ギルドスレッド
造花の館
緊急とはいえ、ひとたび愛している人物を殺すことを自分に許せば。
それ以降の人生で、たとえ誰に恋をし愛したところで、自分の為に殺す選択肢が自然とできてしまう………そういう人格は構成されうるだろうな。
どんな人生においても恋愛に安息を得られないことは確かだろう。
見込みはないな。
人魚姫の身投げは自らの堕落を防ぐ最後の手段とも言えるな。
それ以降の人生で、たとえ誰に恋をし愛したところで、自分の為に殺す選択肢が自然とできてしまう………そういう人格は構成されうるだろうな。
どんな人生においても恋愛に安息を得られないことは確かだろう。
見込みはないな。
人魚姫の身投げは自らの堕落を防ぐ最後の手段とも言えるな。
愛すると決めたのと同じように最初、姫は不退転の気持であったはずだ。
……勘違いから来る優位性の誤認であったとしても、過てば死ぬという事は理解していただろう。
ならば、既に死ぬ覚悟をしていて、直前でそれを翻す選択肢が出てきたところで選ぶことは出来ないだろう。
死ぬしかないから死んだ。そういう様に思うが……。
……勘違いから来る優位性の誤認であったとしても、過てば死ぬという事は理解していただろう。
ならば、既に死ぬ覚悟をしていて、直前でそれを翻す選択肢が出てきたところで選ぶことは出来ないだろう。
死ぬしかないから死んだ。そういう様に思うが……。
意見が分かれるところだな。
形はどうあれ、死に別れることは「悲しい」という見方もあるだろう。
だが、互いに清い愛を抱いたままだ。
互いに誰かを恨むような話でもなかったろう。
形はどうあれ、死に別れることは「悲しい」という見方もあるだろう。
だが、互いに清い愛を抱いたままだ。
互いに誰かを恨むような話でもなかったろう。
この話を「恋愛」という側面にのみ注視した場合。
これは悲恋でもなく、身の程知らずの恋の話でもなく。
これは「失恋」の話と見ることもできる。
恋から始まり、言葉を介さずに互いを理解し合い、愛を育む。
そして相手の意思を尊重し、相手を愛したまま身を引く。
悲しい恋の話ではなく、恋が終わる話だ。互いに一方的な愛を抱いたままな。
(マロングラッセを1つ、指先でつまんで口に放り込み、ワインで流し込んだ)
これは悲恋でもなく、身の程知らずの恋の話でもなく。
これは「失恋」の話と見ることもできる。
恋から始まり、言葉を介さずに互いを理解し合い、愛を育む。
そして相手の意思を尊重し、相手を愛したまま身を引く。
悲しい恋の話ではなく、恋が終わる話だ。互いに一方的な愛を抱いたままな。
(マロングラッセを1つ、指先でつまんで口に放り込み、ワインで流し込んだ)
ああ、うん。なるほどな。
前評判で悲恋だとか恋愛ものであるだとか、そういう話を聞いていた。
だが実際に観劇すれば確かに手段は恋愛であるが、主題は別の所にある様な感じがしていたのだ。
……何となくお前の説明で腑に落ちた。
(軽くワインで唇を湿らせ)
吾にとってはやはり、恋愛的と言うよりも道義的な話だな。人魚姫は。
前評判で悲恋だとか恋愛ものであるだとか、そういう話を聞いていた。
だが実際に観劇すれば確かに手段は恋愛であるが、主題は別の所にある様な感じがしていたのだ。
……何となくお前の説明で腑に落ちた。
(軽くワインで唇を湿らせ)
吾にとってはやはり、恋愛的と言うよりも道義的な話だな。人魚姫は。
冷たい海の底でおぼれた人間を居城につれて帰る様な人魚でいるよりも、人間になることは善い事ですよ。という話だろう。
人魚姫の価値観だってそうだ。
人間になる事が最も善い事であるように思ってなければ王子に対する愛情があっても艱難辛苦に耐えられるとは思わん。
人魚姫の価値観だってそうだ。
人間になる事が最も善い事であるように思ってなければ王子に対する愛情があっても艱難辛苦に耐えられるとは思わん。
そりゃなぁ。それを「善い」と思ってりゃそうなんだろうが。
アレ(王子)は努力によって獲得可能な「目標」じゃあないか。
帰る場所を捨て、引き返せなくなった以上は、どんな痛みに耐えてでも欲しいものは手に入れたいだろ。それだって愛情以上の忍耐を生みうるだろ。
アレ(王子)は努力によって獲得可能な「目標」じゃあないか。
帰る場所を捨て、引き返せなくなった以上は、どんな痛みに耐えてでも欲しいものは手に入れたいだろ。それだって愛情以上の忍耐を生みうるだろ。
手に入れたいもの。
ソレ(王子)を目的として動いた以上は、「手に入れなければならないもの」ではなく?
