PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>Fullmetal Battleend

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●最終決戦と、疑似宇宙
 終焉獣の出現。そして特別な終焉獣が作り出すという『疑似宇宙空間』。
 これらに対処できるのは――。
「拙者たち鋼鉄帝国が誇る最新鋭戦闘兵器――エクスギアエクスに他なりません!」
 荒野を爆走する移動要塞ギアバジリカ。
 ガイウス派閥のギア・フラウィウス、ザーバ派閥のギア・ブルグ、更にパルスちゃんファンクラブのギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021のパーツを併合することで完成した最終決戦仕様の真ギア・バジリカである。
 その頂上。屋根の上から飛び立つのはパワードスーツを纏った夢見・マリ家(p3x006685)であった。
 カタパルトから次々に飛び出した四つのメカ『クイーントラコフスカヤ』『カイザーブラックタイガー』『エンペラーアルチュウ』が次々に合体。
「完成――ゴッドカイゼルVDM!」
 ジェット噴射によって空を飛んだマリ家もといゴッドカイゼルVDMは、天空の暗雲を切り裂いて現れた
 空中母艦VDMへと飛び込んだ。
 そう、はるか天空より舞い降りた円盤状のテーマパーク型空中要塞は主砲VYANEN334口径を初めとする様々な武装に包まれた、この決戦のために改修された最終兵器なのだ。
 中央デッキにせり上がり式で現れたマリ家が見回すと、ブラックタイガー君やとらぁ君たちが各種パネルを操作し、その一つを操作していた夢見・ヴァレ家(p3x001837)がサムズアップして振り返った。
「待っていましたよマリ家……いえ、虎帝マリ家! ついにこの最終兵器を投入するときが来たのですね!」
「いかにも!」
 前方を見つめる。
 そこにあったのは巨大な……それこそ空中要塞VDMが突入可能なほど巨大な『疑似宇宙』空間であった。

 『優帝』いりす(p3x009869)たちの持ち帰った情報によれば、この『疑似宇宙』は生身では突入不能な特殊空間であるという。
 だが放置していては内部に潜伏する巨大終焉獣『デカラビア』によって次々に終焉獣が生成、排出され無尽蔵に敵戦力が追加され続けることになってしまう。
 エクスギアエクスの特殊なエーテルコーティングによって突入および活動が可能という特性を生かし、同じくコーティング済みの空中母艦VDMをサクラメント搭載型空母として突入。内部で待ち受ける終焉獣の群れとコピー品であるエクスギアエクス部隊を撃滅し、『デカラビア』をも撃滅するのだ。
「空中母艦VDM――突入!」
 まるで宇宙のように広がる暗黒の空間。はるか遠くに見える星のようなきらめき。
 無数に浮かぶ岩デブリ群。不思議とよく音の響くその空間で、待ち受ける軍勢へと虎帝率いるエクスギアエクス部隊は武装と兵を展開した。

●北欧の伝説
 疑似宇宙へ続く『ゲート』手前。
 接近する大軍勢をまえにギアバジリカは動きを止めた。
 ギアバジリカ中央デッキ。三つ並ぶ玉座のうちひとつに腰掛けるのは『雷帝』ソール・ヴィングトール。
 拡大された映像に見えるのは、ノーザンキングス連合王国軍。および砂嵐や幻想王国の精鋭兵士たちをコピーしたシャドーレギオン軍である。
 そのなかに見えた、疑似反転したエーデルガルド大佐。そしてその原因である『プロモーター』。
 そして彼らを扇動する最大の黒幕にしてパラディーゾ、『天国篇第一天 月天の徒』トモコの姿があった。
「我らの役目は決まったな」
 特別な槍を地面にドンとたて、立ち上がるソール。
「全軍出撃! 不埒なやからに二度と鋼鉄の地を踏みにじらせるな!」
 大軍勢がギアバジリカめがけて突撃してくる。彼らが侵入を果たすのも時間の問題だろう。だが……。
「こちらとて兵力は充分。イレギュラーズたちをそれぞれ小隊長とする!
 軍勢を率い、ノーザンキングス大連合軍を撃滅せよ!」

