シナリオ詳細
幻想格付けチェック
オープニング
●遊楽伯爵からの招待
明ける年がやってくる。それはどこも、どの立場も。等しく全てにやってくる。
「新年――あけましておめでとうございます皆さん」
幻想の貴族。『遊楽伯爵』ガブリエル・ロウ・バルツァーレク(p3n000077)は新年の挨拶を皆へと。ここは彼の屋敷……の一つだ。
パーティのお誘いだろうか? 放蕩王ではないが、遊楽伯爵も新年となればお祝いの催しぐらい開いたりはするモノだろう。詳細はまだ伺っていないが、恐らくそうだろうと皆は思って――
「パーティ、というのもあるにはありますが、それは先日陛下が大々的に開催されました。皆さんの中には参加された方もいるでしょう。ので、今回お誘いさせて頂いたのは些か趣向の違うモノになります」
なんだろう。彼にしては妙に勿体ぶった言い回しだ。本題を言わない。どうした?
「説明するよりもまずは見てもらった方が早いでしょう。こちらをご覧ください」
言うなり壁際のカーテンが開かれる。そこにあったのは窓――
ではなく二つの部屋。一つは赤い壁面の『A』と書かれた部屋。一つは青い壁面の『B』と書かれた部屋。ん? どうやら二つの部屋共に妙なガラスで『こちら側』が見える様になっているようだ。なんだろう。なんだか胸がざわついてきた。遊楽伯、これは一体……!?
「ハハハ先程の連中、Aを選ぶとは愚かなですなぁ」
「左様左様。Bが正解だというのに」
と、すると中から声が。おや、どうやら二つの部屋には既に先客がいたようだ。幻想の貴族らしき者達がいて何か語り合っている。
「簡単に言いましょう。彼らはあの部屋に入る前に二択性の問題が出されています。これだ、と思ったモノの部屋の方に入ってもらっているのです」
「……ちなみにどういう問題で?」
「今回はワインですね。高級ワインか安物ワインかを飲み比べて頂きまして。で、外れの方は」
ガブリエルがそれぞれの部屋のドアを閉めて近くにあった紐を引っ張る。すると。
『ぬ、ぬぁあああ!! そんな馬鹿な!!? Bで間違いない筈!!』
『う、嘘だ! バルツァーレク伯!! お、お許しを――』
どういう仕掛けか警報音が鳴り響いて何事かと思っていれば――直後、Bの部屋の床が開いた。
中にいた貴族達が纏めて奈落に突き落とされていく。悲鳴が聞こえなくなったと同時、床が元に戻って。
「そう。これが毎年幻想で行っております――『幻想格付けチェック』です」
嘘でしょこれ毎年やってんの!!? え、ていうか今落ちた人たちは!?
「ご安心を。この下はちょっと深い穴になっていますが下には緩衝材を敷き詰めてあります。怪我をする事はありません。近くには地上に戻る為の階段もありますのでホントにただ落とすだけですね」
ああ、一応安全なのね……というかまさかこれを見せた、という事はだ。
「はい。今年は皆さんにも参加して頂こうかと思っております」
うそぉん。やっぱり?
「やはりこういうのは人数が多い方が楽しめると思いますので。是非とも」
幻想も色々あった。サーカスから蠍の一件から……
だから新年の始めは必ず笑い合える催しをと、彼は思っていたらしい。
「――まぁ間違えれば容赦なく落としますけれど。特に美食の問題では」
…………目がガチだ。遊楽伯? 遊楽伯!?
ともあれ彼の事だ。何の陰謀も駆け引きもない、ただ純粋なる催しだろう。
楽しもう。今年は少しでも幸多かれと――思いながら。
- 幻想格付けチェック完了
- GM名茶零四
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2019年01月20日 21時35分
- 参加人数38/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 38 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(38人)
リプレイ
●第一問
なぜだこんなことがあり得ていいのか。
「なんでぇ……? 遊楽伯、美食には拘りがあるんじゃねぇの……? なぁ遊楽伯――」
さてはあんた暗殺令嬢や黄金の方にでも食わせようって腹つもりなんじゃ……
その時気付いた。会場の隅でキドーを見守る店主の影がある事を。なんでいるねん!
