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シナリオ詳細

<Chaos Cherry Blossoms>春が彩る砂漠の地

完了

参加者 : 53 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春色のオアシス
「…………ラサで?」
 その依頼書──というか花見のチラシ──を見た『Blue Rose』シャルル(p3n000032)はたっぷりと時間をかけて眺め、ひと言そう呟いた。
 ラサといえば砂漠の地、というイメージがあるものだが。
「はい! あるオアシスに桜の木が植えてあったらしいのです。今はラサも桜色ですよ!
 ボクとしてはですね、この桜バザールが気になるのです。このオアシスで1番大きな規模のバザールなのですが、桜にちなんだ物を売っているんですって! 売るのがこの時期だけ、って言われるとついつい見に行きたくなっちゃいそうですよね。
 あとは普通のバザールも開いてますし……あっ、湖に囲まれた場所を広場として使うらしいのです! 好きに過ごしていいそうですから、一休みにどうでしょう? 仲良しさんと買ったものを交換してみたりしてもいいと思うのです。うぅ、いいなぁボクも行きたいのです──」
 じと、とユリーカがシャルルを見つめる。目を瞬かせた彼女は少し首を傾げてみせて、暫しののちに口を開いた。
「……お土産でも買ってくればいい?」
「お願いします!!」
 ユリーカがぱぁっと顔を綻ばせる。シャルルは1つ頷くと共に話を聞いていたイレギュラーズへ視線を向けた。
「アンタたちはどうする? ユリーカへのお土産はボクが探すから気にしなくていいけど、多分桜バザールって珍しいんでしょ?」
「珍しいのです!」
 ユリーカがすかさず肯定する。一瞬そちらへ視線を向け、「だってさ」とイレギュラーズへ向き直って。
「気になるなら、とりあえず行くだけ行ってみればいいんじゃない? ただぶらついて商品を見るだけでも楽しいだろうし、ね」

GMコメント

●出来ること
バザールを楽しむ
広場で何かする

●選択肢1【バザール】
 バザールを見て回り、品物を買うことができます。
 通常のバザールの他に『桜バザール』という桜に関した商品のみを取り扱うバザールが開かれています。アクセサリーや洋服、小物、家具なども売っていることでしょう。
 尚、本シナリオで購入してもアイテムは手に入りません。

●選択肢2【広場】
 3方向を湖に囲まれた広場です。広いです。地面には草が生えています。中央には大きな桜の木がそびえ立ち、満開の桜が見られることでしょう。
 休むも良し、買った者を見せ合うも良し。何をしても構いませんが喧嘩はご法度です。

●ロケーション
 天候は快晴。
 U字型の湖に沿ってバザールが開かれています。このオアシスに植えられている木は全て桜です。

●NPC
『Blue Rose』シャルル(p3n000032)
 ユリーカのお土産探しにバザールを回ったり、休憩に広場へ向かうつもりです。
 その時々に話しかける、買い物に同行する等、好きにお声がけ下さい。

●注意事項
 本シナリオはイベントシナリオです。軽めの描写となりますこと、全員の描写をお約束できない事をご了承ください。
 アドリブの可否に関して、プレイングにアドリブ不可と明記がなければアドリブが入るものと思ってください。
 同行者、あるいはグループタグは忘れずにお願い致します。

●ご挨拶
 愁と申します。
 秋に引き続き春のぷち連動を企画させていただきました。だって日常系イベシナって楽しいもの。
 買い物を楽しんだり、広場でお花見してみたり。武器を抜くようなことがなければ何をして頂いても構いません。
 毎度のことですが、私のイベシナに限り場所タグは必須ではありません。同行者は(いるのなら)必須です。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • <Chaos Cherry Blossoms>春が彩る砂漠の地完了
  • GM名
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2019年04月15日 22時25分
  • 参加人数53/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 53 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(53人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)
讐焔宿す死神
チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
魔動機仕掛けの好奇心
エマ(p3p000257)
こそどろ
上谷・零(p3p000277)
出張パン屋さん
ルアナ・テルフォード(p3p000291)
絶望を砕く者
ポテト=アークライト(p3p000294)
ハニーゴールドの温もり
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
拵え鋼
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
黒焔纏いし朱煌剣
モモカ・モカ(p3p000727)
ブーストナックル
コラバポス 夏子(p3p000808)
今日も良い日だ
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
伏見 行人(p3p000858)
精霊の旅人
リトル・リリー(p3p000955)
緋色の翼と共に
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
セレネ(p3p002267)
珠々祈り
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
アニー・メルヴィル(p3p002602)
お花屋さん
ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)
烈破の紫閃
十六女 綾女(p3p003203)
毎夜の蝶
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日の魔法少女
藤野 蛍(p3p003861)
二人でひとつ
レスト・リゾート(p3p003959)
夢色観光旅行
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
シラス(p3p004421)
桜咲 珠緒(p3p004426)
二人でひとつ
ハロルド(p3p004465)
聖断刃
辻岡 真(p3p004665)
旅人
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
ノブレス・オブリージュ
ロク(p3p005176)
クソ犬
凍李 ナキ(p3p005177)
生まれながらの亡霊
津久見・弥恵(p3p005208)
魅惑のダンサー
アニーヤ・マルコフスカヤ(p3p006056)
鋼鉄の村娘
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘いかおり
ユー・アレクシオ(p3p006118)
不倒の盾
ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
パーシャ・トラフキン(p3p006384)
召剣士
イルーネ=ハエン(p3p006614)
森の子
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
黒鴉の花姫
シュテルン(p3p006791)
こころの花唄
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
おもちゃのお医者さん
リナ・キャロル(p3p006993)
忘却のコーラルレッド
ビーナス・プロテウス(p3p007066)
渇愛の邪王竜

