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シナリオ詳細

<春告げの光>革命者たちの行進

完了

参加者 : 36 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●才なき者に幸あれかし
「「我々の勝利に、乾杯!」」
 グラスを掲げるのはギアバジリカに身を寄せていたたちだ。
 ジェームス・ハンソン、フランクリン・チェンバーズ、ヘルベルト・メルツ、ヴィクトリア・ヴォルフ、エミリー・ハフマン――伝説に語られようもない、ともすれば『一般人』と呼ばれる人々が肩から提げたアサルトライフルを背に回し、グラスの中身を飲み干すのだ。
 それは人民の勝利であり、『普通の人々』が勝ち取った未来の形であった。

 鉄帝国を巻き込んだ動乱、あるいは狂乱。突如現れた冠位憤怒バルナバスが皇帝ヴェルスを破ったことで始まった群雄割拠は、新皇帝派とそれを打ち破らんとする各派閥の合同軍による強烈な内乱という形に発展し、そして最後は巨悪を粉砕するに至った。
 そんな戦いの一部、新皇帝派の軍部を牛耳っていたグロース・フォン・マントイフェル将軍とそのグロース師団との戦いは、立ち上がった人民軍と各派閥及び無所属イレギュラーズたちによる奮闘によって勝利し、将軍を撃破することに成功した。
「皆さん、今日は奮発しますよ! 食べて呑んで、祝いましょう!」
 誰かさんを見習ってかグラスを掲げ、happyに笑ってみせる。
 彼女の名はアミナ。
 ただのアミナ。
 才なき者の代表だ。

●勝利と行進
 ギアバジリカの内外はお祭り騒ぎだ。
 戦いを終え、怪我人の治療もそこそこに怪我人すらもその勝利を喜びあちこちで散発的に開かれたパーティー気分に混ざっているのだ。
 『オリーブのしずく』クラウディア・フィーニーやブラトン・スレンコヴァたちも同じである。
「しかし、本当にあのグロース師団を打ち破っちまうとはな」
「皆で力を合わせることができたのです。できないことなんて、きっとありませんよ」
 彼らはギアバジリカ内にある聖堂にて、シャイネンナハトの質素なパーティーが嘘みたいに思えるほどハッピーな空気で酒と焼き菓子を振る舞っている。
 そこへしれっと混ざったイスカ・シヴァトリシューラが焼き菓子をサクサクしながらベンチに座った。
「フツーの人間が魔種の軍勢を破る、かー。この世もどうかしちゃってるのかもね。ある意味」

 ギアバジリカの外に広がる難民キャンプには、合同軍として各派閥から駆けつけた仲間たちも集まっている。
 イアソン・マリー・ステイオーン率いる独立複合民族アルゴノーツの面々、それにフランセス・D・ナウクラテー。彼女たちは北辰連合のパーティーから一度抜け、こちらに遊びに来たクチだ。
 かと思えば、鳳自治区(通称鳳圏勢)から集まった面々も混ざってなんだかカオスなことになっていた。
「酒じゃ酒じゃ、勝利にはそれこそ似合う」
「あまりハメを外しすぎてはいけませんよ?」
「勝利を祝うは次の勝利を求むるなり――今日は、良いのではないかね?」
 かと思えば、アーカーシュからは九頭竜 友哉が商会がこっそりため込んでいた物資をぶっ放しパーティーに華を添えている。
「ま、祝う場に酒がないってんじゃあな」
 一方で帝政派や首都近隣からはアントーニオ・ロッセリーノが備蓄を開放し、キャトル・ミューティの冷凍保存された保存ミルクも合わせてジェイビー&ホランドたちがせっせと運んでいた。
「こんなに解放して後のことは大丈夫なのか?」
「『後のこと』を考えるのは政治家の仕事なのだよ。民は今をこそ楽しむべし、さ」
「そういうことです。さ、牛乳をどうぞ」
 そんな空気にあてられて、カルネはぼうっと空を見上げていた。
「これが『勝ち取った自由の空』……か」
 飛び入り参加はザーバ派やラドバウからも少なくない。
 ギベオン・ハート、ディートリヒ・フォン・ツェッペリン、ダヴィート・ドラガノフたち。そしてウサミ・ラビットイヤーだ。
「言われて見ればだが、この後の鉄帝はどうなっていくんだろうな」
「俺たちが考えることか? どのみち、いいように転がるだろうさ」
「スクラップ&ビルドというやつですわね!」
「そういうのは偉い人に任せて今を楽しむぴょん!」
 なにはともあれ!
 皆は笑顔でグラスを掲げ、勝利の余韻を味わう時だ。
 さあ、あなたも。

