PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Jabberwock>金嶺竜アウラスカルト

冒険中

参加者 : 10 人

冒険中です。結果をお待ちください。

オープニング


 小さな影を、スマートフォンのカメラが捉える。
 逆光の画面を斜めに横切るフレアとゴーストの向こう側――
 天を羽ばたくコウモリのようなシルエットは、冗談のように巨大だった。

 影は――ドラゴンは雑居ビルに悠々と舞い降りた。
 突風が吹き抜け、数名の人々が揺れる街路樹にしがみつく。
 分厚いコンクリート壁に背を当て、呼吸を荒げる男の唇が戦慄く。身を預けたはずの壁は小さく軋み、ひび割れ、男は命からがらに飛び退く。『竜が降り立つ』という、ただそれだけの衝撃に一棟のビルが倒壊した。車のクラクションが乱打され、走る人々の悲鳴と共に鼓膜を殴りつけてくる。
 竜の口が陽炎のように揺らめき、輝き始める。純白の光が舐めとるように地を駆け、瞬間――アスファルトが真っ赤に泡立った。飛び散った光の飛沫を浴びた街灯は、飴細工のようにひしゃげて焼け落ちる。
 電磁浮遊スケートボードを滑らせ、一心不乱に逃げていた利発そうな少年は、もうどこにもいない。真っ二つに引き裂かれた車から転げ落ちた中年男性は、直後の爆発に巻き込まれて消えてしまった。
 細い光のドラゴンブレスを逆袈裟に浴びたビルの窓硝子が一斉に砕け、そのままずるりと滑り落ちる。下に何があったのかなど、もはや想像もしたくない有り様だ。
 ――それは正に地獄絵図であった。

 高度な文明を謳歌する未来都市――セフィロトの一角が蹂躙されている。
 ただ圧倒的な物理的暴力を浴びせ続けられている。
 無論、この完全なる理想都市は、そんな暴虐を許しはしない。
 街中にアラートが鳴り響き、無数のドローンが蜂の群れのように舞い上がった。
 光学迷彩を起動した忍者隊がブレードを抜き放ち高周波切断モードに切り替える。魔法少女隊が一斉に飛び立ち――Yes my lord!――構えたインテリジェントロッドが魔方陣を花開く。
 空を無数の光の陣が覆い尽くし、光線が一斉に竜を撃つ。
 民間軍事会社の傭兵達がありったけのランチャーを放ち――

 果敢な抵抗であった。
 けれど無力で、ひどく儚く、まるで空虚な抵抗であった。
 爆炎の中で輝いた一条のドラゴンブレスが、努力の全てを灰燼に変えてしまう。

 敵は大物(ドラゴン)だけではない。数匹の亜竜がこの都市の防衛機構と交戦を開始していた。
 それだけではない。宙に揺れる拡張現実モニター達に映し出された無情な情報の数々は、惨劇の発生がこの区画だけではないことを明示している。

 駐車止めの金属ポールにしがみつく幼い少女は、きっともう立ち上がる力を失っている。
 恐怖に足が竦みきってしまっていた。
「もう大丈夫。ボク達が居るんだもの。だよね?」
「え、ええまあ、はい」
「希望の光を今ここに!」
 ――カード『セラフィム』インストール。
「ちょっとお願い」
「え――はい!」
 少女の煤けた頬から涙を拭い、セララ(p3p000273)は飛来する瓦礫を剣で切り裂き、その背に守られた普久原・ほむら(p3n000159)が少女をおぶって走る。
 セララもまたもう一人の少女を抱きかかえて飛び立った。
 焼け落ちながら降り注ぐドローンの群れを避け、ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が駆けた。直後、両腕の中に重い衝撃があり、ベネディクトは防衛隊員の一人を無事に受け止めることが出来たことを知る。視線は油断なく竜に向けたまま、抱きとめた命を救助隊へと引き渡し――
「これは、うん。あれだね! ドラゴンの襲来。会長には分かるよ」
「……そのようだ」
 法衣をなびかせ、楊枝 茄子子(p3p008356)はしたり顔で頷き、背を合わせたベネディクトが同意する。
 茄子子は重傷者に治癒の術式を施した。紡がれた福音は仮初の夢とて、今ここに必要とする人々がいるのは紛れもない事実である。

 どうすべきか。
 今この場に戦えるものが何人居るのか。
 現場で顔を合わせたイレギュラーズは即座に対応策を講じ始めた。

 突然の襲撃ではあったが、彼等がここに居合わせたのは偶然ではない。
 逃げ惑う人々は『いつ来るか分からない災害』より経済活動――今を生きることを優先していただけだ。
 ともあれセフィロトでは以前より、一体の竜種に着目していた。
 覇竜領域デザストルに近いという立地もあるが、それだけならただのはぐれ竜一匹かもしれず、しかし観測を続けたのには理由がある。竜種『Jabberwock』は冠位魔種らしき気配を伴っていたからだ。
 魔種と行動を共にする可能性が強く疑われたということ。
 観測情報は、練達に発生した一連の騒動中に見失い――今につながる。
 敵は何らかの意図を持って攻め込んできている。意図は――魔種につながるのであれば明白だが――この国を滅ぼし、世界を破滅させる足がかりとすることに違いない。

