PandoraPartyProject

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アカデミア



藍微塵さえ残さずに――

『アカデミア』

 理性と恋とは、
 まるっきりそっぽを向き合ってる。
 僕らが魔種であるように。君が人であるように。
 理性と現実とは、
 まるっきりそっぽを向き合ってる。
 僕らが侵略者であるように。君が救世主であるように。

『アカデミア』シリーズ

 アカデミアシリーズとは?
藍微塵も残さずに
 全てのはじまりのお話。
 随分と昔の話である――ラサの商家『ラティフィ』の一人娘ジナイーダが行方不明になりました。
 時は流れ、ファレン・アル・パレストは幼い頃に交友のあった少女『ジナイーダ』と思わしき存在が発見されたとイレギュラーズへと救援要請を出しました。
 ……ですが、その外見は長い茶色の髪をだらりと垂らした勿忘草の髪飾りを飾ったキマイラだったのです。

 それは果たしてジナイーダと呼べるのか。イレギュラーズは彼女の尊厳を護る為にキマイラの撃破に至りました。
妖精郷とみにくい鶩の子』
 深緑に姿を現した小さな隣人『妖精』と称される精霊種達。
 伝承に詠われた妖精郷アルヴィオンには危機が迫っているのだそうです。
 妖精郷への侵略を開始した魔種の中に『ブルーベル』と呼ばれる少女がいます。空色の髪をした少女でした。
 彼女は冠位怠惰の為にと妖精郷の占拠を目論んでいた黒幕『タータリクス』とは別の目的で動いているようです。

 目的に少しのズレはあれど協力者であった『クオン=フユツキ』と共に妖精郷の秘宝を奪取したブルーベル。
 二人の目的とは大精霊『冬の王』を『封印していた力』と『力そのもの』を持ち去ることでした。

『冬の王を封印していた力』を持ち去ったブルーベルのことを遠巻きに観察していた少年がいました。
 彼はタータリクスの出方に興味を有していたのか妖精郷での決戦を一頻り眺めてから姿を消します。
 その時確認していた少年こそ『冠位色欲』の配下であるブルーベルとジナイーダの幼馴染み『リュシアン』なのでした。
神逐と手段を選ばぬ少年』
 神威神楽は魔種による暗躍が始まった――
 絶望の青の向こう側に存在した黄泉津と呼ばれた島。その中に存在する『カムイグラ』にはバグによる召喚で魔種が姿を見せました。
 巫女姫と呼ばれた少女『エルメリア・フィルティス』は時の権力者であった霞帝を眠りの呪いに追いやり、天香・長胤を己が配下としたのです。
 海洋王国大号令を経て辿り着いたイレギュラーズ達を待ち受けていた『新天地』は危機的状況でした。

 その背後で糸を引いていたのは『冠位色欲』ルクレツィア。そして、彼女に付き従う魔種『リュシアン』でした。
 彼はルクレツィアによって強大な力を与えられることを望み、その力を駆使してジナイーダをキマイラに変えた嘗ての恩師『博士』の撃破を目論んでいます。
 少年はルクレツィアを退屈させないために各地で暗躍し――そして遂に、博士の尻尾を掴んだのです。
ファルベライズと狂った錬金術師』
 ラサに存在する願いが叶うと噂された遺跡『ファルベライズ
 二つの宝玉を用いて開いた二重構造遺跡の奥には、前人未踏の地。砂漠に点在するは古代遺跡の数々。遺跡の罠や危険を乗り越えた先に待つのは小さな願いを叶える『色宝』
 ラサ傭兵商人連合はローレットという『トレジャーハンター』に数え切れないほどの宝集めの依頼を出したのでした――

