PandoraPartyProject
罅割れた天蓋
探求都市国家アデプト――通称『練達』は小島に形成されたセフィロトがほぼ大部分を占める国家である。
イレギュラーズ達が防衛したセフィロトドームはこの国の主たる部位であった。
小さな密度に飛来した七匹の竜種。
『怪竜』ジャバーウォック
『蒼穹なる』メテオスラーク
『薄明竜』クワルバルツ
『白翼竜』フェザークレス
『金嶺竜』アウラスカルト
『霊喰晶竜』クリスタラード
『地竜』ザビアボロス。
其れ等に即時応戦できたのは国土の小ささが由縁であった。だが、同時に計り知れない被害が齎されることも想像に容易い。
ジャバーウォックが襲来した主要都市部。その地下に存在するシェルターにて先に亜竜による襲撃を食い止めた三塔主は集結していた。
「……戦況は」
声を潜めたのは『探求』の塔主、カスパール・グシュナサフ。
男の声にモニターを見詰めていた『実践』の塔主、佐伯 操の表情が曇る。
「展開致しましょう。カスパール」
「我らが何時までも恋い焦がれた『jabberwocky(無意味な言葉を話す者)』はどうやら何かの使いっ走りだったようだね。
さて……戦況報告が届いているようだ。我らが都市国家は度のような姿になったか。設置したカメラもドローンも潰されて此処からでは余り理解出来ないではないか!」
困ったモノだと肩を竦める『想像』の塔主、Dr.マッドハッターに操は「上に上がって見てくるか」と問いかけた。
軽やかに笑ったマッドハッターは「何にせよ、特異運命座標(我らがアリス)が生還してくれれば良いのだよ」と囁いた。
命懸け。正しくその言葉が似合う戦いであった。
上位存在と呼ばれた竜種。それが七体も飛来したのだ。あの荒波で特異運命座標が封じた滅海竜には劣る者の人類の脅威である事には変わりない。
「此度の騒動に巻込んだのは我々です。先ずは生存の確認を。その後は都市部の被害確認をして頂けますか」
リソースを割かぬように、静かに場を見守っていたクラリス=セフィロトマザーはふと、気付いたようにカスパールに声を掛ける。
「兄は……」
――クラリスchang、心配してくれたワケ!?――
「……いいえ。戦況を報告して頂けますか」
軽やかな話し口調で割って入ったクリスト=Hades-EXは黙りこくり、無言の儘でモニターを切り替える。
そして映し出された映像は――
※<Jabberwock>:竜種との全ての戦いが終結したようです――!
これまでの覇竜|アドラステイア
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