シナリオ詳細
プルブルーメの日
オープニング
●
「あ、こんにちはなのです! あなたさんは報告書の提出ですか?」
朗らかに笑うユリーカは何時も通り受付に座っていた。
バグ・ホールの出現に、幻想王国への冠位色欲による襲撃。混沌世界は現状、平和とは言い難い。
各国から齎される救援要請を含め、ローレットも大忙しの状況だ。それでも、何一つ変わらないのは彼女がローレットの受付で笑っていることである。
「新年の初詣~と思ったのですけれど、竜宮も豊穣も大変盛りなのです。
なので、ちょっとしたお出かけをするのはどうでしょうか? 」
ユリーカはにんまりと笑う。「勿論、初詣も出来るような感じではあるですよ」と付け加えてから。
「プルブルーメの日ってご存じですか?」
ユリーカは何気なく問うた。その手には透明な花弁を持った花が握られている。
「このお花なのです。幻想と鉄帝国の国境……幻想から見れば、北部戦線。鉄帝国から見れば、南部戦線。
その近くの山岳にある鍾乳洞に咲く花なのです。このお花は心を込めればそれに応じて色を変えることで知られているのですよ」
例えば、とユリーカは何かを祈るように花を握り込んだ。それは真白の花となる。
祈りを込めれば真白に。愛を込めれば真っ赤に。様々な思いに応じて色を変えるその花は精霊の加護を宿していると言われているのだそうだ。
「この花がそろそろ開花の時期なのです。花が咲いたら、贈り物にする人も居るのですよ!
……よくある話なのですけれど、このお花を育てている方がイベントとして『プルブルーメの日』を制定したそうなのです」
丁度開花が始まる時期に、それから、花が咲き綻んできた頃に。その期間にこの鍾乳洞で僅かな憩いを、というイベントテーマなのだそうだ。
これだけ世界が変容している中、心落ち着く隙間があればと願ってのことなのだろう。
「それから初詣が出来ると言うのは、この鍾乳洞の奥にどう言う謂れの者かは分からないのですが『願い石』と呼ばれるものがあるのです。
新年にはそれを撫でて、お詣りをする人がいるそうですよ。お詣りではお祈りをして、これからの平和を願うのだとか」
何か、初詣の代わりになればとユリーカなりに探してきたのだろう。散歩がてら行く程度でも良いのだと彼女は告げた。
「あ、そうそう。お弁当を持って行ってピクニックも出来るのです! ボクもしたいなあって思って――」
誰かに声を掛けた、という。ユリーカは「一緒にどうですか?」とあなたへと問い掛けた。
「ユリーカァ」
呼び掛けにユリーカがくるりと振り向けば、月原 亮がバスケットを手に立っている。
その後ろには同じようにバスケットを抱えたリリファ・ローレンツの姿が見えた。朗らかな陽射しでからりと乾いた洗濯物を取り込んだのだろう。
タオルやシーツはきちんと畳まれている。二人に『お手伝い』を頼んでいたユリーカはひらひらと手を振った。
「あ、おかえりなさいです!」
「タオル、一枚落としちゃってさ。リリファが悪い」
「は? 月原さんでは?」
睨み合う二人にユリーカは笑う。この口を開けば言い合いをする二人にも誘いを掛けたのだとユリーカは広告を指差した。
「亮さん、リリファさんも行きますよね?」
「あ、行く。花を贈るのも良いけれど、ピクニックも良いよなあ」
「食い意地って事ですか? ユリーカさんの御弁当手伝いますからね! あ、月原さんは蛸さんのウインナー担当で」
「じゃあ、リリファは卵焼き。ユリーカ、唐揚げ作って」
「……」
大きな子供が増えた感覚だ。お弁当に何を入れようかと楽しげな二人を見詰めていたユリーカはあなたへ囁いた。
「本当はずっとこうやって平和なら嬉しいですけれど。此れからもっと大変な事があるかもですし。
だから、その為に英気を養いに行くのです。よければご一緒にどうですか? 場所は、ええと……あ、このチラシを渡して置くですからね!」
ユリーカは広告を差し出してからあなたに「楽しみですねえ」と笑った。
- プルブルーメの日完了
- GM名夏あかね
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2024年01月30日 22時45分
- 参加人数38/58人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 38 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(38人)
リプレイ
●
透明な花々が揺らぐ。美しいプルブルーメの群生地に足を踏み入れてイナリは肺一杯にその空気を満たす。
「ここがプルブルーメの群生地の鍾乳洞なのね。うん、調べ甲斐があるわね。どんな植生なのかしら♪」
どこか楽しげに弾む歩みと共に、プルブルーメの採取と調査に向かう彼女は周辺の地形や地質を調べることを意識していた。
そこに咲く花は混沌世界の特有の植生なのだそうだ。人々の思いに呼応して花開く。
――だなんて、科学的に上手く再現できたなら嘘発見器の開発も出来そうだと唇を緩める。
「綺麗な花なのね。それに、願い石まである。こじつけたのかもしれないけれど、ロケーションにはぴったりな観光資材だわ」
そんなことを言いながら、願い石に祈りを捧げた。折角なら壮大で尊大な夢が良い。
……全生物を屈服させて世界征服を成し遂げたい――なんて。
その地に踏み入れれば冷ややかな気配が失せた。その様子にぱちくりと瞬くアクセルは周囲を見回す。
この地は幻想と鉄帝国の丁度境に位置しているそうだ。この場の記憶がアクセルの『はじまり』だ。ならば、両親だって屹度――
「母さんも、父さんも、名前も顔も覚えてないけど……どっちかか両方はスカイウェザーなんだよね。
あとは目の色とか、どっちかから受け継いでたりもするのかな……?
