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シナリオ詳細

<Stahl Eroberung>『最弱』のシュナルヒェン

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ぽちゃん、と音を立て水滴が落ちる。
 薄暗い廊下を照らすラベンダーカラーの電灯は怪しく先を示していた。

 作戦(コード):『Stahl Eroberung』。
 アーカーシュ全域の調査を大凡完了したとする鉄帝国軍の次なる目的は魔王イルドゼギアによる後詰めの城『エピトゥシ城』であった。
 同時に遺跡深部『ショコラ・ドングリス遺跡』の探索が進められる事となる。
 島内で確保されたゴーレム達の修繕は完了し、命名者によく懐いており、力となってくれることだろう。

「此処がエピトゥシ城? 何だか恐ろしいのね」
 周囲を見回す『静観の蝶』アルチェロ=ナタリー=バレーヌ(p3p001584)に寄り添いながらNox sidereumはそっと気遣うようにその背を撫でた。
「花の一つもないから、あんまり嬉しそうじゃないね」
「花で一杯にすれば陰鬱な空気も晴れるでありましょうか?」
 セララガーデン・ゴーレムとハイデマリーガーデン・ゴーレムの姿をマジマジと見詰めたのは『魔法騎士』セララ(p3p000273)と『空の守護者』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)であった。
 ハイデマリーが此処までやってきたのは軍務による部分が大きい。エピトゥシ城の攻略を行えとイレギュラーズと帝国軍人に指令が降りたのだ。
 少しばかり肌寒いとアルチェロが周囲を見回せば、小さな礫が転がり落ちたのか作動していた凍結床から冷ややかな空気が発されている。
「ここから先に進むのも骨が折れそうだ。様々な罠が仕掛けられているしね。さて、どうするか」
 首を捻った『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)の傍でマイルストーンは何かの気配を察したようについ、と顔を上げた。
 誤作動であろうかとメンテナンスアームズがマイルストーンを見遣る。『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は「どうしたの?」とメンテナンスアームズへと問い掛けて――

「……何かの接近する気配だ。ローレンス、罠に注意を」
 ゴーレム・ローレンスに声を掛け武器を構えた『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)にステラロッサが命名者である『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)を護るように立ち振る舞う。
「何が来るの? まさか、古代獣……!?」
 どうやらエピトゥシ城では古代獣が製造されている。そのプラントを破壊することこそがイレギュラーズの今回の目的だ。
 スターゲイザーとジェイル・ブレイカーは『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)と『ウォーシャーク』リック・ウィッド(p3p007033)に一歩後退することを促す。
 まるで濁流のように無数の足音が響いた。その音を聞きながら顔を見合わせるイレギュラーズは驚愕する。

「畏れろ!」
 それはトロルと呼ばれるモンスターにも近似した外見であった。
「控えろ!」
 だが、そのモンスターは王冠を被りマントを翻している。それも、無数に。
「我が名は!」
 杖を構える者、剣を構える者。何故か石を投げてくる者。
「「「「「「四天王が五番目、『最弱』のシュナルヒェンである!」」」」」」
 ――四天王なのに五番目、しかも『最弱』を名乗った無数のトロルは勢い良くイレギュラーズへ向けて進軍してきた。
「え、え!? ちょ、ちょっとサイズ、あれはなに!?」
 ゴーレム・アニマートの肩にちょこりと座っていた『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)が怯えたように傍らの『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)の腕を引っ張った。
「四天王……らしい……?」
「四天王なのに五番目っていってるけど!?」
 オデットの言葉に「五番目かあ」とアクセルはソーダセレストの背後に隠れながら困惑をしていた。
 もふもふ宝玉丸! や夕焼けの守護者アメテュストなどは矢張り命名者である『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)と『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)を庇うように立っているか。
 ニューボーンとネバーモアを連れてこの地まで遙々やってきた『最期に映した男』キドー(p3p000244)は「アイツらを倒してこの場所を攻略する必要があるんだよな?」と確かめるように問い掛けた。
「ああ。そうだろうね。まあ、古代獣がこれ以上増えられても困る。
 どうやら『あの無数の五番目』を見る限り、この城の機能は継続中。余りに多くの手勢が増えれば最終攻略時にも被害が広がる可能性がありそうだ」
 淡々と告げた『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)の肩にそっと手を置いてから月蒼翼は主人を心配するような素振りを見せた。
「……どうにも『最弱』を名乗っているからか数が多すぎるが――ざっと見て10以上は居て……」
「10? 20位居そうだろ」
 ひいふうみい、数を確認する『血反吐塗れのプライド』百合草 瑠々(p3p010340)に習うようにして『神か悪魔か』と名付けられたゴーレムが腕をぶんぶんと振った。
「はっ、あのトロル。腰に酒瓶下げておりません事!? それはアーカーシュ秘蔵の酒ではありませんの!?」
 酒樽くん1号を乗り越えて『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)の瞳がきらきらと輝いた。
「あいつから酒を強奪しますわー!」
「……どっちが敵だか分からない」
「ギエエエエエエエエエ!?」
 共に同行をしていたウォロク・ウォンバット (p3n000125)の傍でマイケルが叫んだ。

 ――そう、簡単におさらいしよう。
 此度の作戦は『古代獣(エルディアン)の製造プラントの破壊』と『最深部への安全経路構築』である。
 エピトゥシ城の内部では水晶で光る紫の電流の灯りのみが頼りだ。
 それ以上に、様々な罠が張り巡らされている。この罠を回避して進まねばならなかったが……。

 そこに現れたのは『五人目』の四天王『最弱』のシュナルヒェンである。
 自身を最弱と名乗る彼に付いては諸説有るが様々な逸話が語られている。
 アーカーシュに古くから棲まうトロル一族の王であるだとか。
 トロル一族が全員で巫山戯てシュナルヒェンを名乗っているために本物のシュナルヒェンの存在は未だ発見されず勇者が攻略したときに戦ったとされる四天王『シュナルヒェン』はまだ生存しているだとか。
 美味しい酒を持っているだとか……魔王さえも傅くだとか……。
 そんな謎の四天王『最弱』のシュナルヒェンは大凡数にして100体。其れ等が勢い良くエピトゥシ城に押し掛けたのだ。
「……あいつら、倒さなくっちゃ。
 他の皆に被害が出るかも知れないし……あと、あれ、罠に嵌めれば罠の解除も出来るかも……」
 罠までシュナルヒェンを誘導して彼等を罠に嵌めることで、安全経路を構築することが出来る筈だとウォロクは心ないことを言った。

GMコメント

 夏あかねです。ラリーです。
 アーカーシュってなんぞや?というかたも、今から始めるアーカーシュというかたも、お気軽にご参加下さい。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

●当ラリーについて
 ・目的
 『最弱』のシュナルヒェンを撃破せよ!

 ・受付期間
 当ラリーはプレイング受付期間を設けています。
 プレイング受付期間は予告なく都度変更されます(再受付を開始したりする等)事をご了承下さい。
 1章につき何度もプレイングを掛けて頂いても大丈夫です。どうぞ、ご自由に冒険を楽しんで下さい。

 ・参加時の注意事項
 『同行者』が居る場合は【チーム名(チーム人数)】or【キャラ(ID)】をプレイング冒頭にご記載下さい。
 ソロ参加の場合は指定はなくて大丈夫です。同行者の指定記載がなされない場合は単独参加であると判断されます。
  ※チーム人数については迷子対策です。必ずチーム人数確定後にご参加下さい。
  ※ラリー相談掲示板も適宜ご利用下さい。
  ※やむを得ずプレイングが失効してしまった場合は再度のプレイングを歓迎しております。

 ・当依頼による他シナリオへの影響
 シュナルヒェンを放置することで【他シナリオ(エピトゥシ城が舞台のシナリオ)に唐突に無数のシュナルヒェン】が合流して引っかき回しにゆく可能性があります。
 数が何分多いので、頑張って下さい!!!

