PandoraPartyProject

ギルドスレッド

造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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(わかんないって幼女みたいに笑う)

(ついでに武士の情けで膝以外の場所も密着して重さの負荷を分散させる)
…………。
(それはもう身動きできない状況に陥っているだけではなかろうか。)

(これの付加価値向上の為に弁を尽くしてやったが間違いだったのかもしれない。
 調子に乗らせる口実を与えるに過ぎなかった可能性がある。
 そういう策略であったなら見事にはめられたものである。
 そんなことをどうにか自由になっている両手を挙げながら思っていた。クソが。)

……あーそー、そういう悪戯に興じるならこいつはもうボクが貰うわ。
(ウィスキーボンボンのボトルに手を伸ばす)
(ご満悦層にふすふす鼻を鳴らしている音が聞こえるだろう。

 触ってもらえるのが一番であるが、自分で触るのもまたいいものである。
 幽霊の皮を被った花嫁みたいな何かはもそもそ動いてベスポジで静止した)

(馬鹿になっている(設定)ので自分がもらえるものと思ってる風に口を開けて待つ)
トリックとトリートを両立できると思ってるんじゃねえよ。厚かましいわ。

(片手でどうにか(もう片方の手はパイプを握っているので)どうにかボンボンを拾い上げて、自分の口元へと運ぶ)
(大変厚かましいので自由な両手でボンボンを奪ってやろうかと思ったがやめておくことにした。
 もっといいものを貰おう。)

(ボンボンを口に入れて空になった貴方の手にするりと自分の手を絡ませんと伸ばす)

(甘いものよりもこちらの方が好きで貴重だ)
…………。
(なんでここまで体の自由を奪われなければならないのだろうか。
 図々しくも噛み合わされた掌を睨み、改めてそう考える。
 確かに挑んでくることを許したが、甘えることを許した覚えはないのだが。)


………お前、色恋だなんだは知らねえくせに、こういう手癖だけは悪いのな。
尊敬するわ。
で、バカになった美少女はここから何を仕掛けてくるつもりだよ。
さわるのすき。

(手を絡めてからややあって、猫の様にくあ、とあくびをした。
 ずぶずぶと上等なソファに埋もれるように身を預けて、目はとろとろ溶け始めている。
 どうもこの間合いに居ると眠くなる)

……寝る。

(許されていても許されなくても貪れるときに貪っておくものだ。次が何時あるかなんてわからないのだから)
は?

いや、いやいや、寝るならせめて退け。
仮眠できる場所はあるんだからそこまで我慢しろ?
ここがいいもん。

(くし、と目をこすった甲斐もなくほぼほぼ溶接された様子のでっかい幼女が囁く)

ここがいちばんねむくなる。
(………言っても聞かないタイプは無理だ。
 できるとかできないとかの話ではなく無理だ。
 口先じゃどうにもならない相手というのは困る。)

(ここから力技以外での解決策を考えてきっかり5秒)



……………………高くつくからな。覚えておけ。
(恨みごとのようにそう零して、折れる以外どうしようもないというところに落ち着いた。
 不本意ではあるが。本当に不本意ではあるが。)
(へにゃ、と美少女らしからぬふにゃふにゃな笑顔を作った)

(誰よりも高く買い取るよ、と言う意味の言葉を言おうと思ったが、やっぱりバカになっていたのでどういう言葉で言えばいいのか分からないまま――)

(膝の上ですぅすぅと寝息を立て始めるのだ)
※某月某日※
練達に竜が来てから数日後くらい。
(屋敷の中は、派手な地震にでも遭ったかのように荒れていた。
 窓硝子は割れ、肖像画は破れ、シャンデリアは崩れ落ち、倒れた造花が絨毯に染みを作った。
 ……幸いというか、それとも皮肉というべきか。
 ここにあるものは全てが見栄えが良いばかりで、本物は何一つなかった。
 偽物であるがゆえに、この災害による金銭的損失は、それほどのものでもないだろう。)