GMコメント

 グロース師団との戦いに勝利し、鉄帝の未来を勝ち取った者たちのパーティーに参加しましょう!

■■■プレイング書式■■■
 迷子防止のため、プレイングには以下の書式を守るようにしてください。
・一行目:パートタグ
・二行目:グループタグ(または空白行)
 大きなグループの中で更に小グループを作りたいなら二つタグを作ってください。
・三行目:実際のプレイング内容

 書式が守られていない場合はお友達とはぐれたり、やろうとしたことをやり損ねたりすることがあります。くれぐれもご注意ください。

■■■グループタグ■■■
 一緒に行動するPCがひとりでもいる場合は【グループ名】といった具合に二行目にグループタグをつけて共有してください。
 大きなグループ内で小さなグループを作る場合はグループタグを横並びで二つ書いておくとよいでしょう。
(例:【大グループ】【小グループ】)

■■■パートタグ■■■
 以下のいずれかのパートタグを一つだけ【】ごとコピペし、プレイング冒頭一行目に記載してください。

【ギアバジリカ】
 ギアバジリカの聖堂には革命派の面々が集まってパーティーが開かれています。
 戦いも終わり色々と潤った物資を今日ばかりはと開放し、酒も焼き菓子もたんまりといった様子です。
 集まっているNPC:アミナ、ヴァルフォロメイ、クラウディア、ブラトン、イスカ、ムラトらクラースナヤ・ズヴェズダーの面々、(ダヴィートは革命派ではありませんがこちらに顔を出しています)

【難民キャンプ】
 外では難民たちが配られた物資でパーティーを開いています。
 対グロース師団戦で協力した各派閥の面々が顔を出しているようです。
 集まっているNPC:イアソンらアルゴノーツ勢、フランセス、鳳圏勢のネームドたち、九頭竜友哉、アントーニオ、キャトル、ジェイビー&ホランド、カルネ、ギベオン、ディートリヒ、ウサミ

  • <春告げの光>革命者たちの行進完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2023年04月19日 22時06分
  • 参加人数36/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 36 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(36人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
シラス(p3p004421)
超える者
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
時任 零時(p3p007579)
老兵は死せず
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
夜式・十七号(p3p008363)
蒼き燕
三國・誠司(p3p008563)
一般人
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
結月 沙耶(p3p009126)
怪盗乱麻
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
優しい白子猫
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士
幽火(p3p010931)
君の為の舞台

リプレイ

●難民キャンプに春が来た
(今は――僚友を失った今は、何も考えず手を動かしていたくて。できれば、ひとりで)
 亡き者を想い、『本と珈琲』綾辻・愛奈(p3p010320)はタマネギを切っていた。目元を拭うのはタマネギと煙のせいだと言い張って。
「大丈夫、私は元気です。怪我だって、大きな怪我はありません。
 だって、元気でなければ、彼女に申し訳が立たないでしょう?」
 もしかしたら、自分もか弱いニンゲンさんだったのかと、思いながら。

