シナリオ詳細
大衆食堂の迷走
オープニング
●
「すまない、今すぐに手と胃袋を貸してくれる奴はいるかい?」
『黒猫の』ショウ(p3n000005)はローレットに入ってくるなり、その場にいるイレギュラーズに呼びかけた。普段は落ち着いている彼だが、今は肩を上下させている様子から焦っていることが伝わってくる。珍しい。
「依頼って言うには報酬はそう出せなけど。俺の顔見知りがやってる大衆食堂から味見役をよこして欲しいって頼まれたんだ。そうだな……ざっと100人はいると助かる」
大衆食堂に100人。いきなり何を言い出すのか、と思ったが、ショウの表情は冗談を言っているふうではない。マジらしい。
「そいつが言うには、王都も色々と情勢が変わってきたからより多くの人に合う料理を作りたいとかで、最近料理の試作をしてるらしいんだが食う奴がいねえ、と。客に未完成品を出すのは忍びないから食べてくということらしいね。ああ、当然腕は確かなんだ、腕はね」
腕のよさを強調するショウに、イレギュラーズは首を傾げた。腕がいい料理人なら、試作品を出しても特別価格とかなら客は寄り付くのではないか。店に出してみる案もあったのでは、そう指摘する声が聞こえた。聞こえたのだが、察しのいい面々は渋面を浮かべている。
「腕はいいんだけど、独創性が強くてさ。味か見た目が極端だったり、量が多かったり……もしかしたら好みを口にしたらそれを曲解したメニューなんかを作ってしまうかもしれない。そういうのが好きとか食べられるって奴はぜひ手伝ってほしいのさ」
それで、いるかい? そう問いかけたショウに、一同は暫く考え込むのだった。
- 大衆食堂の迷走完了
- GM名三白累
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年02月16日 23時50分
- 参加人数100/100人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 100 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(100人)
リプレイ
●見た目が9割という嘘
香奈美は目の前に出された小瓶サイズの肉料理を前に、まずその匂いで背骨が砕けんばかりに仰け反った。傍らでは、ジョーが口にしたペペロンチーノ、その麺の断面から赤い汁が滴り、彼の唇を真っ赤に染め上げる。
二人の様子に目を丸くしたリオネルは、眼前のカツサンドらしき物体にかぶりつき、その甘さの勢いでルアナの煮物を口に放り込む。途端、未熟な柿のそれを30倍にした渋みが脳天を突き抜け、ガクンガクンと椅子を揺すった。
先に毒味した知人を訝しげに見たルアナは言葉にならない表情で煮物を食べ、香奈美の肉料理に首を振った。嗚呼、元の世界でも稀に見る美しさであろう料理がなぜ、なぜ。
「大丈夫っす、少し驚きましたけどタダメシなんだから食べないと勿体ナ゛ッ」
「辛い……が、癖になる! なんだ! 甘い、渋い、水……ああ、でも!」
香奈美とジョーの惨状もだが、リオネルのリアクションも相当だ。ルアナがギリギリ品位を保っているのは、元勇者の品格なのだろうか?
「飲み物、飲み物をくれ! 全員分、大ジョッキでだ!」
「あるよ」
100名のイレギュラーズからそろって大ジョッキを注文されても余裕で捌きそうなマスターは、リオネルの要求に大ジョッキとピッチャーの茶で答えた。ピッ茶ーってか。
真意に気付いた周囲の数名が「うるせえ」と心中で叫んだことは言うまでもない。
「極端なのを極めるのはすげえ、少しずつなら……」
「こういうヤツかい?」
シェアしているからかろうじてセーフ、そう言いかけたリオネルの前に突き出されたのはシルヴィアが頼んだ皿だった。ランチプレートめいたそれは、そのいずれもが突出した匂いを放って存在感を見せつけている。
傍らからそっとルアナが料理をフォークで切り分け、口に放り込めばそれは完全に味のテーマパーク。悪い意味で。
すでに半分以上が食べられているのを見るに、シルヴィアは1人でこのジェットコースターに挑んだわけだ。リオネル達は畏怖を覚えた。
「店主のその、食に対する異常な拘り、アタシは好きだぜ? ……酒が飲めるなら」
酒さえあれば。シルヴィアの言葉はこの場の成人達を代表する言葉だったかもしれない。
一方、偶然同席したリディアとモモカは互いに幸せそうな顔をして終了……しているわけではないが、概ね平和そうだった。
「物凄く甘いパンケーキだけど、酸味があればこんなに美味しく……」
「酸っぱすぎる酸辣湯麺がちょっと甘みを挟むだけで……酸っぱさを控えるより別の味を足したほうが美味しくなるんですね」
モモカの甘すぎるパンケーキとリディアの酸味の塊たる酸辣湯麺が化学反応を起こし、以外な美味へと変化していたのだ。だが、酸辣湯麺を口にする両者があるまじき変顔を見せるのは微笑ましいというか。
「リディアさん、ご一緒にいいですか? そちらの可愛いお嬢さんも!」
その甘い空気に引き寄せられてか、スティアが得体のしれぬ物体を持って現れた。美味しそうに食べているのをみると味はいいのだろうが、一口目に苦労しそうだ。ミルフィーユ状に折り重なった肉と野菜の色合いのミスマッチはしかし、極端な味を経た2人が手を止める理由にはなり得なかった。涙を流しながら食べる一同の苦労が偲ばれる。
「おやじー……甘いのいっちょー……」
あい・うえ男は怠惰極まりないトーンで料理を頼むと、そのままだらりと半身をテーブルに預けた。綺羅びやかな料理の前で屍を晒すラノールを横目に、しかし気遣うのも面倒くさいと正面に向き直る。すでにそこには、甘ったるい匂いを放つ料理が並んでいた。匂いだけで分かる味覚に対する挑戦。甘味への冒涜。
「いただきますー……」
だが、怠惰でも無責任ではないうえ男は、見える地雷を前に逃げなかった。ゆっくりと食べていくにつれ、その鈍い味覚にボディブローのように甘みが浸透していく。ボディがどこだか不明だが。
「おやじ……この甘いのは、ドM向けだ……」
「んー……うん。これも旨い。常人には、ちとキツイ甘さかもしれんが」
あまりの甘さにダウンしかけたうえ男の横で、汰磨羈はしかし平然と食べきろうとしていた。表情に厭気がないので、本音と見て間違いなかろう。
「ただ甘いのではないのです。凄いです。フルーツの酸味や、パイの食感、ナッツの香りが、もう少しと、食べたくなってしまいます……」
一方、まろうは甘みの中に深みのある味わいを感じていた。甘い菓子と聞いていたのに、驚くほどの美味。喉の乾きを促す強い甘みではあれど、彼女の中では割と『イケる』部類。
「えー……おやじ、甘さ変えてる……?」
「ちょっと待って、私の食べてるモノと比べて感想が随分とマイルドじゃない? おかしいよね?」