「ちくしょう! さては遊楽伯弁当キメてるだろ絶対!」
御用達(真偽不明)です。
「成程。此れは簡単だ」
言うはオラボナだ。あ、もういやな予感がしてきたぞぉ。
「貴族とは常日頃から肉体を頑丈に保ち、地獄のような楽園を創造する『もの』だと思考容易。故に我等『物語』は自らの血肉を提供し毎々の愉悦に満ち溢れる。まあ。舌も歯も存在しないのだがな! Nyahahaha!! 失礼。解答。Bだ! B以外に在り得ない。高級品。確実に『品質』としては此方が至高の極み。絶対だ」
ああこれはいけません。遊楽伯も顔を覆っています。
皆に見える【アホの子】【体力おばか】【消えます】という表示が上に浮かんでいるのが!
「ぬぅぅぅこの舌がピリリとひりつく感触は……感、触は……わからん!! くっ、食べ比べていて混ざった! ここは友を信じてBぃぃぃアアア――ッ!!」
ジョセフがオラボナと一緒に落ちた――! やっぱりね――!!
さぁともあれ皆どんどん食べてね。お代わりもあるよ。
「いやいらないぞ! 王宮料理作る様な人がこんなマズい料理作る訳ないだろ!? つーかこっちほんとマズいな!」
「Bは……なんか、こう不思議な味だったというか……」
会場の隅で店主の鋭い視線が星詠みの方のウィリアムを捉える……!!
カシミアは大分マイルドに表現しているが、つまり、うん。そういう事です。
「飲込めな……飲込……飲み……ぉ……」
ヨゾラ選手顔が青い!! 担架、担架――ッ!
「Bのシェフを呼んできてくれません事!? いくら何でもこれは酷すぎですわ!」
ガーベラさん散々ですが、実際散々な料理だもん仕方ないね!
「おっ? この酷さ、ひっかけ問題かにゃ? Bにしとくんだお!」
ニルが落ちたぞ――! めげずに彼女は二問目に行くぜ!
「いや……引っかけるにしてもここまでの落差は無いと思う」
「Bは……うん……」
深緑の方のウィリアムに秋奈が真顔でコメントを。ひどいよねこれ。
「――大変おいしゅうございました。このまったりとしていてコクがなく、脂っこさだけが残るとてもよろしゅうない喉越しはさぞ腕のあるシェフによる」
はいはいエリザベスさんボッシュート。口元を拭きながらの体勢のまま真っすぐに落下していく。
しかしスティアは心が躍っていた。何せ楽しみにしていた毎年恒例の格付けチェックだ。
「ふふふ、第一問はお肉の味比べって?」
これくらいの問題軽く正解してみせますよ。なにせ貴族たるカリスマに溢れているのだから。
口の中に含むそれぞれのお肉――すぐわかった。これの正解はBだ!!
「んーこっちのお肉の方が、油が少なくて食べやすいしもう片方は食べすぎると胸やけしそう! いやー一問目はサービス問題だったねこれは」
間違いない。自信満々笑顔に溢れてBの部屋へと入っていく。
さすれば無慈悲に遊楽伯が落下の紐に手を掛けるのだ。
食に関する問題で間違いは許さない――落下の音が鳴り響く。
●第二門
間違いなくこれはユラーカ画伯の絵だとヘイゼルは言う。
「ユーカリ画伯の若さでは未だ評価されない絵でしょう」
「ユリーカなのです」
「ユカーリ画伯には申し訳ありませんが、ここはBですね」
ユリーカなのです!!
「ふ――んよく描けてるじゃん。画伯じゃん。すごーい」
「えへへやっぱりキドーさんはボクがかいたものって分かってくれますか!」
「うん、みなぎる生命力的なものを感じる。いやー流石だな。情報屋だけでなく絵画の才能もあるなんてな。すごーい、ユリーカちゃんすごーい――Bだな」
な”ん”で”で”す”か”と抗議する声が聞こえてくるが知りませーん聞こえませーん。
「俺の心眼はこのようなもので惑わされはしない! あれは闇市で何度となく見た画伯の」
ユリーカちゃんの抗議が始まっちゃったので、リゲルはなだめる作戦に出始めた!