●フィールド『エピトゥシ城』
  黒曜石のような不思議な素材で出来たとげとげしく禍々しい城です。
 内部はやはり艶やかな漆黒で、ところどころに水晶があり、水晶内で光る紫の電流が灯りになっています。
 構造は迷宮のようになっており、様々なフロアで罠や敵が待ち構えています。
 また所々に古代獣(エルディアン)の製造プラントがあり、液体に満たされたガラスの円柱に、魔物が浮かんでいます。これは破壊命令が出ています。
 沢山の『製造プラントを壊しましょう』。ついでに城の内部を探索してみましょう。
 当シナリオでは『製造プラント破壊』『シュナルヒェン撃破』『罠排除(探索)』を重点に置くと活躍できるかと思われます。

 ・製造プラント
 無数に存在し至る所にあります。ぷかぷかと魔物が浮いています。何処からかやってくるシュナルヒェンが妨害してきます。

 ・罠
 バリア床:乗るとダメージを受ける床です。激しい戦闘中は踏むのを避けがたいです。
 灼熱床:かなり熱くなっており、足元から燃え上がる場合があり、火炎系のBSを受ける場合があります。
 凍結床:凍結しつつも表面は僅かに濡れており、転倒(乱れ系BS)の恐れがあります。また戦闘が長引くと凍結系のBSを受ける場合があります。
 ダートトラップ:フロアに設置されている禍々しいオーブを乗せた柱から、不意に魔法の矢が射出される、ダメージトラップです。
 灼熱トラップ:フロアに設置されている禍々しいオーブを乗せた柱に近付いた瞬間、炎が吹きだすダメージトラップです。火炎系のBSを受ける場合があります。
 落とし穴:踏んだ場合に棘のある穴に落とされるダメージトラップです。
 アラーム:通過した際に、激しい警報音が鳴り響き、敵が現れます。

 その他色々。シュナルヒェンを敢えて罠に嵌めて罠を作動させて安全を確保しておくのもよいでしょう。

●『最弱』のシュナルヒェン
 トロルの王。如何にも王様といった風貌をしたトロルです。100匹くらい居そうです。
 それぞれ戦闘方法が違い、何故か跳んだり跳ねたり、魔法を使ったり、BSで嫌がらせしたり剣を構えたり……。
 四天王なのに『5番目』であり『最弱』を名乗っていることも気になります。自我を有しており、対話も可能。
 情報収集を行う事はできそうですが、結構頭が弱くいらっしゃいます。聞きたいことが明確であれば何か有益な情報をくれるかもしれません。
 
『シュナルヒェンの噂話』
 アーカーシュに古くから棲まうトロル一族の王であるだとか。
 トロル一族が全員で巫山戯てシュナルヒェンを名乗っているために本物のシュナルヒェンの存在は未だ発見されず勇者が攻略したときに戦ったとされる四天王『シュナルヒェン』はまだ生存しているだとか。
 美味しい酒を持っているだとか……魔王さえも傅くだとか……。
 何だか色々な噂を有します。

●ゴーレム達
 シュナルヒェンから皆さんを護ろうと頑張ってくれます。盾にすると壊れる可能性もありますが、それもまた一興です。

●NPC
 ・月原・亮 (p3n000006)、フランツェル・ロア・ヘクセンハウス (p3n000115)、
 ウォロク・ウォンバット (p3n000125)、珱・琉珂 (p3n000246)あたりはお声かけ頂ければワクワク着いて来ます。
 ・イル・フロッタ (p3n000094)はイルイルの実と呼ばれる不思議な実を見に遙々遊びに来たら意味分からないトロルに見つかった状態です。よければ一緒に冒険してあげて下さい。
 ・クレカ(p3n000118)も緊張しながら同行します。
 ・ペリカ・ロズィーアン(p3n000113)隊長は「遊びに来ただわさ!!!!」と意気揚々とやってきました。

  • <Stahl Eroberung>『最弱』のシュナルヒェン完了
  • GM名夏あかね
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月14日 18時10分
  • 章数1章
  • 総採用数53人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

レッド(p3p000395)
赤々靴
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
流星と並び立つ赤き備
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
山本 雄斗(p3p009723)
命を抱いて

 ――四天王の謎の五人目にして最弱のシュナルヒェン、一体何者なんだ!

 そう呟いたのは『命を抱いて』山本 雄斗(p3p009723)。眼前には四天王の『五番目』にして『最弱』のシュナルヒェンが立っている。
「うーん、実はシュナルヒェンっていなくて魔王に付いたトロルの部隊にそう名付けた?
 他の四天王と比較したら弱いけど魔王に仕える部隊では一番強いから四天王の次で最弱なのかな? まぁ、ちょっと数が多いくらいじゃ僕達は倒せないけどね」
 首を捻った雄斗の隣で『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は手をびしりと上げる。立派な質問の姿勢だ。
「はいはーい! 質問っす! シュナルヒェンさんはどうして四天王になったんっすかー?」
「ククク――よもや其れを聞かれようとはな……アレはどれ程前のことであっただろうか(以下長尺の自分語り)」
 最弱のシュナルヒェンの話はとっちらかって落ち着く隙も見せやしない。レッドはこそりと、傍らに立っていた『境界図書館館長』クレカ(p3n000118)に声を掛けた。
「魔王軍のなかで最弱最弱言われ続けられてたからそれが自慢の個性になったとか、そういうのじゃないっすよね……?
 クレカさんも四天王とかいうの気にならないっすか? 丁度目の前に四天王(自称)がいるっすよ」
「……気になる、かもしれない」
 首を傾げたクレカは慣れない仕草で指先で宙に陣を描いた。魔力の弾丸は緩やかな低空飛行でシュナルヒェンへとひゅるひゅると飛んで行き。

「痛ェ―――――――!」

 シュナルヒェンが絶叫した。レッドは呆然としながらシュナルヒェンから明確な答えが出なかったことに痺れを切らしインヴィディア・デライヴに魔力を宿す。
「はーい、時間切れっす! おしおきに……ワールドエンド・ルナティックっす!」
 終焉の気配はアメジストの光を帯びた。レッドの魔力をマジマジと眺めているクレカの傍から雄斗が走り出す。危ないから傍に居てね、とレッドが淡々と告げた忠告の通り、クレカはそろそろとレッドの後ろに後退する。
「フォーム、チェンジ! 暴風!」
 ナノメタル粒子で出来たヒーロースーツに身を包み、ジェットパックで一気に飛び上がる。びしりとポーズを決めたなら登場の準備は完了だ。
「目標ロック、全力で飛ばしていくよ!」
 薙ぎ払うようにシュナルヒェンを吹き飛ばす。「あら~」と声を上げたのはクレカと良く似たかんばせの女――そう、『総隊長』ペリカ・ロズィーアン(p3n000113)その人である。
「鉄帝の上空にも変な奴がいるもんだねぃ」
「あら、総隊長? 果ての迷宮が次の節目だからってその前に気晴らしに来たのかしら?」
 揶揄うように笑った『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は闘志を鎧と替えたその決意の証をペリカへと付与をした。
 戦旗を手に慌ててやってきたイーリンは言葉こそ余裕を滲ませているが、やや息を切らしている。真逆、ペリカが参戦しているとは思わなかったからだ。
「貴方、いつも私達のカバーに回ってたでしょ。たまには剣を振らないと腕が鈍るわよ? 一流の穴掘り屋で揃って吶喊ってのはどうかしら?」
「それも悪くはないねぃ」
 唇を吊り上げたペリカが地を蹴った。背負う荷物が揺らぐが彼女は構うこともない。荷物の重さなど感じさせぬ身軽さでたん、たんとリズミカルに地を蹴って罠を器用に除けて行く。小さな幻想種の躯に似合わぬ無骨な刀が振り上げられた。
 その様子こそ心が躍ったか。イーリンは唇を吊り上げて、鋭利な乱撃を繰り返す。罠なは致命的なもの以外は踏み抜いたところで問題はない。ペリカが戦う様子を見ていられるだけで儲けものだからだ。
「期待されすぎると緊張するねぃ。『騎兵隊』のお仲間の姿も見えてきたわさ」
「あら。レイリーにエレンシア。ふふ……なら『穴掘り屋』二人の動きをとくと魅せ付けてやりましょうよ!」
 進むイーリンとペリカ能勢を追掛けるのは『不屈の白騎士』レイリー=シュタイン(p3p007270)と『竜穿刃』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)。一流の穴掘り屋達が罠を踏み抜くか避けるか、そうして動く背を眺めながらエレンシアは大太刀を構える。
「五番目の四天王、ねぇ。ま、そう言うのはありっちゃありだが……
 自分で『最弱』なんて名乗る輩にゃ碌なもんが居ねぇ。得てしてそう言うのが一番厄介だ」
「こういう奴が一番怖いのよ。数が多いなら猶更ね。裏があるかも知れないもの。『隊長』達が頑張っているようだし……
 さあ、エレンシア! 行くわよ、私達の力見せてあげましょう!」
「へいへい。ま、ほどほどにやってやろうぜ。跡形も残らんぐらいにな!」
 白き大盾を構えるレイリー。対するエレンシアは白き大太刀。二人で一つであるように『相性』の良い二人は攻めと防御を互いに手分けして行う事が出来る。
「さあ、来るが良い! 勇者よ!」
「勇者? 良い呼び名ね。私の名はレイリー=シュタイン! さぁ、かかってきなさい!」
 シュナルヒェンのあらかたを巻込むように声を上げたレイリー。その傍へと飛び込んで刀を振り下ろすエレンシアの動きは淀みない。
 エレンシアを庇い、一体ずつの撃破を心掛けるレイリーは攻撃手であるエレンシアに傷一つ付けぬようにと気を配る。
「いえーい! やったー!」
「いえー……いや、ちげーだろ」
 ハイタッチを求めるレイリーにどうしてと言いたげに肩を竦めたエレンシアは製造プラントを発見し「壊すか」と唇で弧を描いたのであった。