(今は開け放たれたロビーを、小さなブラウニー(屋敷妖精)が駆け回っていた。
 ビスケットとミルクを見返りに、屋敷を掃除している真最中だった。
 この辺りでは珍しい光景だ。再現性東京の者が見れば卒倒するかもしれない。)
(一方で屋敷の主人といえば、執務室にいた。
 調度品が倒れたままの部屋で、奇跡的に無事だったPCと睨み合っていた。
 数日振りの執務に追われているのもそうなのだが、先の事件による被害のまとめと、そのせいで動けなくなった部下の分の仕事を請け負う形になっていて、それなりに面倒くさい状態だった。)

(いや、きついとかそういうのではない。
 ただひたすら面倒くさいのでなにがしかの口実をつけて放り出したい気分である。
 かといって、手間をかけてこさえたテーマパークを放り出すわけにもいかないし、ここで全てを投げ出すと後々もっと面倒になる。面倒の板挟みである。気分転換がしたい。)
(来客を告げるチャイムが鳴る)

(白いワンピース型のセーラー服に青みを帯びた黒髪の少女が玄関に立っていた。
 豊かだった髪は肩口で不揃いに切られて、常に纏っていた花のような芳香よりも消毒液と薬の匂いが濃い。
 よく見れば服の下にガーゼや包帯の気配も感じられるだろう。
 だがそれでも、平時と変わらないような顔をして立っていた。)
…………あ?
(なんだ、この時期のこの屋敷に。利子はつい先日払ったはずだが。
 と、思いかけたところで「そういえば」と思い返した。)

いくらなんでも疲れすぎだろうよ。
(そう自分の迂闊さに苛立ちを覚えながら、手近な屋敷妖精に部屋まで通すように呼び掛けた。)
(戸口が開いた直後、初めて家主以外の生き物をこの屋敷で見つけて眉を上げた。
 僅かな驚きと警戒。しかしすぐに飲み込んで案内のまま執務室へ通されて。)

……酷い有様だな。外での待ち合わせにした方がよかったか?

(首をかしげると毛先がさらさらと肩を撫でた)
(液晶から持ち上げた視線を、扉の方へと持ち上げて…

 ……声をかけるよりも先に、指先は水煙草を持ち上げていた。)


いや。この有様だろうが、こっちの方がボクの都合にいいには違いないからな。
(数秒の後、重い煙と一緒にそのような言葉を吐いた。)

聞いたぞ。大層上手くやってのけたそうじゃないか。
ローレットの歴代依頼群の中で成功率0と断じられた難易度で初めての成功らしい。
あまり実感はないが。

(いつもの来客用のソファには座らず、無遠慮に執務机の前に立った。
 感情の無い、否、感情を抑えた瞳がじっと貴方を見ている。)

遠いな。ちょっとこっちに来い。
(眉をしかめた。意味を測りかねる、といった風だ。)

(躊躇のような間があった。
 が、溜めた煙を吐くと、ゆっくりと立ち上がった。)
そう。


わかったよ。
(覚えていない、と誤魔化せばいいものを。
 まるでつい先ほど観念を終えてきた様子だった。)
(思い切りよく抱いて「はい終わり」としても間違いではないだろう。
 けれども戦いの痕が垣間見える肢体は、乱雑に扱えば傷を痛める可能性もある。
 それによって価値を損なうわけにもいかないのは大前提として、「こういうのではない」とやり直しを要求されることも面倒である。
 だから、今この瞬間今回に限って今日に限って、丁重に約束を遂行するべきと考えた。)

(最も自分の利益になる結果を考えたうえで、そのような選択をした。)

(だから、体を労るように。
 抱き寄せるでも、誘うでもなく……慎重に包むような抱擁となった。)
(それにしてもな、と思った。
 70年そこら生きてきたが、相手を騙す目的以外で、誰かを抱きすくめたことがあったろうかと、そんなことを思った。)
ん。

(抱っこをねだる幼子のように腕をひろげた。
 貴方より身長が高い癖に、やろうと思えばそれなりの対応だってできる癖に、底が恐ろしく未熟で未発達。それが傷のように貴方の目の前に現れている。)