「いいね。実に素晴らしい作品だ。ただし……」
Bの絵を眺めたイシュトカは語る。『これ』は『真筆でない』と。
そしてゆっくりとAの方へと足を運び。
「……驚いたな。様式に囚われない自由闊達な筆致。極度のミニマリズムとも、いっそシュルレアルな感性とも判じ難い色彩。無二でしかあり得ないが故に『真筆に間違いない』」
殊更大きな声で語りを告げる。
「ところで諸君らは、伯爵に審美眼のひとつも見せないでいいのかね?」
それは周りの貴族へと。鑑定眼に美術知識、それらを用いたイシュトカの発言に一切の『間違い』はない。ただし彼は言いくるめただけだ。つまり……『誰の』真筆だとも贋作だとも一度も口にしていない。
真筆というのはその画を書いた『本人のものであるか』という事である。価値云々という意味ではない。イシュトカは悠然と。皆の回答を見てからBへと足を運んでゆくのだ――
「ギルオスさんはどちらが良いと思いますか?」
Bは繊細で美しい。だけれども、目を惹かれるのは独創的なAだとティミは言葉を。
人は無い物に惹かれる。だからだろうかと。ギルオスの顔を彼女は覗き込んで。
「やっぱりこの絵の様な、繊細で美しい方がいいでしょうか?」
「……そんな事は無いさ。傷の一片もない完璧性が必ずしも『素晴らしい』という事ではないよ」
「……! やっぱり、そうですよねっ!」
返事と共に明るくなる笑顔。手を差し出し、共に向かう片方の部屋に――
いやまぁそっち外れなんだけど。
「ふふふ芸術には疎いがこれは分かるぞ! だってほらこことかよく遊楽伯の特徴をォ――!」
ジョセーフ! ジョセ――フッ!!
「これもひっかけ問題だぬ? Aだお!!」
ニル、二回目のボッシュート!! 逆に凄くない?
さて。セララの世界では言われていた『芸術は爆発だ!』と。
「つまり如何に印象を残せるかって話なんだけどね。芸術にはハートにざんげハンマーぶち込むが如きダイナミックさが必要不可欠……! という訳で大胆なAの方こそ正解だよ! ふふこっちには誰が――」
完全なる自信をもって部屋に進む。さすればそこには。
「えっ……ギルオス、君?」
「やぁセララじゃないか! ははは君もこっちだなんて気が合う」
「だめだ――! おしまいだ――! 映す価値無しになっちゃう――!!」
なんでさ! もしかしたら正解かもうわああああッ!!
当然、皆纏めて仲良く落っこちれば。
「ひゃ――! あ、ギ、ギルオスさん大丈夫ですか!!?」
先に一緒に入っていたティミも落ちて。思わず下敷きになるギルオス。
「フフ由緒正しき幻想貴族、闇市コレクターたる余にかかればこのような問いなど実に簡単よ。あの雄々しき彩色!! 間違いなくわが友、ユーロヤスの手によるもの!! さぁ遊楽伯回答をおおおお――!? このエンヤスの目は節穴ではへぶッ」
フラグ立てから完璧ですねエンヤスさん!
「んとんと? 絵を選ぶ、ですか?」
お任せあれ、です。とアイラは微笑みと共に絵を眺める。
躍動感満載のAか。それともしっとりと優しいBか?
「うんうんと? だいなみっく、ばーんのようなA……まさに主役と、いうべきです」
しかし悩ましい。悩ましいが故にこそ女は度胸……!
