シナリオ詳細
<フィクトゥスの聖餐>白魔に隠される前に
オープニング
●『eraser』
――はじめて、人のために誰かを殺したいと願った。
稚拙な言葉ばかりを並べて生きてきた。飢えを凌ぐ為なら家畜の命を奪う事だって厭わなかった。
生き延びる為には金が必要だった。身形の良い男の背後からナイフを衝き立てて財布を奪った。幼い家族を医者に見せる為だった。
イレイサ (p3n000294)はそうやって生きて来た。
蔑ろにした命の数だけ、後戻りは出来ない絶壁で足掻き続ける苦しみを擁いて来ただけだった。
いのちの海より、一歩でも踏み出せば汚泥に塗れ、先さえ見通せぬ冠雪が隘路に積もり聳え高き塀となった。
その中に居たからこそ、人の命なんて安い物に変化してしまったのだろう。倫理観など簡単に崩壊し続ける。
イレイサは生まれてはじめて、人のために誰かを殺したかった。
ファルマコンと呼ばれたそれひとが、誰かの心を狂わせた。
ファルマコンと呼ばれたそのひとが、誰かの命を貪り食った。
食う事を否定なんざ出来やしなかった。少年だって家畜の胎を捌いて肉を奪った事もあった。
剥き出しになった肉の僅かな脈動に何の感慨も浮かばなかった自分がファルマコンの在り方に重なった。
種が違えば、仕方が無いと命を奪える。
当たり前の様に折り重なっていく死骸の上に自らが生かされている事をまざまざと知ってしまったのだ。
「もしも、俺が生き延びたらさ」
莫迦みたいな約束をしよう。
貴方なんて、なれない呼び方で。洒落たジョークだと笑われるような軽い切り口で。
そうして、莫迦みたいな、子どもみたいな、甘ったれた、ちっぽけな約束をしよう。
「話をしよう。俺と友達になってほしい、俺と家族になってほしい、俺に、生きる素晴らしさを教えてほしい」
何も知らなかった。新雪を踏みしめてもそれを汚す事しかできなかった。
綺麗だと笑う事も、恐る恐ると触れる冷たさも、何もかもを知らなかった己に、生きる素晴らしさを教えてほしい。
●名前も忘れた君へ
アウセクリスは――もう、名前も忘れてしまった。嘗てはもっと平凡な名前だったと思う――聖騎士の家系に生まれたらしい。
三男坊であった彼は剣の才能に恵まれず、不正義にも騎士団への裏口入学を行なおうと持ち得る金や家の物品を奪い聖職者へと打診した。
故に、彼は放り出された。家名を捨てれば生かしていてやると。
家名を捨てて、金も才もないこどもがどうやって生きていけば良いのか。
何だって良かった時に或る人とであった。美しいラベンダー色の髪の女はカンパニュラと名乗った。
彼女が、手を差し出してくれた。
生きるための地位も、名誉も、何もかもを与えてやると口吻にも似た愛おしい響きを囁いてくれた。
それでも、この国が崩壊すれば何もかも無駄だった。
噛み砕いたイコルの苦さだけが僅かな酩酊を残して消えて行った。
「悲しいわ、アウセクリス。
ファルマコンが、ひ、ひ……ひひ、んふ……ヘブンズホールへ誘ってくれるのだそうです」
マザー・ファルカはくりくりとした青色の瞳でアウセクリスを見た。
何時だって素敵な『お母さん』を演じてきたファルカは子どもに初めて裏切られた。
ウソだ。
見捨てた事を認めたくなかった。お母さんだった自分が、子ども達を見捨てて逃げたという現実。
オンネリネンの子ども達の庇護者になって、母と名乗り続けた事がどれ程に幸せだったか――
生みの母でなくとも、酌み交わした情愛が美しい関係を築けていける筈だった。
「アウセクリス、んふ、さ、行きましょう……?」
●アドラステイアへ
少年イレイサは『聖銃士』としてその身柄を天義騎士団に渡された。俯いた少年は凛と背筋を伸ばし、自らが見てきた全てを話した。
もしも生き残ったら、剣を学んで騎士になってみたい。彼がそう望んだのはゼノビア・メルクーリと共に立っていたベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)に憧れたからだった。
短剣の使い方はブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)に学ぶのだと決めていた。そんな憧れを子どもめいて語る姿にブレンダはからかうように笑うだけだ。
165センチと。うんと伸びた背丈でも、気丈にいくら振舞えど彼は幼い子どもだった。
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)のように大人になりたかった。彼女のあり方に憧れたイレイサはアドラステイアを解決すると決めたのだ。
家族になりたいとシキ・ナイトアッシュ(p3p000229)に告げたイレイサは、ただ、信じていたった。
「――進むべきは神の御名の許に運命られているのです」
朗朗と告げるゼノビア・メルクーリ。
赦されざる悪とされた魔種の凶行に甘んじ、『凶星(アストリア)』の輝きをも内在した天義中枢へと反旗を翻した聖職者達が作り上げたとされる新興の神を祀る宗教都市。表向きには孤児達を保護し、新たな神を信ずる路を開いている――が、その実情は劣悪そのもの。信ずる神は奇異なる存在であり、人の命をも惨たらしく捕食するかの如き異教。