その感想に、うえ男とたまさか近くにいたリンネは異口同音に異議を唱えた。自分達の手元にある甘い料理と、明らかに感想が違うではないか、と。勢いに気圧され、おずおずと差し出されたまろうのフォークに食いついたリンネは一瞬、固まった。
「うん、甘い! 濃厚な甘さがまったりとしてそれでいて甘く、砂糖の甘みに蜂蜜の甘みがアクセントとなって渾然一体となった甘さを演出し……甘いじゃないか! 変わらないよ!」
お茶を一気に飲み干したリンネは、脳天に刺さった甘みに悶えた。
「あー……ところで、だ。シュークリームはあるか? できれば、いくつか種類が欲しい。うむ」
「……えっ」
そんな騒ぎの横で平然と追加を願う汰磨羈こそが、一番の甘味強者なのかもしれないが。
「……なるほど」
「見た目は特に違和感ありませんし、私も軍学校で食べました。マッシュポテトですね」
ガンスキがあまりにいい笑顔で蒸し芋を頼むので、特にこだわりのなかったヘイゼルは同席したよしみでそれに合わせた。かくして現れた蒸し芋の大皿は、しかしただならぬ雰囲気を醸し出す。
「ソースに秘密がある?」
「この匂いは普通のものじゃないですね。見た目で偽装してますが隠しきれていません」
何も言わずに、マスターはどろりとした緑色のソースを指差して去っていった。ヘイゼル(とガンスキ)の嗅覚は既にそのヤバさを感じ取り、知らず冷や汗を流している。だが、好物と言った。ガンスキは『究極の好物』と言ったのだ。2人は観念して口をつけた。
「からァァァァァいッ!?」
「……?!」
舌を焼き喉を焦がし胃を往復ビンタする辛さ。ベクトルの異なる辛さが繰り返し2人の味覚を殴りつける。美味い。だが辛い。『革靴より』とかいう比較級を口にする前に、2人は果てた。
「食べたら倒れる蒸し芋と食べるところが見当たらない料理、どっちかと言えば食べられる方がいいですね!」
討たれた飲み仲間を司会の端にし、エマは目の前にある料理……料理? を見た。
「味はマトモ……マトモだよな? 本当にマトモなんだよな!?」
ウィリアムの前にも料理がある。ただ、倒立した魚の腸が出ているようにしか見えなかったりブロッコリーひと株乗っただけに見えたりと散々な有様だが。食べられるのか。
「HAHAHA、あの店のマスターに比べればなんだってマシさ!」
貴道は心配する2人にいい笑顔を向け、カレーと向き合う。エグい紫色と得も言えぬ匂いを放つそれと。
意を決して料理を口にした3人の反応は、明暗が大きく分かれる。
「見た目は可食部が無いんですがただ美味しい! 美味しいです! 食感がなんかすごい!」
「目をつぶって食べればマトモ……いやいや、解決にならねーよな。なんで魚のモツにしか見えねーのにパスタ味なんだ?」
エマとウィリアムは見た目を大きく裏切る味や食感の意外性に賛美を送り。
「ああ、あのカレーに比べればマシ! マシ……でも甘すぎるZE!」
貴道は『倒れず食える』ことに喜びを感じても、なんだか大きく損した気分を味わっていた。甘いだけで十分、美味しいんだけどね。
「私は見た目が華やかで綺麗な青いソーダの入ったパフェをお願いします!」
「グラオ・クローネも近いことだし、ここはチョコレートを使ったデザートを試してみようかな」
シエラとメートヒェンが同席していたのは全くの偶然である。あるのだが、両者ともに『見た目が極端な甘味』を所望していたため、ある意味利害関係が一致している者達である、ともいえた。だが、この食堂で『華やか』というのがどういう意味か。
「わあ、華や……か……ソーダの色が青からターコイズブルーに、セルリアンブルーに、そして蛍光色のプルシアン・ブルーに変わってパフェのアイスが赤と緑の流動食である以外は綺麗!」
必死で絞り出したシエラの感想も、グラスを満たす輝きの前には尻すぼみになっていく。
「見た目が、とは言ったが常温で常に沸騰するように波打ったり泡にほんのり人の顔が浮かぶチョコムースなんて想像してなかったね」
メートヒェンのチョコムースもまた、非常にアレな出来になっていた。もはや心霊現象である。
「皆もそんな感じなんだね、デザート……」
セララはメートヒェンの姿を見て寄ってきたのだが、彼女の持つ『デザート』もなかなかのもの。極彩色のケーキなのはいいとして、色が常に流動的に入れ替わっていく様子は異常の一言に尽きる。不気味なマーブル模様はしかし、味のよさは折り紙付きだというのが殊更に混乱を招く。
ルクスリアは色欲の魔王である。男の胃袋を掴むべく努力は惜しまない、らしい。味が良ければ見た目が多少『英国面』でも価値はあると思っていた。
「見た目も味の一部だよね、やっぱり」
「いくら美味しいからって雑な建築物みたいなのは怖いよね、食べるの」
ルクスリアの前にあるのはタルトなのだが、中身がパズルめいてカラフルな色合いが雑に混じっている。
他方、ルフナの注文した料理はもはや生地と素材の一大建築。手順を誤れば倒壊もありうるブツだった。
敢えて危険そうな色からいくルクスリア。爆弾処理の気分でフォークをいれていくルフナ。……味はいい、味は。
「器も含めて料理だから、もう少しパイ包みとか隠す工夫が欲しいかな……」
「大味なのはいいとして食べやすい工夫を……まって、倒壊する?!」
と、まあ可食性も大事な要素だと2人は身を持って教えてくれるのだった。
「確かに『星を見上げるパイ』とでも言うべきモノではあるんですが、その……悪意は無いんですよね?」
「英国面という言葉で足りるのか? これは」
アルプスと黒羽は眼前に並んだ料理に魂が抜ける想いがした。成る程、地球で殊更象徴的に語られるパイの造形のような、青魚の頭部が突き出たモノが並んでいる。だが、違う。違うのだ。
『青魚が煮凝りから突き出している』のである! パイ生地が申し訳程度に垣間見えるが、だからどうだというのだ。美味だと言われても、普通なら口をつけない。だが、キワモノを美味と奉ずるイレギュラーズがいるのだ。コレも美味しいに違いない。意を決して口にした2人は、いい意味で期待を裏切られた。
「……ま、まあ。魚が実物じゃなくて巧妙な造形なのはいいと思います。このナリを見て故郷を思い出す人もいるでしょうし」
「ああ……味だけは文句がつけられねえな」
言葉を濁す黒羽の横でアルプスは思った。この外見もウリになるのでは? と。
さて。
雪の前に並べられた料理は、いずれも恐るべき匂いを発していた。不味い、とは思うまい。ただ辛い。あらゆる辛味の持つ匂いが入り混じり、凄まじいものとなっているのだ。
その煽りを食ったか、フルオライトは既に食べかけの料理とともに沈黙している。儚いものを好む彼女こそが儚い末路に一直線。世の中は世知辛いものである。
「食べ物に罪はない。味は……悪くない。極端に辛いが極端さを楽しめるならこれもひとつだろう」
黙々と(あらゆる料理に模した)激辛料理を食べる雪の傍らで、ミディーセラは見るからに辛そうな料理を口に運んでいた。赤かったり。緑だったり。どう工夫しても辛い料理にしか見えないそれらを、黙々と満足げに平らげていく。……雪とは真逆で、激辛『そうな』料理なのだ。実は普通に美味しい料理、なのである。……彼女の表情からそれを窺い知ることは難しいが。あと、いくら料理が美味しくても近くから香る辛味は脂汗を呼び込んでいるのだがそれは、仕方ないことだろうか。
