シナリオ詳細
クラーケン潰して海水浴しようぜ!
オープニング
●神様ガチャノーマルレア枠『クソザコ神』
「今はイオーシャノーラドン神様がアツいッスね。一緒に聖歌を歌うッスよう!」
両手を左右に振りながら温泉ソングを口ずさむ童貞殺し。
『可愛い狂信者』 青雀 (p3n000014)。
頭上でなんかがガラガラポンと鳴ったかと思うと、ぴたりと動きを止めた。
「――クソザコ神」
またいつもの奇行が始まったと周りが距離をとりはじめた所で、近くの民家から高らかな笑い声が響いた。
民家っていうか、屋根からだった。
『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)だった。
「オーッホッホッホ! わたくしが神になったと聞きましたわ! 当ォー然ですわね! わたくし! イズ! ゴッド!」
余計なやつが加わった。
というか前にも似たノリでサイクロプスの群れに放り込まれたばかりなのに全く懲りる様子がないようだ。
「さあ、先輩方もクソザコ神様を崇めるッス。クソザコ神様はあらゆる世界を無限のチート能力でワンパン解決してきたッスよう。サイクロプスだって指先ひとるッス!」
「当ォー然ッですわァ! オーッホッホッホ!」
読者諸兄にローレット知識に詳しい方はおられようか。もしおられるなら気づくだろう。サイクロプスの群れに放り込まれてギャーギャーいってたクソザコ美少女を影から助けなんとかかんとかクソザコ美少女一人がやったことに仕立て上げた影の英雄たちがいることを。っていうかローレットのイレギュラーズだってことを。
「ああ、クソザコ神様! 本日もオーラが輝いて見えるッス! 本日のお祈りを! さあ、クラーケンワンパンの儀式に行くッスよう!!」
「当ォーッッ然ですわーッ! わったくしにかかればクラーケンなんて――えっクラーケン?」
「さあ! さあ!」
青雀はクソザコ美少女を馬にくくると、そのまま海へ向かって走り出した。
ドラップラー効果で去って行く悲鳴。
後日、ローレットの掲示板にこんな依頼が張り出された。
『海水浴がタダでできるぞ! イレギュラーズは○○海岸へ集合!』
- クラーケン潰して海水浴しようぜ!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年07月22日 21時25分
- 参加人数81/100人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 81 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(81人)
リプレイ
●戦闘シーン!? 二行で終われぃ!
「ぴぎゃああああああああああああん!?」
『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)がクラーケンにぺいってされた次の瞬間、一斉に飛びかかった大量のイレギュラーズによってクラーケンはぺいってされた。瞬きの暇もないくらいの瞬殺っぷりだった。
というわけで夏!
夏と言えば海!
海と言えばイカ焼きである! あれ!
「クラーケンはまだ食べた事がなかったね」
マルベートはトマトやパプリカや玉ねぎなどの野菜を使ってクラーケン肉を南仏風の煮込み料理にしていた。いきなり豪華なやつがおでましである。
紙食器で配られたティバンや凱たちは、それをひたすら無心に食べていた。
「これはイカ料理と呼んでいいのか? いや、でかいイカだからそうなんだろうが……」
「そういえば元の世界に此れと似たような見た目で惑星を食む巨大生物がいたな……」
「食えない事はないって話だから適当に食べるとするかねぇ。焼きは大味だったからな、調理するとなかなか……」
Morguxも加わって、マルベートの煮込み料理は好評なようである。