赦されざる凶行についに終焉を打つが為に進むのだ。
イレイサはこれまでイレギュラーズに受けた恩を胸に今すぐにでもファルマコンの許に走り出したい衝動に襲われた。
だが、何とか己の衝動をとどめたのは『一人で飛び込んでも死ぬだけだ』と感じていたからだ。
実に子どもらしい衝動に歯止めをかけることができたのは此れまでのイレギュラーズたちとの関わりのおかげだった。
ローレットのイレギュラーズに憧れを抱いているイレイサは何時か彼らと同じように冒険に出たいとも考えていた。
「ゼノビア、これからどうすれば?」
「ヘブンズホールを打倒いたしましょう。『プリンシパル』アウセクリスとマザー・ファルカめを駆逐するのです。神を蔑ろにし、その名を汚すものを赦してなど置けません」
「……分かった。俺たちはヘブンズホールで、撃破しにいこう。仇敵を」
ぐ、と唇を噛んだ。無力化すればアドラステイアの神――欺瞞に溢れたそれを撃破するために手を掛けられる筈だ。
後、もう一歩。
其処まで届かせるために。
英雄になんて、なれなくっていいけれど。
英雄達の役に立ちたかった。
彼らみたいになれたら、どれ程幸せだろう。
だから、その為に戦う力を手にして進みたかった。
迷うことなく――『君』の為に。
- <フィクトゥスの聖餐>白魔に隠される前に完了
- GM名日下部あやめ
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年01月20日 22時45分
- 参加人数10/10人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
尤もなる高き場所。神聖なる花園。鐘の音が響けば浄き心も洗われる。
花瞼を閉じよ、花顔に笑みを湛えよ、美しきかな――此処は汝の心をも救う。
雪が全てを攫う前に。『導きの戦乙女』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)は煽られ揺らいだ髪を押さえる。
長い前髪で隠した金色は晒さぬように時を配る。
見上げるカンパーニレは荘厳に、ただ、眼窩に棲まう者達を見下ろすだけだ。
「アドラステイアの上層は『新世界』、肉腫に『終焉獣』……。
特に肉腫。傭兵王以前から存在していたと考えれば、暗躍してきた彼らはザントマンよりも目立たないだけでもっと多いのかもしれませんねぇ」
果たして斯様な存在は何処まで根を張り巡らせているのだろうかと『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)は考え倦ねた。
淡きエメラルドグリーンがふわりと風花纏ったひとひらに煽られた。豪奢なスカートを思わせるマントは大仰な程に風に煽られた。
白い息を吐きながら天を仰いだのは灰色の瞳。柳眉を吊り上げ、緊張に戦慄く指先は拳となって固められる。
「イレイサ」
呼び掛ければ、少年イレイサ (p3n000294)は振り向いた。
「……ベネディクト」
「共に戦う以上は俺達に優劣は無い。この場を切り抜ける為に、戦友としてその力を貸してくれ」
青年は背筋をぴしりと伸ばしていた。凜とした佇まい。『黒き葬牙』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の在り方。
イレイサが憧れた騎士の姿がそこにある。
天義の聖騎士達も、同じような姿をして居るのだろうか。清廉なる気配に、静謐溢れる青き瞳が此方を見ている。
美しく、芯の確りした蒼。イレイサの不安な灰色とは全く違った芯の強い男のものだ。
「……俺に、できるだろうか」
ただ少年は不安だった。人を殺したいと告げたとき、誰の顔も見ることが出来なかった。
子供の癇癪めいた願いだった。我儘だと頬を叩かれても仕方がなかった。誰かのためと言いながら、結局自分の為だったのではと堂々巡りする。
俯いたイレイサの手をそっと『魔女断罪』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は取った。
「……イレイサ、わたしはあなたから大事なことを教わりました。
理屈だけでは何も解決しない。『助けたい、生きて欲しい』だけでは解決なんてしないってわかったの。
あなたの意志がわたしに進む力をくれる。わたしはあなたも大好きよ」
「俺も、ココロが大好きだよ」
まるで子供が親に愛を乞うような声音だった。か細く、それでいて甘えたような響き。
親も居らず、家族も碌に居ない。それでも一人で此処までやってきた彼が時折見せる、幼い子供染みた仕草だ。
「生きてここを出れば、やりたいことも固まっていくはず。
もっと沢山の人を助けたいなら、『医術士』に就くのはどうでしょう。
――ふふ、考えるのは戦いの後で。今はここを生き延びる! 準備はできた?」
「勿論、って言いたいけど。俺は怖いんだ」
ベネディクトのように凜と剣を振るうことは出来ない。