(マロングラッセを一つ摘まんでころりと口の中で転がした)
ソレ(王子)を目的として動いた以上は、「手に入れなければならないもの」ではなく?
(マロングラッセを一つ摘まんでころりと口の中で転がした)
言葉尻を捕らえるようなこと言うようになったなコイツ…
だが考えてもみろよ。
物語のラスト、寝室で眠る男と女、そこにナイフを持ち忍び寄る人魚。
男は形は違えど2人に愛を向けていて、2人は男に愛を向けている。
この構図だけ切り抜けば、人魚姫には「男を刺す」「自分が死ぬ」以外にもうひとつの選択肢があることがよく見えるはずだ。
「女を殺して男の愛を独占する」ことだ。
恋した相手を手にかけないまま、人間であり続け、傍に居続けることができる、もうひとつの可能性だ。
魔女の取り決めを守りつつ、道義を踏み倒しながら、男の愛をものにし魂を手にする。
細いながらも唯一無二のチャンスがそこにあったろう。
だが、それはなされなかったのはなぜか。
だが考えてもみろよ。
物語のラスト、寝室で眠る男と女、そこにナイフを持ち忍び寄る人魚。
男は形は違えど2人に愛を向けていて、2人は男に愛を向けている。
この構図だけ切り抜けば、人魚姫には「男を刺す」「自分が死ぬ」以外にもうひとつの選択肢があることがよく見えるはずだ。
「女を殺して男の愛を独占する」ことだ。
恋した相手を手にかけないまま、人間であり続け、傍に居続けることができる、もうひとつの可能性だ。
魔女の取り決めを守りつつ、道義を踏み倒しながら、男の愛をものにし魂を手にする。
細いながらも唯一無二のチャンスがそこにあったろう。
だが、それはなされなかったのはなぜか。
そりゃお前。
陸に上がって王子に拾われた時点で、その目標がほぼ達成されてしまったからだろ。
そうさなぁ。世間一般的な多感な年ごろの娘が、思い人との恋愛に求めることはなんだ?
楽しい時間を共に過ごす事か?互いを思いやるとか、2人だけの蜜月とか、あるいは手をつなぐとか口づけとか交合とかそのあたりかぁ?
陸に上がって王子に拾われた時点で、その目標がほぼ達成されてしまったからだろ。
そうさなぁ。世間一般的な多感な年ごろの娘が、思い人との恋愛に求めることはなんだ?
楽しい時間を共に過ごす事か?互いを思いやるとか、2人だけの蜜月とか、あるいは手をつなぐとか口づけとか交合とかそのあたりかぁ?
そらもう全部達成されちまってるじゃねえかよ。
そもそも魂求めるのも相手とそういう時間を過ごしたいからで、結婚とか魂は最終目的ではなく、目的に付随する手段だろうが。
手に入れなければならないもなにも、もう手に入ってしまってるだろ。
現状過ごしている時間そのものが目的になるのだから耐えられるわそりゃ。
そもそも魂求めるのも相手とそういう時間を過ごしたいからで、結婚とか魂は最終目的ではなく、目的に付随する手段だろうが。
手に入れなければならないもなにも、もう手に入ってしまってるだろ。
現状過ごしている時間そのものが目的になるのだから耐えられるわそりゃ。
そうなの?