 大声で命令を飛ばすソールの隣。別の玉座にて『優帝』いりすは口元に手を当てた。
「私は、どうしましょうね。この前のように私の部隊を率いてもいいですし、あの子に乗って疑似宇宙へ突入するのもよさそうです」
 彼女が言っているのは、ザーバクライシスの際に編成された優帝小隊と、その後所属不明機調査の際にロールアウトした優帝専用エクスギアエクス『R×H』。
 ソールはちらりと彼女を見て、そして笑った。
「好きな方を選ぶとよい。我も、運命が呼ぶならば疑似宇宙にてギアを駆るのも一興だろう。我らは皇帝であると同時にイレギュラーズ。自由の徒ぞ」
 すっかり皇帝ロールが板についたソールにいりすは肩をすくめると、そうですねと言って立ち上がった。
「では、私も出ます。風のむくままに……!」

●暗雲と暗黒
「始まったね」
「ん、そだね」
 どこともわからない、どこか。
 『天国篇第九天 原動天の徒』セララと『天国篇第六天 木星天の徒』ランドウェラオルタは水晶に写る風景を見つめていた。
 ギアバジリカから出撃する大軍勢とノーザンキングス大連合が激突する風景。
 そして、疑似宇宙内にて終焉獣やエクスギアエクスたちが激突する風景。
「Hadesくんとイノリくんがやりたがってた『世界の破滅』……ボクたちも行かなくっちゃね」
「ここから、本腰入れて?」
 冗談のように言うランドウェラオルタに、妖精フォームのセララはくるくるまわる十二の聖石の中央に浮かび上がった。
 パキンと光が混ざり合い、等身大魔法少女フォームへと変化する。
「今までだってずーっと本気だよ! だってボクは、悪夢と絶望の魔法少女だからね!」
「よくいうよ。それじゃあ……僕も行こうかな。だって僕らは、『世界を滅ぼすために作られた』んだからね」

GMコメント

 終焉獣デカラビアによって発生した疑似宇宙を舞台としたエクスギアエクス戦。
 そしてギアバジリカ周辺を舞台とし小隊を率いて戦う小隊指揮戦。
 この二つのパートで進行する最終決戦が始まりました。
 お好きなパートを選択し、己の戦場へと突入しましょう!
 また、当シナリオはラリー形式であるため他シナリオと併せて何度でも挑戦することができます。

●サクラメント
 空中母艦VDMとギアバジリカにそれぞれサクラメントが配置されています。
 そのため何度死んでも再出撃することが可能です。(エクスギアエクスもすぐに修復されて再出撃する扱いになります)

●パートタグ
 以下のうちからお好きな【パートタグ】を選択し、プレイング冒頭に記載して下さい。
(記載が無い場合いずれかの戦場に自動配置されるか、または不採用扱いとなります)
 また、シナリオ中に新しいパートが出現することがあるかもしれません。

【ロボット】
 エクスギアエクスにのって戦うパートです。
 あなたの『専用機』を駆り、疑似宇宙で終焉獣や敵エクスギアエクスと戦いましょう。!

☆超強襲用高機動ロボット『エクスギア・EX(エクス)』
 エクスギアEXとは大型の人型ロボットです。
 『黒鉄十字柩(エクスギア)』に附随した大型オプションパーツを超複雑変形させそれぞれの戦闘ロボットへと変形します。
 搭乗者の身体特徴や能力をそのまま反映した形状や武装をもち、搭乗者にあわせた操作性を選択し誰しもが意のままに操れる専用機となります。
 能力はキャラクターステータスに依存し、スペックが向上した状態になります。
 武装等はスキル、装備、アクセスファンタズムに依存しています。
 搭乗者のHPがゼロになると破壊され、多くの場合爆発四散します。
 搭乗者が装備する剣と同様の剣で斬りかかったり魔術砲撃をしたりと、搭乗するキャラクターによってその戦闘方法は変わるでしょう。
 距離やサイズは適時良い具合に判定するので深く考えずにお楽しみください。
 もしお望みであれば、普段と違うデザインをオーダーしてみるのもいいでしょう。
 ※すべてが専用にカスタムされているため、別の人物が乗り込んだり敵のエクスギアを鹵獲し即座に使用することはできません。逆もまた然りです。

