PandoraPartyProject

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悪夢の泥を越えて

 深緑・ファルカウ上層部――。
 冠位魔種との激闘が続く中、このエリアでも大きな動きが見られようとしていた。
 ここはいうなれば、悪夢の園。大量のバクアロン・ナイトメアたちが次々と生まれ、そして現実へとその悪しき牙を向ける、悪しき夢の製造工場。
 不快などろどろとした粘性の床に、真っ暗な中ギラギラと輝く赤い太陽。魔の光景の最中、天井からたれ堕ちるしずくが、次々とバクアロン・ナイトメアの形をとる。
 終わる事なき悪夢。繰り返す悪夢。その狂気の世界の中で、しかし完全の立ち向かう勇者たちの姿が――イレギュラーズ達の姿があった。

「足を止めます! 続いてください!」
 エリス(p3p007830)は声をあげ、その手にした『ライアー(弦楽器)』を奏でる。澄んだ音色が、泥に埋もれる悪夢の世界を浄化するように鳴り響くや、土精がその力を発揮し、ファルカウの床を棺桶(コフィン)のごとく隆起させた。バクアロンがその棺桶の内に葬送されると同時、アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)の放った光の矢が、土の棺桶ごとバクアロンを貫いた。「きゅういいい」とでも文字にすべきか、とにかく奇妙な鳴き声をあげて、その身を泥へと変えた。悪夢の泥が大地に沈む中、しかし雪崩のごとく次なるバクアロンが飛び込んでくる。
「まだだよ、動き、止めないで!」
 アレクシアが言うのへ、エリスが頷く。
「はい! まとめて撃ち抜きます!」
 エリスが再び弦楽器をつま弾けば、生み出された連続魔撃が迫るバクアロンを次々と撃ち抜いた。バクアロンが転げ倒れるのへ、襲・九郎(p3p010307)の放つ驟雨の如き銃弾が降り注ぐ。銃弾を受けたバクアロンたちが、次々と水風船のように破裂していった。
「ちっ、まだ数は衰えないのか?」
 忌々し気に舌打ちしつつ、九郎が言うのへ、アレクシアが頷いた。
「うん……どうもやっぱり、無尽蔵に沸いてくるみたい!」
「でも! 勢いはおちてるわ!」
 ガイアドニス(p3p010327)がその手を振るいながら、声をあげた。ガイアドニスの眼前にいた数匹のバクアロンがぱぁん、とはじけて泥に還る。ガイアドニスは、頬を汚す悪夢の泥を、ごしごしと拭い落とした。
「バクアロンを生み出す大元……をやっつけられれば、事態は変わるはず!」
「決死隊頼みか! だが、ここで俺たちが根をあげたら、奴らの方にこの化け物どもが向かってしまうわけだからな……!」
 飛び掛かってきたバクアロンを蹴りつけ、地にたたきつけた九郎が言う。じたばたと藻掻くバクアロンへ、九郎はそのまま銃口を突きつけた。
「今こっちはお話し中だ。黙って寝てな」
 引き金を引くと、銃弾がバクアロンを『おねんね』させる。一方で、ジン(p3p010382)は静かに息を吸い込むと、その明鏡の如き刃を以って、バクアロンたちを次々と切り捨てていった。
「悪夢のような光景、か。ワイバーンとは違うが、それでも恐ろしい光景だ」
 涼やかに言うジンだが、それでも疲労の色は濃い。当然だろう、彼らだけでも、数百、いや数千に及ぶバクアロンたちを討伐していたはずだ。そのかいもあって、バクアロンたちの進軍は明確に衰えており、特に外に飛び出す心配などは一切存在しないレベルにまで数を減じていた。
「俺たちがなすべきは、ここでこの波濤を食い止める壁となる事――」
「そうだね。ここが頑張りどころだよ!」
 ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が頷く。その近くにはマリエッタ・エーレイン(p3p010534)の姿もあり、神聖なる魔力を込めた大号令を上げている。
「孤立はなるべく避けてください。単独では、飲み込まれてしまいますから」
「皆のことは、ワタシがささえます」
 ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)のもたらす祝福は、悪夢に負けぬ、イレギュラーズ達を立ち上がらせるための力となる。輝く天使の祝福に背中を押され、イレギュラーズ達は悪夢の最前線へと立ち続けた。
 なだれ込んでくるバクアロンたちを、黒いキューブが包み込み、その身の内に消滅させる。刻見 雲雀(p3p010272)の放った魔術が、バクアロンを喰らいつくしたのだ。
「向こうもそろそろ、飽きてきたころじゃないかい?」
 雲雀が静かに、笑ってみせた。
「根競べなら負けないよ」
「トゥイも負けないんな!」
 ライトゥイ・フェイン・フロウス(p3p010614)は悪夢の泥の中を軽快に飛び回り、バクアロンへと蹴りを放つ。倒れこんたバクアロンを興味深げに覗き込んだライトゥイが、
「ねぇ、これって齧ってもいいの?」
 いうので、雲雀は苦笑した。
「多分、お腹を壊しますよ」
「腹が減ってるなら、祝勝会で好きだなけ食え」
 九郎が呆れたように言う。
「そうね! ここを越えれば、きっと明るい未来が待ってるはず!」
 ガイアドニスが言うのへ、ジンが頷いた。
「ええ。醒めない悪夢はない、という事を教えてあげましょう」
 そう言って立つ彼らは、間違いなく勇者であり、現実の守護者であった。彼らの前ならば、如何な醜悪なる悪夢と言えど、その存在を許されることはないだろう――。
「いこう、皆! 深緑の未来のためにも……!」
 アレクシアの言葉に、仲間達は頷いた。エリスは弦楽器を構えて、すぅ、と息を吸い込む。
「絶対に、ファルカウを……深緑を守ります! いきましょう!」
 その言葉に、仲間達は攻撃を再開した。勇敢なる勇者たちの攻撃によって、悪夢は次々と討ち取られていったのだ――。


 ※限定クエスト『<太陽と月の祝福>Recurring Nightmare』が終了しました!
 ※多くのバクアロンが討伐された事により『<太陽と月の祝福>』の決戦地帯に影響が出ています――!

 ※シレンツィオ・リゾートより、依頼が舞い込んできています……!

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