成否

成功


第1章 第2節

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
國定 天川(p3p010201)
決意の復讐者
霞・美透(p3p010360)
霞流陣術士
煉・朱華(p3p010458)
未来を背負う者

 ――どうしてここにイルちゃんが!? その謎を解く為に一緒に行動するね。

 ががーんと言いたげな『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)にイル・フロッタ (p3n000094)は「イルイルの実があるってスティアが言ってたから見に来たんだ」と期待に瞳を輝かせている。
「え、イルイルの実を探しに? 後で一緒に取りにいこっか!」
「ああ! それに訓練にもなりそうだから休暇を利用して来てみたんだ。それで、アレを倒せば良いのか?」
 あれ、と指差されたのは四天王(自称)の五番目であるシュナルヒェンだ。
「あのトロルは四天王の一人(?)なのに5番目の上にいっぱいいるらしいよ。なんだか不思議だね……四天王とは一体……」
「『四』天王なのに、5番目なのか……?」
 一体どういうことなんだと頭を抱えたイルは「ええい、兎に角、斬れば良いのだな! エミリア様に稽古を付けて貰ったんだ見ていてくれ!」と意気揚々と走り出す。イルと共に戦うのは久しぶりだとスティアはうきうきとした気分でシュナルヒェンへと飛び込んだ。
「よお、そこの少年。俺は國定天川ってしがない探偵だ。どうやらこの城は罠満載で相当物騒みたいだぜ? 良かったら一緒に行かねぇか?」
『壱閃』月原・亮 (p3n000006)の背中を見付けて声を掛けた『求道の復讐者』國定 天川(p3p010201)は唇を吊り上げる。日本刀を手にしていた亮は「マジで? 行こうぜ!」と振り向いた。
「無視をするでないわ!」
「や、まじこのトロルやべーぞ。怒り狂ったリリファみたいな動きする! 気をつけろよ天川さん!」
(……『怒り狂ったリリファ』と同一視された方が怒り狂うのでは?! 私ちゃんはそう思ったわけだが!?)
 天川と亮がシュナルヒェンを相手取る背中を眺めながら『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)はそう感じていた。
「最弱なんて自称する奴を素直に最弱と思えるほど素直にはなれんな。悪いがそれ相応の相手だと思って対処させてもらう!
 亮! 未知の敵だ! 数も多い! 油断するんじゃねぇぞ!」
「りょーかい!」
 天川がシュナルヒェンを一体薙ぎ倒す。その背後から飛び出す亮が刀を振り下ろし地を蹴って後退した。罠には気をつけろと声を掛けられ「おっと」と飛び退いた床ががこりと音を立てた。相手も馬鹿ではないのかもしれない。的確に二人をダメージ床へと誘って居るようで――
「グアアアアアア」
 自分が踏み抜いている。やはり馬鹿なのかもしれない。
「フフ……依頼に行けなかったから、私ちゃんがここに専念できるおぜん立てをしてくれて正解だったみたいだな。
 わっはっはっはっは! 上等だコノヤロー! 心行くまでシュナルヒェン狩りじゃあーい! ちゃん琉珂もバイブスぶち上げていってみようぜー? うぇーい!」
「うぇーい!」
 秋奈を真似た『亜竜姫』珱・琉珂(p3n000246)に『霞流陣術士』霞・美透(p3p010360)は首を捻った。
「琉珂君。相手は数の暴力を駆使してくる。気をつけて進もう! 足元には注意してくれ!」
 戦闘中には琉珂を抱えることは難しい。その分足元には気をつけて欲しいと声を掛けた美透は陣術を駆使し琉珂を支援する。巨大な裁ち鋏を振り上げる琉珂と共に前線を走るのは『煉獄の剣』朱華(p3p010458)と『竜交』笹木 花丸(p3p008689)の『朱華丸』ペアだ。
「四天王なのに『五人目』だとか『最弱』を名乗ったり、シュナルヒェンって言うのは他の四天王と比べても訳が分かんないわね。
 ――っと、琉珂、ストップよ!」
「ひえ!?」
 足をじたじたとさせた琉珂に朱華は「花丸、此処に罠があるのね?」と問い掛ける。飛行する美透は床の罠は回避しているが地を歩く朱華と琉珂は花丸の罠対処と卓越した感覚が頼りだ。
「うん。そこだけ気をつけてね! 美透さんと秋奈さんも!」
「オーケーオーケー。こちとら花も恥じらう乙女じゃーい! 四天王だか五芒星だかしらねーし! 身ぐるみはいでやんぞこらー!」
「五芒星はかっこよくないかしら?」
「琉珂ってそういうの好きなの?」
 早くご飯も食べたいんだよと叫んだ花も恥じらう乙女・ちゃん秋奈。
 最弱のシュナルヒェンをガッとするために振る一太刀を受け止めたように見えたシュナルヒェンの肩をざくりと裂いた。
「グッ、我が死んだとしても第二第三のシュナルヒェンが――!」
「居るけど!? いや、四天王が沢山いたりちょっとヘンテコなトコからなんとなくそんな気はしてたよね?
 ……うん、知ってた。ギャグキャラ属性があったりするみたいだけど、このまま放っておいたら大変な事になるのは目に見えてるし頑張らなきゃっ!」
 ギャグキャラだからって油断はしていられないと花丸がびしりと指差してから「ごめんなさい!」と叫んで製造プラントを破壊する。
 落ち着いてその様子を見ていた美透は奇妙な場面に巻込まれた気さえしていたのだ。
「花丸が罠の知識を持ってて助かったわ。朱華達だけだと……ねぇ?」
「私と朱華なら罠に掛かって死にかけるわ! 皆が居てくれて嬉し、もごもご」
「と、兎も角よ! 罠は駄目かもしれないけど戦闘は任せなさいっ!
 フリアノンの炎の……いいえ、煉獄の剣は伊達じゃないってところを魅せてあげるわっ!」
 朱華が走り出す。かしまし女子チームの勢いは伊達ではない。負けては居られないと意気揚々と走り出したイルに「イルちゃん、足元気をつけてー!」とスティアが慌てて声を掛け、天川と亮は女子の勢いに圧倒されているのだった。

成否

成功


第1章 第3節

セララ(p3p000273)
魔法騎士
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
海紅玉 彼方(p3p008804)
扇動者たらん
ラビット(p3p010404)
弱さゆえの強さ

 セラマリゴーレムは名付け親である『空の守護者』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)と『魔法騎士』セララ(p3p000273)を護る事を考えていたのだろう。意気揚々と戦う意思を見せる二体にハイデマリーは首を振る。
「壊れないように自衛はして下さいね。戦闘が終わって安全化できたら、エピトゥシ城の周辺を花で綺麗にしてみたいですね」
「手伝ってくれるよね?」
 如雨露を手にした可愛らしいゴーレムには戦闘ではなく花を育んで欲しいと願う。そんな気持ちを汲んだのだろうかゴーレム二体は大きく頷いてくれちゃおうにも思えた。
「ゴーレム君、この城の事何か知ってたりしない? 重要なお部屋の場所とか」
 こてんと首を傾げたセラマリゴーレム。エピトゥシ城を指差したのは罠の場所を何となく察知したからだろうか。
「もしかすると調査するとゴーレムに関連する場所がありそう……だけど!」
「数が多い」
 セララとハイデマリーは顔を見合わせた。目の前には5体程度の四天王五番目の『最弱』のシュナルヒェン。
「洗いざらい全部聞かせてもらいましょうか」
「ああ! 我が名は『最弱』のシュナルヒェン――あれは、ある雨の日の事だった(以下、長尺台詞)……と、詰まりは『勇者』は我が一族を根絶やしに出来なかったのだ」
「……短く言ってくれる?」
 セララはむうと唇を尖らせる。ゴーレムの製造工場や拠点などの部屋を教えろと言いたげだが『最弱』は数が多いためこそこそと話し合っているようである。
「ちょっと、情報共有も出来てないの? 数が多いだけあって、有象無象じゃない!
 さすがに数の暴力ったって限度があるでしょ! ついでに不気味だし意味わかんないし!
 こんな奴らにせっかく修理してもらったかわいいゴーレムが壊されるなんてまっぴらよ――行くわよ、サイズ!」
 憤慨している『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)に「もうちょっとで思い出すから!」とシュナルヒェンが二体くらい叫んだ。
「……最弱ね…この混沌では自称の言葉は風船のように軽いし宛にならない。
 本当に最弱名乗りたいならでんせつのまけん(FB+99CT+99)をFB減らさず装備してから言え。
 ――言葉に惑わされずに堅実にいくぞ! 思い出すのも嘘だろ」
 守りを固めた『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。ゴーレムにはオデットのことを護ってくれと頼み、しっかりとゴーレム達の整備を整えてからの進軍である。
 シュナルヒェンは「あー! 思い出した。ほら、そこの魔法少女が言ってたけど重要な部屋ある! あっちの方!」と当てずっぽうに叫んでいる。
「信用する?」
「してみても良いかもしれませんね」
 此処がゴーレムの故郷であるかは定かではないがシュナルヒェン達ほどに数が多ければ『ゴーレムの製造』を少し囓っていても可笑しくはない。
「更にゴーレムを改造できるかも知れない技術がある?」
「行ってみる?」
「……倒さなくちゃならないなら道すがらさがそうか」
 オデットとサイズが話し合う前をするりと走り抜けたのは『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)。シュナルヒェンの尋問なども必要であろうかと生け捕りを目的とするシューヴェルトに「我は当てにならんぞ!」と自慢げにシュナルヒェンが叫ぶ。
「う、うーん……見た目は少々気持ち悪いけど、まあここで倒す相手だし問題ないね。
 ただ、師匠のほうは彼らを一部生かしたいところはあるみたいだし、少し嫌だけど協力しないと……あっ、ラビットちゃんもよろしくね!」
「は、はい……。ここが初めての決戦の地……ここまで来たからには、逃げることはしません。
 あまり戦いたくないですが、ここまで来たからにはやれるだけやりましょう。それに、今回は騎士の人やアイドルの人ともやるので、足を引っ張らないようにしないと……」
 恐ろしいですけれど、と『レディ・ガーネット』海紅玉 彼方(p3p008804)を見詰める『弱さゆえの強さ』ラビット(p3p010404)は嘆息する。
 知らないと言いながらシュナルヒェンは何かを知っている様子には見えた。例えば、だ。シュナルヒェン達は(自分で罠に掛かる所はあるが)罠の位置には詳しい。そして、数の暴力で的確にイレギュラーズの進むルートを固定しようとしてきている気さえするのだ。
「――ぶっ飛んで!」
 勢い良く放った魔力の砲撃。彼方の一撃を支援するようにラビットは焔の気配で追い払う。此処まで来れば噂話の信憑性はさておいても『本物のシュナルヒェン』は何処かに居るのかも知れない。トロル一族はエピトゥシ城を守り続けてきた様子にも見られた。
「師匠、何だかこの人達って此処にずっと住んでたんですかね」
「先住民……と呼んでも差し支えないかもしれないな」
 話し合うシューヴェルトと彼方の背後でラビットは「あ、あの」とそろそろと指差した。
「シュナルヒェンさん……? また増えましたけど……」
「はあ?」
 うっざとぼやいたのは『ゴールデンラバール』矢都花 リリー(p3p006541)。何時も通りの苛立ちは『陽キャ』のようにわらわらと集まっている有象無象に我慢ならなかったのだ。
「城に集まってはしゃぐとか陽キャにでもなったつもりなのかだよねぇ……。
 でも0×100は0、最弱は群れても最弱っしょ……そんなんであたいらの時間使わせるとかまじギルティ……。
 そんなに陽キャしたいなら地獄でいくらでもやらせてやるだよぉ……覚悟……」
 陽キャに何か恨みでもあるのだろうか、リリーは淡々と告げた。
「ちなトラップとかは別に……踏み抜いてもダメージとかなら全部熨斗と復讐つけて自称最弱にぶち込んでやるし……
 てか自称最弱もトラップ踏むんじゃない……? おら床ドン食らえだよぉ……」
「グアアアアアア」
 踏んでいる。
「く、くそ。こんな目に遭わされようとも、我々が時間を稼いでいる間に我らトロル一族はこの城から撤退して行くのだ!!」
「……はあ?」
「それこそが勇者が此処まで当はしなかったからこそ生き延びたトロル一族生存の法!」
 ――一体何を言って居るのか。

成否

成功


第1章 第4節

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
源 頼々(p3p008328)
虚刃流開祖
エーミール・アーベントロート(p3p009344)
夕焼けに立つヒト
ルビー・アールオース(p3p009378)
正義の味方
天城・幽我(p3p009407)
孔雀劫火
ベルトア・ウル・アビスリンク(p3p010136)
死を謳う者

「騎士道に則り、名乗りには礼節を以て応えよう。我が名は源頼々、此処アーカーシュに角の生えた魔王がいると聞き参上した一般鬼殺しである。
『最弱』のシュナルヒェン、貴様に問おう、此処は鬼ヶ島か?」
「え、アーカーシュですけど……」
「……え、違う? いやしかし角の生えた奴が首魁の島はもう実質鬼ヶ島では? 誤魔化すとは非礼甚だしい……ええい、覚悟!」
「「そんなぁ~~~!!!」」
 話が通じないシュナルヒェンよりも尚も話は聞いていないと行った勢いで剣を振りかざしやってきたのは『虚刃流開祖』源 頼々(p3p008328)。
『紫闢頼守』は刀型の武装である。虚刃流の開祖たる頼々は『角』を有する存在を決して赦しはしない。鬼(の手下)を降し、無事に鬼ヶ島を制圧することこそが目的である。
「くそ、この勢いでこられれば『最弱』たる我々の数も減ってしまう!」
「最弱ってつければいくらでも増やしていいワケじゃないと思うんだけど。
 とはいえ罠を解除するにもプラントを破壊するにもこれだけ数がいると邪魔くさいね……」
 頭数を減らさねばならないかと呟いたのは『孔雀劫火』天城・幽我(p3p009407)。古代兵器のテクノロジーを融合させた戦装束に身を包んでいた幽我はふわりと浮き上がる。
 堂々と走る頼々が届かぬならば、雷撃を唸り、連ならせシュナルヒェンの数を減らし続けるのみである。淡々と攻撃を繰り返す幽我の目的はずばり『イレギュラーズが動きやすいようにする』事だ。
「天空の城にある魔王の城!まさに英雄物語の舞台よね。そこ待ち受けていたのは魔王の配下の四天王! なんて燃える展開! なんだけど……」
 わなわなと震える『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)は『深紅の月』の刃を変形させる。大きい鎌を握りしめるルビーは「どういうことー!?」と叫んだ。
「四天王なのに五番目で最弱なのに王冠かぶっててしかも大量に居るって意味が分からない! 自分たちの存在そのものに疑問を持たないの!」
「あ、そりゃあ、最初は……」
「疑問に持ったのに受け入れちゃったの!? う、うーん……量産型が数で押してくるのは大変だけど、だからってここで引く訳にはいかないよね。
 私が奴らを抑えるから、その間にスピネルとステラロッサは製造プラントを壊して!」
 イレギュラーズではないスピネルにとっては此処まで来るのも長旅だ。彼には危険区域ではなく、出来る限り安全域からのサポートをお願いしたい。
 ルビーは地を蹴ってシュナルヒェンへと肉薄する。「ぎゃあ」と言いながらばたりと倒れたシュナルヒェン――だが、そう名乗るトロルの数はまだ多い。
「どうも。戦う前にちょっと話さねぇっスか? 四天王の五番目の異名にちょっと興味あるんスよね……いや最弱じゃなくて。
 その最弱ってのは誰が付けたかってのとかね、他の四天王は本当に4人いるのか。そういうの、教えて貰えないスか?」
『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)は四天王の五番目だと言うだけでもだいぶ『変』であると指摘していた。それがわんさか居るのだ。余計に脳味噌がバグってくる気配さえする。とはいえ、何を持って最弱なのか。力量を人海戦術で補っているならば理に適っており決して最弱などの謂れは似合わない。
「最弱は初代トロルの王が関した名で有る――!」
「四天王は四人居る! が! 我らもその末席に連なる五人目だ!」
「五人目である事はさておいて、四人って?」
 ローレットに舞い込んだ依頼では四天王の名は確かに並んでいた。それが正確な情報であるかを確かめておくのも悪くはないか。
「『獣王』ル=アディン、『闇の申し子』ヴェルギュラ、『骸騎将』ダルギーズ、『魂の監視者』セァハ……そして我ら『最弱』シュナルヒェン。
 それこそ、勇者アイオンと戦った魔王イルドゼギア様がお連れした四天王(+1)である!」
 勇者アイオンの時代から随分と経過している。幻想の建国王。葵は堂々と語るシュナルヒェンを見詰めていた。
「そして、此処が! 古より甦りし覇王の居城である! ラトラナジュの火は全てを焼き尽くすのだー!」
 最後の方は魔王イルドゼギアを讃えよという文言であったのだろう。
 それにしても、最弱。確かに見ているだけでも弱々しく、直ぐに「グワアア」と叫んで地に伏せていく彼等は代々の数を減らし続けて居る。
『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)はチラリと傍らの『死を謳う者』ベルトア・ウル・アビスリンク(p3p010136)を見遣った。
「最弱と名がつくなら、ベルトア、貴方でもイケるんじゃないです? あの頃の貴方が健在であれば、ですが」
「最弱、ねえ。……最弱も群れれば最強になりうるんだよなー。ま、関係ねぇな。エーミール、お前がいるならな」
 頼りにされている事を感じながらエーミールはアメテュストをベルトアと同行させた。アメテュストが壊れないようにと忠告するルーミールにベルトアは弟分を壊すなどとんでもないと肩を竦める。
「っていうか……四天王の5番目ってなんだよ!!
 三人衆の4番目とか六神将の7番目って言ってるようなもんじゃん!! もうツッコミしかねえじゃんこういうの! もぉ!」
「……言ってやるな、エーミール。アイツらにそういうこと考える脳みそがあると思うか?
 数字がデカけりゃ強いって考えてる節がありそうで無さそうな奴らだぞ。その程度のツッコミはおそらく意味ないだろうよ」
「ギクッ」
 シュナルヒェンの肩が動いた。……もしかして図星だったのだろうか。
「お前等、四天王に数えられて居たわけではなくて魔王イルドゼギアに仕えていたトロル一族で、危険になったら逃げ隠れして命を繋いできたとか言わないよな?」
「ギクッ」
「勇者はアーカーシュに至っていない。エピトゥシ城は未踏の場所だと言われている――のに、此処に詳しいって事は先に逃げて還ってきたのか」
「ギクッ」
「「……」」
 エーミールとベルトアの冷たい視線を受けながらシュナルヒェンその1は一歩後退し――「あああああああ」
 勝手に罠に引っ掛かってワンフロア落ちていった。

成否

成功


第1章 第5節

天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
アルヤン 不連続面(p3p009220)
未来を結ぶ
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
リドニア・アルフェーネ(p3p010574)
たったひとつの純愛
フーガ・リリオ(p3p010595)
君を護る黄金百合

「やーいやーい最弱ー!」
 煽り続けるのは『夢先案内人』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)。とりあえず目の前の『アレ(シュナルヒェン)』をぶっ壊せば良いのだと簡単に状況を認識した。そう、魔王城は攻略中。
 100体も居るシュナルヒェンは数をじわじわと減らしているが――
「百体かぁ、ちょっと数が多すぎるよね。
 でも、自分で罠にかかってくれるのなら、そっちの方が攻撃で倒すよりも楽っぽいかなぁ」
 寧ろシュナルヒェンから何か情報が得られる可能性があると思えば、罠の排除を兼ねて戦う気力も生まれてくる『赤い頭巾の魔砲狼』Я・E・D(p3p009532)。ダメージ床の回避は飛行で行えるが、そうした行動を余り得意としないイレギュラーズのためにもシュナルヒェンを罠に嵌めていけば良さそうだ。
 製造プラントを見付けたリドニアは其れを破壊し続ける。シュナルヒェンが「駄目でしょ!」と母のように叱る声を遮ったのはЯ・E・Dのマスケット銃から放たれた弾丸。
「ついでにお聞きしましょう。魔王ってどれくらい強いんですの? これ位なら頭弱くてもわかるでしょう」
「魔王様は最強を目指されていたお方だ。
 お労しや……混沌世界(このせかい)のルールに嵌められてあの様な惨めな目に遭われようとも努力を怠らない……勇者だかミューズだか知らないが、手段を選ばなければ悪だなんて酷い話だ!」
「「そーだそーだ!」」
「いえ、手段を選ばないのは悪ではないかしら?」
 リドニアは首を捻る。声を合わせるシュナルヒェンに『常夜に潜むモノ』天之空・ミーナ(p3p005003)は「よくあるクローン怪人か?」と困惑するが――
「……何故、お前が魔王に付き従うのか、その理由はなんだ?」
「給料が良いからだ!」
「……」
 魔物の世界も結構シビアなのだと感じずには居られない。その背後でそろそろと動いていたのは『逆式風水』アルヤン 不連続面(p3p009220)。うぃ~~んと音を立てて首を振ったアルヤンはシュナルヒェンを罠にかけるべく落とし穴の前で待機する。
「ここっすよ。自分は逃げないっす。てか逃げれないっす」
「なっ、扇風機――! 二足歩行である時点で俺達の方が強いのでは!?」
「そうだ、そうだ! 最弱の座を譲るわけには行かないぞ!」
「いや、ほしくないっす」
 ウィーーーン、と首を振るアルヤンを指差したシュナルヒェン達がずんずんと接近してくる。その様子を眺めて『黄金の旋律』フーガ・リリオ(p3p010595)はシュナルヒェンは見慣れてくると中々可愛いのかも知れないと何となく感じ始めた。とはいえ、数が多くわらわらと群がっていると流石に気持ち悪いとさえ感じるが。
 シュナルヒェンがアルヤンに気を取られているウチに製造プラントの破壊を試し吹き鳴らしたトランペット、青い衝撃波はシュナルヒェンをアルヤンの元へと押し遣って行く。
「製造プラントの数は割りと多いんだな……。シュナルヒェン達の軍団が多く居る奥の部屋も気になるが……」
 何があるのだろうと首を捻ったフーガにシュナルヒェンは「秘密!!」と声を荒げた。
「それよりも、最弱は譲らないぞ~!」
「――残念、後ろっす」
 ずん、とシュナルヒェンを押し遣ったアルヤン。フーガはシュナルヒェンが落とし穴に落ちていく様子をスローモーションで眺めていた。
「わあ……」
 呆然と見詰めていたのは『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)。罠の排除を行い攻略を進めて行くフラーゴラ。
 随分と罠の排除も進んで来たがシュナルヒェン達が罠の位置を把握しているからかアラームの対処は行いやすい。
 罠の解除を行った部分にはハートマークでの対処済みの証を作った。
「ん……? なんだか、ぐるぐる、同じ場所を動いてる……かな?」
 地図を作りながら進んでいたフラーゴラはシュナルヒェン達が各層としている通路がある事に気付く。
 どうやら、魔王城の奥に繋がった道には進ませまいと数の暴力で対処してきているようだが。
「この奥に、何かあるの……?」
「ギクッ、べ、別に~~~」
「負けそうだから逃げよう何てしてませんしー?」
 ――負けそうだから逃げようとしているのだろうかとフラーゴラが首を傾げればミーナはやれやれと肩を竦めた。
「シュナルヒェン、だったか。てめーの本来の棲家はどこだよ?」
「本来? 魔王様の傍だ!」
「うまい酒を持ってるとか聞いたが、本当か?」
「勿論。トロル一族の酒は美味いぞ~~!」
 捕縛して一生酒作りを行われそうな最弱四天王にミーナは案外悪い奴ではないのだろうかとも感じ始めていたのだった。
「んんんーー。ねぇ、そこの罠にかかった人。
 四天王の5人目が居るって事は、もしかして6人目とか7人目もいたりするの?」
「四天王なのにそうも沢山ナンバーズがいて溜まるか!」
「そうだそうだ!」
 自分のことを棚に上げるシュナルヒェンにЯ・E・Dは遠い目をした。

