PandoraPartyProject

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アドーニスの園にて

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 憤怒の炎は、魔女より分離し湧き上がった。
 呼応するようにベヒーモスが唸る。囂々と地をも揺らすその声音に思わず目を瞠ったのは『鏡花の矛』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)であったか。
「オディール……!」
 この場に居る『氷の狼』はオディールだけではない。
 嘗て冠位憤怒との戦いで姿を顕現させていたフローズヴィトニル、その欠片達。
 隊を率いる『流星の少女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)精霊ニエンテの力を借り受け、その側を駆る『ヴァイス☆ドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)の連れたロージーが唸りを上げた。
 ――氷の狼たちのその力を束ねれば、あの焔をも打ち消すことが出来るだろうか。
「さて、どうする? 勿論止まらないわよね」
「ええ、勿論よ! 『騎兵隊』の行くべき道は定まっているのだもの!」
 騎兵隊。その名を唇に乗せてから『100点満点』Lily Aileen Lane(p3p002187)は「希望」と告げる。
 新たな世界を見る為に。
(私は……希望を貰った。あの人に、ミーナさんに……!)
 志半ばだっただろう。けれど、彼女は見果てぬ蒼穹を、その希望の剣に束ねて空を駆った。
 彼女と共に、見たい明日があるのだから。
「ファルカウさん……!」
 呼び掛ければ、魔女の唇が戦慄いた。
 ベヒーモスはファルカウと密接にリンクしている。けれど、それが『滅び』の化身としての力であるというならば。
 引き離し、彼女の心を鎮めればかの炎だって。屹度。

 分離した『ファルカウの炎』。ファルカウの正気が引き出され、その炎が肉体より分離したというならば。
 成せることがある。
 この滅びを打ち消して、魔女ファルカウの呪いを以てベヒーモスを消し去るのだ。
 あの日、R.O.Oで一等美しい薔薇を咲かせた『あの時のように』

 ――明日の貴方がアリスでも、原動天が守りたいと言ったのはジェーンと呼んだ今日の貴方だ。
 ――ただ一言「生きたい」と言って、お願い。

「まるで、私のようだと、そう思わない? ……サルベージだなんて、笑っちゃうでしょう?」
 その場に立っていたのは白髪の少女だった。
ハウメアは? ねえ、ひめにゃこはどこかしら。セララも、あとそれから、とってもいたい拳骨の人は?」
「ま、待って、アリス」
 慌てた様子で駆けてきた黒髪の少女に「遅いわよ」とジェーン・ドゥが唇を尖らせた。
「だって。ねえ、ビックリしたよね? ビスコ」
「本当だよ、アリス」
 手を繋いで居たのは金髪の少女と黒髪の少女だった。R.O.Oよりやってきたシャルロット・ディ・ダーマはビスコッティという双子の姉妹と手を繋ぎくるりと振り返る。
「えっと、航海――じゃなくって、海洋王国の皆さん、お手伝いします!
 豊穣郷の皆さん、私に指示をお願いします。冒険者となるべくアリスと一緒に頑張ったの。だから、だから」
 シャルロットはイレギュラーズを見てからにこりと微笑んだ。
「あなたたちの、姿を見ていれば私は勇気が湧いてくるの。あなたたちが、わたしの光だったんだね」
『ともに最期まで』水天宮 妙見子(p3p010644)は息を呑み振り返る。『約束の力』メイメイ・ルー(p3p004460)は頷いた。
「『鏡の魔種』ミロワール、あなたは、力になってくれますか?」
「勿論!」
 彼女は、『彼女』ではないけれど。あの鏡面世界で微笑んだ事を『生命に焦がれて』ウォリア(p3p001789)は忘れやしない。
「参りましょう――」
 顕現したその姿に「瑞さま」とメイメイが驚愕の声を上げた。『霞帝』が神を降ろしたか。
「瑞」とシキ・ナイトアッシュ(p3p000229)が手を伸ばす。ウォリアは「行けるか」と問うた。
「ええ、わたしが、救われたあの日の如く。『神逐』ならば経験者ですから」

