シナリオ詳細
<渦巻く因果>終わりへの旅路
オープニング
●
薄紅の雲を明滅させるように、幾重もの稲妻が這い回っている。
もしもこの逢魔が時――黄昏が永遠に続くなら、それは世界が滅ぶ時の光景なのかもしれない。
だからだろうか。かつて出身世界を滅ぼしたことのあるディアナ・K・リリエンルージュ(p3n000238)にとって、眼前の光景は初めて見るものであるにも関わらず、無性に懐かしくも感じられた。
――ここは異世界プーレルジール。
「……救世とは、あるいはこれは贖罪でもあるのでしょうか」
ギャルリ・ド・プリエの『アトリエ・コンフィー』、その窓辺にディアナが佇んでいた。
「ご気分が優れないようにお見受け致しますが、お飲み物でも如何でしょう?」
「これは、ありがとうございます」
新田 寛治(p3p005073)からグラスを受け取ったディアナは、口元をほころばせた。この世界らしからぬクリスタルの輝きも、フレッシュな葡萄の果汁も、気を紛らわせるにはうってつけだ。
「魔王は、混沌世界に渡航するって言ってるんだよね?」
セララ(p3p000273)はそう述べ、「差し入れだよ」とドーナツの紙箱を置いた。
「そうなれば我々としても、放っておける話ではないのは確かだね」
「――スね」
マキナ・マーデリックに、佐藤 美咲(p3p009818)が頷く。
「では目的は二つに絞られるでしょうか」
寛治が振り返り、両手をゆったりと広げた。
一つ。魔王軍の撃退。
二つ。異界の継続調査。
もともとイレギュラーズがこの世界プーレルジールに足を踏み入れた目的は、実に様々だった。
冒険者のスタンスであれば、単なる好奇心や知的欲求。
秘宝種ならば、ここが故郷かもしれず。
旅人(ウォーカー)であれば、出身世界への道しるべかもしれない。
だから旅人のディアナは、故郷への手がかりを、この世界へ求めた。
「そこへ来て、喫緊の課題が出てきてしまった訳ですわね」
どうやらこの世界には魔王がおり、この世界を滅ぼそうとしているらしい。
そうして無辜なる混沌への渡航を試みているのだと。
「だが疑問はあるな」
恋屍・愛無(p3p007296)が腕を組む。
そもそも魔王はなぜ『無辜なる混沌の存在を知っている』のか。
「なんか遠回りしてるみたいで、釈然としないですが」
普久原・ほむら(p3n000159)が、卓上に胸を押しつけてつっぷし――と、そんな時だった。
「皆様にご来客をお通ししました」
ゴシック調のドレスを纏う、ゼロ・クールのケイトが姿を見せた。
視線を向ければ、ケイトの後から来たのは見覚えのある男マクシムスだった。
先日の戦装束ではなく、いかにも古代風な白のトーガを纏っている。
「これは……」
「っ!?」
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)と、アルテナ・フォルテ(p3n000007)が息を飲んだ。
その後ろに続いて現われたのは、イミル氏族の代表であるフレイス・ミーミル(p3n000223)だった。
混沌世界での史実では、彼女は群雄割拠していた諸氏族同士の争乱の中で、凄惨な悲劇と共に古の秘術で巨大な怪物と成り果てた。そして長い眠りの果て、イレギュラーズに討伐されたのだ。
だがプーレルジールにおけるフレイスは、諸氏族を代表する者達の一人となっている。
「お初にお目にかかる。我はフレイス。イミル氏族の代表を務めている」
そんな彼女の要とはいったい何なのだろうか。
「そなたらは異界よりの客人と聞くが、こと魔王軍との戦いに赴くと聞いた」
フレイスが一同を見渡す。
「しかしこの世界の住人たる我等が手をこまねいていては非礼に過ぎるというもの」
つまり。
「我等もまたそなた等と手を結び、戦場へとはせ参じる次第」
マクシムスもまた、言葉を続けた。
「これがイミル氏族、クラウディウス氏族、そこへ連なる我等ルキウス氏族、アラウダ軍団の総意」
「左様、我等の危機に我等が立ち上がらんのでは、あまりに情けないのでな」
なるほど。ありがたい申し出だ。
彼等は非常に協力的でもある。
ということは、過去について、あるいは混沌との差異につながる何かの情報が得られるかもしれない。
いずれにせよこの降って湧いた危機――魔王軍を退けなければ調査とて覚束ないが。
共闘出来るのであれば、言葉を交す事も出来るだろう。
それに――
「終焉、なのです」
メイ(p3p010703)が黄昏の空を仰いだ。
この世界に迫っている濃密な『終焉』の気配は、混沌世界におけるそれと同質だと思えた。
しかしともかくまずは、魔王軍と交戦しなければならないのだろう。
「では我等はこれより出陣する。そなたらの武運を祈ろう」
そう述べたフレイスは、踵を翻したのだった。
●
荒野に瘴気が蠢いている。
汚泥にも見えるそれは、しかし昏い炎のように揺らめきながら草原を浸潤していた。
