PandoraPartyProject

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竜宮の寵愛

 竜宮、その外れには、死した竜宮の民たちを弔う場所、『遠野儀寺』が存在する。
 乙姫であるメーア・ディーネー(p3n000282)へと呼び出されたイレギュラーズは、その豊穣様式の寺院へと足を踏み入れいていた。
「急な呼び出しに応じてくださって、ありがとうございます、イレギュラーズさん」
 そう言ってほほ笑むメーアは、竜宮の町中とは打って変わって静かなこの場所に咲く、一輪の華のようだった。相変わらず、さりげなく腕をとってくるあたり、距離感はバグっている。
「今日は、イレギュラーズにも有益なお願いがあるんです。
 その前に、此処の管理者の方にお願いをしないといけませんから、どうか付き合ってください」
 特に断る理由もあるまい。イレギュラーズが頷くと、メーアは「ありがとうございます!」とにこやかに笑った。
「こちらです。境内に。お話は通してありますから」
 そういうメーアに連れられて、『遠野儀寺』の境内へと入る。寺院らしい、厳かな雰囲気は、竜宮でありながら、というと失礼か、確かに存在している。そのまま本堂に向かうと、
「アリカさん、アリカさ~ん」
 そう声をあげるメーア。やがてほどなくして、僧服のような格好の、海種の女性が現れた。
「まぁ、メーア様。ご足労ありがとうございます。
 此方の方は……噂のイレギュラーズ様ですね」
 女性は笑う。メーアが彼女の紹介をしてくれた。
アリカ・トオノギさんです。
 この『遠野儀寺』で、亡くなった方の弔いや、街の皆さんの相談役をなさってくださっています」
「アリカと申します」
 アリカはゆっくりと頭を下げた。つられて深く一礼してしまう。
「こちらへ。応接間にどうぞ。と言っても、洋風の椅子やソファなどはありませんが。正座は大丈夫ですか?」
 一応大丈夫、と答えると、アリカは微笑んで、「ようございました。此方へ」と、中へと案内してくれる。
 本堂に覗く人魚のような神像は、竜宮のまつる神や精霊の類だろうか。ひとまずそんなことを想いながら進むと、来客用の畳の間が現れる。ふわっとした座布団に座ることを促されると、僧服を着たぺんてんがやってきて、お茶をくんでくれた。
「それで、此度はどのような――」
「はい。実は、ローレットの皆さんに、乙姫の加護を授けたいのです」
 メーアが言う。
「ダガヌ海域を始めとする竜宮近辺では、わたしの力は多く届いています。お姉ちゃ――マールが触媒になってくださいますから、イレギュラーズの皆さんにも、今は加護が強く働いています。
 ですが、ここから離れてしまえば、わたしの加護は当然、働かないものとなってしまいます。
 そこで、はなれても、わたしの加護が力を及ぼせるように、精霊の力を借りて、精霊イルカを召喚し、ローレットの皆さんにプレゼントをしたいのです。
 もちろん、竜宮近辺ほど、強い加護が得られるわけではありません。ただ、精霊イルカの力を借りれば『水中行動』ができるようになると思います。
 その儀式を行う場として、遠野儀の地をお借りしたいのです」
「なるほど。ですが、儀を行うなら、聖域――城の方が適切ではないでしょうか?」
 そういうアリカに、メーアは頷いた。
「本来ならば、ですが……ですが、先日の攻撃や、『玉匣』の修復に力と時間をとられてしまい、城の方はなかなか、人をお迎えできるような状況ではないのです。
 遠野儀の地ならば、城と同じくらいの聖性があります。精霊も多くとどまってくれていますから……」
「うってつけ、ですね」
「はい。場所をお貸しいただけると、とても助かる(たスカル)んです。骨だけに」
 いきなりメーアは何を言い出したのか、と目を丸くすると、アリカはくすくすと笑いだした。
「やりますね。これでは私も助ける(たスケル)必要が出てきますね。スケルトンだけに。ふふ」
 上機嫌にくすくすと笑うアリカ。上品な女性だがどうもこういうノリも持っているらしい。
「では、儀式の準備をいたしましょう。
 さほど時間はかかりません。
 イレギュラーズ様。寺の鐘がボーン、となるころに、またおいでください」
 骨だけに? と尋ねると、アリカは「ふふ」と笑った。何か親近感を持たれたらしい。
 いずれにしても、『乙姫の加護』を得るための儀式は行えそうだ。
 合図があったら、再びアリカの元を訪れるとよいだろう――。

※『遠野儀寺』でクエストが発生しました。
 →乙姫の加護を得るため、儀式に挑みましょう!

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