一緒に食べていた玲がハッとして振り返る。
「おかしい。私は娘と海水浴に来ていたはず。その娘の姿が見当たらない」
まあ、娘ももう13歳。親が四六時中付き添っても仕方ないですし。
ということで、玲はイカ料理チャレンジへと戻っていく。
勿論オーソドックス(?)に直火で焼きまくる人たちもいるようで、ゴリョウはクラーケン肉を一人分に切り分けては串に刺し、串に刺しては火にかけての繰り返しを祭屋台のおっちゃんもかくやという手際でこなしていた。
「おぅらっしゃい! 端に置いてるヤツは焼けてるから好きなように食ってくれ!」
タレに漬けたイカをひたすら焼くという調理法だが、これがなかなかに美味。
「でも俺は沖干しが良いと思うぜ! 今日はいい風だしな!」
その一方でイカを自前の船に干していくカイト。
二人の定番料理はいい具合に人気で、霧玄は別人格の零夜と会話しながら手に取った。
『へぇ、クラーケンのイカ焼きか! 味とかどうなんだろう! どんな食感してるんだろ!!』
『俺も楽しみだぜー! コリコリとかしてんのかな! 初めてだからとーっても!!』
『興味深いよね!! それじゃあ!!』
『クラーケン焼き頂くぜ!』
そこへパズズや世界樹も加わっていく。
「怪我人もなく……いや、一人哀れなヤツがいたが問題ないだろう。だって他の奴らも大して気にしてなさそうだシ。初めて食ってみた意外とウメーなコレ!」
「夏じゃ。海じゃ。イカだかタコだか焼きじゃ♪ え、くらぁけん? あぁクラーケンのう。食って良し、食べて良し、食して良し、で有名なあのクラーケンとやらじゃろ? も、もちろん知っておったぞよ」
「触手と聞いて!」
今が映り時とばかりにポーズ&スライドで現われるらむね(17)。
「……食欲を満たすタイプみたいですねコレ。えっちしーんで再生数爆上げを狙ったんですが。仕方ありません! ここはメスの顔ではなメシの顔でアイドルポイントの上昇を狙いましょう!!」
さすがはらむね。伊達に長年17歳をやってない。腕まくりして食レポを始めた。
「クラーケン焼きそばだとかにも挑戦してみようかしら?」
その一方で、竜胆は水着の上に衣を羽織って新しい挑戦を始めていた。
「はぁ、流石にこの時期に外で焼き続けてるとホント暑いわね。でも脱いでたら脱いでたで少し気恥ずかしいと言うか……」
その横ではアグライアが丁寧に醤油をたらしてやいていた。
「旅人の方から分けて貰った醤油風味の味付けも中々悪くないですね」
なんだか麺もあるし一緒にやりましょうか? と誘ってみる。二人は鉄板を並べてクラーケン焼きそばを作り始めた。
「大きい。沢山食べても平気?」
興味深そうにやってきた衣が両手に持ったクラーケン焼きを食べまくっていたが、アグライアたちの焼きそばにも興味津々な様子だ。あげてみると、とても嬉しそうに食べ始めた。
それまで黙々とクラーケンを焼いていたランバート。
温度視覚で職人芸みたいな綺麗な焼きを量産していく。今や彼は戦闘マシーンならぬイカ焼きマシーンだ。大量の人々が何かのチャレンジクエストのごとく食べまくっても大丈夫なほど、イカ焼きの山が積まれていく。
その横では華蓮がせっせとゴミを集めては袋に詰めてを繰り返していた。
両手の指じゃ数えられないほどの人数。もうちょっとしたイベントだけにゴミも沢山出るようで、華蓮は集めたゴミ袋を馬車に放り込んで、爽やかに汗をぬぐった。
「ゴミは残さず、来る前よりも美しくだわよ!」
クラーケンがイレギュラーズという巨大なビースト(?)によって順調に消化されているなか。
「くくっ、見える……あの生物を美味に仕上げようと意気込む、命の輝きが……! 誰も彼もがこの瞬間は眩いほど輝いている、あぁ実に素晴らしいなぁ
この輝きが生み出した料理はさぞかし美味なのだろう、今すぐにでも全て回り尽くし……おや」
アニーと竜祢が偶然遭遇していた。