ココロのように人の命を奪うため、誰かに寄り添うことは出来ない。
『聖女頌歌』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)のように神を尊び、伝える事も。
『愛を伝えるひと』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)のように命を奪うその意味を知っているわけでも無かった。
「イレイサ」
ブレンダに呼ばれて、イレイサはぴくりと肩を動かした。戦い方は、彼女の見様見真似だったから。
「……信仰とはきっと正しければ素晴らしい祈りなのだろう。だが私にはここの信仰は歪にしか見えない。
強者が弱者を利用するための方便。本当はそうじゃないはず。自らの意思で選び、願うこと。それがきっと本来の信仰だろう」
「意思」
それは、ココロが言った未来の話しと同じだろうか。
ブレンダの戦い方を真似た。人を護る方法はベネディクトやスティアを真似た。それから、誰かの命を救うというココロの道に憧れた。
それ以上に――悲しそうな顔をしたシキに家族になりたいと乞うたのだ。寂しいばかりじゃ、苦しいから。
「イレイサ、これは君の戦いだ。君がこれからの一歩を踏み出すために君自身が戦うんだ」
その言葉に背を押される。カンパーニレを潜れば、広がっているのは――
●
「ここがヘブンズホール……偽りで塗り固められた世界。
一見すると綺麗なように見えるけど、死で彩られた世界なんだろうね……まるで、永久に眠る為の棺桶のよう」
汚泥も塗り固めれば花園になる。天上の響き、さいわいあれと願ったその場所でスティアは深く息を吐く。
鼻先を擽った気色の悪い感覚。全てを否定する悍ましさ。
「綺麗な花園だ――これからの戦いにはとても似合いそうもないな」
花を踏み締めたベネディクトが柳眉を顰める。黒き外套を揺らした背をイレイサはただ、眺めていた。
「ふむ、花園の光景か。滅びの獣が楽園を投影するというのも皮肉めいた話だね」
くつくつと喉を鳴らして笑った『闇之雲』武器商人(p3p001107)へとスティアは首を振った。
嗚呼、屹度違うのだ。滅びは、美しいものなのだろう。何時の日も、遁れ得ぬ終焉。万人に訪れる死が此程に穏やかで美しければ救いに成り得る。
「……ヘブンズホールの中ってこんなにきれいな場所なんだね……
でもこのうらで多くの子どもたちが泣いて、死んでいった。見た目にまどわされないよ」
ぎゅう、と拳を作ってから『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)の唇は決意を乗せた。
「ぼくはこれ以上誰も死なせたくない。敵も、味方も……もちろんどっか危なっかしいイレイサも同じだよ」
危なっかしい、と呼ばれたイレイサがまんまるの瞳をリュコスに向けた。小さく、幼く見える彼女が何時もより大人びて見える。
背筋を伸ばして、怯えた表情を消し去るように気丈に向き直った花園は花の香りに混じり合って酷い腐臭をさせていた。
「……リュコスに心配されたら、どうしようかと思って」
「……?」
ぱちくりと瞬いたのはリュコスの側。イレイサは「俺より、年下なのに」と少しばかり拗ねたように唇を尖らせた。
そうして友人のように、親しい相手であるような穏やかに会話を交す相手というものはこの閉鎖的な都市では得がたい宝だった。
アドラステイアは、人を蹴落とし命を奪う。
昨日の友が、今日は魔女になる。そんな悍ましき世界だ。
彼の横顔を眺めてから『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)はリボルバー銃のシリンダーへと魔力を装填した。
(イレイサの願いを叶えるためにも。
アドラステイアという腸が煮えくり返りそうな悪しき存在に終止符を打つためにも。ああ、そうだ――ここで、終わらせよう。)
すべての終止符を打つために。その為にここまでやって来た。薄ら寒い神様ごっこ。
誰かが生き残る為に蹴落とした。それは人が与えられた本来の畢生を歪めることであるのだと『紅矢の守護者』天之空・ミーナ(p3p005003)は認識していた。
「私の知らない間にとんでもない事になってたんだな……。
人としての生を捻じ曲げるとか許されないんだよ……可哀想だが、倒させてもらうぜ」
赫々たるはその瞳。紅蓮に滾った怒りは花園に向けられる。美しき花をざくりと踏み締めて武器商人は「おや」とおとがいに手を当てた。
「我(アタシ)の前に広がっているのが、天使の微笑む静謐の園ならよかったのだけれどねェ」
唇は三日月に歪む。蒼く燃える程熱く、燃え尽きぬほど濃密に。報復の乙女の輝きは眼前の敵を燃やし尽すためにあるのだから。
獣の腕は肉を裂く。獣の唇は甘く囁き喉笛を千切る。銀の尾を踏むこと勿れ、純然たる暴威は瞬く前に広域へと広がった。
心の奥深くまで植付けた恐怖心。首を傾げれば美貌の淵に悍ましさが讃えられる。前線へと踏み込む武器商人は表情の一つも変えやしない。
するりと傍を抜け、舞い散る天使の羽根が舞い踊った。