(もう一つマロングラッセを口の中に入れて考える)
(二番手扱いされて満たされない日々を送っていると思っていたものだから、人魚姫は満足したという結論を出されて素直に驚いてしまった。
気持ちが伝わらないのは寂しい事だ、共に居る時間の喜びが大きい程認識の乖離は寂しいものだ。
きっと落胆の日々だろう。それでもきっと好きな人に話しかけられるのは嬉しいのだから手に負えない。
かといって、誰かを恨むには自業自得で、結局は自分で解決するしかない。
しかし、愛し愛された所で猜疑は一生ついて回る。
だからこそ、死後に望みをかけていたし、それが叶わないのなら死ぬしかないと思っていた。
女の方を殺すなんて考えは思いもつかなかった。
姫の失敗の責任の所在は全く彼女にはなかったので――)
(舌で栗を潰すともったりとした甘みとブランデーの香りが口いっぱいに広がった)
……そっかぁ。
(感想をうまく言語化出来ないまま、3つ目の栗を摘まむ)
(もう一つマロングラッセを口の中に入れて考える)
(二番手扱いされて満たされない日々を送っていると思っていたものだから、人魚姫は満足したという結論を出されて素直に驚いてしまった。
気持ちが伝わらないのは寂しい事だ、共に居る時間の喜びが大きい程認識の乖離は寂しいものだ。
きっと落胆の日々だろう。それでもきっと好きな人に話しかけられるのは嬉しいのだから手に負えない。
かといって、誰かを恨むには自業自得で、結局は自分で解決するしかない。
しかし、愛し愛された所で猜疑は一生ついて回る。
だからこそ、死後に望みをかけていたし、それが叶わないのなら死ぬしかないと思っていた。
女の方を殺すなんて考えは思いもつかなかった。
姫の失敗の責任の所在は全く彼女にはなかったので――)
(舌で栗を潰すともったりとした甘みとブランデーの香りが口いっぱいに広がった)
……そっかぁ。
(感想をうまく言語化出来ないまま、3つ目の栗を摘まむ)
実際どういう意図で書いたかまではわかりかねるがな。
だが、お前が腑に落ちた通り、この話を最初から最後まで「失恋」というテーマに焦点を絞ってみれば。勢い任せの恋愛がどういう現実をたどり、どうやってひとつの恋として終わるか、終わった後どうなるか、という話運びがきれいにできた作品だと思うぜ。
だが、お前が腑に落ちた通り、この話を最初から最後まで「失恋」というテーマに焦点を絞ってみれば。勢い任せの恋愛がどういう現実をたどり、どうやってひとつの恋として終わるか、終わった後どうなるか、という話運びがきれいにできた作品だと思うぜ。
失恋と言うテーマであるのならば、いつ人魚姫は失恋したのだと思う?
吾は、最初王子との再会の時には失恋しているものかと思っていた。
だがまぁ、お前の考えを聞くに違うものかと思い始めた。
王子の結婚を祝う踊りを踊った時か、それとも王子を殺せなかったときか、或いは別のどこかか。
お前はどう思う?
吾は、最初王子との再会の時には失恋しているものかと思っていた。
だがまぁ、お前の考えを聞くに違うものかと思い始めた。
王子の結婚を祝う踊りを踊った時か、それとも王子を殺せなかったときか、或いは別のどこかか。
お前はどう思う?
(面倒そうに眉をひそめた。
思考に費やされる沈黙を埋めるように、栗を口に含む。)
・・・知らん。
だがあのあまりに甘すぎる話を聞く限り、人魚姫はもっと早い段階で「これ以上はないな」とでも思ってたんじゃないか。少なくとも人間の欲望が底をつく瞬間はそういう時だ。
思考に費やされる沈黙を埋めるように、栗を口に含む。)
・・・知らん。
だがあのあまりに甘すぎる話を聞く限り、人魚姫はもっと早い段階で「これ以上はないな」とでも思ってたんじゃないか。少なくとも人間の欲望が底をつく瞬間はそういう時だ。
(こてん、と首を傾げた。艶やかな髪がさらさらと肩から落ちる)
欲望が底をつく瞬間をお前は失恋と言うのだな?
自分の中の虚像を求めるのが恋で、自分の中に定めた上限に達するのが失恋、というところか。
であれば、区切りなど無く再会の時からゆっくりと失恋していたという方が正しいのやもしれぬな。
欲望が底をつく瞬間をお前は失恋と言うのだな?