(両の腕が体を包むと、顔を隠すように貴方の肩に額を寄せた。
 荒い息を吐く。震える手を貴方の背中に回す。
 心臓は不自然に跳ねて、だからこそ、この悦びは押さえつけるべきだと思った。
 此処までさせておいて今更、安心してしまうのが怖くなったのだ。
 一つの戦いに区切りをつけて休むには、少し生き方を変えすぎてしまった。)

(髪を切っただけ。人にとってはそうでも自分の種族にとってはそうではない。
 不可逆のリソースを切ったという意味もある。
 それ以上に、容姿を歪めるという事は存在を歪める事にもなる。
 きっとこれまでなら不安はなかった。
 だが、自分自身の価値を減じかねない事、それによって失望されるのではないかという不安に胸は満たされて、いつまでたっても勝利も終戦も実感できないでいたのだ。)

セレマ。

(震えを押さえた声)
(何も答えないままにぎゅう、と肩に顔を押し付ける力が強くなった)
誰にでも出来ることじゃないことは確かだ。よくやったよ。
……わかんない。でもこれ以上安心できる方法もわかんないよ。
 







……そう何度も言わせることじゃないから、よく聞け。
ボクは本来こういったことはしないし、必要と判断しない限りはそういったことをすることもない。だが、お前はボクが呼びかければ従順に立ち回るし、結果も出した。先の戦いにおいては決して無視できない戦績も収めた。お前の働きに対し、相応の褒賞を与えるのも吝かじゃないと判断した。

いいか、もう一度言うぞ。
ボクが必要だと判断したからで、そう簡単にはしてやらないことだ。

(いつか遭難した時にせがまれたような、形として正しいのかもわからない手つきで、背中を撫でた。)

そこを間違えるな。
わかったな。




(自分はいったい何を相手にしているのだろう)
しってる。

(背中を撫でる感覚に身を委ねながら答えた。
 こんな事は互いの打算あっての事ではないと許されない気がした)

しっているよ。

(このタイミングでの訪問も全て自身の利己的な部分から来るものではないと釣り合わない気がした)

(それ以外が混ざっていても、言葉にすれば遠ざかってしまうに違いなかった)
(屋敷の後片付けも半分ほどまで済んだ2月のクソみてえなある日のことだ。)

(ボクの美しい両手は薄力粉と片栗粉に白く汚れ、爪の間にはそれら混合物によって形成された黄色い塊が挟まっている。むせ返るようなクソ甘い香りに満たされた、石鹸臭いババアの家を思わせる中、ボクは肩で息をしながら作業に打ち込んでいた。)


(もうかれこれ4時間ほどビスケットを作り続けている。)
(事の発端は今朝のことである。
 ミルクとビスケットを引き換えに、荒れた屋敷の掃除をブラウニーの集団に頼むという契約を取り交わしたのがつい先日のことであったが。支払いの段階で、ボクの準備していたものがビスケットではなくクッキーであったことが発覚し、ボクが契約を反故にした形になってしまったのである。)

(契約の違反はあってはならないことである。
 然るべき償いがなければ、相手は契約を盾にどのような凶行に及ぶかわからない。相手が一回の屋敷妖精に過ぎなくても、契約による繋がりがある限りは、悪魔と思って付き合うべきだ。自分と違う生き物が、自分と同じ文化圏の、同じ常識や倫理を備えているという前提で動くのは油断以外の何物でもない。)

(……つまりそれとは別種類の油断をしたせいで、今その償いをしているわけである。
 かれこれ4時間ほど冷蔵庫と調理台とオーブンをローテーションするという苦行だ。)
別にいいじゃねえかよ……砂糖とバターの含有量なんざ、食ってる側はわかんねえだろ……健康志向か………?