「……嫌な時間に、嫌な場所へ攻めてくるものだ」
ロリカを纏ったマクシムスが下唇を噛みしめる。
「で、あればこそ魔の軍勢と言えようか」
同じ十人長の一人が答えた。
「――来るぞッ!」
「者共! 構えよ! ファランクス!」
フレイスの号令と共に、横並びの兵士達は一斉に丸盾の間から槍を突き出した。
眼前には、地を波のように迫る敵影。
地響きめいた進軍の音が、鼓膜を揺さぶる。
その赤い目が、炎めいた漆黒の毛並みが、みるみる近付いてくる。
距離は百メートル。
五十メートル。
二十メートル。
ようやくはっきりと見えた敵の先陣は、四つ足の獣共――終焉獣(ラグナヴァイス)だった。
一匹が地を跳ね、兵の丸盾に食らい付く。
無数の獣共が次々に飛びかかってくる。
「怯むな、押し返せ!」
「奴等は獣ぞ! 者共、声をだせ、威嚇するのだ!」
怒濤の如く襲う衝撃に兵士達の踵は大地を抉り、けれど果敢に盾を叩き付けた。
「イミル術士隊、撃て!」
炎の槍が雨のように敵陣を穿つ。
数本の槍が獣の腹を抉り、黒い霧のように消滅する。
剣を斬り払い、槍を突き、盾をぶつけ――兵達は懸命に戦い続けた。
「行けるぞ、アラウダ軍団(レギオン)の力を見せてやれ! 全軍前進!」
――しかし。
「我が名は黒獅将アースラ! 四天王――獣王ル=アディンが騎士よ!」
甲冑を纏った獅子顔の男が、敵陣後方から名乗りをあげた。
背にはコウモリのような翼を持つ、異形の戦士だ。
それが矢や魔術弾を斬り裂きながら、猛突進してきたではないか。
「人よ、我が前に武勇を示せ! さすれば黄泉路に花を添えてやろう! 赤き血を以てな!」
六本の腕に六振りの蛮刀を重ねた突進に、ファランクスの一角が崩れた。
「陣を分断されるぞ」
「後退、戦列を立て直せ!」
「無理だ、間に合わん!」
戦場は徐々に乱戦の様相を示し始めた。
「前列抜剣! 第二作戦へ移行せよ!」
前衛の半数が一斉に槍を落し、剣を抜き放ち、三名一組で背を合わせた。
残りの半数は後衛の術士達の守りを固めている。
さすがに練度の高い軍団だ。
だがそれでも敵将アースラの出現により、戦況は明らかに押されている。
このままでは敗走、下手をすれば壊滅しかねない。
後方で指揮をとっていたフレイスが敵陣を睨み、大鎌を担ぎ上げた。
「ええい埒があかん」
「いけません、姫様!」
「かくなる上は、我が武威を以て、イミルの矜恃を示そうぞ!」
アラウダ軍団は練度の高い、精強な部隊だった。
だが魔王軍の猛攻を前に、もはや死中に活を求める他になく。
一行が戦場へ到着したのは、ちょうどそんな時だった。
- <渦巻く因果>終わりへの旅路完了
- GM名pipi
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年09月30日 22時06分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
サポートNPC一覧(3人)
リプレイ
●
――追憶、鐘の音。
「ねーさまが生きたこの世界」
とある葬送者が歩んだ軌跡と共に、『ひだまりのまもりびと』メイ(p3p010703)はある。
無辜なる混沌を知りたくて、メイはローレットの門戸を叩いた。
それがまさか異世界プーレルジールで、魔王と戦うことになるとは。
「因果なものですね……」
「うん、なんていうか不思議な気持ち」
ぽつりと零した『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)に、アルテナ・フォルテ(p3n000007)が頷いた。
プーレルジールは、古代の幻想王国とひどく似ていた。
雷鳴轟く荒野に、鬨の声が轟いている。
方や人、方や怪物。両軍の激突する戦場に、一行は駆け込んだ。
イレギュラーズが加勢するのは人の側。
群雄割拠の古代幻想において二大勢力だった、かのイミル氏族とクラウディウス氏族の軍勢である。
ことクラウディウスは幻想貴族の礎の中で、大きな勢力だった。
幻想貴族であるシフォリィはそこに、数奇な運命を感じざるを得なかった。
もしかしたらそれは同じく幻想貴族の血を引くアルテナをも含めた巡り合わせなのかもしれない。
二人とも、どちらの血を引いていても(ひょっとしたら両方でも)なんら不思議ではないのだ。
幻想史において両勢力は覇を競い、イミルが破れた。
だがそのイミルの姫――フレイスと、まさか共闘することになるとは。
しかも敵は、かの『魔王』の軍勢だというではないか。
「彼等はいったい何者なのだろうな」
端正な表情を崩さないまま、けれど『愛を知らぬ者』恋屍・愛無(p3p007296)な神妙に述べた。
ここは異世界な訳だが、なぜ彼等は『無辜なる混沌』のことを知っているのか。
そして混沌へ移り、何をしようとしているのか。