自分の中の虚像を求めるのが恋で、自分の中に定めた上限に達するのが失恋、というところか。
であれば、区切りなど無く再会の時からゆっくりと失恋していたという方が正しいのやもしれぬな。
いつまでもいつまでも若者みてーにイチャコラし続けるカップルも見ねえからな。
そんなもんなんじゃねーの。知らんけど。
そんなもんなんじゃねーの。知らんけど。
皮膚と心の内容は……夫婦の話だな。
妻はある日を境に体に湿疹が出るようになる。
やがで服に隠れないほど湿疹が広がってしまったので夫と共に病院に行くことになり、医者の処方で湿疹が快方に向かう。
……状況だけ並べると極めて短くなるが、主となるのは妻の心情面だな。
容姿に自信がない事からの夫への劣等感が湿疹の症状が悪化する毎に酷くなっていく。
舞台の演出も光と影を効果的に使って妻の不安感を表現していたと思う。
妻はある日を境に体に湿疹が出るようになる。
やがで服に隠れないほど湿疹が広がってしまったので夫と共に病院に行くことになり、医者の処方で湿疹が快方に向かう。
……状況だけ並べると極めて短くなるが、主となるのは妻の心情面だな。
容姿に自信がない事からの夫への劣等感が湿疹の症状が悪化する毎に酷くなっていく。
舞台の演出も光と影を効果的に使って妻の不安感を表現していたと思う。
ほとんど独白と回想みたいな内容だよなぁ。あれは。
姿を似せた役者、声を似せた読み手をそろえ、独白と回想を同時進行させる形式は面白いといえば面白いが………退屈さも否めない。
どちらかといえば…アレだ、練達に来て知った……音声作品という形式が一番似合いそうな気はするな。
姿を似せた役者、声を似せた読み手をそろえ、独白と回想を同時進行させる形式は面白いといえば面白いが………退屈さも否めない。
どちらかといえば…アレだ、練達に来て知った……音声作品という形式が一番似合いそうな気はするな。
うーむ、申し訳ないが正直内容はよくわからなかったというか……。
吾の一族は結婚という風習が無くてな。
所謂、結婚相手に相応しいとか相応しくないとか、前妻が居るとかいないとかの心情の感覚が掴み切れない。
何となく、夫の事を尊敬しているので、夫に見合う自分でないと卑下している事は分かるのだが……。
吾の一族は結婚という風習が無くてな。
所謂、結婚相手に相応しいとか相応しくないとか、前妻が居るとかいないとかの心情の感覚が掴み切れない。
何となく、夫の事を尊敬しているので、夫に見合う自分でないと卑下している事は分かるのだが……。
まあ………難しい作品であるには違いないな。
お前にも馴染む言い方に変えるなら……忠誠心や支配欲か?
例えばお前に、心の底から敬愛し、全霊を捧げるべき君主がいたとしよう。
その君主には、過去にもお前の立場に相当する部下がいたが、詳細は知らないが別れてしまった。
噂では優秀とは聞いている。あくまで噂にすぎんが。
・・・で、ある時だ。
それが実際何であるかはさておいて、お前はお前の中に「君主に相応しくない要素」を見出してしまったとする。
ものの例えとしてはこんな感じか?
お前にも馴染む言い方に変えるなら……忠誠心や支配欲か?
例えばお前に、心の底から敬愛し、全霊を捧げるべき君主がいたとしよう。
その君主には、過去にもお前の立場に相当する部下がいたが、詳細は知らないが別れてしまった。
噂では優秀とは聞いている。あくまで噂にすぎんが。
・・・で、ある時だ。
それが実際何であるかはさておいて、お前はお前の中に「君主に相応しくない要素」を見出してしまったとする。
ものの例えとしてはこんな感じか?
相応しくあろうがなかろうが、今使える道具が一番優秀だと思う……が、そういう話ではないな。
かと言って、主君の期待する様な成果が上げられなかったとか、も違う。
ううん、国語の問題としては「前の部下の方が自分よりも相応しいのではないか」という疑念に囚われた。と言うところなのだろうな。
あまり共感が出来ない話だが。
かと言って、主君の期待する様な成果が上げられなかったとか、も違う。
ううん、国語の問題としては「前の部下の方が自分よりも相応しいのではないか」という疑念に囚われた。と言うところなのだろうな。
あまり共感が出来ない話だが。
よし、通じているな。
お前の言う通り、今現在使えている道具が、その状況において最も優秀である点は間違いない。
お前の中にある「相応しくない部分」についても、その君主が…劇中では夫が、その身を案じこそすれ見限ることも失望もしなかったように、実のところ大した問題でもない。
そう。共感できないのも無理はない。
この問題はそれだけで完結してしまう。
だが、この例えにはある1つの前提が存在し、それがお前を…作中においては女を堂々巡りの袋小路に追い込む。
お前の言う通り、今現在使えている道具が、その状況において最も優秀である点は間違いない。
お前の中にある「相応しくない部分」についても、その君主が…劇中では夫が、その身を案じこそすれ見限ることも失望もしなかったように、実のところ大した問題でもない。
そう。共感できないのも無理はない。
この問題はそれだけで完結してしまう。
だが、この例えにはある1つの前提が存在し、それがお前を…作中においては女を堂々巡りの袋小路に追い込む。
その前提とは。
妻と夫は、喩においてはお前と君主は。
敬愛し身を捧げる相手でありながら、その力関係は『対等』であるということだ。
妻と夫は、喩においてはお前と君主は。
敬愛し身を捧げる相手でありながら、その力関係は『対等』であるということだ。
婚姻とは基本的に個人と個人が繋がる契約だと理解している。
特定の目的があっての協力関係ではなく、個人的な嗜好による繋がり。故に力関係が対等になるという事も理解できる。
だが、どうしてそれが問題になるのだ?