「あ、いたいた! やっほーカルネ! 一緒にカンパーイ!しようぜ!
 て言っても、オレお酒飲めないんだけどね!」
 グラスを掲げ、駆け寄ってくる『元気の盾』清水 洸汰(p3p000845)。
 カルネはそんな彼にカップをかかげ、元気よく乾杯をした。
「戦いお疲れ様。ちゃんとかーちゃんにサヨナラを言えたとこ、カッコよかったと思うよ。
 いつかもっともっとカッコよくなって、その姿を見せてやろーな!」
「うん、洸汰も。あのときは――」
 カルネと語らいながら、洸汰は自分の家族を思い出していた。
(……オレも負けちゃいられねーなー。
 ……とーちゃん、かーちゃん。オレ、こっちで元気にやってるよ。
 皆が笑顔を失わないように、皆が笑う世界を守れるよう、オレ、これからもいっぱいいっぱい頑張るから。
 ……まだ、オレは、そっちには行けねーけど。見ててくれよな!)
 『一般人』三國・誠司(p3p008563)はそんな二人の元へと歩み寄り、手にしていたカップを小さく掲げた。
「勝ち取った空、自分で選択した明日。
 まぁでも、これもカルネくんが変わっていったから迎えられたのかもね。
 お義母さんなかなかヘビィだったけれど、そういやちゃんと冬越せたんかな。
 あんだけ元気だったから平気か、ははっ」
「状況は聞いてないけど……そうだね、あれだけ元気に迎え撃ってたくらいだし、物資は豊富だったんだと思うよ」
 苦笑するカルネに、誠司もまた苦笑する。こんな表情、『あのとき』は出来なかった。
「それにしてもカルネくんと出会ってから結構立って思えばこんな遠くまできちゃって。
 僕自身、こんなになにかの節目に立ち会えるとも思ってなかった。
 カルネくんと一緒にいられたから、いろんなものを見ることができた、知ることができた。それに何より楽しかったしね」
「誠司……」
 いつもの台詞を、いつもと違う穏やかな表情で呟くカルネ。
「一緒にいて楽しかったよ。これからもよろしく」
「うん、こちらこそ!」
 二人は笑顔で握手を交わすのだった。
 そこへ、『壊れかけた道化人形』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)がやってくる。
「へへ、結構上手に撮れてるでしょう? 今日はいーっぱい写真を撮るんだ!」
「わ、すごい!」
 スマホでぱしゃぱしゃ写真をとりまくっていたイーハトーヴに、カルネが驚きから目を見開く。
「あっ、リュカシス発見! ジェイビーとホランドも!」
 見れば確かに『絆爆発』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)が友達と一緒にはしゃいでいた。
「ジェイ! ホリー! 勝ったね! やったね! パーティーのお肉もらってきた。たくさん頑張ったし、たくさん食べよ!」
 そして、どこか照れるようにリュカシスは二人に向き直る。
「……あのさ、グロース戦で二人が来てくれたとき、ボクは絶対勝てるって思った。いつもありがと!」
「おいおい今更なんだよ」
「えへへ、照れるなあ」
 照れくさそうにする二人、というより三人。
 そこへスマホを翳したイーハトーヴが歩み寄る。
「皆、お疲れさま。ホランド達はちょっぴり久しぶりだね。また会えて嬉しいな」
 今度は四人で照れ合ってから、自撮り棒を伸ばした。
「じゃあみんなでパワーのポーズ! せーの、イエーイ! パワー!」

「おお、賑やかですね。皆さんボロボロですが良い顔をしていらっしゃいます。
 魔種の脅威が消えてもこれからがまた大変ですが……この鉄の地で生きる民は強いですから、きっとすぐに元気になる事でしょう」
「そうだねえ。バルナバスとの戦いは終わったとはいえ、まだまだこの国には乗り越えないといけない問題は山積みで、考えないといけないことは沢山ある。
 でもまぁ、今はとりあえず勝利を祝って食べて飲んで騒いじゃおう」
 『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)と『老兵は死せず』時任 零時(p3p007579)がカップを掲げあい、それをぶつけた。
 あれだけ閉じていた鳳圏の民たちも、今やすっかり鉄帝国民である。ある意味で、『あの幕引き』は良いことだったのだろう。
 零時は手を止めていた料理を再開し、迅は挨拶回りに歩き出す。挨拶という名のお酌マラソンだが。
「うおー! 突撃!」
「突撃?」
 そこへ、食材となるシカの肉を運んできた『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)とギベオン・ハートが到着した。
 真っ先に振る舞うのはギベオンが住んでいた村の人々だ。
「いっぱい食べたいけど難民の人たちの分は大丈夫かな」
「もう冬も越しましたし、この通り肉も取ってきたのだから問題ナシですわ」
 笑顔でギベオンがそういい、人々に料理を配り始める。
 守った……そして、共に戦った人々へ。
(それにしてもみんなすごく生き生きしてる。
 力はなくても国を守るために立ち上がった人たち。
 強い誰かが国を、人を守り戦いをなくすっていうのは間違ってなかった。
 でもそこに生きる人たち、守るべき人たちのことを見てなかった。
 そこが間違いだったんだ。グロース)
 心の中で呟いてから、ギベオンに問いかけた。
「これからどうするの。こっちに残る?」
「そうですわね……もう、しばらくは」
「そっか」
 また何かあったら呼んでね。そう呟くオニキスに、ギベオンは微笑みで応えたのだった。