「皆、今日はこのテーブルに加わってくれてありがとう」
イシュトカは居並ぶ仲間……彼の呼びかけに応じた面々に一礼すると、他のテーブルの様子に耳を澄ませ、それから並べられていく料理に静かに頷いた。
「味見役だなんてほんとありがてぇよ……なんだよマジで……美味しい料理なら大歓迎だし見た目とか気にしねぇから!」
零は奇怪な見た目の料理を見ても引かなかった。自身のギフトでフランスパンを文字通り飽きるほど食べただけに、変化が欲しかったのはよく分かる。だが目の前の光景と自分をもうちょっと大事にしろ。
「これ、なんだってこんなふうにしたんだろ……」
チャロロは得体の知れない色合いの煮凝りを前に表情が曇っていく。ただでさえ食が細い彼が、更に細くなってしまいそうな。そんな破壊力がある。
「本当に変わった見た目なのですねー? でも味はとっても美味しいのですっ♪」
ルアミィは躊躇する面々をよそに、七色に発光するスープに手を付けていた。海洋出身だけあってか、変わり種には強いらしい。『幻想』の料理に慣れていないから、偏見がないのか。ともあれ、彼女の言動に裏表がないのは明らかだ。
「味は悪くないようですが……見た目も食べ物の美味しさの一部だと思うのですよね……彩りとか……」
オフェリアは献身的に、運ばれてきた料理を取り分けながらげっそりとした表情で料理の皿をみる。目で食べるという言葉もあるが、目がすでに吐き出さんとしてるブツが美味しいと言われると、違和感が半端ない。それでも勇気を出して口にする姿勢は、生真面目さ故か。
「私が頼んだスープもだけど、皆の料理もなかなか名状し難いね。これで美味しいってんだからなかなか」
鼎は混ぜてもすくっても七色に光るスープを前に目を白黒させながら、他の料理もつまんでいく。名状しがたき原色ケーキ、一部うごめく海鮮料理、パイ生地は層がカラフル。誰がここまでしろといった。
「私はこうした料理も楽しいと思う。皆はどうだい?」
「皆で食う分には変わり種でも気にならねぇよ! 美味いからいい!」
イシュトカの問いかけに、零はノータイムで満足気に返す。彼は悩みが少なそうだ。貪欲な姿勢もまたらしさ、であろうか。
「もう少し彩りとか大事にすべきかと……これがウリなら話は別ですが」
オフェリアはちょっと引きつった顔で料理を口にしながら告げる。どうしても、食べるのに抵抗があるのでそこをなんとかして欲しい。
「いっそのこと、照明を落としてサプライズ的に出すのもいいのかもしれないね」
「手を加えないでそのまま?! せ、せめて好みに合わせて欲しいな! オイラは苦い野菜が出ると……だし……」
チャロロは、イシュトカの提案に慌てたように声を上げる。好き嫌いというのも大事だな、一同は思った。見た目の面での好き嫌いも、せめて少しは考慮して欲しいな、と。
「試作料理だって?! えりちゃん、何食べる?」
「ユーリエは甘いのが食べたいのですよね。私は……血の味が基準になるので、好きな味と聞かれるとなんとも言えませんが」
興奮気味に甘いものをオーダーするユーリエに、エリザベートは躊躇しながら味を考える。極端なもの、と言われると……何がいいのだろうか、と。美食の概念が吸血鬼基準なので、説明に窮する。そんな視線を送ると、マスターは何故か全てわかったような表情で厨房に引っ込んだ。
そして、2人の前に現れたのはあらんかぎりの中華風を体現した『甘い料理』。ユーリエはその出現に驚いたが、すぐに表情を明るくさせた。
「アイスの春巻きだよコレ! ゼリー寄せとベリーソースのエビチリ!? 甘すぎるくらいだけど面白い! えりちゃんも食べてみて?」
ユーリエの勢いに気圧されて、エリザベートは中華甘味を口にする。ユーリエと一緒に食べるものはどれも美味しいが、このような変化球は格別。アリだと思った矢先だが。
「……私の料理は血というか鉄の味ばかりする料理ですか。極端というと非常に極端な」
「でも、えりちゃんの好みがわかって私は嬉しいよ!」
エリザベートの嘆息は、ユーリエの包容力の前に消えていく。こういう日も、また善きものである。
「この店で最高に美味いものを出してほしい……」
「僕、山育ちだから海の幸の料理を食べてみたいな」
たまさか相席したメルトと緋呂斗の希望を、マスターは一つのオーダーとして曲解した。そして、現れたのはやや大きめの立方体の透明な器……どう見ても水槽なそれに押し込められた小宇宙。
水色のゼリー体の中には魚や肉のすり身団子だろうか? カラフルに彩られたそれは星、散りばめられたスパイスは宇宙のチリか。魚の骨にしかみえないものが入り混じっているが、海と宇宙の中間を表現したポエミィな雰囲気を漂わせる。最高の味という、ある意味究極のオーダーを受けて現れたこれを、メルトはスプーンですくい上げて皿に取り分けた。
「美味い……」
「うん、凄く美味しいよ! 色が一色なのに一口ごとに味わいが変わって面白い! これ、何て料理なのかな?!」
しみじみと語るメルトの横で、緋呂斗は興奮気味にまくし立てる。料理名どころかこんな料理を出すマスターにいたく感服しているらしく、もっと食べようと目を輝かせる。
料理の規模の悪化が懸念される一幕であった。
「ああ、なんか、……竜胆の日本食が食べたい無理」
「だから私に英国面を押し付けるのはやめなさいよ」
ノインと竜胆は目の前の料理を押し付けあっていた。むしろノインが一方的に押し付けている、とみるのが正しいのだろうが。匂いはいい。美味の雰囲気だ。だが見た目で9割拒否。
相変わらず竜胆に料理を押し付けつつ、ノインはひとつ咳払いをした。
「店主、はっきり言いますが、お客が食べて下さる事にもう少し感謝してはいかがです? 見た目がゲロ以下のこれ、お客に出すには余りにも雑。貴方の目線では無く客の目線を楽しませるように盛ってください」
矢継ぎ早に繰り出される指摘は適切なのだが、言い回しからして悪口雑言に聞こえなくもない。だから頼むなといったのに、と距離を置く竜胆は、わずかに残った風変わりな色のプディングを前に複雑な表情だった。……見る者いわく、ノインへの呆れ半分、どこか嬉しそうな表情半分。口直しに供された紅茶を流し込みながら、終わらない彼の弁舌のどこで紅茶とプディングを押し付けるかを見計らっている。そんな様子だった。
「何だ、コレ……?」
「これが……食べ物……?」
葵と瑠璃は、運ばれてきた料理を前に愕然とした表情となった。
お互い、一緒に食べられて幸せ☆ みたいな感情は瞬時にぶっ飛び、三色旗のようなナリのオムライスとつや消しブラックのケーキと対面する羽目になった。
葵の明らかに弱気な視線に、しかし瑠璃は否定のひとつもせずに受け入れると目の前のケーキにフォークを入れる。口に含んで数秒、懸念は笑顔で払拭された。
