PandoraPartyProject

ギルドスレッド

銀嶺館

【図書室】盗賊団・砂蠍について

銀嶺館のどこかにある図書室。

貴方が見聞きした『盗賊団・砂蠍』についての情報を教えてください。
時にはTOP画面で伝えられる幕間劇や、参加した依頼、気になった依頼の他、自分が感じた事や思った事などを語り合ったりして、盗賊団・砂蠍の野望を阻止しましょう。

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<蠢く蠍>サリューの呼び声
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1005

サリューの領主クリスチアンは、梅泉を砂蠍へのメッセンジャーとして送っておきながら
砂蠍に自分の町を襲わせようとしている……?
実際はイレギュラーズと砂蠍(の下部組織)を戦わせる事が目的なのか?
だとしても、それは何のために?
2018/10/15 夜~のTOP画面

<パスクァーレ・アレアドルフィ>
……全く、益体もない。
……折角、この国も少しはまともになったかと思えば……
次は物の道理も分別もない賊徒共がこうまで増長するとは。
さて、これが賊共の単なる蛮行だけならばそう大きな問題にもなるまいが……
どうも、それだけではない何かを感じますね。

眩闇に身をやつしたとて、侮られたもの。
総ゆる理不尽を憎む私を雇いたい、等と愚挙の極み。
既に血に汚れた身。純潔の『正義』に拘る心算は無いが、さて……


※各地で砂蠍の動きが活発化しています。
 ラサで不定期開催のサンド・バザールが開催中です!
上記TOPからリンクされたシナリオ

『眩闇のアブグルンド』
GM名:YAMIDEITEI 難易度:NORMAL
冒険終了日時:2018年04月29日 22時05分

https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/364
2018/10/18 夜~のTOP画面

<鉄帝南部・幻想北部国境線>
 厳しい気候風土にさらされるゼシュテル鉄帝国にとって、南部に広がる肥沃な領土の獲得は悲願であった。
 逞しく強靭な肉体と精神を有するゼシュテル民は過酷な環境にも負けず、強大な帝国を維持している。されど、彼等が現状で生きていけるかどうかと、凍らない港――国土的な豊かさを求める心は全く別問題である。
 かくて、彼等はその肥沃な大地にあぐらをかく――特にこの数代は腐敗と弱体化の著しい幻想(レガド・イルシオン)との戦争状態を続けている。何時から始まったか覚えている者も少ない戦争は、その時々で激しさを変えながら延々と繰り返される二国間の風物詩とも言える状況となっていた。
 ここ暫く、大きな戦闘が起きなかったのは言うまでもない。
 よりにもよってあの幻想に特異運命座標を束ねるギルド(ローレット)が存在するからだ。
 鉄帝国は神託のあれこれに真剣な国ではないが、彼等がパワーバランスを崩し得る存在である事は理解している。直接的に彼等と争うかどうかを別にしても――例えばあの天義(ネメシス)の動向が変わるだけで状況は劇的に変化すると言えるからだ。
 鉄帝南部、幻想北部の国境線は両国軍が睨み合う事実上の最前線である。
 幻想側は有力貴族の持ち回りだが、鉄帝側は一人の名将が受け持つ絶対領域である。
「……とは言え、だのう」
 顎に手をやりつつ、何とも困ったように声を発したのは黒鉄の巨漢――『塊鬼将』の名を数多の戦場に轟かせる『その』ザーバ・ザンザだった。
「何時までもこまねいておる訳にもゆかぬし、宰相殿は胸が痛かろうしなあ」
「鉄帝国の冬は厳しい、ですからね」
 傍らの副将に「うむ」と頷いたザーバは思案顔であった。
 敵陣容はアーベントロート派を主力にした軍閥らしく、睨み合いは今日も続いている。
 幻想の北部要塞は堅牢で、守備の中核を担うその場所を巡る攻防がこの数年の小競り合いの中心である。
 言ってしまえば国境は今日も『日常通り』といった所なのだが――
「……将軍。例のお話を考えておられるのですか?」
「例の使者の話は……何分、寝耳に水の話過ぎて……
 我々の調査でも『砂蠍』なる盗賊が幻想を荒らしているという事実は裏付けが取れておりますが」
 ザーバの視線を受けた副官は少し思案して、その結論を言い淀む。
 鉄帝国らしからぬこの副官はザーバが信をおくだけあって、中々に慎重さも兼ね備えた人物である。
「その盗賊が幻想側にある謎の人物のコントロール下にあると。
 しかもその人物は鉄帝国の有利を図っている、と聞けば。
 十中八九――いえ、九分九厘罠としか考えようがありませんね」
「ま、そうだろうな」
 副官の至極真っ当な結論にザーバは気も無く頷いた。
「この時期に俺達が焦れるのも――此処暫く小競り合いが起きてねえのも計算に入れてるかのような話だ。
 確かに。例の盗賊共が上手いキッカケを作れば、そりゃあ俺達の千載一遇の機会になる。
 宰相殿や国民は『そういう手』を嫌うだろうが、まぁ。元はと言えば俺達の仕掛けじゃねえし――そもそも戦争ってのは敵の弱みを突くもんだ。手加減とフェアは違う。『本当なら至極有効』って事は、『露骨過ぎて罠』って事の裏返しでもある」
「では、やはり罠ですか」
「多分な。しかし」
 自身の言を肯定され、何処か安堵した顔を見せた副官にザーバは続ける。
「本当だったら、どうする」
「……は?」
「露骨過ぎる好機を本気で演出する幻想側の有力者が居たら、どうする。
 それだけの仕掛けを用意しながら何一つ要求してこない――売国奴とも違う何者かが居たらどうする。
 言っただろう。焦れるこっちの気持ちを見透かしたように来やがる、と。
 つまりだな、これを持ちかけた人間は真偽問わず『性格が物凄く悪い』ヤツだろ。
 そんな破綻者なら、逆説的に何をするか分からないってのもあるだろうのう?」
 ザーバは副官に危急の為の臨戦態勢、出撃準備の徹底を命じる。
 見極めるのはこれから。しかし肝心のその時に動けなければ遅きが過ぎる。
 嘘ならばそれで良い。罠ならば踏み潰してみせる、そして好機ならば逃すまい。
「俺に任せておけ」
 ザーバ・ザンザの言は雷の如き絶対である。
「――は! 幻想側に気付かれぬよう、各隊に通達をいたします!」
 幾多の不可能を可能にしてきた彼に、副官は背筋を正して敬礼した。
(……さて、しかし状況は怪奇。嘘にせよ真にせよ、正直を言えば複雑だのう)
 彼とて、鉄帝軍人。正面衝突で敵を打ち破らんとする喜びは痛い程知っている。
 フィッツバルディの黄金騎士やアーベントロートの青薔薇を正面に引っ張り出せるなら、それが一番いい。
 だが、彼は鉄帝国の守護神である。自身の双肩に飢え、凍える子供や国民の望みが掛かると考えれば――
※各地で砂蠍の動きが活発化しています。
 ラサで不定期開催のサンド・バザールが開催中です!
クリスチアンが砂蠍を使って、幻想のアーベントロートの軍と
鉄帝の『塊鬼将』ザーバ・ザンザの軍の睨みあいに介入し、
鉄帝有利に事を運ぼうとしている様ね。
自らはボードの外から駒を動かし、ゲームをプレイするように
世が乱れるのを楽しんでいるのかしらね……
2018/10/22 夜~のTOP画面