 かくして攻略されていったファルベライズ遺跡群の地下深くには『色宝』でできたクリスタルの迷宮が広がっていました。
 そこで待ち受けていたのは死者の姿を写し取る錬金術モンスター『ホルスの子供達』
 これにアカデミアの『博士』が携わっていることを突き止めたのは彼の実験材料兼助手であった『ニーナ』でした。
 その中には、キマイラになった筈のジナイーダの姿が発見され、リュシアンはイレギュラーズとの一時共闘を申し込みます。
 狙いは『ホルスの子供達を作り出した博士』です。
 ファルベリヒトと同化した博士を追い詰めるまで至りましたが彼はその精神を何らかの術で分離し姿を消しました――

リーグルの唄と退屈が嫌いな女』
 ラサでの一件以降、奴隷商人達はその活動拠点を一時的に幻想に移しました。
 幻想を賑わせる奴隷騒動の中で、目を引いたのは『ベルナール・フォン・ミーミルンド男爵』です。
 彼は幻想王国の貴族社会にうんざり――その理由も、当時の王太子であったフォルデルマン三世(カイン)の婚約者に内定する可能性が高かった妹・マルガレータの暗殺です。
 青年の心の隙に付け込む様に『冠位色欲』ルクレツィアはリュシアンへと指示をしました。

 ――彼を反転させてあげては?

 ……そうして、退屈しすぎな女を楽しませるために少年は一人を魔へと反転させたのでした。
眠りの森と情の深すぎた鶩の子』
 魔種『ブルーベル』にとって大切であったのはジナイーダ達との平穏、そして、自身の命を救ってくれた主さまでした。
 冠位魔種である『冠位怠惰』カロン・アンテノーラの目的は深緑をその手中に収めること。
 遂に本格的に始まった侵攻作戦に、彼女の心中はさておいても主さまが命を落とすことなくブルーベルは尽力します。

 怠惰であるカロンは協力者として『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスを得ていましたが、首を突っ込む退屈屋の配下であったリュシアンもブルーベルと行動を共にします。
 ブルーベルは反転したイレギュラーズ『クラリーチェ・カヴァッツァ』の思惑を知り、彼女と最後まで行動すると決めたようです。
 元よりカロンが撃破されては彼女自身も此処で生き延びる理由がないと考えていたからでしょう。
 クラリーチェ、カロンと共に撃破されたブルーベルはイレギュラーズに友人を得て死去――

 大切で、片思いの相手であった唯一無二、自分を明るい世界へ連れ出してくれたジナイーダ。
 憎まれ口を叩きながらも何時だって努力をし、自身と共にジナイーダを守っていたブルーベル。
 二人の幼馴染みを喪った少年は遂に一人きりになったのでした。

登場人物紹介

 リュシアン
 ジナイーダの生家であるラティフィ家によって保護されていた傭兵の息子。
 ジナイーダの護衛兼遊び相手として声が掛かり、ジナイーダには淡い恋心を抱きながらブルーベルと三人で楽しく過ごしていた。
 急用がありアカデミアへと遅刻して行く日に、ジナイーダがキマイラに変化した事を知り『博士』を強く恨んでいる。
 その心に付け込むように『冠位色欲』は彼に強大な力を与えたが――

『博士』の悪行を知り、野放しにしてはならないと討伐のためならば手段を選ばない。
『博士』討伐の為には力が必要だ。だからこそ、『冠位色欲』ルクレツィアに従わねばならない。
 カムイグラを凶行に陥れた巫女姫の一件でも彼が反転に力を貸し、各地で魔種を増やし続けた。
 少年にとって、最大の目的は平穏を崩した旅人を葬り去ることであるのだから。

イラストレーター:よはち
 ブルーベル
 ジナイーダの生家であるラティフィ家によって保護されていた元盗賊の娘。
 ジナイーダの遊び相手として同年代の娘を求めたラティフィ家の期待と恩に応えるべく、ジナイーダの良き友人を務めていた。
 ――が、アカデミアの課外授業で人攫いに『出会いかけて』ジナイーダを逃がした後に深緑まで遙々逃亡。
 冠位魔種『カロン・アンテノーラ』の手を借りて人攫いを撃破してからは彼に陶酔し、主さまと呼び慕っていた。

 口は悪いが、心根までは悪くはないと言った様子で悪者になりきれない少女はカロンと深緑を占拠するべく行動した。
 最期、主さまの為に戦った彼女はイレギュラーズに友人を得て死亡した。
イラストレーター:小束すま
 タータリクス・ウォーリン・アンチャイルズ
『博士』の錬金術の弟子であった青年。
 ジナイーダをキマイラ化させるさいには『博士』の助手を務めていた。
 旅人であるクオン=フユツキと色欲の魔種リュシアンの恐るべき共謀により、唯一の家族である姉を殺害され反転させられた。
 反転後は、愛しの『ファリー』の為に妖精郷を占拠し彼女との結婚を企てましたが失敗、イレギュラーズによって討伐された。
イラストレーター:楠木なっく
 『博士』
 本名は『プスケ・ピオニー・ブリューゲル』。通称としてピオニー、博士と呼ばれることが多い。
 魔種タータリクス、魔種ブルーベル、魔種リュシアンと三人の魔種を生み出した『アカデミア』の主であり、ホルスの子供たちを作り出した錬金術師。旅人。
 彼の目的は『人体錬成』『死者蘇生』などの錬金術師的なものですが混沌世界でのテーマは『魔種とは』『再反転』です。その為ならば多くの犠牲を孕んでも良いと考えている。
 ジナイーダをキマイラへと変貌させた他、様々な魔種を産み出し、何者とでも手を組み手段を選ぶ事は考えない。
 正に狂ってしまった男は、ファルベライズ遺跡群で『ファルベリヒト』の肉体に一度は同化し、分離。

 その肉体は『死骸』などを継ぎ接ぎしたものであり、生死の概念を越えることを目的としている。

 ジナイーダ・ラティフィ
 ファレンの旧知の友人であり、ラサ傭兵商会連合では其れなりに地位のあるラティフィ商会の一人娘。
 ラティフィ商会は無数に養子を取るためにジナイーダは『会長と夫人の娘』でありながら『三人目の娘』として数えられる。
 ジナイーダが生まれる前に養子として引き取られていた年の離れた兄エクトルには溺愛されていた。次に引き取られた次男にあたるセリノとは双子のように育てられた。
 勿忘草の髪飾りをくれたのは兄達であり、ジナイーダは養子だらけだったラティフィ商会の中で『会長の唯一の実子』であった頃でも恵まれた生活を送っていた。
 それは彼女の性格に起因する。非常に快活で『人に恨まれるようなこじゃない』と周りに言わしめるほどの善性の塊。
 つまり、人を疑うことを知らなさすぎた彼女は『博士を信頼したが故にキマイラに変貌させられた』。

 ラサの旧アカデミアの敷地内で発見され、イレギュラーズによって討伐された……。

 ニルヴァーナ・マハノフ
 通称を『ニーナ』。『雑じりの幻羊』と呼ばれる一族であり『博士』の研究助手を務めていた。
 助手と言っても研究材料の一端を担って欲しいと『博士』に懇願されていただけではあるが――

 可愛がっていた妹分のジナイーダが『キマイラ』に変貌したその日に、ニルヴァーナは酷く狼狽し博士の下から姿を消した。
 ファルベライズ遺跡群ではイレギュラーズに手を貸し、ファルベリヒトの力を奪わんとしていた博士を阻止するに至った。
イラストレーター: エンドウフジブチ
 ヌーメノン
 私塾『アカデミア』で研究助手をしていた錬金術師。
 元の世界では吸血鬼であり、彼の目的は人工血液の作成による吸血衝動へと抗う事……である。

 現在は『リリスティーネ・ヴィンシュタイン』と名乗る吸血鬼の元にその身を寄せ、博士との連絡役を担っているらしいが……
イラストレーター:笹雪

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