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シナリオ詳細

<夏祭り2020>豊穣のキノコタケノコ祭り

完了

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●祭り論争勃発!
 カムイグラに夏祭りの季節がやってきた。
 夏が過ぎれば、次は実りの秋――。
 気が早いが、豊穣の恩恵を受けるかは重要である。

 しかし、ここで問題があった。

「やはり、秋の実りはきのこで決まりじゃろう?」
「いやいや、たけのここそ秋の実りでしょう?」
「そんなことはない、キノコ!」
「だからタケノコだって!」
「タケノコのどこがいいんだよ? キノコのほうが旨味も香りもあってうまいだろ! 鍋にいてても焼いても最高だ!」
「そんなことはない! 朝掘りのタケノコは、刺し身でも食べられるほどで歯ごたえもある。キノコには毒キノコだってあるだろう!」

 神威神楽夏祭り委員会に参加する委員たちの議論は、白熱するも平行線であった。
 神ヶ浜で行なわれる神威神楽夏祭りでは、行事の締めくくりに、秋の実りを願って、恩恵を授かりたい作物に見立てた神輿にご神体となる巨大な菓子を入れて担ぎ、最後に奉納するという儀式が行われる。
 この御神体をキノコ型にするかタケノコ型にするかで紛糾しているのだ。
 奉納できるのは、どちらかひとつなのである。
 委員の中には、戦争も辞さない、そのくらいの気迫で議論に挑んでいる者たちもいた。
 せっかくの祭りが、争いの原因となってしまうのは悲しいことだ。
 何故、人は争わなければならないのだろう? だが、戦わなければ生き残れない。
 この先、キノコるかタケノコるかは非常に重要なことである。

「やむを得ん。こうなった以上、祭りに集まった人々に決めてもらおうではないか!」

 議論の推移を見守っていた委員長が、そのような最終裁定を下すに至った。
 今年の夏祭りは、一層熱くなりそうである。

●キノコかタケノコか?
「キノコかタケノコか決めろ! なのです」

 ギルド・ローレットの『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、冒険者たちに向かっていきなり言った。
 カムイグラので催される神威神楽夏祭りでは、キノコタケノコ論争が勃発している。
 勝ったほうの御神体が奉納され、負けた方の御神体は間違って奉納されることのないよう破棄されるとい。

「祭りに集まったお客さんに、キノコかタケノコかに投票してもらうそうなのですが、カムイグラの祭り委員会の人たちの間で意見が割れていて、商店街もキノコ派かタケノコ派に分かれて票の取り合いをする事態に発展してしまったそうなのです」

 どういうことかと言うと、キノコやタケノコを思わせる商品を扱う出店などを出し、キノコ派はキノコをアピール、タケノコ派はタケノコをアピールし合っている。
 また、それぞれの派閥は、辻説法師や踊り子を雇い合ってまで、それぞれ自陣営の御神体を奉納することの素晴らしさ、敵陣営の御神体を奉納することで起こる不利益を説くという激しいPR合戦を繰り広げている。

「で、キノコ派、タケノコ派はそれぞれ報酬を出して、自分たちの陣営を有利にしてくれる冒険者を雇っているのです。大チャンスなのです」

 両陣営の争いはエスカレートしているが、争えば争うほど仕事は増え、報酬も上がる。
 それぞれ、自分たちの陣営が勝利したならボーナスを弾むというのだ。

「この大波に乗るしかないのです。タケノコ派、キノコ派どっちについてもいいのですが、その代わりそれぞれの陣営のためにしっかり働くのです」

 ユリーカはそのように言った。
 祭り気分だが、もう戦争といった感じで白熱している。
 さて、あなたはキノコ派? それともタケノコ派?

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 夏です! 祭りです! そんなわけでキノコタケノコ祭りです。
 祭りの中で両陣営が火花を散らし、票を集めようと激しく争っています。
 皆さんには、どちらかの陣営について、投票を勝利に導くために活動してもらいます。
 キノコあるいはタケノコをアピールする出店を出す、祭りの中で印象づける歌や踊りのパフォーマンスを行なう、辻説法で説得するなど、方法はさまざまあると思いますが、どのようにアピールして得票するかの方法はお任せします。
 また、冒険者の募集は両陣営とも行なっており、どちらの陣営に参加するかは自由です。好み、フィーリングで決めてくださって構いません。
 この争いが激しくなればなるほど、報酬も上がり、ローレットも焼け太りますので仲良く喧嘩したってください。

