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造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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この話を「恋愛」という側面にのみ注視した場合。
これは悲恋でもなく、身の程知らずの恋の話でもなく。
これは「失恋」の話と見ることもできる。

恋から始まり、言葉を介さずに互いを理解し合い、愛を育む。
そして相手の意思を尊重し、相手を愛したまま身を引く。
悲しい恋の話ではなく、恋が終わる話だ。互いに一方的な愛を抱いたままな。

(マロングラッセを1つ、指先でつまんで口に放り込み、ワインで流し込んだ)

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