でもオイラは一人ぼっちだったから、オイラが覚えてる最初の時にはもう両親はいなくなってたんだと思うし……」
その面影を追いかけるようにアクセルは周囲を見回して花を一輪握った。その花を贈る相手は、もうこの世界にはいやしない。
色は哀悼の紫を。それからリボンは祈りを込めた白を選ぶ事にした。
「……今、無辜なる混沌自体が大変なことになってるけど、ふたりが生きてたこの場所をずっと守るために、オイラ、がんばるね!」
ふと、脚が誘われたように歩き出す。崩れた鉱山跡に辿り着いて、どうしてもその場所が気になって仕方が無いのだ。
「心を込めれば色が変わるお花かあ、素敵だね。私はどんな色になるのだろう。キレイだといいなあ~」
そんなことを呟いてアレクシアは花畑をのんびりと散歩していた。願い石に向かってゆっくりと歩き出す。
花を贈ろうと考えても、贈りたい相手が多かった。アンテローゼに持って帰れば、司祭達は喜んで世話してくれるだろうか。
ひょっとして、地下庭園に群生地を作り始めたり。なんて事を考えて、無垢な花を一輪持ち帰る用意をする。
「さてさて、これが願い石か。
お願いしたいことはいっぱいあるのだけど……そうだね、私が願いたいのは、みんなの幸せかな。
私がイレギュラーズになってから、良いことと一緒に、苦しいことも色々見てきたし……」
記憶は薄れても、記録にある。アレクシアは『忘れてしまった』けれど『知っている』。苦しい事も乗り越えて、世界には一歩ずつ踏み出した者達が多く居る。
(……そんな人達にしっかりとした幸せを掴んで欲しいんだ。苦しんだ分だけでも、笑って欲しい。
世界を救うのは私達が……イレギュラーズが絶対に成し遂げる。だから私は、その先を願いたい。
少しすれ違っただけの人も、何年も共にいた人も、みんな幸せであれますように)
少し欲張りな願い事をしたアレクシアの背を見付けたユリーカが「アレクシアさん」と手を振った。ランチの時間だと彼女は張り切っている。
ユリーカの隣には飛呂の姿があった。サンドイッチを多めに作ってきたという飛呂は何処か自慢げだ。
「チーズハムとBLTと、あとイチゴとクリーム挟んだデザートっぽいのもあると良いかな。
せっかくの弁当、皆でのピクニックなんだし、分けたり交換したりってのも醍醐味だろ。
ユリーカさんはどれ作ったんだ? それと交換させてくれ。俺のはサンドイッチ。何種類かあるから好きなのどうぞ」
「卵焼きなのですよ!」
練習したのだと胸を張ったユリーカに「じゃあ、それ」と指差す飛呂はとっておきのサンドイッチを差し出した。
「ピクニック、いいよね! 僕も色々作って持ってきたよー!
サンドイッチ、玉子にツナマヨにハムチーズ! から揚げとサラダと……あとデザートにリンゴ!」
お弁当箱を広げてみせるヨゾラに「わーい、うれしいのです!」とユリーカが手を叩いた。
プルブルーメの花を眺めてのんびりと楽しむピクニックは良いものだ。特に透明な花弁がきらきらと輝き、その目映さで心が落ち着いてくるのだ。
「きらきら光る透明の花弁……綺麗だなぁ」
ヨゾラとも弁当を交換しながら、飛呂はふとユリーカが願い石に興味を持っていることに気付いた。
「その『願い石』っての、一緒に見に行かないか?」
「はいです!」
エスコートされるようにその手を握りユリーカは願い石の傍までやってくる。どんなことを願うのだと問い掛ければ彼女は「皆の無事、です」とはにかんだ。
「俺はユリーカさんのトコに帰ってこれますように、だな。約束したもんな」
「はい。あ、勿論。ボクの願い事には飛呂さんも含みますからね!」
楽しそうに笑う彼女の願いを叶えるために――ここから、頑張らなくてはならないのだ。
ヨゾラはゆっくりと願い石へと近付いた。
(混沌が平和でありますように。
何かあっても、敵を全部倒して……奇跡を起こしてでも、乗り越えられますように)
願い石には沢山の祈りが込められているのだろう。そっと撫でてからヨゾラは目を伏せた。
この先に何があったって、更に先の未来の平和を叶えてくれるはず。そう信じていられるから。
(ちょうどここから、天義に近づいた辺りに私が3年ほど……。
イレギュラーズとなる直前までお世話になった村がありましたね……あの人たちは、きっと何も変わらぬ平穏な暮らしをしているでしょう)
