シナリオ詳細
憧れのジューンブライドwithハバネロゥーン
オープニング
●子供の頃の夢ならば
「オーバルフライ神様のお祭りをやるッスよ!」
『可愛い狂信者』青雀(p3n000014)が突然そんな事を言いだしたので、皆が目を向けるはめになった。
普段はギルドのいち職員としてよく働いている彼女だが、突発的に変な信仰を持ち出しては暴走するきらいがある。
特に今回のような、聞いたこともない名前を口にしたときは注意が必要だった。
邪神の類でなければいいが。そんな内心を良い意味で裏切ることに、オーバルフライ神というのは花嫁の神様らしい。
地方では年に一度、子孫繁栄を願って祭を開くところもあるそうで、それに皆で参加したいというのが青雀のお願いだった。
良かった、まともそうじゃないか。それくらいならばと引受けるのだが、一同はその承諾を後悔することになる。
どうしてこのクレイジーを信用したのだと。
当日。
「これは一体どういうことですのおおおおおおおおお!?」
祭の会場に集まった面々は壇上で磔にされている『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)を見上げていた。
泣き叫ぶビューティーにはまるで目もくれず、磔にしたはずの張本人――青雀はせっせと皆に衣装と装備を配っている。
そう、衣装と、装備だ。
男女問わず花嫁衣装を手渡し、ついでに装備を選んでもらっている。
装備といっても、剣や槍のような物騒なものではない。
水鉄砲や、バケツ、モップ、水風船など、まあそういうものだ。どれもがえらく赤かったが。
なんとなく、祭の趣旨が見えてくる。
「先輩方、装備は行き渡ったッスかー?」
壇上に戻った青雀が呼びかける。となりで金髪の可哀想な子が泣き喚いているがスルーだ。
「これは花嫁の祭なんで、皆花嫁衣装を着るッス! で、これは――こうするッス!!」
青雀は手にしたポンプアクション式水鉄砲の引き金を磔金髪に向けて引く。ためらいなく、顔に。
「ごごごごっぽぉ、おごぽぉ!! な、なんですの!? ひっ、か、からあああああああああああああ!!」
「このように、ハバネロジュースが入ってるッス!」
赤い液体を浴びせられた少女が泣き叫んでいる。
「からいからいからいからいいいいいいいいいいいいいい!!」
「これで会場中を真っ赤にするッス! より多く塗った方が勝ちッス!」
- 憧れのジューンブライドwithハバネロゥーン完了
- GM名yakigote
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年06月18日 22時55分
- 参加人数44/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 44 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(44人)
リプレイ
●朱に交わらば辛くなる
梅雨に入ってもう幾日か立つというのに、太陽は今日も恨めしく燦々と自己を主張している。
ずぶ濡れになるようなざあざあ降りであればこのような催しなどできるわけもないのだから、その意味ではいいのかもしれない。
季節柄、祭の趣旨とはタイミングが合わないのではと訝しんでも居たが、おそらくは後片付けの利便性をとった結果なのだろう。
どれだけ赤く染まろうと、数日も待てば雨が洗い流してくれるのだから。
「先輩方、位置についたッスかー!?」
拡声させたクレイジーの声が聞こえてくる。
直近よりも先の未来を思うことで現実逃避に興じていたのだが、どうやら許してはくれないらしい。
自分の武器を確かめる。何がやばいってこのイベントに勝ち抜けが存在しないことだろう。
「用意、スタートッスー!!」
仕方がない。真っ赤に染まり、染めるとしよう。
「青雀さんがまた余計な思い付きを……メリポチャレンジのように回避できない以上、勝っても特に何もないこのハバネロゥーンを勝ち進むしかないようですね」
アルプスの視界に金髪で、巻いていて、なんというかとても貧弱そう少女が映る。
ジュースを発射すると悶ていたので、多分、対処に間違いはないだろう。