「せっかくだからボクも屋台を出すのだ。ただ配給するよりも、お祭り感が出るよね!」
 でっかく『セララ焼き』と書かれた骨組み屋台をたてて、人形焼きのセララバージョンみたいなものを配りまくるセララ。
(鉄帝は勝利したけど、復興でやることはいっぱいだよ。
 その時にはきっと、難民の皆が建物を直したり畑を作ったり大活躍するはずなのだ。
 だからここでしっかり食べて飲んで、やる気を出して貰わないとね)
 その横では『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)がせっせと料理を作り続けている。そう、屋台に見えてこれは配給ブースなのだ。祝賀会を彩るための出しものとも言える。
(難民達には、革命派の足枷になって貰い続ける必要があった。
 革命派の物資を消費し続け、難民を守る為に戦力を割かせ、革命派が単独で攻勢に出られない様に。
 自衛力をつける為、教練したのも、敵に「口減らし」されては困るからだ。
 革命派内の急進派を、先走らせない為の策とは言え、我ながら、吐き気のする話しだ。
 難民達に、生き延びる道を確保したい故でもあったが・・・利用した事実の前では、言い訳にしかならんだろう。だから、せめて……)
 きっと一嘉の心は彼らに通じたことだろう。なぜなら、彼らはもう春めいた笑顔に包まれていたのだから。

(敵の技術でも、受け継ぎ伝え続け、発展させる、彼らの生きた証、ってわけではないけど、技術は途絶えなければ彼らの技術の中で生き続ける……まぁ、有効活用させてもらうわ)
 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)はあの事件のあと、残骸を回収し技術向上のために役立てようとしていた。
「後は難民キャンプの内情と、及び鉄血領の被害だわね
 戦後復興は大変だからね、早めに情報を纏めて商人達に売り込めば金の匂いに釣られて寄ってくるでしょう。
 問題は国庫なんだけど、大丈夫かしらね?」
 などと言っていると、幽火(p3p010931)が即席のステージに上って大道芸を披露していた。
「これからの「戦い」には首を突っ込んでいくよ。そう、復興っていう戦いにね。ま、その前に英気は養わないとね!」
 笑顔で披露するカードマジックに皆の表情はパッと明るく咲いていく。
「ちょっとでも笑顔が生まれれば芸人としての戦いは大勝利さ。
 さあ、明日からも頑張ろう!」
「終わりではなく、始まり、で。皆さまが掴み取った、勝利と未来が此処にあるのです、ね」
 『想いを背負って』メイメイ・ルー(p3p004460)は配られた飲み物をちびちびしてから、熱心にお料理作りを再開していた。
「まだ、まだ、ありますから、ね。たくさん、食べて、たくさん、飲んで」
 メイメイの作った料理に子供達のみならず大人達も幸せそうな表情を浮かべている。
 この表情が、風景が、自分達の勝ち取ったものなのだ。
「明日も、明後日も、その次の日も。
 それぞれが、それぞれの暮らしに戻っても。
 人が、人らしく、ずっと「普通」が続いていくように、祈ります」
 そんな風景のなかに、アントーニオたちはいた。
「芸術は心を豊かにする素晴らしい営みだが、ある意味では無力だ。
 ……音楽じゃ腹は膨れないからな。
 生きるには結局、衣食住と安全を確保する必要がある。
 この動乱にアントーニオさんのような人がいて良かったと思うよ」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)のそんな言葉に、アントーニオは首を振る。
「出会えて良かったのはこちらのほうだ。ベルナルド、君もな」
 『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)は話をふられ、コホンと咳払いをした。大人しくスケッチをしながら酒を断っていたらしい。
「今日は無礼講だ。飲むと良い」
「いやしかし」
「いやいや」
「いやいやいや」
 ――からの、数十分後。
「よっしゃ~~! お前たち最っ高だぜぇえ!! この素晴らしき日を!祝宴の楽しさを! 俺の筆で描いてみせようじゃねぇか!」
 酔っ払って褒め上戸となったベルナルド。その横でイズマは演奏を始めていた。
「戦いは消え失せはしない。勝利も爪痕も。これから待ってる復興という長い道程を駆け抜けるためにも、今この勝利を心から祝おう!」
 happyな空気の中で、ベルナルドはそっとアントーニオへと声をかける。
「筆を折った後に特異運命座標んなって、また絵を描こうって必死になってた時に、アンタがパトロンになってくれたから俺は画家として自信を持てたんだ。アントーニオ、アンタは俺の恩人だ。これからも宜しくな」
 アントーニオの返事は、微笑みただ一つだ。それだけで充分だと、いうように。