マリエッタは小さく息を吐いた。このような場所があるとは知らなかった。あの村の人々は知っているのだろうか。
この世界は様々な世界を見せてくれる。滅ぶには余りにも惜しく、『魔女』であろうとも世界を守り抜きたくなるものだ。
(でも私は忌み嫌われる魔女……本来ならばイレギュラーズにもそう思われてしかるべき我なる者。
ユリーカさんには悪いですけれど、この場所の散策を……一人でこそっと楽しませてもらいます。
プルブルーメの花は……私に何を見せてくれるのか。願い石は……ふふ、あまりに私にはに合わないですね)
――ああ、けれど、この静寂は本当に気に入ったのだ。
●
「ロマンチックな場所だね!」
ウキウキとした様子でやってきたルル家に「本当ねえ」とカロルが笑う。
ルル家自身、いとしい人に別れを告げられたわけではない。カップルに向けた催しだと言われれば嫌でも彼の顔がよぎって――頭を振った。
「おまえ、いま私以外のこと考えた?」
「い、いやだなあ。キャロちゃんとのデートなんだから違う人の事考えるのは失礼だよね。別に私はキャロちゃんに恋愛感情抱いてる訳じゃないけど!」
「抱いたら手酷く遊んでやろうか」
そんなことできっこないクセにと笑ってからルル家は「こっちこっち」とカロルを手招いた。
「相手を想うと花の色が変わるんだって。折角だからお互いに贈り合ってみない?」
「へえ、やりましょ」
ルル家がカロルに抱くのは友情。大切な友であるという意識だ。それから、普通の女の子として生きていて欲しい、恋を見付けて欲しい、何時か訪れる週末には抗って勝ちたい。
(あ、そっか。いつかお互いに好きな相手と添い遂げたら一緒に子供を連れて出かけるのも良いなぁ。
……なんだか色々考えすぎて全部まじってヤバイ色になったりしないかな!? 大丈夫!? なんか奇跡的に良い感じになりますように!)
慌ただしい様子のルル家の花は柔らかなシトリンの色だった。ほっと胸を撫で下ろしてからカロルが「緑で結べ」と指差すことに気付く。
「我儘だなあ。あ、キャロちゃんの花は何色になった?」
「奇遇ねえ。おんなじ色味。おまえの事を友達だと思ってるし、長生きして欲しいとか考えたからかしら。リボンはピンクよ」
「ピンク?」
「そう。私の色。緑、お前の目の色。ってことで……大事になさいな」
何れだけ可愛くなったって返さないからね、なんて揶揄っていたルル家は「いやあ、キャロちゃんだなあ」とはにかんだ。
「ふーむ? 色が変わる花かぁ。
雰囲気に流されてとか勢いでとか言うことはあるけど。面と向かって言うのは夫婦でもほら、ね?」
くるりと振り返ったルーキスは「基本的に喧嘩もなければ浮気とかもない円満万年新婚夫婦だけどさあ?」と揶揄うように声を弾ませた。
眼鏡の位置を只してからルナールがくすりと笑う。ああ、そうだ。円満『万年新婚』夫婦であるのは確かなことだ。
「我ら夫婦は普段から平和そのものだし、なんの不満も不安も無いし。
人間すら辞めた俺では今更な気もするが、どうせなら永久を祈りたいところだな。
……ほら、愛は常に込めてるし。ルーキス以外に興味もないんだしな俺は」
「でも、折角ってのもあるだろう。ルナール先生。ということでこれは良い機会なのでは。そりゃ込めるのはLoveですよLove私の愛をくらえー」
にたりと笑った彼女へと「俺としては逆にルーキスの花の色の方が気になるけどな?」は囁いてその髪に口付ける。
彼女のが手にした花の色は赤に混ざった穏やかな白。それも独立した花弁で色彩は混ざることはしなかった。
「面白い花が咲くよねー。ルナール先生の花は何色かなー?」
「ははっ、いくら俺の好きな色が青でも流石に花まで青くはならない……と思うが……?」
「愛情ならば勝っているって言う意思表示?」
「……」
そんな円満『万年新婚』夫婦は小さく笑う。鮮やかな青色だって彼女の色である事は確かだ。
白いリボンを結ぶ彼女へと差し出す淡いクリーム色のリボンの花は美しい彼女に良く似合う。
願い石へと向けてゆっくりと歩くメイメイは「明るいとはいえ鍾乳洞ですから、足下に気をつけて下さい、ね」と微笑んだ。
「ああ。メイメイ」
そっと手を握った晴明にメイメイは「ふふ」と小さく笑った。自然な仕草で手を握ったのに、少し戸惑う彼は少し照れを滲ませていて。それだけで心地良い。
「こんなに沢山のプルブルーメを見るのは初めてです……!
