の青に挑むようになって、少し気が高ぶりやすくなったか? 或いは……)
レイヴンは『召喚:"断頭台"』をもってエグゼキューションサイズを握り、雷の鳥を真っ二つに切断。
「過去の亡霊を、起こしてしまったかな?」
墜落していく鳥。仲間をやられたことでよりさっきだった飛行狂王種たちが集まり、ギラリとにらみつけ始める。
「ふふっ、潮風が気持ちいいね。良い日よりだ。
海を見下ろし、島を見下ろし、血生臭い闘争に溺れる。
実に優雅な一日になりそうだね?」
同じ高度まで上がってきた『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は悪魔のナイフとフォークをそれぞれ握り込み、飛来する炎の鷹へとまっすぐに突撃。
食らいついてマルベートを炎に包む一方で、マルベートは突き立てたフォークで意識の乱れを、差し込んだナイフで激しい毒を注ぎ込んでいく。
「美味しく食い千切ってあげよう。燃えるなり毒されるなりするだろうけど、味に変化が出るから良しとするさ」
笑い、そして引きちぎる。
切り裂かれた炎の鷹は墜落し、せめてもの反撃にと炎を吹き付けようとしたその瞬間、急上昇と共に炎の刃で斬り付けた『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)によって今度こそ絶命した。
「俺は当然……空だよなぁ!」
太陽を背に翼を広げてブレーキ。
突っ込んでくる翼の生えた蛇を相手に、カイトは炎のさらなる炎の竜巻を発射した。
炎を突き抜け、呪いの矢を連射してくる蛇。
しかしカイトはバレルロール・マニューバをかけて矢のことごとくを回避。
急接近し、蛇を翼による打撃で打ち落とす。
「へへん、俺を狩れると思うなよ?むしろお前が狩られる方だッ!」
ダメージによって墜落を始めた蛇めがけ、さらなる追撃。
広げた翼から羽根を次々と発射すると、蛇の周囲で爆破させた。
爆発に巻き込まれ、反撃もままならずに落ちていく蛇。
そこへ『エアーコンバット』ティスル ティル(p3p006151)と『魔法騎士』セララ(p3p000273)が駆けつけた。
「調子よさそうだね。手伝うよ!」
靴から魔法の翼を出し、自在に飛行する魔法少女セララ。
一方でティスルは自慢の翼を広げ、流体剣を構えて素早く振り返った。
「みんな、避けて!」
彼女たち全員を包むほど膨大なビーム砲撃が空に走った。
まるで小さな城のような。
ゆっくりと回転する亀の甲羅めいた岩山が雲を抜けて現れたのだ。
「げっ、あんなもんが隠れてたのかよ!」
「けど他に敵影はないし、コイツを倒せば空の制圧は完了だよね。いつもより気合い入れていくよー!」
まっすぐに突っ込んでいくティスル。
自らの周囲に稲妻のようなオーラが走り、城からのビーム砲撃――が発射されるよりもはやく接近し、岩穴に飛び込んで反対側から飛び出してきた。
「いっ……たたた、攻撃するとダメージがちょっと帰ってくるみたい。気をつけて!」
「情報ありあがとっ!」
セララは盾をかざして接近を開始。
はねのけようと岩のマシンガンを乱射してくるが、セララのハイバランス防御の前に弾き飛ばされていく。
「容赦しないよ。ボクの剣は遠くの敵すら切り裂く! 必殺、セララストラッシュ!」
剣に魔法をかけ、巨大な剣にかえるとセララは城に一文字斬りを放った。
すぱんと切断され、墜落していく城。
出現した瞬間はそのインパクトから巨大に見えたが、どうやらプレハブ小屋一個分程度の大きさらしい。
「んん?」
「何かあるな」
マルベートとレイヴンが、墜落し砕けた城の中になにか光るものを見つけた。
ひゅるんと着地し、拾い上げてみるセララ。
「なんだろう? リンゴっぽい見た目だけど……貴重なものかも。持って帰って調べてみよう!」
成否
成功
第1章 第9節
「ポテトとは去年の夏の海で泳ぎを特訓した、その成果を活かす時だ。
もう潜るのは、怖くはないだろうか? 何かあれば俺が守るよ」
「潜るのはリゲルが一緒だから怖くないけど、リゲルの足を引っ張らないように頑張る!