【小隊指揮】
 あなたを隊長とした小隊を編制し敵軍と大規模な戦いを行います。
 エーデルガルド、『プロモーター』、パラディーゾトモコがこの戦場で軍を率いています。

☆小隊指揮について
・このシナリオには小隊指揮ルールが適用されます。
 PCは全員小隊長扱いとなり、十名前後の配下を率いて敵部隊と戦うことができます。
・兵のスキルや装備といった構成内容はおおまかになら決めることができます。
 防御重視、回復重視、機動力重視、遠距離砲撃重視、特定系統の非戦スキル重視……といった感じです。細かいオーダーは避けましょう(プレイング圧迫リスク回避のため)
・使用スキルや戦闘パターンの指定は不要です。(プレイング圧迫リスク回避のため)
・部下の戦意を向上させるプレイングをかけることで、小隊の戦力が上昇します。
 先陣をきって勇敢に戦って見せたり、笑顔で元気づけたり、料理を振る舞ってみたり、歌って踊ったり、格好いい演説を聴かせたり、効率的な戦術を指示したりとやり方は様々です。キャラにあった隊長プレイをお楽しみください。
・兵のデザインや雰囲気には拘ってOKです。
 自分と同じような服装で統一したり、自分の領地にいる戦力を選抜したり、楽しいチームを作りましょう。特に指定が無かった場合、以下のデフォルト設定が適用されます。
 デフォルトチーム『鋼鉄兵』:鋼鉄帝国の軍人たちで構成された標準的な部隊です。バランスはいいですがだいぶ攻撃寄りです。

●グループタグ
 誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの一行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。所属タグと同列でOKです。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
 このタグによってサーチするので、逆にキャラIDや名前を書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【ザッズファイターズ】2名

●特殊なエネミー
 パラディーゾセララ、パラディーゾランドウェラオルタは上記二つのうちどちらかの戦場に登場するかもしれません。

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●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●重要な備考
 <ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
 但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
 又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
 又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
 MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>Fullmetal Battleend完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年12月09日 17時23分
  • 章数3章
  • 総採用数174人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

アーゲンティエール(p3x007848)
魔剣遣い

「さしあたってはこれが最後の大決戦だね……」
 迫るノーザンキングス連合軍。以前に戦った軍勢とは、その規模も圧力もまるで違っていた。
 以前のように首都へ浸透し混乱させるのでも、ピンポイントで皇帝だけを暗殺しようとするのでもなく、本当にこの軍勢で世界を滅ぼそうというのだろう。
「鋼鉄のあるべき姿を、いつも通りの喧騒を、この国に皆が約束した未来の豊かさを護るため。
 世のため人のため、そして何より我のため」
 『魔剣遣い』アーゲンティエール(p3x007848)はくるりと剣を垂直に立て、近いの姿勢をとった。
 その横で、ウサーシャもまた剣を立てる。
「感謝するよ、『魔剣遣い』。わが手を穢すよりも早く、この身を救ってくれたこと。もしあのままだったなら……われはあの軍勢の中にあったはず」
「……」
 鎧の下から、横目で彼女を見る。そして、アーゲンティエールは言うべきことを言った。
「『銀魔隊』、出撃だ!」
 銀剣銀鎧で統一されたアーゲンティエールの銀魔隊。彼らはノーザンキングス連合軍への一番槍として突入し、そしてその剣で敵陣を切り拓いていった。
 激突する剣と剣。
 まるで巨大な銀の矢(シルバーアローヘッド)が大軍を穿つかの如くに。