「え、ウマイの? マジっすか……」
「葵さんも……一口いかがですか……?」
驚く葵に、瑠璃はフォークを差し出し口に含ませた。色合いからは考えられぬ味の積み重ねは、甘みと呼ぶには高貴すぎた。
「見た目以上にうめぇ……それじゃ俺もお返しだ。ほれ、あーんだ、口開けろ」
そして葵はオムライスを。こちらも、味のアレンジは割とマトモ。食べるに足る出来だったのだ。……結局、2人はそのまま食べさせあいで幸せな雰囲気を醸し出していたので、チョイスはある種成功だったのかもしれない。
「俺、ルシフェルファンフェイト!! きみは!?」
『これなるは(ザザッ)ラジオ』『屋』『になりますー』
ルシフェルは、ぽつんと座っていたズットッドに何か共感するものを覚えて話しかけていた。どこから発されているのか謎の音が彼の問いに応じ、時に自身の喉で話す。ズットッドの所作は……まあなんというか理解の外にあるソレだ。
そして、2人の前にそれぞれ供された料理も理解を大きく外れたものだ。ルシフェルに言わせれば『魔界植物』、ズットッドのラジオからは『放送禁止コード抵触』。どれだけ酷いのかは言わずもがなだ。
「味は! 美味しいんだけど! 写真映えを全く考慮しないその潔さは逆に感心するよな!」
『味だけでは(ザリザリザリ)』『どうにもなりませんけどねー』
「見た目は! この透明な液体が一番きれいだ!」
最早、傍目には会話のスカッシュ。勢いと味への満足感で大体2人の交流は深まったんじゃないかと思う。自由にしてくれ。
「ケーキを頼むことにしたんですよぉ。楽しみですねぇ」
「私は、なんかこうばーん! きらきらーとした料理を頼んだのです!」
芽依はケーキと紅茶、トゥエルは抽象的な言葉と身振りで料理を表現した。ついでに、レイは辛い料理を所望したらしい。そして並べられたのは、なかなかカラフルなケーキと非常に普通の紅茶、『ばーん』としか表現できないサイズ感で綺羅びやか(物理)な丼もの、そして見た目から想像できない辛さを漂わせるドリア、の3品。
「へぇ、美味しそうだね。いただきます。あ、結構美味しいかも……!!!!!」
期待感と、期待通りの味わいにレイは喜びの声を上げ、かけて固まった。額から流れる汗と見開いた目が、辛さを如実に物語っている。
「……えっと、とりあえずいただきます……意外に、外見の割にしっとりとした食感に甘さが。少し甘みが強い気もしますけど」
芽依は友人のリアクションに不安になりつつケーキを口に含むと、存外悪くない味だったらしく、嬉しそうに頬を緩めた。
「すごいです! ばーんとしててきらきらしてます! ……レイ君は大丈夫ですか?」
トゥエルは面白半分、心配半分にレイを気遣う。彼女からの回答は口に突っ込まれたドリア。驚いた表情のトゥエルに、さらに芽依がケーキを差し出す。飲み込んでから、トゥエルは自らの料理を口にした。人工イクラの変種じみた丼を。
「見た目も味も大満足なのです! どれもイケるのはすごいです!」
どうやら、彼女の口には合う出来だったらしい。……マスターは何者なのだろう、本当に。
●量があれば味なんて、というごまかし
「さて、お手並み拝見と行こうかしら、あ、クロバも助力お願いね」
「まぁ、喰えるに越した事はないな」
ロスヴァイセはチャレンジメニューとしてパフェを注文した。マスターの不敵な笑顔が気にかかるが……然るに、彼女らの目の前に現れたのは『塔』と呼ぶべきブツだった。
高さ30cmはあるだろうか? 材料と甘味の暴力は、ロスヴァイセの表情を明るくさせ、クロバをして神妙な表情にさせるものだった。
「盛り付けはなかなかだな……でもなんかもうちょっとこう、積み上げ方に美しさが足りない気がするんだよな」
料理の腕と知識はある。だが味は評価できない。黙々と食べていくクロバは、それでもパフェの完成度の高さはわかっていた。あと少し、なにか足りない気がする。
「味は美味しい、量はチャレンジだから多いのは当たり前。全部食べさせるだけの味とレパートリーが欲しいかしらね」
「味のレパートリーねえ。味は分からねえけどクリームとかアイスに色のバリエーションがあると見てて楽しいかもな」
あちこちで悲劇を巻き起こす料理に比べれば良心的。そんなパフェは、しかしちょっとだけ物足りないものなのかもしれない。
「とびきりキュートなパンケーキタワーをお願いするわ!」
レンゲはうきうきとした様子でパンケーキタワーを頼み、そして眼前に並んだその山に歓喜した。蜂蜜多め、ふかふかの生地に白いクリーム。旅人いわく『インスタ映え』の権化。
胃袋の強靭さにかけては引けを取らない彼女は、うきうきとフォークを入れ、喜々として食べ始めた。
「いくらでも美味しく……いくらでも……」
声が尻すぼみになり「飽きたわ」まで全量の半分程度。それでも黙々と口にしていた彼女は、しかし耐えきれずに側に居た全身鎧……フィオリーレにそれとなく押し付ける。
何か味付けのアレンジをお願いすればよかったのだろうが、彼女にその発想が生まれることはついぞなく。押し付けられるままに口をつけたフィオリーレが暫くの後、カラとなった皿とともに撃沈したのは偏に不幸であったとしか言いようがない。
「……おぉ、ご飯がこんなに沢山。私一人で食べきれるのでしょうか?」
フランチェスカは、目の前に並べられた大盛りのパスタを前に目を輝かせていた。真っ赤なナポリタン。肉団子やウィンナーが顔を覗かせるジャンクなそれは、しかし食に触れて日が浅い彼女の興味と食欲を刺激してやまない。食から縁遠い身の上で知ってしまった甘美を前に、白い肌も髪も形無しだ。せっせと食べる彼女の姿は食事に、というより食事がもたらす快楽に飢えているように見えた。それを満たすのは……。
「美味しそうね。ご一緒してもいいわよね?」
リカナは自らの皿に盛られた焼きそば3種(塩、ソース、海鮮)を手で示しながらフランチェスカの皿に目配せした。動物なき世界より至った彼女にとって焼きそばは至高。なれど、パスタに交じる動物性蛋白質も興味を強く引いたのだ。
フランチェスカは軽く胸を叩いて呼吸を整えてから、嬉しそうに皿を差し出し、メニューの交換に応じた。1人で食べきれなくはないが、当然誰かと食べたり、分け合うほうが断然美味だ。
彼女が飢え求めていたのは、或いは食を通じての繋がりで。リカナにとっての幸運は、やきそばに劣らぬ味わいの麺類を口にできる機会とそれを共有する相手を得た事だったかもしれない。
「大盛りでばっちこいよ! 完食してみせるわ! こけー!」
トリーネは単体で食堂に入りづらいナリをしていた。なんせ食材と勘違いされては困る。こういう機会は有効活用してこそ。幾らでも食べてみせよう……その意気やよし。よいのだが。
彼女はニワトリなのである。人間サイズの食材を用意されて、消化できる胃袋、収納できる体積がどこにあるのか、是非知りたいくらいだ。