「ボクはBにする、します! たぶん、きっと、こっちの方が正解……!!」
「――そうですか、Bですね?」
さすればガブリエルが確認の為にアイラへ声を。
たどたどしい言葉ながらしかと選んだその意思に、彼女の頭に手を乗せれば。
「分かりました、それではあちらの部屋へどうぞ」
微かに動かし、撫でる動きを。
「ふふーん♪ 一問目があれだったからね、それじゃあ二問目もちょちょいと……」
えっ? と疑問符を浮かべたのはミルキィだ。流石に絵画は専門外か。
「どっちがプロの作品か……あ、たぶんこっちだねA! この力強いタッチ、素人じゃ出せないよ。きっと高名な画伯じゃないとこの雄大なタッチは表現できないね!」
自信満々に部屋に進んで――おっこちるまで、後数秒。
「さて……芸術ってよくわからないのよね……桜咲さんわかる?」
蛍は共に参加した珠緒へと言葉を告げる。
イマイチ判断が付かないのだ。珠緒は片方の絵……どこかで……そう、闇市で見た事がある気がするのだが……
「うーん……自信がないです。蛍さんにお任せします」
「そ、なら『芸術は爆発』だって言葉もあるし――力強い筆運びの視られるAにしましょう! この無邪気な色使いの中にきっと高尚な美があるのよ!」
Aね! という訳で二人仲良く奈落の底へと。ボッシュートです!
「きゃ――ッ! か、完璧だと思ったのに桜咲さん大丈夫!!?」
「けほっ、わ、私はなんとか……!」
落ちた者もいた。落ちなかった者もいた。
さぁ――運命の第三問目に行くとしよう。
●と、言いたいのだがその前に第四問目以降を先に
見た目はどちらも同じ――しかし吸ってきた血の量が違う剣がここにある。
「つまり……多くを滅ぼした剣を答えればいいのだな?」
魔剣に到達しようとしているのはどちらか。R.R.は察する事が出来る。
片方の鉄剣より伝わりし雑音が破滅を呼んでいた。
それでは反対に聖なる剣は如何かとレプリカと共に。だが。
「よくできた剣だ……だが、刃の輝きと厚みが微かに違う」
リゲルの目はしかと捉える。神々しさを、内に込められし正しさを。
A以外にあり得ぬと即断する。ここに至るに培った全てが、こちらだと告げていた。
古美術品は見極めが難しい。しかしメリルナートにとっては。
「本当に古い傷跡なのか見るポイントというのは存在します」
傷跡が新しいか、違うか。レプリカはそれらしく傷がつけられた箇所がある。
金細工が成されているが掛けた壺……これはそれらしいが違うと自身の鑑定眼が告げて。真を見据える。金箔の貼られた、本物の古美術品を――
美術品と言えば盆栽もその一つになるだろうか。
「自信ないわーでもAで……ていうかこれ、本当に片方は菓子なの?」
カナデは全く分からないと二つの盆栽を見比べる。一つは本物一つは菓子……菓子!?
最近は精巧なモノがあるらしいがここまで至るか……ちなみにカナデはこの後落ちました!
「ふむ誰も彼もなさけない! 落ちてしまうとは……闇市でもっと目を磨かぬくああああ!?」
まーたも落ちるエンヤスさん! やばいこのままでは映す価値無しになってしまう!
偶には二択ではなく三択になってみよう。それではおじさん三人衆どうぞ。
「一人は賢く、一人は強く、一人は……すばやい」
どうすればいいのだこの問題。しかし世の中「何よりも早さが足りない」という名言がある。
――Cだろう。ヘイゼルは天に運命を委ねるのだった。
トマト。それを育てる苦労さを、農業に携わるガーベラはしかと知っていた。
「目隠しをしようと分かります――この瑞々しさ、間違いなくこちらですわ!」
甘さが違うのだ。真に育てられた、農作物は……!