「吾達の武勇伝を描く芸人を領に迎え入れるために……とりあえず踊ろうか! セレマ!」
「ボクが冠位を仕留めきれなかった話を広めて面白いかよ……即興だが、やるなら完璧にやるぞ」
 『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)と『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)が手を取り踊り始める。
 概念的美少年のセレマとレベル85の美少女力の百合子が手を組めば、舞台の上は美の結晶となる。
「新しい時代は開かれた!いまこそ、吾は新たなる時代に相応しき住民を募るものである!
 武の才がなくとも、踊れるもの、歌えるもの、物語を作れるもの……この春までの激動の冬を後世に残す気概のあるものよ、吾らの手を取るがいい!」
 あまりの美しさに目を奪われる難民達に、踊りながら百合子は呼びかける。
 セレマはフッと笑い、そして幻影によって作り出した北辰連合の旗を舞台の上にはためかせた。
「へえ、こいつぁすごい」
 『黒き流星』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)がパチパチと拍手を送りながらその様子を見物していた。
 その横にはアルゴノーツの面々の姿。イアソンを初めとした民達がごっそり集まり、この宴会に花を添えているのだ。
「成り行きで関わったが、ずいぶんと面倒な行程だったな。
 あんたらみてぇな集まりが、今回の件でばらけた連中にとっちゃ泊まり木になるかもしんねぇ。
 なんか仕事がありゃ、覚えてりゃ連絡くれや。同じ獣種の、はぐれ部族のよしみだ、手伝ってやるさ。どっかで野垂れ死んでなくて暇してたらな」
「フフ、お前が野垂れ死ぬ所など想像もつかぬよ」
「本当にね」
 『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が椅子によりかかり、手にしていたカップを傾ける。中に注がれているのは彼女の領地で作られた特製のワインだ。イアソンたちはそれをいたく気に入ったようで、さっきからずっとリピートしている。
「それにしても皆、皆お疲れ様ね。これから汝(あなた)達はどうしていくのかしら?
 憤怒が倒れた今、派閥に所属している意味はあまり無くなってしまったけれども」
「確かにのう」
 迷う様子のイアソンに、不敵に笑ってみせるレジーナ。
「我(わたし)の所に来ないかしら? 幻想王国も色々あるし、一人でも有能な人間が居てくれると助かるのだけれども」
「ほう……それは魅力的な提案じゃな。元いた集落は潰されてしまっておるしのう。留まる民もおろうが、考えてみるのも良いか」
「そうしてくれると嬉しいわ」
 二人はカチンと乾杯をして笑い合った。