騒動の後

 騒動の後、バダンデール邸にて。
「――それで、改めてだ。彼等をどう思った? バイセン」
「主ともあろう者が、実に胡乱な問いをする」
『サリューの王』クリスチアン・バダンデールの何とも当を得ない曖昧な問いに、死牡丹梅泉は心底面倒臭そうにそう応えた。クリスチアンの問いは一見すれば先にイレギュラーズが請け負った『砂蠍』対応の事を指しているのだが、彼はそんなに判り易く平面的にモノを言う男ではない。腐れ縁でも縁は縁、梅泉は明敏にそれを察して呆れてみせたのだ。
「主の聞きたい台詞かどうかは知れんがな。概ねにして侮り難し、といった所か。
 もっともわしからすれば此度の結果は朗報よ。
『巨獣狩り』なぞ達成された日にはその場でわしが狩りたくなるわ」
「まぁ、私の見解も概ね同じだ。彼等には意地悪をした心算だったのだが、欠けずに戻ってきた以上はね」
 冗句めいて笑えない事を言うクリスチアンに梅泉は「ふん」と鼻を鳴らした。
「そうむくれるなよ。『死滅』の件は何度も詫びているだろう?」
「茶番は好かぬわ」
 苦笑するクリスチアンを一蹴した梅泉は相変わらずの不機嫌面である。
「……とは言え、じゃ。主にも主の予定があるのだろうよ。その目的を考えれば、な。
 蠍の消耗を嫌う考えは分からんでもない。
 じゃが、次はないぞ――次のわしは必ず斬る。神が止めようと止まらぬぞ」
「……ま、そんな命知らずは神位のものだろう。文字通り」
 クリスチアンは「安心したまえ。次は存分に蠍も狩ってもらうさ」と応じた。
「私もアーベントロート麾下だ。点数は稼ぐ必要があるからね」
「どうだか。して、次はどうする。主の事じゃ。もう仕掛けは済んでいるのであろう?」
「勿論、万端だとも。駒は配した。そろそろ大きなゲイムが始まるぜ」
 クリスチアンにとって言うまでもなく――自身以外の全ては駒でしかない。
 彼一流の悪徳の流儀に従って、事は順調に運ばれている。
 全く安全な場所から悪意を繰る指揮者(コンダクター)気取りは、開演の時をまさに待ちわびている。
「全く愉快な程の狂人よな」
「君にだけは言われたくないさ」
「首が恋しくはないようじゃな」
 気安い友人同士のようなやり取りはどうしようもない位の剣呑に満ちている。
「じゃがな、クリスチアン」
 片目を閉じたままの梅泉は不機嫌の名残をようやく片付けて口元だけで笑む。
「言うてしまえばそれが良い。わしが主を評価する理由は一つよ」

 ――主はまさしくこの世の毒じゃ。世を乱し、かき混ぜ、わしの望む闘争を、危機を呼ぶ。
   その為に生まれついた、何と迷惑な男よな!

「――何とでも言ってくれ。
 私を理解出来るは、私以外には居ないだろう。
 唯、君とは唯一にして絶対だ。君とは目的という名の手段を共有出来る。
 だからね、私は私らしくもなく君とは友情を感じないでもないのだよ」
 梅泉は呵々大笑し、クリスチアンは芝居掛かって一礼する。
「――では、期待を御覧じろ」
 危険な剣士に愉快気に評された美しい男もまた、剣士と同じく全く悪魔の顔で笑っていた。
上記TOPにリンクされたシナリオ

<蠢く蠍>サリューの呼び声
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1005
クリスチアンは魔種、もしくはそれに類する存在の様に思われるわね。
様々な物を駒として利用し、幻想を混乱に陥れるゲイムに興じる狡猾で邪悪な存在。
どうにか尻尾を掴みたいわね……
2018/10/27~のTOP画面

<キング・スコルピオ>
いけすかねぇ協力者様曰く――
『貴族軍は鉄帝の動きを受けて北部戦線で膠着する』ね。
いいだろう、何一つ気に入らねぇが乗ってやる。これが蠍の宴の始まりだ。
従わねぇ奴、幻想貴族、何よりラサのクソ犬共!
……それから、ああ。やっぱり来たか特異運命座標(イレギュラーズ)!
いいぜ。かかってこいよ。
俺を使った気になってるクソ野郎含めて、きっと皆殺しにしてやるぜ!


※『盗賊王』の軍勢が幻想南部に本格侵攻を開始しています!
大規模連動

刻印のシャウラ
https://rev1.reversion.jp/page/1810_Shaula
<刻印のシャウラ>において、魔種の介入も散見されたので
魔種スレッドの方に情報を纏めておいたわ。
どうも魔種は新生砂蠍と共同で幻想に攻めてきたのではない様ね。
状況をより混沌化させて楽しむための駒として配置された様な……そんな感じがするわね。
<Phantom Night2018>砂の都のフェアリィテイル オープニング
GM名:夏あかね 種別:イベントシナリオ 難易度:VERYEASY
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1129

※一度は砂蠍を壊滅させた傭兵団『赤犬の群れ』の団長ディルクに会える模様。
上記追加。
覇竜領域デザストルからの来客と思われる、琉珂と『オジサマ』にも会える模様。
今後の展開に向けての顔見せか?
おじさま、確か大罪の会合の時にいたよな。何の感情の担当だったかはおぽえてねーが。
すっかり忘れていたわ。教えてくれてありがとう。
確かめてみたら、『暴食』のベルゼーの様ね。
本当に状況がこんがらがって、情報の整理も大変だわ。
2018/11/9~のTOP画面