似たような話になるが、蜂蜜酒もそうである。
「……成程ね。こっちは幻想産のだ。対してこちらが深緑で造られる――伝統的な酒になる」
ウィリアムは語る。幻想の林檎の有名な産地で売られている最近の品がこちらで、もう一つが深緑で造られた上等品だと。ハッキリと違いが彼には分かって。
例えば縫いぐるみにも繊細な技術が使われている事がある。
「わー、猫だ……」
撫でて微笑するはヨゾラだ。縫いぐるみだが可愛い物は可愛い。
しかし問題としてはどちらか……上等そうなモノ。街で会えそうなのはこちらで、ならば逆かと――思考を重ねて。
「音楽の設問か……楽器の良し悪しは分からないな」
ポテトは四重奏に渡る演奏を聴いているが、流石に耳で捉えきれない。
勘だ。AB交互に来ている故次は逆を――
「わっ」
だが落ちた。身体の浮遊する感覚、落とされる一瞬の間。
「確かに、これは落ちるのちょっと面白いな」
しかし音楽にこそ得意な者もいる。ルミリアだ。
「私自身、吟遊詩人の端くれです。技術の差くらいは……捉えきらねば」
その道の者として外す事出来かねると言葉を紡ぐ。
「うぅ……今まで全問不正解? おかしい、こんな筈じゃ……!」
リアは焦っていた。まずい、これ以上遊楽伯の前で醜態を晒す訳にはいかない……!
そこへ来たのが名器による演奏の聞き分けだ。席に着き、耳を澄ませて――
「さぁ、どちらですか?」
遊楽伯の声が届く。どちらからも、自分の旋律を一生懸命届けようとしていて。
「……答えはAで」
分かっていた。もう片方の方が高級である事。
だが、だからなんだというのか。
「どっちも思いの旋律は――一緒よ」
ならば高級品と同様の音を奏でたAの方こそを、とリアは紡ぐ。紡いで気付いた。
「……って違う!! そうじゃねーよあたしの馬鹿――!!」
ひねくれ者――! と自虐しながら、遊楽伯の笑みを最後に、奈落へと落ちていく。
ヴァレーリヤはこの瞬間を待っていた。ワイン問題だ。
「うんうん、ホッとする味ですわねー……仕事終わりに寄る酒場を思い出しますわっ」
ではもう片方を――刮目した。喉の奥へ、ゆっくりと運んでゆく。別格だ。
「うーん」
飲んだ瞬間に広がる味わい……
「これは難しいですわぁー」
香りも違う。そこいらの安物と比べようがない……
「もっと飲まないと判断が……給仕の方、申し訳ないのだけれどもう一杯、もう一杯アアア――!」
強制的に落とされた。ひどいや! ちなみに、もう一人いて。
「うぅん、分からないわぁ……もう一回こっちの方をいいかしらぁ? あ、やっぱりBも」
アーリアもそうだった。飲むお酒は『シャトー・チャレイヨォン』……んっ?
ともあれチェックと称して彼女もまた飲み漁っている。流石遊楽伯の催しだ。しかし一方だけを飲んでいてはヴァレーリヤの様に怪しまれてしまうだろうから。
「疑ってかかった料理で地獄をみたばかりだからねぇ……パンドラを回復するためにもう一杯……ああ今度は逆の方をもう一回――」
流石に止められにかかってきた。やめてよぉ! くれないの!?
「うぅん……なら仕方ないわね……!」
アーリアはスタッフに性的魅力に誘惑を重ねる。
だ、だめよそんな誘惑に屈するはずが――もう一杯だけよ?
「ぱんつ……ぱんつのカルパッチョ……!!」
乙女のぱんつ。おっさんのパンツ。みんなみんなカルパッチョ。なんだこの料理!?
鈴鹿さん嘘でしょう? これやるんですか。広めるんですか!
「味覚を駆使すれば全て分かる……! ボクは、パンツに関しては負けない!」
さて番組の途中ですがここで新田 寛治プロデューサーからの提案です
「ここで一つ、遊楽伯にもご参加頂きましょう」
「ほう、私ですかプロデューサー」
デデン! ジャパニーズ・サケ飲み比べ! このプロデューサー用意が良すぎる。
一つは『ドラゴンパワー オータムドラゴンフライ』推定価格1万5000G。
一つは『ブラックドラゴン ワンアンドオンリー』推定価格15万~50万G。
双方共に純米大吟醸だが――ブラックドラゴンは秘蔵の氷温熟成。価値が違い過ぎる。
「さぁ遊楽伯如何に」
しかし当てるだろうと彼は思っている。遊楽伯ならば。
だが所詮これはブラインドだ。本命は次……令嬢のパンツ問題。
双方共に令嬢のパンツであり、どちらが年月の長い物かを答えてもらう。答えて死ぬか黙して墜ちるか――プロデューサーの仕掛けた、究極の罠がもうすぐ待ち構えていた。
●第三問
ルル家は余裕だった。一問目と二問目は。
「はっはっは! 拙者をただのアンポンタンと思っている向きもあるようですが! これでも宇宙警察忍者本庁勤めの」
文字数関係で省略して第三問目に行きますねはい!!
すると真っ先に彼女は下着を口の中に含んで……ええっ!?
「成程成程……ふむ、良い生地ですね香りも良い。これは間違いなく暗さ、失礼。名家の淑女がご使用なされる下着と存じます。かくしてもう一方は……ふむふむ厠はどちらで?」
「えっ?」
えっ、じゃないよ早く教えて遊楽伯! Bを口に含んでただで済む訳ないでしょ!
ここで惨劇を引き起こしてもいいのか――ッ!!
――夢見ルル家、戦闘不能(リタイア)
ウィリアムは脳髄に電撃が走る瞬間を感知した。
「……何故だ。この手触り、俺は知っている……?」
乙女のアレでもない。くまさんのアレでもない。これは、アイツの……!!
やべぇ会場内に某あの人がいる気がする。早い所逃げなくては全員の首が落ちる。
目隠しをされ視覚を封じられようと……外す訳にはいかない問題がある!
「それが鈴鹿の――パンツハンターとして誇り!」
捨ててしまえそんな誇り! ともあれ触角と嗅覚、そして味覚で彼女は大体のパンツの種類が分かるのだ!! ええっ!?
「答えはAなの! というかこれ、同じの持ってるの!!」
ダメダメ隠して見つかったら殺されちゃう!
「さ、さぁ気を取り直して三問目……え、何この問題……」
蛍はドン引きしていた。嘘でしょこの問題?
「品の判別という趣旨からは外れてないあたり、たちわりーのです……」
珠緒と共に目隠しされて、しかし。
「桜咲、自慢にはなりませんが様々な意味で虚弱。身に付ける品も気を遣うのです」
「……! 成程。繊細だからこそ分かる事もあるのね!」
自らが使うならば生地の良いモノを――ならばこちらだろうと正解を選んで。
「……この布、どこかで触ったことがある様な……」
審美眼を養うは悪い事ではないと思ってルミリアは参加しているが、これはなんだかよろしくない物な気がする。何を基準に視るべきかもイマイチ分からぬが、とにかく勘が継げている。まずいと。
――まずはこちらの映像をご覧ください。
流れる二つの映像。錬達のなんやかんやのあれな機械に映っているのはギルオスであった。何気なく流れる日常の映像……違いが分かるだろうか?
「実は――片方はさきほどの絶対に誰のか言っちゃいけない人のぱんつを履いたギルオスなのじゃ!」
「嘘を付くなァァアアア!!」
パンツマンが騒ぎ始めたがデイジーは無視。世の中広いからね、パンツを入れ替えるギフト所持者とかいても不思議じゃない。うん。何気ない動作からどちらがヤバイパンツを履いた某氏か……一流の皆さんなら勿論分かりますよね!
「うむ、超一流の妾はAのギルオスが怪しいとふんだのじゃ!」
やめろ――! なんの陰謀だこの映像は――!!
「……僕獣だから鼻は良い方だと思っているんだけど……なんだかこのぱんつはダメな気がするの……」
カシミアの野生の勘が吠えている。やばいってこれやばいってこれ。
同様に破滅を感じていたのはR.R.だ。口に出すことが憚られる程の破滅……禍々しい。
「成程……答えはAだな。Bとは比較にならない……」
レイチェルは思考していた。まさか遊楽伯がこのようなネタな催しをするとは。
「まぁ意外ってだけだが……呼ばれたからには乗るのが俺の主義よ」
ククク。如何なる問題であろうと高みを目指すのみ、とレイチェルは外套を翻して問題に挑む。肉? 芸術? なんと容易い問題共か。これならば全問正解も――
「…………ちょっと待て、この問題を設置した奴、誰だ?」
何の問題かは分かる。だがまさかあの遊楽伯がこんな命に係わる問題を?