色付く前の透明なプルブルーメも、キラキラとしてて氷の花のようで……可愛らしくて、わたしは好き、です。
晴さまもひとつ、手に取ってみます、か? ふふっ、どんな色に、なるでしょう、ね」
そっと差し出すメイメイに晴明は「色を知られるのは、些か恥ずかしいものだな」と肩を竦めた。
花をまじまじと見詰める彼の背中に「晴さま、こちらへ」と声を掛けた。それは願いを叶える石と呼ばれている。晴明は花を手にメイメイの横顔を眺めた。
「豊穣だけではなく、て。世界に迫る、危機に。怖くない、わけは無い……けれど、必ず、乗り越えてみせなくては」
「ああ、共に乗り越えてくれるだろうか」
そっと見上げれば、彼は「どうやら俺は挫けやすい性質のようだから」と何処か可笑しそうに笑う。
「はい。……気晴らしに、折角此処まで来ましたし、わたしの村に、寄り道、していきません、か?
この時期は、麓に近い『冬の村』で暮らしています、から。晴さまはそちらには初めて、ですよ、ね。
ふふ、案内します。きっと皆歓迎してくれます、よ」
「それなら嬉しいな。冬の村、か。……メイメイの事をまた一つ知れるな」
「はい。……晴さまに教えてあげたい事は、沢山あるのです。わたしの、育った場所ですもの」
彼の事も、自分のことも。まだまだ教え合う仲だから。少しずつ、歩み寄っていきたい。
「プルブルーメの花、綺麗だね」
透明な花弁を有するプルブルーメの花が綻ぶように開く。まるで来訪者を受け入れ笑みを浮かべているかのようだ。
雨泽の傍に立っていたチックはつい、とその袖を引く。
「心を込めて握る……したら、色が変わる、なんて。不思議だけど、素敵な花……だね。
……ね、雨泽。おれ達もあの花、一緒に贈る……してみたいな」
柔らかな声音と、どこか緊張したような声音に雨泽はそのイーグルアイを思わす眸をすうと細めて笑った。
「贈り合うの? 勿論いいよ。君を想って花を握って、リボンをつければいいんだよね? ……うーん、すぐに変わるのかな」
一輪手に取ってからチックはどこか緊張したように両の手で包み込む。その横顔を見詰めてから雨泽もそっと花を包んだ。
互いへの思い出花弁の色が変わる。それは心を見透かされているようで少し気恥ずかしい。
(……でもまあ、君の幸せを祈ろう。君は暖かなところで笑っているのが似合いなんだから)
握る花が『桃色』に変化した事に気付いてから雨泽は「チック」と呼んだ。白が強い咲き染めの桜色。その鮮やかさに白色のリボンを巻き付けたのは、出会った頃の彼に抱いた印象だった。
「はい、どうぞ。チックのは何色になったのかな」
「……赤色と、白色。だって、"好き"と想っている君と、同じ色だなって。感じた、から」
チックの手にしたプルブルーメは白と赤が混ざり合う。どうかこの先、幸せで、笑顔で居て欲しいという祈りと愛情が混ざったそれは何方も強く、そして調和を取り合っているかのようで。
「リボンは緑?」
「これも、『君』を形作る大切な色の……一つ」
そっと手渡すチックに雨泽は朗らかに微笑んでから手を差し伸べた。
「ねえ、一輪挿しの花瓶も買いに行かない? 君の想いが籠もった花だもの。長く咲いていて欲しいんだ」
●
のんびりとピクニック気分で藍は最奥にまでやってきた。願い石と呼ばれたそれを前にして、小さく息を吐く。
長く伸びた黒髪を揺らがせて、そっとその掌を近づけた。つるりとした感触を感じ取りながら目を伏せる。
友人と、何時までも仲良くあれるように。金の髪の彼女と銀の髪の彼女は、きっとその願いを叶えてくれるだろう。
(それから――何処にいるかもわからない彼が幸せでいますように)
祈り、願いながら藍はその場に佇んでいた。
ひゅう、と風が吹いた音がする。音だ。此処にも素敵な音が満ちている。Kyleは花の揺れる音、風の通り過ぎる音、様々な旋律に耳を傾けた。
咲き綻んだ音色の心地よさに耳を傾ければ、それだけで心が震える。
美しい音色を奏でる花畑は人の手が余り加えられていないからか。透明な花畑をのんびりと歩きながら、ただ、耳を傾けた。
鍾乳洞のしんと冷たい空気も心地良い。透明な花弁は何にだってなる事が出来ることを思わせる。
それさえも美しく感じられるから――Kyleはゆっくりとヴァイオリンを取り出した。
花という観客達に響かそう。この世界もどうか穏やかな続きに至るように。
その願いを石にまで届けて、この場に響かせるように――
寒くはないのだけれど――えいや、と手を繋げばトールの心臓が跳ねた。
積極的なココロの掌は小さくて、ぎゅうと握り締めれば壊れてしまいそう。その感触だけでも心臓は大きな音を立てている。
「願い石……? トール君。これってきっと初詣みたいなものでしょうね?」
「そう、そうですね……」
今はこの状況だから世界平和でも願うべきだろうか。そんなことを思いながらもトールの心はココロに向いて。
(トール君の願いが叶いますように!)
そんなことを願ったのに「皆さんの無事を願いましたよ」とココロははぐらかしたように笑うのだ。
「トール君は?」
「愛する人と幸せに暮らせますように、と願いました」
「ど、どどどどなたかは存じあげませんがうまくいくといいいいいいいですね」
――名前は敢て伏せたけれど。覗き込んだその眸だけで誰に伝えたのかを悟られてしまいそうで。
慌てた様子で視線を逸らしたトールはプロポーズだと受け取られてしまうだろうかと頬を赤らめた。
それでも二人とも手を握り締めたまま。決して離さぬ儘にして。
「きれいなお花、テアドールと一緒に見れたらなって思って、誘ったのです。お花の色が変わるの、不思議ですね!」
ぎゅ、と手を繋ぐニルに誘ってくれただけでも嬉しくてコアが暖かくなるとテアドールは嬉しそうに微笑んだ。
花を贈るならばニルは黄色の――ニルの色を選ぶと決めて居た。テアドールもパステルグリーン。お互いの色を選ぶことにした。
「テアドールへのきもちは、どんな色になるでしょう?
ねぇ、テアドール。ニルのきもち、伝わりますか?」
「はい。ニルの気持ちが伝わってきます。
少しだけ不安な気持ち、同じだったらいいなと思う心。だから大丈夫だと想いを込めます」
同じ気持ちなら、色も同じになるだろうか。違う色だったらどうしようと、少しだけ不安で――ニルはそっとテアドールの手を握り、それから頬を寄せた。
それからぎゅうと抱き締める。然うして貰うだけで、テアドールは温かな気持ちになった。
ニルの抱いた大好きな気持ち。恋も、愛も分からないけれど、とくべつでだいすきなひと。
(テアドールは、ニルの、ともだち。とってもとってもだいすきで、ずっとずっと一緒にいてほしい。
ふんわり笑っていてほしい。傷つかないでほしい。テアドールをまもりたくて。テアドールにまもられたくて……コアにふれてほしくて)
ぎゅうと抱き締められたままテアドールは目を伏せた。自分は世界から人と認められたって人では無い。
心が人間のようなのかだって分からない。システム仕掛けなのだろうかと思う事がある。
それでも、コアがじんと震えて、だいすきで、特別である事は確かで――
二人が握っていた花は優しい赤い色をしていた。
「花の色は赤ですね。なんだかすごい勢いで赤く染まったような気がするのですが……。だ、大丈夫ですよね、うん」
紫琳は困惑していた。真っ赤に染まった花は琉珂を思ってのものだったからだ。
染まるまで秘密よと花を手にしている琉珂にそわそわとしながら紫琳は「琉珂様」と声を掛ける。
どんな色だって、彼女の花は屹度綺麗だ。けれど――同じ色であれば、嬉しいと思わずには居られない。
「ずーりん」
「はい」
「見て。真っ白。……きっとね、これからどんな戦いがあっても生き残りたいなあって願いだからだわ」
「はい」
優しい人。そう思えば紅色の花は赤く赤く、染まって行く気がして。紫琳は小さく唾を飲んでから彼女の名を呼んだ。
「どうぞ、琉珂様。……赤の花は『愛情』を意味するのだそうです。
これからもずっとお傍で貴女の事をお守りいたします。大好きですよ、琉珂様」
大好き。その色に込めた意味を知られてはならないと思う自分と、気付いて欲しい自分がいる。
心が二つに割れてしまいそうで、引き裂かれそうで苦しくもなる。彼女の傍に居られることが嬉しいのに少しだけ恐くなった。
もしも、気付いたならば――?
この純真な彼女によこしまなおもいをぶつけるような気がして、どこか心がざわめいた。
「混沌には色んな風習があるのにゃ。プルブルーメの日、はじめて知ったのにゃ。
こういうのも情報屋になるためには必要にゃ。それに、実際どういう感じなのかも体験しとくべきだと思うのにゃ」
――と、言うわけで、とちぐさはえへんと胸を張った。ショウは「良い心がけだ」と微笑んでくれる。
「ショウの花は何色になるかにゃ? 黒猫だから、黒だったら大変にゃ……!
ショウはそんな意地悪しないのは分かってるけど……黄色……かにゃ? 青とか白?」
そわそわとするちぐさにショウが手渡すのは親愛の意味を持った桃色だった。込めた祈りは「無事」だろうか。
「にゃ。……ぼ、僕のお花も!」
ちぐさはショウの事を強く、強く思った。大好きな人。傍に居ることが安心できて、ショウの為ならば恐い戦いだって頑張れる。
(ピアスとか装飾品だけじゃなく、ショウにはたくさんのモノをもらったから、僕なりに、だけど……ショウにはしあわせを返したいって思うにゃ)
その願いが紅色になった。ちぐさの方がショウよりも更に赤く、鮮やかな紅色となる。
「花、赤くなったにゃ! すごいにゃ! ショウ、見て見てにゃ!」
「はい」
そっと髪に花を差し入れられてからちぐさはぱちくりと瞬いた。その色が、その輝きが今は何よりも嬉しかった。
●
「心を込めたら色が変わるなんて不思議な花です。
でも、これならどれだけ僕が貴女を愛しているか、伝わってくれませんか?」
囁く鏡禍に「まったく、お馬鹿な人ね」とルチアは小さく笑った。
「貴方の愛がどれだけ深いかなんて、改めて言われずともよく知っているわよ?
でも……そういう所、鏡禍らしくて好ましいとも思う訳だけれど」
「ふふ……」
ほら、と差し出したのは目一杯に愛を込めた赤色の花だった。結んだ青は自身の色合い。ルチアは傍に居る意味を込めたそのリボンさえも愛おしく感じられる。
「ルチアさんのいない世界は考えられないほど、誰よりも何よりも大切に想ってます」
愛情の重さも、それに比例するような色だって、誰にだって負けない自身があると鏡禍は告げた。愛が重いと言われれば少し悲しくはなるけれど――
「私は人間、貴方は妖怪。愛が重いとは言わないけれど、いつか私が天に還る日が来ても、恨んだり世を儚んだりはしないで頂戴よ?
……知っているとは思うけれど……。これは、精一杯の私の気持ち。勿論、受け取って貰えるわよね?」
死が二人を別つまで。赤く咲いた花を一輪差し出してからルチアは「分かってくれるかしら」と囁いた。
「想いを込めれば色が変わるって不思議だね。昔からあったのかなぁ? これまで沢山の人達の想いを受けてきたと考えると素敵かも!」
「あったんじゃないかしら。何にせよ、最初に発見した奴はとんだロマンチストだわ」
小さく笑ったカロルにプルブルーメの花を差し出してスティアはにんまりと笑う。折角だからと握り締めて、スティアはやや思い悩んだ。
抱いている感情に名前がまだ無い。誰に対しても抱いていない特別。それは確かだけれど――恋情とも、友情ともいえないそれ。
桃色に近く、紅色にも似たその花をまじまじと見詰めてからスティアはカロルを見た。彼女の握った花は緑にも近しい色だ。
「ん?」
「ううん。白いリボンで結んでおくね。ルルちゃんにお友達って思って貰えて嬉しいな」
「でも、本心は、きっともっと特別ね」
くすりと笑ったカロルにスティアは「桃色のリボンはルルちゃん色だね。私の白は神性力が増した気がするでしょう?」と笑った。
そっと手を引けば、何処に行くのと彼女は問うてくれる。そうやって共に進んでくれることが嬉しくて。
「願い石って言うのがあるんだって。新年のお願いをしてみてもいいし、聖女らしくこれからの平和を願っても良いしね。
でもルルちゃんは欲望に忠実になった方がらしいかな?
聖女らしさが必要ならそういうのは私がやるしね! ……だから自由に笑顔で過ごしてくれたら嬉しいなって思うよ」
皆が笑顔でいられるように、なんて聖女らしいことを願おうとしたけれど。
「そうねえ、私は取りあえずシャレたものでも食べたいわね」なんて笑う彼女が元気で居てくれた方が良い――だなんて、少しだけ我儘になった。
「心を込めると色が変わる花なんてロマンチックね♪
それじゃあ、プルーちゃんに渡す花は、アタシの想いの色ってことになるのかしら」
「ええ。スプリング・タイムな花を期待しているわ?」
「まっ」
小さく笑ったジルーシャが握る花はプルーも眼が握るほどのカーディナル・レッド。
思った通りの色になったのが少しだけ可笑しくて思わず小さく笑ってしまう。恋も愛も、とっくに彼女に染まってしまった。
愛おしいその人の色が、同じであればと眺め遣れば彼女の握る花は桃色にも近しい紅色だった。
「ちょっと恥ずかしいけれど……受け取ってくれる?」
ベルディグリのリボンをかけたジルーシャの花をそっと受け取ってから、ウィスタリアに飾った桃色の花をそっと差し出したプルーは「どう?」と囁いて。
「……ね、プルーちゃんの心、アタシに頂戴な」
「貰ってくれていなかったのね」
「もうっ!」
ほら、意地悪には意地悪を返す彼女。――ね、気付いちゃったわとジルーシャは囁いた。無事に帰って来てだなんて、随分と弱気な言葉だ。
「心で色が変わると言うのは不思議な花だな、今は透明の様だが……」
「……とても珍しいですね」
ベネディクトとリュティスは揃ってプルブルーメの花を見詰めていた。
主人を一瞥して「ご主人様」と呼び掛けてリュティスはそっと一輪の花を摘み取った。
「せっかくの機会ですし、このような花を贈るのも面白そうでしょうか?」
「それも良いな」
リュティスは小さく頷いてから目を伏せた。あてない旅路で出会った主人。まさに運命的な出会いだったと言えば寓話の王子を思わせる。
――それでもリュティスは恋仲の相手が出来るとは思ってや居なかった。これまでに出会った人々のお陰で優しさや恋情を知ったのだ。
「ふふ」
ベネディクトは小さく笑った。思い描いたのは彼女の事だった。初めて出会ったときからずっと支えてくれていた。
仕えて貰うようになってから傍に居るのが当たり前になった彼女に、居ないことで寂しさを覚えるようになったのはいつからか。
「永遠など人の身には無いのかも知れないが、それでも出来る限りの永久を共に歩んでくれるか。リュティス」
「はい。喜んで。いつまでも御主人様の傍にいる事を誓いましょう」
黒いリボンで互いに結んだのは、二人にとってそれぞれが思い入れのある色味であったからだ。
――けれど、花の色は同じ紅色。それが妙に擽ったくて、リュティスは唇にだけ笑みを浮かべて見せた。
●
「マリィ、こっちこっち! とっても綺麗でしてよ!