いずれにせよ敵は滅するのみではあるのだが――
魔王がこの世界を滅ぼし、混沌への渡航を試みているのであれば。
この戦い『世界を救う』ことかもしれず。
「実感湧かないんスけどねー」
ある意味であまりに『人らしい人』である『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)にとって、世界の命運を握るというのは、空想的に過ぎる。
「そういうものですか、私は――いえ」
曖昧に返したディアナ・K・リリエンルージュ(p3n000238)は、かつて世界を滅ぼしたことがあるという。
「……ディアナ氏もこれからやることだけ考えときましょ」
「ええ、仰る通りですわね」
彼女は元の世界へ帰り、愛する者の胸へ飛び込むという悲願がある。
謝罪と共に、手土産の一つでも持って――
(多分私よりやること多いんでしょうし)
「ねえディアナ」
「なんでしょう?」
「もしかして、世界を滅ぼしたことを気にしてる?」
問うた『魔法騎士』セララ(p3p000273)に、ディアナは「ええ」と答えた。
「なら、この世界を救って帳消しにしちゃおう。頑張ろうねっ。はいこれ」
あっけらかんとした一言に、ディアナは思わず吹き出した。
「そうですわね」
(――本当に、あなたのような方が勇者というものなのでしょうね)
セララから手渡されたドーナツを咥えて、ディアナが剣を抜き放つ。
戦場を駆ける『優しき水竜を想う』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は思う。
押されている戦場で大暴れするのは『慣れっこ』だと。
帝国動乱の際にはアーカーシュや帝都で、破竹の活躍を見せたのは記憶に新しい。
友へ呼びかけ漆黒の波を放ち、戦陣を切り拓き。
それにしても『魔王軍』に関わることになるとは。
混沌での魔王は軍勢諸共に、遙か太古、勇者アイオンによって滅ぼされている。
だがその残滓と戦ったのは確かなことであり、縁というものは意外と馬鹿に出来ないとも感じる。
凍狼の子――オディールと名付けた――には安全な場所で探索をお願いしているとして、こちらはこちらで為さねばならないことを為して行こう。
「魔王軍の奴等、全部ぶちのめすよ! 飲み込め、泥よ。混沌揺蕩う星空の海よ」
術を放った『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は、この数奇な運命に喜びを感じていた。
「……敵達を全部飲み干せ!」
混沌でのフレイスは復讐鬼となり果て、氏族の怨念全てを焼き尽くして消えていった。
そんな悲劇の結末は、この異界にはなく。それに――
(フレイスさんや皆が……反転したり終焉獣に寄生されるのなんて、嫌だ)
運命を変えるチャンスは、なんとしても掴みたい。
こうした状況は、研究者肌の『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)にとっては、どこかしら面白みも感じられる。
個人的には世界同士の歴史などの差異も詳しく調べたい所でもあった。
これは敵対するはずの諸氏族が共闘する『IF』の世界線である。
友軍を観察する『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は思案した。
時系列はどうなのか。
あるいは相争う前夜であるのか、それとも。
事を終えたら、この辺りに探りをいれたい。
この世界の調査に対するアプローチを増やせそうでもある。
「オーダーは、そんな所でよろしいでしょうか?」
「ご助力に感謝致しますわ」
答えたディアナの表情は、真剣そのものだった。
異世界に足を踏み入れたということは、ディアナ達のような旅人(ウォーカー)にとって、元世界へ帰還する方法の手がかりになるかもしれない。それは個人の思いを越えて、練達という国家の宿願でもある。
寛治とディアナは、そこへある種の盟約のようなものを結んでいた。
「さて、久方ぶりの大規模戦だ」
やや屈んだ姿勢で駆けながら、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は、愛刀へ指をかける。
そして併走するセララへ目配せ一つ。
「ボクの名は魔法騎士セララ! 黒獅将アースラ、君の相手はボクだ!」
セララが堂々たる名乗りをあげた。
「この先の町には到達させないよ!」
存分に暴れさせてもらおうか。
●
状況は良くない。
友軍のアラウダ軍団は古風ながら精強な軍勢だが、敵将に押されている。
「もっとも、特記戦力の斬首は私達の得意とするところ」
寛治の述べた通り、一行は敵陣の柱を折るために進撃している。
さて、ならば出だしは友軍の士気向上を目指して扇動したいところだが。
美咲にとって、自身が極端に目立つのも『得手』の妨げになるかもしれず。
