PandoraPartyProject

ギルドスレッド

梔色特別編纂室

【RP】行きつけの

アパートメントの並ぶ通りの片隅に、遅くまで灯をともした小さな酒場がある。

「言えば大概なんとかなる」

望みそのままとはいかないことも多いのだが
その幅広さと雑さが、ひそかな人気になっていた。

刺激を好む若い猫も、そんな店に居つく、常連のひとりなのである。

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(夜。)
(ぼちぼちと夕食の客は立ち去り、酒場は少し静けさを取り戻しつつあった。)

っていうわけでぇ、アップルパイが食べたいの。
(カウンターに掛けるなり猫なで声全開で強請る。厨房に立つモミの木みたいなヒゲを蓄えた大男がもごもご口を動かしたようだが、正直今まで聞き取れたことは半分くらいしかない。)
おねがい、ね?

(斯くして、フライパンにパン生地が据えられるのが見えた)
(あれどうなるのかしら。身を乗り出して覗き込んでいる。)
(とことこ。小さなちいさな足音を立てて戸を潜ったのは、およそ酒場には不似合いで……そしてやはり小さな、「お人形」でした。)
(初めて入るお店を、物珍しそうに見回していると、艶やかで、けれど親しみを覚える姿を見つけます。)

……まあ。カタリヤ。カタリヤね?
(近づくまでもなく、間違えようもなく)
(きらきらと輝く宝石の瞳を見開いて、人形のお姫様が、鈴鳴りのような声を響かせました。)
(軽い足音に、猫の耳がそちらを向いて)
(耳を打つ声はもう、聞き間違えようもない。蜜色の髪をふわりと翻し、勢いよく振り向いた)
(宙を刹那彷徨った視線が、下へ。床上40cmへ。)

あら、あらあら。姫様じゃない!
(組んだ足を解いて腰を屈め、彼女に手を差し出す。)
こんなところで会えるなんて、ステキな夜ね?
ええ、ええ。なんだかずいぶん久しぶりね?
もしかして、あなたがいるから、わたしの糸がここへ手繰り寄せられてしまったのかしら。
(なんて、最初の挨拶からどこか気取った言い回しをまじえるのには、以前共に観に行ったお芝居などの影響がかいま見えるかもしれませんけれど。)

……隣、よろしいかしら?
(手を差し出された様は見届けつつも……やはり確認はしておくべきかと思い)
(ひと雫の蜜を耳元に垂らすかのような……おそらく、以前に顔を合わせた時からは想像もできないほど情感豊かな声音と)
(甘えるような上目遣いをまじえて、お願いするのでした。)
ええ、ほんとに……ホントに、久しぶり!
(こちらを見上げる、零れそうな光を湛えた紫水晶。耳に甘く響く、少女の声。)
(成長。変貌。ガラスケースの中のお人形ではなく、彼女はもう、「ちいさな姫」だ。彼女の居振舞いにはその風格が備わっているようで)
姫様との縁の糸分かちがたく、再び相見えましたこと、光栄に思いますわ。レディ。
私のお隣がいいかしら? それともお膝?
(尻尾をゆらゆらと揺らし、楽し気に燥ぐ)

(あのお人形が。)
(なんて、なんて……刺激的!)
ふふ、ありがとう。
気持ちは嬉しいけれど、お膝の上じゃ、わたし、お姫様として格好がつかないわ?
(流石の混沌と言うべきか、程なくして、お姫様のような体格の者向けの椅子が用意されたことでしょう。)
(とん、とん。ぎこちなさもすっぽり抜け落ちた軽やかな身のこなしで、椅子の上へ。)

最近お目にかかれていなかったけれど、元気そうでよかった。
カタリヤもあれから、たくさん素敵なニュースを広めているのかしら。
(にこやかに語らうお姫様は、しかし今でも、カタリヤのお仕事を「清く正しい」ものと思っております。)
……あ、マスターさん。わたし、リンゴのエールをいただくわ。
(そして当然のように――酒場である以上、「当然」ではあるのですけど――お酒を注文するのでした。)
ええ、最近はちょっと……呼び出されていて、ね。
(彼女の目には触れまい、大衆向けの「華やかなる」ゴシップ紙だ。特異運命座標たちの放つ光には到底及ばないけれど。)
姫様も元気そうで良かったわ。私、ちょっぴり心配していたのよ?
しかし、ふふ、なぁるほど。噂の小さなお姫様、って、やっぱりね。

