PandoraPartyProject
死せる星のエイドス
これはとある世界の話。
その星はあるさだめを全うしたの。星のさだめを知っている?
ひとがいつか死んでしまうように、世界もいつかは滅んでしまう。
私はそれを見守るの。
はるか星海に揺蕩う終焉の星。
世界を見つめ、看取るさだめ。
私はステラ。
世界の滅びを見守るもの。
星に瞬くひとひらの端末。
この世界が終わるのを、わたしはただ見つめていた。
そのはずだったの。
そのはずだったのに――
「私はステラ。滅びを見守るもの」
そう呟いた少女は、純真無垢を絵に描いたような、まるで人形のような少女であった。
長い金髪にオッドアイ。瞳の中には星が瞬いている。
少女は、謎の石棺と共に突然現れた。
「この世界に目覚めた私は、けれど、私じゃなくなったの」
「それは、どういうことなんだ?」
カイト・シャルラハ(p3p000684)が身を乗り出して問いかける。
対してステラは宙空を見つめ、ぼんやりと呟いた。
「私は観測者。その端末」
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)は目を見開く。
「端末?」
「本来の私は、滅びを見守ることが役目なの。この世界の滅びを見つめて、星から振る獣を呼ぶ存在。もう来ているでしょう? この世界にも、星界獣が」
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)は目を見開いた。
「確かに……あれは星界獣の特徴でした」
だが、そうなると話が違う。ステラと名乗った少女は滅びを齎す存在にはとうてい見えなかった。
「でも、私はあなたに触れて変わってしまった。あなたの――『救いの可能性』をたべてしまった。
だから、私は滅びを呼ぶ存在じゃなくなってしまった。きっと、あなたたちに出会った事で私は知らない私になったの」
「『食べた』……?」
水月・鏡禍(p3p008354)が問いかけると、ステラはこくんと頷いた。
「そう、『食べてしまった』」
「パンドラの欠片を蓄積させて、それを摂取してしまったことで滅びから遠ざかった存在になった、ということでありますか」
納得したようにムサシ・セルブライト(p3p010126)が言うと、ステラはそれにも頷いてみせた。
「だから、私はこの世界(プーレルジール)を滅びから救う手助けができると思う。
あなたたちは、それを望んでいるんでしょう? 私には分かるの。そうしなきゃ、あなたの本当の世界が壊れてしまうから」
トール=アシェンプテル(p3p010816)はその言葉を疑うことができなかった。まるで終焉を予告した彼女のように、説得力を感じてしまったからだ。
その様子をみてから、ステラは小さく微笑んだ。
「それで――あなたのことを教えて?」
セレナ・夜月(p3p010688)は微笑み返し、頷いた。
「そうね、どこから話そうかしら……」
――状況を振り返ろう。
プーレルジールでは魔王イルドゼギア率いる魔王軍が人類と戦争しており、そして古代の混沌における魔王は、『旅人』であったとされる。
存在しないはずの魔王がいるという事実に対して、イルドゼギアは応えた。
「そもそも、僕とは本当のイルドゼギアではない。この滅び行く世界に与えられただけの役割に過ぎないのだ」――と。
ではイルドゼギアの配下たる四天王が史実と随分に異なることも、あるいは関係があるのだろうか。
また混沌との史実との違いも……。
魔王はプーレルジールを滅ぼし、そして無辜なる混沌への進撃を画策している。
更に分かったこととして、プーレルジールの終焉獣は無辜なる混沌における終焉獣と同じものであった。
もしかしたら、混沌側から何らかの干渉があるのだろうか……。
いずれにせよ、この事態を放置すれば無辜なる混沌に膨大な滅びのアークが流入しかねない。
大切な思い出を守るため。大切な人々を守るため。そして故郷を守るため。
目的地は魔王城サハイェル。
プーレルジールを舞台とした戦いに、更なる幕が上がろうとしているのだ。
勇者の卵である冒険者アイオンに言わせれば「イレギュラーズは、滅びを退けたい。それから、俺は君達と冒険の旅をしたい。なら答えは決まっているだろう?」とのことだ。
「ステラ。あなたはどうして、私達が他の世界の人間だと知っているの?」
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)がそのように問いかける。
「『境界』――世界の谷間から、救いの気配がしたの」
この地は混沌世界とは大きく違うが、類似した点のある滅びに面した世界。だからこそ、救いの気配を察知しやすかったのだろう。
無辜なる混沌に似ているが、勇者と呼ばれた青年は居らず、魔種と呼ぶ存在は存在して居ない。空中庭園もざんげも存在して居ないからこそイレギュラーズ――パンドラを集める存在も居ないのだ。
「その気配が『無辜なる混沌』と似ていたの、だからあなたたちがどこから来たかわかったのよ」
次は、綾辻・愛奈(p3p010320)が問いかける番だ。
「無辜なる混沌にも『ステラ』はいるの?」
「いるわ」
その一言で、愛奈は目を細めた。
「旅人と呼ばれた人達が元の世界に帰りたいことも、絶対的に回避できない滅びを退けようとしてることも、知ってる。
……あなた達みたいな優しくて美しい存在が、消えてしまうのは勿体ない。それにかわいそう」
そこまで言うと、ステラはすっと立ち上がった。
「ついてきて」
どこへ、と誰か等とも無くといかけた。
「『星の台座』……あなたの力になるところ。
わたしが、できるおてつだい。『死せる星のエイドス』……可能性(パンドラ)が未来を捻じ曲げ奇跡を手にするように、私はその奇跡がこの場所で引き起こせる手伝いをするの」
「それは、どういう意味じゃ?」
オウェード=ランドマスター(p3p009184)がううむと唸ると、ステラが微笑みと共に返す。
「気付いてる? この世界はあなたのいた世界から遠いから、おおいなる奇跡の力が使えない。可能性はゼロじゃないけど、きっと難しい。
でも、私なら少しはその状況を変えられる。信頼、してくれるなら嬉しい。
……何で力を貸すのって顔してる。言ったでしょう。あなたに触れて、変わってしまった。救いの可能性を、求めてしまうの。滅びを見守るはずの私が」
「だからね、この世界を――そしてあなたの世界を、救ってあげてね」
※星の少女ステラによって、『死せる星のエイドス』が顕現しました!
※魔王城への進撃が開始されました!
※奇跡の可能性を引き上げるためのクエストが発生しました!
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