(もう何人目かわからない生の人型を焼きながら、もう数える気も起きないほど零した文句を繰り返す。繰り返す。文句でも言わなきゃやってられるかこの野郎。)

(だがこれでもマシな方だ。
 「明日買ってくる」ではなく「今ここで焼く」と言えたおかげで、この程度の損失で済んでいると見るべきである。古今東西、妖精絡みで約束を反故にした結果痛い目を見た、という話は聞くものである。この手の約束を重く見過ぎる相手の機嫌を損なえば、どうなるかわかったものではない。

 ……屋敷が物理的に倒壊するくらいはあったかもしれない。)
(もうこれは自分の過失であるし、この程度で済んでいるのだから、むしろ幸運だったと見るべきなのだが………それとは別に腹が立った。
 美少年がこんな甘ったるい菓子類を焼いているとか解釈違いだから…ではない。
 それもあるがそっちではない。
 今更こんな技術が役に立って、自分の身を助けていることに、少なくない苛立ちを覚えていた。)
(かつて、ある女と共に過ごしていた頃。
 力関係上、どうやっても逆らうことができなかった自分は、ほとんど召使のような扱いを受けていて……つまり、家事とか掃除とか洗濯とか、気まぐれにこういったものを準備させられたりとか。
 そういう、あまり思い出したくない時代を思い出すからだ。
 【ここはもう食べられちゃったよ~?】なのに、感謝の一つも言わない、傲慢で恩知らずなあの女との日々。
 そのうえで、その経験と日々が自分を助けていることにである。)

(あまり気にしないようにしていたことを、もう一度突きつけられているような気分だ。)
(……厨房の向こう、ビスケットパーティーの喧騒が神経を逆撫でする。
 「今、みんな腹八分だから。お土産もよろしく」と、こっちの気を敢えて無視した発言に、精いっぱいの美少年らしい応対をした。)


(「あいつら踏んづけてもいいですか?」という発言に対し「今じゃない」と応えてやった)



(この執政官にも賞与を与えてやらねばならんだろうか、と考えた。
 今月は本当に出費が多い。いやな月だな、と。

 そう思った。)
(今朝の食事はクッキーだった。)

(昼食は炭水化物をそこそこに、クッキーだった。)

(ティータイムはクッキーだった。)

(夕飯。野菜と肉のスープにクッキーだった。)

(夜食は酒のあてに) なるかボケが。
(ここしばらく、手違いで手元に残ってしまったクッキー在庫の処理に追われている。
 なぜか?説明も面倒なのでこのスレの過去を遡ってほしい。
 なんでもかんでも他人が説明してくれるものだと甘えてるんじゃねえぞクソが。)

(余裕をもって注文したせいで、部下共に送り付けてもまだ余っていた。
 訳知りの執政官にも2割ほど押し付けてもよかったのだが「これ以上焼き菓子の類を見たくないです。これ以上があるようなら仕事辞めます。この仕事辞めます。」と頑なに断られてしまった。下手に優秀なやつはこういう時に妙な発言力を持っていて困る。)
(怪物共(※特異運命座標連中)に分けてやるのはどうだ?
 とも考えたが、やはりそれもなかった。理由は2つ。
 1つはクッキーが安物であること。
 こんな質の悪いものを好んで嗜むバカと思われたくない。
 もう1つはタダで焼菓子をばら撒いて、そういう気のいいやつと思われたくないこと。
 冒険者というのは所詮チンピラである。ここからたかりに来る奴が居るに決まっている。)
(ここから導き出される処理方法は、消去法的にはひとつにな)やだ。

(そう投げやりに、クッキーの箱を床に投げ捨てた。
 こぼれたクッキーが、細かいクズと一緒に散らばる…これの始末も自分がやれというのか。
 なんという理不尽だ。)
(そりゃあ焼き菓子といえばそれなりに値の張る菓子類だが、いくらなんでも限度というものがある。もうこうなったら廃棄処分するしかない。損しかしないのでやりたくなかったが、気分的にもう限界だ。)

(……すると倉庫にある段ボール箱を、ごみ処理の為に運ぶ必要があるのだが。)


あいつ(執政官)にやらせるか……。

(それがいい。むしろそれ以外ない。
 それでクッキーとおさらばできるなら多少気が楽にもなろう。
 となれば今日はもう、ボトルだけ空にして寝るべきである。
 床にぶちまけたクッキーの処遇を、明日の自分に任せて、グラスを傾けた。)

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