成否

成功


第1章 第2節

アダム(p3x006934)
いちばんの友達

「折角お友達が『黒き絶望』から戻ってきてくれたんだから、鋼鉄を、お友達の国を守るために戦うのが俺の答えだ!」
 停車したジープから次々に飛び出すぬいぐるみたち。
 最後に飛び出した『うさぎのおひめさま!』アダム(p3x006934)はぽすんと砂の上に立つと、一番槍の部隊に続く形で支援砲撃を開始した。
「ここに生きる人達にとっても俺にとっても、この世界はただのゲームなんかじゃない。
 お友達がたくさんいる大切な世界を、これ以上めちゃくちゃになんてさせないよ!
 大砲、構えーっ!」
 びっと突き出したアダムの手に応えるように、くまやいぬのぬいぐるみたちが小さな大砲を肩に担ぐ。が、その威力はホンモノだ。次々にミニバズーカから放たれたペンギンロケット弾がうなぎのような軌道を描き敵陣へ着弾、爆発。
 その反撃とばかりに敵の弓兵隊が魔法のこもった矢を一斉に放ってきた。
 弧を描いて飛来するそれが――身構えるアダムたちの上空で突如破壊された。
「やあ、アダム」
 戦場には似つかわしくない、穏やかな、昼下がりにかおる紅茶のような声で、彼がアダムの隣に立った。
「――コウ!」
 思わず振り返るアダムに、コウは片手を翳し、垂れ目がいっそうとろけるような笑みを浮かべた。
「君が大変だって首長さまに聞いてね。つい来ちゃった」
 そう言ってから、コウは敵陣へと手を翳す。
 開いたアタッシュケースから飛び出した無数のビスクドールが『愛らしき魔法』を放ち、更に飛来する矢を次々に破砕していく。
 それはアダムが……いや、『俺』がかつて見た光景にどこか似ていた。
 違いがあるとすれば……。
「戦いは、好きじゃないんだ。けど……友達だからね」
 そんな、彼の横顔だろうか。

成否

成功


第1章 第3節

ロード(p3x000788)
ホシガリ

「俺は前線に出て戦う。だからお前たちは俺が撃ち漏らした奴らを狙ってくれ。
 そして俺を巻き込んでもいい。遠慮せず巻き込め。
 その方が敵も油断……すると思う。さあやるぞ!」
 叫び、そしてバイクへと跨がる『屋上の約束』ロード(p3x000788)。
 アクセルをひねりふかした彼は、その先に待つであろう『ランドウェラオルタ』を思い描いた。
「隊長? 確か例のパラディーゾとは一戦交えたでしたっけ?」
「指揮は苦手でしょう。援護しますんで、先頭をいってくださいや」
 部下達が両サイドを並走しながら笑う。ロードは苦笑した。まったくその通りだ。
「俺は俺の得意を相手にぶつけるだけでいい、か。これは助かる……!」
 ロードは勢いを付けるとバイクをウィリー状態にし、敵陣の盾兵たちへと突進。
 防御を無理矢理崩すと、そこへ一斉に砲撃が飛んできた。
 それもガトリングガンによる弾幕の集中という形で。
「うわ、思ってたよりこれ怖っ!」
 振り返り、叫ぶロード。
 だが怯むわけにはいかない。
 このまま進軍していけば砂嵐砂漠エリアへと到達するだろう。ランドウェラオルタのシグナルが途絶えたエリアだ。
「見つけ出して、ぶん殴る! 必ずだ!」

成否

成功


第1章 第4節

アンジェラ(p3x008016)
当機、出撃す

 空中母艦VDMに備えられた第七番カタパルトに、レールリフトによって運搬された人型ロボットが到着する。
 すらりとしたボディ。背部につけた大型のブースター。両手にライフルを握ったその機体は――『キョウシン』アンジェラ(p3x008016)専用エクスギアエクス『キョウシン』である。
「エネルギー残量確認、99.1%異常なし。
 装甲武装展開、異常検知されません」
 コックピット内で顔を上げるアンジェラ。と同時にキョウウシンも顔を上げ、ゴーグルで覆ったかのような目元を光らせた。
「ブースター点火」
 カタパルトからの射出と同時に火を噴いたブースターバックパック。
 矢のように飛び出したキョウシンを待ち受けたのは『疑似宇宙』に浮かぶ無数の終焉獣たちである。
 巨大な花のような形をした終焉獣がつぼみめいた小型クリーチャーを無数に放出。それをキョウシンは両手のライフルで撃ち落とし、そしてバックパックからミサイルポッド用ハッチを開いた。
「敵機確認。撃墜します」
 一斉に放たれたミサイルが、敵終焉獣を爆発の渦に包み込む。