(――――フライパンの方から、リンゴと生地の焼けるいい香りがし始めていた。)
呼び出されて……もしかして、舞踏会の招待でも受けたのかしら。
(お姫様らしいファンシーな発想……というわけでもなくって。)
(一応、特異運命座標がゆえに貴族に招待を受けるというケースは珍しくない……と実体験にもとづいて知っていたがゆえの発言でした。)

……うわさ?
(ぱちくり、瞬く紫水晶の瞳。いくぶん知恵を身につけたとて、記者の鼻の良さまでは理解していないのでした。)
(気づけば眼前には、お人形サイズのエールが注がれておりました。)
ええそう、殿方と素敵なお話を、ね。……肩凝っちゃったわ。
(肩を竦める。正直、あまり好みのネタではなかったのだ。)
そ。噂、よ。『儚き花』――――だったかしら(彼女の目の前に注がれた、淡い黄色に目を細める。)
てっきり姫様、ココアが飲みたいって仰るのかと思ったわ。ここのエールはなかなかだけれどね。
ココアだって勿論、大好きだけれど。
酒場に来たならば、お酒を試さなくては勿体ないと思ったのだもの。
(ちびり、小さな唇を湿らす程度にじっくりエールを味わいます。お酒に強いわけではないから、一気に飲むというわけにはゆかないのです。)

……まあ。社交界でのお話、カタリヤの耳にまで届いていたのね。
ふふ。なんだか「お姫様」として、鼻が高いわね?
(きっと幻想において、本当にごく限られた場所でだけ膾炙した名声なのでしょうけれど)
(それでも、胸の奥の歯車が、喜びの音を立てぬ理由にはならないというものです。)

ええ、ええ。わたし、彼らからとても栄誉な名をいただいてしまったわ。
(『儚き花の』……即ち、煌めく紫水晶の瞳から見舞われる上目遣いを発端として賜った称号。)

……ふふっ。わたしの小さなからだでは、そういう目線になるのなんて、当たり前なのにね?
(釣り上げた口の端に宿るのは少しの謙遜。それから……)
(「女」を武器にするカタリヤなら、あるいはそこに確かな「強かさ」を見出せたでしょうか。)
勉強熱心なところはまったく変わらないのね。どう? おいし?
(ゆっくりと小さなコップを傾ける彼女の顔を、頬杖ついて行儀悪く覗き込む。)
ふふ、他ならぬ貴方の、お友達のことですもの。
貴方が称えられているのは、自分の事の様に嬉しいわ。
(しかし燥いだ声は、どこか、軽薄に――或いは、全く矛先の違う熱を伴って――聞こえるかも知れない。)
(彼女がひとの心を知るならば、『胡散臭く』。)

ね。姫様。ちょっと、お話をして下さらない?
社交界でのお話も聞きたいし……その他にも、沢山。沢山、楽しいことや……「悲しいことも」「怒りを感じたことも」あったのではなくって?
ね。
(きっと彼女は強くなった。イレギュラーとしても、人間としても。もう、私の知る彼女ではないのだろう)
(知りたい。)
(――――白い小さな耳の端に、潤んだ唇を寄せて、)
ね、「教えて、おねがい」。
ええ、ええ。甘酸っぱくて、しゅわしゅわしていて。
なんだか幸せな気持ちになってくるわね?
(お酒が入ったから、というわけでもなく。お姫様は、人の善意ならぬ感情にはまだいささか疎いようで)
(カタリヤの言葉に「裏」があるだなんて、想像してもいませんでした。)
(それはきっと、信頼の証でもあるのでしょう。)

(――ただ)

………………。
(怒りを感じたこと、だとか。なにより「悲しいこと」なんて話を耳にすると)
(隣の彼女には初めて見せるであろう、物憂げな表情が湛えられました。)
(去来する感情は、だって、まだ拭い切れないほどに新しいものでしたから。)
(けれども)