……泳ぐスピード的な意味で」
『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)と『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)が同時に海へと飛び込み、深く深く潜っていく。
一緒に投下された水中発光体が暗い海を照らし出し、遠くから猛烈なスピードで突っ込んでくるグロテスクな巨大魚の姿をあらわにした。
「リゲル」
手をつないだリゲルと顔を見合わせるポテト。
リゲルは頷き、ポテトを後ろへ庇うと銀の剣を引き抜いた。
(ポテトは妻であり、頼もしいパートナーでもある。ポテトが居れば負ける気はしない……)
突っ込んでくる巨大魚に剣をぶつける形で迎撃。
顎の上下を剣と足でつっかえるようにして耐えるリゲル。
「逃がしはしないぞ!」
彼を食い破ろうと顎に力をこめる巨大魚だが、ポテトの送ったエネルギーがリゲルの体力を定期的に底上げしていく。
「そうそう簡単にリゲルを倒れさせはしないぞ」
サポートのかいあって、リゲルは巨大魚の食いつきをはねのけ、一度離脱。
すれ違った後、巨大魚はくるりとターンして再び食らいつこうとした。
だが二度目はない。
リゲルは剣に強い光をもたせると、自ら突っ込んでいって素早い連続攻撃で牽制。こじ開けた隙を突くようにして、必殺の回転切りで巨大魚のボディを切り裂いていった。
動きをとめ、深く沈んでいく巨大魚。
これで終わりか……と思われたその時。
「さがれー! アシカだ!」
海の底からまっすぐ上昇してきた悪魔のような外見をしたアシカ型狂王種が襲いかかってきた。
対抗するのは『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)。
「海の平和はオイラがまもーる!
いってくるぜとーちゃーん!」
真正面から対抗するかたちでの急降下アタック。
「アシカクラッシャーアタック!! オイラはアシカじゃねぇぇ!」
突撃の最中できりもみ回転を追加。
更にアザラシパワーを上昇させ、ガトリングを乱射。
アザラシ算的には何倍にも上昇したパワーによって、ワモンはアシカ狂王種との正面衝突に勝利した。
ごいんと音をたてて弾きおとされるアシカ。
しかしアシカはひるむことなく口の奥から大砲をぞるぞるとはやすと、ワモンめがけて毒泥球を発射してきた。
「くらうか! へへ、この戦いが終わったらとーちゃんにうめーイカをご馳走してもらうんだぜ! アジのフライも食いてぇな!」
ワモンは食欲によってアザラシパワー(?)を更に高めると、ガトリング射撃によって毒泥玉を迎撃。
途中で破壊すると、さらなる射撃をアシカへ浴びせた。
「――――」
力尽きるアシカ。
そんなアシカを弔うように、海の底から歌が聞こえた。
人魚……いや、腐りはてた水死体に魚の下半身がついたおぞましい怪物が、海の底よりあがってきたのだ。
「うおおなんだこりゃあ!?」
歌の不気味さに心をかき乱されるワモンたち。
そんな中へ……。
(前までは海の中に入ることほど気の進まねぇモンはなかったんだがなぁ……人生ってのはわからんね)
慣れた身のこなしですいすいと潜水してくる『濁りの蒼海』十夜 縁(p3p000099)。
(絶望の青だろうが何だろうが、海は繋がってる。
だったらあいつも――リーデルも、この先のどこかにいる。
そう考えたら無理にでも気合を入れるしかねぇ)
首筋に手を当て、縁は今だけ、全力を出した。
歌によってひび割れたような水を強引にかき分け、腐った人魚へと急接近をかける。
恐ろしくとがったかぎ爪でつかみかかってくるが、構うことなく相手をつかみ『龍神之燈』を発動させた。周囲に集まる死者の魂を火の玉に変え、人魚へと大量にたたき込んでいく。
身体をぼろぼろに破壊された人魚が、海の底へと沈んでいく。
そのさまを見下ろし、十夜は自らに首に爪を立てた。
成否
成功
第1章 第10節
「きゅう……戦力的には二名っきゅけど、グリュックも入れて三人っきゅ……ヴィントも入れたら四人っきゅ!