リプレイ

●桜に集いしロリババアたち
 何やら神のお告げがあった気がした。何やら今日は、あの広場を通りすがる者の家畜やロボットを見守らなければいけない気がした。
 故に。
「ロリババア、広場へ行こう!」
 ラサへロリババアを伴ってやってきたロク。「あの時産まれたロリババアが来てる!」と駆け寄って行く。
「はろー王子! ロリババア元気だった?」
「勿論さ。僕の所にいる子全員ではないけど、たまには彼女らもイベントに連れて行ってあげようと思ってね」
 かく言う王子──クリスティアンの周りにはロリババアが4頭。まだいるのか。
「大切に飼育してくれてるんだね! ありがとう! アンジェとガーネット、ツバキもエリヤも来てくれてありがとう!」
 老婆の声で鳴いたロリババアたちは、クリスティアンに促されて姉妹たちとの交流へ。入れ替わりでやってきたのは真とポテトだ。
「こんにちは、ロクさん」
「ロク……というかロリババアは招待ありがとう。前回の集会もすごかったが、今回もすごいな」
 謎の招待状により、ここまで子ロリババアのオーナーが集うこととなった。こんなにも集まったのは2度目だろうか。
「正式にお会いするのは、このコをいただくキッカケになったオフ会以来ですね」
 真はこの子、とノギクを手で示した。ちょっとだけ困らせることもあるけれど、明るく元気溌剌とした逞しい旅の友である。
「それは良かった! これからも大切に飼育してあげてね!」
「ええ。こんな良い娘(コ)をくれてありがとう。……あ、それと──食べないからね? ノギクは俺の大事な足で旅の友だから」
 それじゃ、と去る真とノギク。ポテトはそれを見送るとロクへ差し入れを渡した。
「私のクララは仲間と交流しているが、良かったらひと声かけてやってくれ」
「牛肉のステーキサンドとクッキー! いいの? ありがとう! 後で声かけに行くね!」
 ポテトは1つ頷いて踵を返す。その後ろ姿を見送ったロクは、メカ系ロリババアたちの集団に駆け寄っていった。
「はろー! はろー! 仲間同士で情報のやり取りは済ませた?」
 元気良い彼女の声に、幾重も老婆の声が重なった。
「どうだ、綺麗だろ──」
満面の笑みでイシュタムを見下ろしたリゲル、自らのマントを食われかけギョッとする。普段はロープを食べているのだが、代わりにとマントをくれてやるわけにはいかない。
 オーナーの皆に挨拶をしたリゲルはロリババアたちの頭を撫でて顔を綻ばせる。皆可愛らしく、そしてこの数と種類には無限の可能性も感じさせるほどだ。
(親は全ての子の名前と顔を把握できるのだろうな)
 ──父は、どうしているだろう。リゲルのことを忘れないでいてくれているだろうか。
 ふと過ぎった思いにリゲルは目を細め、薄青の空を見上げた。
(桜……か)
 懐かしいと感じさせるのは、故郷を想うが故か。それとも1年という時を思い返して懐かしくさせるのか。
 周囲を舞う精霊と都ロリババアのルフナと共に花を見ていた行人は、不意に袖を引っ張られた。
「ルフナ、どうした?」
 その動きはまるで誘導するかのよう。疲れてしまって休みたいのだろうか。
 導かれるまま足を進めると──幾重もの老婆の声。その中に見知ったコヨーテの姿もある。
「はあ、そう言う事か、ルフナ」
 察した行人、しかし桜舞う雰囲気を壊さまいと「騒ぎたいのはわかるけど、穏やかに……ね」とルフナへ微笑んだ。
「ほほう、ボタンよ。謎のロリババアソウルに導かれて来てみれば──ボタンの姉妹がいっぱいいるではないか」
 にっと笑みを浮かべる美少女。チェルシーというロリババアはポスター撮影の為に──シャイネンナハトの時であろうか──立派なステーキとなったが、これだけ仲間がいればボタンも今日は寂しくあるまい。
「うむ、今日はよく遊びよく食べ、チェルシーに負けぬ食肉となるのであるぞ」
 老婆の声で答えるボタン。百合子は『今日はボタンの為に時間を使う』とバザールへ桜にちなんだ食べ物を買いに行くのであった。
 ──全てはロリババア肉のために。