成否

成功


第1章 第6節

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼

「ねぇ、四天王なのに五人いるとかどうなってるの? 本当に四天王なの? 大丈夫?
 一人だけ仲間外れが嫌だから勝手に五人目の四天王を名乗ってるとかじゃないのよね?
 もしそうだったらすごく悲しいのだけど。本当に大丈夫? ……そう、それなら良いのだけど」
 気遣う『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)にシュナルヒェンは「寂しい子みたいに言わないでよ」と噎び泣いていた。
 可哀想なシュナルヒェン。『凶狼』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)のように「わーはっはっは!」といきなり登場し、びしりと指差し酒の強奪を狙った方が彼等にとっては心は傷つかなかったのかも知れない。『最弱』のシュナルヒェンは心も最弱なのだ。
「四天王の5番目だか最弱だか知らねーのだ!
 大事なのはただ一つ! シュナルヒェン! てめーの持ってる秘蔵の酒をありったけ寄越せ! なのだ!」
 シュナルヒェン達が秘蔵の酒を手にしていることは明白だ。どうしてなのかは分からないがさくさくっと罠を回避しながらフルールは此処でシュナルヒェンを倒し、ついでにヘルミーネが狙う酒を幾らか手許に集められればとも考えていた。
「おら! 酒寄越せなのだ!」
(……酒を持っているだとか、魔王城に詳しいだとか。何だか不思議な存在ね?)
 本当に不思議な存在なのだ。『群鱗』只野・黒子(p3p008597)は一足送れましたかね、と周囲を確認しながら罠の所在の確認などを行った。
 並行して罠の多い場所こそがプラントの密集地帯だろうと考えシュナルヒェン達を押し込んで行く。
 ――因みに、その勢いの儘押し込まれたシュナルヒェンは数を大幅に減らし魔王城の奥深くに押し込まれつつあるのだが……。
「ふははは!何やら最弱を自称する獲物がいるようだね! ヴァリューシャ! きっとそいつはお酒を隠し持っているに違いないよ!」
「おほほほ、腰にお宝(お酒)を吊り下げてのこのこやって来るだなんて、狩ってくれと言っているようなものでしてよ!
 さあ、そのお酒を渡すか、命を差し出すか、どちらでも好きな方を選びなさい! そして、そのお酒の製造施設がどこにあるか吐きなさい!
 行きましょう、マリィ! お酒飲み放題が私達を待ってございますわ!」
『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)は最早悪い顔をしていた。
 何方が敵なのか分からない勢いでシュナルヒェンの酒を狙っている。
「早速のこのこと現れたね! お酒を置いて立ち去りたまえ! え? 倒さなきゃ駄目なの?
 わかった。このマリア油断せん! 行こう! ヴァリューシャ! あ! ダメージ床とか罠があるみたいだし気を付けるんだよ!?」
「ギエッ!? 罠なんて酷いですわー! 酒を飲んで回復しなくてはなりませんもの!」
「そうだねヴァリューシャ! お酒を強奪してHPと心を回復しよう!」
 じりじりと迫ってくるヴァレマリペア。彼女達とヘルミーネの勢いを確認しながら黒子はふむ、と呟いた。
(此の儘、奥に迫ればプラントが存在して居るか……それともシュナルヒェン達に撮って何か隠したいものがあるのだろうか)
 首を捻る黒子の隣で周囲を巻込み攻撃の手を緩めない『不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)はシュナルヒェンの名を叫ぶ。
「君は何人目のいびきなのかな? 水晶は破壊したくないけど巻き込んじゃったらごめんねー!」
 興味深いものが隠れているのではないかと辺りを見回すヨゾラ。
「五人目の四天王×沢山……四天王や魔王を倒させない為の盾役兼囮役の一族なのかな?
 シュナルヒェン、確か『いびき』って意味だし。もしかしたらどこかに寝ている本体がいたりして……ね」
「ギクギクッ、本物のトロルの王はもういないなんて嘘だよ!」
「ギクギクッ、そうだそうだ! 変な特務ナントカとお前等が攻めてきて慌てて逃げたとか嘘だ!」
 ――嘘じゃ無さそうだ。四天王や魔王の為の盾として懸命に戦ってきたトロル一族。給与が良いからと戦っていた彼等の護るものがヨゾラはどうしても気になった。
「何もないよ! コッチには! 何もないってばアアアアアアギャアアアアアア」
 落とし穴に落ちていくトロルの腰をぐっと掴んでヴァレーリアは「酒!」と叫ぶ。「うわああああ酒が逃げるのだ!」とヘルミーネも負けじと腰紐を掴んだ。入った酒瓶だけが救出されシュナルヒェン(その1)が無情にも落ちて行く。
「……凄く悲しい現場を見てしまったのだけれど。大丈夫? 一族の皆はさっさと撤退した? そう、撤退したのならいいけど……」
 フルールはこの先に何かあるのね、とそろそろと見遣った。ヨゾラが興味を惹かれた扉を開いたその向こう側――
 丁度セララやハイデマリーが気にしていたゴーレムの整備室のような部屋に三人程度のシュナルヒェンが隠れておりぎくりと肩を揺らした。
「ギャア、此処まで来た!」
「くそお、ゴーレムちゃん、もう力になれないごめんね!」
 彼等は彼等なりの技術でゴーレムの整備を秘密裏に行っていたのだろうか……?