特定の目的があっての協力関係ではなく、個人的な嗜好による繋がり。故に力関係が対等になるという事も理解できる。
だが、どうしてそれが問題になるのだ?
主従をもう一度引き合いにしよう。
主と従の関係は、主が立場的に優位であることを前提とする関係だ。
従は主に「一定の機能」を提供し、主はそれに対し然るべき見返りを提示する。
この関係において生じる問題は、主の判断にゆだねられ、主が「よい」といえば従がそれに従うことで解決する。
単純でわかりやすいな。
だが、これが対等であった場合話が変わる。
両者は互いに対して「一定の機能」を提供する関係ではない。
そこに互助は存在するものの、自らがその機能を果たせなくなった時、単純ではないが故に「自分はこの立場に相応しいのか」という問いが生まれる。
また、この関係に生じる問題は、最終的に両者で解決されねばならない。
どちらかが一方的に「よい」と言って解決するものではない。
敬愛と奉仕の関係でありながらも、その主導権がどちらにもない宙ぶらりんが、この夫婦という関係とみる。
主と従の関係は、主が立場的に優位であることを前提とする関係だ。
従は主に「一定の機能」を提供し、主はそれに対し然るべき見返りを提示する。
この関係において生じる問題は、主の判断にゆだねられ、主が「よい」といえば従がそれに従うことで解決する。
単純でわかりやすいな。
だが、これが対等であった場合話が変わる。
両者は互いに対して「一定の機能」を提供する関係ではない。
そこに互助は存在するものの、自らがその機能を果たせなくなった時、単純ではないが故に「自分はこの立場に相応しいのか」という問いが生まれる。
また、この関係に生じる問題は、最終的に両者で解決されねばならない。
どちらかが一方的に「よい」と言って解決するものではない。
敬愛と奉仕の関係でありながらも、その主導権がどちらにもない宙ぶらりんが、この夫婦という関係とみる。
劇中の妻に話を戻そう。
妻は自分の吹き出物を切欠に、自分に女としての魅力のなさや、前妻とのコンプレクスを感じる。
夫は妻に対し気遣いの姿勢を見せてきた。
これが夫側の力が強い関係なら、それで無理矢理解決したかもしれない。
だが、これは本質的に「対等」な関係だ。
妻は夫の言葉を「その場しのぎの気休め」や「心にもないことを口にしている」と疑うことができる。
どれほど相手を思っていようとも、その言葉は絶対ではないからだ。
日常通り、妻としての機能を果たしていたとしても、夫側が愛想を尽かせばいつでも縁を切れる。
これはそういう関係で、その事実がもたらす思考の悪循環と、あと生来の根暗がもたらす思考の軌跡がこの女の独白だ。
妻は自分の吹き出物を切欠に、自分に女としての魅力のなさや、前妻とのコンプレクスを感じる。
夫は妻に対し気遣いの姿勢を見せてきた。
これが夫側の力が強い関係なら、それで無理矢理解決したかもしれない。
だが、これは本質的に「対等」な関係だ。
妻は夫の言葉を「その場しのぎの気休め」や「心にもないことを口にしている」と疑うことができる。
どれほど相手を思っていようとも、その言葉は絶対ではないからだ。
日常通り、妻としての機能を果たしていたとしても、夫側が愛想を尽かせばいつでも縁を切れる。
これはそういう関係で、その事実がもたらす思考の悪循環と、あと生来の根暗がもたらす思考の軌跡がこの女の独白だ。
つまり、夫婦関係に明確な目的はなく、だからこそ役割分担が曖昧である。
そして立場は「対等」であり、片方が失調していようと片方がそれをよしとすれば継続できるが、逆に言えば機能上に問題なくとも片方の意志で反故にできる。
よく言えば互いに自由であるが、関係を続けるための担保である信頼が不足していると容易く崩れる関係……。
という事だろうか。
(イマイチピンと来ていない顔をしている。
理論的に理解はできても異世界の風習を聞くが如く実感できないのだろう)
吾はある意味、婚姻という制度の優秀さは曖昧な所にあると思っていたが、この女にとってはそうではなかった、という話、か?
いや、そうではないよな。
妻として夫を慕っているし、夫も妻に気を使っているので、夫婦関係が嫌な訳ではないのだろう。多分。
そして立場は「対等」であり、片方が失調していようと片方がそれをよしとすれば継続できるが、逆に言えば機能上に問題なくとも片方の意志で反故にできる。
よく言えば互いに自由であるが、関係を続けるための担保である信頼が不足していると容易く崩れる関係……。
という事だろうか。
(イマイチピンと来ていない顔をしている。
理論的に理解はできても異世界の風習を聞くが如く実感できないのだろう)
吾はある意味、婚姻という制度の優秀さは曖昧な所にあると思っていたが、この女にとってはそうではなかった、という話、か?