マキナがここに居るのはある意味では美咲のせいかもしれず。ならば――
「そういう訳で、予定通りにお願いしまス」
「ま、まじでやるんですか、これ絶対、敵に捕まって『くっ殺せ』ってなる系の服じゃないですか」
狼狽する普久原・ほむら(p3n000159)の背を押す。
「こういうのシフォリィさんのほうがいいんじゃないですかね」
「どうしてそうなるんですか!」
突然の流れ弾に思わずシフォリィが抗議の声を上げる。
「あいやそういう意味でなく単純に衣装として合うというか、むしろそのままというか」
「そのままじゃないですが」
「どちらにせよ見た目は相当そそりますわよね」
ディアナが舌なめずりする。
「衣装、かなりの自信作でス」
ほむらが着用するディアナ垂涎のコスプレ衣装は、まさに姫騎士だった。
確かにシフォリィにも実に良く似合うだろうというか、実際によくそんな装備をしている気がするが。
というか今もそうなのでは。
「というわけでカンペ読んでね」
「え、ええと……勇猛果敢なる戦士たちよ、恐るる必要はない! 私達が来たからだ!」
ほむらがやけくそに声を張り上げる。
戦場に喝采が轟いた。
当人がなっていなかろうが、どうにかするのがステージ技術というものだ。
折角だし盗撮もしておこうか。
「それ売っていただけます?」
美咲に尋ねるディアナは真顔だった。
たしかにほむらは『見た目だけ』ならば愛する恋人と瓜二つなのだ。
それはさておき――
「友軍のみなさん!」
メイが聖句を紡ぎ、戦場に破邪の閃光が満ちる。
「けして無茶をしてはいけないのです! みんなの力を合わせてこの場を乗り切るですよ!」
悲鳴じみた絶叫をあげる終焉獣は、なぜか混沌のそれと同じものだった。
まずは数を減らして、それから――
戦場を睨み、友なる存在の手を借りてオデットもまた術式を紡ぐ。
「手間暇かけて倒すつもりはさらさら無い。徹底的に纏め、迅速に殲滅するのみだ!」
駆け抜ける汰磨羈が光に包まれ――厄狩闘流秘奥『真義三絶』の一。
魄の最奥から引き摺りだした根源たる太極。
霊力の爆発に、その髪が長く伸び美しくなびいた。
同時に抜刀――妖刀で一息になぎ払う。
鳴動する大気に紫電が駆け、閃光が放たれた。
刃の軌跡と共に迸る魔力塊が、敵陣を深く穿つ。
「このまま押し込みます」
その堕天の輝きは呪いを帯び――シフォリィの一閃に、終焉獣の数体が石化した。
「今、スかね」
この戦場における最速の解答、美咲の合図を受けた寛治が、立て続けに引き金を引く。
終焉獣の前足へ、鼻先へ、弾丸は狙い違わず怪物共の出鼻を挫いた。
可能な限り傷の深い個体から、各個撃破してゆく。
イレギュラーズの作戦は堅調なものだった。
終焉獣はその牙を突き立てるに能わず。
「援軍だ!」
「助かった!」
友軍の歓声が轟いている。
「お客人、かたじけない。者共、この隙を逃すでないぞ!」
フレイスの感謝と、檄が飛ぶ。
一行は迅速に、敵陣深くまで浸透していた。
場は乱戦に近く、けれどそこへ一丸となって突き進み――
けれどいま、正に敵将ア=アースラの刃が、軍団兵の喉笛を食いちぎらんと迫る。
凶刃が唸りを上げ、絶命の軌跡を描いた。
一人の命が、いま終わりを告げようと。
その時――
「させないよ!」
聖剣がアースラの刃を跳ね上げた。
「……ほう、我が刃を止めるとは。まぐれにしても面白い」
獅子顔をした六本腕の大男が嗤う。
「この黒獅将アースラ。四天王ル=アディンが僕にしてア族の長たるが、死にゆく貴様へ名を問おう」
「ボクの名は魔法騎士セララ! 黒獅将アースラ、君の相手はボクだ!」
「ではセララ、背中はわたくしにお任せ下さいまし」
「うん、行こうディアナ!」
「――さて、こちらはどんな味がする?」
愛無と睨み合うのは敵陣におけるもう一体の特記戦力、『終焉獣』ガルヴァ=ゴーヴという怪物だ。
ガルヴァは円弧を描くように、愛無を見定め――愛無はおもむろに手の甲をかざす。
ひとすじの亀裂が走り、目玉が覗いた。
その一瞥から放たれた衝撃がガルヴァを襲う。
この世のものとは思えぬ咆哮を轟かせ、ガルヴァは愛無へと飛びかかった。
(そうだ、それでいい)
「強敵を抑えつつ敵の数を減らす。基本のキですが、それ故に有効な戦術です」
寛治が眼鏡に指をかける。
これで布陣は、完全に整った。
●
交戦開始から、僅か二分弱。
劣勢だった友軍は陣を立て直し、終焉獣は半数程度まで減っている。
一行の戦術は、寛治が述べた通り極めて基本に忠実なものだった。
基礎というものは往々にして、言うは安し、しかして行い難しである。
それはシフォリィが修めるアルテロンド流サドー等の武術にも通じるところがあるだろう。
いかな達人でさえ、おそらく永遠に向き合い続けることになる。
だが一行はその基本的戦術を、高い水準で維持し続けていた。
美咲の号令の元、寛治が敵陣を封殺。