「うん、美味しい……。でもなんか……全然減ったように見えないかしら……」
「おい、大丈夫か? 完食できねえなら俺が代わってやろうか?」
どこか朦朧としながら大盛りを3分の1ほど啄んだところで、たまりかねてゴリョウが横から声をかける。残飯処理というと聞こえは悪いが、食べ物を無駄にせぬ努力を、と苦労を買って出ようとしているのだ。周囲で大盛りに負けているヤツは1人ふたりではないのだし。
「や、やるわね……私が、敗北するなんて……あとは任せたわ……」
そう言ってボール大に膨れたトリーネは脇に置かれ、ゴリョウは気合一声、一瞬にして細身になった。逆に不利では? と思うことなかれ。これこそ彼のカロリー消費用ギフト。程なくして雪辱を晴らした彼は、次の犠牲者へと目を向けるのだった。
「タダで! 美味しい料理を!! たくさん食べられる!!! ここが音に聞くヴァルハラですか!?」
「まだ飢えて……いや、タダという言葉に反応しているだけか?」
アレフはルル家の興奮度合いに困惑を隠しきれなかった。『肉盛り森定食』を元気よく頼む彼女に、彼も同じものをと手を挙げる。運ばれてきた質量に驚く暇もなく、ルル家は歓喜に叫ぶ。
「美味しい! 美味しい! すごい! まだ食べヴッ!?」
そして腹を抱えてくずおれた。アレフが驚く暇もなく、ルル家はここ暫く食がおろそかだったことをゲロった(比喩)。
「な……なんと、まだ量があるのですか! あるのですね!? すごい! こうなったら厠に」
「ルル家、周りには私達以外にも食事を楽しんでいる者達が居る」
子供を見るような目で微笑ましく観察していたアレフだが、ルル家が穏やかならざることを口にした時点で流石に止めた。厠で何をしようというのか。文字通り依頼人の顔に吐瀉物をまきちらす行為である。アレフは止めた。そして彼も目の前の肉と飯の山の処理に窮した。顛末は伏す。
「いや……大盛りの料理の味を均すって難しいらしいじゃないっすか。ムラがないってだけで大したもんっすよ」
ヴェノムは触腕と口とを忙しなく動かしながら、大盛りの料理をどんどんと消化していた。一部、敗戦処理が混じっている気がするが気のせいではあるまい。
他者のギフトの恩恵ほどではないが、それでも消費量は半端ない。もぐもぐと食べながら、話を続ける。
「見てる限り見た目とか味を狙って変えてるなら『それ』を娯楽にしてる人もいそうっすし。他人にできない事をやるのも一つ道じゃないっすか?」
案外、ヴェノムの言葉も真理に近いのかもしれなかった。
「この黒は……どうやって出したのだろうか。この世界の料理はおもしろいものだね」
コルザは目の前の漆黒の塊(漆黒ソース添え)のインパクトに驚きつつ、興味深げに観察する。料理に携わる者のサガであろうか、味や形状は脇において製法が気になるらしい。
「……まあ、トカゲやらをそのまま出す様な物とは全然違いますね。当然ながら」
同席したロズウェルの世界では野趣あふれるものが当然だったのだろか、彼も奇特ながら品位を残した外見に興味津々といった様子。コルザはそれを口に運ぶと、満足げに頬を緩めた。
「一口、食べてみるかい?意外と甘くて美味しいのだよ」
「では、一口失礼して……味もなかなか悪くはない……果物か何かのソースでしょうか」
勧められるままに口にしたロズウェルは、口に広がる濃いカカオの香りと幾層にも折り重ねられたベリーの風味に驚きを覚える。炭もかくやといわんばかりの黒が、このような深みを持つとは予想外だったのだろう。
味について互いに意見を出し合う傍ら、ロズウェルは相手の料理を口にする機会が来れば……などと考えていたと判明するのは、後ほどのことである。
「……こうしてると昔を思い出しませんかね、センセー」
「どうだったかなー。食事を囲むのも久しぶりだからねぇ。ましてや坊っちゃんと一緒となるといつぶりかなぁ?」
リチャードと黄瀬は互いにホットチョコレートのカップを手に、向かい合っていた。特に外見でおかしな点は見当たらない……加熱により黒ずんだベリーソースが浮いている以外は。
2人のそれは会話、と呼んでいいものかどうか。リチャードが互いの過去をぽつぽつと語るのを、黄瀬は軽く首肯しながら聞いている。生まれた姿も知っている相手が立派に料理人をやっているのも不思議な気分だ、と黄瀬は思った。そして、周囲の惨状……視界の端の『顔見知り』の治療の手がかりはないか、と。
「ココまで突き抜けてるなら、いっそそれをウリにしたほうがいいと思うね俺は」
目を更に細めた黄瀬の前に、何枚かのビスケットが置かれていた。店主の気遣いだろうか。
「此れからも勉強させてくれませんかね。アンタから学びたいことは沢山あるから。んで、よかったら俺のとこでも食べてってほしい。意見が欲しいんだ」
リチャードの問いに、店主は無言で頷く。いつ履行されるかも分からぬ約束ではあるが……。
「一体どんな物が来るんだろう? 楽しみなような怖いような?」
「あぁ、もう、とにかくハラペコなんだ。量だ、量を持ってきてくれ!」
外見が残念なものを頼み、緊張に身を固くする桜。他方、オクトは随分飢えているらしく、『量を』と言った。言ってしまったのだ。
そして現れた料理に、2人は絶句する。
桜の注文はどんな原理か、こぶりな丼に入った刺し身は生きているかのように数秒蠢き、沈黙した。ところで添えられているバーナーは何に使うのか。
オクトに至ってはうず高く聳える米と具材の山である。チャーハンというにはあまりに高い。だが、彼女は怖気づかなかった。
「こ、これは……! ふ、ふふ、大丈夫だ。こんなところで、負ける私ではないぞっ!」
おずおずとバーナーを器に向ける桜をよそに、オクトは挑戦者の面構えになった。……そして数分後、建てられたフラグ通りに轟沈した。でも、桜の料理を口にしていなければもうちょっと早く倒れていただろうから持つべきものは友人である。あと、桜は美味しそうに完食した。
どことなく緑がかった色のチーズインハンバーグ。
四分割でそれぞれ極端な味を思わせるピザ。どことなく和風から遠い色合いを強調されたあんみつ。
赤、緑、黒などのパウダーがまぶされた唐揚げ。
そして、甘味をこれでもかと匂いでアピールする卵焼き。
……リゲル、なずな、ノースポール、そしてアインの4名は、並べられた料理のアレンジぶりに目をみはった。
「ああ、甘くて美味しい卵焼きをと頼んだが……ここまでいくとデザートだね。私は嫌いじゃない」
「量は少ないですけど、唐揚げはパウダーごとに味が違いますね……お酒には合いそうです。ノースポールさんのハンバーグは……」
「すごいです、変わった色ですけど十分美味しいしチーズも凝っています! アインさんのあんみつも美味しそう!」
「じゃあぽーちゃん、交換しよう、ひとくち!」
とにかく個性的な料理が集まった卓であったが、全員が全員、料理に対し肯定的であった。店主が空気を読んだのかアレンジ色は薄く、互いの料理が味を補完することでより楽しめる内容になっている。