いや、そうではないよな。
妻として夫を慕っているし、夫も妻に気を使っているので、夫婦関係が嫌な訳ではないのだろう。多分。
理解が早くて助かるな。その認識で間違いないぞ。
この練達において「子をなさない夫婦関係」が成立するのはつまりそういうことだ。
後継を作ることを目的としない関係でも、夫婦という名で成立する社会だからだ。
女の結婚生活は幸せだったろう。むしろそれこそが幸せの拠り所といってもいい。
だからこそ悩む羽目になるが…ここで夫の経歴が問題になるとボクは見る。前妻の話だ。
結婚が信頼の維持によって成り立つとするなら、離婚歴とは信頼関係の維持に失敗する人間である、ということを示唆する。その実態がどういうものであったかはさておいて、数字としてはそういうことになる。
その事実は「今現在の関係も夫の意向次第で容易に崩壊しうる」可能性を指示し続ける。
元より自分に自信のなかった女は、吹き出物から、自らの幸せが取り上げられる可能性を想起してしまい、延々とドツボに嵌り続けるとか……そういうところじゃないか?
この練達において「子をなさない夫婦関係」が成立するのはつまりそういうことだ。
後継を作ることを目的としない関係でも、夫婦という名で成立する社会だからだ。
女の結婚生活は幸せだったろう。むしろそれこそが幸せの拠り所といってもいい。
だからこそ悩む羽目になるが…ここで夫の経歴が問題になるとボクは見る。前妻の話だ。
結婚が信頼の維持によって成り立つとするなら、離婚歴とは信頼関係の維持に失敗する人間である、ということを示唆する。その実態がどういうものであったかはさておいて、数字としてはそういうことになる。
その事実は「今現在の関係も夫の意向次第で容易に崩壊しうる」可能性を指示し続ける。
元より自分に自信のなかった女は、吹き出物から、自らの幸せが取り上げられる可能性を想起してしまい、延々とドツボに嵌り続けるとか……そういうところじゃないか?
幸せだが、どこにもそれが続く担保がないという事か。
んー、経歴に瑕疵があれどそれを飲んで結婚したが……弱った事で急に猜疑に陥った。
なまじ結婚生活が予想よりも幸福であったことから失った時の事か結婚当初よりも惜しくなった……?
分かるような、分からないような。
話は逸れるが……婚姻とはすなわち契約であると認識していたが、つまり何のための契約なのだ?
相互互助にしては弱いし、よくわからなくなってきた。
んー、経歴に瑕疵があれどそれを飲んで結婚したが……弱った事で急に猜疑に陥った。
なまじ結婚生活が予想よりも幸福であったことから失った時の事か結婚当初よりも惜しくなった……?
分かるような、分からないような。
話は逸れるが……婚姻とはすなわち契約であると認識していたが、つまり何のための契約なのだ?
相互互助にしては弱いし、よくわからなくなってきた。
え?究極的に支配目的以外になんかある?
