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造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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主従をもう一度引き合いにしよう。
主と従の関係は、主が立場的に優位であることを前提とする関係だ。
従は主に「一定の機能」を提供し、主はそれに対し然るべき見返りを提示する。
この関係において生じる問題は、主の判断にゆだねられ、主が「よい」といえば従がそれに従うことで解決する。
単純でわかりやすいな。

だが、これが対等であった場合話が変わる。
両者は互いに対して「一定の機能」を提供する関係ではない。
そこに互助は存在するものの、自らがその機能を果たせなくなった時、単純ではないが故に「自分はこの立場に相応しいのか」という問いが生まれる。
また、この関係に生じる問題は、最終的に両者で解決されねばならない。
どちらかが一方的に「よい」と言って解決するものではない。

敬愛と奉仕の関係でありながらも、その主導権がどちらにもない宙ぶらりんが、この夫婦という関係とみる。

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