こぼれたものをヨゾラが泥で押し流す。
その隙に汰磨羈が敵陣を斬り裂き、オデットの並々ならぬ火力が焼き尽くして行く。
残存はシフォリィとアルテナ達が容赦なく追い立てる。
それを確実に下支えするのはメイとほむらだ。
敵には特記戦力が二体居る。
そのうちの一体、ガルヴァ愛無が押さえ込み、ゼフィラが着実に支えていた。
そしてもう一体の敵将アースラは今もセララやディアナと斬り結んでいる。
劣勢だった友軍はフレイスの指揮と、一行の援護を受けながら、破竹の勢いで終焉獣と戦っていた。
「さあ、この戦場! 必ず乗り切ってみせるよ!」
ゼフィラの檄に、アラウダ軍団から喝采があがる。
こうして一歩ずつ信頼を勝ち取って行きたい。
愛らしいメイの顔の僅か先を、終焉獣の放った影の刃が通り過ぎて行く。
しかし決して臆さず、集中も絶やさず。メイはその大切な鐘を通じて魔力を紡ぐ。
「このまま頑張っていくのです!」
清廉な鐘の音と共に、メイの祈りが大地に放射状の光を幾重にも描いた。
美しい光の粒子が花開くように、自軍諸共友軍を温かく包み込む。
「頼りにしていますから!」
「うん、シフォリィさんも。こっちは任せて」
飛びかかる終焉獣の牙をかわし、目配せ一つ。アルテナとシフォリィが背を合わせた。
近くでは果敢に奮闘するフレイスの姿も見える。
知らなければならないことは、山ほどあった。
おそらくこの時代に生きる深緑のハーモニア、フィナリィの事。
それは勇者アイオンの仲間であり、史実ではこの時代に幻想で調停役を買っていたはずだ。
そしてアルテナの父のこと。王都でその姿を見たという噂が立っていた。アルテナの父は何年も前に貴族同士の政争に敗れて確かに死亡しているはずだが、果たして――
「このまま押して行くわね」
オデットが天高く掲げた指先に集う温かな光は鮮烈に。
まさに極小の太陽とも呼ぶべきそれは、優しく、温かく、けれど容赦ない。
飛びかかろうとする一体の終焉獣の、その鼻先へふわりと舞うように届き――灼熱。
その膨大な光の奔流に焼かれ、怪物が文字通りに消滅する。
「いよいよだね」
ヨゾラの魔力が輝いた。
「『獣王』ル=アディンの配下……結構強いようだけど、絶対ぶん殴る!」
はたして、アースラは何者なのか。
獣種にしては腕が六本というのは奇妙な話だ。
旅人なのか、それとも――何か特徴を掴みたい。
そこには濃密な『滅び』の気配が漂っている。
だとすればこれは『終焉獣』なのだろうか。
あるいは獣種がその影響を受けたのか。
「ねえ」
「どうした勇敢なる小娘よ」
「セララだよ、それより魔王軍はどうしてこんな事するの?」
「ハッ! 人魔が争うは世の習いではないか!」
「そんなことはないと思うけどな」
「なぜそう考える」
「共存していく道だってあるはずだよ」
雷を纏うセララの一閃をアースラは二本の剣で受け止め、反撃の刃を繰り出す。
その一撃を弾き、一撃を避け、立て続け四度の斬撃をいなしきる。
「知れたこと、貴様の世界をも蹂躙し、ひざまずかせ、我が手中とするのみよ!」
「だったらボクは、皆の笑顔を守ってみせる。全力全壊! ギガセララブレイク!」
再び剣に稲妻を受け、セララが聖剣を振り抜いた。
その一撃にアースラの二振りが砕け、鎧に一文字の軌跡が駆ける。
吹き上がったのは赤い血ではなく、漆黒の瘴気だった。
宙を踊るように、セララとディアナが瞬く間の斬撃を幾重にも刻む。
それはさながらアースラを翻弄する剣姫の舞であり。
早くも十合、二十合と、打ち合う剣の音色が甲高く鳴り響いている。
「やっぱり」
再び術を紡ぎながら、未知を見通すヨゾラが瞳を細める。
これは終焉の気配だ。
「こんなところで、誰も倒れさせないし死なせないよ……!」
ヨゾラの魔力が一行を癒し――
一方、戦場の対角ではゼフィラ達がガルヴァと対峙していた。
「なかなかに厄介な特性だね、けれどそうと分かればやりようはある。そうだろう?」
敵の体長は五メートルほどと大きい。
影に潜り込むというおかしな性質はあるが、今はゼフィラの魔術がそれを封じている。
「おまかせください」
ゼロ・クールのケイトが両腕を突き出し、マシンガンのように魔弾を放った。
助かるのだが、どうも妙な機能がついているものだ。
そしてガルヴァは愛無へと、無我夢中の攻撃を繰り返していた。
これに戦場を縦横無尽に駆け巡られては非常に厄介だが、愛無は自身へ貼り付けることに成功している。
突進するガルヴァが爪を振り上げた。
表情一つ変えない愛無の顔を叩き潰すように――だがそのまま歪み捻れるように、漆黒の粘土のように変化した愛無が、突如伸ばした尾でガラ空きの腹を突く。
ガルヴァの腹から血ならざる瘴気が吹きだした。
「不味いな」
その声に焦りは微塵もなく、純然と文字通りの意味だった。
ガルヴァの体液のようなものは、濃密な滅びの味がする。