スティアは全てを拒絶し、否定する。娘は真なる神の代行者である誉れを抱き、偽りの神を信ずることはない。
「――甘い言葉は、蕩けるほどに素敵だけれど私は赦しはしないよ」
スティアが見据えたのは一人の女であった。神に縋るように天を仰いだマザー・ファルカ。「ひ、ひ」と浅い吐息を漏しては蒼褪めたかんばせでスティアを眺め遣る。
「魔女め」
「……何方がですか」
愚弄されたと憤ったのはゼノビア・メルクーリ。苛立ち睨め付ける女の前に展開された魔法陣は神への囁き。
その信仰心は行き過ぎれば毒になる。ベネディクトは堪えず彼女を見守っていた。
「……ゼノビア、最初は不安だったがその真っ直ぐ過ぎる信仰心が俺達の行く先を違う事なく照らしてくれた様に思う。
この戦いが終わったら、君の話を落ち着いて聞いてみるのも良いかも知れない――未来の話をする為に、この戦いを必ず勝ち抜こう」
「ええ、ええ。我が信仰を是非耳にし、共に神を尊びましょう。異教徒になど負けて堪るものですか」
ゼノビアが堕ちてや行かなかったのはベネディクトが気を配っていたからに他ならない。信仰者はアドラステイアの在り方に僅かな理解を示していた。
示しながらも――留まるように、息を吐くようにと促した青年には感謝しかなかった。
「為せることならば何事も協力致しましょう。全てがわれらが神が為――!」
流れるブロンドは花園にも美しく広がった。朗々と聖句を唱えた信仰者はステンドグラスを眺めた。美しき天使の微笑みが、降り注ぐ。
(マザーのずる賢さはきっと厄介です。彼女を狙うことでアウセクリスの行動が変わる可能性を考慮すれば……)
スティアが相手にするマザー・ファルカこそ打倒すべきかとウルリカは思考を端にやり、聖獣であった『ひと』へ向け、急加速し強襲する。
「これがアドラステイアの本当の姿ですか……? 地獄の花園でも笑えるなら楽園だと……?」
速度を生かし、飛び込むと共に凶弾が嘲笑う。死神をも思わせる狙撃が『聖なる』獣を穿つとはなんと皮肉か。
鮮やかなエメラルドの軌跡を追掛けたのは不吉なる紫色。それは鮮やかなる夜の帳を落とすが如く、世界の終わりを囁いた。
撃鉄を起こし、沙耶は幾重にも弾丸を重ねる。広域を見据えた瞳は獰猛なる獣に他ならないそのひとをただ、見詰めていた。
「……あれ、は」
「友人か」
沙耶の問い掛けにイレイサは震えながら頷いた。聖獣は真紅の瞳をして居る。欠けたルビーのネックレスを前足に引っかけていた。
それが下層で彼が出会った少年の持ち物に似ていた事を思い出す。だからこそ、ああ、やっぱりと落胆した。
目の前には彼が居る。聖獣もこの花園ではただのひとだったから。彼の名前は、なんだっただろうか。疾うに過ぎ去った過去を思い出すことさえも、苦い。
「……イレイサよ、後悔なきように為すべきことを為すがいい。
そしてこのアドラステイアという偽りの楽園は今日ここで終わりとしようではないか」
沙耶は静かにそう言った。淑やかな乙女の顔をして、朗々と告げる台詞はただ直向きに。
その声に後押しされるように、少年は短剣を握りしめた。師と仰いだブレンダから譲り受けた宝物を真っ直ぐに標的へ向けて。
●
「頑張ろうね、イレイサくん、『命は大事にだよ』」
「でも――」
死に物狂いに剣を振るうためにやって来た。命を賭すのは怖くはない。そう思ってばかりであった少年に芽生えた誰かと歩む未来。
「……英雄は簡単に死なないんだからね。もちろん時には命を掛けないといけないこともある。
でもそれは今じゃない――ファルマコンの力になんてなりたくないでしょ?」
スティアはベネディクトを一瞥する。静謐溢れる蒼と赤、それらが双方に混ざり合った柔らかなラベンダーの瞳はイレイサの憧憬を見透かすようで。
騎士を体現する青年はこんな所で簡単には朽ちないのだろう。
イレイサは地を蹴った。目指すは真っ正面のアウセクリス。
「アウセクリスと決着をつけるといい」
その背をブレンダは押した。シキと共にイレイサを支えるべく、握る一対には風と焔をそれぞれ纏わせた。
「まだ君にはなにも教えられていない。伝えたいことは山ほどある。……勝ってこい」
「俺も、ブレンダに色々と教わりたいことがある――だから」
頷けば、道が拓けるような気がした。剣の技術も未熟な彼は、その心にいちばんの大切を抱いている。前を向け、進め。挫けること勿れ。
言葉にせずとも、彼は出来る。君なら出来る、大丈夫だと唇が謳えばそれだけで勇気となった。
「だから、見ていて欲しい」
少年の路を開くのは『姉』の役目だった。雨は恵み、奇跡を宿し、声を張る。
「アウセクリス!」
握る、刃の鋭さは声に芯を讃えた。美しい花園に背筋を伸ばした青年が立っている。
未熟者だとイレイサを罵り、マザー・ファルカと共にヘブンズホールへ至る偽の信仰者。
美しい花園を駆けたシキから放たれた魔性は大口を開いて牙を突き立てた。黒き死は密やかに忍び寄る。万人に向けた、悍ましさと相成って。
――この花園はしあわせそのものなのだろう。
それが、嘘に塗れたものだと思えば苦しくもなる。
「シキ」