はっ! そうっきゅ! グリュックとヴィントは一魂同体でレーさんが一匹なら合ってるっきゅー!」
一通り言いたいことを言ってから、『乗りかかった異邦人』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)は船からぴょんと海へ飛び込んだ。
海中では鮫型狂王種たちが群れを成してこちらを狙っている。
陸に上がってこないとは言え、船を襲って物資を沈める非常に厄介なモンスターだ。
『守護の獣』ウェール=ナイトボート(p3p000561)も苦笑しながら一緒に飛び込み、ぶくぶくと沈んでいく。
「はぁー、大佐さんの前で我慢したのは褒めるが、いつ敵と鉢合わせるか分からないから気持ちを切り替えような。
それにレーゲンは一匹と数えられるから二名でも間違ってないと思うぞ」
「きゅー!」
両手をばたばたさせるレーゲン。ハハハと笑うウェール。
そんな二人を迎え撃つように四方八方から鮫狂王種が殺到――するが、それをウェールは爪による攻撃で対抗。
食らいつくそばから身をかわし、顔面を爪でひっかいていく。
彼の攻撃に怒り狂ったサメが次々に執着を始めるなか、レーゲンは『MA・B』を発動。
魔力を込めたレーゲンをグリュックが発射し、もろとも吹き飛ばすという不殺の必殺技(?)である。
もちろん連携も完璧。
「行くっきゅ」
「おう!」
二人(四人?)で攻撃のタイミングをあわせ、レーゲンが突っ込む寸前にウェールだけが離脱。
魔力爆発によって鮫たちはまとめて吹き飛ばされ、深く沈んでいった。
「まぁ、嫌がらせ攻撃用の兵力を残しておくのは無難ですが効果的ですものねー。
きっちり片付けて、後顧の憂いを断つといたしましょうかー」
そこへ援軍として訪れる『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)。
戦いの気配を察して駆けつけた別のサメたちめがけ、速攻のディスペアー・ブルーを放った。
『シャチは子守歌をうたう』という話を知っているだろうか。海は声がとどかないようにみえて案外歌の伝達がしやすく、イルカやクジラといった生き物はたがいに歌でコミニュケーションをとるという。
シロイルカ型海種のユゥリアリアが海の中でこそ歌を十全にうたえてもなんら不思議はなかろう。
文字通りのドルフィンキックで勢いをつけ、魅了されたがいをくらいあうサメたちへと接近。氷の剣を作り出すと、一匹に二匹と斬り付けていく。
「できることなら敵戦力が潜んでいると思われる隠れ家の探索も行えると、敵の戦力を出てくる端から削るのではなく、もっと効果的だと思いますわー」
「いいアイデアだ。けど、もう見つかったみたいだぜ?」
『蛸髭 Jr.』プラック・クラケーン(p3p006804)は腕組み姿勢で沈みながら、顎ですこし離れた場所をさししめした。
海の底からぐるぐると回転しながら浮き上がってくる岩の球体。
よくみればあちこちに穴があり、そこからサメ狂王種が飛び出してくるのが見えた。
「サメたちは任せるっきゅ」
「おう、俺はあのでけえのをぶっ壊す!」
オラァと叫んで水を蹴り、勢いよく飛び出していくプラック。
かなりの距離があったが、まるでジェット推進でもついているかのごとく猛スピードで距離を詰めた。
まさかそれだけの機動力があると思っていなかったのだろう。
迎撃に遅れた球体へ、プラックは強烈な蹴りをたたき込んだ。
電撃を伴った蹴りがめり込み、球体全体へと流れていく。
「再びやってきましたアクエリア、先に進む為にも足場は固めないとね!」
真上から垂直落下で突っ込んでくる『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)。
「いやぁ、私もよくこんな所でサバイバル生活できたわね」
なんてしみじみ語ると、クイックターンからのアトラクトスキックをたたき込んだ。
「今更残った狂王種がなんぼのものよー」
ばきばきとヒビのはしる球体。
やっとのことで反撃をはじめ、あちこちから伸びたフジツボ型の端末から魔力光線を発射するがイリスには通じない。
両腕でガードし、背負っていた三叉槍を突き立てた。
突き立てた穴から、カッと光がもれる。
「あっやばい」
「お?」
イリスは素早く飛び退き防御姿勢。
「爆発するわこいつ」
「うそだろ!?」
ウオオオといいながら、プラックは一目散に離脱した。
成否
成功
第1章 第11節
「さあ行くよ。この大号令の体現者、秋宮史之がお相手する!」