・・・・・・というのがあくまでボク個人の視点での意見だが。
折角だから世間一般的で頭の足りない方の意見にも触れておこう。
先ほどもお前が言った通り、保証はないが幸せを築きあうことが夫婦の目的だ。
結婚は、両者がそれ目的とした関係であるという前提を、互いに記憶し続け合うための肩書および儀式だ。
幸福を共有し合う他人を友達と呼び、それよりも独占的で深い関係を恋人と呼び、その試験期間を経て「互いに信頼するに足る」と確認した時、さらなる幸福と互助を目的とするために婚姻を行う。
知っての通り時間というのは限られてるから、交友を広げるほど特定個人にのみ注力した幸福構築は困難になるともいえる。
そこで友達・恋人・夫婦というように、関係性に対して深さや優先度を設けることにより、夫婦間での幸福構築がより強固で確実になる。
一方でこれらの優先度をないがしろにするような行動が多発…浮気とかだが、そういう場合においては信頼を損なったものとして関係を打ち切れる。
あとはお前の良く知る例だと自分の種をより優秀な形で保存するため。自己保存目的だ。
幸福構築ではなく、優秀な種同士を掛け合わせる、あるいは異なる家同士に夫婦という関係を築き、より強い集団をつくるため。
この場合は「関係を裏切らない宣誓」「相手の血を他所のものに渡さない専制取引」として婚姻が結ばれる。
政略結婚と呼ばれるものはだいたいこれだな。
・・・・・・というのがあくまでボク個人の視点での意見だが。
折角だから世間一般的で頭の足りない方の意見にも触れておこう。
先ほどもお前が言った通り、保証はないが幸せを築きあうことが夫婦の目的だ。
結婚は、両者がそれ目的とした関係であるという前提を、互いに記憶し続け合うための肩書および儀式だ。
幸福を共有し合う他人を友達と呼び、それよりも独占的で深い関係を恋人と呼び、その試験期間を経て「互いに信頼するに足る」と確認した時、さらなる幸福と互助を目的とするために婚姻を行う。
知っての通り時間というのは限られてるから、交友を広げるほど特定個人にのみ注力した幸福構築は困難になるともいえる。
そこで友達・恋人・夫婦というように、関係性に対して深さや優先度を設けることにより、夫婦間での幸福構築がより強固で確実になる。
一方でこれらの優先度をないがしろにするような行動が多発…浮気とかだが、そういう場合においては信頼を損なったものとして関係を打ち切れる。
あとはお前の良く知る例だと自分の種をより優秀な形で保存するため。自己保存目的だ。
幸福構築ではなく、優秀な種同士を掛け合わせる、あるいは異なる家同士に夫婦という関係を築き、より強い集団をつくるため。
この場合は「関係を裏切らない宣誓」「相手の血を他所のものに渡さない専制取引」として婚姻が結ばれる。
政略結婚と呼ばれるものはだいたいこれだな。
お前ってなんでも支配に結び付けるよな。
ふうん、共有するリソース量によって関係性を分ける……。
確かに夫婦関係まで行くと財産まで共用になるので、リソースを減らす要因を排除しようとする動きは自然なものだな。分かりやすい。
政略結婚、というのも、まぁ、分かる。
停戦の為の人質として嫁ぐとかもあったし。優秀な血を取り入れるために行っている部族も居たし。
我々はこれを他の共同体から奪うという形式で行っていたが……まぁ考えは似たようなものだろう。他者との契約を信用しない道を取っただけだ。
お前の言う支配とは前者の一般的な意味の婚姻において、リソースの配分権を得る。もしくは相手にだけ奉仕させるとかそういう事……か。
ふうん、共有するリソース量によって関係性を分ける……。
確かに夫婦関係まで行くと財産まで共用になるので、リソースを減らす要因を排除しようとする動きは自然なものだな。分かりやすい。
政略結婚、というのも、まぁ、分かる。
停戦の為の人質として嫁ぐとかもあったし。優秀な血を取り入れるために行っている部族も居たし。
我々はこれを他の共同体から奪うという形式で行っていたが……まぁ考えは似たようなものだろう。他者との契約を信用しない道を取っただけだ。
お前の言う支配とは前者の一般的な意味の婚姻において、リソースの配分権を得る。もしくは相手にだけ奉仕させるとかそういう事……か。
支配欲を恋だとか永遠だとか真実の愛だとか。
立証しようのないもので飾り立てて、対外的に「これは自分のものになったから手を出すな」という行為を華々しく祝い、身内や知人に祝福させる行為が俗にいう結婚式だぞ。
変態でしかないだろ。あんなの。
虚栄心を満たせる最良の手段でもあるぞ。
立証しようのないもので飾り立てて、対外的に「これは自分のものになったから手を出すな」という行為を華々しく祝い、身内や知人に祝福させる行為が俗にいう結婚式だぞ。
変態でしかないだろ。あんなの。
虚栄心を満たせる最良の手段でもあるぞ。
結婚式についていったのではないが……。
しかし、随分悪し様に語るではないか。
お前、結婚したことあるの?
しかし、随分悪し様に語るではないか。
お前、結婚したことあるの?