飛び込んだイレイサの短剣がアウセクリスの剣へとぶつかりあった。剣戟の鋭さは彼方が上手だ。
ブレンダに教わった剣の全てを少年は体現できていない。
それでも、成長したのだと彼を見てシキは唇を震わせた。初めて出会った彼は人を殺した過去に怯え、無償の愛などないと信じることを止めていた。
――今は、どう思っているのだろう。
無償の愛を。益もなくともただ、愛する事を、彼は認めてくれただろうか。彼が怯えから抜け出せずとも全てを肯定するつもりだった。
「どうして邪魔ばかり」
「邪魔? 嘘とまやかしはもう終わりにする時です。
まるで楽園かのような此処の景色。でもこんなの、偽物でしかない! 砂嵐で花もグラスも全部壊れてしまえばいい!」
ワイングラスは罅割れて、花は散り朽ちて行けば良い。叫ぶココロの魔術障壁は己を護る為に展開された。
未知を斬り伏せ、諦めず進むが為に魔女を断罪するウルバニの剣は熱砂の精霊と共に周囲を巻込んだ。
翼を有する獣の嘶き、その慟哭にも似た咆哮を。
その全てを拭い去れるようして、ココロはそのひとを見詰めた。ああ、あそこに居るのは――唇が名を呼んだ。
ぴくり、と聖獣が動いたならば苦い気持ちばかりが支配する。
「さて――知り合いだったのかい? ソリチュードの方」
呼び掛ける武器商人にココロは小さく頷いた。優しく、そっと。聖獣を無力化せねばならない。
破滅を囁き全てを引き受ける武器商人が手招けば獣の牙は真っ直ぐに突き立てられた。
花が舞い散る。まるで吹雪のようだとリュコスは目を瞠った。
無数の子供達は花園で遊ぶように走り来る。瞬く神聖の光、聖なるそれは鮮やかに広がって、子供達の視界をも眩ませる。
しなないで、いきていて。わらってほしい、なかないで。
そんな言葉ばかりが円を描いて華やかに散っていく。リュコスの祈りは呪いに変化し、痛みをも超える強さとなる。
新たな光が舞い散るように、痛みが己の全てを突き動かした。恐れること何て、もうどこにもないのだと復讐(こころ)が牙を剥いた。
「ごめんね」
うそつき。本当は、壊すことを躊躇って何てなかった。
「ごめんね」
子供達の泣き叫ぶ声ばかりが延々と花園に響く。カンパーニレは、美しくなくてはならないのに。花園は地獄のようだった。
天上の楽園(ヘブンズホール)の内部をまじまじと見詰めるリュコスは子供達の数がずうっと減り始めたことに気付く。
膝を着いた幼子の意識を指先で眩ませた武器商人ははあと息をついて。「人狼のコ」と呼び掛ける。
「この場所は、美しくはないね」
「……そう、だね」
美しくない。きれいでもない、けれど――きっと、誰かにとっては楽園だったと理解してしまえばどうしようもなく心がぎゅうと苛まれた。
●
「貴女にお母さんと名乗る資格はないよ。この手で子供達を殺めようとした時から!」
「な、何を――ヒッ、卑怯なことばかり言って! ど、どうせ、殺す事に臆病なだけの癖――」
マザー・ファルカの頬を掠めたのはスティアの魔力であった。ファルカの引き攣った叫び声だけが響く。
武器商人はマザー・ファルカの前へと立っていた。聖女の心で、己に宿した奇跡。燃え盛る焔は輝きを失わないままだ。
「殺す事は厭うていないさ」
「なら、どうして、こ、殺さないの!」
「我(アタシ)はね、無貌の神に飴を与えたくはないのさ」
甘く薫った苹果。銀の軌跡を残して神が揺らいだ。渾身の魔力を振り絞り、創造する魔剣。
紫苑に揺らいだ愛しき形。小鳥の歌声のように剣が鳴らした響きの一つがマザー・ファルカへ襲い征く。
「ヒュ、ヒュウ……ウ、ウフ……臆病者、意気地なし、正当性なんて、な、ない癖に。
神は、全能なのよ、こ、ここで私が、し、死ななくたって、あの方は、誘って下さるの」
「……そうかい」
それ以上は武器商人は言わなかった。愛されたことで存在の価値を知った。銀色の月が地を照らす意味を理解している。
マザー・ファルカと呼ばれた女はオンネリネンの子供達を愛しているフリだけをしていたのだろう。
馬鹿みたいな、嘘だらけの愛情は襤褸だらけだった。愛して欲しいと泣いた子供を見捨て、唯の一人で血を煽る。
この場所だからこそ、もはやその変化は分からない。正気を保っていても、屹度――その体は変質している。
「何かに縋るのは、人の欲求そのものだねェ」
それが庇護を与えないことを武器商人は知っていた。知っているからこそ目を伏せる。
「利口な子を連れていますね。ですが……彼は貴女を護る気などなさそうですよ」
「どうせ、こ、この国ではそうよ! ふふ、ふ……アイツからなんとかしなさいよ、私なんて、小物でしょう!?」
狡賢く延命を願おうとするマザー・ファルカの痛ましさにウルリカが柳眉を顰めた。
傷だらけになった仲間達。ゼノビアのサポートを受けながらベネディクトは狼の唸りにも似た槍術でマザー・ファルカを追い詰める。
「どうしても戦いを止める気は無いか。その剣を降ろして、納める心算は」
「――何よ」
マザー・ファルカが叫んだ。
「何よ、何よ、何よ。意地汚く生きて悪いわけ!? 此処でなら幸せになれるって願っちゃ悪いわけ!?