成否

成功


第1章 第5節

梨尾(p3x000561)
不転の境界
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
アズハ(p3x009471)
青き調和
H(p3x009524)
ダークナイツ
ヒロ(p3x010030)
子供の矜持

 空中母艦VDMのエアドックに並ぶ複数台のエクスギアエクス。
 コックピットへ乗り込むために渡された橋をわたり、開いた愛機の胸部へと滑り込む。
 『囲 飛呂のアバター』ヒロ(p3x010030)はシートに座り、閉じるハッチと灯るライトの中でいくつかの計器をチェックした。疑似宇宙へ出るにはエクスギアエクスに施したエーテルコーティングが必須である。生身で出ればたちまち死に至るだろう。
「宇宙とかマジで何でもありだな! くそ、早く終わらせて、普通に宇宙旅行とかしたい」
 そう言いながら機動したのはヒロ専用機『P-Breaker』。
 飛呂のもつ同名の狙撃銃Paradise Breakerにあやかっただけあって、機体のカラーリングやデザインもそれにかなり寄せていた。武装は中距離戦を軸にしたアサルトライフルによるものだが、戦い方はさして変わらない。
 よく狙って撃つ、だ。

「梨尾(p3x000561)――『ホムスビ』。出るぞ!」
 カタパルトを借りて飛び出した梨尾は的確な援護射撃を仕掛けるヒロの『P-Breaker』の力を借りつつ無数の敵機が並ぶ空間を突っ切っていく。
「パラディーゾなのに、血の繋がりどころかただのコピー元である俺の事を父さん、兄さんと呼んでくれた理弦が存在できるこの世界を、一緒に色んな景色を見るため。
 楽しい思い出作るために……消させるものか!」
 人狼めいたフォルムの『ホムスビ』は赤い刀身のブレードを抜くと、赤熱化したそれでもって敵機のボディを豪快に切り裂いて行く。
「死んでも構わない。死の恐怖なんかより大切な者に二度と会えない恐怖の方が俺は怖い……だから焼き尽くし続ける!!」
 そんな『ホムスビ』めがけ、黒いカラーの敵機体『デモン』が集中。三方向からとりかこむようにしてサブマシンガン型の武装を構えると、一斉に射撃――しようとした途端、彼らの銃がスパンと切断された。
「おっと、袋だたきたぁいただけねえな」
 黒い騎士にも似た人型ロボット。グッドクルーザーとの深層希望合体時を彷彿とさせるそのエクスギアエクスの搭乗者はもちろん『ダークナイツ』H(p3x009524)である。
 同じく黒い刀身の剣を握りしめると、勇者パースで構えてから必殺の『円月暗黒斬』を繰り出した。
 デモンたちがまとめて爆散し、その煙を貫くように円錐状の終焉獣が突進してきた。
 体表のあちこちからのぞいた目がミサイル弾頭となり、次々に生体ミサイルを発射。殺到してくる。
「俺がロボットに乗ってると爆散する気しかしねぇが……ま、そいつもヒーロー相手なら、だ。
 終わるにはまだ早ぇ。エンディングにゃ足りねぇのさ。希望が!」
 剣でミサイルを切断し、爆発に紛れながら連鎖爆発の中を駆け抜ける。
「繋げるぞ、俺達で! この先へ!」
 剣を突き出すように突進した『ダークナイト(仮)』。
 それに並ぶようにして『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)の専用機『コンダクター』が突進していた。
「……破滅主義はよく分からない。
 俺は破壊されて終わるなんて嫌だね。しかも他人に。
 この世界は終わらせない。存続させるためなら何度でも戦う。諦めない!」
 燕尾服を摸した黒白カラーのすらりとしたボディ。
 搭載された特殊音響装置によって煌めくような音をたてながら、煌めきの軌跡を描いて飛ぶそれは指揮棒のような魔術実行装置を突き出し、至近距離から終焉獣へ斬り付ける。
 ダークナイトとコンダクターの斬撃が交差し、終焉獣を派手に切り裂き、そして爆発させた。
「美しい星々だ。……戦いでさえなければ、落ち着く空間だったかもな」
 そんな彼らに、苦し紛れに生体ミサイル射出体勢にはいる終焉獣。
 だが――。
「カイザーブラックタイガーソウル!」
 ビガッ、と終焉獣の表面で光が瞬いた。
 否、光は巨大な柱となり、串となり、掲げたSAKEBINとなった。
「あれは……!」
 振り返るHとアズハ。
 そう、これこそが鋼鉄帝国現代皇帝がひとり『虎帝』夢見・マリ家(p3x006685)による専用機。
 ゴッドカイゼルVDMである!
「レインボギガブラスターぁぁぁ!!!」
 終焉獣表面にSAKEBINの光を突き立てると、更に背部から出現した二連装エビバルカンがうなりを上げる。
「キングトラァ――ハウリンッグ!」
 更にのけぞるような姿勢をとり両腕のニクキュウアームを開くと、ニクキュウ型リパルサーから凄まじい衝撃がはしり、どむんと終焉獣のボディを歪ませた。
「とどめです! レインボーゴッドアックス――『SAKEBIN』!」
 最後に突き立てたSAKEBINを握りしめ、終焉獣を内側から開くかのように切り裂いて行く。
 爆発四散する終焉獣。
「皆さん! 踏ん張りどころですよ!! 世界の命運がかかっているのです! 気合を入れなさい!」
 戦場をゆく女神のごとく串型装備を突き立てたマリ家に、空中母艦VDMから出撃していた鋼鉄兵たちが一斉に声をあげた。

