PandoraPartyProject

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フィクトゥスの聖餐

独立都市アドラステイア

 天義の首都フォン・ルーベルグより離れた海沿いにその独立都市は存在している。
 独立都市『アドラステイア』は冠位魔種による『大いなる災い』によって信仰される神が紛い物であったと感じ、頼る縁を失った者達が『新たな神』を創造したことで作り上げられた宗教都市である。
 元となったのは敵国である鉄帝国の侵略を警戒するべく作られた港湾の城塞都市『アスピーダ・タラサ』。風光明媚なその場所は丘のように盛り上がり眼窩に海を見下ろすことが出来た。
 潮風を感じるアスピーダ・タラサを更に取り囲むように作られた高い壁は『神に反する外の悪しき者共』を拒絶し、新たな生活を営まんとしている。
 フォン・ルーベルグはこの現状に手を拱いていた。
 天義は宗教国家だ。正義を掲げ信ずる者のために生きてきた信仰者の都である。
『神を信じていようとも斯様な災厄が起る』『教皇や政府中枢にまでも悪が潜み、信ずる存在を愚弄された』という事実により、天義の信仰そのものに疑問を投げかける者が多く、完全なる復興にはまだ至っていなかった。
 そうした者達がアドラステイアに身を寄せたのだ。
 ファルマコンと呼ばれた神はフォン・ルーベルグから見れば反乱分子である。唯一の神を信ずるべきとした天義の国家そのものに反逆し、敵対勢力である事には違いない。
 だが、アドラステイアは先の戦乱で孤児となった子供や、信じる縁を失った子供達を大量に国内に抱き込んだ。まだ無垢なる彼等に新たな信仰と価値観を植付け強固なる国家となる事を狙ったのだ。

 アドラステイアには大人は少ない。マザー、ファザー、ティーチャーと呼ばれた限られた大人達が子供達武器を与え、統治を求めている。
 その統治こそが『魔女裁判』。自らが信じる『新たな神』への信仰が疑わしき者を告発し、信仰の明かしたる『キシェフ』を手に入れることで自らの信仰の証を得た。
 疑うべきは罰せよ。
 断罪すべき『裏切り』はその体に魔女の刻印を。『疑雲の渓』へと落し、神の御許で新たな命を得よ。神を信ずるとその命を賭してまで誓った者には致命者として神が御許に。
 毎日一度、都市の中心で鳴り響く鐘の音を聞き、祈りを捧げるのだ。

 我らの神よ――今日も幸福を与え給え。

 ――しかし、真実は残酷だ。
 幼子達の心の支えとなったファルマコンは『悍ましき邪神』であるとされている。
 この都市の中枢に入り込んだ『新世界』はローレットへの抗議団体だ。彼等は旅人の排除を目論見、世界から旅人を排する為の傭兵として子供達を育て上げた。
 全ては、子供達を駆使して『旅人』を排除するため。そして、『ファルマコン』を覚醒させる為。
 汝、神の『血肉』となる決意はあるか――

フィクトゥスの聖餐

 アドラステイアの神たる『ファルマコン』は言う。
「わたしが、命を喰らうとき。それは肉なるあらたな生き物として息をすることだろう。
 わたしが、命を作るとき。地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海のすべての魚はわたしのものとなる。
 地を滅ぼす濁流は、わたしが零した血潮の一筋よりつくられる。
 しかして、わたしを愛する者は救われるであろう。
 わたしはわたしを愛する者にわたしの血肉を分け与え、導くことが赦された。
 それこそが、終焉へと向かう方舟の主であるわたしのすべてだ」

 ――遂に行なわれたアドラステイア上層攻略作戦。
 アドラステイアの神とされた『ファルマコン』との接触が叶い、渓底には『魔女喰い』と呼ばれるファルマコンの分体までもが存在することが判明した。
 一方アドラステイアの柱となっていた闇ギルド『新世界』のギルドマスター・メビウスも追い詰め、攻略に王手をかける。
 ファルマコンは自身を終焉獣(ラグナヴァイス)と名乗り上げ、世界を破滅に導くことこそが自身の存在意義であると告げた。
 遂に、偽神の喉元にまで手が掛かった。天義を、否、混沌を襲う激しい寒波はアドラステイアとて例外では無く雪を降り積もらせた。
 激しい吹雪に見舞われるが、この機を逃せばアドラステイアとて反撃の一手を打つ可能性がある。 『殉教者の森』へと出掛けた子供達が帰還せぬうちに、作戦を成功させよう。
 それが誰かの命を救い、今まで散っていった『幼い魔女』達の魂を解放するために必要な『神殺し』である。