「ぼくね、こうやって大勢でわいわいできる食堂はとっても素敵だとおもうの」
「ああ、『個性的』とわかってて頼む楽しみも、味わう喜びも分け合うのはとても楽しい。店主が意見を受け入れてくれるなら尚更にね」
アインの言葉に、リゲルもオトナの笑みで大仰に頷いた。味や見た目のインパクトも、分け合うための口実ならば。それは幸せを呼ぶものだと実感する4名であった。
●無差別級オーダーランセレバトル(ノーコンテスト)
「ユズ、いっぱい、食べる! お腹、 破れるくらい!」
白銀の狼『マー』を連れて入店したユズの要求に、店主はあらん限りの量の肉料理を用意した。オーダーに忠実なだけか、はたまた保護欲からか。皿から溢れそうなそれに、ユズは一も二もなくかぶりつき、しかししっかりと咀嚼してマーと分け合う。
「いっただっきま~~す!」
の、だが。隣で同程度の肉の山を前に礼儀を正し、勢い良く肉にかぶりついたリックの姿はユズに刺激を与えた。
「うめえ! うめえじゃん! 肉汁とタレが絡んで最高だ、幾らでも食べられるぜぇ!」
リックの食べっぷりは凄まじく、驚くべき勢いで肉の量が減っていく。ユズも触発されてか、マーとともにペースを上げていき、次第にリックに追いつかんとする。
「ユズ、負けない!」
その言葉を聞いたリックも、負けじと肉の山にかぶりつく。マーの胃袋も限界になり、ユズもリックも目がうつろのまま最後の肉を手に取った。……そして、ふたりともあと一口で皿に顔を突っ伏した。後に完食したとして、この試合は引き分けだろう、多分。
「さて、ではご主人。一品いただけるかな? 『ジャングル』をお題にしたものを」
「そのお題に加えて、ニンジンを使った料理を頼むにぇ~」
テーブルに姿勢良く座り、厳かに注文を告げたゴ、否、ローラントの言葉に割り込むように、Pandoraが言葉を添える。驚き、見下ろすローラントに、Pandoraは「ニンジンは美味しいにぇ~」とにへらと笑った。
「野菜もまた『ジャングル』……よかろう」
大海の如き優しさで受け入れたローラントとPandoraの前に出てきたのは、まさかのパフェだ。だが、タダのパフェではない。底からニンジンのジュレ、薄切りの揚げ芋を砕いたもの、野菜のムース、色とりどりの野菜系アイス、豆乳のクリーム、天辺は森を模した香味野菜のディスプレイとニンジンのムース。ムースから滴るデザートソースはさながら雨季のジャングルだ。両者は、あまりのガチ具合に僅かに顔を見合わせてから、口に運んだ。
ローラントは香味野菜を手づかみで口に放り込み、パフェスプーンを手にとって一心不乱に口にする。Pandoraもまた、時折感嘆の声を上げながらそれを口にした。
「な、なんだかすごそうなパフェだな……! マスター、私にもあれを頼む!」
ヨルムンガンドは、そんな2人(?)の食べっぷりに思わず自分も、と同じものを頼む。実はそこかしこで他人の料理を追い注文したり、ゴリョウ同様敗戦処理に赴いていた彼女だったが、まだ追い求める美食があれば、食欲を止める理由はなかったのだ。なので、彼女の食レポをご堪能ください。
「天辺の野菜の香りがツーンときて、それから赤いムースの甘味とソースの塩気が絶妙だ……! アイスも普通よりさっぱりしてていくらでも食べられるし揚げ芋の塩気でいくらでもいけそうだよぉ……!」
あ、どうしようコレ看板メニュー候補になるやつだ。
「3、4……なるほど5人前か。チャレンジメニューと謳うだけはあるね」
アイヒヘルヒェンはカラになった皿を前に、腹を擦りながらふむ、と頷いた。彼女のギフトは無尽蔵ではなく『回数無制限』の胃袋である。
「味はムラが無く最後まで食べられる満足感はあるよ。でも、この量を一度に出すなら調味料で味が時間で変わるサービスも欲しいな。大食漢でも単調なのはちょっと。同じ感覚で一人分を作っても美味しくなるだろう。盛り付けは控えめに、だけどね」
つらつらとアドバイスを述べると、涼しい顔で「ではおかわりをいただけるかな?」と告げた。
「そうだよなあ、大盛りだって分かってれば頼みたい人が頼む。悪いメニューじゃないよこれは」
シルヴェイドはアドバイスを横で聞きつつ、大盛り料理を食べ終えるところだった。周囲の悲喜こもごもを見つつ、しかし満足気に平らげた彼女には料理の問題点は感じられず。
「食べやすい量もちゃんと用意してれば、あとは料理人の意気込み、魂だよ。それを伝える努力をすれば繁盛するんじゃないかな?」
悪い店ではなさそうだし、と付け加えた目には、きっと繁盛する未来が見えたのかもしれない。
「海鮮料理を、と思って頼んだら……個性的な見た目の料理が来たね」
「世界は広いのですね……」
イリスとシルフォイデアの義姉妹は、眼前の『星を見上げるパイ(再出)』と『スイーツ風味のサラダ』に意表をつかれていた。
『海洋』に長く身を置く2人にとっては新鮮な料理だが、店主は一応、両者の意向を汲み取ってはいるのである。イリスは魚の頭に忌避感がなかったのであっさり口にして味を受け入れ、シルフォイデアも一口食べればその甘味に喜び、より多くを食べようとフォークを動かした。
「でも、この味付けが続くと……シルフィの、一口欲しいなあって」
「わたしもこの量は無理なのです。姉様、分け合いっこしましょう」
まあ、そうは言っても美味には鮮度がある。2人で分け合えるなら、色んな味を経験しておくのもいいことだ。彼女達の世界は、拓かれたばかりなのだから。
「折角のタダ飯なんでオーダーさせてもらうかな。腹壊すぐれぇな酷いもんでも出さねぇ限り暴れはしねぇさ」
「ここで好評なら、『黒猫の』にも変わり種を出すといい。喜ぶと思うぜ」
豪真とライは、注文に際して地味だが効果的な地雷を設置していた。他人に対して、そして自分に対して。ガッツリ食えればいいライと辛味のある肉料理を頼んだ豪真。両者の前に用意された料理は『スライス肉の重ね包み焼き』とでもいえる一品だが、その内実は大きく違う。ライのものは多種多様な味が染みた肉を、豪真のそれはあらゆる辛味を染み込ませた肉を、それぞれ幾重にも重ねたもの。主食の量も異常に多い。
「肉が甘かったり酸っぱかったりは意外だけど、層になってる分飽きが来ないな、意外と美味い!」
「汗が止まらねえ……けど食うぜ、オヤジのチャレンジ精神に負けちゃ居られねえ!」
2人は予想外の料理に驚きつつも、食事への敬意は忘れない。瞬く間に減っていく料理は、彼等の満足度を如実に表していた。
「牛挽肉を焼いた……何つったっけな。……そう、『ハンバーグ』だったか?」
一方、Morguxは目の前のハンバーグを咀嚼しながら違和感を覚えていた。
自分の味覚が正常ではない自覚はある。だが、違う。料理に、違和感があるのだ。
「見た目はいい、ハンバーグとライス、野菜の色合いも完璧だ。ただ、肉の味は『甘いって分かってれば』文句はねえ。それだけだ」
ため息をつきつつ、完食した皿を指して彼はマスターに告げた。