・注意
 イベントシナリオなので戦闘はないです。なので敵陣営を襲撃するなど、事件になってしまうような行動は評価もマイナスになってしまうので、そこは気をつけてください。
 キノコ派かタケノコ派かを明記してプレイングを送っていただけると助かります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <夏祭り2020>豊穣のキノコタケノコ祭り完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年08月02日 22時05分
  • 参加人数30/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(30人)

Suvia=Westbury(p3p000114)
子連れ紅茶マイスター
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
嶺渡・蘇芳(p3p000520)
お料理しましょ
古木・文(p3p001262)
文具屋
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
タルト・ティラミー(p3p002298)
あま~いおもてなし
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
白秘夜叉
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
彼岸会 空観(p3p007169)
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家
朝香(p3p008036)
露が如く
流星(p3p008041)
水無月の名代
角灯(p3p008045)
ぐるぐるしてる
リズリー・クレイグ(p3p008130)
暴風暴威
雨紅(p3p008287)
愛星
逢華(p3p008367)
Felicia
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
篠崎 升麻(p3p008630)
童心万華
星影 向日葵(p3p008750)
遠い約束
喜久蔵・刑部(p3p008800)
『元』獄卒
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉

リプレイ

●祭りのはじまり
「キノコかタケノコかと問われれば、キノコと答えるしかありませんの」

 『子連れ紅茶マイスター』Suvia=Westburyはそう答える。

 彼女は「キノコノサトー」というデパートで仕事したことがあり、キノコには格別の思いがあるらしい。
「あなたもおいしいキノコ茶、いかがですか」

 メイド姿となって、祭りに訪れた客に、キノコ茶を広めている。
 そう、これは祭りもあり、タケノコ派との戦いでもあるのだ。

「どちらも美味しいから困ったね。今日は皆と、キノコのお店を出そう」
「この戦い、負けられませんネ!」
「実は、どっちも好きなんだけど、お祭りを満喫したいから今日の俺はキノコ組!」

 『文具屋』古木・文(p3p001262)、『拵Aえ鋼』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー、『おもちゃのお医者さん』イーハトーヴ・アーケイディアンも、またキノコ派であった。
 リュカシスは、キノッコーくんというきぐるみに入って、「キノッコー! キノッコー!」と鳴いている。

「おっと文殿とイーハトーヴ殿も空腹のご様子!」

 『何事も一歩から』日車・迅は、揃いの法被をまとってキノッコーくんと一緒にキノコをアピールしている。
 腹ごしらえのおむすびは、もちろんキノコが入っている。
 キノコの炊き込みご飯を三角おむすびにしたものだ。

「残念ねぇー。キノコもタケノコも美味しいのにー。……でも、タケノコは春じゃないかしらー?」

 『羽休め』嶺渡・蘇芳はタケノコの旬が春であることに気づいていた。
 どちらも山の恵みには違いないが、一方のキノコは秋からが旬。
 ということでキノコ料理でアピールである。
 椎茸の串焼きを、七味醤油かペッパーマヨでいただく。
 肉厚の椎茸から、じゅわああ~と旨みたっぷりな串焼きができあがる。

「でも、もう一品出したいわねー。手軽にたっぷり、キノコ食べるなら、ピザかしらー」

 キノコピザ! さっそく石窯で焼き上げる。

「ピザ生地にベシャメルソース塗ってー♪ 刻んだマイタケシメジにエノキにマッシュルームをどっさり乗せてー♪ バター散らして、チーズたっぷり乗せて、ぐつぐつ焼きましょー♪」

 お母さんの鼻歌的な歌を口ずさみ、窯の中からできあがった、熱々のピザを取り出す。
 チーズもとろりととろけ、キノコづくしの上で溶けたバターとチーズが乗っかった味を想像するだけで、キノコを頬張りたくなる。

「キノコタケノコ……え、なぜ戦争に……? この争い、つまり勝負事も含めてお祭り、ということでしょうか?」

 『刑天(シンティエン)』雨紅は、この祭りの趣旨を理解した。
 ともかくキノコ側に突いた。
 キノッコーくんというゆるキャラと一緒に、キノコを模した傘を被って滑稽な踊りを披露した。
 通りすぎる客たちも、不思議な踊りに興味津津であった。