成否

成功


第1章 第6節

シフォリィ(p3x000174)
クィーンとか名前負けでは?
ゼロ(p3x001117)
よう(´・ω・`)こそ
蕭条(p3x001262)
叩いて直せ!
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
蒲公英(p3x005307)
迷いを捨てて
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花
エーミール(p3x009344)
夕焼けを穿つヒト
ミミサキ(p3x009818)
うわキツ
いりす(p3x009869)
優帝
天川(p3x010201)
國定 天川のアバター

 荒野に横列を成す、数百という軍勢がある。
 その先端、鋼鉄帝国の兵をコピーしたと思われるシャドーレギオン部隊。その数およそ百。
 対するは、『優帝』いりす(p3x009869)率いる優帝小隊およびイレギュラーズ混成大隊。こちらも百。
 堂々と先頭に立ったいりすは、ライフルを戦旗のごとく地に立てた。
「もう一度来てくれてありがとうございます。
 正直、今回の戦いも辛いものになるでしょう……。
 でも、それでも! 『守りたい』という想いは同じです。
 守りましょう! わたしたち全員の『鋼鉄の明日』を!!」
 ぐるんと回し、信号弾を放ついりす。
 それに伴って一斉砲撃が始まるが、今回動くのは優帝小隊の砲撃隊だけではない。
「よし! 野郎ども! 俺が派手に暴れる! 間合いの外から援護しろ! 頼りにしてるぜ!」
 『國定 天川のアバター』天川(p3x010201)率いる天川隊。標準的なアーマーとスーツを着用した警察官機動部隊ににも似た、ライオットシールドと命中精度に優れた拳銃による武装で固めた部隊である。
 いりすの撃ち込んだ敵最前衛部隊めがけて思い切り飛び込むと、得意の小太刀二刀流による連打を繰り出した。
 援護射撃が波のようにぶつかり、敵前衛を駆逐する。
 対して、敵前衛残存部隊はそのタフネスを生かして天川隊へと反撃。
 両者混ざり合い混戦状態となった所で、『クィーンとか名前負けでは?』シフォリィ(p3x000174)率いるシフォリィ隊による射撃が始まった。
(戦いは終わったと思ったんですが、また新たな戦いですか……。
 ですが今回は今までとは違います、私も強くなったんです、押し返します!)
 決意の瞳で剣をとったシフォリィが飛び込めば、援護する形で銃士たちが魔導マスケット銃による一斉射撃を浴びせていく。
 優帝隊をはじめとする後衛部隊に敵前衛部隊を接敵させることは大隊の瓦解とイコールだ。シフォリィは『Q(クイーン)・プロモーション』を発動しオーラを纏うと、煌めくような斬撃によって2mを越える巨漢の戦士を切り倒した。
「私が皆を守らなくちゃ……!」
 前衛に偏りをみせる鋼鉄シャドーレギオン大隊。二個小隊をぶつけても未だ尚そのタフネスでもって押し切ろうと打撃をこちらに浴びせてきた。こういうとき『一方的に敵だけ倒す』という状態にならないのが集団戦というものである。こちらの前衛部隊もやや数を減らした所で、『夕焼けを穿つヒト』エーミール(p3x009344)率いる戦争屋ボディガードが突入。