(絶好の買い物日和だ──)
 空を見て目を細めていたシラスは、ふと袖を引かれた。何となしに振り返るとシラスはギョッとした表情を浮かべる。
「肉屋へ売り飛ばしたはずなのに……お前」
 そこにいたのは野ロリババア、ミツバ。もうステーキになっていると思ったが──いや、これはもう一度売れるチャンスかもしれない。
 ミツバは考えを知ってか知らずか、ニィと口角を上げて。再びシラスの袖を咥えるとどこかへ引っ張っていく。困惑しながらついていけば、ロリババアがやけに多い広場へたどり着いた。
「くっほとんどホラーじゃねえか」
 まだ日中で幸いだったかもしれない。
「わぁ! すごいね、プロテアちゃん」
 ビーナスが遠目に眺めるのはロリババアやその子どもたち。気まぐれにやってきたのだが、プロテアと同じような集団に会うとは思ってもみなかった。
「なんだここは……? 子ロリババアだらけじゃねぇか」
 困惑の声にビーナスは視線を向ける。やや離れた所に立っていたハロルドは、手に持っていた──いつの間にか枕元にあった──招待状を見て困惑の色を深めた。
(……まさか)
「ここにいる全員、招待状を送りつけられてやって来たってのか……?」
 ちらり、とハロルドが視線を向ければメカな子ロリババア2頭に邪ロリババア。
 これを送られているのは十中八九、ロリババアの主である。ハロルドも最初は遠巻きに見ていたはずなのに、気づけばこいつらがいた。
「桜を見に来たはずなんだがな。マジでどうなってやがるんだ……?」
 がしがしと後頭部を掻くハロルド。彼の独り言を聞き、ビーナスはプロテアを見下ろした。
「招待状は持ってないけど、折角お友達がいるなら遊んでおいで」
 優しく撫でて送り出したビーナス。しかし不意にはっとした表情を浮かべ、プロテアの背に「大きくならなくていいよ……!」声をかけた。
 ──だって、3mにもなったら迷惑になってしまうもの。
(不思議な光景です。砂漠に桜が咲くなんて知りませんでした)
 エマは桜を見上げながら傍らのココに「涼しいですねぇ」と声をかけた。
 ココを受け取ることになったのは闘技場でロクに負けたから、なのだが……見慣れれば案外、可愛いもので。
(でもなんでこんな服着てるんでしょう)
 ツッコミを入れ始めたらキリがないことは、彼女が一番知っている。
「あ、あぁココっ! オアシスで泳ごうとしちゃだめですよ!」
 見ればココが水面へ足をつけようとしていた。水泳を好む子ロリババアだが、すぐ沈むことを知ればエマの焦りは然もありなん。
 武器商人は何か言われる前に、と紹介状をひらり。商いの許可を取り、曇りガラスのアクセサリーを広げる。
「さぁさぁ、いらっしゃい。ペンダントにストラップにピアス、風情があって可愛らしい桜の硝子装飾だよ」
 カルシャンの交流も兼ねているから、ロリババア連れには少々のサービスを。
「……カルシャン、大好物だからといってこっそり隠しておくんじゃないよ? ヒヒヒヒヒ……!」
 もちろん釘を刺しておくことも忘れない。カルシャンは武器商人を見上げ──そばを離れたと思ったら、既に隠していた物を1つ咥えて戻ってきたのだった。
 アルメリアは招待状を手にしていた。その傍らには3頭のロリババア。
『シロネ、チシャ、ウワラバ。生まれて初めての砂漠の国、楽しむわよ!』
 と言ってやってきたものの──暑い。深緑とはこうも違うのに、よく桜が咲いたと思わずにはいられない。
 暫しそんな桜の木と意思を交わして、アルメリアは「そうだわ」と立ち上がった。