恵まれているから分からないのよ。『世界に選ばれた』んでしょう。パンドラなんてもの、持っちゃって、さあ!」
女の叫びにベネディクトが苦しげに息を吐く。
懐に隠していた銃が沙耶の肩を穿った。痛みに眉を顰めても、沙耶は挫けずファルカの動きを留める。
殺さない。ただ、そのオーダーだけが薄汚れていく女の精神を崩していった。
余裕そうに、殺さずに全てを圧倒するだなんて――『恵まれた奴ら』は優しいのだ。
「ッ、死んじゃえよ!」
女の叫び声をベネディクトは留める。ぐらつき倒れたファルカを受け止めてからリュコスはううと小さな声を漏した。
ごめんなさい、なんて言ったって、何もかも響かないのだから。
「イレイサ、下がれ」
「でも……」
ミーナは真っ直ぐにアウセクリスだけを眺めていた。傷付いた頬の血を拭うイレイサは目を見開く。
「死ぬことなんざ考えるな、生きろ! 生きてりゃ全て勝ちに繋がるんだ……死神の助言だ。信じろ!!」
「ッ、あいつを殺さなきゃ――!」
走り出そうとするイレイサの肩を掴んだシキが首を振る。生きていて欲しいと、そればかりだったから。
「……ねえイレイサ。全部終わったら伝えたいことがあるの。
上手く言えないかもしれないけど、私の心で伝えるから。聞いて欲しいな.だから、無理をしないで」
イレイサがアドラステイアに旅立つとき。一度抱き締めたいと願った事を覚えて居る。
家族になって欲しいと拙くも、望んでくれた彼が愛おしくて、堪らなかったのだ。
「イレイサ、よかったなあ。保護者だらけだ」
「アウセクリス……!」
イレイサの表情は苦々しく歪んだ。シキはイレイサを留めてからゆっくりとアウセクリスに向き合った。
「ねえアウセクリス。……君は子供だから、これからなんだってできるはずさ。目が覚めたら、何するか一緒に考えようよ」
青年の視線が逸らされる。影色の織物で編まれたマフラーに、瞬く星は希望の形をしていたけれど彼の目には入らない。
逸らした視線だけで、イレイサは「ムダだよ」と声を上げる。
アドラステイアに固執している理由は検討は付いていた。だからといって、イレイサに無理をさせて何になるか。
ブレンダはシキにイレイサを任せてから風を、炎を、遍く気配を纏う。
「大丈夫だ。任せろ。……仮の教え子とはいえその不始末は教える側がつけるべきだろう?
アウセクリス、君とももっと早く別の出会い方をしていればこうはならなかったのかもしれないな。残念だ」
目を伏せってからブレンダは黄金の瞳を輝かせた。
「今を続けようとするお前にイレイサは負けない。先を見続ける者の強さを見るがいい」
「言ってろよ、『保護者』さん?」
イレイサを小馬鹿にする口調だが、ブレンダは差して気にもならなかった。イレイサの前だ。小剣の投擲に、長剣を重ね戦うだけだ。
「よう、お前結構強いみたいだな。少しばかり相手してもらおうか」
「……生きる為に必要だっただけだ」
呟くアウセクリスはミーナを睨め付けた。双眸は、強き怒りを讃えている。
アウセクリスの剣戟を模倣する。今度はそれを希望を束ね、『ミーナ』として叩き込む。
生きる為には必要だった。それはその通りなのだろう。それでも、その技を模倣したからこそ、云わずには居られなかった。
「それだけの強さがありゃあ、別の生き方もあっただろうに。
――ああ……思考を捻じ曲げられた……とでも言えばいいか。そんな感じなんだろうな」
「兄はもっと優秀だった。剣の才能にさえ恵まれていれば、もっと幸せになれたんだろ?