 全てを雪が、吹雪が、覆い隠してしまう前に――幼い命を愚弄する偽りの神を打倒せよ。

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舞台・地名

舞台

『独立都市』アドラステイア
 天義東部に位置する海沿いの『街だったもの』-――元々はアスピーダ・タラサと呼ばれた港湾都市です。
 高い壁や結界によって守られ、内部からの手引きなしに侵入することは困難です。
 内部の様子は高い空からかろうじて観察できるのみて、山型の土地は中央に行くにつれて建物等の裕福さが増しているように見えます。
 その住民の大半が孤児、難民ばかり。それらを受け入れて新たに都市となった国家です。
 外周は孤児や難民達が、中域は通常の住民達、高層は『選ばれし者』が住まう場所だそうです。
 その町並みは中世を思わせます。中央の塔は毎日1度お祈りの時間になると鐘の音を鳴らして知らせます。
 元は田舎町でしたが、ゴッドマザーたちによって土地の買収が行われ、騎士の懐柔や暗殺、壁や結界の建設が立て続けに起きたことで周辺騎士団はおろか天義中枢ですら簡単に手が出せない状態になってしまいました。

ファルマコン
 所謂、神託の少女などとも関係ない彼らだけで作った架空の『新たな神』です。
 神様を信じていても冠位魔種はやってきた事、アストリア枢機卿始めとする存在が『魔』の側であったことで、新たな依存先を探した結果です。

実験区画フォルトゥーナ
<ディダスカリアの門>実験区画フォルトゥーナにて破壊された中層の区画です。 この区画ではイコルが生産されていましたが、イレギュラーズの活躍によって工場もろとも破壊されたためイコルは全体的に不足しました。 破壊される前のフォルトゥーナはイコルの実験場でもあり、子供達は次々と聖獣化させられていた過去があります。 この地区を管理していた『ファーザー・バイラム』の正体は肉腫であり、現在宿主を変え上層へと逃げ延びています。

『疑雲の渓』
魔女裁判が行われる場所です。
魔女と認められた者は刻印をおされ、この渓谷へ突き落とされます。
いかなる能力をもっていようと、突き落とされた者が助かることはないと言われています。
また、渓に落ちることで救われるともされていますが――渓底には……?

ヘブンズホール
アドラステイアの頂の更に先、天上にあるという神の園です。
そこでは死した者や断罪された魔女たちが祝福を受け清らかな魂となり、永遠の命と聖なる身体を得ていつまでも幸せに暮らしています。
――という、幻覚です。幻覚でしかないはずです幻覚です幻覚です幻覚です……幻覚、でしょうか……?

登場人物

登場人物・魔種陣営

ティーチャー・カンパニュラ
 アドラステイア建設にも携わったとされる『贄の娘』。
 子供達の教育者でもあります。諜報部隊『蜜蜂』と実働部隊『毒蠍』を子飼いにしていますが……。

 どうやらファルマコンと直接会話できる限られた人間でもあるようです。彼女はファルマコンに依存していますが……。
イラスト:
プリンシパル・アウセクリス
 アドラステイアはティーチャー・カンパニュラが統率する実働部隊『毒蠍』のリーダーにして聖銃士。
 カンパニュラにつけて貰った洗礼名アウセクリスを使用しており本名は名乗りません。
 生来を約束されており非常にアドラステイアに対して献身的です。アドラステイアを聖域だと認識しています。
イラスト: i-mixs
マスター・メビウス
 反ウォーカー団体『新世界』のギルドマスターにして、アドラステイア建設に深く関わった人物です。
 彼の元にはウォーカーを憎み排除しようとする者が集い、無視できないほどの勢力となってアドラステイアの深い所へと入り込んでいます。
 アドラステイア内では『マスター』と呼ばれ、他の大人達とは一線を画した特別な存在として尊敬の対象となっているようです。
 アドラステイア上層部に拠点を持ち、これまで表舞台に姿を見せなかった彼ですが、上層攻略作戦においてついに刃を交えることとなります。