 1人と3頭が地面──今回は根元──に描いたのは若葉のマーク。
「我が家に伝わるおまじないよ。ファルカウのご加護がありますように……ってね」
 頑張ってと見上げれば、呼応するように桜がさわりと揺れた。
 今日もリリーの周りは獣が沢山──いや、今日はいつもにも増して沢山だった。
「さすがにふーしゃはなさそうだねー」
 レブンの背に乗ったリリーはきょろきょろ。カヤも一緒にきょろきょろ。砂漠に桜はあっても、パメラの好きな風車はないようだ。
 野ロリババアのスミレはバザールの通りを興味深げに見ている。乙女のぱんつがないか探しているのかもしれない。
(おかねがすきなのかなぁ?)
 小首を傾げたリリーは、次の瞬間「あっ!」と声をあげた。
「さくら、みえてきたよー!」
 その声に動物たちもどことなく嬉しそう。
「さっ、みんなでおはなみだー♪」
 そんな桜の下では、顔を赤くしたジェイクが楽しそうに歌っていた。
 少し時を遡る。
 彼の子ロリババア、ダリアは母や姉妹のもとで再開を喜んでいた。感動対面の後は無礼講──と、ジェイクは酒を持ち出したのだった。
 自分でも飲み、オーナーで飲める者がいたら盃を出し、ロリバアたちも──飲めるのか不明だが──盃を地面において酒を注ぐ。
(てか、見てみたいよな? こいつらが酔っぱらった姿とかよ)
 ──なんて思っていたのだが、何せ1番飲んでいるのは自分。あっという間に出来上がった彼は楽しく、途中からダリアの老婆な声も混じって歌い始めたのだった。
(この桜って花……とても、綺麗で好き)
 枝を持って帰って差したら木にならないだろうか。アイリスはそんなことを思いながら野ロリババアのススキとのんびり過ごす。某預言書を読んでみたり、傍を通りかかったイレギュラーズに話しかけてみたり。そして桜や辺りを浮遊する魂、連れてきた馬と、アイリスの周囲には話しかける存在が事欠かない。
「そうだ……そろそろ名前もいるね」
 いつまでも『軍馬』では可哀想だろう。
(何が良いか、ここで案を募集しようかな)
 そうとなれば早速、とアイリスは立ち上がった。
 招待状が届いた。内容はまだ、理解していない。……理解はしていないが、兎に角寛治はHMKLB-PMに乗り、野ロリババアのナンテンを伴ってラサまでやってきた。
 目にしたのはロリババアの一団。
「これは、何のキャラバンでしょうか。それとも競ロリババアでも始まろうというのでしょうか」
 花見どころではない。サバトか。奇祭か。
 寛治の言葉に「競ロリババアやろうぜ!」と周囲が盛り上がり始め、ロクが「花の咲いてるところで競ロバしない! 闘ロバもしない!」と叫ぶ。あれがロリババを広めたコヨーテか。
(これだけ普及させた手腕、只者ではありませんね)
 競合しないよう気をつけねば、と寛治は1人頷いた。
「きれいきれい~」
 イルーネはシエラと共に、桜の下をのんびりと。
「素敵な品を沢山仕入れて、都会(町)へ行商に行こうね」
 そう告げれば、シエラの足取りが軽くなった気がして。前を見たイルーネはロクとロリババアの姿に「おーい!」と大きく手を振った。
 シエラは母の元へまっしぐら。そんな姿を微笑ましく眺め、イルーネはロクへ近況を語る。
「元気そうでよかった! これからも大切にしてあげて!」
「勿論だよ!」
 ロクたちと別れた1人と1頭はバザールへ。服や小物の材料を買い、シエラへ積む。重たげだけれど、その足取りはやはり軽く。
 その心にワクワクを秘め、彼女らは帰途についた。