「まさか初めて着る花嫁衣装がこのような形となるとは思いもしませんでした。着る予定が合ったというわけではないのですけれど。いまいち腑に落ちないような、納得したくないような……」
高所からLumiliaがバケツの中の赤いそれを撒いている。その度に悲鳴が上がるが、そういうものだ。
やはり地形効果は大きい。
「オーバルフライ神って何だろうね?」
式神と背中合わせに水鉄砲を乱射しながら、ジーク。例によって元ネタは限界まで伏せるのです。いつも半分以上バラしてる気もするけれど。
適度に匂いがきつくなってきたところで、放水車を起動させ、ホースの先を真上に向ける。赤いシャワー。ここが地獄。死なば諸共。
「変わったお祭りだね」
『阿鼻叫喚の地獄絵図になりそうだな』
「まあ、うん、適度に逃げるよ」
ティアが空中を飛び回りながらライフルで参加者に向けて狙いをつけていく。
やはり高さはとても重要だ。水鉄砲って勢い弱いからね。
打ち返しを察知して旋回し、回避する。
辛いのは苦手ではないが、辛いだけでは済まないのだ。
「別にさ、今さら憧れとかはないよ。けどさ、わたしもたまには汚れ仕事とかじゃなく、恋の詩を歌いたいわけよ……いや、説明をちゃんと読まなかったわたしが悪いのは分かってるよ、そりゃ」
ジェニーがぼやく。そのヨゴレ仕事でいいのだろうか。
「……ああ、もうどうでもいい。どうでもいいから、わたしの歌を聴けぇ!!!」
「見ろ、このさいきょーバケツガード! 穴を開けたバケツを胴に着て、しかも頭にも被る!」
ことこういうことにかけて、洸汰は天才的だ。見ろ、最初から顔を覆えばいいのだ。欠点は見えないことだが、些細な問題だ。
「これ、この、なんか、動きにく、もう、頭のやつだけとっちまえー! ふう、これでスッキリ……って、んぎゃああああああ!?」
「なんでこの祭りに参加してるんだろう。凄く危険な臭いがする」
おう、柑橘系のな。
「オーバルフライ神ってなんなの……楕円の揚げ物と花嫁になんの関係があるのか」
揚げたかー。そっちに訳したかー。
「それでどのチームに入るかだけど、誰か入れてくれないかな」
モップを担いで、久遠は戦場に消えていった。
ヨハンがハバネロ放水車の上に立ち、放水させながら突き進んでいく。
なお、中にはいるのは許されていない。的は見えるところに。放水車に生身の人間が勝てるわけないだろう、というやつだ。
「たぶん劣勢チームの切り札になるでしょうこれは、ふふん。世界を赤で染めるのだ!!」
なんだろう、車両がすげえ多いステージってあるよね。
「こんな祭りだなんて聞いてなかったけど参加するからには勝ちにいくわ」
『ケケケ。結が花嫁衣裳なんて馬子にも衣装とはこの事だな』
口の悪い魔剣を背に、結が戦場を駆ける。普段は頼りになる相棒も、今日は社中休日だ。なにせ、ルールで使用が許されていないのだから。
住居の壁を蹴り、宙を舞う。翻弄された相手の顔を狙い、引き金を引いた。
「ルールは分かった……」
幽邏は自前の翼で滑空するように空を飛びながら、小さな両手いっぱいの水風船を等間隔に落としていく。
風船は地に落ちて割れ、無差別に中のハバネロジュースを撒き散らす。顔にあたれば悶絶必死のそれを上空から降らすその様は、爆撃機のようだった。
「空を真っ赤に染めれば良いのね……」
「アイツの誘いって時点で大体そんなこったろうと思ったわ」
行動のランダムさにおいて、あのイカれたギルドの女を勇司は信用していない。
「ってか、男までコレ着るのかよ。マジで……? って俺はホントに何をしてんだか」
視界の端に狂信者が映る。とっくに全身を赤く染めながら走るそいつを、ひとまずは狙い撃つことにした。
「はい! 我輩はとにかくでっかくて一気にブシャー出来るようなの欲しいのである!! ください!!!」
そんなボルカノには放水車をレンタルだ。小回りは皆無だが範囲攻撃に長けているぞ。
人間よりも建物を塗りたい場合にも非常に強力だ。目立つからとっても狙われるが。
「あっあっ我輩の顔はやめて!! めがーー!!!」
「おぉ~! また変わった祭りだね! いいね! 楽しそう!」
視界の全てが赤く染まっていく中で、セシリアのメンタルは強靭だ。
「それにしても衣装が花嫁衣裳か~ふふ、こういう服着る機会なんていつくるか分からないしある意味役得かな? さてさて折角のお祭り楽しんで行こうかな! やるからには勝ちにいかないとね!」