まさか人様のぱんつを触る事になるとは人生とは分からぬものだ……いや吸血鬼だが。
「だがこれも問題の一つってんなら仕方ねぇ」
生地が違う。恐らくはこちらだろうと――Aの部屋へと向かって。
「はい? Bのこれ30ゴールドの奴でしょ何度も闇市に出やがって!!」
秋奈は憤慨している。流石闇市ブン回してる人たちは目の付け所が違うぜ。
「Aは……!? この肌触り!!」
と、何を気が狂ったか秋奈は無性にぱんつの香りを嗅ぐ。
くんくんくんくんもぐもぐもぐもぐ。
「間違いない!! これはもごもごもごリーゼロ」
ボ・ッ・シュ・ート・ッ!!
「分かったぞ!! こっちだ、これは――嬢のぱんつだ!!」
これも闇市で何度か……あっ。暗殺令嬢が見てる。逃げてリゲル! 逃げて――!!
「……これ用意した人色々大丈夫なのか?」
ポテトは思わず心配を始める。その人物がどうなるかはこの章の一番下をご覧ください。
「グフフ……格付けとな? 一流とは金の力、人の力を有しているかによって判別される」
つまり双方共に有しているワシこそが超入り中と――大二は語る。
第一、第二問なんぞ余裕余裕。情報網やコネクションを駆使してあらゆる情報を仕入れていたのだから……! そしてなによりこの三問目。これに至ってはサービス問題だ。
「ワシは現物を所有しておる」
聞かれたら命の無い言葉だ。
「さらに依頼で扱ったこともあるでなぁ……フッ。触らずとも雰囲気だけで分かるものよ」
なお雰囲気とは令嬢の殺意の事である。あ。あ、令嬢のにっこりとした目が大二を向いて。
エリザベスはBの部屋に向かっていた。令嬢のぱんつを持って。
部屋に寝そべるそして鼻に乗せて、両端を引っ張って思いっきり引き寄せて――
「すうううううううううううう」
はいはいはいボッシュート!! 態勢を維持したまま落ちていく様は流石です。
「ぱん……なに? 血迷ったかガブリエル・ロウ・バルツァーレク」
全く持ってジョセフの言う通りである。しかし問題ならばと手触りから判断し。
「ふむ、触り心地が良いのはこちらだが……しかし令嬢閣下。ほんと、お腹冷やしちゃだめだぞ最近冬に至っても露出が高いのはホントどうかと思っぬわあああ――!!」
問答無用で叩き落とされた。令嬢! 勝手に紐を引っ張らないで!!
上質な者には上質な物が自然と分かると、誰が言ったか。
「オ――ッホッホッホッ!」
こ、この掛け声はまさか!!
\きらめけ!/
\ぼくらの!/
\\\タント様!///
「――のようにッ!!」
ラブリーヘブンリーラグジュアリーぴかぴかりんポーズ!! のタント様――!!
それでは御精査頂きましょう。一・二問目は煌めきを感知して正解したがこれは。
「あ、もう結構Aですわ」
えっ。
「えっ? いやですからAですわなんでって……それは完全に女性の下着ですわよね?」
気配ですぐに分かりましたわ。す、すげぇタント様勢いだけじゃない本物だ……!!
「クッ、パンツ当てなんてなぜこのような……!? はっ、この感触もしやリーゼロッテ様のでは」
だめ、だめだめ! 名前を出しちゃ駄目ですガーベラさん!!
「――まずは手触りから……Aはとても情実な生地ね。それと比べてBは全然ダメ」
一転して口調の変わるニル。さて手触りは分かったが折角だ匂いも見ておこう。
「はぁはぁ……違う。これは答えを導き出す為に必要な事なの……ええ、例え絵面がマズくてもコレは重要な事なの……! だから、いざ、いざ、いざ――あああ!!」
なぜか落とされた。
●さて
「ご説明頂きましょうか遊楽伯」
第三問目はどういう事で? 『笑顔』の暗殺令嬢、リーゼロッテがそこにいた。
え、いつの間にいたの? とお思いかもしれないがこれは遊楽伯主催の催しである。なれば三大貴族の彼女がいても不思議ではあるまい。身の危険を感じる人はすぐに逃げようね!