アニーが自らの能力で丁寧かつ上手にクラーケン焼きを作っていた。
「やぁ鳳凰、こんな所にいたとは。もしやお前も……くくっ、皆まで言うまい」
「別に、あなたたちを喜ばせるためじゃないわ。折角の食材が粗野な炎で焼かれるのが苛立たしかっただけよ」
「うむ、素晴らしい! 料理に心を込めるという行為は、間違いではないものだ!」
「馴れ馴れしくするな。イカより先に、あなたを焼いてやろうかしら?」
また別の所では、ロクがノリノリでクラーケン肉を焼いていた。具合的にはなんかの音楽をながしながら焼いていた。
クリスティアンが音楽にあわせてゆっくり回っていた。
「夏だ! 海だ! イカ焼きだー!! イッカイッカ、イカイカ、イカポッポー!」
「イカパリィです!」
ラクリマも回っていた。
なんかそういう料理番組みたいだった。
スッとマヨネーズを取り出すラクリマ。
「イカとマヨネーズ。これは相性が抜群なんですよ」
「ハッハッハ、ほぼマヨネーズじゃないか」
とかいいながらコショウをぶちまけるクリスティアン。
「次は塩と醤油をぬりたく――あああああああ!」
わんこのおててで袋と瓶を持ち上げたロクが中身を全部ぶちまけた。
今日のお料理、『マヨと塩と醤油とコショウに埋没したイカ』。
「「「…………」」」
三人は暫く黙ってそれを見つめた後、そういうピンナップなのかなってくらい整ったポーズで組み合わさった。
「「「はい、イカパリィ!」」」
なんていう謎の番組を構築しているその横で、ヨランダがちゃっちゃとクラーケンを焼いていた。
「んー、いい匂いだ。さぁ焼けたよ鈴。どんどん食いなー?」
「鈴、イカさんも大好きですにゃ~♪」
鈴音が上機嫌でお皿のイカにフォークを突き立てた。
「美味しいですにゃ!タレがとっても合っているのですぅ! お姉様はお料理がとっても上手ですのー、鈴も見習うのですにゃ!」
「プハーッ! 熱々のイカ焼きを冷えた麦酒で流し込むのは堪んないねぇ♪」
ちゃっかりつまみ食いしてたヨランダ。それを鈴音が横から覗き込んだ。
「ヨランダお姉様、それはお酒ですにゃ?」
「飲みたいのかい? そう言うと思ってアンタには冷えた果実水を用意しといたよ」
「……果実水!わっ、冷たいのですぅ♪」
微笑ましいクッキングシーン。
その横で当たり前のようにカレーを作り始める小梢。
「シーフードカレーまったなし。クラーケンからはさぞや美味しい旨味成分がでることであろう、くっくっく」
その様子を、マリナがじっと見つめていた。
「確かにカレーは美味しいですけど……程々、程々におねげーします」
「ほどほど?」
「上限は大鍋10個分くら……いや多い気がしますが」
「えっ――」
既にカレーハイになって作りまくっていた小梢を、マリナが羽交い締めしはじめた。
「イェーイ、超イェーイ!」
「すとぉっぷ! ストップカレーです」
「HANASE!」
なんて具合に。
クラーケンはきっちりとイレギュラーズたちの胃袋へと収まったのだった。
●クソザコスイミング
皆忘れてるかもしれないのでもう一回述べておくと、クソザコ美少女は秒でやられて海に浮いていた。頭のドリルだけ水上に浮いていた。
「あぁっ、ビューティさんがまた大変な事に!? そういう星の下に生まれちゃったって奴なのかな?」
空を飛んでやってくるアリス。
とにかくこのままじゃいけないよとばかりにこう空から引っ張ったり引きずったりするカンジで砂浜へと引っ張り上げてきた。
駆けつける自称救護チーム。
クレッシェントが救急箱片手にずざーっとブレーキをかけた。
「もし彼女が僕の神様だとしたらおおごとです! 溺れて意識がない時はマウストゥマウスでしたっけ? でも大丈夫かなぁ。麗しきお嬢さんの口元に鎌先向けて…なんかヘンな勘違いされたりして。されないといいなー……あれ、そういえば僕口ないぞ」
ハッとするクレッシェント。