<三貴族会議>
 幻想北部、アーベントロート別邸。
 平素、他派の貴族がこの場所に集まる事は無いが、この日ばかりは別だった。
 不倶戴天――とまでは言わないが犬猿の仲で知られるフィッツバルディ家、やり方が大いに違う為、滅多に連携を取る事は無いバルツァーレク家、そして当然ながら家主であるアーベントロート家に連なる貴族達がかの屋敷に一堂に会している。
『新生・砂蠍』を名乗る大盗賊勢力が幻想を荒らし回って暫くが経つが――今回の動きは出色のものだった。
 様々な問題を抱えた幻想貴族ではあるが、『自身の寄る辺を守る事』にだけは大変熱心である。今この瞬間の会合が示す通り、いざ自身の権益が侵され得る状況ともなれば、その時ばかりは一致団結を見せる連中なのである。盗賊王の軍勢が単なる収奪に留まらない国盗りの動きを見せている以上、貴族同士の対決が一旦休戦となるのは当然の事だった。
「北部戦線は予断を許さない状況のようですね。
 一方で幻想南部に侵攻を開始した盗賊王の手勢はかなり大規模な攻勢を強めている模様です」
「ふむ」
「地政学的に南北に分かたれた『敵』の配置は或る種の挟撃を達成しています。
 盗賊と鉄帝国の連携は不明ですが、敵の敵は味方という言葉もありますからね。
 少なからず彼等はこの好機をお互いに利用し合う関係には成り得るでしょう」
「下賤の輩めに、何ぞ知恵をつけたものがおるようだな。
 痴れ者の目的は知れぬが、余りにも不自然な動きではある。
 鉄帝国の将帥がザーバ・ザンザである以上――かような動きは無いものと思っておったが」
『遊楽伯』ガブリエルの言葉に苦虫を噛み潰したように呟いたのは『黄金双竜』レイガルテである。
 高齢のレイガルテは他の貴族よりも長らく鉄帝国の脅威と相対している。その彼をして余り前例に覚えがない今回の状況は、存在するかも知れぬ『何者か』を疑わせるには十分だったという事か。
「……」
 専ら貴族同士の軍議はこの二人を中心に行われていた。
 それは当然ながら立場、権威の問題であり、他にも理由があった。
 周囲の貴族が派閥の領袖たる大貴族のやり取りに、口を挟めない最大の理由は最後の一人である。
「……本当に鬱陶しい、羽蟲共!
 如何なる思惑があろうとも、諸共叩き潰して差し上げますわ!
 ああ、本当に苛立たしい。いっそ私が直接消して差し上げようかしら」
 平素は余裕の色を崩さない『暗殺令嬢』リーゼロッテの極上の美貌が激しい怒りに歪んでいた。
 幻想一危険とも称される美貌の令嬢の明確な殺気に一同は震え上がるばかりである。
 幻想北部を主な勢力圏とするアーベントロート家は、幻想貴族きっての武闘派である。必然的に北部戦線で鉄帝国と直接相対する機会も多い彼女が動きにくい状況に非常なストレスを感じているのが見て取れる。
「そう急くな。アーベントロートの。わしとて下賤に領地を荒らされておるのだ。貴様と同じ心持ちよ」
「……公爵様の領地はまさに『幻想南部』ですものねぇ」
「然り。故に怒りは同じよ。故に戻りたいのは山々だが――
 貴様の管轄たる北部の防衛にも助力しておるのは偏にこれがレガド・イルシオンの問題に違いないからだ。
 北部戦線が乱れれば、メフ・メフィート――つまり我等の中央が危険に侵されかねん。
 陛下もこれは望まず、我等に『全力の防衛』を命じられておる」
 言葉をより正しくするならば『フォルデルマンはそう命じさせられている』だが、それはさて置き。
「貴方に万一があれば、それこそ国の一大事です」
「あら、ご心配下さいますの? 流石にお優しい。
 しかしながら、遊楽伯。貴方は身共が失敗するとでも?」
「いいえ。しかし、鉄帝国の連中は『薔薇十字機関(アサッシン)』の対応に慣れておりますからね。
 我々も援護します故、どうかお気を落ち着けになりますように」
 政敵に加え、ガブリエルも言葉を添えればリーゼロッテは一つ咳払いをした。
 相変わらずその愛らしい顔立ちにはらしからぬ表情が浮いているが、触れない方が幸福というものだろう。
「皆も、手をこまねいているばかりではないでしょう?
 私も含め、この所の幻想貴族はこういった時にどうすれば良いか、どうするかの選択肢を得ている筈だ」
「特にお二人は同じでしょう?」とガブリエルが念を押すと、レイガルテは鼻を鳴らし、リーゼロッテの険しい表情は少し緩んだ。
 三人が思い描いたのは同じもの。
 南部の盗賊王に対応を依頼したイレギュラーズの顔、ローレットの事である。
「ザーバとて、力押しで我々の結集を押しのけられるとは思っていますまい。
 軍勢を動かす気配を見せているのは、半分は南部盗賊王の動きに対してのアシスト。
 もう半分は、あんな名将の考える事。私程度では及ぶべくもありませんがね」
 三貴族におけるバランサーの役割を果たすガブリエルは一先ず幻想側の暴発を抑える事を考えていた。
 それは盗賊王に対応するローレットを信頼してのものでもある。相手の侵攻となれば交戦は是非もなしだが、後顧に憂いを持って『こちらから』開戦の判断を切れば、どれ程の民に災難が及ぶかは分かったものではない。少なくともそれは率先して判断するべき最良ではないと考えている。
(頼みますよ、皆さん)
 不思議なものだ、とガブリエルは考えた。
 あの傲慢な黄金双竜も、怒れる幻想の青薔薇も。
 彼等を示せば、不思議に落ち着く――
「ふふ。確かに賊徒共等、私達が手を下すまでもない。料理を待つ獲物のようなものでしょう。
 ……上手くやって頂けたら、またお茶会にでもお呼びしようかしら」
 ――特にリーゼロッテの機嫌は驚く程、『戻っている』ではないかと。


※『盗賊王』の軍勢が幻想南部に本格侵攻を開始しています!
※※闘技場コンテンツ『ラド・バウ』が開始しました! 是非ご確認下さい!
TOP画面

<続・三貴族会議>
 幻想北部、アーベントロート別邸。
『嗚呼、この間等、まだ序の口――大いにマシに過ぎなかった』と。
 参加を余儀なくされた一人の幻想貴族は考えた。兎に角、早く帰りたい。軍費だろうと兵役だろうと協力するから、一刻も早くこの場を辞したい――そんな事を一様に考えているのは当然ながら彼一人では無かった。
「……塵芥が……ッ……!」
 自然に漏れ出た舌打ち、鈴鳴る銀の美声が嘘のようなその声色は、幻想の青薔薇――(見た目だけなら)幻想の至宝たるアーベントロート家のご令嬢には何処までも相応しくないものだった。
 触れた者皆、傷付けるを通り越して切り刻まれそうな位の不機嫌は最早誰に止める事も出来ず。
 これまで彼女を上手く操縦してきた『遊楽伯』ガブリエルも宥める事も出来ずに苦笑するばかりであった。
「……一先ず、まずは状況を纏めます。
 幻想南部への砂蠍の攻撃は概ねローレットが撃退してくれたようです。
 ……しかしながら、なかなかどうして敵も手強い。水も漏らさぬ、とはいかなかったようですが」
「想定内よ。何れにせよ受けた被害は大いに軽減したのだからまずまず褒められる結果であろう。
 元より我等貴族ならぬ傭兵の仕事なのだ。むしろ評価軸を情報修正するに値しよう」
 ガブリエルの言葉に『黄金双竜』レイガルテが頷いた。
 傲慢極まる彼の物言いだが、もう一人に比べれば彼は冷静である。出来る出来ないを切り分け、現実的に期待可能な想定値を正しく取っている辺り――レイガルテ・フォン・フィッツバルディという政治家の能力が伺い知れる。その彼をして(言葉でどう評していたかは別として)今回のシャウラ事件への対応は『かなり難しい仕事』という評価が下っていたのは言うまでもない。
「彼等は良く戦ってくれまして――
 あの恐ろしい……いえ、天に弓引く愚かな盗賊王に一矢報いられたのは重畳だったかと存じます」
「分かっておるわ。男爵、一先ず無事で何より」
「勿体無いお言葉にございます……!」
 ……無論、事実としてたった今、口添えをしたメランデル男爵――自身の麾下であるフィッツバルディ派が無事に奪還されたという点も彼の評価を押し上げているのだが。
「褒章は後に取らすとして……問題はこの後よ」
「その通りですわ!」
 更に過剰なストレスを抱え込んだ『暗殺令嬢』リーゼロッテがここで爆発したように声を上げた。
「この国を荒らし回る賊徒共は殲滅される所か、南部に拠点――橋頭堡を築いたと聞きます。
 あまつさえ私達への対抗姿勢を取り、国盗を口にしていると言うではありませんか。これを許せますの? 公爵様」
「莫迦な。一つ残らず殲滅せねば間違いよ」
「ええ。ええ! そうでしょうとも!
 私達の権利を奪い、名誉を汚し、――た盗賊等捨て置ける筈もございません!
 北部戦線(ここ)を何とかして下さいまし、私が自ら片付けに参ります。そのお願いを出来まして!?」

