PandoraPartyProject

ギルドスレッド

とある場所

【RP】海龍殿

地上より遥か水底にある海底神殿。

冷たい青色の大理石の床と先の見えない天井。
辺りは静寂が支配し、時折なにかが足を引きずるような音だけが廊下の果てから木霊する。

今やこの地の生者は黙し
死者のみが嘆きと呪詛を振りまいている。

生と死が混ざり合う混沌の中で、神殿の主たる『紅の契約者』は何を思い、何を描くのか――……

(※特定の理由で"介入可能な状態"となった人のみ乱入可能)

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……確かに望んでねえな。俺の両親を生き返らせるとか俺は望んじゃいない。酒場で俺を馬鹿にしてた奴を殺したのはスカッとはしたけどな…。(自分を守っていたことは知る由も無いので紅の契約者の言う「望んでいない事」はこれだろうと推測)
【球体内】
(砂塵が収まった後、その場に立っているのはリチャードと、もう一人。朝長が立っていた)

「リチャード!大丈夫か!?怪我は……?」

(心配そうに近づこうとすれば、唐突にリンと涼やかな音が辺りへ響きわたった。
武器商人がリチャードへ渡した玉のない鈴だ。
それが警鐘のように響いている)

「びっくりした。煩いな、それ……。音止まったりしねぇの?」
(次第に開けていく視界。心配そうな声を受けて相手を見る。
その姿に確かな違和感を感じつつ相手に悟られぬようにへらり、いつものように答える。)
『あぁ、大丈夫。お前も無事みたいだな。』

(そう答えるのが早いか、何かを警告するかのようにけたたましく鳴る鈴を見て困り顔になった。)
『うーん、難しそうだな。原因を排除しないと。
……ところで、“俺は誰だっけ”?』
(穏やかに、いつも通りに、言の刃を悟られぬように、相手にそう尋ねた)
落ち着け銀影。こういう時こそ僕の推理の腕の見せ所だ。
…………、だあぁぁあ!なんっっにも閃かない!(暫く考え込んでいたが、頭を抱えてしゃがみこむ。悶絶していると足音が聞こえて耳をピンと立て)
この重そうな音……ダレンさんかな?

そういえばダレンさんには守護霊がついてるんだっけ。
ルベライトも似たような事なものだよな。200人くらい付いてるらしいし、人数差は圧倒的だけど。
……まてよ?なんでそんなに多い数を集約もせずにそのまま維持してるんだ?
もしかして、奴らも未だ『混沌肯定Lv.1』に縛られているからなのか。だとしたら……試してみる価値はある、か。

ダレンさん、貴方の炎は治癒とか不思議な力がありますけど、攻撃の炎も使えますか?燃え広げる事ができるなら、なおいいんですけど。
それと……アルはどこかに居るかい!
…………。
(戦う気力を失っている。膝をついたまま目の前の光景を見ているだけだ)
(ランベールの傍に立ち)
回復しかできない炎使いなんざ聞いたこともないな。炎にも二面性はあるが、大抵破壊向きだろうさ。
燃すのは構わんし……何なら、手向けの香でもおまけにつけてやろうか。
(ポケットから抹香の入った袋を引っ張り出しながら、笑って。)
アル、知らないのかい?ツンデレは言いたい事を真逆に口にするものらしい。
つまり僕の推理によれば、あれは「構って欲しいじゃーん、助けて欲しいじゃーん」という意味だ!

(アルを呼ぶランベールを見て首をかしげる)なにか呼んでるね。
はぁい、ここにいるよー。何撃つ?斬り落とすでもいいけど。
(緊張感のないホワイトノイズ混じりの声が呼びかけに答える。フザけた口調、フザけた衣装、怒りも憎しみもなく道中を踏破する自己肯定と傲慢の塊であった。距離は射線を通すには打って付けだがまあまあそれなりに離れた、そんなところだ。)

……ツンデレってめんどくさいんだね。言わなきゃ殆ど伝わらないのに。
(ド直球ストレートが一番得意なタイプはそんなことを言った。)
【球体の中】

ルベライト『身内を弄んだ事を許さないと言ったわりに、交渉の卓では清濁併せ持って言うじゃないか。好ましいよ、そういうところはね。

……君が言う通り私は死霊術師だ。だから完璧な蘇生をするためには莫大なコストがかかる上に成功率が低い。
だが、ランベールはそれに掛ける事に意味があると言った。屍のような両親を用意したところで君を傷つけるだけだろうと。