「え、放水車があるって?」
それも運転手ごとのレンタルだ。
「よし、貸してもらおう」
メルトは大型車両の上に乗り、赤い液体を撒き散らしながら突き進んでいく。
「私は遊軍。全てのチームは私の敵なのだ……」
つまり、片端から狙われるということだ。
「花嫁の祭りとは、一体。艱難辛苦を乗り越えよ、という訓示でしょうか。衣装そのものが、普段着慣れない形状なので、動きづらいですね」
雪之丞が首を傾げている。地方の奇習に意味を求めてはいけない。
「一先ず、全てを塗れば終わるのですから。青雀様も、この機に、赤雀様へと、塗り替えましょう」
「わぁ、花嫁衣装を着る機会なんて無いと思っていたので凄く素敵……え、何ですかこれ」
ごてごてした銃を渡されたアグライアが呆然としている。
「わ、私の知っているイベントとちょっと違うんですけれど!?」
容赦なくぶち撒けられるハバネロ。猛烈に咳き込んだが、覚悟もできた。
「こうなれば一人でも多く赤く塗ってやります!」
「まさか花嫁衣裳に袖を通すやなんて思いもせんかったなあ。純白のドレス、まっさらな街。真っ白な気持ちで無垢なる明日を。ロマンチックやわあ」
ブーケが赤く染まる街で向上を並べていく。
「ひとつ、Something Old。古臭いこだわりなんて捨ててしまえ。周囲すべてはt」
うん、長いわ。
「目に入った! 痛い! ギブ! リタイア!!!」
「……ハァ。こんなトコで花嫁衣裳を着る事になるなんて、正直思ってもみなかったわ」
元凶を見かけたので、竜胆はそいつの顔を撃ち抜いておいた。悶て転がりながらも逃げていく。狂信者にもどうやら痛覚はあるらしい。
「あの子が関わるとどうしてこう……ハァ。いや、あの子が紹介してきたって時点で考えておくべきだったのよね」
コリーヌはイベントそのものには参加せず、連れ歩いているロボットと協力し、装備の強化改造を図っていた。
「ほらほら、これとかオススメだよー。威力と射程を強化した水鉄砲!」
「マスター…… ヤミノブキショウニン ミタイデスネ」
「んー、それは違うよ、正宗くん」
「デハ ナンナノデス?」
「激辛の武器商人!」
「マンマ デスネ……」
「俺に喧嘩を売った事、後悔させてやる……」
顔には出さないが、明らかに怒張を含んだ調子でラクリマが震えている。
洗礼を受けたのだろう。頭の上からつま先まで、その全てに純白の要素は見られない。
ホースを抱え、蛇口をひねる。
撒き散らされる赤いそれを目にしながら、その顔は邪悪なものに染まりつつあった。
「ハバネロねぇ。普通の奴なら眼やら何やらが腫れそうだな……あぁ、晴れ舞台ならぬ腫れ舞台か」
Morguxは放水車を乗り回している相手を優先的に狙い、そこに水風船を投げつけている。
「ククク、折角の祭りだ。参加者は全員真っ赤に染めてやる。真っ赤にな……どうでもいいけど何でハバネロなんだろうか」
語感、かな。
「やっぱり世界が変わると神様も全然違うんだね、こんなお祭りをやってるところは聞いたこともないもん」
焔が興味深く頷いている。奇遇だな。筆者も聞いたことがない。
「……どれくらい辛いのか先に確認してうひゃぁ! こ、これはダメなやつじゃないのかな、って、始まっちゃってる! ちょ、ちょっと待って! これは危なわぷっ」
「という事で。儂、参戦!」
裾に尾ひれのようなフリルがついたドレスを着て、ルアが二丁拳銃を構えている。
「着てみたかったんじゃよなー、これ。ふはははは! 儂の美しさを目にして、見とれるが良い! では行くzうぼぁー!?」
顔面にハバネロジュース。どんな花嫁も赤に染まるのだ。
「おのれ汝等。リベンジじゃぁー!!」
ライハは考えた。勝ち負けがあるのかも怪しい祭を楽しむにはどうすればよいのかと。
「――そうだ。場を掻き乱そう」
偽の情報を流し、戦場を混沌の渦に巻き込むのだ。
チーム分けの色すら判断できぬ中、疑心暗鬼が蔓延し、ライハ自身にも非常に危険な場所になったのだった。
「ぐあああああハバネロが目にッ!!」
「えへへ、こんなところで花嫁衣裳を着る事になるなんて、ちょっと思ってもみなかったな。でもこれから衣装を汚しながらのお祭りーって考えると……」
アリスが来ているこれも真っ赤になるかと思うと、なんとなく陰鬱になってくる。