「…もし商品化するなら、商品名にこれがどんな物なのかを書くか注意書きは絶対しとけよ?」
「触手モンスターな見た目の料理を作るでやんす!!」
すてーきの非情な挑戦に、マスターの表情が引き歪んだ。だが、プロとして頷いた。
「店主さん、私は焼きゾンビのソテーをお願いします♪」
それに乗じて樹里はとんでもないものを注文する。店長の目がひかった。
両者は知り合いでもなければ同席もしてない。互いに視線も交わしていないが、アレな趣味は共通だったらしい。
程なくして、すてーきの前には小麦その他の練り物で触手を体現した触手料理。樹里の前には、『いかにも』ゾンビ肉風のソテーが供された。……ホンモノかどうかは、食した樹里にもわかるまい。祈りを捧げ、喜んで食べているが……いいのか。
「腕はいい。独創性が強い。曲解したメニュー。全て何も問題ないでやんすよ……そうだ、『ミミックパンデミック』で生やしたオイラの触手を使ってみろ! でやんす!」
ビタァン! と地面をたたいたすてーきの触手を前に、マスターは戦慄しつつそれを引き抜く。何が出来たかは……ここでは伏す。表現できそうにない。
「だだっ広い宇宙のように広大で味わい深く、それでいてすべての味覚を感じれるものを頼むゼ!! オレサマを痺れさせてみろ!!!」
ヴァルゴはマスターに対し、とんでもない挑戦を突きつけた。全ての味覚が刺激される料理は、単一の味覚よりも得ではないかという持論は、なかなか重い要求となる。
マスターは奥に引っ込むと、暫くしてからヴァルゴの前に一皿の料理を出した。……カレーだ。しかも青い。
「ああ、私もカレー……なるほど、青いカレーか。これも旅人に聞いたことがある」
そこで、カレーを頼んでいたジョセフが流れ弾を浴びた。かつての世界の食がアレなので多少は受け容れると身構えた手前、それでも鉄仮面の口元を開き、彼は食す。
「ンッ……!? 辛い、デモ野菜の苦味と甘味、果物の酸味がアル!」
「色は個性的だが噂に聞く味だ。辛味と香りに身体が刺激されるのを感じる。ナマステ……」
ヴァルゴはカレーの深みある味に驚き、ジョセフはマトモな料理にありついた喜びで思わず異国語を口走る。マスターがこのあと、ヴァルゴに掴みかかられるのも已む無しか。
「これが、見た目のアレな品、ですか……深めのお皿を、いただけますか」
珠緒は供された料理(と呼ぶのか不明な彩りのもの)を深めの皿に移すと、あろうことかスプーンでぐるぐるとかき混ぜ始めた。混ざることで僅かに色が変わったりしたが、しかし渾然一体となった食材に元の面影は微塵もない。
「こうやって(スプーンで掬うだけです)食べて……うまい、ですね」
形がダメなら形をなくせばいい。道理だが、形を知らなかった彼女が行うべき食事だったのだろうか……?!
「お菓子が希望よ。うーんと甘いのが良いわ」
「ミルクとココナッツとヨーグルトを使った料理を食べたい! できれば甘いの!」
エスラは異国の甘味を求めていた。ウォーカーが多い環境であればより珍しいものに出会える、と踏んだのだ。彼女の意図と合致したからか、偶然か。同席したミルクは甘味の創作を要求しているではないか。コレは期待できる。
「白くて、もっちりとした、パンのような甘い……」
そしてファリスは、記憶から料理の食感などを引き出しつつたどたどしく話し。
「そう、『おっぱい』です、『おっぱい』をお願いします!」
あろうことか男性陣総立ちの事態を生んでしまった。彼女の名誉のために述べるなら『あんまん』を所望していたことを記す。
……で。
「ココナッツの容器のヨーグルトゼリー! ちゃんと風味もそれっぽいよ!」
「林檎をくり抜いて生チーズと混ぜて焼いたチーズケーキ、ね。……甘いわ、上出来よ」
「白くて、ふっくらして……中身はないけどこんな感じです! でもこの赤い実の突起は……?」
ミルク、エスラ、そしてファリスの要求を(一部曲解はあるが)マスターは形にしてみせた。三者三様の甘味はそれぞれで分け合っても美味で、一同は十分に満足の行く結果を味わったのだった。ファリスがプレーンまんにかぶりつく様子が色々とアレだったが。
「そば切り……麺の形で頂くのは中々に贅沢でござるなあ。ご主人、拙者は『きつね』はできますかな? 甘辛く煮たアレでござるよ!」
修理亮は奥から漂う出汁の香りに鼻をひくつかせ、軽く涙を拭った。江戸初期から中期に確立したそば切りは、当初『善光寺そば』などの限定的なものであったとされる。そばがきが普通な彼には素晴らしき贅沢と、郷里の味なのだ。
「和のもの、そばというのは実に美味でござるからな。気持ちは十分理解できるでござる。某は天ぷらだが、はて『きつね』とは……?」
明寿はその様子に理由こそ知らずとも同意を示し、かけそばを喜んで待っていた。トッピングは天ぷら。同じそばでもトッピングが違えば別料理。修理亮の注文に、彼は興味津々だった。
「うむうむ、これでござる。甘辛い匂いと一緒にそばを手繰り……んん?」
「いい香りでござる。天ぷらもこの通り……この通り」
2人は同時にそばを手繰り、そして違和感に気付く。『きつね』は甘辛いが、何故か動く。なんか動く。天ぷらは美味だが、食感が独特だ。
「ご主人、これは一体――!?」
そんな叫びが聞こえたのも、仕方なきこと。
「やー、他人の金で食べる料理ほど、食が進むものはない」
「たまにはゆっくり食うのも乙だろ?」
ジュアとレイチェルは、お互いに肉料理を注文していた。レイチェルは血が滴る程度のレア。そしてグラス一杯の生き血。そしてジュアは、幻想の動物の肉料理を、大盛りで。
「ウォーカーの書いた本に載っていたのだけど、やっぱり吸血鬼は若い美女の生き血が好きなのかな?」
「……美女の生き血は美味いぞ。ヒトの生き血じゃなくても俺はいいが……吸血鬼の中では雑食って奴だなァ」
トマトジュースと肉とを交互に口にしながら問うジョアに、レイチェルは(某かの動物の)生き血で唇を湿らせながら答えた。丁寧に肉を切り分けて口に運ぶと、満足げに笑う。
「ジュアの肉もボリュームがあって上等だなァ。苦手なもんがあったら食ってやるよ」
「すまない、レイチェル……ジュアはどうもこの植物がニガテでね」
ハイペースで食べていたジュアは手を止めると、唐辛子を皿に分けてレイチェルへと押しやった。多少の好みこそあれ、2人は満足行くまで食べた様子であった。
「すごい!これはアートだよ!」
ルチアーノの前には、難攻不落の城塞を思わせるミルフィーユが鎮座している。食べるのに一苦労しそうだが、本人は嬉しそうだ。
「ルチアーノさんのはまた、固そうなミルフィーユですね……」
そう言うアイリスの前にあるベリームースケーキは、極彩色……一部原色混じりのど派手な出来だ。『可愛い』の定義にもれない範囲なので、見る分には楽しめよう。
「アイリスさんのムースケーキもなかなかカラフルで、十分アートな感じです……!」
そして愛莉の前には、四つ切にしたピザがある。それぞれに個別の食材を載せ、うち1ピースはデザートピッツァという力の入れよう。女性の機微を十分に把握せねば作れぬ逸品である。