大海原に漕ぎ出す船はグレイスフルイザベラ号。
かの有名な『大号令の体現者』秋宮・史之(p3p002233)の船である。
目指すは幽霊船。ここアクアリア島制圧作戦において無数に呼び出され、そして無数に沈み、しかしごくわずかにだけ残った敵船団である。
管理者である魔種たちはとっくに後方へと撤退し、彼らだけが永遠に獲物を求めてさまよっていた。
「疾く逝けよ根の国へ。俺が送ってやる」
飛来する砲弾を神威のフィールドで弾き始める史之。
幽霊船と距離をとりながら腕時計型端末を操作。
斥力を槍のように発生させると、パンチの動作で幽霊船へと叩きつけた。
砲撃を行っていたアンデッド兵が吹き飛ばされ、甲板を転がる。
「今だよ、追撃!」
「この海洋国の特別勲章は伊達じゃあーりません! 攻め入りますよ!」
勲章のついたむねをピッと指ではじき、『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は自らの船を加速。
砲撃の手がやんだ幽霊船めがけて突撃を敢行する。
(ドレイク……。あいつも、過去に件の果実を手にしていたと言うけれど。歪でもなんでも、ドレイクに繋がる手掛かりがあるならば……)
閉じるまぶたにやきつく紫。
開く瞳にかがやく青。
「さあ、覚悟はいいですか!」
船が衝突。その勢いをまんま使って敵船甲板へ跳躍すると、『ハーロヴィット・トゥユー』を頭上でぐるぐる回した勢いのままぶん投げた。
「Step on it!! 船上で活躍するってのはこういうことですよ!」
砲手にかわって迎撃に出ようとしていたアンデッド兵たちの上半身から先が吹き飛び、残った下半身はばたばたと慌てたように足踏みしたのち転倒していった。
「う、うわ、思った以上に気持ち悪い死に方を……」
先日戦った幽霊船のアンデッド兵に比べ、どうにも脆いように思える。
数だけはいるが劣化が激しいのだろうか。それともなんらかのエネルギー不足だろうか
それとももしくは、エネルギーをあらかじめどこかへ移してしまったのだろうか。
さておき。
「エンカウント! 敵が集まってきますよ、準備オッケーですか!?」
おりゃーと叫びながら『求婚実績(レイガルテ)』夢見 ルル家(p3p000016)が掲げた釘バットを振り回していた。
「ふふふ、拙者達はすでに戦った事があるのですよ! しかもあの時はドレイクもいた!
その時に比べればお茶の子サイサイシーですよ!
こっちには今海洋で最も熱い女!青海の女神こと……」
ババーンという効果音と激しい集中線。
みんな大好き白夜壱号の船首に、『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)がくくりつけられていた。
「やめてくだせー。おろしてくだせー」
「これでこの船は沈みませんね。ありがたやありがたや」
「拝まないでくださねー。困ります。邪教みたいなのでおやめくだせー」
「さぁ戦闘ですよハクサイ一合!」
「白夜壱号」
「よっしゃーここはひとつ景気づけに追いマリナいっときますか! すってぃー(スティア殿)!」
「来たよ!」
両肩に女神像を担いだ米屋STYLEで現れる『新たな道へ』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)。効果音と集中線。
持ち込んだ『青海の女神像×2』を船首にくくりつけていく。
「やめてくだせー。やめてくだせー」
「今ならなんと女神像を二つおつけして、お値段なんとー」
「1万9千8百Gじゃ!」
送料込み! のプレートを掲げて現れる『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)。効果音と集中線。
「やめてくだせー。売らないでくだせー」
「よし、ここは皆で拝んでおくかの。えーっと五円玉五円玉……」
「え、なんですかこの光景。邪教!?」
船室からあがってきた『レコード・レコーダー』リンディス=クァドラータ(p3p007979)がげっそりした顔をした。効果音と集中線。
「はいちゃりーん」
「やめてくだせー、小銭投げないでくだせー」
「せーの、ぱんぱん」
「やめてくだせー、二拍一礼しないでくださせー」
「結婚できますように」
「海の向こうにいい本がありますように」
「今年も健康でいられますように」
「地元から追っ手がきませんように」
「やめてくだせー、願い事しないでくだせー」
と、ここまで五人全員好き勝手コントした……ところで。
「くらえ銀河旋風殺!!」