「……わぁ、大きな桜の木……砂漠のオアシスにこんなに咲くなんて!」
 チャロロは感嘆の声を上げ、傍らのツヴァイを見た。
 よく荷物運びを手伝ってもらう風格漂う子ロリババア、ツヴァイ。しかしそんな雰囲気の中にもどこか嬉しそうなものを感じるのは──ツヴァイもきっと、こんなに大きな桜を見たのが初めてなのだろう。
 出来るなら、もっと色んな場所へ連れて行ってあげたい。古代の壁画と未開の地が好きだというツヴァイなら、そんな場所を巡る冒険に連れて行ったらきっと喜ぶだろう──なんて。
「リタ!」
 モモカが呼ぶと、リタは老婆の声で鳴いて向かってきた。その首元にある花飾りはモモカが作ったもので、見るたびに似合っていると笑みが漏れる。
「リタにも同じのつけてやるぞ。これでおそろいだなっ!」
 差し出したのはモモカもつけている桜の髪留め。
 リタは勇気があり、野良犬くらいなら追っ払ってしまうほど。鉄帝芋と鉄帝牛が好物の──ロバが牛を食べるのか疑問ではあるが──本当に勇ましいロリババアなのだ。
 ──でも、やっぱり女の子だから。髪留めというチョイスはきっとそういう思いが込められているのだろう。
「ふふふ。壮観ですね」
 アニーヤが辺りを見渡せば、右も左もロリババア。なかなかに大所帯だ。
(ラサの人たち、私たちをどんな風に見ているのでしょう……そう思うと少しばかり恥ずかしいですね)
 アスラへ挨拶をしてくるよう促して、アニーヤは湖畔でウォッカを手に休息を。砂漠とはいえ湖畔のそばは、彼女にとって丁度良い気候だ。
 ロリババアについても語れたなら、なんて有意義な休暇だろう──そう思うアニーヤの耳が「のじゃー♪ ですよー♪」という声を捉えた。
 奇異の目を向ける人々へそう返したナキは、先ほどと引き続き邪ロリババアの鉄仮面を磨く。その傍らにいる邪ロリババアは桜柄の鉄仮面をつけてもらい、大人しくなった──だろうか。
 バザールで買った研磨剤やボロ布で鉄仮面を磨くナキは、たまに邪ロリババアの頭をひと撫でして。ナキの顔にもお揃いの鉄仮面が付いているため、はたから見たら中々にシュールな気もするが──少なくとも本人たちは、穏やかな時を過ごしたと言えよう。
 ラサの地へ降り立ったアルペストゥス。その背からヘレンは飛び降りて駆けていく。
 その姿を見送りつつ、アルペストゥスは日当たりの良い場所に落ち着きのんびりと。集まってきたロリババアたちを柔らかな羽毛の羽で囲えば、そこは一種の憩いの場だ。
 不意に、彼は立ち上がった。周囲のロリババアが離れていく中、のしのしと彼はヘレンの方へ。水に興味を持ったヘレンが水面へ足を伸ばしたところで、その首根っこをパクリと咥えた。
 まるで子どもを安全な場所まで運ぶ親のようだが──この姿は本日だけでもかなり見られたとか。
「んふふ~、さあ邪ロリババアちゃん、たくさん遊んでおいで~」
「ノジャア゛ア゛ア゛」
 桜とロリババアたちの元へ駆けていく、紫色のオーラを纏った邪ロリババア。それをにこにこと眺めるレスト。……温度差が激しい。
 しかしレストは邪ロリババアを『根はとっても優しい子』と評す。ちゃんとチャームポイントもあるのだ。HP上げてくれるつもりに見せかけて、実はAPが上がるところとか。
「桜色の景色に、楽しく遊ぶロリババアちゃん……何だかほのぼのしちゃう光景ね~」
 ──と言いつつも、傍から見て最もほのぼのしているのはレストだっただろう。
(旅行らしい旅行って初めてかも……)
 パーシャの心にあるのは不安。けれど野ロリババアのサカキやエンジェルいわしのウォランスもいる。異界より召喚せし双剣だってある。
 ──けれどもやはり、知らない土地はまったく怖くないとは言えないのだ。
 そんなパーシャ、広場に辿り着いてほっと安堵の息を漏らす。此処まで来れば不安は余所に、来たるは好奇心。
(凄い数……みんな個性も違って、生き物の神秘を感じるなあ)
 触れてみたい。オーナーさんに聞いてみよう、とパーシャは広場へ足を踏み出した。
「……混沌生まれ混沌育ちの私にも、知らないことはまだまだあるのねぇ」
 ロリババアたち──メカとか野生とか諸々混じっている集団を見て、若干首を傾げながらもアーリアは頷いた。
 ユーシャンに寄りかかってのんびりしていれば、そこへポテトがやってきて。つまみにと差し出されたクッキーやらステーキサンドを有り難く戴いて、花見酒と洒落込む。
「ふふ、桜を見ながらのお酒は美味しいわねぇ」
 ふわふわの心地でくすくすと笑いながら、アーリアは「ねぇ?」と休むユーシャンに語り掛けた。
「オーッホッホッホ! 謎の招待状を頂きましたのでご招待に預かりましたわ!」
 高らかに自己紹介をしたガーベラは傍らの野ロリババア、アオイも皆に紹介する。
「うちの農場で立派に働いてくれてますのよ!」
 誇らしげな声でアオイを褒めるガーベラ。アオイに今日は存分に遊ぶよう告げ、のんびりとお茶を嗜んでいたのだが──不意にアオイの異変に気付いた。
「アオイどうしましたの!? まさか……産まれますの!?」
 まさかここで。本当に?
 周囲が騒めく中、ロクから「そこで産まない! こっちの草の上!」と声がかかる。普通に花見している者もいるのだから当然か。
 ガーベラは「お産を手伝いますわよ!」と意気込み、アオイを運んでいった。
「ずっと家じゃ退屈だもんね、今日はいっぱい遊んでおいで!」
 ノースポールはモニカを送り出し、広場で桜をのんびりと眺めていた。そこへひょこりとやってきたのはシュテルン。ロリババアの飼い主? という問いにノースポールが頷くと、シュテルンは瞳を輝かせた。
「シュテ、他の、飼い主さん、とも、こーりゅー、出来たら、いーなって、思う、してるっ!」
 どんな子? と目をキラキラさせるシュテルンに、ノースポールはモニカのことを話してあげて。
「傷んだ、砂肝、と、お古の、雑巾? 全然、違う、ね」
 目を瞬かせたシュテルンは自らのロリババア──ワラビが向かってきたことに気付いて大きく手を振った。
「お話、ありがとう、でした! また、ね!」
 嬉しそうに去って行くシュテルンにノースポールは手を振り返す。静かになった時間に去年のことを思い返して──ノースポールはぽんっと顔を赤くした。
(あの頃はまだお友達だったのに、酔っぱらって……)
 ひゃああ、と頬を押さえるノースポール。けれど、今度恋人とまた来たい。お弁当を用意して。
 一方、ワラビと再会したシュテルンは桜の下でくるりと回って見せた。
「ワラビ、見て! いーっぱい、桜、咲いてる!」
 ワラビが周りを駆ける。花弁がくるくると舞い踊って。
 嗚呼、嗚呼。なんて楽しい1日だろう!