あるいは猛毒かもしれず、けれど少なくとも愛無の鉄の胃袋の前には無力なものだった。
「さて、そろそろか?」
戦場は徐々に徐々に、優勢となってきている。
手近な終焉獣は軒並み消え失せたはずだ。
そうなれば――
拳銃で、拳で、あらゆる手段で敵陣を駆ける美咲が、今度はガルヴァの額へ弾丸を撃ち込む。
仮に人や獣であれば、頭蓋の中身をぶちまけて絶命するはずだが、やはり怪物。
「……ったく」
爆ぜたのはやはり滅びの瘴気のみだった。
だがダメージは確実に与えることが出来ているはずだ。
「このまま押し切らせてもらうぞ」
「では合わせます、アルテナさん!」
「うん、任せて!」
ガルヴァの前面へ、滑り込むように飛び込んだ汰磨羈が、凛と鯉口を切る。
抜刀――灼熱が舞い、ガルヴァの巨体を炎が包み込む。
そして桜花散りゆくように舞う無数の炎片が輝き、一閃。ガルヴァが絶叫をあげた。
隙を逃さず、シフォリィとアルテナの剣舞が、無数の炎と氷を宙空に顕現させる。
「「行きます!」」
重なる声と共に、光の渦がガルヴァを襲った。
咆哮するガルヴァの足元から、槍のように影が突き立つ。
それはガルヴァを包囲していたイレギュラーズの身体を傷つけたが――ゼフィラの足元に魔陣が開く。
降り注ぐ陽光――森羅万象の息吹がイレギュラーズを癒す。
「では、これで終わりか」
愛無が踵を返す。
その背の向こうで巨大な黒い塊――愛無の尾が満身創痍のガルヴァをひとのみし、咀嚼嚥下した。
●
「さて、後がないようだが?」
アースラへ切っ先を向けた汰磨羈が口角を上げる。
「これは見事!」
アースラが嗤う。
「退いてくださいです! ここの優劣は目に見えているですよ」
癒やしの術式を紡ぎ、メイがアースラへ呼びかけた。
「なぜ退くものか。ここぞ死地、これぞ死線。切り抜けてこそ我が武名も轟こう!」
残念だが戦い続けるほかにないらしい。
出来れば戦意喪失を狙いたいが、どうだろう。
「では獣王の配下、その武勇の程を拝ませて貰うぞ。全力を以ってな!」
汰磨羈が踏み込む。
斬撃をいなし、その軸足を斬る。
僅かによろめいたアースラが再び縦横無尽に刃を振るう。
いなした汰磨羈は、再び踏み込みと同時に、その腕を斬り上げた。
肩に傷が走り、アースラの放つ次の斬撃は空を斬る。
「そもそも、なぜ混沌世界を知っている?」
「魔王イルドゼギア様のはからいよ!」
「ではなぜ、この世界を滅ぼすのか」
「それが定めであるからだ!」
「――なるほど」
愛無が尾を叩き付ける。
相手は愚直な武人なのだろう。
どうやらこれも、食って良い手合いらしい。
逃げられても厄介だ、ならばここで仕留めきる他にない。
「さて、もはや数の差は逆転しました」
寛治がアースラへ銃口を向ける。
「違いない! だが戦はここからよ!」
「まさかこの状況が、将としての敗北ではないと?」
「なぜこれをもって負けとする」
どうにも理屈の通じない相手だ。
十三人に包囲されながら、臆する様子もない。
「なんか力こそパワーって感じですね、この獅子面」
「っスね」
「結構、では武人としての敗北を差し上げます」
「ならばこのアースラに、勝ってからほざいてみせろ!」
アースラが答えるや否や、寛治の銃口が立て続けに二度火を吹く。
それは弾丸を斬り落とさんとするアースラの六振りをくぐり抜け、両肩を穿ち貫いた。
疾く、撃つ。
ただそれだけを、どこまでも正確無比に。
衝撃に呻くアースラの巨体が傾ぎ、膝を付く。
アースラは反撃出来ない。
これから立ち上がり、姿勢を整えながら剣を構える。次に振り上げる。
寛治が作ったのは、アースラの幾度かの予備動作――それが僅か十秒間の絶対的な隙を産む。
「まだだ、まだ終わらん!」
「合わせる!」
「お願いします」
アースラは叫ぶが、シフォリィとアルテナの連撃が襲った。
氷炎の爆風がアースラを飲み込む。
立て続けの猛攻は容赦なく。
「セララ! 行きますわよ、セイクリッドクロスハートですわ!」
「うん! 任せてよ!」
ディアナが剣を構え、ダイヤのビットから放たれた熱線がアースラの腕を焼き切った。
「ギガセララ! ブレイク!」
懐に飛び込んだセララが聖剣を振り抜き、アースラの巨体を駆ける。
「人風情が、よもやこれほど鍛え抜くか、惜しい、実に惜しい!」
瘴気が飛び散り大地を焼き、アースラは悲鳴ならざる雄叫びをあげた。
「だが勝者は、このアースラよ!」
鬼気迫る声音で、五本になった腕の剣を縦横に振るが――
「これならどう?」
「では、終わらせよう」
オデットと汰磨羈が続き――
陽光が満ちあふれ、突進するアースラの身体を焼いた。
そして汰磨羈が肉薄、肩の根元に鋭い突きを放つ。
続けて斬撃、アースラの腕の二本を寸断――さらに返す刃で胴をなぎ払う。
甲冑を両断した刃の軌跡に、胸を深く斬り裂き瘴気が溢れた。
だが瘴気すら焼くほどの炎が舞い散る。
「……グッ」
