PandoraPartyProject

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春霊祭の裏側に

 鉄帝国にあるローレットの支部に数人の集団が集まっていた。
「全く、デートの呼び出しかと思ったら、違ったみたいだね。
 このメンツを見るに、あの時遺跡にいたメンバーかな?」
 ヨハン=レーム(p3p001117)がぐるりと見渡せば、そこには傭兵連盟ニーズヘッグとの戦いが繰り広げられていた頃にベロリェスコエ地下神殿へ訪れていた面々の姿がある。
 魔女ヴィルトーチカに案内されて訪れたその場所で、イレギュラーズはニーズヘッグへの追加の対抗策――になりそうな情報を見出していた。
 そうして今、ヨハンを含めた面々はヴィルトーチカの呼びかけを受けて集められていた。
「これが何らかの鍵になるのだろうけれど……」
 そう言って黎明院・ゼフィラ(p3p002101)が取り出したのは1枚の羊皮紙だ。
 それは神殿で見つけた魔方陣を書き写した物である。
「持ち出していいって言われたこれも気になるよね」
 ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が手に持っているのはその遺跡で見つけた1冊の本だ。
 小さな石の机の上、魔方陣に守られていたその本の中には人々の願いが込められている。
「それをもっとも知っているであろうヴィルトーチカ様は何やら持ち帰って探っているようですし、もうすぐわかるのでしょうが……さて」
 アリシス・シーアルジア(p3p000397)が何やら考え込む。
 ベロリェスコエ地下神殿――神殿と言うからには、『神』を祀っていたはずであり、それが何だったのか。
 アリシスはそのことをずっと考えている。
 記されていた壁画を見るに、少なくともニーズヘッグではないのだろうが。
「たしか、ヴィルトーチカ殿は『ニーズヘッグを弱らせた術式があるはず』と言っていたな」
 アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は先の事を振り返る。
 魔獣ニーズヘッグを弱らせる術式――そんなものがあるのなら、討伐に向かう時にこれ以上にない支援になるはずだ。
「遅くなってごめんなさいね」
 各々が話し合う中、机を囲うイレギュラーズの中心に、一枚の羊皮紙が置かれれば、そんな声がした。
「ヴィルトーチカ殿、どうして俺達を集めたんだ?」
 アーマデルが声の主――ヴィルトーチカに問えば、彼女は穏やかに微笑んだ。
「魔方陣の使い方が分かったのよ。あの時一緒に来てくれた貴方達には先に教えておくのが筋でしょう?」
 そういうと、彼女は術式の詳細について語り始めた。
「……つまり、この術式には人々の想いを保存してエネルギーに変える力がある……ってことだね」
 小難しい話を聞いて纏めなおし、確認も兼ねてゼフィラが言えば、ヴィルトーチカは頷いて見せる。
「そう。それでこの術式に刻んだ『喜びや楽しいといった気持ちをぶつけてお腹を下させる』ってことね。
 『怒りや嘆きを糧に成長する魔獣』にとって、正反対の感情は猛毒に等しいでしょう」
「じゃあ、喜ばせたり楽しませたりすればいいんだね!」
 ヴィルトーチカの言葉にヨゾラが繋ぐ。
 それなら楽だ――性にあっているともいえる。
「でも、そういう状況ってどうすればいいのでして?」
「うーん、そうだねぇ……なんだかんだ言って、沢山の人が『楽しい』と思える状況を作ればいいんだよね?」
 ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)が首を傾げたところに、ひょっこりと顔を出したのはイルザなる傭兵だった。
「じゃあさ――お祭りとか、開いたらいいんじゃない?
 春分的なお祭りだよ。ほら、ちょうどその時期って傭兵連盟に占領されててできなかっただろうし、ね?」

「お祭り……たしかにそれなら楽しそうでして! どかんと一発、祝砲をあげるんでして!」
 ルシアが目を輝かせれば。
「じゃあ、少しだけ時間をもらうよ。
 傭兵連盟のやつらに攻められていた町に話を持っていけるように調整してもらうから!」
 そういうや否や、イルザはローレットを飛び出しどこかへと去っていった。

 ――春霊祭の準備が始まるのはそれからすぐの事だった。


ヴィーザル地方のお祭り『春霊祭』が開催されるようです!

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