「いや、まぁ私はどちらも好きなのだが。だがしかし、敢えて対立することで盛り上がるというのであれば、しっかりと対立せねばなるまいて」

 『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハートは祭りの趣旨をよくわかりつつ、出店でキノコを焼く。
 椎茸、エノキやナメコ、舞茸、松茸……それらが焼けると通る人々の鼻腔をくすぐってキノコ派への投票を誘発する。

「たけのこも良い物ですが、きのこといえば、その豊富さが売りの一つでしょう」

 キノコといえば、種類が豊富。ここに目をつけたのは『玲瓏の壁』鬼桜 雪之丞も同じだ。
 さまざまなきのこが入った味噌汁を仕立てていく。

「地雷踏まなきゃキノコは山越えもする旅人の強い味方! これを推さずして何を推すのかしら!」

 雪之丞が焼き、定番のキノコの汁物を出しつつ、ゼファーはリゾットを炊き上げた。
 キノコの旨味をたっぷりと吸った米は、豊穣の人々にもわかりやすく訴えかけてくる。

「きのこ! 食わずにはいられないッ! えのきにしめじ、椎茸に松茸。いやー、堪らん!」

 雪之丞やゼファーの横っちょで七輪を置いて『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈が肉厚な椎茸を焼いている。分厚く傘が開ききっていない“どんこ”は、まるでアワビのようである。
 これをひっくり返し、溢れんばかりの水分がにじみ出てくるところをかぶりつく。
 そして、その味わいが広がっていくうちに酒をきゅーっといく。
 うまそうに食うのも、人々の情緒をキノコに引き寄せる。

「なら、私はセップダケを使ったシチューでも作ろうか!」

 『雷光・紫電一閃』マリア・レイシスはセップ茸のクリームシチューであった。
 肉厚で歯ごたえもあり、クリームシチューの濃厚な味わいに負けないのである。

 屋台『きの娘』には、大勢の人がキノコを求めて並んでいる。

「ふっ、正直拙者キノコタケノコどちらも好みでござるが、今回はは心を鬼にしキノコ派につくといたそうか――」

 とどめとばかり『蒼海の語部』如月=紅牙=咲耶も一気呵成にキノコを焼いていく。

「それではゆくぞ、打倒タケノコ派!」

 網焼きにしたキノコ、ここまでは珍しくない。
 そこに醤油と塩故障をして、団扇で扇ぐ。
 焼き上がったところにすだちをさっと絞る。ここがポイントであった。
 じゅうじゅうと汁が染みているところに柑橘の爽やかな香り、こっちも食べてみようかという気になる。

「キノコ……タケノコ……え、ええと…私は食眠不要で普段は食事しなくて……だから、味とかそう言うのは今一分からな……あうう……どうしようかな……」

 『鋼のシスター』ンクルス・クーは迷っていた。
 食事が不要なンクルスは、キノコとタケノコの違いがよくわからない。
 
「ああ! わかった!ハンマーとドリルだね!」
 
 迷ったすえ、形で決めることにした。
 タケノコがドリルで、キノコがハンマーである。
 とりあえず、ハンマーが好きなンクルスは、キノコ派の店を手伝い、ハンマーのよさを信者獲得の要領で推していく。

(そうか闇討ちはダメか……)

 『新たな可能性』アーマデル・アル・アマルは祭りであることを理解し、ふさわしい方法でキノコ派についた。
 人々をキノコの店に誘導する。

「単純に考えたら、種類はキノコの方がたくさんあるんだから、単純に考えてキノコの勝ちじゃね?」

 キノコ派の誘導に乗って、『特異運命座標』篠崎 升麻は出店の中をぶらついている。
 味噌汁、リゾット、七輪焼、なんでもある。
 特にパスタに目をつけて、さっそく買った。
 縁日の焼きそばスタイルで出てくる。

「――おいおい、まじでうめーな!?」

 あっという間に平らげ、おかわりを大盛りで頼んだ。

「キノコはなんと言っても豊富な種類だよね。色んな見た目や味を楽しめるのが魅力的だと思うんだ」

 『特異運命座標』隠岐奈 朝顔はバター醤油のホイル焼きで勝負する。
 使うキノコは、まずはエリンギ。焼いても縮まず、歯ごたえも弾力があって楽しい。
 そして、シイタケ、マイタケと数々のキノコのホイル焼きを売っていく。
 その間、御神体の形を想像して自己嫌悪などしたのは内緒である。