・バイラムの肉腫
 『ファーザー・バイラム』がフォルトゥーナにて倒された後、その新たな宿主としてメビウスへと寄生しました。
 しかしこれまでのパターンと異なり、メビウスを意のままに操ることが出来ていないようです。
 メビウスは意図したタイミングでバイラムの声を自らを介して届けるという形で、かつてバイラムが拾ってきた聖銃士たちを指揮しています。
イラスト:傾 千悠
マザー・カチヤ
 アドラステイアの傭兵部隊『オンネリネンの子供たち』の創設者にして首魁です。
 元々は中層に本拠地を持っていましたが、イレギュラーズ達の襲撃により本部は実質的に壊滅。
 その後は上層の隠れ家に逃れたようです。
 現在は、新世界メンバーである『オンネリネンの後ろ盾の人物』に接触するため姿をくらましています。
 今回の戦場では姿を見せないようですが、ティーチャー・エアリスを囮として、イレギュラーズ達にぶつけるつもりのようです。

イラスト:ばんたろ
ティーチャー・エアリス
 アドラステイア近郊に存在する孤児院を営む女性です。
 優しき子供たちの聖女……というのは見せかけで、各地で子供を仕入れ、孤児として信仰を植え付け、アドラステイアに売り払っていました。
 イレギュラーズ達の作戦により、子供たちの取引ルートが発覚したため、彼女は追い詰められています。
 現在はカチヤと共に上層に逃げ込んでいるようですが……。

イラスト:弌花瞠

味方陣営

ラヴィネイル・アルビーアルビー
 アドラステイアの中で暮らしていた子供のひとりです。
 些細な理由から魔女として告発され処刑されそうになったところを召喚によって命拾いした少女。
 アドラステイア内部の暮らし方や考え方に詳しく、探偵サントノーレから得た知識も相まって情報屋として活動しています。


イラスト:ちょす
サントノーレ・パンデピス
 聖都フォン・ルーベルグを拠点として活動する探偵。
 元は天義騎士を志していましたが、その道からドロップアウトした事で探偵となりました。
 国からの依頼でアドラステイアの内部をローレットとの合同で調査を行って居ました。案外頼りになるのです。

イラスト: i-mixs
イレイサ
 オンネリネンの子供達に誘われ、イレギュラーズに協力すべく潜入している孤児の少年。
 現在は聖銃士のひとりです。
 忠告をくれたココロ(p3p000323)に感謝を。携える小剣はブレンダ(p3p008017)がくれた決意。
 ネクタイピンは才蔵(p3p009175)がくれた誠実さ。マフラーはシキ(p3p000229)がくれた愛情。
 イレギュラーズとの約束を胸に、深い部分まで入り込んでしまったようですが……。
イラスト:蟹守

シナリオ一覧

難易度シナリオ名GM予約〆切時間と備考
<フィクトゥスの聖餐>ファルマコン夏あかね――
<フィクトゥスの聖餐>王国の崩壊洗井落雲22:00
<フィクトゥスの聖餐>しあわせでかんぺきなせかい黒筆墨汁22:00
<フィクトゥスの聖餐>白魔に隠される前に日下部あやめ22:00
<フィクトゥスの聖餐>神を貶め嗤う蛇たちへ春野紅葉22:30
<フィクトゥスの聖餐>Inferiorふみの22:30
<フィクトゥスの聖餐>紫水晶を捧ぐ22:30
<フィクトゥスの聖餐>魔女裁判場の決戦のらむ23:00
<フィクトゥスの聖餐>闘鬼万殺ふみの23:00
<フィクトゥスの聖餐>梢に作ったアタシの家奇古譚23:00
<フィクトゥスの聖餐>血濡れ聖女なちゅい23:30
<フィクトゥスの聖餐>あなたの温かな手で旭吉23:30
<フィクトゥスの聖餐>寒神降りし緋月燕23:30

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