「えっ、いや、一緒にライブやるのは――」
「やらないぴょん……!?」
 ここまできて!? と耳をしょぼーんとさせるウサミ・ラビットイヤー。が、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は肩をすくめてから彼女の握ったマイクを取った。
「うー、しょうがないなぁ。せっかく皆で楽しんでるんだもんね、今日だけ限定ならやってあげるよ!」
「ほんとぴょん!? うさほむユニット復活ぴょん!」
 始まるのは勝利のゲリラライブ。皆を笑顔にするために!
 ステージ上に、二人の花が咲き乱れた。

●ギアバジリカに春が来た
「わーい、祝勝会!」
 料理の並んだイベント会場へ、『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)がスキップのような足取りでやってきた。
「アミナさんが元気になって、本当に良かったの。みんなで頑張った結果なの」
 会場は聖堂を一時的に改装したらしく、荘厳さと華やかさが混じり合ってできていた。
 端に寄せたベンチの代わりにテーブルが並び、冬の間では考えられなかったような豪華な料理がこれでもかと並べられている。
 誰の顔もリラックスした様子で、厳しい冬を生き延びた安堵と、勝利の喜びと、そしてこれからの未来を抱く興奮に満ちている。
 うんうんと頷く胡桃。
 一方で『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)と『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)もパーティーの参加していた。
(本当にすごいよね…アミナさんも、革命派の人達も)
 そんな思いを抱きつつ、ヨゾラがアミナたちへと話しかけている。
「もし、城の天井に穴が開いてたら
 そこから飛んで飛び込んで、バルナバス全力でぶん殴ろうって思ってたんだよね
 希望を与える流れ星みたいに!
 流れ星代わりにはなれなかったけど、奴をぶん殴れたから良いし
 皆はもう大丈夫。それぞれの星(希望)を見つけてる
 だから…これからも希望を持って進んでね」
「皆は、すごいな。僕は…
 難民の人達と一緒に戦った時は「僕も一緒に戦えて良かった」って言えた
 僕にとっても、誇らしい事
 でも…旗艦を守る空の戦いで、僕は…」
 隣で一緒に喋っていた祝音がふるふると首をふった。
(…ううん。あの戦いで至らない後悔があっても…それは僕自身の問題だから)
「僕も、ここの皆と一緒に戦えて…本当に、良かった。みゃー」

「よう、またくたばり損なったか!」
「お前もな。あれだけ死地をくぐり抜けてよく未だに死なないもんだ」
 カップで乾杯をして、『竜剣』シラス(p3p004421)とダヴィート・ドラガノフは不敵に笑い合う。
「ザーバが皇帝にならなくて残念だったな、これでも応援してたんだぜ?」
「ヴェルス陛下が帰って来ちゃあな。あのお人はそういう人さ」
「鉄帝はこれからどうするんだ、当分は他所と戦争どころじゃないだろう?」
 肩をすくめるダヴィートにそう問いかけると、少しだけ難しい顔をした。
「さあな。俺たちは……いや、少なくとも俺は軍人だ。政治は帝政派に任せるさ。そのくらいの和合はしたはずだろ?」
 そんな会話をしていると、『珍しいお肉を狩猟したい!』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)がクラウディアと共にトレーを持って洗われた。
 修道院風に作ったレットにマドレーヌにパウンドケーキ。更にはスコーンや『ゴラたべよ』まである。これもまた、冬の間では考えられなかったお菓子で一杯だ。
「ホラいい香りでしょ? 香りをかいできっと幸せになれるはず! みんなも――わっ」
 そこへ子供達が駆け寄り、僕も僕もと手を伸ばす。
「あわわ順番、だよ!」
 困った顔で笑うフラーゴラ。
「こうやってお腹や心を満たしてあげるのも、癒しになるんだよねクラウディアさん」
「ええ、その通りです。これからも――」
 『ワタシもっとオリーブのしずくの活動支援したいな』というフラーゴラに、クラウディアは微笑んでくれた。彼女の活動は国をまたぐ。きっとこれからも、練達や海洋や深緑などあちこちで復興活動を行うことだろう。
 『世界を平和にしたい』というフラーゴラと、想いを同じくして。
「お、こりゃうまそうだ」
「あ! 食べる前には『いただきます』だよ! あとお酒で酔って暴れちゃ駄目だからね!」
 お菓子に手を伸ばすブラトンの手をぺちんと叩いて、『山吹の孫娘』ンクルス・クー(p3p007660)が胸を張った。彼女も一緒にお菓子を配っていたのである。
「そういえばブラトンさんはこれからどうするのかな? まだ革命派に残る?」
「そうだな、まあもう暫く考えるさ。鉄帝の軍はいま人手不足だろうし、辞めたつもりだがすぐにお呼びがかかりそうって気もするぜ。
 だがまあ、ここの連中が家に帰れるまでは面倒見たいって気持ちもあるから、もう少しは現状維持だな」
「うんうん。それで良いと思うよ!私も皆が上手く行くことを祈ってるね! 『皆に創造神様の加護がありますように!』」

