PandoraPartyProject

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竜骨を辿って

 Rapid Origin Online――

 それは練達三塔主の『Project:IDEA』の産物。練達ネットワーク上に構築された疑似世界。第二の混沌と呼ぶほどに類似したワールド設計。
 混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境はイベントクリアを行う事でMMOの如く『アップデート』された。
 2.0と銘打った新規パッチで追加された領域『竜の領域』のクリアを行うべく伝承国王より申し伝えられたクエストの名こそ『竜域踏破』
 竜の領域と覇竜領域デザストル。
 其れが同様であるか――未知とも呼ばれた未開の地。
 入り口に踏み入った者は多く居る。その最奥がどの様な場所であるかをローレットはまだ知らず。
 仮想空間の中であれども、未知を切り拓き辿り着いたのが亜竜種の領域、集落『フリアノン』であった。

「亜竜種と呼ばれるのは旅人(ウォーカー)ではないのさ。モンスターの分類で呼ばれる竜種や亜竜とも違う。
 我々、練達が夢の如く見かけたことの或る異形なる竜とは大いに違った世界にとっての当たり前の存在。
 詰るところ、純然たる無辜なる混沌に生まれ出ずる純種。『人種』の1つなのさ。彼、彼女は君たちの仲間に成り得る存在だ」

 朗々と言葉を連ねるDr.マッドハッターに有栖川 卯月(p3p008551)はぴんと背筋を伸ばして頷いた。
「やあ、特異運命座標(アリス)達。『竜域踏破』のクエストデータは見たかい?
 簡単に観測情報をおさらいしておけば、『山越え谷越え、森を越え、幼竜を倒し辿り着いたのがフリアノンと呼ばれる集落』だった」
「OK、その当たりは理解してる。聞きたいのは、このデータは現実に通用するものなの?
 誰も観測していない筈の領域をシステムが勝手に構築した可能性もあると思う。だから、聞いておきたい」
 Я・E・D(p3p009532)の問い掛けにマッドハッターは「奇を衒うシステムは白の歩(ポーン)を嘲笑う事も無いのさ」とちぐはぐな言葉を続ける。
「『再来週に起こること』を教えて貰っても?」
 マッドハッターのジョークに合わせてアーマデル・アル・アマル(p3p008599)は問うた。何を聞いているのだと不思議そうに、眉根を寄せる冬越 弾正(p3p007105)は愉快そうに目を細めて笑ったマッドハッターの言葉を待つ。
「ああ、『君たちは屹度、その道を辿ることになるだろう』!
 その道の集落は何処か。ご覧、レディ――いいや、シスター『ルージュ』が辿ったこの道は砂嵐に繋がっていた。
 ならば、現実世界のラサにこの道の『元になった場所』が存在して居る! ならば、そこを探し当てれば、チェックメイトさ」
 現実で『琉珂』と名乗る少女は誰もが観測していた。彼女の存在を、そして『オジサマ』を起にデザストルの情報を『ネクスト』が勝手な事に得ている可能性もある。それだけ、このシステムは塔主のコントロールを離れているという事か。
「我々、練達はその地を探す為にフィールドワーカーを差し向けたのだけれどね、さて、話の続きは君で良いのかい?」
「ええ。今日は『台本』の通りに話してくれて感謝しますヨ、ドクター。ご紹介の通りフィールドワーカー、ファン・シンロンデス。
 R.O.Oでは――ええ、『あの姿の話は秘密』でしたか?」
 笑うファン・シンロンに炎堂 焔(p3p004727)は「そうだね。知られたくない人も居るみたいだし」と同調した。
「シンロンさんが調査に向かってたの?」
「そうです。ラサでの調査ですので、ディルクさんとファレンさん、そして隠里と云えば、とイルナスさんにご協力頂きまして……」
 ラダ・ジグリ(p3p000271)は察する。屹度、その調査結果は芳しくなかったのだ。もしも先に『里』を見つけられていたならばディルクもハウザーも一番乗りだと飛び込んでいきそうなものである。
「見つからなかったのだろう? ならば存在して居ない可能性だってある」
「けど、それを『情報を持っている俺達』を使って探し当てたいって事だろ?」
 シラス(p3p004421)にラダは「人使いの荒い国だ」と小さく呟いた。シラスも同意するように笑みを浮かべる。
「あの、覇竜観測所の皆さんは?」
「そちらは後程に。どうやら『裏口』ですからネ……見つかるまでは大所帯で押し掛けすぎても危険でしょう」
 アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)は成程、と頷いた。後程情報を持ち帰り、現実世界の覇竜観測所メンバーと情報共有の機会を設けるのも良いだろう。
「質問! 隠されていて、皆が見つけられなかった里を私達はどうやって探すのかな?」
「ええ、そうねぇ……練達とラサの叡智を集結させてもダメだったのでしょう? 其れを見つけることは出来るのかしら」
 スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)へとアーリア・スピリッツ(p3p004400)は大きく頷いた。
「クエストの情報を精査して、新しい可能性を見つけたとか?」
 黙って話を聞いていたヴェルグリーズ(p3p008566)はそうやって問い掛けた。
 ファンは頷く。崎守ナイト(p3x008218)らが打ち倒した竜『オルドネウム』について、アレクシア(p3x004630)始めとする観測隊面々が持ち帰った石版は御伽噺が書かれていただけではなかった。

 ――隠れ里クスィラスィアへ至る者。
 ――道を下り、降りて行け。我らフリアノンの尾の先へ触れし者。
 ――蜃気楼の向こうへ至るならば、

 先が掠れて読めないが、何らかの妨害魔術で里を隠して居ることは察することが出来た。ならば探しようもあろう。
「さあ、特異運命座標(アリス)、頼めるかい? 砂漠の夜はさぞ寒いだろうが、君たちは不思議な列車に乗り込んだばかりなのさ。
『鏡の国』の中に存在する『名無しの森』へと辿り着こう。それが君たちの良き未来に繋がっているように――
 何、こんな事を言うのは柄では無いのだがね? 敢て口にしておこう『ドラゴンたるもの男児の浪漫』なのだよ、と」

※現実世界で『覇竜領域』へ繋がる道を探す探索が開始されたようです――

<帝都星読キネマ譚>現在の侵食度: 

これまでの再現性東京 / R.O.O

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