 ――主よ、天の王よ。この炎をもて彼らの罪を許し、その魂に安息を。どうか我らを憐れみ給え。

「皆さん!」
 駆けてきたのは鉄帝国を拠点とするクラースナヤ・ズヴェズダーの『アミナ』であった。
 先輩であるヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)の向かった影の領域、そしてこのラサでの戦闘に加勢すべく彼女は攻勢を整えているのだ。
「私は皆さんによって救われました。怖くとも、苦しくとも、喩え、餓えようとも。
 我々に成せることがあると識っています。だからこそ、進みましょう! 大丈夫、春告げの光はもうすぐ訪れるのですから」
 アミナは気恥ずかしそうに『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)を見た。
 上手くいったでしょうと言いたげに彼女は笑うのだ。
「何だか、あの時みたいね」
 珱・琉珂はどこか照れ臭そうに笑った。
「私が居て、……オジサマが居て、あの黄昏の地を守ろうとして――ただ、私達は誰かを愛しているだけだった」
 冠位暴食と呼ばれたその人が、命を掛けてでも側に居てくれた。
 琉珂は仲間達を見詰める。本当に、何時だって共に居てくれるのだもの。
「私、最期の時は勝ったって叫びたいの、どう?」
「いいですよ。琉珂」
「いや~~~メガホン用意します?」
「あ、地声で」
『指切りげんまん』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)は「美しい声を響き渡らせましょうか」と笑った。
『未来を背負う者』劉・紫琳(p3p010462)がくすりと笑ってから振向いた。
「希望って、沢山あるんだね」
 ファルベライズからやってきたイヴ・ファルベはそう笑う。
「そうだぜ、案外。そんなもんなんだってさ。アドラステイアだってね」
 潜入していたサントノーレ・パンデピスに「知った口を利くなあ」とイル・フロッタが笑うのだ。

 ファルカウの制御が弱まったからかベヒーモスは暴れださんと首を振る。
「皆、ファルカウを食べようとするかも知れない。終焉獣はワールドイーターにも似ていた。
 だから……もしも彼女を糧にして暴れだそうとするならば、ファルカウの持っている術式をも利用する事が出来なくなってしまう!」
 危惧するように告げる『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
 小さく頷いた天義の聖騎士が「スティア!」とその名を呼んだ。
『天義の聖女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は顔を上げる。
「ルルちゃん、力を貸して貰って良い?」
 スティアの持つ指輪、そして、リンツァトルテ・コンフィズリーの聖剣。
「奇跡を集めるって事でしょ? まるで『はじめての冠位戦』みたいだね!」とウキウキとした様子で『魔法騎士』セララ(p3p000273)が告げる。
「ぶははははっ、なら『アイツ』の力も借りなくちゃあなあ!」
 盾を手にした『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)に「あいつ、ずっと一緒に居る気がするわねえ」とカロル・ルゥーロルゥーが肩を竦める。

「――だ、そうだけど」
 くるりとアイオンは振向いた。「行くわよね」と腕にポメ太郎を抱えたマナセ・セレーナ・ムーンキーが笑う。
「勿論だ、なあ?」
「ああ。勿論だ、マナセ、ルカ」
『運命砕き』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)『戦輝刃』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は頷いた。
 ルカはハッピーエンドに締めくくって更なる最上を求めている。
 なんたって、惚れた女の手を掴むなら兄を説得しなくちゃならないのだから」
 黒き狼の牙は鋭く研ぎ澄まされる。

 放り出されるようにして魔女の肉体が宙空より落ちてくる。手を伸ばした『真実穿つ銀弾』クロバ・フユツキ(p3p000145)は困ったように笑った。
「ったく……困ったお姫様ばかりの国だな、深緑っていうのは。
 けれど、此処からだ。ファルカウ。お前にも、リュミエにも俺は、いいや、俺達が希望を届ける。
 お前はただ、見ていろ。証人として――俺達の示す世界の希望という命運を!」

 ここに、太陽と月の祝福を。
 ――花開くときが近付けば、どうか、我らの希望であらんことを。

「アレクシア」
「アレクシア様」 『魔女の剱』シラス(p3p004421)『歩く災厄の罪を背負って』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)『蒼穹の魔女』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)を呼んだ。
 兄さんへの言伝はしないのだ。だって、彼女とだって未来を歩んでいけるはずだから。

「私は、どうなったって構わない。人でなくなれというならば、この命を手放したって良い!
 人でなくなっても、私の在り方は変わりはしない! 眠って見守っているだけなんてつまらないもの!
 ――世界を旅して、喜びを運んで、希望の種を撒いていくんだ!」


 魔女ファルカウの戦場に変化がありました――!

 ※連合軍の兵達が奮戦しています。
 ※戦場に援軍が到着しはじめました!

 ※最終決戦が進行中です!
 ※各国首脳が集結し、一時的に因縁と思惑を捨て、ローレットと共に決戦に臨む事で一致しました!


 ※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。


 これはそう、全て終わりから始まる物語――

 Re:version第二作『Lost Arcadia』、開幕!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)Bad End 8(終焉編)

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