灼熱の炎の中で、アースラの口から多量の瘴気がこぼれる。
アースラは燃えさかる炎の中で二歩だけ歩き、そのまま前のめりに倒れた。
「――見事、栄えある戦いであった」
そして爆炎に包まれ、燃え尽きる。
「敵将、アースラ撃破!」
戦場に喝采が上がる。
そしてイレギュラーズ一行を加えたアラウダ軍団は、瞬く間の内に敵の残存戦力を撃破した。
●
その後、かれこれ四時間ほどたったろうか。
町へ引き返すアラウダ軍団に同行した一行は、酒場でフレイス達を囲んでいた。
「このたびは大変な労をかけた。窮地を救われたのはそなたらのお陰よ」
一行へ丁寧に腰を折ったのは、イミルの代表フレイス姫であった。
表情は柔らかく、かつて幻想で対峙した時とは全く違う雰囲気だと感じる。
「フレイスさんやアラウダ軍団の皆も大丈夫?」
「ああ、問題ない」
戦である以上、いくらかの死者はいる。
ヨゾラはアラウダ軍団の面々を心配していた。
だが古代人達は戦勝の喜びを全身で感じているようだった。
おそらく現代よりも『死が近い』のだろう。
彼等にとっては、きっと当たり前にすぎるのだ。
ヨゾラは胸を痛めつつも、彼等の満面の笑顔に、どこか少しだけほっとする。
「得物はどうやら、この世界のものらしい」
「マキナ氏、終焉獣の差分はどうでスか?」
愛無の見立てでは、アースラ達の武装はこの世界のものだった。
一方で、美咲がマキナに依頼したのは、混沌とプーレルジールの終焉獣の『差分』だ。
だがマキナからの答えは「同じとしか思えない」というものだった。
「魔王っていつ頃から現れたのです?」
思い切って尋ねてみたのはメイである。
現地のことは、確かに現地民に聞くのが一番早い。
「詳しいことは我々にもわからんのだ。だが我々と対峙してからさほど時間はたっていない」
答えたのはマクシムスという十人長の男だった。
「この世界の成り立ち……例えば昔話とか伝説とか、残ってないです?」
「私もこの世界の歴史には興味があるね、フフ」
膝上の猫を撫でながら述べたメイに、続けたのはゼフィラだった。
仕事ではあるが、学者である以上は個人的な興味は更に勝るゼフィラである。
「歴史か。それは……」
マクシムス達が述べた歴史は、おおよそ古代幻想に近しいものだった。
世界の成り立ちについては民間伝承というか、かなり胡乱げなもので、イミルとクラウディウスでも微妙に異なっている。だが両者はそれについて争うような素振りはなく、単に「一族に伝わる昔話」「子供の頃に聞かされるような話」程度の認識をしているようだ。
だから具体的な仕組みのような、学術的な捉え方はされていないらしい。
「それでは皆様、こうした時に杯を掲げるやり方はご存じでしょうか?」
寛治が何やら注目を集め始めた。
乾杯の音頭だ。どうもこの時代ではより儀式めいているようだが、古代人達はラフなやり方に興味津々の様子を見せている。ともかく相手の懐に潜り込み、情報を集めたい。
実のところ、寛治は先日の一件の後にマクシムスと個人的な交友関係を結んでいた。
要は一杯付き合ったのである。
そんなこんなで、古代人達は寛治の音頭で勝利を祝い、そして死者のために杯を掲げた。
この酒席でまず知りたいことはいくつかある。
例えば諸氏族は氏族間に敵対や問題を抱えた呉越同舟なのか、友好的連合なのかだ。
あとは時系列などである。
観察し、聞き出した限りには、どうもかつてはある程度の対立関係にあったのは確からしい。
だが魔王軍と対峙する中で、初めはぎこちなかった両者も、今では打ち解けているようだ。
イミルとクラウディウスも、せいぜいが気持ちの良いライバル関係のような空気感だ。
なんなら向こうで肩を組んで歌っている有り様だった。
史実とはあまりに温度感が違っていることは明白だと思える。
アイオンが氏族の間を取り持とうとしたという史実が、全くないにも関わらず。
それにメイとゼフィラはクラウディウスの歴史を尋ねたが、どうにもおかしな点がある。
一人『居ない』のだ。
――ユリウス・マクシミリアヌス・クラウディウスという男が、どこにも登場しない。
さらには現在の長は、かなり好人物だということだった。
「では、私とそっくりでもっと髪の長い女性を知りませんか?」
古代人達が各々首を傾げる。
「フィナリィって言うんですが」
おそらくは、この世界にも居るはずなのだ。
史実ではこの時代、幻想に居たのだが。
けれどアイオンが勇者でないならば、果たしてどこに居るのだろうか。
ちょうどそんな頃、オデットが『隣人』との交友を深めていると、オディールが散歩から戻ってきた。
身体をすり寄せるオディールを撫で、分かったことを仲間達と共有する。
地形や自然は、やはり古代幻想と酷似している。
「……浮島があるのね」
どうもアーカーシュとは別の浮島があるらしい。
古代のさらに超古代に存在したアガルティア帝国の遺跡という認識をされているようだ。