 何か。そう、何かであった。何かはわからない。けれど何かの強制力を感じたと言うべきか。
 来なければいけない気がしたのだ。ロリババアを連れて、ラサの桜へ──。
「コレは、一体、どういうアレ……なんでしょうか」
 前回も相当だったけれど、今回もこれはなかなかというか。いや、今回ロリババア肉は出てなさそう? それは良かったかもしれない。夏子の見えない場所では出ているかもしれないが。
「……さ、さあ、シランも行っておいで」
 老婆の声を上げて姉妹たちの元へ駆けていくロリババア。
 何か。何だっけ。何て言えばいい、この状況。
「零さま、おまたせです! この子が私のロリババア、くるみです!」
 ほら、とアニーが促せばクルミもご挨拶。零もオフィリアを紹介し、2頭を姉妹たちの元へと向かわせる。折角こんなにいるのだ、会って話したい事や遊びたい思いもあるだろう。
 零の傍でちょこりと鎮座するイヌスラに気付き、アニーは「わぁ!」と瞳を輝かせた。
「この子が零さまのイヌスラ、ライムちゃんですね!」
「そういえば会ったことなかったか」
 きっと懐くと思うという言葉の通り、手招きをして撫でてあげても嫌がる素振りなく。癒しの存在にアニーの顔から笑みが絶える事がない。
 2人は零のフランスパンで作ったサンドイッチを片手にのんびりと桜を見て──。
「良い季節だよな……ぽかぽかだし……今日はロリババアも一杯……」
 ──はて。
 暖かな気候、零さまの美味しいサンドイッチ、そして一面に群がるロリババア。
「私たち、確かお花見に来ていたはずですよね……?」
 2人は揃って顔を見合わせ、首を傾げた。
 折角の機会である、と幻はメアを広場に残し、バザールへと赴いていた。
(名残惜しくはありますが……)
 メアもきっと姉妹との再会を楽しみたいに違いない。幻はメアのため、1人バザール巡りを開始した。
「桜の香りのする、皮の手入れセットはないでしょうか」
 商人へ問う幻。勿論メアに使ってあげるのだ。その他にも脱出奇術のための道具を買ってあげたい。
 メアの喜ぶ顔を思い浮かべれば、長く歩いたって足取りは軽い。
 欲しい物を購入した幻は、ロクへお礼の奇術を見せようと広場へ向かった。
「こんな風に姉妹と会える機会なんて滅多にないでしょうから、こういう機会は大事にしないとね」
 リディアがそう告げると、マキは老婆の声で答えた。
 そう、1頭や2頭くらいならまだ会う機会もあろう。しかし──それこそ『一堂に会す』という表現がぴったりなこの状況はそうそうあるまい。
(それにしても……マキはどうして裁判記録なんか好きなのかしら?)
 これだけのロリババアがいれば、そのオーナーも少なくはない。折角だから聞いてみようとリディアは足をそちらへ向けた。
「ごきげんようっ! 魔種じゃない方のヨハナですっ!」
 ロリババアへ順番に挨拶するヨハナ。その傍らでアマチャが老婆の声を上げる。
 家族に会いたがっているアマチャのため、ヨハナは付き添いでやってきたのだ。もちろんオーナーたちへ声をかけることだって忘れない。
「皆さん、折角ですから記念撮影しませんか?」
 とスクロールを取り出して誘う。これに静止映像を記録し、絵師に複製して貰えば皆に配れるはずだと。
(アマちゃんも、そういうのがあったら寂しくないでしょうから)
「──はい、そうと決まれば! 桜の木の前に集まりましょうっ!」