「ほばっ!? ……マジですか。いや無理ですって流石に、それは正気じゃない。いやいや」
 通信端末を片手に眉をひそめたほむらへ、一行はちらりと視線を送る。
「どうしたの?」
 通話を終えたほむらに、セララは問うた。
「国からオーダーです。あれの討伐か捕縛」
 意味を理解したベネディクトの眉が微かに跳ねた。

 竜は強い。
 その爪や顎は超硬セラミックをバターのように切り裂き、炎の一吹きは耐熱ガラスさえマグマのように溶かし、鱗は霊銀装甲(ミスリルアーマー)のように硬い。
 規格外のフィジカルによる圧倒的暴力だけでも、災厄にも等しい存在だが。
「識別名『金嶺竜』アウラスカルト。得意とするのは古竜語魔術(ドラゴン・ロア)だそうです」
「なるほど魔術を使うと」
 茄子子が腕を組み、うんうんと頷いた。
 竜は狡猾で知恵のある生き物だ。
 だからこの際、情報の全てを引きずり出したいというのが上長の判断らしい。
 この竜に関する――ではなく、背景を含んだ全てである。
「あの竜しゃべるのかな?」
「でしょうね」
 はっきり言ってオーダーはイカれている。
 まともな判断であれば追い返すことをこそ目標にすべきかもしれないが、それでも難度は揺るぐまい。

 状況は困難を極める。
 眼前で亜竜の群れと交戦を始めた防衛戦力の勝機はあるのか。
 そもそもアウラスカルトなる竜を倒すことが出来るのか。
 練達頼みの綱である携帯端末――マザーの演算には、いずれも計測不能の表示だけが流れていた。
 討伐か捕縛かはともかく、追い払うだけの戦闘が出来るかすら怪しいものだ。
 この都市における全ての技術を操作するマザーの力は、IDEAプロジェクトの騒動で多くが失われている。平たく言えば故障の修復中なのだ。兄に相当する機体であるクリストが頼りだが、マザー(クラリス)に最適化されたシステムを操るのでは、練度が低いのは当然のことだろう。
 一行は限られた情報と状況の中で戦うことになる。
 ただひとつ、縋るにも及ばない糸のような希望があるのだとすれば――
 あの竜が若く小型であるということだけだ。

「今できる全てを、成し遂げるしかないだろう」
 そう結んだベネディクトの視線は鋭い決意に満ちていた。

GMコメント

 pipiです。
 敵はぴかぴか鱗のゴールドドラゴン。
 マジもんの竜種です。

●目標
・『金嶺竜』アウラスカルトの捕縛、または討伐。
 周辺の亜竜への対処や、市民の救助などを行っている余裕は、おそらく一切ないと思われます。

●ロケーション
 練達市街の一角です。
 瓦礫とかすごいことになっていますが、雰囲気なので無視して構いません。
 明るさも問題ないものとします。
 地形は複雑なので、飛行などの能力があれば、利用出来るかもしれません。
 周囲の建物やらは身を隠すのに適しているかもしれません。
 ただいずれにせよ、暴威の前では一時的なものに過ぎないでしょうが……。

●敵
『金嶺竜』アウラスカルト
 大きさは頭から尻尾まで20メートルほど。『若く』『小型』の竜です。
 誇り高いといえば誇り高いのですが、残虐かつ狡猾な性格です。
 人語を解し、おごり高ぶったタイプです。
 今のところ、眼前の全てを物理的暴力で踏みにじっています。
 自身は絶対的な強者であると考えており、人類のことは完全に舐めています。

 タフネスや防御能力が極めて高く、再生能力を持ちます。あと、飛びます。
 おそるべき物理的暴力、聞くだけで正気を失わせるような咆哮、超高熱の光線の他、なにやら魔術を行使するようです。
 魔術はおそらく攻撃的なものだと思われます。守るとか逃げるとかは、竜的ではないからです。今のところ、見た限りでは一度も使っている様子はありませんでした。
 この竜による一部攻撃のスマッシュヒットを受けた場合、PCは『死亡』する可能性があります。

●他の人々
『友軍』
 上のほうに出てきた人達がいます。亜竜と交戦中です。劣勢。

『市民』
 頑張って避難を試みています。危険。

『敵軍』
 亜竜がけっこう居ます。友軍と交戦中です。優勢。

『同行NPC』
・普久原・ほむら(p3n000159)
 皆さんの仲間です。
 両面型中衛バランスアタッカー。
 剣魔双撃、キルザライト、光翼乱破、天使の歌を活性化しています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●重要な備考
 これはEX及びナイトメアの連動シナリオ(排他)です。
『<Jabberwock>死のやすらぎ、抗いの道』『<Jabberwock>金嶺竜アウラスカルト』『<Jabberwock>アイソスタシー不成立』『<Jabberwock>灰銀の剣光』『<Jabberwock>クリスタラード・スピード』『<Jabberwock>蒼穹なるメテオスラーク』は同時参加は出来ません。

  • <Jabberwock>金嶺竜アウラスカルトLv:50以上冒険中
  • GM名pipi
  • 種別EX
  • 難易度VERYHARD
  • 出発日時2022年01月20日 23時59分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険中です。結果をお待ちください。

参加者一覧(10人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
砂竜すら魅了するモノ
セララ(p3p000273)
魔法騎士
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
紅炎の勇者
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ジェック・アーロン(p3p004755)
黒の猛禽
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
特異運命座標
楊枝 茄子子(p3p008356)
羽衣教会会長
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
ルーキス・ファウン(p3p008870)
忠義の剣
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護

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