PandoraPartyProject

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潮騒のヴェンタータ

「――これより、サマーフェスティバルの開催を宣言する。おおいに楽しみ、狩るが良い」
 海洋王国の女王イザベラ・パニ・アイス(p3n000046)の宣言と共に、青い空に鳩の群れが放たれた。
 螺旋を描いて飛んでいくはばたきと、楽団による演奏が重なる。
 ここはシレンツィオリゾート一番街、記念公園。
 並べられた椅子にはネオフロンティア海洋王国、ゼシュテル鉄帝国、ラサ傭商連合、豊穣郷カムイグラからそれぞれの代表者が出席し、彼らの並びが皆台頭であることを示していた。
 ややあって、貴族派筆頭であるソルベ・ジェラート・コンテュール(p3n000075)が壇上へとあがる。
「ここに集まる海洋海軍、鉄帝海軍、そしてローレットのイレギュラーズの皆様には未だ記憶に新しいことでしょう。
 この海で我々はかつて、リヴァイアサンという絶大なる竜と戦い、アルバニアという強大すぎる冠位魔種と戦い――そして勝利しました」
 未来をつかみ取ったかのように掲げた拳を、ソルベは皆に見せつける。
「この海は『静寂の青(セレニティブルー)』へと変わり、絶海を越えた先で豊穣郷カムイグラとの友誼を結ぶこともできました。我々の結びは大きなうねりとなり、商才豊かなラサ傭商連合の協力もありながら今ここ――世界最高の島シレンツィオ・リゾートができあがったのです。
 深緑は茨からの解放をとげ、鉄帝国の空では激しい戦いが起こっています。
 ですがそんな中で――この富は、この空は、この無限の海は私達が手を取り合ったからこそ勝ち取ったもの。今こそ、盛大に祝おうではありませんか」

 開会されたサマーフェスティバル。
 その中でも特に話題性をひいたのが『竜宮弊(ドラグチップ)キャンペーン』である。
「聞いたか? ローレットがダカヌに散らばった特別なチップを集めてまわるんだと」
「それを四つの国に投票して優勝する国を決めるんだろ? 今更そんなレース、なぜやるんだ?」
「決まってんだろ。楽しいからさ!」
 各国代表は我が国が優勝したら〇〇をしますとマニフェストを掲げたが、それは水着コンテストの如き愉快なマニフェストであった。
 豊穣は自分達が優勝すれば瑞の像を建てるといい、海洋はソルベの卵殻を見せてくれるといい、既に大使の役割を果たせているラサはオシャレな大使館を新たに建造し、実効的な自治ができている鉄帝はリトル・ゼシュテルに表だった自治権を持たせるという。どれも今更で、なんなら優勝しなくても実現しそうなものばかりだ。
 というのも……ローレットといういわば世界共有の財産をいずれかの国が独占するようなことがあってはならないこと。そしてこのシレンツィオリゾートという世界最高峰の富を生む島で急に一国だけが得をするようなルールを作れば協力関係が壊れどの国も損をするということ。そうした事情から、彼らは対等な関係を保ちながらこのゲームを楽しもうとしたのだ。
 これはゲームであり、イベントであり、行楽なのである。

「一緒に行こっ! 今なら妹――乙姫のメーアが皆に加護をわけてくれるって!」
「水着にきがえるだけで強くなれるとは……不思議な海なのだ」
 マールが手を引き、キャピテーヌは船へと乗り込んでいく。
 さあ、水着にきがえて海へ出かけよう!
 チップ探しの大冒険が始まるのだ!

 ※竜宮弊を集める一大イベントが始まりました!

これまでの覇竜編深緑編シレンツィオ編

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