その横にずざーっとブレーキをかけるアルプスとクィニー。
「せーのっ!」
「あなたの救護はどこから!?」
「僕は気道から!!」
せいっとばかりに顎を強制的に持ち上げるアルプス。拳に力を溜めるクィニー。
「あなたーの腹に狙ーいを決ーめて――腹パンバッシュ」
「ぴぎゅん!?」
夏の空に鯨の潮みたいなヤツがあがった。
「オーッホッホッホ!」
といって右から左に流れていくガーベラ。
うーんといって意識を取り戻しかけたクソザコ美少女の枕元に、ラダがイカの串焼きを円形に並べていた。
「この美味い物にありつけたのは、この神のお陰らしい。供え物として幾つか捧げておこう」
「うーん、いかやき……」
「食べたいのか? さあ食べろ」
ジークが持ってきたイカ焼きを口にぐりっと突っ込んだ。
「あっつい!」
焼きたてのイカに跳ね起きるクソザコ美少女。
それまでの流れをまるで洗い流すかのごとく、ヨハンがずざーっと膝立ち姿勢でスライドイン。
「危ないのは めっ ですよー! 死んじゃったら僕悲しいですから!」
「え、あっ、どうも……」
「僕も頑張りますからビューティーさんもちょっとずつ強くなって、クラーケン倒せるようになるまで頑張りましょうっ! 今はたぶん海水浴とかで遊んでリフレッシュですよ!」
「かいすいよくですの……?」
それまでの記憶が飛んでるのか、クソザコ美少女はぼんやーりとあたりを見回した。コンテストのために仕入れた水着をきてきゃっきゃする男女がめっちゃいる。
レストが日傘をさしてふわふわやってきた。
「お久しぶりです、クソザコ神さまぁ~。クソザコ神様がクラーケンを倒すって街で噂を聞きまして、急いで馳せ参じましたぁすごぉい!もうクラーケンを倒しちゃうなんて、流石クソザコ神様だわ~。わぁ、すごぉい! もうクラーケンを倒しちゃうなんて、流石クソザコ神様だわ~」
「んっ……?」
「んー?」
ピンときてないという顔で首を傾げるクソザコ美少女だったが、順調に料理されていくクラーケンを見てがばっと立ち上がった。
「なんてこと! またわたくしの眠れる才能が開花してしまったんですのね! 罪! 強すぎることの、罪! こうなれば神の恵みを皆様に――ぺぎゅん!?」
高速で突っ込んできた戟の拳がクソザコ美少女の脇腹にクリティカルヒットした。
回転しながら飛んでいくクソザコ美少女。
目にグナグルゥッシャガオゥーの光をたたえる戟。
「ああっ、ビューティフルが窓にぶつかったセミみたいに!」
レンゲが駆け寄って抱き起こすと、ぼんやりしたクソザコ美少女が目を開けた。
「あ、あなたは……?」
「レンゲ・アベイユよ。子供だからって甘く見ないでね?こう見えて、数多の依頼でメインヒーラーを勤めてきたの! この間なんて凶暴なゴリラを4匹も相手取るパーティを後衛からバッチリ支え――ぺぎゅん!?」
脇腹にヒットする戟。回転しながら飛んでいくレンゲ。
砂のお城に頭から刺さった状態から秒で復活すると、戟の腹筋を両手でぽかぽか叩きはじめた。
「あなた、イカ焼きはどうしたの? まさか、腹パンのためだけに投げ捨てたの!?」
そんな光景をよそに、零がそっとクソザコ美少女のところへと寄っていった。
「お前のお陰でこうして海岸に来れてることだし、何かして欲しい事とかあるか? ……何ならフランスパンでもやるが」
「まあ! フランスパン!? 素敵ですわね!」
両手をぱちんと合わせて目をキラキラさせるクソザコ美少女。昨日の主食はクローバーとシロツメグサ。
零は圧に若干おされながらも、美味しいフランスパンをにょきにょきはやしてみせた。
「ううむ……ここまで来ると、ある種の敬意を覚えるでありますな」
碧がフランスパンもふもふしてるクソザコ美少女にお水を渡してやった。
「悩みの絶えなさそうな方ですし……お悩み相談ならお任せでありますよ。話してみては」
「えっ、なやみ? 特にないですわ。今パンおいしくて幸せですわ!」