……ええ。わたしに、お話できることなら。
(たぶんそれは、耳元に垂らされた蜜酒のためばかりではなくて)
(単純に、久々に会った友人の願いに応えたいという、純粋な気持ちによる部分が大きかったのでしょう。)
(伏せられた紫水晶の瞳に、確信する。……ああ、あの、彼女が!)
……こんなところでする話じゃ、ないかしらね。
(ぎらぎらとした視線を悟られないよう、こちらも視線を逸らす。と、丁度目の前にきつね色に焼けた「アップルパイ」が……どうやら並べたリンゴの砂糖煮の上にパン生地を流して、バターで焼いたらしい。焦げた砂糖とバターが官能的な香りを立ち上らせる、パイじゃないことを除けばなかなか魅力的なデザートだった。)
ふふ、今日も素敵よマスター。私にも彼女と同じエールを頂ける?
それと……彼女に丁度いいナイフとフォークもね。
(言って、ナイフで一切れ切り分ける。小さな取り皿に乗せて、憂える小さな姫へと差し出した。)
あら、良い匂い……まあ。わたしにも?
ありがとう、カタリヤ。とっても嬉しいわ。
(芳醇な香りは、お人形なれども食欲をくすぐるには十分なものでしたから。)
(きゅるりきゅるりと鳴るのは、さてはて何を示す歯車の音ですやら。)
……そうね。前みたいに、改めてどこかに席を設けるのがいいかしら。
わたしも近く、時間を作るには困らなそうだけれども……。
(泡立つエールでもって、胸のうちに浮かび上がる感情はいったん押し流して。)

……でも、カタリヤ。
レディに対しての手心も、少しぐらいは加えて頂戴ね?
(意趣返し……というよりは、談笑の中における気安い戯れなのでしょうけれど。)
(『儚き花の』上目遣いでもって、こちらもまた改めて「お願い」するのでした。)
決まりね。
やだ、手心なんて。私いつでも、とーっても優しいじゃない?
(可憐なる儚き花の瞳に、ウィンク。)
それでは、久々の再会に。いとしのお姫様の冒険譚に!
(グラスを軽く掲げて、口をつけた。)
ええ、ええ。カタリヤの優しさに、わたし、期待するわ。
――久々の再開に。素敵な友人との語らいに!
(ちょっぴりだけ声を張り上げて、小さく――人間大の皆からすれば、それはもう「小さく」――容器を掲げたならば)
(笑みを浮かべて、楽しいひとときを過ごしてゆくのでした。)
(秋の収穫祭、ファントムナイトを控えた酒場は)
……いくらなんでもカボチャ臭すぎない?
(およそジャガイモ料理をすべてカボチャに置換したような、雑な相乗りに興じていた。)
あげるわ。カボチャワインですって。
(隣の仏頂面の男に向かって、すっと黄色い液体の満ちたグラスを滑らせた。)
(味はサイコロにでも聞いたらいいんじゃない?)
……意味がわからん。
(煙草をふかしつつ眉を顰めて言う。)
(葡萄酒なのかかぼちゃの酒なのか……そしてなんだこの乱痴気めいた店の雰囲気は。)
(色々とないまぜになったぼやきだった。だがタダ酒とタダ飯はどうあれ口にする主義だ。)
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…………。
(どんな製法なのか心当たりもつかないが、存外美味いのが帰って腹立たしい。)
(がぱりと盃を開けた。その後に煙草をふかす。)
(美味いとは間違っても口に出さないのは意味もない上に薄っぺらい矜持めいた何かだった。)
…………(あ、一気にいった。)
…………(感想を待つ)
…………………………どっちよ。
…………気になるんならお前も飲めばいいだろう。
(ぷはぁと煙を吐く)
(断固として美味いとは言わない)
……マスター。もう一杯頂戴な。(こちらを振り向いたモミの木みたいな大男が目を剥いた)(ワォ)
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(ちょびっと減ったグラスの縁を指で撫でて)
感想に困るってのは、理解したわ。(無言をそう解釈した。)
……何、貴方珍しいの? このお祭り。ファントムナイト。
(トんだデカブツ店主だな……)
(などというと酒ももらえないどころか店から叩き出されそうなので流石に言わない。)