唐突にジャンピング銀河旋風殺で銀河を旋風殺するルル家。
ジャンピング宇宙忍者フォームから繰り出される宇宙CQCは宇宙物理学的に宇宙痛いのだ。
具体的にはちょっと頭おかしいくらい連撃が回ってアンデッド兵のひとりが塵になった。
「ひい!」
「朗読、『空に焦がれた男の詩』」
戦場のど真ん中でいきなり本を開き直立不動で朗読しはじめるリンディス。
こいつタダもんじゃねえっていう空気をモロに発揮しながらバフに努めるリンディス。じゃあ防御や回避に自信ニキなのかっていやあそうではなく、さっきからアンデッド兵のはなった矢がぶっすぶす刺さっていた。特に頭に。
「続きまして、『先陣を往く少女の物語』」
かと思えばさらに朗読を継続。
頭に矢ぁ刺さりすぎて何かのギアがはいったのか、ひょいひょい矢をよけながらうまいこと朗読を続けていた。
「ねえねえ、あのアンデッド兵って私の治癒魔法で逆に溶けて消えたりしないの?」
「しないじゃろな」
「むむむ、なんて我儘なの! こんなに癒やされるのに」
もう知らない! て言いながらトリプル青海の女神像もといマリベロスないしはキングマリナをあがめ奉るなぞの儀式を継続した。
なんでか知らないけど治癒の光が広がりリンディスが癒やされリンディスのカバーによってルル家とアカツキが守られその全員にマリナがあがめられるという謎のフォーメーションである。生態系ピラミッドともいう。
「もーやめてくだせー」
そろそろ限界なのですと言ってもがもがするマリナ。
アカツキは仕方ないのじゃといいながらたいまつに火をつけた。
もっと正確にいうと、マリナの足下から伸びる導火線に火を近づけた。
「え、やめてくだせー! やめてくだせー! 私はロケット花火じゃな――」
「FIRE」
効果音。
集中線。
敵船の真ん中ではぜるキングマリナ。
そして。
「う、うう……ハッ! 生きてる! 私はいったいなにを? 仲間に縛られて崇められて最後に黒色火薬で発射されたきがするのですが……」
「悪い夢じゃったな」
肩ポンされたマリナ……の服のなかに、なんだかどさまぎで変なリンゴが入っていた。
「じゃあこのやけにゴールドなリンゴはなんです?」
成否
成功
第1章 第12節
虫の声がする。
葉が小鳥の羽音にゆれて、雨から残った滴が落ちる音がする。
わずかに揺れる枝が。
強く短い息づかいが。
土を蹴る足音の加速が。
「――来ます」
『アデニウム』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)に、敵の到来を知らせた。
目を開いた時には既に弓を構え終わり、矢をつがえおわり、そして放った後だった。
魔力を変換した漆黒の矢がわずかなきりもみ回転をかけながら枝葉の間、森の中を飛び、駆け寄る巨大なオオカミの身体へと突き刺さる。
ただ刺さっただけではない。
瞬間にパッとはじけてさいた黒い蝶の群れがオオカミの身体に激しいしびれ毒の効果をもたらし、堅い毛皮をかき分け傷口を深くえぐっていく。
「しがないメイドですのでどこまで力になれるかわかりませんが頑張らせて頂きましょう」
次。と述べてさらなる矢を放つリュティス。
先行したオオカミに敵の気配を探らせたのか、続いてやってきたオオカミはリュティスの矢を回避。太い枝の上に陣取っていたリュティスを見つけ距離を詰めにかかる。
それを阻むように幹の影から姿を見せた『百錬成鋼之華』雪村 沙月(p3p007273)。
「外敵排除、確かに合理的です。危険な敵に襲われるとなると拠点を作っている場合ではなくなりますしね。協力させて頂きましょう」
邪魔をするなとばかりに牙をむき出しにしたオオカミ。その懐にするりと入り込むと、食らいつく顎をかわして相手の首を押さえ込んだ。
人間でいえばバックドロップでもきめるような首のホールドから、立てた一本の親指をナイフでも刺すようにしてオオカミの脇腹へと突き立てた。
鍛え上げた指はそれこそナイフの一撃に勝る。
喉をはじめとする一撃必殺の急所をつけば、それだけで死に至らしめることも可能であるという。実際。沙月の指はオオカミを一撃のもとに喀血させ、白目をむき泡を吹かせた。
それでもさすがに狂王種であると言うべきかもがき逃れようとするので、沙月は首をへし折ってその場に投げ捨てた。
「オオカミは群れで狩りをすると聞きました」
「気をつけて、囲まれてる」
彼女の背を守るように、剣を抜いて立つ『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)。