「無敵かな?」
ハムスターみたいにもももももってパンを食べてるクソザコ美少女。ついさっきクラーケンに呑まれたばかり。
それからそれから。
「致命傷を負わないよう今のうちに泳ぎを少し練習してみようよ。両手を引くから、足をバタ足して顔を上げて息継ぎしてね」
なんやかんやでルチアーノが水着のクソザコ美少女の手を引いていた。
どうやったらそうなるのか、足と髪のドリルだけ水上に残してあと全部沈んでいた。
「ごぼぼぼぼぼぼ」
「うわー溺れちゃダメだって! 暴れないで落ち着いて―!」
「美少女が(また)溺れているじゃないか!」
サフィニアが駆けつけクソザコ美少女を抱え上げた。
「パッと見実力的にクソザコ級の戦闘力しかないけど大丈夫? でもその挑戦心は僕尊敬しちゃうよ! だからトレーニングしよう! 大丈夫、ここで会ったのも何かの縁、僕も含めてここの人達が君を鍛えてあげるよ!」
「えっべつにわたくし」
「ほらほら! 腕立て千回に腹筋千回、スクワット千回! 大丈夫、君なら出来る!」
「そう、できる。いや――やれ!」
水面下から飛び出してきたハロルドが、クソザコ美少女を抱えて浜へと投げ出した。
「夏、海とくればブートキャンプしかあるまい。神殿騎士団式ブートキャンプを行う! ははははは! おら! スクワット! スクワット! スクワットスクワットスクワットスクワットスクワットォ!! ツイストツイストツイストツイストだァ!! おいそこ!! 遅れてんじゃねぇぞコラァ!!!」
「ひー!」
なぜか巻き込まれたエマが剣を振り回すハロルドに脅される形でスクワットしまくっていた。
「し、死ぬ。死ぬ死ぬ。何時間これやってるんですか。これ、水。死ぬ。しぬ……」
「みなさん、おつかれさまです」
水ならぬアイスティをもって現われるSuvia。
クソザコ美少女やエマが死にかけているが、変わらずクールなSuviaである。
(筋骨隆々な方ってとっても魅力的ですよね。ブートキャンプならきっとそんな殿方との素敵な出会いもあるはず。わたしだってたまには熱い夜を過ごしたくなるのですよ、うふふ)
とか思いながら、テーブルで『神』と書いたラテアートを作ったりしていた。
「まだ水を飲むな! 丸太を持って走れオラァ!」
「「ひー!」」
その後、クソザコ美少女はなんだかんだ最後までやって白目を剥いて気絶したという。
●海水浴ですわ!
大きな鳥型のフロートに乗ってのんびりぷかぷか浮かぶアーリア。
どこからか取り出した酒瓶をうっとりと見つめる。
ふと見ると、シオンがドーナツ浮き輪でふわふわたゆたっている。
でもって、ミディーセラが箒型浮き輪でふんわりしていた。
「とてもバランスが悪いですね。私が改造した箒並です。このままではウォーカーの方が作ったという、いかとっくりとやらが楽しめません。アーリアさんのにお邪魔しましょう」
「あらあら。二人も飲むかしらぁ? のんびり飲んでいると揺れがどんどん眠気を誘う……わ……ねぇ」
「わかるー……船を漕いでる感じが……こう」
うとーっとした所で突然の波。派手に浮き輪ごとひっくり返るアーリアたちであった。
ざぷーんと流されてくるアーリアたちをよそに、ミルキィは砂遊びをしていた。
「砂遊びといったら大きいケーキ型のを作るのが王道だよね! 他のところだとお城を作る方がメジャーなんだ、そっちも面白そう! どっちがより大きいもの作れるか勝負してみるってのも面白いかも♪ よーし、どこまで大きい砂ケーキ作れるか挑戦だー☆」
「しっかし、砂遊びってのは見た目以上に難しいなオイ。豆腐作んのにも精一杯だ」
どこか清々しく額をぬぐうアラン。
「水をつけて固くして」
『こっちは通れるようにして…ここはアーチ状にして』
「平べったい石とか細い石で調整して……」
『ふふっ。皆はどうかな?』「ええっ!?砂でお菓子!!」