「酒じゃあ~~~!!!
 いやぁお前ら頑張ったでありますなあ。元気! ヨシ! 今日は無礼講!
 え? 誰って?
 自分であります自分、エーデルガルト・フロールリジ大佐ぁ!」
 あの皇帝との感動的でラブリーなワンシーンがどっか吹っ飛んでいく光景だった。
 『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)である。
 そんな雰囲気の中で、スッと表情を和らげる。
 挨拶をしてまわっていたアミナとばったり出くわしたためだ。
 そして言うべきことを考えて、そしてこう切り出す。
「……最上の結果ではありませんでした。
 貴女達の力無しには勝てなかった。
 軍人として、恥じ入るばかりです」
「大佐さん……」
「貴女がたは武力と経験を得た。
 我々が無敵ではないことも知った。
 全てが良い国などなく、皆が理想を求めて……。
 適度な緊張感を、お互いに持って行けると良いですね」
 ぽんと肩を叩き、歩み去る。力を背負った人間に言えるのは、ここまでだから。
 声をかけようとしたところで、会場の端に佇む『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)をアミナはみつけた。
「あ、ヴァリューシャ先輩! お酒はいいんですか?」
「有難う。でも止めておきますわ。
 貴女こそ、ずっと気を張りっ放しだったでしょう?
 私のことは良いから、今日くらい楽しんで来なさいな」
 予想していたものとあまりに違うテンションにアミナが面食らっていると、ヴァレーリヤは軽くにらんで頬を膨らませた。
「失礼ですわね」
 と言いながら、すぐに人民軍の顔ぶれをみて微笑んだ。
「今日は本当に良いんですの。もう十分、良い気分ですもの。
 ほら、分かったらさっさと行きなさい。また邪魔したら承知しませんわよ!」
 他の人々への挨拶もあるのだろう、去って行くアミナの後ろ姿や、彼女と笑い合う『ただの人々』を見つめ、ヴァレーリヤはロザリオを握りしめた。
「――司教様。私達の願い、本当に叶うかも知れませんわよ」
 あの子は憧れを追って失敗した。
 失敗したから。
 失敗できたから。
 才無き者で、あるがゆえに。

「やぁ。アミナ君。あれから元気にしていたかい?
 やっと…終わったね…。でもここからだよ。ここから新しい鉄帝国が始まるんだ。すべてはこの国に住まう人達次第さ。私で良ければいつでも力になるよ。だからヴァリューシャと一緒に頼ってね」
 ヴァレーリヤから離れたあとのアミナに、マリアはそんな風に声をかけた。一緒に居なくてもいいんですかと問われて、しかしマリアは曖昧に笑う。
 彼女たちには独特の距離感があった。まるでシャボン玉が弾けないギリギリの近さのような。
「どうかこの国が少しでも豊かで、幸せで、平和でありますように……」
 祈りは尊く、そして誰しもに降り注ぐ。