成否

成功


第1章 第7節

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
終わらない途
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛
百合草 瑠々(p3p010340)
偲雪の守人

「……此処にきてお前が役に立つとはなァ。その名の通り、神か悪魔か……見せてもらうぜ。お前の力」
 声を掛ければ『神か悪魔か』は嬉しそうに腕を振り上げた。折角のゴーレムだ。
 壊れないように時を配る『朱色の決意』百合草 瑠々(p3p010340)は仲間達が見付けたというゴーレムの整備室があれば多少の無茶からでも『神か悪魔か』の整備を行ってやることは出来そうだと感じていた。
 旗に乗せた勇気は史に急ぎではない。何せ瑠々が身を張ればゴーレムとて前線に出てこようとするのだ。
「Nya――hahahahaha! 最弱ならば最弱らしく、私を囲み給えよ」
 同じく自身を盾とする『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)の声音も響く。
 シュナルヒェン達の数は随分と減った。流石は歴戦の猛者であるイレギュラーズだ。一人2匹程度の計算でも悠々にクリアして魔王城の探索にも大部分を当てられている。
「おい、お前らのコピープラントはどこにある? もし話してくれたら見逃してやってもいいぜ?」
「ククク……聞いて驚け。我らシュナルヒェン、トロル一族はコピー体ではないのだ!
 そう。落とし穴に掛かった我らの同胞も皆、しっかりと城から逃げ出し新天地で悠々農家にでもなるであろう!」
「実に愉悦! 実に愉快! 私とて幾度ものも語りを見てきたが――」
 実に生を謳歌して居るではないかと手を叩いて喜んだオラボナにそんなもんかと瑠々は肩を竦める。
「全くあれだけの量のクローンを作るのに必要な資材とかどうしてんだ?
 酒も持ってるんだとしたら上手くやれば酒を製造する施設に……いやそういう技術的なことは頓珍漢だからわからんが」
「酒の醸造はこの城でしている!」
 思わずどういうことだと問うた『乗り越えた先』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)に素晴らしい答えが返ってきてしまった気がした。シュナルヒェンの言葉を信じるならば、彼等は落とし穴に落とされた者から逃げ果せて何処か遠くの地で魔王とは関係なく過ごそうとしている可能性がある。
 製造プラントの整備や酒の醸造などを行っていたとすれば其れこそ生活力は抜群だ。
「そうだなアラームが鳴った部屋に罠が大量に仕掛けられているなら面白いな。
 床罠を引っ剥がして繋ぎ合わせて序にこの火が出るオーブも投げ込んでおくか、これで良し……で、最期は――」
 シュナルヒェンが罠に嵌まって大量の酒を強奪し魔王城を制圧した後に祝勝の宴ででもトロル酒を祝い酒に出してやれば良いのだ。
 何とも言えぬシュナルヒェンの有効活用。『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)は頭をぽりぽりと掻いてからふむと呟いた。
「五人目の四天王…練達の異世界地球の歴史の本にはそう書かれてあったような……。
『最弱』と言っても油断は出来ないのう……戦闘が最弱とは言っていないから……」
「技術力だと『最弱』とは言えないかも知れないわさ」
 オウェードは果ての迷宮で共に駆けたことを思い出すと『総隊長』ペリカ・ロズィーアン(p3n000113)へと言った。
「そうだねぃ。面白い場所じゃないか。ここは。『何と云っても果ての迷宮宜しく』いろんな設備が整っているからねぃ」
 ペリカの言葉にオウェードは頷いた。製造プラントだけではない。どうやら酒の醸造を行えるだけの施設が多いのだ。
「おねーさんでーっす! 『最弱』のシュナルヒェン……つまりか弱いトロルさんがいっぱいということよね!
 うう、どうしましょう、どうしましょう! 護りたくなっちゃうのだわ! いけないわ、心乱されそう!」
 頭を振った『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)は堂々と罠を看破し続ける。ガイアドニスが「あっちにいこうかしら?」と首を傾げればオウェードは「そうじゃのう……」と一旦落ち着き払い、罠の在り方などから先を見据える。
「罠は看破するわ! おねーさんに任せて! イレギュラーズは小さくってか弱い子も多いもの!
 そんな子達が引っかからないようおねーさんが護るのだわ! 鍵だってちょちょいのちょいなのでっす!」
「なら護って貰おうかねぃ」
 疲れたとでも言いたげなペリカに「あらあら」とガイアドニスは笑う。落とし穴や床などは身長とパワーで埋め立てる勢いで『おねーさん大暴走』中なのである。
「今日のおねーさんはブルドーザーね! 整地しちゃうのだわー!」
「ひゃっはー! パリピJKの空間にするんよ。ヘーイ、らっしゃーい! 秋奈ちゃんのプリンかけご飯ショップ、開店だぜーいっ!
 プリン、あっためますかァー!? ハイヨロコンデー!! パカッポイッバタンッピッ! ウェイウェーイ! なんつってなー! 背中バンバン!」
 勢いでシュナルヒェンを落とし穴に叩き落とす『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)を見てからガイアドニスはにこにこと笑っていた。
「シュナルヒェンちゃんよぉ……ちゃんと四天王のお仕事やってるぅ?
 プロなんだからさあ、もうちょっとちゃんとイレギュラーズを制圧してくれないとさあ。魔王様に報告できないんだよねえ?あとこの書類今日までね」
「一番魔王様に尽くしてきたと思うんですけどォ!」
 涙ながらに叫ぶシュナルヒェン。秋奈は「ほーーらほらほら! この先に何があるか言ってみなよ!」と叫んだ。
「娯楽室です!」
「は?」
「四天王の皆さんが麻雀したいって言ってたので雀卓用意してます!
 あ、あと、『魔王様ゲーム』の準備もしてます! 虐めないで! 最弱だから!
 最弱だから『魔王様だーれだ』『わーーれだ!』ってする魔王様と四天王を見るの好きだったんです! ひい!」
「……」
 ――意表を突かれた秋奈は其の儘シュナルヒェンを落とし穴に突き落としたのだった。

成否

成功


第1章 第8節

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
雨紅(p3p008287)
愛星
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
優しい白子猫
雑賀 千代(p3p010694)
立派な姫騎士