●桜色バザール
「おっかし~、おっかし~♪」
 桜の桃色に彩られたバザールをリナが上機嫌で見て回る。そこにはミルキィも一緒。
 桜のスイーツも食べたいし、洋服やアクセサリーだって探したい。女子らしい女子2人は店を転々としていく。
「ねね、リナちゃん! この桜色のワンピース可愛くない?」
「わあ、かわいい~!」
 いいなぁ、とミルキィが示したワンピースを見つめるリナ。ふとその傍らに置いてあったアクセサリーへ視線が移った。
「これ、ミルキィちゃんに似合うんじゃないかな~?」
「あ、可愛い♪ 買っちゃおうかな? リナちゃんもお揃いで買ってみない?」
 お揃いのブローチを手にして2人はにっこり。
「それじゃ、あっちの桜スイーツのお店で甘い物でも見に行ってみようか」
「スイーツ食べ尽くしだ~! お腹いっぱいたべるぞ~!」
 おー! と意気揚々に向かって行く2人。彼女たちを誘うのは奥から漂う甘い香りだった。


 一緒に行っても良いか、と問うヨルムンガンドにシャルルが否を告げるはずもなく。
「どんなお土産を選ぶのか気になるしなぁ……!」
「……無難なものかもよ?」
 肩を竦めるシャルル。そこへシャルレィスが「おーい!」と声をかけた。
「私も一緒に探して良い?」
「うん。よろしく」
 こうして3人で回ることになった桜バザール。シャルレィスは品物を見ながら感嘆の声を上げて。
「これは迷っちゃうね! どんな物が良いと思う?」
 彼女の問いにシャルルは暫く考えて「可愛い物とか」と並ぶ品物に視線を向ける。その脇からヨルムンガンドはひょいと覗き込んだ。
「可愛い品が多いなぁ……髪留めのピンとかどうだ? あとは──」
「あっ、これなんかどうかな! くまさんのぬいぐるみ!」
 シャルレィスが示した桜色のそれに、2人は暫し想像して──アリだな、と頷いた。
「そういえばシャルルさんは何が好き?」
 自分用も買おうよ、と言うシャルレィス。シャルルは目を瞬かせると周囲を見渡し「もうちょっと考えてみたいな」と告げた。
「それなら、美味しいモノの露店に足を運んでみないか? 桜餅やアイスがあるみたいなんだ……!」
「ヨルムンガンドらしいね」
 小さく口端を上げたシャルルと「賛成!」と笑みを浮かべたシャルレィス。3人の足は甘味の露店へ。
 桜と名のついたそれは、まるで桜の名が入る珠緒のためのようなものと言われた。けれど1人は寂しいと珠緒は思う。
「一緒に、まわってくださるのでしょう?」
「ええ、勿論よ。ゆっくり見て回りましょう」
 珠緒と蛍は今日も仲良く、2人で桜バザールへ赴いていた。蛍に呼ばれた珠緒は「はい、」と振り返る。
「この、コサージュなんてどうかしら?」
 差し出されたのは淡い色合いの、小ぶりな花が2輪寄り添ったコサージュ。
「服に合わせやすいと思うし、あと……寄り添ってるのがいいなって」
 ──まるで私たちみたい、なんて。
「あ、もちろんボクからプレゼントさせてね?」
 頷いた珠緒はコサージュをしげしげと眺めた。どこに着けようか。目立つ所が良いけれど、もし吐血しても汚れてしまわない場所が良い。
「よろしければ、お返しは次の機会に」
 今回に負けず劣らずな品を選ぼう。そう心に決めた珠緒と蛍は桜の元へ。
 桜の下で、散り際の美と言われるのだと言葉を漏らした蛍。
「……ずっと在り続けて欲しいって願う心は、美しくないのかなぁ」
 桜を見上げる蛍はどこか寂し気で。珠緒はそっと口を開く。
「別れを少しでも前向きにとらえた心なのでしょう。続くことを願う事も、きっと──」
 決して、劣るものではないと思うのだ。
 桜と言えば団子。花見と言えば団子。花より団子。
 ──つまり、花を楽しむより食事を楽しみたいのである。
 ミニュイがそう断言すると、レジーナもそうねと頷いた。
「桜のアクセサリーとか、何か食べ物があればいいかしら」
 桜の甘い香り──桜餅みたいな──がするアクセサリーとかあればいいのにね、なんてレジーナ。
(今回の雅な趣旨的に、食べ物は売ってるんだろうか)
 なんてミニュイの心配も杞憂で、2人はアクセサリーや食べ物を買い込んで広場へ向かう。
「ミニュ、桜餅食べない? さっき買ってきたのだけれども」
「ん、ありがとう。レナ」
 2人で桜餅を食べながらのんびりと。どんちゃん騒ぎも良いが、こうした雰囲気だって悪くない。
「それにしても、流石混沌といったところよね。こんな砂漠の中で桜が見れるなんて」
 レジーナの言葉に頷くミニュイ。レジーナは視線を桜からミニュイへ移し。小さく微笑んで"ソレ"を差し出した。
「これ、気に入ったから買ってきちゃった。ミニュにもいっこあげるわ」