「これが終わったら今度こそ飲みますよ!!」
 銃撃戦に優れた彼らがさらなる援護を仕掛けつつ、エーミールはシャムシール片手に敵陣へと飛び込んだ。
 天川、シフォリィ、エーミールと偶然にも同タイプの小隊編成が行われたことで三つの部隊は息を合わせ、三人の小隊長にヘイトを稼がせ残る隊員によって一斉射撃を浴びせるというスタイルが確立しつつあった。
 このとき危険なのは小隊長たちだが、最悪彼らが欠けたとしても『同一の作戦内容』であるために部隊の併合と再編成が容易であった。
 部隊としてのタフネスを語るなら、むしろイレギュラーズ側のほうが優れていると言ってもいいだろう。
 そんな所へ――。
「頼るのはやはり己の腕です……!
 という事でよろしく頼みますよ皆さん!
 今回も頼りにしてますからね……!」
 蒲公英(p3x005307)率いる剣客小隊が駆けつけた。
「総員抜刀! ――剣戟こそ戦の華! 斬り結び、突き進みましょう!」
 真っ赤な刀身を抜いた蒲公英を先頭に、剣術に優れた兵で構成された隊員たちが一斉に敵陣へと斬りかかる。
 蒲公英の大上段より撃ち込んだ剣を敵の前衛隊長が受け止めるが、蒲公英はその剣をもろとも破壊して相手の肉体を真っ二つに切り裂いた。
「戦え! 戦え! 生きるために戦うのではない!
 我々は戦うために生きているのだ!!ファイア!!」
 重火器で固めさせたヘビーアームズチームを率いた『よう(´・ω・`)こそ』ゼロ(p3x001117)。
 彼女の専用機エクスギアエクス・ゼロに搭載されていた『アトラス対戦車砲』を構えると、敵陣めがけて発射した。
 前衛同士が阻み合う今、後衛からの砲撃の威力が勝敗を分けることになる。
「へっ、どいつもこいつもボク抜きで物事を進めやがって。
 良いさ。ボクを無視できなくなるまで噛みついてやるぜ、R.O.O!
 パラディーゾだか天国だかしったことか!
 敵は倒す、金はもらう! これがボクたちの流儀だ!
 全弾撃ち尽くすまでが遠足だぜ!」
 爆発によって開いたエリアにさらなる打撃。
 『クマさん隊長』ハルツフィーネ(p3x001701)率いる『クマさん隊』が低空飛行状態で突っ込んだ。
 魔法の翼を装備したパワードスーツ『くまさん』によって武装した部隊はまさにハルツフィーネの力そのものである。
「我等はこの日の為に研鑽を積み、クマさんを愛で、クマさんと共に歩んできました。
 今こそクマさんのラブリーパワーで世界を救う時!」
 全員一斉に放つ『量産型クマさんビーム』が発射され、敵前衛部隊へと着弾。
 セイクリッド・クマさん・フォームに変化したハルツフィーネ(もといくまさん)は、渾身のクローでもって敵前衛部隊を切り裂いた。
「クマさんの可愛さの前に、慄き倒れ伏しなさい!」
 いかな脳筋鋼鉄兵とて馬鹿ではない。前衛部隊が破れたとなれば後衛の砲撃部隊は引き下がる別部隊との合流を目指すもの。
 そしてこれを許せば、折角前衛をこじ開けたにも関わらず残りの兵力を削ることが困難になってしまうだろう。部隊全体の視点で見れば『敵の復活を許す』ようなものだ。
 故に――。
「はいどーも! 私でス」