私達も契約の卓に着く時は対等だ。ハイリスクを承知で蘇生術をする代わり、万が一失敗した場合……ひとつだけ彼t交わした盟約を遂行しなければならない。
そのせいで、銀影がこのランベールを演じていた時は焦ったよ。魂の一欠片でも取りこぼしたら契約違反……ランベール?』

(語るルベライトを片手でランベールが制す。)→
【球体の中】
傭兵ランベール「……御託はいい。さっさと始めろ。」

ルベライト『まったく、君という男は……。』
(何か言おうとして、呆れたように笑って濁すルベライト。彼が片手を掲げてパチンと指を鳴らすと、アルクの身体が突然動けるようになった)

ルベライト『事が済んだら契約の詳細を詰めよう。邪魔者は傍に控えておくよ。』

(姿を消すルベライト。ランベールはそれを気にもせずに、マントを翻して身構えた)

傭兵ランベール「……。」

(アルクが投げかけた問いに答える様子はない。代わりに返したのは攻撃だ。ヒュッと風を切る音の後に、刃物のように鋭い何かがアルクの左肩を斬ろうと放たれる)
「なんとかな。というか俺は風下にいただけで、爆発自体からは大分距離を置けてたし……リチャードなんか爆心地にいただろ?どうやって防いだんだよ。」

(やっぱりオールドワンは頑丈さが桁違いなのかねぇなんて話しながら、相手の笑顔にこちらも安心したように笑った)

「代わりに爆発で記憶も吹っ飛んじまったか?お前はリチャード・ハルトマン。俺の最愛の恋人だろ?」
【球体内】

……?おい、そのコストってのは何だ。俺の両親は人を犠牲に生き返っても喜ばねえんだよ。
つか、ほんと勝手な事…って、おい!?(さっさと姿を消したルベライトに舌打ちをするとランベールを軽く睨み)

……、な!?(動けるようになった自分に攻撃が飛んでくる。自分よりも口数の少ない目の前の男にイラっと来たのか軽く額に青筋を浮かべて避けようと左脚で浮いてるのか立っているのかもわからないその場を蹴ってみる。)

なんなんだよ!?銀影がアンタの記憶を俺にって言った時も邪魔しただろ、アンタ!言わなきゃ伝わらねえだろ!?俺よりも大人なんだから口くらい聞きやがれ!!
(一応伝えるべきことは伝えることをして居る気でいる黒雪豹。いい加減喋れよ!と叫んだ。出来る限り攻撃は避ける気らしい)
『んー、それは企業秘密、ってとこで。』(口元に人差し指をあてて、しぃー、としてみせた。)

『あぁ、そうか。俺は“リチャード・ハルトマン”だっけ。』
(うっかり忘れていたと言った風に笑って『さんきゅーな、』なんて礼を伝えて)
『──あぁ、ところで。けたたましいコレをどうにかしたいのかな。それなら簡単に止まるさ。』
(にこやかで友好的な表情から一転、凍てつくような瞳で相手を見据え告げる。)
『此処で其の要因たる汝(うぬ)を滅せば自然と鳴り止もうぞ、異端よ、』
(袖口に密かに隠し持っていた短剣をしっかと握り、複数回相手に突き立てようとする)
……いいですね、抹香つきでお願いします。この球体の周囲をぐるっと囲むように燃やしてください。

(ネクタイをキュッと綺麗に締め直し、前髪をかき上げる。自分の周囲にぐるりと龍を纏わせつつ、球体を真面目な表情で見据える)

リチャードのあの武器がどんな仕組みかは分からないけれど、イザークが力を付与したアルの攻撃や僕自身との接触で邪龍が蒸発したのを見るに、聖なる力への耐性があまりないらしい。

加えて奴らも『混沌肯定Lv.1』に抗えず、200以上の魂をわざわざバラバラに管理している。それなら――……
"無理にひとまとまりに固めたら"自壊するんじゃあないかってね。

アル、敵が炎や僕の技から逃げようとしたら撃ち落としてくれ。イザークの力が及んでいる限りは君の攻撃も恐らく効くだろう。
【球体の中】
「…………言いたい事はそれだけか?」

(見えない床があるかのように、床を蹴れば上手く飛び退く事が出来たようだ。
ランベールが宙を指で撫でると2発目、3発目の斬撃が何処からか放たれる。
逃げ続けるだけのアルクに、攻撃を続けながら)

「アベリアル家は滅んだも同然だな。ユキトやクレアが今のお前を見たらどう思うか……考えるに耐えん。」

(と冷たい声で罵った)
『企業……ははは、傭兵でもやるつもりか?
ほんと、しっかりしてくれよ。この戦いが終わったら、また元の日常に戻るんだから。あんましやんちゃしすぎると戻れなくなっちまうぜ?』
(相変わらず鳴りっぱなしの鈴が気になり、困ったように肩をすくめてみせる)
『目覚まし時計みたいにけたたましいったらないな。止められるんなら、止め――……ッ!?』

(ヒリつくほどの威圧感を感じて反応が遅れる。脇腹や肩に鋭い痛みを覚える頃にはもう遅かった。ジュッ!と肉の焼けるような臭いと共に傷が焼けて、朝長の姿を取っている事も忘れて黒い霧を足元へ纏わせ後ろへ滑るように下がる)
『ぐぅっ、ッ……!もう少しだったんだけどな。なんでわかった。……その鈴のおかげか?』
(奇襲が上手くいったようで、がくりと下がった先で膝をついた。朝長の偽物の影がぶくぶくと泡立ち、ざぱっ!と手袋をはめた手が伸びる)

ぷはっ!げほっ。……り、リチャ…ド……!
……葬儀屋には及ばんが尽力はしよう。
(本来は指先でひとつかみかふたつかみで十分だが、人数も多いのでスペシャル大盤振る舞い。手の内に有る袋が燃え落ちて数多の蝶が舞い、馥郁たる香りを散らして黒い球体へ飛ぶ)

『火葬の薪は燃える河……』
(折に触れ思い出す光景がある。つい最近までそこに住んでいたのに、溶岩流の流れの変化ですべて燃える河に沈む。登った樹も、毎日通った道も、何一つのこりはしない一面の炎と死。生涯に何度みるか分からないが、たとえ死が別つとも失われるものばかりでもなければ残るものが苦しみだけでもない。そのような希望あれかしと祈りを乗せた)
【球体内】

………。(罵られると苛立ちを隠すことなく避けていた攻撃をわざと受けてから血が出ようとも左手でその得物を逃がさんとばかりに徐に掴もうとする)



…………テメエが、俺の両親を、アベリアル家を語るんじゃねえよ。

今まで俺の両親が話の中で何時か尋ねて来たら饗さないとって、待ってたのに…アンタは来なかっただろ!?
俺を貶すのの材料に…その間の父さんと母さんを見ても居ないテメェが語るんじゃねえ!!!
(言いながら掴みそこなっていたとしても横っ面に利き腕で渾身の一発を叩きこもうとする。尻尾は不機嫌に左右に振れ、耳は完全に後ろに沿っていて完全に怒りをあらわにしていた)
一番キルカウントが多いのは血を吸う怪物だけど、なんであったって無関係に射落としてあげるから安心しなよ……。
(笑いながらランベールに答え、視線を其方からそらさぬままに他所に声をかけた)

ハインツ君、どうか正気に戻っているなら聞いておくれ。
メアリアン・キャラハンの最後の望みは君が腑抜けてることじゃないはずだ。
面影として留められてなお君を愛するメアリアンの愛に応えてあげてよね。
君がそれに答えなかったら、そこに残るものなんて断絶でしかないんだから、さ……。
銀影、僕も居るよ?僕はなにをすればいい?(アルの肩の上でそわそわ)
ありがとう二人とも。とても頼もしいよ!
(イザークの問いかけには露骨に「あっ」て顔をする。少し考えた後)
うーん……アルを励ますために踊ってておいてくれ。

(と明らかにどうでもよさそうな指示をぶん投げた。
片膝をついて大理石の床に触れる)

”オン バジリ アビラ ウンケン ソワカ。
打ち式、返し式。禍ツ海をけわりたもう、一切成就の力を震え、大聖歓喜天!!”

(球体の下に展開される五芒星の式が、ルベライトの魂をひとつに集約しようと引き寄せる。突然の事に逃れようとした魂のうちの幾つかは囲む炎に焼かれ、球体の上部に逃げ延びた魂の幾つかが逃れようと天井に向かって浮上しはじめた)
肩の上で踊られると上手く狙えなくなっちゃうから、かわりにわたしの銃口が向いてない場所を見て取り溢しを指示したり、間に合わなそうな量をなんとかしておくれよ。
わたしにも限度ってものがあるからね……。
(曖昧なランベールのそれに代わって自分からイザークに指示を出しておく。無呼吸。ブレることなき照準が浮上し天井に逃れようとするもの目掛けて淡々と引き金を引く。)
【球体内】
(アルクが得物を掴むと、透過の魔法が解けて武器の姿が現れる。カリカリカリ……と歯車の噛み合う音を立て立て、全長2mはあるであろう大きな絡繰の雪豹が現れた。
よくよく目をこらしてみれば、その豹の身体には銀の糸が伸び、ランベールの手袋へ繋がっているのが分かるだろう)

「絡繰牙獣『紅雪(こうせつ)』……俺の絡繰術師としての最高傑作だ。
お前如きを相手に遅れはとらん。グレシアス……不満があるなら力で示してみろ。」

(放たれたアルクの拳を横から力を加え、押して軌道を逸らそうとする。軽減にとどまり左頰へ喰らいながらも、伸ばされた腕をそのままぐるんと脇に挟んで固定しようと企む。
同時に片膝を上げて鳩尾に一撃食らわせようと)
(一方、『朝長晴明』を刺した“リチャード・ハルトマン”は後方に退き、崩れ落ちる其れを愉快そうに見て)
『我は汝(うぬ)が擬態したモノの事はたんと知らぬ。然し我は異端を憎み、滅ぼし、滅すモノ。其れくらい解らずしてどうする?
だが汝(うぬ)は誇って良い。この我ですら一瞬欺かれたのだ。』

(次第に弱まっていく鈴を取り出して眉間にシワを寄らす)
『まぁ最後と後押しはこやつのお陰ではあるがな、
……此は……彼奴(きゃつ)の匂いがするな 。嗚呼嫌だ厭だ。』

『……さて、汝(なれ)は助けよと盟友との契りであったな。無論、無事であろうな?動けぬなら暫し休息をとるか?盟友の番よ』
(影から現れた手を掴み、引き上げて救出を試みる)
【球体内】

…な…んだこいつ。機械仕掛けの、雪ひょ…――(姿を現したランベールの得物を頭が分析しようと回り始めるがそれが原因で相手の体術への反応が遅れ、固定されたままに膝蹴りを喰らってしまう)

が、っは…!!?…、ん、の野郎…!!(ランベールの武器を掴んだ左手は蹴りを貰ったことで衝撃により放していた。爪部分に付いた刃を下手からランベールの喉元に向かって切り上げる様に突き刺しに行く)

…っ、…。(「痛みでカッカしたのは収まった。とりあえず問答無用なら受けて立ってやろうじゃねえか…。」)
(口の中の血の味をその場に吐き捨てつつ牽制になろうが刺さろうが後ろへと即座に闇を蹴って飛び退き距離を取ろう。この場がどれくらい動ける広さなのかを確認も兼ねる気だった。)
メアリアンの望み……?(アルの言葉が耳に届く)
兄弟に仲良くしてほしいと願っていたのは知ってるが、ここまでの化け物になっちまったのならどうしようもねぇだろう。
俺はキャラハン家の秘術のことしかわからねぇし、それ以上の力は……。
ぷはっ!はぁ、はぁ……!
(ユディトの手を掴んで引き上げられる。身体中がまるで水に浸かったように濡れており、張り付いた前髪を後ろに流して)
水中適応のおかげでなんとか呼吸出来てたからよかったが、別のしゅぞなら死んでたかもな。少し休めば俺は大丈夫だが、“つがい”って……お前まさか焼肉剣!?おい、リチャードはどうしたんだよ!
(話している相手に違和感を感じ、掴みかかろうと手を伸ばす。
同時にすぐ近くに居た偽朝長の姿が崩れて消えた。反撃の機会を伺っていたが、ランベール達の攻撃で維持出来なくなったのだ)
この骨肉相食む悲劇を終わらせる。朝長君を生かして帰す。君も生きて帰らなきゃいけない。だいたいそんなところ。
彼女の愛したまばゆいものが、まばゆい彼女を知ってる存在がここで終わりだなんて、そんなエンディングを書いて終わりの三文作家なんかじゃないはずだ、君は。
すべての罪は清められ、良き人は生きて帰って、それなりに幸せに暮らすくらいの終わりがいいからわたしもこうしているわけだ。
(瞬きもリップシンクも捨て去り照準の果てを見、その間に硬質なドールはハインツに語る。)

ここも迷宮も秘術の産物だからこそわたしたちはここにいる。
なら「靴のかかとを三回鳴らす」ための手段はまさにそれだろ、先生。
銀影、アル、わかった。どっちもする。
(するんとアルの肩から降りて人型を取る。アイドルのダンス技能で軽やかなステップを踏み、結界を貼っていく。歩行呪術の反閇(へんぱい)だ。
加えてアルの撃ち漏れがあれば)

10時の方向、余りが一匹!

(とアルに声をかける)
どちらさんだよ!?(イザークの人型をはじめて見たので一瞬敵と見紛う。冗談めかした指示が予想以上の成果で結果オーライだ)

よし、半分はまとめられた。あともう少し……。(言いながらも体力の消耗の激しさに、倒れそうになる。龍で体を支えながら、球体に術をかけつづけ)

……返せ……返せよ。大切な人なんだ!一瞬に帰って、叱られたっていい。平穏な日々の中で、いっぱい愛したい人なんだ……ッ!!

(違和感に気づいたのは叫んだ後から。ミシリ、ミシリと天井がひび割れ、亀裂が深まりはじめる)

次は何だよ、クソッ……!
(何事もない、と言ったようにおとなしく掴みかかられながら答える。)
『落ち着け、ターフェアイト・キャラハンよ。盟友の精神は休息をとっているだけだ。アレの身に何かが起きたという訳ではない。
 我は盟友の身体を一時借りているに過ぎん。一時とはこの場にいる異端を滅すまでである。
 本来ならば汝(なれ)も異端ではあるが、今回は不問としよう。──あぁ、それから。
 “我の前でその不名誉な名を呼ぶな。”炭になりたいか。』
(薄氷色の目を細めて、男とも女ともつかない和音で。それにリチャードの声が重なった)

『さて、まだ大団円とはいかないようだな。
其処な異教の神よ、我が役立て出来る事象はあるだろうか。』
(天井の亀裂を眺めてからそう尋ねた)
(どこからどこを見ているのか見ているのかはっきりしない目だ。来た道から行くべき先を見ているのかもしれない。暖かな灰となって地に還り再びやり直すための道標のように、薪から燃える火の粉のように、或いは軽やかな魂のように燃える蝶が炎の囲いから舞う。火葬は厳粛なものでありそこに雑念があってはならないとは思うが、心の片隅でアルクの身を案じていた。どうか無事でいてほしい。)
【球体内】
「怒りをぶつけるだけでは敵の隙を見逃す。それでも傭兵か?」
(切り上げられた爪の刃は確かに届いたが、薄皮を割くだけに留まる。血を滴らせながらも、状況と動ける速度から相手の攻撃を最低限回避している、無駄のない動きだ。

後方へ下がれば、靴が鳴るたびに空間に響き、そのまま音が返ってこない事が分かるだろう。大理石の床の巨大な空間の中で動いているような感覚。

退がる時にアルクの目つきが変わったように見えて、目を細める)

「俺だけを見ていては倒せんぞ。」

(距離を詰めようと後を追いながら腕を振るう。指先の細かい動きにつられて紅雪が走り、アルクへ鋭い牙を向けてとびかかろうと飛んできた)
…。(冷静にその場などを確認しつつ懐にある武器などもきちんとあるかを確認。この場所が自分が居たはずの空間と違う事は理解できる。もしかしたら色々と手段を封じられている可能性も考慮しつつ、ランベールの言葉も耳に入れて分析し始めていた。…冷静さは取り戻したようだ)

…ああ、そうだな。(先ほどまで手にしていた銃は恐らく無い。革手袋はしている。他に持っていた物が使えないのならこの使い慣れた一つの武器種と己の身体を使い、先ずは紅雪の牙を左横に小さな動作で躱しつつ当身をしようと地面を踏んだ)
(背後アナウンス//この場は12月24日以前の時系列とします)
…………正直に言うと、まだ現実を受け入れられない。
受け入れきってしまったら、たとえ偽物でも……ダンジョンの奥底に閉じ込めてしまったメアリアンを、否定する事になっちまう。