「いえーーい、乾杯かんぱーい!」
「っぷはー……!美味い! 向こうの酒とはまた一味違って新鮮でいいねぇ」

 キノコとタケノコの仁義なき屋台抗争が始まる祭りの中で、さっそくさっそくアルコールを空けているは『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤと『荒熊』リズリー・クレイグである。

「……んあ? ヴァレーリヤぁー!向こうでアームレスリング大会やるらしいよ! きっと大会の商品は美味い酒に違いない!
「えっ、賞品でお酒が!? 出る出る! 絶対に出ますわー!!」

 そんなふたりが、キノコと酒を堪能しようと奮闘していた。

「ぶはははっ、どっちも旨くて料理のし甲斐があるから迷うところだが、今回はタケノコで行かせてもらいますかねぇ!」

 屋台を構えた『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートンは、四方竹肉巻きフライを揚げた。
 細身の若い四方竹は、実は秋にしか採れない貴重なタケノコである。アクが少なく、油との相性がいい。
 これを肉巻きにしてオリーブオイルで揚げたら、文句なくうまい。
 日本の高知県という異世界では、名産品となっているという。

「今年は筍の表年、なれば筍が宜しゅう御座いましょう」

 本来なら、キノコもタケノコも争う必要はない、彼岸会 無量(p3p007169)はそう思う。
 タケノコの表年にはタケノコ、キノコの表年にはキノコを。
 タケノコは生育が早く豊年の祭りにもふさわしい。
 今回はタケノコとというわけで、タケノコを推しつつ、肉巻きフライやキノコの七輪焼きなどを頂いた。

『私は紅茶が合うほうが好きなのだわ!』
「こ、紅茶……!?」

 『お嫁殿と一緒』黒影 鬼灯は困っていた。
 彼が嫁殿と呼ぶ人形は、紅茶似合うほうがいいらしい。
 しかし、キノコとタケノコ、どちらが紅茶に合うかはよくわからない。
 よって、こっそりコイントスで決めた。

『ところで紅茶にはタケノコって合うかしら!』
「こ、紅茶かぁ……みんなはどう思う……?」
「そりゃ、タケノコだよ! アタイはタケノコ派を応援するんだ!」

 『露が如く』朝香は、断然タケノコ派であった。

「だって、タケノコってこの世界の弾丸に似ている気がするんだよ!」

 そういうものかもしれない。
 確かに、似ている。

「それに、煮付けにして貰ったらコリコリして美味しいんだ!」

 そんなわけで、こんなこともあろうかとタケノコの形の大皿を用意した浅香は、タケノコ派の出店に並ぶ料理を乗せて、通行人に見せてアピールする。驚いて口をあんぐり開けた人目がけて料理を放り込み、タケノコ派の票を稼いでいく。

「タケノコ派に問う! 筍の旬とは何時ぞや!」

「おふくろは言ってた。何事も、ふさわしい時期がある、と」

 『ぐるぐるしてる』角灯は思う。
 そう、タケノコの旬といえば、一般的には春とされる。

「おれはキノコかタケノコなら、タケノコ方が好き。おふくろの作った筍の鰹煮を食べればわかる。柔らかながらシャキシャキとした食感も残したタケノコは、晩春から初夏に向けてまさにこれから成長せん、天を衝かんとする生命の象徴。噛み締めれば鰹出汁のコクを纏い、飲み込めば甘い香りが鼻を抜け、さっぱりとした余韻だけが残る……」

 聞いているだけで、タケノコを食いたくなる。
 角灯はキノコ派なのだが、タケノコの良いところをアピールしてしまっていた。

「タケノコ派に問う! 筍の旬とは何時ぞや!」

 続いて、『黒き断頭台』流星は、その演説をぶっていく。愛馬にまたがって、馬上からの演説である。

「ここに持ち寄りたるは我らが『暦』の母う……厨の番人、霜月殿が拵えた特製弁当! そしておかずには勿論、愛情たっぷり香り豊かな若筍の鰹炊きだ! これを食してなお秋に筍などと寝惚けたことを口に出来る者がいるだろうか? 否! 否! さあさあ、我こそはと箸を取って名乗り出る者はいないか!」