 ――た。

 その部分だけが小声になったのは恐らく無意識下のものなのだろう、とガブリエルは考えた。

 ――辱めた。

 ――私の友人を捕らえ、辱めた。

「……」
 自身も特異運命座標であり、今回救われる事になったシャーロットが唇を噛む。
「お気になさらず」
 ガブリエルの言葉を受けてもシャーロットは首を振るばかりだった。
 大凡、余人の知るリーゼロッテからは想像も出来ないような言葉にガブリエルは苦笑交じりの感嘆を隠せない。リーゼロッテは極めて頭のいい深窓の令嬢だ。些か短気で武力でモノを解決したがる節こそあれ、珍しい反応であると言わざるを得ない。あまつさえ『自ら出る』とまで言っているのだから……立場上、止めない訳にもいかないが、これは何とも――
「有能な働きには報いる必要がある。今回は助力も吝かではないがな、アーベントロートの。
 しかし、ザーバの出方が知れねば、貴様をこの場から動かす訳にはゆかぬ。
『黄金双竜』の――三世陛下の勅命を受けたわしの名においてな」
「ええ、そうでしょうとも! ですが――」
「――弁えよ。聞き分けよ。貴様はそれ程、愚かな小娘ではあるまい」
「――――」
 最上位の貴族たるレイガルテは家格、実力共に幻想貴族の筆頭であり、フォルデルマンの名代である。
 薄い唇を真一文字に結んだリーゼロッテは酷く不服そうに、歯がゆそうに、何とも言えない表情で黙り込んだ。
「遊楽伯。一先ず、最新の情報を集めよ。北部戦線、南部の盗賊王の動向も。無論、例の連中の安否もな」
「――畏まりました」
 頷いたガブリエルも又、囚われたイレギュラーズを心配する一人だった。見れば周囲の貴族も――特に彼等に命を救われた男爵や、サーカス事件や日々の仕事で彼等に関わった者は特に――何処か浮かぬ顔をしているではないか。
 無論、貴族達からすれば――特に自分達のような首脳層からすれば――『ローレットを領内に有する政治的有利』、『絶大なアドバンテージ』、『体面上は神託の守護者でなければならない』という理由から彼等に特段の配慮をすべき立場はある。
 それは間違いなく功利であり、打算であり、政治である。
 さりとて、それだけだったならば令嬢は怒るまい。黄金竜は『末端の安否』を気にしなかっただろう。
(……やはり、不思議なものですね)
 運命をねじ伏せ従える者達は――ガブリエルは口にはせず、そう感心するばかりだった。


 紛糾する幻想貴族会議――一方、その頃。


※幻想南部を舞台にイレギュラーズと新生砂蠍の間で激戦が行われました。
 イレギュラーズの善戦により多数の戦場で砂蠍は撃退されましたが、幾つかの拠点が失陥しています。
 又、何名かのイレギュラーズが帰還していないようです……
Jail Scorpion
https://rev1.reversion.jp/page/1810_Shaula2
2018/11/9~のTOP画面

<ジーニアス・ゲイム>
 蠍の動乱、鉄帝国(ゼシュテル)の不穏な動き――
 蜂の巣を突いたような大騒ぎはこの所の幻想の日常である。
 しかし物事には何事も例外というものがあるらしい。
 幻想北部、荒れた世情とは裏腹にあくまで凪を気取る商都サリュー。その中心に存在する邸宅は今夜も一分の乱れもない完璧な瀟洒さを保ったままだった。人々は口々に館の主を讃えたものだ。「流石、クリスチアン・バダンデールだ。蠍の被害も未然に食い止めたらしいし、その采配に任せておけば安心だ」と。
 そんな穏やかな屋敷の一室で穏やかならぬやり取りをする人物が二人。
 片方は噂の屋敷の主であり、もう片方は彼が特別に雇い入れた客将である。
「さて、蠍は南部を幾らか抑えたようじゃが――これは主の予定通りか?」
「思った程じゃないな。それは例の盗賊王も同じ感想かも知れないが」
 死牡丹梅泉の言葉に肩を竦めたクリスチアン・バダンデールは然程面白くもなさそうな顔をしていた。
 シャウラ事件で一斉に幻想南部を攻撃した新生砂蠍は、幻想貴族が北部戦線――即ちゼシュテルとの国境防衛ラインである――に釘付けになっているという『偶然』の利もあり、有利に事を進めると見られていたが、蓋を開けてみれば幻想側の被害は小さくないにせよ限定的に留まったという。かのローレットの活躍を以て。
「冴えぬ顔をする。自信家の主には珍しいな?」
「冗句の心算か、バイセン。しかし君は下手くそだな」
 口元を歪める梅泉にクリスチアンは続けた。
「まぁ、予想より勝たなかったのは事実だが――想定内なのも確かだ。
 こちらとしても彼等の実力は測っていた心算だし――結果は称賛こそすれ、大きく驚いて見せる程の事も無い。彼等が優秀なのはとっくに分かっている事だから」
「と、なれば?」
「まぁ、盤面はあくまで私のコントロール下にあると言えるだろうね。
 冴えない顔、とはご挨拶だが――私の顔の作りは元々こんな風でね。
 だから、そうだね。例えばアンニュイな顔をする時には演技の必要がなくて、気楽だ」
「主の方は冗句が上手いな」
 梅泉はカッカと笑い、クリスチアンも今度はそれに薄く笑んで応じて見せる。
「じゃが、どうする。『思った程は陥落しなかった』のは事実。
 幻想貴族とて無能に弱兵ばかりではない。主も含めな。
 王都に危急が迫るともなればそれは必死で守らせもしよう。
 北部戦線が不穏止まりならば、そろそろ主力が引き返し始める頃であろうよ。
 如何に蠍が『何者かの支援』を受けていたとして、国軍と正面から当たれば荷も勝とう。
 まぁ、わしはあの蠍の親玉と一戦交えられると思えば――歓迎まである、所じゃが」
 成る程、『何者か』の差配により鉄帝国の軍事活動は活発化している。
『何者か』は敢えてそれを幻想側に気取らせる事で、ここまで主力を遊兵に変えていた事は事実だ。しかして、鉄帝の主将はかの名にしおうザーバ・ザンザ。簡単に謀れる相手では無いし、このまま彼が動かぬのであれば北部戦線の主力も一部守備を残した上で南部討伐に取り掛かるだろうと推測出来る。チェス・ゲイムを嗜む『誰かさん』はそんな事に気付いていない筈は無い。
「ま、問題はない――と言っておくよ」
 梅泉の言葉にクリスチアンは指摘を問題とも捉えていない様子に見えた。
「想定内だから」と言わんばかりの態度は何時もの通りであり、この男は万事がこんな調子である。
「『そろそろ、ザーバは動きたくなる筈だから』」
 自信満々の言葉に「ほう」と眉を動かした梅泉が、不意に鼻を鳴らした。
 一瞬後に『片手で』抜刀。『片目はやはり閉じたまま』。
「――!?」
「キエエエエエエエエエ――!」
 目を見開いたクリスチアン目掛けて裂帛の一閃を振り下ろす。
 妖刀が放つ赤い軌跡――飛ぶ斬撃は身をかわしたクリスチアンの後方まで届き、部屋の壁をまさにぱっくりと割り開いていた。
「……とんでもない事をするな。下手をすれば死ぬ所だ」
「感謝せい」
 もう一度鼻を鳴らしてソファにどっかと腰掛けた梅泉は顎で壁の向こうをしゃくる。
 そこには体を上下真っ二つに分かたれた『見知らぬ使用人』の姿があった。
「うん? ゼシュテルの手の者かな。幻想側から探りを受けるとは思えないし――」
「ザーバの名で気が揺れた故、恐らくな。流石といった所か。
 尤も、主が容疑者であるというより――広く情報を集めているだけじゃろうがな」
「……おいおい、それならスパイの未帰還で立派な容疑者じゃあないか」
「知らぬわ。勝手に言い訳なり考えよ」
 興味すら無さそうな梅泉にクリスチアンは嘆息する。
 全く忠実さの欠片もない護衛だが――その武力は些か狂気的である。『戦った所で大抵の相手に負けない自信はある』クリスチアンですら気付かなかったそれを彼は一瞬で嗅ぎ付けたのだから――
「……まぁ、信頼しているよ。実際の所」
 クリスチアンが気を張らないのは梅泉がそこに居るからだ。
 ――この場所から情報が漏れる事等、この先も万に一つも有り得まい。


