PandoraPartyProject

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最後のプーロ・デセオ Ⅲ

 願いが叶っていく。
 願いが潰えていく。
 思いが胸を走り。
 呼吸となって、口から漏れ出ていく。
 誰かに恋をした者が居た。
 誰かの願いを叶えたかった者が居た。
 幸せをただ希求した者がいた。
 その全てが願いを賭けて戦い、
 そのすべてが、願いの下に散っていく。
 フェデリアの空が、星々の光で照らされていく。
 日常が取り戻されていく。
 竜宮で、
 フェデリアで、
 天浮の里で、
 願いと願いはぶつかり合い、そして衝突して、片方が消えた。
 どちらが正しかったとか、尊かったとか、そういうことを決めるのは、きっと無意味だ。
 僕らの願いは成就した。
 ただそれだけがある。
 世界は残酷で、優しい。
 ただそれだけがある。

「被害状況は」
 フェデリア、総督府。司令部には、待機中の海洋軍人の一人がそう言った。
「どうなっているんですか。誰の願いが潰えて、誰の願いが――」
 叶った、のか。
「報告する――」
 声が響く。大作戦艦隊から届く、魔術通信によるボイス。
「こちらはフェルディン。フェルディン・T・レオンハート」
 フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)の声だった。
「天浮の里での作戦は成功。魔種リモーネの討伐に成功!」
 おお、と、作戦司令部内に歓声が響き渡る。
「こちら、竜宮のアルテミアです!」
 アルテミア・フィルティス(p3p001981)の声が響く。
「豊穣の双子巫女…… つづりさんの救出に成功しました! 竜宮には結界が張られ、被害はありません!」
 それを皮切りにしたように、戦勝報告が相次いで入電してくる。
「あー……ファニーだ」
 ファニー(p3p010255)が、ややめんどくさそうに告げる。
「ダガヌチの巫女……いや、ミレイアは眠りについた、もう起きることはない。
 こんな感じか? オレはこういうのは苦手なんだ」
「ゴリョウ・クートンだ!」
 ゴリョウ・クートン(p3p002081)が続く。
「こちらはダガン=ダガヌの討伐に成功だ! マールの嬢ちゃんの記憶も戻った! 大勝利って奴だ!
 ……ああ、わかったから! マールの嬢ちゃん、抱き着くなって! いや、笑うのか泣くのかどっちかに……あと鼻水をふけって!!」
 続く。続く。願いの結果。
 戦勝報告という形で知らされた、願いの成就。
 ただ。
 一つだけ、違う形で叶った願いもある。
「ルーキス・ファウンです。深覗・阿真の討伐作戦についての報告が」
 ルーキス・ファウン(p3p008870)がそういう。
「……本作戦は失敗に終わりました。加えて、さんの反転が確認されています」
 その報告に、指令室内にどよめきが走った。作戦の失敗。そしてイレギュラーズの反転。それは、全体作戦において、一つの戦場の出来事ではあったが、しかし撃ち込まれたくさびは大きく思える……。
「いえ……ご報告ありがとうございます」
 海洋軍人がそう言った。
「ですが、作戦全体としての成功は間違いないものです。お疲れさまでした、ローレット・イレギュラーズの皆さん。
 どうか、ご帰還を」
 その言葉への応答と共に、通信はおわった。
「いずれにしても」
 海洋軍の部下が言う。
「我々の『願い』はかなったのですね」
「ああ」
 海洋軍人が頷いた。
我々の勝利だ!」
 高らかな宣言。そして歓声。指令室が、瞬く間に喜びの声に包まれた。それは外の軍人たちに届いて、やがて町中に届く。
 シレンツィオの街の中が、願いの成就に喜び、地上に花火が咲いたように、あちこちで光と喜びの声が満ちていく。
 シレンツィオリゾートに、再びの賑やかさと、笑顔が戻る。
 誰かが、そう望んだ願い。
 その成就の果てに――シレンツィオは、再び華やかに、花開くのだ――。

※最後のプーロ・デセオ事件が解決しました! イレギュラーズの勝利です!

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