だが、迷い込んだ先から生きて帰るってのは確かに必要な事だ。

(天井を見上げる。パラパラと壁が崩れて虚空が広がる。ルベライトの作った異次元空間が維持しきれずに壊れようとしていた。それを見上げると、目を細める。
片手をゆっくり挙げると、暗い空間の前に、突然迷宮の廊下が現れた。消えた部分を埋めるようにじわじわと、同じ性質の空間同士で侵食していく)
恐らく、この空間が壊れ始めている。俺の作った空間を繋げる事はできるが、維持以上はできないぞ!脱出方法を探してくれ!
【球体内】
(武器はある。まるで全力を出せと言わんばかりに投擲して使い切ったナイフまで綺麗に補充されていた。
アルクの当身が上手く紅雪に当たり、どうと横へ倒れこむ。
しかし倒れた紅雪のすぐ後ろから、ランベールが姿を現した。右手にサバイバルナイフを握り、アルクの左肩に向かってふりおろそうとする)

「…………。」
あぁん?起きてんじゃねぇか!身体をのっとっておいて、何が何も起きてないだよ⁉︎まさかとは思うが、この短期間でそれすらもおおごとと思えないくらい当たり前のように乗っ取りまくってたんじゃねぇだろうな……ッ、
(普段聞かないようなリチャードの鋭い声にドキリと胸が高鳴る。頰を真っ赤にしながら、邪念を振り払おうと頭を振った)
ここからの脱出方法……か。最初に来た時は殆ど強制みたいなもんだったからな。何かないか探してみるが、俺にゃキャラハン家の秘術とやらの詳細は伝わってないから、あまり役に立たないかもな。
(言いながら、ふらつく足取りで部屋の中を歩き始める)
悪かったよ、ユディト。謝るからさ……ちょっと支えてくれないか?倒れちまいそうでさ。
わかった。
(イザークの観測に短い相槌。殆ど間をおかず照準が向いて硬質な閃光がファンシィに走る。的が生きた人間であろうと、死んだ人間であろうと、陶器の皿であろうと、やることは何ら変わらない。ただ、自分を補ってくれる相手がいるのは気楽でもある。はぐれたのの切れ目を見計らい、排熱のために深くあえぐように呼吸した。)

フフ、理由はなんであれ仕事してくれる人は好きさ。愛してるよハインツ君。
(イザークに向けるそれよりビジネスライクでシンプルな言葉で労い、稼ぎ出せた時間に安堵する。)
【球体内】

…、…!! (懐から確認した重量の一番あるナイフを当身をしながら抜き、死角から迫るランベールに左腕を弾くように上にあげてナイフが到達する手前で手首辺りを弾こうとする)

……! (そのまま流れる動きで右手に握ったナイフは雪豹を模した傀儡の前脚部分を狙い投げつけ、ランベールの腹部へと投げつけた腕を振り子にして左脚にて蹴り上げようと動かした)

(「何故武器を奪っていない?」「拘束すらしない?する必要がないのか?」「銃までホルダーに収まってやがる…てことは、此処はやはり現実ではないのか?俺は今どうなっている?」脚に感じる鉛の重さや上着から感じる装備の重さに疑問が脳内を駆け巡る。自分の状況が本気でわからなかった。)
【球体内】
………(「この空間は、紅の契約者と、ランベールが作り出している…、俺の生死はコイツ等が自由に決められる……なら、何故こんな真似をしている?生き死にも自由ならさっさと殺して身体を乗っ取ればいい筈だ。紅の契約者はそれをできる筈。…契約ってのは、なんの事だ?ランベールが殺されたのは、銀影を入れる為な筈…。俺の両親は餌に使われた……筈だよな?なら、さっき紅の契約者が言っていた契約ってのはなんだ?」)

………(「俺を何に使う気だ?寧ろ、今紅の契約者は何をしている?」)(この空間内で何かしているのだろうかと軽く耳に音を集めるべく色々な方向へと動かしてみた。その間もランベールと紅雪は視界から外さない)
『吠えるな、見苦しい。実際身体の借用など些細な問題であろう?
 我は異端を滅すことができ、盟友は精神を休ませる事が出来る。我の気分次第では安全な場所で契約終了すればあとは帰るだけ。
 両者にとって得しかないように感じるが?』