もう、遅いんだ。此処に居れば幸せになれる、此処に居れば『誰よりも強くなれる』んだ!」
ミーナは柳眉を顰めてから花瞼を閉じた。屹度、彼だって同じだ。血塗られた生き方しか教わってこなかった。
努力をしても成し遂げられないからこそ、人を蹴落とすだけの道を進んだのだ。
苦しいからと挫けた心を最も簡単な方法で整え直したとしか言えまい。
「聖銃士は制圧しました。聖獣もなく、これ以上守りきれますか?
……その剣に何をかけ、ここまで強くなったのか……よく思い出してください。マザーは守れません。あれは自ら、救えぬ存在となったのですから」
「だからどうしたって云うんだ」
叫ぶ、青年の剣がウルリカの片刃剣へと打つかった。吟と音を立てたそれは酷く歪に響く。
アウセクリスは歯茎を剥き出し般若の如きかんばせで叫んだ。
「お前達がこの世界を壊したんだ!
生きるための地位も、名誉も、何もかも、必要だった全ては此処に満ち溢れていたのに!」
「……話しにならない」
ココロが苦しげにぼやいた。それでも、最後の選択を告げたかった。
「もし自分の過ちを認め、その短刀を捨てるならば、わたしがあなたが迫害されずに将来の道を考えられるよう計らいますよ」
アウセクリスは、捨てなかった。ふらつく脚に力を込めて走る。
天地を揺るがす大号令、たった一度だけ医術士は師より学んだ星の如き閃光を放つ。
星のまたたきが、アウセクリスの肩を穿った姿勢を崩し、大地に転がる彼の頸筋にイレイサは刃を突き立てようとする。
「イレイサくん!」
スティアは叫んだ。びくりと肩を揺らすイレイサの短剣を握る手は上空に振りかぶられたままだ。
そっと、その手を包み込んでからスティアは腕を降ろすようにと誘った。
「それはダメだよ、イレイサくん。ファルマコンが喜ぶだけの行為だから……。
それにアウセクリスが死ぬことを望んでいるのだとしたら生かしてあげる方が苦しむんじゃないかな? 少し意地が悪いやり方だけどね」
「――……スティアが、そんなこと、言うなんて」
きれいな聖女様とばかり思って居たのだと言いたげな彼にスティアはただ、笑うだけだった。
優しい彼は、人を殺したことがある。けれど、それは幼い頃の過ちだった。成長し、誰かと笑い合うことを知ったのだから『今から』手を汚させたくはなかった。そうすれば後には引き返せなくなる。
スティアがイレイサを押さえれば、ココロの唇は戦慄く。
聖獣になって終えば全てがお終いなのに、と。ぐらぐらとアウセクリスの身体が揺らいだ。
もう、立っていることも出来ないのだ。スティアの腕から抜け出して、イレイサは這うように彼の下へと向かう。
「ここのおはなばたけをこわしちゃって、ごめん……」
リュコスは呟く。外に出れば美しい花畑だってあるのだと、教えてやりたかった。
手を引いて、見てご覧と笑いかければどんな顔をするだろう。
崩れ落ちていくアウセクリスをイレイサは見下ろした。
衣服の中に彼が仕込んでいたペンダントの鎖はぷつりと切れる。
「……セージって言うんだ、なんだ、普通の名前じゃないか」
イレイサが呟き顔を伏せればベネディクトはその頭をぽすりと叩いた。
自身に戦う理由があるように、アウセクリスにだってあった。
生きてこそ見えるものがあるのだろうが、それに殉じるというならば止めることは出来ない。
たったひとつの信念だけが、彼の墓標になるのだから。
●
「イレイサ」
名を呼べば、愛おしい響きだった。
涙が溢れれば「どうしたんだよ」と困ったような、擽ったそうな声音が聞こえる。うんと背が伸びた一人の少年。
人を殺したあの夜はどれ程に寒かっただろうか。悍ましいばかりだっただろう。
きちんと、伝えたかった。答えたかった。ちゃんと、伝えなくては彼も、自分も前に進めない。
抱き締める腕を拒むことはなく、少年はシキの腕の中に収まった。
「……私は家族ってのに臆病で、家族になるのを了承したのも、君の生きる理由になったらいいって軽い気持ちで……」
「うん」
「君の気持ちに報いれてなくて、『大切だから』なんて言葉で誤魔化した。ごめん」
知っていたよとイレイサはか細い声で言った。自分だって、生きる理由として彼女やココロに縋ったのだ。
家族になって欲しい、知恵を貸して欲しい、憧れた、真似たい。そんな子供染みた言葉で気を惹こうとしていた。
ベネディクトの騎士としての在り方に憧れたのだって、ブレンダの剣術を真似た事も、スティアに神学を教えて貰おうと願おうとしたことだって。
全部、全部――ココロが言った『未来』を見て見たかったからだった。
「君とささやかな日常に笑い合いたい。君と一緒に生きる素晴らしさを見つけたい……『家族だから』死なないでほしい」
家族なんてもの、イレイサには存在しなかった。
生きるか死ぬか、ただ、それだけだった。泥を啜り、人を殺した。
ろくでもない生を送ってきた自身はあった。
大義名分も何もなければ、利己的な殺人だったとさえ思う。
「……俺は、生きててもいいの」