 密やかなるサリューの謀議――一方、その頃事態は更に加速する……!


※幻想南部を舞台にイレギュラーズと新生砂蠍の間で激戦が行われました。
 イレギュラーズの善戦により多数の戦場で砂蠍は撃退されましたが、幾つかの拠点が失陥しています。
 又、何名かのイレギュラーズが帰還していないようです……
・上記『彼等の実力は測っていた』からのリンク

<蠢く蠍>サリューの呼び声
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1005
・上記『一方、その頃事態は更に加速する……!』からのリンク

Jail Scorpion2
https://rev1.reversion.jp/page/1810_Shaula3
2018/11/24~のTOP画面

<北部戦線・動>
 幻想鉄帝睨み合う北部戦線。
 鉄帝側主将――ザーバ・ザンザの下にその報告が届けられたのは寝耳に水の出来事だった。
 帝都の宰相バイルから送られた使者と手紙は彼の強面を一層厳しいものにする情報が詰め込まれていた。
「……スチールグラード近郊の穀物庫が焼けた、ですって?」
 副官の確認に使者は頷く。
 強張った彼の表情がこの事実が鉄帝国にとって非常に重大な事件である事を示している。
 一年と国土の大半を寒冷な気候に支配されている鉄帝国は経済的な逼迫の上で成り立っている。強靭にして生命力に溢れた鉄帝国の民――多くは過酷に耐性を持つ鉄騎種である――はそれでも力強く精強な帝国を保持してきたが、その気候風土の影響から帝国は冬への備えを他所の国以上に厳重に行ってきた。越冬への準備を邪魔する事、これの盗み等を行う事は帝国では最大の禁忌と見做されている。余程の悪人でも流石に躊躇するような大罪である。
「犯人は挙がっていない、と」
「は。皇帝もこれにはお怒りで……
 宰相の指揮の下、下手人を探しておりますが――発見には到っておりません。
 勿論、帝都も相応の警戒はしていたのですが……
 正直、盗み出す、ではなく焼き捨てる、という発想が余り無かったのは否めません。
 準備は周到だったようで、鎮火も間に合いませんでした。幸いに被害に遭ったのは一棟だけでしたが――」
「ふぅむ」とザーバは思案顔をした。
 ザーバの中に余り考えたくない結論がパズルのピースのように組み上がっていく。
 何とも難しい顔をしたまま、彼は問う。
「報告を待たずしてすまんな。こちらから聞くが、現場に痕跡らしきものは残っておらんかったか?
 例えばそう――レガド・イルシオンが関与しているかのような」
「……将軍、何故それを?」
「まさか本当にあの幻想が……?」
 使者の反応に副官は目を丸くした。
 ザーバはまるで答えを知っていたかのように言った。
 無論、相手は戦争状態の続く敵国だが――幻想は貴族の国家である。彼等が鉄帝国とは違う形でだが、比較的名誉ある戦い――或いは歪んだ騎士道を重んじる事もあり、これまでにこんな搦め手を受けたという事例は無い。或いは幾ら敵国の国力を削ぐ為とはいえ、彼等の一抹の良心がそうさせるのか、最悪の事態を生じれば大量の非戦闘員にまで餓死者を出しかねない『悪辣』には流石に躊躇があったのかも知れないが……
 本当に追い込まれ、化けの皮が剥がれれば何をしでかしてもおかしくない連中ではあるが、それにも少し尚早であろうと考えられた。故に副官はザーバが何故確信を持ったかのようにそう言ったかが知れなかった。
「お察しの通り、現場にはレガド・イルシオンの関与が疑われる証拠が残されておりました。
 一部装備や道具――それらしき品物等、かなり硬い物証がある為、帝都側も尚更怒り心頭なのです」
「……で、あろうな」
 嘆息したザーバは口元を歪めて苦笑いの表情を作っていた。
 幻想広域に放った間者は何れも貴族や有力者から市井に到るまで彼等の混乱を伝えてきていた。
 例の新生砂蠍とやらは彼等を真剣に焦らせるものであり、少なくとも今回の幻想北部侵攻への好機が『幻想という国自体が仕組んだ何らかの罠』である可能性はほぼ消えていると言える。
 だが、同時に――その事実は事件の糸を引く何者かの存在をより強く彼に直感させるものとなっていた。
『動かぬ戦線への当てつけのように鉄帝国の泣き所が焼かれたのであれば、尚更』。
『鮮やかな手並みと相反するわざとらしい証拠が残されていたならば、猿芝居もいい所だ』。
 敵意を煽るという意味でこれ以上の行為は中々無い。
 その何者かが存在するとするならば、余程北部戦線に動いて欲しいらしいという事だ。
「……………」
 だが、押し黙ったザーバはこの仕掛けを単に敵意を煽るだけの狙いと読まない。
 それだけ用意周到な『悪辣』ならば被害をもっと拡大する事も出来ただろう。
 だが、通常の警戒に焼かれたのは一棟。
 厳重警戒になった今、同じ手段は取るまいが――
 次は水源に毒を流す位の事はザーバにさえ思いつく。更にその先は? その次は?
 考えられる危険は、悪意は山とあり――相手が手段を選ばないならば、全てを塞ぐ事は困難に思える。
 要するにこれは何者かの脅し、或いは誘いなのだ。次はもっと酷い事になるぞという――
 ザーバは相手の仕掛けが『自身の知力・判断を計算に入れたもの』とも読んでいた。
「……………サリュー、か」
「……は?」
「いや、何でもない」
 戻ってこなかった間者の事を考えて自然とザーバの口を突いて出た名前だった。
 任務柄、全員が戻ってこない事はままあるのだが――鉄帝国にすら知れた『かの天才、クリスチアン・バダンデール』の名前がどうも気に掛かった。彼の関与は知れないが、鮮やか過ぎる一連の繰り糸は決して凡百には紡げないからだ。
 ……無論、それは単なる直感であり――確実な証拠を帯びた話ではないのだが。
「……帝都へ伝えよ。これから俺が書き出す全ての項目を最優先、最上位の警戒に当たれと。それから――」
 ザーバは眼光鋭く言った。
「――北部戦線はこれより大きく動く事になるだろう、と」
「……っ!」
 全ての判断を帝都に委ねられた将帥の言は、極めて重い。
 大山が動く。その全身に大いなる怒りと絶えない義務を誇りを背負って。
 罠があろうと踏み壊す。全ては帝国の――そして臣民の為、矜持にかけて動き出す。
(思い通りになると思うな。そのやり口を認めると思うな。
 俺は帝国を乱す者を、この卑怯者を絶対に許さぬ。
 全ての糸を千切り、仕掛けを破壊し、全ての暴挙に一つ残らぬ報いをくれてやろう――!)
 その決意を決して口にする事は無く、『不本意な好機』にも気を滾らせる。
 彼こそ、黒鉄(クロガネ)の鉄騎将――帝国最大にして最強の守護神ザーバ・ザンザ。
 不敗不倒の要塞が、今、戦いの時を迎えようとしていた――


※北部戦線が騒がしさを増しているようです。
 幻想南部を舞台にイレギュラーズと新生砂蠍の間で激戦が行われました。
 イレギュラーズの善戦により多数の戦場で砂蠍は撃退されましたが、幾つかの拠点が失陥しています。
 又、何名かのイレギュラーズが帰還していないようです……
2018/11/26~のTOP画面

<キング・スコルピオ>
 北部戦線激突、ね。
 邪魔な貴族軍だけじゃなく、ローレットの力も一部殺いでくれるとは。
『いけ好かねえ協力者様』に感謝しておく所かな?

 ……さァて、もう是非もねぇ。これが本番の始まりだぜ。
 蠍を甘く見た奴――俺を侮った奴は必ず殺す。
 一先ず、王都を陥落して――例のローレットの吠え面を見てやろうじゃねぇか。
 行くぞ、テメェ等――気合を入れな!


※北部戦線で幻想・鉄帝が激突しました!
 時同じくして南方から『新生砂蠍』が王都目指して進軍を開始しました!
大規模連動シナリオ発生

ジーニアス・ゲイム
https://rev1.reversion.jp/page/geniusgame
2018/12/12~のTOP画面

<北部戦線遭遇戦>
「おうおう、ようやく『青薔薇』のお出ましか。
 こりゃあいい。不愉快な戦争も、少しは晴れたわ」
「戯言を! その薄笑いを永遠に凍り付かせて差し上げますわ!」
 古来より、戦争において最も効率的な勝利を望むならば『将を取る』は定石である。
『暗殺令嬢』リーゼロッテ・アーベントロートの――麾下部隊『薔薇十字機関』の得手が『暗殺』であるならば、鉄帝国の守護神『塊鬼将』ザーバ・ザンザが前線に出たこの瞬間こそ、まさに彼女等の真骨頂、最適手を打つ瞬間だったと言える。
「そう猛るな。精々楽しめ」
 もう一度「戯言を」と薔薇を激昂させたザーバは、緒戦より幻想の主力部隊を一方的に押し込んでいた。
 だが、幻想貴族軍は老獪である。リーゼロッテとザーバのこの遭遇は偶然ならぬ必然――少なくとも幻想側の策の及んだ結果と言えた。主力部隊の損耗を減らしつつ前線を下げる事でザーバを深く引き込んだ『黄金双竜』レイガルテ・フォン・フィッツバルディの采配指揮は、幻想では全く珍しいとしか言いようのない『二大巨頭の共同作業』の意を示す。
 リーゼロッテの周囲には何れも手練の暗殺者が十名。ザーバ側の数より多い。
 配下が配下を抑える動きを見せ、戦場の『最大武力』同士が激突するのは必然であった。
「仕留めて差し上げますわ――そうやって、無事に戻れると侮っていなさいな!」
 黒のドレスがふわりと花開く。小柄な体躯は獰猛な獣よりも尚疾く、一瞬その姿を『ブレ』させたリーゼロッテは、あらぬ死角からザーバの巨体――その首元を掻っ切らんとする。
「侮って等おらぬとも。鉄帝国軍人にとって、これ以上の時間が無いだけよ!」
 宙空に赤い軌跡を引いた『爪痕』を軽く躱し、ザーバはリーゼロッテ以上の気を吐いた。
「お前こそ、相手をきちんと覚えておけ。
 今日の相手(このおれ)は『慣れた暗殺(おあそび)』で済む程、甘くは無いぞ!」


※戦況が更新されています! 南部・北部両戦線の戦いが激化しています!
ジーニアス・ゲイム2
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ジーニアス・ゲイム3
https://rev1.reversion.jp/page/geniusgame03
ジーニアス・ゲイム4
https://rev1.reversion.jp/page/geniusgame04
2018/12/15~のTOP画面

<???>
ああ、いいじゃねェか。
心地いい『憤怒』の匂い。まさに闘争の――戦争の醍醐味よ。
木っ端共がどうしようと関係ねぇが、あのスキンヘッドは面白ぇ。
さァて、折角だ。軽く遊びに行こうかね――


※とても嫌な予感がします……
(立ち絵は『憤怒』のバルナバス)
ジーニアス・ゲイム5
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<北部戦線・収束>
「南部戦線で新生砂蠍の潰走が確認されました。また、陛下もご無事の様子。
 ローレットがやってくれたようですが――こちらも素晴らしいお手並みでした」
 厳格な面立ちに気難しい表情を貼り付けたままの『黄金双竜』レイガルテにそう述べたのは、同じく流麗なその美貌に安堵と疲労の色を貼り付けた『遊楽伯』ガブリエルだった。
 幻想南部――『新生砂蠍』の挙兵を発端に始まった一連の動乱は、レガド・イルシオンの長い歴史の中でも特筆するべき動乱となっていた。国家重鎮たる貴族の彼等も今回ばかりは至極真面目な国防の対応に追われ、不休の指揮対応に努めていたという訳である。
「ザーバがローレットを引き込んだと聞いた時には驚きましたが……
 結果としてほぼ痛み分け――ですが、幾分かは我が国の側に有利があったようですね。
『彼等の活躍』もあり、防衛線は保たれました。
 尤も、ザーバを抑えられなければ、敗北は必至だったでしょうがね」
 ガブリエルの言葉はレイガルテへの報告であり、称賛であり、婉曲な皮肉と試しを含んでいた。
「これも――ザーズウォルカ殿の奮戦あっての事。
 幻想最強の騎士の名は伊達ではありませんね。それにしても流石だ。『リーゼロッテ殿がザーバを抑えつけているその間に、主力たる騎士団を用兵する公爵閣下の采配はお見事でした』」
「ふん」
 ガブリエルが何を言いたいかを鋭敏に察したレイガルテはその言葉を鼻で吹き飛ばす。
「此度の動乱を沈めたのはあくまでフィッツバルディ家――つまりはわしとその伴の用兵よ。
 物事には優先順位と道理というものがあろう。猪武者の小娘はまだまだ青いわ」
 暗殺令嬢のあの憤りを見れば、責めるも酷かも知れない。
 まさに一枚上手という事だろう。
 リーゼロッテはザーバを引き込み、後は任せるというレイガルテの策に一もニも無く飛びついた。
 レイガルテは彼女にそんな餌を出し、配下の黄金騎士をもって最大の戦果を横から掠め取った格好である。
「それで、貴様の方も抜かりはないのであろうな?」
「当然です。北部戦線が動いた原因――
 つまり、スチールグラードで起きた穀物庫への破壊工作の情報は掴んでいましたからね。
 帝都へ使者を派遣し、我がバルツァーレク家の名の下に調査の約束と人道支援を申し出ました。
 戦況と合わせて冬を迎えた鉄帝国には厭戦気分も広がりましょう。故にこれでおしまいです」
 戦争とは外交の一手段であり、外交は戦争の一手段でもある。
 ガブリエルの立板に水を流すかのような説明にレイガルテは頷いた。
「ザーバを潰走させる事はやはり叶いませんでしたが……
 北部戦線も間もなく収束するでしょう。しかし、恐れながら閣下。一つだけ確認をしたく存じます」
「申してみろ」と顎をしゃくったレイガルテにガブリエルは表情を引き締めた。
「閣下は彼女を捨て駒にする心算で、作戦立案を?」
 少なからぬ猜疑と、僅かばかりの憤慨を込めたガブリエルの言葉にレイガルテは苦笑した。
「馬鹿な。それこそ馬鹿な話だ。
 ザーバと小娘、共倒れしてくれるなら万歳よ。しかし、彼奴ならこの程度の仕事は果たせよう。
 小賢しい事を考えるな、遊楽伯。わしは人物の好悪を能力評価に加える愚者ではないわ」
 ガブリエルを一喝したレイガルテの物言いは政敵への不可思議な『信頼』を含んでいた。
 かの鉄帝国の守護神を相手にしても、そう滅多な事では死にはすまいという何とも全く素直ではない――
「それはあのローレットにしても同じ事よ。連中はわしの期待に応え、ほぼ満点の回答を出したではないか。  貴様はそんなわしの鑑定眼を疑うのか? 遊楽伯」
「……それを聞いて安心しました」
「くだらん」と嘆息したレイガルテだが、心底気分を害した様子は無かった。
 ふと思いついたようにガブリエルに尋ねる。
「それで、小娘はどうしたのだ」
「……彼女は暫く我々の前――少なくとも閣下の前には姿を見せないでしょう」
「もう戻ったのであろう?」
「ええ。散々な格好でね。とんでもない気位の持ち主です。
 彼女は傷んだ格好を人前に晒せる程、素直な女性ではありますまい――」
 今回ばかりは流石に相手が悪かった。
 襤褸になった青薔薇を見たいと思うは身の毒だ。
 見たいだろうが、見ぬが華よと。叶わないのは常である――


※戦況が更新されました。『新生砂蠍』が潰走し、北部戦線が幻想有利で終結しました!
<スチールグラードにて>
「……成る程、ね。前線の話は大体分かったぜ」
「気楽なもんだのう、お前は」
「気楽なモンか。例の事件でどれだけ苦労したと思ってる。
 一時期は帝都だって物凄い荒れようだったんだからな――」
 ゼシュテル鉄帝国帝都『スチールグラード』――
 帝国の主張たるその王城で珍しい二人がそんなやり取りをかわしていた。
 一人は鉄帝国の現皇帝にして『自動的に暫定最強と呼ばれる』ヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ。もう一人は、つい先日まで北部戦線で獅子奮迅の戦闘ぶりを見せた『軍神』ザーバである。
「ま、アンタの報告なら間違いない。俺としても幻想の仕事にしちゃあ、あんまり臭いからな。
 元からそう本気にとっちゃいなかったが――ポーズは重要だ。
 バイルの爺さんなんて噴き上がって、怒っちまって大変だったからな。
 アンタが前線で暴れて国民のガスも多少は抜けただろう。
 そこへ例の遊楽伯爵からの使者が来て、今回は無事手打ちになった訳だ。
 アンタとしても久々の帝都は懐かしくていいだろう?
 北部戦線からアンタを動かせるなんてのは、こんな時以外中々無い」
「まぁ、な。戦争は吝かじゃあ無いが、今回の仕掛け人は恐らく碌でもない。
 乗っかってやるのは気が進まなかったのは事実だし――主戦論が収まったなら、それに越した事も無い。
 気楽を撤回する心算は無いがな。まぁ、お前もたまには『皇帝陛下』らしく仕事をしろ」
 ザーバの言葉にヴェルスは肩を竦めた。
 見ての通り、ザーバには殆ど臣下の礼が無い。帝位が正当な決闘で決まる、等という実に馬鹿げた仕組みを頑然と貫いているゼシュテルにおいて意味が薄いという事もあるが、この二者間は気心が知れていると言った方が正しい。自身が帝位を望まないザーバからすれば『気に入らぬ者』が皇帝になるよりはヴェルスのままでいいし、ヴェルスはヴェルスで目の前の軍神が自身をも圧倒的に上回る国家の大英雄である事を理解している。酷い気安さは互いへの信頼とリスペクト――もっと単純に言うなら『気が合う証明』のようなものだ。
「まぁ、戦争が終わったのはいいとして――」
 ヴェルスは少しだけトーンを落として言う。
「珍しいな、アンタが少しでも押し負けるなんて。
 相手はどんな手品を使ったよ。それとも冗談のような新兵器でも出てきたか」
「ああ」
 北部戦線での戦いは最終的には若干――僅かながら幻想側の有利で終了した。
 ザーバの報告を受け、元より長い戦争を意識していなかったヴェルスではあったが、帝都の彼からすればザーバ率いる鉄帝国軍が僅かでも幻想側に遅れを取ったというのは俄かに信じ難い事実であった。
「『幻想の青薔薇』の仕業かい」
 問うヴェルスに『かすり傷』を叩いたザーバは「そりゃあ子猫に噛まれた程度だな」と一蹴する。
 ……本人が聞いたらさぞかし怒るだろうが、さて置いて。
「じゃあ、双竜の黄金騎士か」
「確かに流石の腕前だったようだわ。尤も俺は今回、直接相対していないがな」
「否定のニュアンスだな。じゃあ、やっぱり――」
「――勿体をつけよって。そう、例のローレットだろうよ」
「へぇ」
 北部戦線で鉄帝、幻想双方に与したローレットが、何れも素晴らしい活躍を見せたのは記憶に新しい所だ。
 しかしながら両サイドに与した彼等のほんの僅かな差が存外に大きく戦況を左右したのにザーバは気付いていた。無論、リーゼロッテやザーズウォルカの名前を出したヴェルスのそれは言葉遊びで、ザーバが指摘した通り彼もまた報告書よりそれを察していた。
「この間会ったのは何時だったっけ。ラド・バウだったかな。
 いやはや、ラド・バウでもニュースターが産まれつつあるようだし、なかなかどうして。
 いや、実に面白い連中じゃあないか?」
「うむ」と頷いたザーバにヴェルスは最後の言葉を続けた。
「ま、いいさ。色々考えるのはまた先の話。
 アンタもそれなりに歳なんだ。怪我もしてる。たまにはゆっくり休みなよ。
 いや、まぁ――本気のアンタとやって相手が生きてたって言うなら、大した子猫だとは思うけどさ」
 間もなくシャイネン・ナハトがやって来る。
 全国的な休戦の約束された期間に戦が起きる事は無い。
 久方振りのスチールグラードの光景に目を細めるザーバは「それもいいか」と珍しく表情を緩めていた。


