PandoraPartyProject
移ろひ見るは上弦の月
移ろひ見るは上弦の月
「あは、あははッ、あはははははッ！ あーあ、やった、やったわ！ ねえ、ねえねえねえ！ ザントマン！ 私、ついに！ ついに、ついに、ついに！ お姉様を、アルテミアを！ ああ、やっと！」
まるで幼い子供のように声音が跳ねる。『巫女姫』エルメリア・フィルティスは自身の傍らで意識を失い続ける自身の姉、アルテミア・フィルティス(p3p001981)を見下ろしてうっとりと微笑んだ。
「これはこれは。おめでとうございます、麗しの巫女姫。
遂に幾年思い続けた渇望を満たされましたな――ンッっふっふ」
エルメリアに答えるは『カラカサ』――否、膠窈（セバストス）のガイアキャンサー・ザントマンである。
御伽噺に起因した存在たる彼は自身に追い縋ってきたアレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)とルクト・ナード（p3p007354）の身柄を確保し連れ帰ったらしい。エルメリアは姉を救うべく奇跡を乞うた『元』友人のシフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の身柄を拘束している。
「オマケも沢山！ 自凝島の監獄に閉じ込めるか、それとも――そうね、この国を共に統治しないかと問うのも良いと思うわ、どう思う？」
「素晴らしきお考えでございます。巫女姫様」
恭しく頭を下げた天香・長胤は「帝の身柄も無事にございます」と猫撫で声を発する。
巫女姫の狂気にあてられている彼の在り様は常に一つであり――そして「戦況を報告しなさい」と荒れた高天御所の白香殿で巫女姫は微笑んだ。
「此岸ノ辺に関しては彼女が上手くやってくれましたぞ。ねえ？ 夜洽紬姫殿」
ザントマンの声を受け、静々と歩み出た夜洽紬姫は歓喜に濡れる声で「ええ、ええ、全ては巫女姫様が為」と頭を垂れる。
「巫女姫様にわれが心を捧げ、財も捧げ、魂を捧げ、故に支配を頂ける。巫女姫様がお望みであらば此岸ノ辺の結界を緩めることなど、造作もありませぬ」
此岸ノ辺は神使が混沌大陸――幻想や鉄帝等が存在する拠点だ――よりワープを行える場所である。其処の力を一時的にでも喪失させれば、これ以上の増援は見込めぬだろう。何せ、この場所は遠き海向こうなのだから。完全に壊滅させる事が出来た訳では無いし、『けがれの巫女』つづりを奪取できなかったのは惜しいが新道 風牙(p3p005012)を捕えた事だけは評価しようとエルメリアはそっぽを向く。
宮内卿――八咫姫は自身の最愛の人、ヴォルペ（p3p007135）を連れ戻ったそうだ。京より離れた穂木野の村での動乱ではハロルド(p3p004465)の身柄を確保したとの報告も上がっている。
御所内で大呪を楽しみにしていた焔宮 芙蓉は実子たる焔宮 鳴(p3p000246)と葵を連れ帰り、兵部省の機動部隊肆伍玖『三途川』が討滅に向かっていたと言う戦場で倒れ伏したティスル ティル(p3p006151)の身柄も確保した。更には刑部省精鋭部隊はユーリエ・シュトラール(p3p001160)と『桜の歌姫』光焔 桜を逆賊として捕縛に至ったと報告もある。
「ひぃ、ふう、みぃ……」
指折り数えた後、巫女姫はちら、と視線を落とす。長胤の傍らには苦しみ呻き、何かに抗う天香・遮那が転がっていた。
その傍らには意識を喪失した夢見 ルル家(p3p000016)が、楠 忠継に抱えられていた。ザントマンもまたちらりとだけそちらに視線を送るが、ンッふっふと気持ちの悪い含み笑いだけをして。
「それは？」
「――気にすることではございませぬ」
にっこりと微笑んだ長胤はそうと遮那の身を隠すように立った。その動きに何かに気付いたように忠継はルル家を放り投げ遮那を隠すように長胤の背後に控える。
「巫女姫様の御前に不似合いの代物でございました。お目汚しを失礼……明日、捕えた者への対処を追って行いましょう。
今宵は一先ず牢へ繋いでおきまする。さあ、本日は巫女姫様も『愛し子』殿との語らいがございましょう……我々はこれにて御前を失礼致します。忠継」
「御意」
男は、天香家に忠実であった。
そしてザントマンは気付けば夜洽紬姫と共に姿を消し、白香御所は静寂を取り戻す。
「……ねえ、天香」
急ぎ、白香殿を立ち去ろうとする長胤の背中にエルメリアが声を掛けた。
ゆっくりと、男が振り仰ぐ。下手な笑みを貼りつけた男の口元は僅かに強張った。
「如何なさいましたか、巫女姫様」
「――その子、本当に必要？」
その問い掛けに長胤は覚えがあった。この闘いが始まる前に彼女から発された言葉と同じだ。
『その子』――遮那は巫女姫にとっては目障りな存在だ。長胤が亡き後、天香を継ぐ者として担がれている以上、当主たる男にとってもそうであった筈の義弟は『天香・長胤』という男の弱点でもある。
「そう仰いますな。巫女姫様。この天香が愚弟によく言い聞かせます」
苦しみ、呻き、地を蹲った義弟の額を床に擦り付けて長胤は笑みを浮かべる。「そう」と素っ気なく。
視線を逸らしたエルメリアは捕えたばかりの姉しかその瞳に映ってはいない――いや或いは初めから姉以外など眼中にないかもしれない――
鼓動が高まる。動悸が激しく、喉が渇いて乾いて仕方がない……
そのうちに、長胤は囁いた。長い長い夜の終わりを待ち望むように、遮那にのみ聞こえる低い声音で。
「遮那――二度とはないぞ。主の安全の為じゃ……どうか――どうか、彼女のように先に逝くでは無いぞ」
連れて行け、と自身の家臣へ命じた長胤は捕えた特異運命座標の行く末を思い浮かべ溜息を吐いた。
長き夜の 遠の睡の 皆目醒め 波乗り船の 音の良きかな――
＊カムイグラでの戦いが終結を迎えました――
＊ラサ：ラサで色宝（ファルグメント）なるアイテムが発見され、ローレットの管理下に置かれています。
＊ラサに『大鴉盗賊団』の悪事が広まっているようです。
＊【速報】大鴉盗賊団が色宝（ファルグメント）を狙って動き出したようです！
＊秋イベントAutumn foodが始まります！
※シナリオ『静寂の青、外洋の空』の結果から、クエスト『アクエリア・フェデリア開拓 総督府からの知らせ』が発生しました。
※一度だけ名声を獲得出来るクエスト三年目の祝祭が発生しました。
※一度だけ悪名を獲得出来るクエスト三年目の誘いが発生しました。
※各国領土が獲得出来ます。キャラクターページの右端の『領地』ボタンより！
これまでのカムイグラ / これまでの再現性東京
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