 楽しい花見には準備から。
 綾女とユーはバザールへ、飲食物の調達にやってきた。
「まずは使い捨ての食器を2組」
「酒は先に見繕っておくよ」
 ユーは酒を取り扱う露店へ。綾女はつまみとなる軽食を探しに露店の間をふらりと彷徨う。
 この季節、そして広場の桜。イレギュラーズ以外の客も多いのだろう。そういった露店は少なくなかった。綾女は揚げ物や串焼き、サンドイッチなどを買い込んでデザートも見に行く。
 合流したユーは酒を数本持ちながら、綾女の買った食べ物の包みも受け取った。
「わざわざ持ってもらって悪いわね」
「こういうのは、男の仕事だろ?」
 そうしてお花見。落ち着ける場所で買ったものを広げ、気が済むまで季節の味と風景を楽しむのだ。
「ん、これは旨いな。綾女も食べてみるか?」
「いただくわ。こっちもなかなか美味しいわよ」
 なんて食べ物をシェアしたり、桜の花弁を酒に浮かせて飲んでみたり。
 砂漠で桜だなんて想像だにしなかった。けれどここの桜は長い間生き続け、人を惹きつけるのだろう。そう、今も──。
「来年も再来年も、こうやってまた見に来たいわね」
 ふと、綾女の口からそんな言葉が零れ出てしまうほどに。
 アリシアは黒の日傘を左手に、桜の傍へ腰かけて見上げた。珍しくもラサに咲く、しかし普通の桜を。
 不意に彼女はネックレスに通された指輪へ触れる。そこには紅の三日月。
「こっちの世界の桜も綺麗よ……見ているかしら?」
 呟かれたその名前は、ほんの少しの風にだって掻き消されてしまうほどの声量で。そこに秘められたのは叶わなかった理想と、押し付けに近い願い。
 過去へ戻ることは叶わない。だからこそ、この道の先に自分なりの『答え』があると信じよう。
 アリシアは静かに桜を見上げ、舞い落ちる花弁に目を細めた。
 リュカシスは大きな羊みたい、と桜を評す。
「この桜綿飴ともソックリ!」
 翳されたそれに、イーハトーヴは「本当だな」と目を細めて笑った。
 意匠としては見た事があれど、本物は初めてだ。こんなにも美しいのかと見上げれば、先ほど言われたように羊にも見えてきて。
(羊……桜色の、羊のぬいぐるみ……)
「ああ、インスピレーションが湧いてきてしまった!」
 どうしよう、今すぐにでも形にしたい。でも桜も楽しみたい。
 眉尻を下げて言えば、リュカシスはにこりと笑って。
「なら、バザールに行った時に材料を探しましょう!」
「それはいいな!」
 ボタンにビーズ、リボンやレース。古い武器やガラクタ、ランプだって捨てがたい。大荷物になりそう、なんて笑いながら2人は綿飴と桜プリンをわけっこした。
 食べた後はのんびりと。リュカシスは「お守りにする」と舞い落ちる花弁へ手を伸ばす。イーハトーヴが優しく見つめる中、花弁はリュカシスの手の内へ。
 それはとても、穏やかな時間で。
「暖かくて楽しくて、春はとても良いものですネ」
「そうだな、うん、この世界の春はとてもいい」
 彼が傍らにいるから、尚更。
 イーハトーヴの言葉にリュカシスは「ボクも!」と満面の笑みを浮かべた。
 そんな桜の下の一角で、艶やかな黒髪が揺れる。
 バザールに来ていた、そして広場で休息を取っていた者を魅了するのは舞姫・弥恵。普段の氷上を滑るような舞踏法ではない。砂漠であるラサの地に合わせ、情熱的な舞を披露し歌を口ずさむ。
 彼女の流し目に陥落する客がまた1人。それは老若男女関係なく魅了するような踊りで。
(ふふ、観客がまた増えましたね♪)
 視線があればあるほど魅せたくなる彼女。その動きは更に妖艶に大胆に──嗚呼、天爛乙女のハプニングまで秒刻み。
「セレネちゃん、おまたせ!」
 その声に、セレネはふわりと髪を揺らして振り返った。ルアナは彼女の隣へと腰かける。
 友人を案内するのも始めのうちだけ。ラサ出身のセレネは久方の雰囲気を楽しみながら、ルアナは新鮮な雰囲気にわくわくしながら、それぞれでバザールを回ってきたのだ。
「私は……春物のお洋服を買いました」
「ワンピース、綺麗! 優しい色がすごく似合ってる」
 普段は選ばない色。けれど、これを見るたびに今日を思い出せるようにと選んだのだ。
「あっねぇねぇ。今度それ着て一緒にお出かけしよ?」
 名案、というようにルアナが提案する。それはさりげない次も遊ぼうというアピール。
 さて、ルアナが取り出したのは──掌に乗る程のサイズ。
「髪飾り買ってきたの。桜モチーフなんだって」
「……とっても綺麗な髪飾り!」
 家に帰ってから、とルアナは言うけれど──折角だから、今。
 つけてあげようかと問うと、ルアナは「髪ばっさばさなんだけど」と恥ずかしそうに笑いつつ髪飾りを託して。セレネは慣れぬ手つきで、けれど優しく髪を梳いてそれを飾る。
「……よし、出来ました♪」
「ありがとう!」
 振り返ったルアナはふにゃりと嬉しそうに笑みを浮かべた。
 砂漠に桜か、なんて考えていたクロバは虚を突かれた目で彼女を見つめていた。
「アタシにしては可愛すぎたかしら?」
「……いや、桜、似合ってるぞ」
 小首を傾げるルーミニスから視線を外してそう返す。
(何故視線を外す。見ていたい筈だろう)
 自身にそう問うても、その答えは得られない。似合っているのに直視できなくなるのは何故だ。
 そんな普段と違う装いをしたルーミニスの口から語られたのは、『散る前の花弁を3回連続で取れると願いが叶う』というおまじない。願い事云々を抜きにして、面白そうだからやってみたい、と。
 彼女の強気な発言により『連続で多く取ったほうの勝ち』というルールで罰ゲーム付きになったわけだが、それで引くクロバではない。
「フフ、勿論乗るわよね? 負けないわよ!」
「まぁ売られた勝負は買うが、それに勝てば何かくれるんだ。負けられないな」
 一瞬視線を交錯させて離れる2人。別々の場所に立ち、クロバは桜を見上げた。
(さて、勝ったらアイツ何か買ってくれるかな)
 一応負けた時の事も考えるが、目指すは勝ちのみである。勝って、彼女に言ってやるのだ。
『来年もまた、一緒に見に行こう』
 飾らぬ願いを、彼女へ向けて。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。イベシナはいつも文字数に悩まされる愁です。いつも悩まされてんだろって思いますが、今回は殊更でした。
 ちなみに5分の3くらいロリババアでした。広場がカオスでしたね。砂漠の桜、そのひと時をお楽しみ頂ければ幸いです。
 またのご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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