「いや、あのような問題私は用意しては……」
思わず胸倉掴み上げようとしている暗殺令嬢。間にリアが入って必死に守っているおかげで難を逃れているがこのままでは済むまい。まずいぞ、新年から血の惨劇だ。
――と、誰もが思っていたその時。
「遊楽伯爵。この場を設けてくれて、ありがとう」
あれは誰だ。鳥か、ぱんつか。いや――セティアだ!!
「ちょっと風邪っぽいけど、打ち合わせ通りにがんばった」
「はい? 打ち合わせ通り?」
遊楽伯は目を丸くしている。寝耳に水だ。それと風邪? まさか――
セティアは語る。伯爵、貴重な三問目出題のチャンスを頂けてうれしかった。
あとみんなも回答してくれてうれしい。なんで逃げるように席をたつの? 遊楽伯爵はなんで額を抑えてるの? まぁいいや最後にもう一度お礼いいたい。みんな――
「――がちめにありがとう」
「……セティアさん」
「はい!」
セティアの肩に、リーゼロッテは手を置いて。
――私たち、オトモダチですわよね――
――はい!!!!!――
こうして。今年の格付けチェックは終わった。
年の明け。次はどんな一年になるのであろうか――
願わくば、来年もまた。このような馬鹿騒ぎを……
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
おつかれさまでしたイレギュラーズ!!!
MVP? いや、うん……遊楽伯爵の命が結果として助かってますので……!
ご参加どうもありがとうございました!!
GMコメント
あけましておめでとうございます!! 茶零四です!!
完全に某アレです。ノリでお楽しみいただけますと幸いです!!
■幻想格付けチェック
Q:格付けチェックとは?
A:高級品と安物品を見分ける一種の催しです。己が審美眼を試される場となります。
外す方の部屋にいると全員纏めてボッシュートされます。
でも時折「一回落とされてみたかった」「こういうのを見る度落とされるのが羨ましかった」「早く落として」などと言う者達がいてわざと外れの部屋ばかり選ぶ人もいます。
メタ的に申し上げますとプレイヤー視点では外れと正解が分かります。
キャラクターがどのような反応をするか……その観点で是非お楽しみください。
■第一問:見た目はとても綺麗な鳥料理
A:フォルデルマン三世も食した王宮料理(正解ルート)
B:『燃える石』の店主のお弁当(味はお察しください)
一つは『燃える石』の店主のお弁当です。
あまりにも味が違い過ぎるので分かるのですが、あまりにも『分かりやすすぎる』ので疑心暗鬼になるかもしれません。
■第二問:バルツァーレク伯爵の肖像画
A:力強い、独特な雰囲気を持った肖像画(ユリーカ画伯製)
B:色彩の少ない、あっさり目の肖像画(高名な画伯製・正解ルート)
見る人が見ればすぐ分かるのですが、実際芸術ってよく分からんですよね。
本当はフォルデルマン一世~三世のとかを用意したかった所だったんですが「不敬!」とか突っ込まれたら困るのでガブリエルさんが自分の肖像画を用意しました。
■第三問:ぱんつ
A:絶対に誰のか言っちゃいけない人のぱんつ(正解ルート)
B:おっさんのパンツ
誰のって? ノーコメントです。【この問題は目隠し状態】で判別してもらいます。
手で触るとか、その………………色々方法はあると思います。
誰のって? いや、だから……ノーコメント!!
■第四問以降:自由枠
自由に問題をご作成下さい! 基本的に公序良俗に反していなければ大丈夫です。
更なるぱんつでも……いいのよ……?
■NPC
『遊楽伯爵』ガブリエル・ロウ・バルツァーレク(p3n000077)は確実にいます。
その他のNPCに関しましては登場する『可能性』があります。
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