「で、でもやるからには負けてられないもんねっ! でもチームとか結局よく分かんないから勝ち負けとか実質……」
「ハーッハッハッハッハ! 行け、レッドホットクリス号! ハバネロジュース発射ーーー!!」
放水車の上でクリスティアンが高らかに叫ぶ。
そのキラキラと輝く様は、もちろん思いっきり狙われる的だった。
「ハブッファア!? 目が、目があああああああああああ!!」
車が急ブレーキ。慣性の法則がどーん。地面にびたーん。
「何で混ぜたの……何で混ぜたの!? 花嫁衣裳が赤く染まるとか縁起悪くない!?」
バケツを片手に、ミラーカが誰にともなく全力でツッコんでいる。奇習というのはそんなものだ。便利な言葉ですね奇習。今後もどんどん使っていこう。
「どっからでも掛かってきなさい! 今の私は、ハバネロすら凌駕する存在よ!」
普段は負けるのだろうか。
「ぐへへへへ! 純白の花嫁を私色に染めてやるんだよぉ!!!」
放水車の上からフルートが宣言する。まあ確かに人間、大体は自分の中身が赤い色だ。
「ここら一帯、全て染めてしまっても構わないんだろう……?」
すごい、ルール通りのことを言っているだけなのに死亡フラグにみたいに聞こえる。
「さぁ……私に染められたいやつはどいつだぁ!」
「ジューンブラッドの間違いなんじゃねぇのかな」
呆れたように、ペッカート。
「つか、こんな悪魔みたいなイベントを思い付く神もいるんだな。ヤバい。そして、その神を信仰してるアイツもヤバい」
大丈夫、期間限定だから。
「おい。まて。原液は駄目だ。原液は」
大丈夫、催涙スプレーよりキツい程度だから。
虚之香が路地裏で深呼吸をする。
立ち込める柑橘系の匂い。香りつけにも使われるというハバネロだが、こうも充満していると鼻が曲がりそうだ。
荒れた息を整えて、残弾(残量?)を確認する。補充は必要なさそうだ。
覚悟を決め直し、もう一度戦場へ走り出した。
「こりゃ、面白いや!」
ゴウシが壁面を交え縦横無尽に走り回りながら、ポンプアクションタイプの水鉄砲を乱射している。
水面を蹴り、また駆けていくが、頭上からの衝撃を感じて立ち止まる。投下された水風船があたったらしい。
気にせず走り出そうとするが、ハバネロジュースが垂れ、目に入ってきた。痛い。頭を抱え、跳び上がる。
「これは、流石に恥ずかしいぞ!?」
チョイスを人に任せたのが失敗だった。動き回るイベントで、ミニスカートのそれを渡されるとは。イーディスは内股になりながら、翻ろうとする裾を恨めしく押さえている。
「……あーもう、こうなったらヤケだ。ハバネロ上等、真っ赤にしてやんぞオルァアアア!! って辛ぇえええええええ!?」
「……なんなのだ、これは。いや、言わなくてもいい、何故こんなことにわたしは巻き込まれたのだ」
紫電が頭を抱えている。イカれたギルドの女にほいほいとついていってはいけなかったのだろう。
「まあ、せっかくだ。楽しまなければな。巻き込まれた金髪は気の毒だが……しかし、花嫁衣装、か。動き辛い上にわたしには似合わんな」
小梢が借りてきた鍋を前に顔を抑えている。
「辛味がつらみ、カレーとはなんか一味ちがうこのヒリヒリがつらみ。目が痛い」
><←こういう表情。
「眼鏡をかけよう……あ、すでにかけてました。まあ、毎日カレー鍋をもってるこの腕力
これでどばぁぁとぶっかけるのだー」
カレー鍋って調理中に持ち上げるものなんだろうか。
「ふっふっふー。この傘があれば前方は無敵! このまま無双してやるのだー」
セララが傘を盾にしてフラグを立てている。職人芸のようだ。
「って、あちょっと。横とか後ろから攻撃は駄目だってば。この傘は1方向からしかガードできないの! あ、あうっ! ハバネロが口に。か、辛い! 辛すぎるよ! お、お水ー!」
「超反射神経を持つ私に死角は無いよ!」
二丁拳銃と、腰にぶら下げたいくつもの水風船がシュールなシエラ。カラスよけみたいだ。
「真っ赤な花を沢山咲かせましょう。男花嫁は消毒だー!」
なにか恨みでもあるのだろうか。率先して見たいものではないのは確かだが。
「セララ団長あぶなーい!」
あ、かばった。
「本当に洋服借りられて本当に良かったっす。臭いがヤバイっす」
バケツ片手のジル。悪臭と言えるかは人それぞれだが、密度が濃ければ話も変わるだろう。