「つまり浮き島が『伝説の島』ではない?」
混沌での浮き島は、おとぎ話のような扱いだった。
だがこの世界ではどうやら『そうではない』らしい。
そんな中でアルテナが眉をひそめ、シフォリィと目配せしあった。
――なぜ『居ない』のか。
この世界に『ユリウス・マクシミリアヌス・クラウディウス』という男は。
その一人だけ、なぜだか不思議と、影も形も存在しないのである。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
手厚いなあ……。被害も少ないです。強い。
MVPはとんでもない火力の上、ちょっと面白い情報を釣り上げた方へ。
今回、色々な情報が出たので整理します。
・アーカーシュのような浮島は超古代の遺跡ではあるが、おとぎ話のような扱いではない。
・この時代にはかなり落下しているはずの浮き島が、『なぜかけっこう現存』していそう。
・イミル氏族とクラウディウス氏族は、『どう見てもかなり仲良し』。
・諸氏族が友好的に結ばれたのは、おそらく混沌の史実より『早い』と思われる。
・ユリウス・マクシミリアヌス・クラウディウスという男が『なぜか存在しない』。
・幻想に居るはずのフィナリィが見当たらない。
・混沌とプーレルジールの終焉獣の差異を調査したが『発見できなかった』。
それではまた皆さんとのご縁を願って。pipiでした。
GMコメント
pipiです。
いっちょやってやりましょう。
ええ感じのタイミングで加勢出来たので、そのまま魔王軍をぶん殴ってやるのです。
●目的
魔王軍を退ける。
出来ればこの世界の情報がもっと知りたい。
●フィールド
異世界プーレルジール。
プリエの回廊(ギャルリ・ド・プリエ)にほど近い、平原です。
光源、足場には特に問題ありません。
反面、身を隠す場所はなさそうです。
皆さんの背後に小さな町があり、防御を固めているようです。
敵部隊を撃退しきれなかった場合、損害が発生するでしょう。
また、戦場では既に友軍の軍団が交戦に入っています。
精強な部隊であり、雑魚であれば問題なく撃破出来るようです。
しかし敵将が強いようで、明らかに押されています。
問題となっているのは敵将アースラと、強力な終焉獣ガルヴァ=ゴーヴが共闘している場所です。
イレギュラーズはここを叩きたいものです。
●敵
魔王軍の部隊です。
四天王『獣王』ル=アディンの配下を名乗っています。
『黒獅将』ア=アースラ×1
二足歩行した鎧姿の黒いライオンに、コウモリの翼がついたような姿をしています。
腕が六本あり、六本の蛮刀を持っています。
おそらく乱戦向きの至近物理ファイターです。
『終焉獣』ガルヴァ=ゴーヴ×1
瘴気を放つ影のような、四つ足の獣です。
体長は五メートルほど。
滅びのアークの塊のような存在です。
おそらく俊敏であり、物理攻撃と神秘攻撃を行うでしょう。
『終焉獣』×12
体長は二メートルほど。
ガルヴァ=ゴーヴを小さくしたような存在です。
『他』魔獣や終焉獣×多数
友軍の『アラウダ軍団』に任せてしまいましょう。
●友軍
『アラウダ軍団』×多数
槍と丸盾と剣などで武装した一団です。
背後には魔術師がおり、攻防を兼ね備えたバランスのよい部隊です。
しかし敵将には太刀打ち出来ません。
『イミルの長』フレイス・ミーミル(p3n000223)
大鎌で戦います。底力+復讐系の両面ファイターです。
そこそこちゃんと強いです。
皆さんには感謝の意を持っており、作戦があれば積極的に協力してくれます。
『十人長』マクシムス
アラウダ軍団の兵士の一人です。
皆さんには友好的に接します。
●同行NPC
・ケイト
この世界の案内してくれる、ゼロ・クールという魔法人形です。
ロリィタファッションの人形のような雰囲気です。
なぜか戦えます。
・アルテナ・フォルテ(p3n000007)
両面型の前衛スピードファイターです。闘技ステよりは強いです。
・普久原・ほむら(p3n000159)
一応、皆さんと同じローレットのイレギュラーズ。
両面型の中衛アタックヒーラー。闘技ステよりは強いです。
・ディアナ・K・リリエンルージュ(p3n000238)
練達の依頼筋であり、普通に味方です。
両面型のオールレンジファイターです。けっこう戦えます。
・マキナ・マーデリック
練達復興公社(00機関)の人員です。
美咲さんの関係者で、説明担当です。
自分の身を守れる程度の戦闘力です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
実際のところ安全ですが、情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
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