「ろおれんぞ」なる教会住まいの少年が居たが、傘屋の娘とただならぬ関係なのではないかと噂されていた。
やがて娘は子を孕んで父親は「ろおれんぞ」だと主張し、「ろおれんぞ」は教会を追われる事となった。
それから後に教会のある街が火事になってしまった。
娘の住む家も火に飲まれて、娘は逃げるのに必死で家の中に赤子を置き忘れてしまった。
そこへ「ろおれんぞ」が現れ火の中から赤子を救い出すが、倒れてきた柱に挟まれて死んでしまう。
当初は「ろおれんぞ」が父親であるため、子を助けようと現れたのだと思われたが、実は「ろおれんぞ」は女であり、濡れ衣を着せて教会を追い出した女の子を助けたのだ。
……うん、うん。多分筋書きはこれでいいだろう。
人魚姫以上に宗教色が強くて細かい点がよくわからないが、結末から考えると自己犠牲はいいぞという話のような気がする。
やがて娘は子を孕んで父親は「ろおれんぞ」だと主張し、「ろおれんぞ」は教会を追われる事となった。
それから後に教会のある街が火事になってしまった。
娘の住む家も火に飲まれて、娘は逃げるのに必死で家の中に赤子を置き忘れてしまった。
そこへ「ろおれんぞ」が現れ火の中から赤子を救い出すが、倒れてきた柱に挟まれて死んでしまう。
当初は「ろおれんぞ」が父親であるため、子を助けようと現れたのだと思われたが、実は「ろおれんぞ」は女であり、濡れ衣を着せて教会を追い出した女の子を助けたのだ。
……うん、うん。多分筋書きはこれでいいだろう。
人魚姫以上に宗教色が強くて細かい点がよくわからないが、結末から考えると自己犠牲はいいぞという話のような気がする。
間違いはないな。
話の根幹に宗教が絡んでいる都合、どうしてもそのような部分が目立つな。
隣人愛もここまで拗らせれば自己犠牲と美化され、称賛もされる……という見方をしてもいいが、今回はそういうのはなしにしよう。
掌返しを楽しむ作品というのもしないことにしよう。
話の根幹に宗教が絡んでいる都合、どうしてもそのような部分が目立つな。
隣人愛もここまで拗らせれば自己犠牲と美化され、称賛もされる……という見方をしてもいいが、今回はそういうのはなしにしよう。
掌返しを楽しむ作品というのもしないことにしよう。
「ろおれんそ」の最も不自然で私欲的な行動はさておいて。
他人に対する無私の愛はどこまで突き詰められるのか、という作品でもあるし。
三者三様の他人に対する愛の示し方を見る作品なんじゃねえの。
他人に対する無私の愛はどこまで突き詰められるのか、という作品でもあるし。
三者三様の他人に対する愛の示し方を見る作品なんじゃねえの。
はぁ、愛。
なんか今日はやたら愛とか恋に拘るなぁ。
この作品における愛とはまずなんだ。
全く他人の子、しかも自分に罪を擦り付けた者の子を救った事か?
なんか今日はやたら愛とか恋に拘るなぁ。
この作品における愛とはまずなんだ。
全く他人の子、しかも自分に罪を擦り付けた者の子を救った事か?
お前いまさらその点指摘する?????????
まあ好意の形だろうよ。
「ろおれんぞ」への恋心が憎しみへと裏返り、他所の男に抱かれた傘屋の女。
「ろおれんぞ」に嫌悪を覚えながらも、娘が産んだ初孫に顔をほころばせる翁。
破門後も祈りを捧げ続ける「ろおれんぞ」に対して、「しおめん」含む奉教人衆の見方の変化。
好きだからこそ憎しみも増すとか、好きだからこそ怒るとか……まあそういうのもあるんだろうが。
「しおめん」と「ろおれんぞ」の関係も見どころじゃないのか。
まあ好意の形だろうよ。
「ろおれんぞ」への恋心が憎しみへと裏返り、他所の男に抱かれた傘屋の女。
「ろおれんぞ」に嫌悪を覚えながらも、娘が産んだ初孫に顔をほころばせる翁。
破門後も祈りを捧げ続ける「ろおれんぞ」に対して、「しおめん」含む奉教人衆の見方の変化。
好きだからこそ憎しみも増すとか、好きだからこそ怒るとか……まあそういうのもあるんだろうが。
「しおめん」と「ろおれんぞ」の関係も見どころじゃないのか。
……「しめおん」は出番はあったが吾にはイマイチ何がしたいのか分からなかったな。
「ろおれんぞ」を庇わなかったのに「ろおれんぞ」の子という事になっていた赤子は可愛がるし。
その割には命を掛けて赤子を助ける気概もない。
最初は二人は兄弟のように仲が良かった、ということだが……。
あー……皮膚と心の妻が夫の前妻にしたように、「ろおれんぞ」と傘屋の女の仲を邪推して嫉妬して突き放した?
「ろおれんぞ」を庇わなかったのに「ろおれんぞ」の子という事になっていた赤子は可愛がるし。
その割には命を掛けて赤子を助ける気概もない。
最初は二人は兄弟のように仲が良かった、ということだが……。
あー……皮膚と心の妻が夫の前妻にしたように、「ろおれんぞ」と傘屋の女の仲を邪推して嫉妬して突き放した?
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幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。
セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。
●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない