PandoraPartyProject

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ゴーレム達の夢、目覚ましのベルの音

 夢だ。
 夢を見ていたのだ。
 酷い夢。
 酷く悲しくて怖い夢。
 友達を傷つけてしまう夢。
 友達に傷つけられてしまう夢。
 友達の命を奪ってしまう夢。
 友達に命を奪われてしまう夢。
 悪夢だ。
 酷い悪夢だ。
 ただ、それが普通の悪夢と違う事は、それがまぎれもない現実の続きであったという、辛い事実だった。
 夢見る機械は現実に帰る。
 それは、間違いなく、友の声だった。
「今までの俺との時間を思い出すんだ!」
 そう言ってくれた人がいた。
「語りかける時間を稼ぐぐらいは……きっとあたしでも出来るはずなんです……!」
 そう言って、自ら傷つくことをいとわなかった人がいた。
「戦うのなら、大切な人の傍で共に戦え!」
 そう、勇気づけてくれた人がいた。
 多くの献身があって、多くの想いがあって、多くの希望があって、多くの願いがあった。
 誰かが、さらに多くの人の声を届けてくれた。
 帰って来いといったのは、きっと歴史に名も残らない、一人の鉄帝軍人。
 また遊ぼうと、言ったのは、きっと生まれて何年もたっていないような子供。
 まだ、君の事を知りたい、と言ったのは、果てない答えを求める、鉄帝の研究者。
 名もなき人たちだ。英雄ではない人たちだ。誰かに称えられるような人ではないはずだ。
 でも、でも――大切な、わたし達の友達だ。
 目覚ましのベルが鳴る。
 帰って来いよと歌っている。
 ああ、ああ。
 わたし達は、また。
 君の手を、とってもいいの?

 ――――――。

 …………ありがとう…………。


 アーカーシュ、元魔王城・現ローレット・鉄帝連合軍最前線基地にて――。
「反応、ありました!」
 兵士が、叫んだ。
「戻っています! 戻ってきています!
 奪われたゴーレム、帰還の途に……ああ、ああ……!」
 感極まったように、兵士が叫んだ。
 あの空に、あの地平に、無数のゴーレム達が、やってきていた。
 その目は、青空のように、真っ青に輝き。
 慈しみと、友の下に帰ることができたという喜びが、確かに、確かに感じ取れていた。
「入電……ゴーレム達から。電子信号で……」
 兵士が、読みあげた。
 そのメッセージは、以下のようなものだった。

 ゴメンナサイ。
 アリガトウ。
 タダイマ。

 ※<Stahl Gebrull>の緊急の戦況報告が届いています――!!
 ※操られ、奪われたゴーレム達は、そのほとんどが帰還した模様です――!!

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