PandoraPartyProject

PandoraPartyProject

原罪を穿つ

原罪を穿つ

「まだ」
 まだ。
「まだまだ」
 もっと、もっと――
「――力を、尽くせッ!」
『決死の優花』ルフラン・アントルメ(p3x006816)の立つその場所こそ運命の分水嶺。
『イノリ』との戦いはいよいよ佳境を迎えようとしていた。
「行くわよ何発でも! ホーク・アイ・シュート!」
『砲兵隊長』オルタニア(p3x008202)の砲撃は幾度目か。
「たとえ、どれだけお前が強くたって――」
「硬くなるなよ」
「……あ、ああ! 分かってる!」
 視線さえやらず短く声をくれたディルクに応え、歯を食いしばる『クリムゾン・ドラゴニア』アクセル(p3x007325)にはこの戦いに譲れないものが確かにあった。
 夢にまで見た光景だ。今、轡を並べるディルクは『彼』にとって誰より大切な人間だ。
 諦念に塗れ、凍えていた自分を冷たい闇の底から拾い上げてくれた――砂漠の太陽。
 彼の為ならば、幾重にも罠を張る決死の刹那さえ乗り越えられる――
「――こんな戦いに、冒険精神が奮わない訳がないのですよ!」
 人心地等何処にもなく、極限の緊張感に包まれる時間――それこそが『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)の望んだ『戦い』だった。
「つくづくの酔狂だなァ、おい。我ながら」
「……不可能はこの世に存在しない!
 可能性を狭めるなよお兄ちゃん! 原罪が原罪らしく動かなきゃいけない理由が有るのか?
 やべぇ力があるなら――滅ぼさずに為す未来を創ってみやがれ!」
『屋上の約束』アイ(p3x000277)は青臭く、喉も枯れよと声を張り。一方で人の悪い『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)はくつくつと笑い声を上げた。
「自分にできることはッ――これだけでありますからッ! 」
 愚直なまでに真っ直ぐに『ROO刑事ゼスティアン』ゼスト(p3x010126)のゼタシウム光線は影を貫く。
 嗚呼。これでは――もう、幾ばくかの『誤算』は否めない。
(……まさか、これ程にやるとはね)
 イレギュラーズの可能性が『侵食した』事実だけは否めない。
(クリストが思った以上に邪魔をする。いや、それ以上に彼等が粘る。
 信じられない。これがイレギュラーズだって云うなら――『向こうの僕』も苦労をするだろうよ!)
『イノリ』は時間こそが己の武器になると考えていたが、それは或る意味で正解であり、或る意味で不正解であった。
『影の城』に死屍累々と積み重ねられたデスカウントの山は普通の相手ならば心をへし折るに十分だっただろう。
 相手がローレットで無ければ『不可能状況』は動かなかったに違いない。
 だが、結論として――ネクストの為に総力を挙げて終焉と対決したイレギュラーズは各地での終焉との戦いの多数に勝利。
『イノリ』の権能を弱めると同時に、痛む身体を、激しい疲労を押して『影の城』への救援にまでも訪れたのである。
 彼等の中にはここで戦うには十分でない――力の足りない者も多数居た。
 心を一つにしたイレギュラーズは『影の城』の終焉を駆逐せんとしている。
 完全に封じる事が不可能であっても、ここに来て可能な限りの戦力を更に振り絞ったローレットはより多くの戦力を『イノリ』に届ける道を作り出した。
 圧倒的な『イノリ』は終焉の勝利を疑わず、弱き者を顧みず――結果としてその束ねた力に押し込まれているのだった。
「ありったけ、全霊の力を込めたこの拳――指先すら届かないなんて言わせはしない!」
『Error Lady』デイジー・ベル(p3x008384)の猛打が『イノリ』を目指す。
「言っただろう? 俺には出来る――出来る事がある。必ずだ」
「まだまだやれるよ……試してみる?」
『CALL No.666』CALL666(p3x010222)は己を疑わず、『希望の穿光』Λ(p3x008609)が不敵に嘯く。
「まァ、原罪サマは逃げも隠れも出来ねェようだからなァ――届け! 狐月三刀流奥義──湖月!!! 」
『狐月三刀流』キサラギ(p3x009715)の斬撃が『イノリ』を襲い、
「言っただろう? 喰ってやるって」
『最強証明問題』真読・流雨(p3x007296)が獰猛なその口に大きな三日月を刻む。
 攻め手が勢いを増し、終焉の存在感が『僅かに』揺らぐ。
「死んでもやる……っちゅうやっちゃ。
 ……あとはしっかり頼むで大将!」
『刹那(エトワール)』入江・星(p3x008000)は我が身も顧みず、レオンに託し。
(……レオンさん、レオンさん!)
 そのレオンは心の底から彼を案じ、今日ばかりは強く小さな胸を震わせる『憧れと望みを詰め込んで』レモン(p3x004864)の祈りに応えるかのように幾度目か『イノリ』に喰らいつく。
「ああ、『華蓮』! しっかり見てろよ、今日の俺は最高に調子がいい。きっとオマエも『うっとり』するぜ!」
「……っ、!? はい、なのだわ……!」
『イノリ』の呪ったクリスト最後の『肩入れ』は覿面であった。
 レオンの『ログアウト不可』はローレットにとっての背水ともなり、その士気は否が応なく高まっていた。
 終焉獣を抑え始めた『The End of BreakaerS』、意気軒昂なローレット。
 そしてそれだけではない。
 他方先程、『浅き夢見し』小夜(p3x006668)に『命』を救われた梅泉等も「借りを返す」の宣言通り猛烈に『イノリ』を攻め立てていた。
「成る程、これは俄然『楽しくなってきた』というものですね――」
 気の利く『紫の閃光』リセリア(p3x005056)の何とも心地の良い『アシスト』に梅泉の口元が綻ぶ。
 リセリアとしてもこの『共闘』は是非もなかろう。
「……彼は別人なのだけど、ふふ。あんなに一生懸命になられると、くすぐったいわ。悪くないわね」
「さっきの無茶! R.O.Oとは言え、R.O.Oですけど! 私は!」
 目を細める小夜に『剣を呼ぶ声』蒲公英(p3x005307)が唇を尖らせた。
 不機嫌は戦いの原動力になっているのか、彼女の周囲に終焉の残骸が積み重なっている。
「分かったよ」
『イノリ』が深い溜息を吐き出した。
 出す心算は無かった最後の手段を切る事を決めたのだ。
 小型中型の終焉獣が押し込まれるなら、役に立たないのなら。
 圧倒的な力で蹂躙すれば良い。力を束ねた程度ではどうにもならない終わりを見せてやればいい――
『イノリ』の言葉に応じるように『影の城』の獣達の半数程がドロドロと溶け出した。
 影の汚泥はより集まり――力と心を束ねたイレギュラーズを揶揄するように大きな一つの塊へと姿を変えた。
 見上げるようなそれはこれまでの敵とは『桁』が違う。
「巨大な――終焉獣……!」
『ここにいます』梨尾(p3x000561)の声が乾いて響く。