「よし、攻撃圏内に入ったっす。さーてお覚悟を……」
フラグ芸三連打である。立てたので顔の近くにジュースがヒット。
「おう゛ふぅぇっ!? ゴホッゴヴフォッ……やばいっす! こうなったら破れかぶれでうおおおおっす!」
「すごいやばみ。これが噂のベリハ?」
どっちかというとベリイ。
「ぶひ、そこでみてて。自前装備禁止だから! 巻き添え心配? 獅子は千尋の谷からペットも突き落とすから」
ペットに命令を下すセティア。家においてきてやれよ。
「この祭り考えた人、だれ! いまわたし、そのひとに、やきごてをあてたいきもちになった!」
合掌かな。
「オラァ死ねぇぇ!!」
およそ祭事とは思えぬ掛け声で、アランがモップを振り回す。
「たまきにヨルムンガンドまで来てるのか……俺もだが、アイツらも大概こういうイベント好きだなぁ!」
知り合いと見るやいなや、突撃する。今は味方ではないのだ。
「うおぉぉ!? 辛ぇ!? ってか痛ぇ!? クソハバネロが!」
「フィールドを赤く染めてやろう……!」
ヨルムンガンドが言うと殺戮の限りを尽くすかのようだが、悪意はない。
「えへへぇ、皆まっかっか……辛いな!!!!!!!」
辛さに鈍感なのと、ハバネロが平気は意味が違うとよく分かる。
「あれだ、人間筆ならぬ、花嫁竜筆だ……!! 赤の中に沈めてやろう……」
とても言いにくい。
「花嫁姿になった以上、無様を晒す訳にはいきません。覚悟して貰いますよ?」
ホースを構えながら、鶫が宣言する。花嫁と覚悟の繋がりは不明だが、家庭に入るというのはそういうことなんだろう、きっと。
「ええ、いいですね。楽しみましょうか、この戦場を。皆様方、漏れなく真紅に染めて差し上げます――!」」
「全花嫁の覇権を懸けて。目指せ、花嫁・ザ・花嫁!」
汰磨羈の言葉の意味はよくわからないが、その意気や良し。
「ハバネロファイト国際条約第1条 ! 『口内にハバネロを入れられた者は失格となる』!」
水風船を掴み、腰だめに構えて筆者も知らないルールを作る。
「必殺! テイスティングフィンガァァァ!」
辛いという意味では、確かに右手が燃えていた。
●辛味発いて風雨多し
夕方になって降り出した雨が、赤く染まった人を、大地を、建造物を洗い流していく。
皆、散らばった水鉄砲や風船の切れ端を集め、後片付けをしている。
結局どちらのチームが勝ったのか、なんていうのを聞くのは野暮だろう。うん、ごめん、計測できないだけです。どっちも赤いので。
散々な目にあったが、身体を思い切り動かすイベントというのは、満足感も同時に与えてくれる。
ただ不安要素が残るとすれば。
「先輩方、ゴミはこっちの袋にお願いしますッスー!!」
祭が終わったはずなのに、さっきからあのクレイジーの瞳が、いやにキラキラと輝いていることだろうか。
了。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ハバネロジュースの池に潜ることができない、というのは誤算でした。
GMコメント
皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。
花嫁を祝福する祭、『ハバネロゥーン』に参加してください。
ハバネロゥーンは男女問わず参加者全員が花嫁衣装になり、某トマト祭のように互いにハバネロジュースをぶつけ合います。
イレギュラーズに加え、一般の方々も数多く参加するため、すぐに道はハバネロの液体で脛まで沈むほどになるでしょう。
建物がすべて真っ赤になるか、どちらかのチームが全滅になるまで祭は続きます。
町を染め上げ、敵チームを排除し、勝利を目指してください。
【用語集】
■装備
・水鉄砲やバケツ、モップ、水風船、放水車など、ハバネロジュースを撒くための装備が各々に貸し出されます。自由に選択してください。なお、自前の装備は禁止されております。
■会場
・森エリア、山エリア、都市エリアなどシチュエーションは様々。規模と地形? 細かいことはいいのです。
【Q&A】
Q:チームってなんですか?
A:調整中なので好きに名乗りましょう。
Q:赤色しかないのにどっちが勝ったかどうやって測るんですか?
A:調整中です。
Q:ハバネロが目に入ったら痛いですか?
A:調整中です。
Tweet