PandoraPartyProject

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カースヴィジルの陥落

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 そこは命を嫌っていた。
 どだい人の生きるべき大地ではない。
 地獄、魔界、終焉の瘴気はそこに居る誰をも蝕み続けている。

「けど、俺達は超えたよ。ヴェラムデリクト」
 シラス(p3p004421)が拳を握りしめた。
「ありがとうございます。決して忘れませんから」
 ユーフォニー(p3p010323)が踵を返した。

 ――『アークロード』ヴェラムデリクトを撃破しました!

 連合軍の兵士達の声は吉報ではあるに違いない。
 それでも戦いは終わってはいなかった。
「絶対に持ちこたえて見せるから」
 黒衣の騎士達を率いるスティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は、司祭達と共に、瘴気や攻勢魔術から保護する結界を展開している。
 ただそこに居るだけで反転しかねない『こんな場所』にとどまるのは、正気の沙汰とは言えまいが。更には疲労困憊、満身創痍の状況は正しく壊滅的でもあるが。
 それでも兵士達の表情が明るいのはなぜか。
 比する終焉獣の数は、計り知れないほどだというのに。
 重傷者を癒やし離脱させ、けれど死者へ祈りを捧げる時間さえ惜しく。
 僅かな休息の後に、誰もが再び進撃せねばならない。

「さて、まずはどうする?」
 終焉獣の波状攻撃を突破せねばならないが。
「ここは私に任せなさい。ルーチェ・スピカ、出るわ!」
 恋屍・愛無(p3p007296)の問いに、リーヌシュカ(p3n000124)は蒸気バイクに飛び乗った。そしてサーベルを振りかざし、兵達へ突撃命令を下す。
「だからあなた達は進んで。わたし、このために来たんだから!」
「で、どうすんすか?」
「俺達はここだ。この国は割と気に入っているからな。お前等は行け」
 佐藤 美咲(p3p009818)の問いに、ジオルドは快活な笑いを返す。
 そして美咲と普久原・ほむら(p3n000159)の背を手のひらで打った。
 一行は深淵の最奥へ挑まなければならない。
「だったら私が一番槍よ!」
 さながら竜の女神のように、レイリー=シュタイン(p3p007270)が槍を振りかざすその先へ――現われたのは終焉獣を引き連れた、魔種の一団だった。
「私達が相手しよう」
 魔種に雑兵はあり得ない。
 その一体を十名のイレギュラーズが挑み、尚も困難とされる戦力だ。
 故に稲荷神達、杜の兵力に長月・イナリ(p3p008096)も同行しようとしたが。
「私の光、貴女は進むのだ、この先へ」
 どうやら託されてしまったらしい。
「希望は消させやしないさ、 それが僕等イレギュラーズなんだから」
 ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が微笑む。
「今度は私達の番なのでしょう」
「エリカ、一人は」
「いえ、騎士達には癒やし手が必要です。分かって、私の死神さん」
 クロバ・フユツキ(p3p000145)の言葉に、けれどエリカは首を横に振る。
「だったら、必ず生きて戻るんだ」
「はい。私を終わらせるのはあなただけですから」
「じゃあ、健闘を祈るよ」
 シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)も微笑んだ。

 一歩。
 また一歩。
 果ての無い闇を征く。
「さて、でかぶつのお出ましか」
 ルカ・ガンビーノ(p3p007268)の呟きに、リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)が目配せ一つ、細剣を構える。
 山のようにそびえる眼前の怪物は、その一歩さえ地響きを伴う。
 その一撃は人の命など塵芥のように消し飛ばすのだろう。
「あの程度、我等であれば造作もない。汝等はその先で待っていろ。行け」
 そう述べたアウラスカルト(p3n000256)が、背を押すものだから。
「全く、命令はこのわたくしを倒せてからにして頂きたい」
「かような下等生物風情に、獲物の横取りなど赦すものか!」
 コル=オリカルカとシグロスレア――二体の竜が大きな翼を広げた。
「金鱗の竜姫を討ち果たすはこの我輩、シグロスレアの他にない!」
 竜達の、熱白の吐息が焼き払う、その先へ。
 瘴気の沼を前に、妖精兵達を率いるストレリチア(p3n000129)が胸を張る。
「聖剣アルヴィオン、力を貸せなの! かけろやかけろ、虹の橋!」
 花びらが舞い散り、そこへ虹色に煌めく橋が現われた。
「みんな行くの、私達があれをやっつけてるうちに!」
「ま、俺等三下にゃぼちぼち潮時ってもんだぜ。てめえら、あれやんぞ」
 ヴェガルド・オルセン(p3n000191)の雄叫びに、ノルダインの戦士達が一斉に鬨の声をあげた。
「だから行けや、イレギュラーズ!」
「ユニも頑張るからね!」
「ね、負ける気なんてしないでしょう」
「ええ、りーちゃん、これっぽっちも」
 微笑むパラスラディエ(p3n000330)に、アーリア・スピリッツ(p3p004400)が頷く。
 そんな光景に新道 風牙(p3p005012)もまた決意を新たにした。
 自身こそ世を紡ぐ者なのだと。

 光暁竜パラスラディエが――その魂の残骸が一行を振り返る。
 そしてこの上なく愛おしそうに瞳を細めた。
 可能性は、未だゼロなのかもしれない。
 この勝利とて、ゼロにゼロを重ねているだけなのかもしれない。
 無辜なる混沌の滅びは、終焉は、覆しようのないことなのかもしれない。
 けれど、それでも。

 ――目指せ、奈落の最奥を。
   照らせ、希望の蒼穹を。
   仮初の絶望は打ち砕かれた。
   さあ、未来を掴み、運命を塗り替えなさい。イレギュラーズ。


 ※イレギュラーズが『アークロード』ヴェラムデリクトを打ち破りました!

 ※最終決戦が進行中です!
 ※各国首脳が集結し、一時的に因縁と思惑を捨て、ローレットと共に決戦に臨む事で一致しました!


 ※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。


 これはそう、全て終わりから始まる物語――

 Re:version第二作『Lost Arcadia』、開幕!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)Bad End 8(終焉編)

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