「折角の四天王が五番目、なのですけど……こうも何百もの四天王と戦っておりますと、インパクトが薄れてしまいますね」
 場を整えて起きましょうと『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)は淡々とシュナルヒェンを引き連れて罠の感知を行った。
 実にその罠の対処方法というのも彼女ならではだ。
「罠の対処方法をお教えしましょうか」
「その、あれだろう、なんか感知できる奴が!」
「いいえ。漢探知、という言葉があります。平たく申しますと『罠は嵌って踏みつぶす』と云う事なのですが――別に罠に嵌るのは我々である必要は無いと思いませんか?」
 勢い良くシュナルヒェンを罠に嵌め続けた。実に淡々とした作業の状態ではある。
「ひ、ひええ……」
 その上からぶん殴った『立派な姫騎士』雑賀 千代(p3p010694)は涙を浮かべながらミサキちゃんに絡みつかれていた。
「私知ってます! 『四天王の五番目』とか『最弱』とか言ってる人が一番ヤバい奴だったりするんです!
 なので油断はしませんよ! 着実に一体一体片づけていきましょう!
 ……所でトロールって種によっては女子供に酷い事するって聞きました……まさかそんな事しませんよね?
 どうせ酷い事するつもりなんでしょ! 姫騎士みたい!! 姫騎士みたいに!」
「し、しないよ。ねえ?」
「う、うん。嫌がるのってダメだと思う」
 一寸優しいシュナルヒェンさんたち。トロル一族の皆さんは案外献身的な生き物なのかもしれない。
「たとえ体が穢されようとも……誇りまで穢されませんから! 私は屈しませんよ!
 ……って、ミサキちゃん!? 何故こんな時に絡まってくるんです! ……くっ! 殺せ! いっそ一思いに殺せー!」
 ぎゃあ、と泣き叫んでいる千代にシュナルヒェン一体が「ミサキちゃんやめてあげてよ!」と近付いて行く。その様子は宛らシュナルヒェンが千代を襲っているかのようで――ヘイゼルと『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)とその目があった。
「あ」
「……」
「あ、あの……?」
 誤解ですという前に祝音は纏めて攻撃を放った。
「最弱のシュナルヒェン……四天王の5番目で沢山いて……えっと、つまり……リレーの補欠?
 四天王が倒された後に補欠に入られたら困るし、ここで全部倒す……!
 えっと……やーい、数だけしかない自称四天王ー。くやしかったら、ここまでおいでー。後……なんか、ごめんね?」
 倒さねばならない相手である事に違いないなら攻撃する事は間違っては居ない。シュナルヒェンを薙ぎ払う祝音は「そういえば、ネコさんみたいな人とか居るのかな……」と呟いた。
「ネコさん飼うための部屋なら前に整備したよな」
「ああ、そうそう。アーカーシュの猫っぽいやつを魔王様が飼おうとした時だよな」
「キャットタワーあるよな」
 口々に語るシュナルヒェン達に「情報ありがとう」とぱちりと瞬いた祝音。そんな彼等は城の整備の大部分に関わっていたのだろうか。
 ならば、『刑天(シンティエン)』雨紅(p3p008287)の目の前にある製造プラントとて同じようなものか。
(最初から『そうであるよう』作られ、あまりに無造作に増やして……まさしく道具らしい扱いで……道具だって、選択肢を持ちうるはずなのに)
 生まれた本人に意思等亡く、其れで良いと言われれば口出しも出来ないが、雨紅は結局の所――
「少々、不快なので。破壊させていただきます」
 その結論に落ち着いた。シュナルヒェン達を薙ぎ払う仲間と共に進軍し、罠を避け製造プラントを破壊し続ける。
 淡々とした行動を後ろで見ていた『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は「あ、そうそう」と彼等に声を掛けた。
「オイシイ酒を持ってるって聞いたんだけれど、どんな酒? ちょっと分けてくれない?
 いや! 一応本来のモクテキも忘れてないよ?
 コイツらを防がないとセッカク出会えた島のミンナが大変なことになるし、鉄帝の本国まで悪影響出かねないしね!
 それはそれとしてイイ酒が有ったら陛下やラド・バウのミンナのオミヤゲに持って帰りたいからね!」
「『魔王殺し』って酒が一番美味しいですよ」
「殺しちゃダメじゃない?」
 イグナートは真面目な顔でそう言った。どうにも彼等は魔王様が住みやすい空間を魔王城に作り出す役割を担っていたようにも思える。
 さすがは最弱。給与さえなんとかすれば寝返ってくれそうな気配さえひしひしとさせていた。

成否

成功


第1章 第9節

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
レッド(p3p000395)
赤々靴
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)
約束の果てへ
フローラ・フローライト(p3p009875)
輝いてくださいませ、私のお嬢様

(今回めざめたのは古の魔王達のクローン。しかしクローンが古の魔王が意図した通りに行動すると限らない。
 ならば、安全装置のようなものを用意しておくではないか、と。例えば、常に沸き立つ『破壊衝動』であり、その発生源がある、とか)
 そう考えていた『華奢なる原石』フローラ・フローライト(p3p009875)の眼前でシュナルヒェン達がせっせと荷造りをしている。
 ――『魔王さえも傅く』という噂もあるというシュナルヒェン。
 何か鍵を握っているのではないかと落とし穴に嵌まっているシュナルヒェンを見下ろしてフローラは問い掛けた。
「魔王が悪いことをするのは何故か」
「魔王様は悪い事をしていたつもりじゃない! ただ『そうする事が最強への最短ルート』と『統治』だっただけだ!」
「よくある『最強』の在り方は万人には受け入れられぬと言うことか。
 ふむ、良く分かるぞ。それは『他者の評価』に委ねた結果だ! 四天王が5人いるのはまぁ分かるとして最弱とはこれ如何に。
 最弱とは他人が評価するもので、自分で最弱と冠するということは……どういうことなのだ?」
 お前の方が分からんと首を捻った『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)はシュナルヒェンにクレームを告げて居た。
「最弱ならもっとこうHP1とか分かりやすい特徴づけせねばならんのでは?
 貴殿、全然最弱ではないぞ。もうちょっと赤子並みに捻りやすい存在になってからやり直してくるがよい」
「あ、100体居るとか、一族総ぐるみで最弱のシュナルヒェン名乗ってるだけじゃだめですか!?
 しかも雇われ四天王でこの城の整備を担当していて娯楽ルームにジムにシステムキッチンまで完備したとかダメですか!?」
「……む、むう」
 取りあえず訳が分からないからとプラントをぶち壊す百合子は自身の足に張り付いておいといと泣き叫ぶシュナルヒェンに困惑していた。
「も、もう! 私だって鉄帝人だもの。そろそろ頑張らなきゃね!
 それに勇者が戦った敵と戦えるなんて素敵じゃない! ……なんだけど、ツッコミ所多いのは気のせいかしら?」
 折角ならば『最弱』のシュナルヒェンを倒して看守の力を誇り、勇者パーティーのマナセの話を聞きたかった『秩序の警守』セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)。彼女と縁の深い深緑の『クェイス』はマナセと親交が深かったらしい。
「ねえ、マナセさんって知ってる? 勇者パーティーの一員だったみたいなんだけど」
「マナセってあのちびっ子魔法少女? 何時もアイオンの傍でぴょんぴょん跳ねてたって聞いてるよな」
「ああ、そうそう。アーカーシュの石ころとか拾って投げてきて攻撃魔法ばっかり得意だって言う……支援が出来ないあの子だよな……」
 シュナルヒェンの思い出なのかそれとも、一族が記憶の書でも作成して共有しているかは定かではないが、マナセの話を土産話程度に聞けたセチアは「そうなの……」と頷いて感謝をしながら看守の力(語弊)でおもいきりぶん殴ったのだった。
「うーん、目の錯覚かと思ったら違ったか。残念だ。そうだったら良かったのに」
 何とも言えぬ状況だと頭を抱えた『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271)。製造プラントの動力源は何処だろうかと配線を辿って行くと辿り着いたのはシュナルヒェン達が作成したという電源が存在して居た。
 ご丁寧に『プラント用その1』などとラベルが貼られている。無数に電源は散らばっているのだろうが先ずは此の辺りの配線をショートさせて行くのも悪くは無さそうだ。
「こいつらは今以上には増えないのかな。増援はお断りなんだが。
 そういえば誰かリーダーとかいるのか? これだけの数いてそれぞれ勝手に動いてるとも思え……いや、ありえるか……?」
「うーん、クレカさん、この機械調べられます?」
 勝手に動いていると言うよりも、一族総出で動いている感じをひしひしと感じるラダの傍では『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)が頭を悩ませていた。
「……なんだか、この機械は近代的かも」
「ええ!?」
『境界図書館館長』クレカ(p3n000118)の見解では何だかとっても住みやすい魔王城ということである。
 魔王様のためにと誂えられたジムに、魔王様のためにと何故か作られた広めの厨房。それから、アーカーシュに存在する鉱石などで作られたゴーレムの整備部屋。
「う、うーん……でもどうしてっす? せっかく今まで逃げて生きてきたのになんで今になってこうして出迎えてるんっすか?」
「一族の命を繋ぐため!」
「つ、つまりは――『僅かなシュナルヒェン』を外に逃がしている時間稼ぎだったって事ッスか!?」
 シュナルヒェン達が外に逃げ果せていく時間を他のシュナルヒェンが稼いだのだろう。
 思えば100体のシュナルヒェンが迎撃してきたが、それが全てだとは言われていない。
「……ここまで居住空間を整えたから、捨てるのも惜しかったの、かな……」
 ぽつりと呟いたクレカにレッドは「それもありそうっすね……」と残り3体程度になったシュナルヒェン達を眺めていた。
 一先ずは捕縛して、仲間達が魔王城制圧に乗り出している今、その後の案内役にでもすればいいだろうか――

『最弱』のシュナルヒェンは負けましたと白旗を振ってイレギュラーズの前で落とし穴に嵌まっていたのだった。

成否

成功

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