(グロース。一つ間違えれば私達は貴方だった。本質的には同じだった。結局は力、なのだと)
 目を瞑っていた『後光の乙女』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)に、声がかかる。
「同志ブランシュ。ブランシュさん?」
 アミナだ。ぱっと目をあけたブランシュは声をかけてくれたアミナと、その横にいたヴァルフォロメイに問いかけた。
「アミナ先輩、ヴァルフォロメイ先生。多分これから我々の戦いの場は、政治になると思います。
 ヴェルス帝がまた収めている今、状況は恐らく前と同じです。
 王城に顔を出すべきです。まずはそこから変えましょう。力なき一般人の代表として」
「かもしれんな。ここからはダニイールやマカールたちが忙しくなる頃だ。俺たちものんびりはしてられん」
 そんな話をしていると、『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)が『やあ』と声をかけてきた。
「沙――怪盗リンネさん!」
「お疲れ様、アミナ。頑張ったな」
 よしよしと頭を撫でる沙耶に、アミナはてれくさそうだ。
「君が思う以上に君は強い。君を信頼してくれているみんなもいる。ヴァルフォロメイとかは心配するだろうが……君は君の思うままの道を行けばいい。きっと答えは後からついてくるから、な」
「はい!」
 ブリギットからも頼まれたのだ。もう少し。見守ってやるか。
 沙耶は微笑み、アミナの顔をまじまじと観察するのだった。
 そこへカップを手に『双影の魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)がやってくる。
「やあ、アミナ。ひとまずお疲れ様だね。内戦と、マリオンさんの革命派での目的も終わったので、お別れの挨拶だね」
「マリオンさん、行ってしまわれるんですか?」
「そうだね」
 アミナが折れて、心が曇り空になった時、それを晴らす為に革命派に参加したマリオンさん。そんな自分だった。
 だから。
「マリオンさんは、次の曇り空を晴らしに行くね。アミナや革命派の空が、また曇り空になった時はマリオンさんは助けに来るよ」
 じゃあね、と言ってマリオンは背を向けて歩いて行った。
 すれ違うように『鉄血乙女』リア・クォーツ(p3p004937)が歩いてくる。
「リアさん!」
 自分のロザリオを翳し、リアは微笑んだ。
「貴女にはとても感謝しているのよ。
 これまで貴女と歩いてきて、貴女の姿をずっと見てきて、あたしは自分の間違いに気付いたの」
「えっ……?」
 驚くようなアミナに、リアは続ける。
「あたしは大家族の長女でとっても強い特異運命座標だから、大切な人達は皆あたしが守らないといけないって……それがあたしのやるべき役目だと思っていたわ。
 あたしはね、自分のギフトの力で人の内面が覗けてしまうの。
 だからこそ、アミナの事だって最初は大切に守ってあげなきゃって思ってたからね。
 だけど、貴女は強かった。
 ただ旋律を聴くだけじゃなくて、真正面から向き合ったからこそ分かるものがあるのだって、貴女から教えてもらった」
 アミナの手を取って、リアはその温かさをかみしめた。
「あたしを導いてくれてありがとうね、ただの聖女様」
 はっと目を見開くアミナ。目尻からなにかこぼれそうになって、咄嗟に手で拭う。
「私は、聖女なんかじゃないですよ。あはは」

 夜が更けても聖堂のパーティーはまだ続いている。
 歪に入り組んだベランダに出た『革命の医師』ルブラット・メルクライン(p3p009557)は、背後に気配を感じて呟く。
「少しだけ、私の話に付き合ってもらってもいいだろうか」
 立っていたのはアミナだった。頷き、黙って横に並ぶ。
「最初、私は心の何処かで諦めていたのかもしれない。
 目の前の悲劇を解決できても、所詮私達は無力なのだと。現実は何も変わらないのだと。
 だが、此度は違った。無論それも個人の力で成し遂げられた訳ではない。
 けれど、少なくとも私がここまで追いつけたのは、君が笑顔を願って、前に進んでくれたお陰だ。
 ようやく、私の理想が誰かに届くのではないかと、そう思えるようになれた」
「届きましたよ、ルブラットさん」
 アミナはルブラットへと手を差し出した。
 多くの人々の小さな小さな祈りが集まって、それは聖なる力すら感じさせる。
 迷う。一瞬だけ手が震え、ルブラットはそれをゆっくりと受け取った。
 どう言葉を返すべきか。迷って、そしてルブラットはひとつだけ選ぶことにした。
「……ありがとうアミナ君。私を、救ってくれて」

 パーティーはまだ続く。
 この先の華々しい未来を作るみたいに。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 そして平和が訪れる――

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