『他には!』「どんなのがあるのかな?」
レオン・カルラも器用に砂のお城を作っている。
「二人とも器用だな。よし、俺もそろそろ完せ……あぁぁあああ!?」
ざぱーんと波がやってきて、シオンとミディーセラがもろとも流れてきた。
崩れる砂の聖剣。
たまにハプニングはあるものの、クラーケンの焼けた海は平和そのものである。
ソフィラとマナは浮き輪につかまってゆったりと波に身を任せていた。
「海は冬に海岸をお散歩して以来ね!あの時は海の水がしょっぱいなんて知らなかったからびっくりしたわ。ふふ、今回は飲んでしまわないように気をつけなきゃいけないわね!」
「昔の私ではこうして海で遊べるとは思いもしなかったでしょうね……。シェランテーレ様とご一緒できてとても嬉しいです……」
日差しと、海の冷たさと、二人の間に流れる暖かな時間。
ソフィラとマナはしばらくずっと、その時間に身を任せていた。
二人の時間といえば、ポテトとリゲルも腰がつかるほどの浅瀬でゆったりと過ごしていた。
「波で体ごとゆらゆらするし、波が小さい時は水の中も見えて面白いな」
水の中でリゲルの手をしっかりと握る。
「水平線を、海の中から眺めるというのも楽しいものだ」
「それは是非見て見たいな」
「けど……海よりも何よりも君が一番美しいよ」
「きゅ、急に何を言うんだ……! 海の方が綺麗だろう。でも、有難う……」
二人は手を引き合って、距離を近くした。
海の温度がほんのすこしだけ上がる頃。
ルーキスとルナールは波打ち際を歩いていた。
「水着なんて初めてだなあ。ねー似合ってるー? ルナール先生、感想プリーズ」
「うん、似合ってる。可愛い、すっごく可愛い」
頭を撫でられて、ルーキスは嬉しそうに笑った。
「似合ってるけど…ほかの野郎に見せるのはなー……ぶっ!?」
「いえーい強制ずぶ濡れだー」
渋い顔をするルナールに海の水をすくってかける。
ルナールは手をつかもうと、ルーキスはそうはさせまいと、二人して浅い波間を走って行く。
「ルーキス、捕まえた!」
手を掴まれたところで、ルーキスはご褒美にと口づけをした。
「ね、夏も悪くないでしょ」
「……うむ、ルーキスと一緒なら暑い夏も悪くない」
海も浜もアツい夏。
レウルィアとノースポールが手をとって海へ飛び出した。
「綺麗な海! 眩しい太陽! 最ッ高です~!」
青と白色のフリルビキニに麦藁帽子。ノースポールが振り返る。
「レウさん! わたし達もあれ、作りましょ!」
三人がかりで巨大な砂の城を作る人々を指さした。
「あれは、お城……? はい、作ってみましょう、です」
白色のロリータちっくな水着につば広の帽子を被り、レウルィアがほっこりと首を傾げた。
二人で砂の山をもりつけていく。
トンネルをあけて、二人の手がつながった。
「開通、しましたね」
ぐーぱーして笑うノースポール。
「レウさんが嬉しいと、わたしも嬉しいな♪ お誘いして良かった!」
遠泳にチャレンジするメルト。
そのずっと下。海の中を進むN123。
「いやぁビューティーさんには感謝だねー。なにか見つけたら拾ってあげようかな」
海に潜っては沈んだ綺麗なものを拾っていた。
一方でグレンはここぞとばかりに遠泳チェレンジ。
「泳ぐのは人並み程度だが、それなりにいけんだろ。うっかり流されちまわないよう、波の流れには気を付けて、っと」
グレンが遠くの岩へと泳いでいく。
そんな背景のなか、トルハがざっぱんと海から上がってきた。
「な、何だこれは!? 思っていたより泳ぎづらいぞ。……ふう。大人しく砂のお城でも建設しようじゃないか」
どうやら泳ぎに失敗したようで、トルハはあの足で砂をめっちゃ掘りはじめた。
「フハハハ!! 見ろ!! 私の城を!! 私は城主だぞフハハハハー!! これは素晴らしい出来だ!! 見よ、この難攻不ら――」
ざざーんと押し寄せる波。
落城! 風雲トルハ城、落城ー!
レイルディアと怨寿が右から左に流れていく。
「ほら、余り深いところに行くと溺れるわよ? きゃっ……やったわね、お返しよ!」
エリーナがペットと一緒に海を堪能している。
その光景を横目に、ミラーカは浮き輪でぷかぷかしていた。
「うう、デビルフィッシュ……よくあんなの食べる気になるわねー。魔女でも海の悪魔を食べるのは遠慮するわ。しかし見た目と裏腹に美味しそうな匂いとか……いやいや、気のせい気のせい。悪魔の誘惑ほど、甘いのよ」
ふるふると首を振って、日差しと波に身を任せてみる。
「眠くなっちゃうわね。まぁ、ちょっとくらい寝ても、沖まで流されるなんて、ことはないでしょ……」
そしていつしか眠りの中へ。
悠と黒羽が右から左へ流れていく。
一方その頃砂浜で。
沙愛那はオトナバージョンに変身していた。
白いビキニの刺激的な姿である。
「これで私はどう見ても大人の女性! ママには内緒で噂の『ひと夏のあばんちゅーる』を体験です! でも具体的には何すれば……」
よくあるビーチと違ってイカの食欲にグッときてるイレギュラーズばかりなのでナンパもされぬらしい。きょろきょろしていると……。
「夏だっ! 海だっ! 水着だーっ! いやー、やっぱ海は開放的になっていいなぁ。イレギュラーズって美人が多いから、こういう時に眼福だよなぁ」
割とオーソドックスな男性がやってきた。
みつきである。
みつきなのである。
首から上は一般男性だけど下はコンテストで用意したタイサイドビキニの美女だった。
トロピカルジュースでも飲みながらくつろぐみつき。
二度見する沙愛那。
変わった人が沢山いるなーという目で見ながら、リディアがくいくいと水着の肩ひもを引いていた。
「胸の辺りがこう、もう少しボリュームがあれば隙間が気にならないのですけど。ちょっと背伸びしすぎたでしょうか」
視線を感じる。コホンと咳払いをして、レジャーシートの上に寝転んでみた。
「波の音って聴いてると不思議と落ち着きますね」
なんて目を瞑ると、しだいに眠りの中へ。起きたときにはこんがり小麦色になっていることだろう。
海を右から左へ流れていくニエル。
「最近はよく変なナンパとかに遭ってゆっくりする機会が無かったから、ね……ゆっくり羽を伸ばそうかしら」
輪廻は身体にサンオイルをぬってのんびりとお日様に身をさらしていた。
意外とナンパしてくるパリピイレギュラーズはいないようで、平和で静かな時間が流れてゆく。
一方、オスヴァルトは準備運動をしっかりして海へ入っていく。
「帰りはシャワー浴びないとな。大事な毛が痛むし、体が痒くなるとか有ると嫌だし」
「ヒャア! こんないいビーチを使い放題とは、クソザコ女には感謝しねぇとな!」
横ではダニエルがダッシュで海へ飛び込んでいく。
「ビーチの端から端まで泳いでやるしかねぇ! ステイツで鍛え上げた俺の華麗かつ優雅なスイミングテクを見せてやるぜ!」
「本や人伝に聞いてはいましたが、これが海なのですね」
ノエルがなびく髪をおさえて波のきらめきを見つめている。
「私が暮らしていた森に流れていた川や、湖とは違う何処までも広がるこの光景……―言葉では言い表せませんね」
(最初は召喚された事にも戸惑ってはいましたが、この景色が見れただけでも良かったと、今はそう思います……)
クソザコ美少女の犠牲にいったん感謝して、周りに混ざって海へと入っていくノエルであった。
空をちらりと見上げるフロウ。
「人気の少ない海辺で釣れる貴重な機会……ですかね?」
皆が泳いでいないずっと離れた場所で、愛用の釣り竿を使ったのんびりとした釣りをしてすごしていた。
その遠くではネブラがディアローナと遊んでいる。
「あ、ほらほらディア、こんなのいたよ〜」
『な、なにそれ!気持ち悪い!』
「えっ、何ってなまこだけど〜? 触ってみなって〜、感触面白いよ〜」
『近づけないでよばかー!!離して!どっかにやってー!』
「それに珍味として食べるとこも……って痛い痛い〜、つつかないでよ〜!」
『もうっ! ネヴィなんて嫌い!』
「そう言わないでよ〜。ほら、綺麗な貝殻だよ」
なんて具合に、綺麗な貝殻をもらったディアローナが嬉しそうに機嫌を直していた。
「やっほー海だヨー! ぼっち参加じゃないヨ、海と一緒に遊ぶんだヨ!」
イーフォが上機嫌に海へと走って行く。
「今年の水着コンテストには残念ながら諸事情で参加できなかったケド。ほら、ラッシュガードにサーフパンツと準備は万端だヨ。魚人形態に戻って泳がないのかっテ? フフフ、それは野暮というものだヨ」
気になる視聴者(?)に説明を加えると、ホップステップジャンプで海へ飛び込んでいく。
「青い空、白い雲、心地よい波にこの浮遊感……夏の海というものはそれだけで心がワクワクするものだネ」
テンションはともかく感覚はわかるようで、桜も思い切って海へと飛び込んでいった。
「う、みー♪ 毎日暑くて変な依頼ばっかりで……そのストレスを海にぶつけるよ! 思いっきり!」
ばしゃばしゃと泳ぎまくり、海面から顔を出す。
「ふぅ、思いっきり泳いだら少しすっきりしたね♪ ふわっ!?」
何か流れていったのか、慌てて押さえる桜。
……そんなお約束な光景を、利香は体育座りをして眺めていた。
「い、依頼で泳げなかったの恥ずかしかったからじゃありませんよ?そんなわけないです! 練習してるわけじゃないですから!」
視聴者(?)に一旦説明を加えてから、すっくと立ち上がる利香。
「それはそれとしてせっかく仕立てた水着なので泳ぎますか。ビキニは泳ぐものなのかどうか知らないですけど、っと」
ちゃぷちゃぷと海に入っていく。よほど深い所に行かない限りは案外水泳技術がいらないもので、波にゆられているだけでも心地よいもの。
しばらくちゃぷちゃぷやっていると、Lumiliaが静かに海へと入ってきた。
「せっかく水着も届きましたし、持ってきましたし、あっさり平和になった海ですし。海中をゆったり散策したいですね」
こっちも一旦説明(?)してから、利香と一緒に海に浮いてみる。
「海底を自由に泳げたらきっと気持ちが良いのでしょう。空を飛べる私たちが言うのも贅沢かもですが、こういうときは海洋の種族が羨ましくも思います」
ちらりと互いを見てみたが、交わす言葉も徐々に少なくなっていく。いらなくなってゆく。
幻想的で、どこか美しい世界。静かで、現実的で、日の光も僅かな底は冷え切っていて。夜の森のようで……。
遠い喧噪と、まぶしい日差しと、揺れる波と、どっかで溺れるクソザコ美少女と……。
今日の残りは、平和な休日。
それでいい。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ジャパンでももうあちこちで海開きがなされていて、すっかり海のシーズンになりましたね。真夏の日差しと海の波は落ち着くもので、皆さんにも人気でした。なんだか、海に行きたくなってきますね。
GMコメント
ごきげんよう。またクソザコ美少女が酷い目にあってる。いいぞいいぞ。
クソザコ神がワンパンでクラーケン倒せるぜつって狂信者ちゃんがクソザコ美少女を簀巻きにして海に放り込みました。
海水浴場を管理する貴族はそりゃーお安いといって終わるまでタダで海水浴してていいよと開放してくれています。
こりゃタダ乗りしない手はねーな!
100人がかりでシュッと倒して海水浴&イカ焼きパーティーだ!
※この依頼に戦闘シーンはありません。一行か二行でおわります。戦闘プレイングがあってもカットされてしまうのでいっそ書かないようにしましょう。こいつはレジャーだぜ! 海が呼んでるぜ! イエー!
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このシナリオはイベントシナリオです。
全体的に三つのパートで構成されていて、参加PCはその全部に一応参加している扱いになっています。
ですが尺の都合で『全体のうち1パートのみ』を描写することになりますので、プレイングも1パートに絞ってお書きください。
●プレイング様式
ご参加の際はプレイング冒頭に【イカ焼き】【海水浴】【クソザコ美少女にからむ】のいずれかを括弧つきでコピペしてください。それが描写パートとなります。
お友達とご参加の際は『ビューティフル・ビューティー(p3n000015)』のように名前をIDつきで記載してください。最低でもIDが無いとはぐれちゃうおそれがあります。
五人くらいのグループで参加する際は【クソザコ教団】のようにグループ名でまとめてもOKです。
でもパートをまたいでのグループ参加は描写の都合上できかねますのでご注意くださいませ。できるだけ参加パートをあわせるようにして下さい。
●パート解説
【イカ焼き】
倒したクラーケンをめっちゃ喰います。
クラーケンってイカなのかタコなのかわかんない中間くらいの生き物らしいんですが、とりあえず焼けばくえるらしいです。
他の料理にも挑戦したい方どうぞ。ぜひぜひ。
【海水浴】
クソザコ美少女が白目剥いておぼれたおかげで海がタダで使えるぞ!
水着に着替えて遊びに行こう!
貴族のプライベートビーチなので他の客はいません。
すきにつかおう! 怒られない程度に!
【クソザコ美少女にからむ】
一応用意しておいた枠です。
クラーケンに秒でやられたクソザコ美少女を介抱したり遊んだりします。
余談ですが青雀ちゃんはとっくに飽きて別の現場で別の神をあがめてますので、ここにはおりません。
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【アドリブ度(控えめ)】
イベントシナリオでは全体的にアドリブ控えめでお送りしております。
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