 おおおおおおお……!

 肝胆を寒からしめる咆哮を上げた獣は動き出し、戦場を再び絶望の色に染めていく――
 ――『かのように見えたのだが』。

「――さあ、俺様の好きにしな!」

『影の城』に朗々と。鮮烈に響く魔術師のその声は暴れ始めた『巨大』に光の鎖を雁字搦める。
「キールにいちゃん!」
「おう、お嬢ちゃん。俺様はアンタ達を割と気に入ってるんでな。
 ……つっても、あんまり期待すんなよ。幾ら俺様でも『この体じゃ』アレは無理だ。
 多少動きを抑えつけてやるのが精々だし――そうしてる限りこれ以上は動けねえ。アンタ達に掛かってるってこった」
『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)の声に応じたキール・エイラットがイレギュラーズを激励した。
 正真正銘、食い合う運命はお互い最後の隠し玉まで出し尽くした。
「いいだろう。この期に及べば認めよう。
 君達は僕を脅かし得る――この物語は結局、君達が勝つか、僕が勝つかという事だった」
「さあ長かったゲームに決着をつけましょう。わーーーーっはっはっは!!!」
『イノリ』に応え、『なよ竹の』かぐや(p3x008344)の呵々大笑が響き渡る。
 R.O.O――遥かなるネクストを舞台にしたこの最大の決戦は、今まさに決着の時を望み始めている!


※最終決戦が始まろうとしています!

これまでの再現性東京 / R.O.O

トピックス

PAGETOPPAGEBOTTOM