「硬いから、食べようとすると崩しちゃうよね……小分けなら面白いと思うんだけど」
「それでチョコフォンデュとかにすればもっと美味しいかもですね!」
ルチアーノが細かく崩しながら考えると、アイリスも一言二言提案を述べる。派手な出来だが、美観と食べやすさをどこで両立させるかも難しい。
「ケーキはもっと、自然の色だけでいいかな……とは思いますね」
「クリームの色がベリーっぽいと綺麗だと思います! 自然な色だったら凄く素敵ですよね!」
アイリス自身のメニューはといえば、やはり原色混じりなのが食欲を揺さぶる。悪い意味で……もう少しベリーの色に添っていれば、と愛莉と一緒に思うのも当然か。
それで、愛莉のピザはといえば。少し盛りすぎな以外、焼き加減もしっかりしているというのが恐ろしい。スイーツピザは別口でいいだろう、というくらいか。
「今日はお肉の気分なので美味しいお肉が食べたいですね。折角だから店主様のオリジナルの♪」
そう言って肉料理を注文したナハイベルの食欲たるや、傍目に凄まじいものがあった。量が多かったり味付けが変わったものでも、ひと呑みにぺろりと平らげてしまうのはその食性ゆえか。ひとしきり食べて満足げな彼女の前に、いささか多すぎる料理を持ってきたのはコリーヌだ。後ろには、お手伝いメカの『正宗くん2号』。何やら言い合っている。
「キミ、まだお腹は空いてるかな? パーティサイズのメニューがあるんだけど!」
「ゴシュジンサマ、ヒトニオシツケルノハ……」
曰く『パーティメニュー』なそれは、いずれも地球で言うジャンクフード。ハンバーガーやポテト、フライドチキンなど。脂気の多そうなものばかり。どうやら無作為に注文しすぎたようだ。
「ええ、是非いただきます♪ 美味しい料理を残すなんて考えられません♪」
そう言ってぺろりと平らげたナハイベル、やはり底なしなのでは? 政宗くん2号は失礼を承知で訝しんだ(かは不明だ)。
「……案外普通のものが来たわね」
フィーリエは、並べられたケーキセットを前に不思議そうに首を傾げた。マスターの奇特な趣味を知っていれば、多少の被害も承知していたのだ。
だが、まあ。ショートケーキのクリームが少しカラフルで、スポンジがベリーを練り込んだような色合いなことを除けば十分美味であるのは事実。紅茶は、冗談抜きに美味しかったらしい。腕の良さはいいのに、何故極端な癖に走るのか……『次の機会』を想像し、頭を悩ませたのも致し方ないのかもしれない。
「んー、何でもできるは何もできないだろー。料理の腕に自信があるんなら受け身の構えじゃなくて『自分らしさ』を出さなきゃー」
クロジンデは、奇抜なナリの料理を食べ終え、口を拭いながら苦言を呈した。個性豊かすぎて没個性……まあ、道理である。
「見た目だけ奇抜なのって、ハジケきれてないのにハジケた自分どう? すごい? って見せられてるみたいでなんだかいたたまれなくなるねー」
「そうですね……料理というものは、まず目と鼻で味わうものです。その内の片方でマイナスのイメージが生じると、食欲や味の感じ方に影響が出てしまいますよ」
そんなクロジンデの苦言に、鶫も同調する。周囲の混乱は悲喜こもごもと言ったところだが、2人は特に不満が強い様子だった。そりゃ、まあ。主観からすればあんなモンは不満にもなる。
「綺麗すぎると、それはそれで食べにくいという人もいますからね。考えるのは、最低限の整然さ、そして食べ易さです」
感嘆な家庭料理を例示しながら伝える鶫の努力は賞賛されるべきなのだろう。……ただ、一番の問題は。
『ほぼなんでも作れる腕で方向性を見誤る』ことであり、家庭料理も当然、作れるという残念すぎてごく当たり前の真理にこそあるのだが……。
兎にも角にも、100人の客がいれば100通りの意見があろう。この店が今後どう成長するのか、ショウが被害を受けるのか否かは、別の機会である。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
100人。三桁です。
過去に一番書いたモノの2倍量。普通に考えてちょっと頭がフットーしそうな分量でした。暫くイベシナはいいかな……。
何しろ料理とかガンガンアドリブをぶっこんだのでただ楽しむだけよりずっと思考が回転し、そして楽しいリプレイでした、書く側は。
白紙含めて名前は出ている筈です。白紙じゃないのに出ていない! ということがあればお伝えくださると幸いです。次回以降は保証しませんが……。
最後に。
お相手がいた上で白紙だと三方損になるのと、二人組でお相手と合わせる際はIDかタグ、どちらかは必ず入れて統一をはかっていただきたいです。
迷子のお呼び出しで私がパンクします。
でも! 楽しかったから! もうなんでもいいです! 今回だけは!
GMコメント
腹ごしらえも仕事のうちっていうことです。三白累です。
●依頼達成条件
食堂『猫のあくび亭』の試作料理を食べて忌憚ない意見を述べ、改善案をともに考える(食べて感想を言うだけでも大丈夫です)
●食堂『猫のあくび亭』
ショウの知人が経営する大衆食堂。そこそこ広いフロアに多くの席、さっと食べて軽く駄弁って帰る程度を想定された居住性、大味な酒のアテから満足行く美味しい食事まで。大抵なんでも出してくれます。
混沌でなんとかなるものは『あるよ』の一言で済みそうなくらいにはレパートリーが豊富ですが、試作料理をするとなるとご主人のサガなのか、ショウが言うような『アレな料理』が出てきます。
重要なのは『食べられないような酷い食事は無い』ということ。好みこそあれ『食事の体』はなしているのです。料理人ですから。
●選択肢
A:極端な味の料理。「甘い」「辛い」「すっぱい」など、味の傾向は指定可能。指定しないとランダム。
B:極端な見た目の料理。味は上々なんですが見た目が現代日本スラング的に言うと『英国面』。
C:すごい量の料理。チャンレンジメニュー的なやつです。食べきれそうなギフトやスキルがあれば別ですが、大抵の人は無理をしないと完食できないボリューム感です。
D:オーダー。個々人の希望に合わせて試作しますが、A~Cの傾向が入り交じる可能性が大です。『それでも食べられるモノ』ですが。
●プレイング書式
一行目:選択肢
二行目:同行キャラのフルネームとID、もしくは【】で囲んだグループ名。
三行目以降:自由なプレイング
という書式だと助かります。強制ではありませんが、把握しやすく、描写されやすくなります。
●注意事項
公序良俗に則ったプレイングを推奨します。飲酒は今回はナシです。
大衆食堂、貸し切りとなるので騒がしくしてもいいですが器物の破損、汚損はくれぐれもご注意ください。
人数制限があり、先着制となりますのでご了承下さい。
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