※『新生砂蠍』が潰走し、北部戦線が幻想有利で終結しています!
<『凶』の男と傭兵達>
 美しい白銀の翼をはためかせ、一人の女が舞い降りた。
 日差しから逃れるように、薄布を目深にかぶる。
 砂漠の顔色は気まぐれで、過ごしやすいとはとても言えないが――これがラサの冬だ。
 もっとも夏であればそもそも『飛ぶ気にすらなれない』訳だが。そんな事はさて置いて。
 彼女が踏み入ったのは小さな酒場である。
 雑然とした空気を切り裂くように鋭い視線が奥の席から投げかけられた。
 獣種の男三人の存在感は何処にでもある酒場の風景を別の物に変えるかのようである。
「待たせたな。まずは詫びよう」
 女――竜胆・カラシナは涼しげに言うとカウンターからショットグラスを受け取り、奥へと歩んでゆく。
「いいや、今始まった所だぜ」
 答えたジョニー・マルドゥ等の前には既に十数本の空瓶が並んでいた。
「練習をな。しておったのよ」
 そう続けた『白牛』マグナッド・グローリーが豪快に笑う。
「聞かせろ。竜胆」
「ああ。大方の予想通りで間違いない」
 腕を組む『凶』ハウザー・ヤークの問いに、カラシナが答える。
「成る程ね。食い応えがありそうで結構じゃねぇか」
 ハウザーは不敵に笑い杯を煽った。
「まあ座れ竜胆。落ち着かん」
「ん? ああ」
 カラシナも小さなグラスをひと息に煽ると、椅子に腰を下ろす。
 今日、この小さな酒場に集まった四人はそれぞれラサの傭兵団の代表である。
『凶』のハウザー・ヤークは言うまでもなく、それ以外についてもひとかどに名前が知れている。
 ラサ『傭兵』商会連合の歴とした一員、重要なるパーツの一という訳だ。
 そんな彼等の議題は幻想から落ち延びてきた『新生・砂蠍』の残党共の討伐についてであった。
 敵がどこに潜伏しているのか。
 数はいくらか。構成はどうなのか。
 そういった戦略的情報の交換と、子細な協力体制の構築が行われているのである。
 傭兵にとってこの案件は国内の治安維持に相当する。外貨は獲得できない。要するに『儲からない仕事』ではある。だが元はと言えば『砂蠍』は彼等の獲物であった。他国に逃してしまった経緯もあり、話題への熱量は高いのは言うまでもない。かの砂蠍は彼等にとっても仇敵であり、煮え湯を飲まされた回数はお互い様。損得以上の動機は十分所か、十二分さえ超えている。
「ま。馬は馬方、蛇の道は蛇だな」
「なんだ『白牛』の。今日に限って奥手じゃねえか。腰にでもキてんのか?」
「がっはっは!」
 茶化したハウザーに、マグナッドはもう一度豪快に笑った。
 カラシナの情報によれば砂蠍残党共の中に、魔種が紛れ込んでいるらしい。
 いかに勇猛な傭兵とはいえ、『原罪の呼び声』を持つ魔種は戦いたくない相手であることに違いはないが。
 それだけでは彼等が剣をとらない理由にはならない。第一、生半な戦士など認めぬ傭兵達が、切った張ったの荒事を余人に委ねるなど、到底あろう筈のないことでもある。
 ならば何故――その答えは恐ろしい程に簡単(シンプル)だ。
「見たくて見たくて仕方ねえって顔だぜ」
「違いない!」
 つまり彼等の目当ては『噂のローレット』そのものでもあるという訳だ。
「細けぇこたあ、後で決めりゃいい。おい姉ちゃん!」
「はいはい、いつものね」
 傭兵達の合意は幾つかの思惑を孕む。
 餅は餅屋、乗りかけた船に乗せちまえ、或いは見物半分、面白半分。
 ハウザーに言わせれば「キングが討ち取れねえなら、そんなもん。俺が出る程の事って言えるかよ」。
 もっともその言葉は『実際にキングを討ち取った連中』への負け惜しみも半ば含んでいる。
 全くもって特異運命座標というのは『総ゆる運命を吸引する』。まさに特別なのだろう。
 傭兵が誰ぞに傭兵稼業を『依頼』するのは稀有な機会ではあるのだが――
<Butterfly Cluster>
砂蠍残党討伐シナリオ群が発生。
https://rev1.reversion.jp/page/butterflycluster
<ハウザー・ヤーク>
ああ、全く、面白くもねぇ。
何が籤引きだ。ふざけんな。馬鹿にしやがって!
後方指揮、何てのはそもそも俺様に向いてねぇんだ。
そもそも必要かよ、そんなもん!

……………まぁいい。至極不本意ではあるが、砂蠍の連中にトドメを刺す機会には違いねぇ。
あの野郎共、これで失敗なんざしやがったらタダじゃ済まさねーから、覚えとけよ。


※砂蠍残党の討滅依頼がラサ傭兵商会連合から届いています!
 尚、傭兵団長達の厳正な抽選(くじ引き)の結果、ハウザーが後方指揮役に選ばれたようです……
<一件落着>
 一連の蠍事件の――或る意味での決算。魔種との戦いは熾烈を極めた。
 イレギュラーズの活躍を以て、アルダハ遺跡に落ち延びた蠍残党は駆逐された。
 戦いの事等知らぬ、存ぜぬ。まるで何事もなかった様に、砂漠には冬の日差しが降り注いでいた。
 戦場は別れが伴う。しかし、残ったのは悲しみだけではない、心の救済がそこにはあった筈。
 イレギュラーズは一抹の寂寥と誇りを胸に――アルダハ遺跡を後にする。
「よう! イレギュラーズ。ご苦労さん。まぁ、俺様程じゃないが、お前等もやるじゃねぇか!」
 やがて辿り着いたラサでは、ハウザー達がイレギュラーズを労うだろう。
 疲れた体に曖昧な笑みを貼り付け――まぁ、まずは、『癒やし』を一杯。
 祝杯をあげようではないか。
 イレギュラーズは間違いなく、そう。間違いなくやり遂げたのだから。
 次の冒険へと繋がる一歩を、絡みつく蛇のような運命を断ち切る一打を。
「乾杯!」
 どうせ嫌だと言っても付き合わせる連中に決まっている。
 何より連中の顔が「話を聞かせろ」と物語っているではないか。
 嗚呼、嗚呼。それならば――毒を喰らわば皿までだ。
 お釣りが来る程に、どれだけ大変だったか聞かせてやろう。精々、傭兵も感謝したまえ。
 今日ばかりは一休み、きっとこんな時間も悪くはなかろう。
※新生砂蠍の残党が壊滅し、ラサで小さな祝勝会が行われたようです。

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