PandoraPartyProject

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紫煙微睡

 ――幸福とは何だろうか。
 ――誰もが笑顔である事。誰もが差別されない事。誰もが安堵と共に暮らせる事。
 ――それは幸福であろうか。

 ……豊穣が一角に存在する領域『常世穢国
 其処は死した筈の『古き帝』が統治する、魔の領域であった。
 『正眼帝』と謳われし偲雪を頂点とし。
 魔種へと堕ちた力によって――誰も彼もの意思を『笑顔』に塗りつぶす領域。
 ……かの地にて神使達は四神が一柱、玄武からの依頼によって動いていた。
 偲雪が、力を更に外に広げようとしているが故に――阻止の一手を担ってほしいと。
 結論から言えば、その活動は成功した。
 自らの力を肥大化させんと街を術式に見立てていたのだが。
 神使らが街の各所で破壊活動を行ったが故に――復旧が必要になったのだ。

「あーぁ……あちこち滅茶苦茶にされちゃったね。
 折角ばぁー! って広げようと思ってたのに」
「しかし――主。我らがおります。何もかもが後退の道を辿った訳ではないかと」

 が、しかし。
 その動きの中で――明確に偲雪の下へと残った神使もいる。
 百合草 瑠々(p3p010340)星穹(p3p008330)だ。
 特に瑠々の方は自らの意志と信念をもってして此処にいる。
 ――これで良かったんだ。これで。
「我が主、永遠にこの世界を幸せにしましょう。その為ならば尽力厭いません」
「うん! ちょっと……ちょーっと予定は狂ったけど、まだなんとかなる、と思うから!
 絶対、絶対に――作り上げようね!」
 誰も嘆かない世界を。誰もが幸福に生きていける世界を。
 瑠々は自らの『主』と共に作り上げるのだと――確信していた。
 ……同時。星穹の頬からは、涙が零れる。
 どうして。なんで? 自らも、彼女に寄り添うと決めたのに……

 たいせつなものが、こぼれおちていく

 それは彼女に宿りし祝福(呪い)の一端。涙の雫が溢れる度に、記憶が掠れていく。
 帰る場所も。よるべも。大切だった『誰か』のことも。
 すべて、すべて、解らなくなってしまった。
 ……私は。誰に、何を届けたのだろう。
 何かを約束していたはずなのに。なにも、なにもわからない。
 隣に誰かいた気がする。いてくれた筈の誰かの姿が思い出せず。
 心に空虚とも言うべき穴が開いた様な気がする。
 熱い。拭っても拭っても止む事のない涙が、どこまでも。目の奥が灼熱の如くと共に……
 このブローチを私にくれたのは、誰だった……?
『わからない』
 ……それでも。その解らなくなった『誰か』を、私は信じる。
 だからきっと……きっと。いつか、きっと。
 助けに、きて――
 会いに、きて――
 夢の狭間であなたを待つから。
 それまで私は――■■■ふりを、続けます。

 何も思い出せない。何も、何も……
 頬を伝う雫がまた一滴――地へと堕ちた。

 <仏魔殿領域・常世穢国>において、幾人かのイレギュラーズの行方が不明になっています……!

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