まさか南部戦線にこんな場所があっただなんて、初めて知りましたわ。きらきら輝く花弁が揺れて、まるで雲の上をお散歩しているみたい」
うきうきとしたヴァレーリヤの背中を追掛けて「ヴァリューシャ」と呼び掛けたマリアは彼女が立ち止まった場所を見回した。
「うわー! すごいね! こんなに綺麗な花畑があるなんで思っていなかったよ!
本当に素晴らしいね……たしかに、お花の雲の上を散歩してるみたいだね……!」
うっとりと笑えば、ヴァレーリヤはその場で身を屈め何かを作り出す。どうしたの、と窺い見れば彼女は自慢げに花冠を掲げた。
「じゃーん、花冠を作ってみましたの! 作っている間にちょっぴり赤くなってしまったけれど、着けてみて下さいまし!」
「すごい! お花で冠なんか作れるんだ!? わぁ! ありがとう……! ふふ。似合うかい?」
花冠を頭に乗せたマリアにヴァレーリヤは瞳をキラリと輝かせる。
「うんうん、私の見込んだ通り。とっても似合いますわー!
お家に帰ったら、ドライフラワーにして飾りましょう。きっと、良い思い出になりましてよ!」
「私にも作り方を教えておくれよ! ヴァリューシャのも作ってあげる! どうせなら二人分のドライフラワーを作っちゃおうよ!」
勿論だと笑うヴァレーリヤの傍に腰掛けてからマリアは嬉しそうに笑みを零した。
「ねえマリィ、来年もまた此処に来ましょうね。来年は、私が豪華なお弁当を作って差し上げますわっ!」
「うん! ヴァリューシャ! 勿論さ! 来年も再来年もここや色んな所に一緒に行こうね!」
君との約束が積もるだけで心が躍る。『お弁当』付きだなんて、なんて素晴らしい話なのだろうとマリアは朗らかに微笑んだ。
「多少草花には詳しいつもりでしたが、これ目にするのは初めてっすわ……綺麗っすねえ」
庭師であるが故に慧は草花への興味が先行して此処までやってきた。と、言えども『主さん』こと百華に土産になると思ったのも確かだ。
自身の世話する庭園の花やギフトの花を渡すことがあっても、それ以外というのはそう機会にも恵まれない。
彼女を思い花を手にする。思い思われ、友達のように振る舞ってくれる主は朗らかに微笑むのだろう。
「どんな色になりますかね。何色でもあの方は、花のように笑って喜んでくれそうっすけど。
……俺はあなたに無事で居てほしいし、俺自身も生き延びてみせますよ。何があっても、あなたのいる故郷が、俺の帰る場所ですから」
咲き綻んだ花は白だった。ただ、少しだけ朱が混じったのは気のせいじゃない。
桃色のリボンを添えて――その色が彼女の色だという事にきっと彼女は気付かない。
ふとしたときに、気がついてから「けーちゃんてば」と楽しげに笑ってくれるのだ。
今は遠く離れた故郷にいる主へ。顔を合せるのが今から楽しみになった。
少しだけ時間が経って。握る手だけが、ハリエットの心境の変化を伝えているようだった。
「これが願い石……平和を祈るための、石」
「噂には聞いていたけれど。様々な人の願いを背負ってきたのだろうね」
ハリエットはギルオスの言葉に耳を傾けてからそっとその石を撫でた。つるりとした感触は、指馴染みが良い。
様々な人々が撫でたからなのだろう。その場所だけ削れたように美しかった。
(どうかこの先、誰一人欠けることなく終局を乗り越えられますように。
皆が安心して暮らせる日々を勝ち取ることができますように。
そして――隣にいる人の笑顔が、この先曇ることがありませんように。守れますように)
欲張りなのだ。人間が欲深くなるのは知って居たけれど、一人でいた時には思う事も無かった願いは不思議と心地よさしかない。
ゆっくりと顔を上げたハリエットは祈りを得たギルオスの顔を見てから「お腹空いた?」と聞いた。
「あの、ね。サンドイッチ持ってきたんだ。唐揚げもあるよ。
……帰るにはまだ早いから。食事したら、もう少しあちこち見て回ろうよ」
「ああ、そうだね。少しばかり小腹も空いてしまったし。腹拵えをしたらもう少し見て回ろうか」
のんびりとした時間を共に過ごす。その心地よさがハリエットは愛おしかった。
「おや、里長様ごきげんよう。里長様はモテポ(モテポイント)が高いので、沢山の方からお花を頂いたのでしょう?」
にんまりと笑うヴィルメイズに「ヴィルメイズさんのモテポには負けるわよ」と琉珂は楽しげに返した。
「特に紫琳様辺りからは、それはそれはスペシャルな花束が届きそうな!