「……そのようで」
ざざ、ざざ……と周囲の茂みが揺れ、オオカミが低く唸る声があちこちから聞こえる。
数を悟らせず、そしてどこから最初に襲いかかるかを悟らせないつもりだろう。
オオカミという生き物はそもそも賢く、連携や社会性にも優れているといわれるが、しかしそれにしては囲みかたが賢すぎる。もとい、人間くさすぎる。
「はじめはただ強力なモンスターだと思ってたけど……なんだろう。ちょっと違うのかしら。狂王種って……」
考えるヒマは、ない。アルテミアは直感頼りで振り向くと、剣に纏わせた蒼い炎で虚空を斬った。
否。飛び出し不意打ちをしかけようとしたオオカミの首を先行入力によって切り落としたのだ。
だが手は休めない。返す刀で炎を飛ばし。炸裂した焔が茂みごと別のオオカミを焼いていく。
「追撃のチャンス」
枝の上でじっと時を待っていた『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が回転をかけて着地。
着地と同時に走り出し、マナ噴射による回し蹴りでオオカミの一体を撃滅。からの反転ウィンドミルによる連続キックで別のオオカミを蹴り飛ばしていく。
周囲のしげみごとなぎ払い、ネックスプリングで立ち上がる。
「さて、あと……一匹か?」
これ以上は隠れられぬと踏んだのか、オオカミが姿を現す。
つやのない黒い毛皮に鋭い目。
体感では十匹ほどの群れがあったようにすら思えたが、この一匹がそれを代行していたようだ。
「人間相手に数を誤認させるとはな。ただの獣ができる芸当とは思えん。貴様、何者だ……?」
言いながら『煌輝』を抜刀。エナジーブレードを発生させあえて両手持ちすると、正眼にしっかりと構えた。
相手の姿勢が低いと極めて不利な構えだが……?
「――ッ!」
上段から打ち込んだ汰磨羈を回避し、素早く喉元に食らいつくオオカミ。ひといきに骨までかみ砕いて殺した――かに思えたが。
「残念だったな。残像だ」
殺気さけ放って素早く後退していた汰磨羈の剣が、オオカミの喉を貫いていた。
崩れ落ち、そしてどろどろと溶けていくオオカミ。
他の狂王種とは明らかに異なる死に方に目を細める……が。
「理由は……コレか?」
死体の中から、黄金の朽ちぬ果実を拾い上げた。
成否
成功
GMコメント
■シナリオ構成とプレイング
こちらは1章限りのラリーシナリオです。
プレイング受付は7日の朝8時迄を予定しています。
プレイングの一行目には【フィールドタグ】と【グループタグ】を書き込んでください。詳細は後述します。
■フィールドタグ
この作戦は自分に得意なフィールドを申告し、担当者(主にゼニガタ大佐)があなたに合ったフィールドへと出撃させます。
どんなモンスターと戦うか決まってはいませんが、基本的には相性の良い敵とあたることになるでしょう。
その中でも重要になるものとして
以下のいずれかのタグを選択して参加してください。
【陸】島の陸地に残る狂王種と戦います。主に陸戦が得意という方(ないしは海や空は得意じゃないと言う方)むけのフィールドです
【海】海の中にもぐって戦います。水中呼吸もしくは水中呼吸(弱)を用意しておいてください。海種をはじめとする水中戦闘が得意なかた向けです。
【空】島上空にいる狂王種と戦います。高高度戦闘が要求されるため、必ず飛行(飛翔)を用意してください。ここでそれ以外の飛行系スキルでの戦闘はできません。
【船】主に幽霊船との戦いになります。自分で船を持っている方や、船での戦闘が好きな方向けです。自前の船をもっていてもいなくてもいいですが、もっていたほうがずっと有利でしょう。
■グループタグ
誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの一行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。所属タグと同列でOKです。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
このタグによってサーチするので、逆にキャラIDや名前を書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【鮫殴り同好会】9名
●重要
当ラリーシナリオでは極稀に『歪な黄金の果実』を手に入れられる可能性があります。
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