(酒の味の意見には肯定も否定もしない。)
……まぁ俺は極論飲めればなんだっていいが。
(工業用のだって出されれば飲んで見せよう。)
(一度煙草を加え、煙を吸う。面倒臭そうに口から朦々煙を吐き)
……知らん。なにが楽しいのやら。
(至極どうでも良いと吐き捨てるような口ぶり)
あら、そ。
あげる。(スッ)

(唇を窄めて、ふ、とこちらに流れてくる煙を吹き飛ばす)
皆が楽しみにしてるのは、魔法でしょ?
3日間だけ、自分の好きな姿になれる魔法。
(ちらり。テーブルの下の、鈍い金属光沢に目を遣る)ダンテ、貴方は遊ばないの?
……。(寄越された盃をろくに見もせず口に運ぶ。)

(蝋燭に吹きかけるように飛ばされ散ってく煙を特に意味もなく見つつ)

……そうかよ。(やはりどうでも良かった。声色にもそんな気持ちが滲んでるだろう。)
(3日程度変わったところでどうなるというのか。)
……店で一番強いのをひとつ。(デカブツ店主に注文する。)

…………お前はどうするんだ。
(答えの代わりに質問を投げた。)
(卓に肘をつき、頬を支えて)……それ、外れるんじゃないかって期待した?(薄く広がる煙を見上げながら、猫撫で声。)
(問いに)私、夢は見ないの。(少しだけ声を張ったのは、酒場の中が煩いから。)
……もう10年くらいは、普通に過ごしてるわね。魔法の中で踊るより、その外で見てるのが私好みなのよ。
(マスター、私いつもの、と声をかけて)
……注文が雑ねえ、いつも。ホント強けりゃなんでもいいの?
(……そのタイミングで酒を置かれ、グラスを掴んで一気に呷った。)

……へ、そうか。そりゃそぉだ。
夢見る乙女って年頃でもねぇだろ。
(酒臭い息と共、吐き出したのは、イヤミ一つ。)
……どぉせ泡みてぇな魔法なんざ、
解けたら現実に叩き落されるだけだ。
クスリなんぞと同じようなタチの悪さだ。
(吐き出すのと引き換え、煙草を吸う。)

酔えればなんでもいいとも。
酔ったことなんぞまともにはねぇがな。
(殺意の色すら放つ眼光を、海色の猫の目は静かに受け止める)
それとも……たかが三日間の夢なんてくだらない、ってとこかしらね。
混沌生まれはそれでも楽しんじゃうんだけど。たった三日でも、魔法は魔法よ?

貴方の口から夢見る乙女、って結構パンチ効いた響きねぇ……
(惜しげもなくカラになるグラスを横目に、琥珀色の酒をぺろりと舐める)
ま、事実よ。夢、見てられなくなっちゃったから。
(また、煙を目で追う。尻尾がゆらりと揺れて)
貴方の方こそ、夢破れた乙女みたいなこと言うのね。意外とロマンチスト?

酒も煙草も全然美味しそうにしないんだもの。
こういうのってまず(と、浮かれ気分の酒場に向けてかるく手を広げて)気分から酔ってみたら?
(――三日でなければどうか。いや、くだらない。あまりにもくだらない。)

……夢なんざ見るもんじゃない。
(ぼそり、言って)

浪漫だのなんだのはもう縁がないものだ。

……楽しむ気分なんてのもよくわからん。
(なんだっていい。破れかぶれと言われればそれまでなのだろうが)
(兎にも角にも、この酒場の様子は自分には些か居心地が悪かった。日銭も心もとない。)

……勝手に楽しんだらいい。

(俺には関係ない、とばかりに席を立つ。)
じゃあな。……タダ酒は悪くなかった。

(今更ながらの味の感想らしきものを、ようやく最後に言って)
(重い足を引きずるようにしながら、去っていく。)
さよなら、ダンテ。
ふふ、今度貴方好みのバカみたいな酒、見繕っておくわ。
(不機嫌そうな様子にも、楽し気に尻尾を揺らしてひらりと白い手を振る)

…………(残されたのは、いくつものグラスと吸い殻の山。)
質の悪いクスリと、何が違うのかしらね。
(ひとり、グラスを傾けて――――)

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