帰宅したらお家がお花だらけになってしまいそうですねぇ〜それはそれで華やかではありますが」
「はっ、花瓶がない……!」
「それは一大事では~? 里長代行に頼まねばなりませんねえ。
しかし、鍾乳洞の中にお花が咲いているなんて素敵ですよね〜
差し込む光が花を輝かせてキラキラと……この美しい私に相応しい場所と言えます!」
揶揄うヴィルメイズに「屹度怒られちゃうからずーりんに頼みましょう」と琉珂は呟いた。
楽しげな彼女の背中を追掛けながら、ヴィルメイズは日々の感謝を込めて、と一輪を差し出す。
「さて、私も花を一本拝借して里長様に贈ることにいたしましょう。
里長様は綺麗な髪の色でいらっしゃるので、白なども合いそうな気がいたしますねぇ〜」
手折った花はずんずんと黒ずんで枯れ落ちていく。琉珂はただその色彩の変化を見守ってから顔を上げた。
「誰か、聞いても良いの?」
『聞くか、珱の娘。いとも容易く散るものだ。花の命も……人の命もまた、然り。
――吾が名は魁命。往昔の舞手なり。九泉より甦りて閻を滅ぼさんとす』
「そう。誰でも良いけれど、その体はね、私の友達のものなの。ヴィルメイズさ――ヴィルメイズ、返して貰ってもいい?」
琉珂はじらりと見詰めてから何事もなかったように白く変化した花を彼へと持たせて微笑んだ。
「ほら、ぼおっとしちゃだめよ。転んでしまうから」
報告書を提出しに来た『ついで』に夏子はユリーカに催し物があると誘われた。
「……あーやっぱ味気ねぇ~。一人で来るモンじゃ無いっスよぉ」
平和なのは何よりだが、何とも言葉にし難い。花があると聞いた。それも、心を込めれば色が変わるという不思議な花だ。
「まだ黒狼館の部屋もそのままだし、飾り気無いのも物寂しいし お一つ拵えます。
はてさて 心を込める ねぇ? 頭の中だけで言やピンクになる気がせんでもないが~」
何時もなら隣でコロコロと表情の変わる温かな陽だまりのような女の子がいた。可愛らしく笑っては「ちゃんと想いを込めてね」なんて唇を尖らすのだ。
他愛もなく、ああだこうだと言い合って、可笑しそうに笑った後に「もう!」と彼女が拗ねるまでがワンセット。
(まだ実感ないんだ 事の顛末を受け止めきれてない 居なくなったなら 探せば何処かに居るんじゃないか ……なんてね)
花を握った。
彼女に恋をしていたのかも知れない。
それでも、抱いたこの感情に名前がない。名前が見つからないままで。
そんなことを物思って、変化した花の色は――
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
皆さんの素敵な思い出となりますように。
GMコメント
夏あかねです。初詣の代わりにこんなのは如何でしょうか。
久しぶりにスタンダードなイベントシナリオを出させていただきます。宜しくお願いします。
●参加時の注意事項
当シナリオではチームでの参加が可能です。
【チーム名(チーム人数)】or【キャラ(ID)】をプレイング冒頭にご記載下さい。
●同行NPC
シナリオ指定のNPC(サポートNPC)に対してのプレイングは自由にお掛けください。
また、指定されていないNPCにつきましてはシナリオ推薦等をご利用頂けますと幸いです。
行動
何をする?
【1】花を贈る/花を受け取る
プルブルーメの日に花を贈り合います。スタンダード。
お花は『色』をお選びください。混沌に咲く不思議なお花です。心を込めれば色が変わります。
【透明】まだ何も込められていない無の状態です。これからゆったりと色彩が変わって行きます。
【赤】鮮やかな紅色が咲きます。愛情を込めて。
【青】穏やかな青色が咲きます。勝利を願って。
【黄】朗らかな黄色が咲きます。友情を込めて。
【白】穢れない白色が咲きます。祈りを込めて。
【紫】優雅なる紫色が咲きます。哀悼を込めて。
【黒】澄み渡る黒色が咲きます。恨みと悲しみを込めて。
【?】花弁の色が混ざることがあります。貴方の込めた願いに応じて。
お花を受け取る方も、お花を贈る方もこの選択肢をお選び下さい。贈りあうのも素敵ですね。
【花の色】と【リボン】をご自分で選んで頂く事が可能です。
また、花に語りかける事で花の色が変化することがあります。ただ、花の変化に任せるのもよいかもしれませんね。
【2】プルブルーメの花畑を散歩する。
透明な花弁を揺らすプルブルーメの群生地は鍾乳洞の中です。ほんのりと暖かな空気が感じられます。
防寒具などは余り必要も無いような、温かさです。奥まった場所に行くにつれて、プルブルーメは鍾乳洞の間から差し込む光を受けてきらきらと輝くようです。
その最奥には『願い石』と呼ばれるものがあります。お祈りをしてみては如何でしょうか?
ピクニックしても良いですね。軽食を持ち込んでも良いかもしれません。
ユリーカはそれなりに大きなランチボックスを持ってきています。温かな珈琲も準備して皆さんを待っているようです。
ご参加
ご参加方法をお選びください(備忘用・所謂『迷子にならない札』です)
【1】お一人参加
お一人での参加です。プレイング内容次第ではご一緒に行動させていただく可能性があります。
【2】グループ参加
複数人での参加となります。チームタグをプレイングにご明記ください。
【3】必ず一人で参加する
お一人での参加です。【誰とかと一緒に行動することはありません】
Tweet