 集まった人々は、ふたりの演説を聞いているうちに、流星の弁当や朝香が大皿に盛ったタケノコを食べていくのであった。

「タケノコ、秋じゃなくて春の実りなのに秋の実りって決められてるのむかつくよ。秋の味覚って決めたの誰? 責任者どこ? 出てきて説明してもらっていい?」

「いやその、旬の名残ということで……」

 『Felicia』逢華は、祭りの実行委員会まで行って詰め寄っている。

「霜月お兄ちゃんのお弁当を食べたらわかるから!! ここにもあるから食べたい人挙手!」

 結構手が挙がる。タケノコ派、ここに来て巻き返しているようだ。

「聞いた? 聞いた?! 角灯お兄ちゃんと流星お姉ちゃんの言う通りなんだよ! たけのこは!! 秋じゃなくて!! 春の実りです!! なんでそんな簡単なことわかんないのかなぁ!」

 力強く訴える逢華であったが、旬を外れてもうまいとというところで、タケノコをアピールしてしまった感があった。

「美味しいタケノコの見分け方、知ってるっすか?」

 噂に聞くキノコタケノコ祭りの人手に関心ながらも、『歪角ノ夜叉』八重 慧はタケノコ派についている。

「ここのはそこいら厳しく見てるんで、美味いっすよ」

 タケノコは朝掘りで手早く料理しなければならないのが面倒だが、キノコはあたってしまう危険性がある。
 そういうわけで、慧はうまいタケノコの店を紹介しながら票を稼ぐ。

「なーんか、不毛な争いしてんなぁ。そんなのどっちでもいいじゃあねぇか。どっちも旨いで良いじゃあねぇか」

 熾烈な両派の争いの中、『『元』獄卒』喜久蔵・刑部はどっちでもいいだろ派として往来で声を上げた。
 そりゃあ、そうなのである。本当ならそうしたい。
 しかし、譲れぬ思いというのはあるのだ。

「キノコとタケノコで争ってるなんてナンセンスね……」

 『あま~いお菓子をプレゼント♡』タルト・ティラミーも同意見である。

「いい? キノコだろうがタケノコだろうが同じ菓子で出来ていれば見た目は関係なくそれそのものの菓子になるのよ! それがチョコであれば形がなんだろうがチョコレート!ゼリーで出来ていればゼリー! そこに何の違いもないわ……あんたたちは形に囚われ過ぎている!」

 そのとおりであった。
 御神体は、どちらもビスケット生地とチョコできている。
 違うのは、形だけ。
 人々は、キノコとタケノコのそれぞれを味わい、どっちに入れようか思案しているが、御神体はその味には関係がない。

「きのこたけのこ戦争を始めようだなんてー。船の上では絶対にしてはならない話題の一つですわよー? ガチ目に流血沙汰になるとかでー」

 『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナートは語った。
 呉越同舟という、中の悪い国同士でも同じ船の上では手を取り合うという伝説があるが、キノコとタケノコだけはそうはいかないこともある、と。
 しかし、調停するかと言うとそういうわけではなくビラを撒きつつ争いを盛り上げ、ちゃっかりどっちが勝つかの胴元もやってきた。

「お菓子に優劣はないけれど、信仰に優劣をつけたがる人間の考えそうなことだもの★」

 そう、だからこそ――。
 タルトは第三の選択肢を取る。
 奉納ために用意された双方の御神体を、どっちもおいしいじゃんという信念によって打ち砕く!

「ああっ!? 御神体になんてことを……!」

 祭り実行委員会が見守る中で、ふたつの御神体は砕けでしまった。

「奉納できるのは一つ……つまり合体させてしまえばいい。大丈夫いける、どちらもノコだから問題ない」
「あっ、そっか」

 アーマデルの何気ない言葉で、人々はそこに気づいた。

 お菓子はふたつ、割れたら一緒♪
 Wo Wo ガッチャガチャ~、ガッチャガチャ~♪

 誰かが、そんな平和な歌を歌っていた。
 結局、割れた御神体をひとつにして奉納するという第三の選択肢が特例として採用された――。
 砕けて余ったお菓子は、みんなでいただきましたとさ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 キノコタケノコ祭り、無事(?)終わりました。
 うまくオチがついた感のあるリプレイとなりました。
 争いはむなしいが、キノコとタケノコはおいしい!(ドヤァ)
 お祭りのあとはどこか寂しいですが、豊穣を舞台としたシナリオはまだまだ出したいと思います。

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