(相手が顔を赤らめたのを見てニヤリと笑った。
 この身体の本来の持ち主が抗議の声を上げているが、後で直接伝えてもらうことにしよう。)

『…む、“番を助けよ”とは言われておるが此は……助けるの内に入るのか?』(顎に手をあてて少しだけ考える。まぁ、貸しは作っておいた方が良いか。)
『……解った。ほら。』
(相手は身体の本来の持ち主に弱いらしい。今後も声色は持ち主のものを使わせてもらうとしよう。)
(そんなことを考えつつ肩を抱こうと手を伸ばした)
あい……!?(ピシッと固まる。結界を張る足が止まった)
【球体内】

『ランベール!奴ら……僕をこわそうとしている。もうあまり時間が稼げない。そろそろ終わらせてくれないかい?』

(空間にルベライトの声が響く。ぴしりと何もなかった筈の空に、まるで卵の殻が割れるように亀裂が入った。
「……返せ……返せよ。大切な人なんだ!一瞬に帰って、叱られたっていい。平穏な日々の中で、いっぱい愛したい人なんだ……ッ!!」
ランベールの叫びが切れ間から聞こえてくる)

「……俺は何年も待ったというのに、お前が提供できるのはたった数分かルベライト。
まぁいい。」

(ナイフが手元から弾かれる。腹に重い蹴りを喰らえば、表情は変わらずともミシリと内部で砕ける音が響いた)

「……紅雪。」

(前足をやられた紅雪へ労わるような声をかけた。機械の雪豹はガタつきながらもアルクの背後へまわろうと走り出す。→
【球体内】
(ランベールの方は、蹴り上げられたアルクの足をそのまま脇で挟んで肘を首へ食らわせようと、腕を曲げて相手の方へ放った)
(崩れゆく壁が突如、外側から圧がかかった様に衝撃を受けた様子を見せる。次いで、壁の隙間、天井の隙間からどろどろとした黒いナニかが内側へと溢れ出してきた。黒いナニかに混じって、人間の眼が、鼻が、耳が、口が、幼子の様な腕と足が、悪趣味な霰となって一緒に降り注ぐ)

“ーーきゃはッ”“キャハハ”“キャハハハハハハハハハハハハハハはハハハハハはっはははっハハッはははっははははハ!!!!!”

(ばきん、ごり、ごりっ、ぼきん。)
(口々に発せられる無邪気な笑い声に混じって、硬質な何かを噛み砕く様な音がそこかしこから響き渡った。気配を感じていた者は、それがひとつ、みっつ、ななつと消えていくのがわかるだろう)
(その中で、ひとかたまりになりつつある魂に向かってヒトガタの何かが落ちてくる)

「ーー御機嫌よう、お兄様」

(ソレは、無邪気な在りし日の少女の姿で。さながらうさぎ穴からやって来た様に緩やかに落ちながらそう言った)
納得できるかぁああ!!些細なもんか、どうりで邪龍につっこんで行った時におかしいと思ったぜ!あんな捨て身じみた戦い方……絶対ユディトの方だろ?
(支えて貰えれば、ぎゃあぎゃあ言うのもやめて真剣に周囲を探索しはじめた)
床から天井まで兄貴らしいキッチリした魔術構成だ。これどうやったら他の場所に他の場所への切れ目を入れられるか……っ!?
(などと話していたが、上から落ちてきた女性の姿に目を見開く)
……死んだ筈だ。なんで……!!
(あらぬ疑いをかけられたことに少しだけ眉間にシワを寄せて)
『否。確かに我の歓喜が盟友に移ったかもしれぬがその時点で我はなにもしておらぬ。
 つまり、無鉄砲に敵に突っ込んでいったのは盟友の方である。』
(一緒にするな、と付け加えた。)

(宙を落下していく其れを視認した瞬間に苦虫を噛み潰したような顔をした。)
『なぁ、ターフェアイト・キャラハンよ。我は今すぐに汝(なれ)を支えている手を離して逃げ出したい。今すぐにだ。ダメか?』
ここは君に愛を語るには余りにも殺風景だし、わたしにも余裕ってものが……

(イザークに言いかけたところで壁や天井からばらばらと落ちてくる何かを見て手を止める……というか、棒立ちになっていた。数秒して意識を取り戻して、思考を振り払うように頭を数度振った。『彼女』はもう何ヶ月も前に殺したし、ここはあの街でもない……)

……台本ももう残り僅か、かな。

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