イレイサは呟いた。
いいんだよ。その言葉を伝えるようにシキは強く抱き締める。
「君と解けない絆を私にください――私の家族に、なってください。君の心で答えを聞かせてよ、イレイサ」
少年は腕の中でただ、涙を流した。
彼女の『家族』になったなら。
たくさん、してみたいことがあった。春は花を、夏は海を、秋には紅葉を、冬は雪を。シャイネンナハトを祝ったことだってなかった。
それ以上に、イレギュラーズの皆に師事をして、皆を護れるだけの大人になりたいと願った。
「俺は、強くなれるかな」
呟いたイレイサがシキの肩を押した。
「俺は、皆を守れるだけの力を手に入れられるかな」
「なれるさ」
ブレンダはイレイサの髪をぐしゃりと撫でた。乞うような視線は迷い子のようで。
「おまえが望むなら、剣だって教えよう」
ベネディクトの教導は、立派な騎士にだってなれるだろうか。
――後悔なきように為すべきことを為すがいい。
沙耶のその言葉は、これから先の未来にだって活かせるはずだ。
――生きろ。
ミーナの助言は永遠に胸に刻もう。
年下だと云ったリュコスもうんと前を進んでいる。追掛けて、何時か護ってやると笑ってやるのだ。
武器商人にだって、その商いの才へ乞えば未来は開けるはずだ。
もう、花園は枯れ朽ちて。ステンドグラスの天使は笑わない。
ブレンダの剣が、天使の笑みをがらがらと崩し征く。
世界は白く崩壊して行く。全て、嘘だと灰燼に返すように。
「俺を家族に、してください。
俺に、医学を、騎士道を、神学を、剣を――生きる術を、教えて下さい」
欲張りだと笑って呉れても構わない。
ただ、直向きに『あなた』達の背を、追っていたかった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
この度は、ご参加誠に有り難う御座いました。
イレイサという少年にとっては、成長の物語に相成りました。
アドラステイアへの潜入を終えてから、踏み出す新たな一歩は今までにない素晴らしいものになるかと思います。
また、時折、構って遣って下さいませ。
GMコメント
日下部あやめと申します。宜しくお願いします。
イレイサにとって、一番の。
●目的
・敵対象の『撃破』(無力化、死亡は問わず)
●ヘブンズホール内部
アドラステイア上層に位置するヘブンズホールです。
アドラステイアの上層部に存在するカンパーニレ(鐘塔)の内部に存在するヘブンズホールはファルマコンの居能力で不思議な空間が広がっています。
花園が存在しており、まるで幸せな風景が広がっています。
天には美しいステンドグラスが存在しキラキラと光が降り注いでいます。
●敵対象
・『プリンシパル』アウセクリス
毒蠍と呼ばれる戦闘集団のリーダーを務めている少年。とても利口で、任務遂行に忠実的です。
イレイサを潜入しているスパイだと見抜き大人の儀に推薦した過去があります。
近接タイプ。とても強い剣士です。
・『聖銃士』 5名
アウセクリスが従えているこどもたちです。皆、楽しげに花園で遊んでいます。
花園が壊される事を悟ると怒り狂い攻撃を始めます。
・『聖獣様』 15人
聖獣様に変化しましたが、ヘブンズホールの中では許の子どもの姿です。
これまでアドラステイアで活動した事がある方は、知っている顔がいるかもしれません。
楽しげな様子で過ごしています。花園が壊される事を悟ると怒り狂い攻撃を始めます。
・『マザー・ファルカ』
オンネリネンの子どもの世話役をしていた女性です。非常に臆病者ですが、ずる賢いようです。
聖獣様たちと楽しげに花園で過ごしています。
ファルマコンの血を摂取しているのか背中には翼が存在しているようです。戦闘力も向上しています。
●同行者
・『イレイサ』
灰色の眸に黒い髪。天義出身15歳。両親は既に亡く此れまでのイレギュラーズとの交流でアドラステイアに潜入することを選びました。
イレギュラーズと非常に信頼しており、イレギュラーズのためならば死ねます。
喧嘩殺法と呼ぶしかない戦い方も少しは様になってきたようです。剣を得意としているようです。
いざとなれば自分が盾になることも辞しません。が、皆さんと生きて生きたいと願い始めました。
・『ゼノビア・メルクーリ』
天義南東部の街ガラテヤの神学校を、若くして主席卒業した英才。
停滞を怠惰の罪とする、強烈な信仰心の持ち主。常日頃は穏やかな態度と口調だが、神学論争は苛烈そのもの。『ガラテヤの光』の名を有しており、異端の教義を受け入れてしまうのではないかといった不安定を感じさせる女性ですがイレイサの協力者、イレギュラーズの協力者として活動してくれています。
とても怒っています。神秘攻撃もしくは回復で支援を行ないます。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
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