 戦場に投下された弾薬箱から飛び出した『ステルスタンク』ミミサキ(p3x009818)が広域に向けてヘイトビームを発射した。
「ROOエッダ氏にパラディーゾトモコ氏にー。
 いやー、こっちが探している相手からわざわざ集まってもらえてありがたい限りっスねー。
 でもって今回の事件群ではGoldを使わされましたからねー!
 おのれROO美咲、お前出てきたら私も動かざるを得ないだろ……というわけで腹いせパンチ!」
 突っ込んできた敵後衛部隊にパンチを浴びせると、周囲に潜伏していたミミサキ隊の面々がステルスマントをはいで立ち上がり一斉射撃を開始。
「皆ぁ、今だよぉ」
 『深海に揺蕩う月の花』エイラ(p3x008595)が空中から攻撃を開始。
 自身は電撃を待とうと、『くらげ火』を大量に投下した。
 電撃がプラスされたくらげ型ボムが次々と爆ぜる中、同じく飛行状態にあった鋼鉄兵たちが爆弾を投下していく。
「誰よりも君達がぁ鋼鉄を守りたいだろうしぃ選挙で得た新たな未来を見たいよねぇ? 護るのはぁエイラに任せて欲しいんだよぉ」
 どこか優しくそんなことをいうエイラ。
 敵砲撃部隊が撤退を諦めたのか、エイラたちに砲身を向け始めた。
 だが、その行動はもう遅い。端から見れば『自棄になった』と言えてしまうほど、次なる一手は決定打となった。
「みなさーん、お待たせしましたー!」
 大型化した装甲車を突っ走らせた『叩いて直せ!』蕭条(p3x001262)。大型化っていうか列車のように連結された貨物車に兵力をぎゅうぎゅうに詰め込み、蕭条隊は敵砲撃部隊へと文字どおり激突した。
「展開! けど私もこの歳で号泣したくないのでサバイブ必須でお願いしますね!」
 蕭条隊の面々が他の部隊の面々共々一斉に飛び出し敵砲撃部隊へと襲いかかる。
 その有様はもはや海のさざなみが砂の山をさらうが如く。
 何も残さず平らな地面だけを作り、イレギュラーズ混成大隊は敵部隊に勝利したのだった。

成否

成功

状態異常
エーミール(p3x009344)[死亡]
夕焼けを穿つヒト
天川(p3x010201)[死亡]
國定 天川のアバター

第1章 第7節

セララ(p3x000273)
妖精勇者
アイ(p3x000277)
屋上の約束
ロード(p3x000788)
ホシガリ
雀青(p3x002007)
屋上の約束
タイム(p3x007854)
希望の穿光

 穿った敵部隊を更に追い詰めるかのように、イレギュラーズたちに率いられた鋼鉄兵たちが突撃していく。
 とはいっても、先ほどの戦いで負傷した味方を守りながら撤退させる必要もあるために『追撃』というより『入れ替わり』に等しい。
 敵は敵で戦力の入れ替えを始めるので、再び激しいぶつかり合いが必然として起こった。
「この戦いに世界の命運がかかってる。でも大丈夫!皆で力を合わせれば絶対に勝てるよ! さあ、世界を救いに行こう!」
 空に飛び上がった『妖精勇者』セララ(p3x000273)は以前も率いていた魔法少女部隊を再編成。
 『究極!スーパーセララキック!』をアローヘッドとした一斉突撃を敢行した。
「とっつげきー!」
 対抗したのはノーザンキングス精鋭部隊。
 今度ばかりはインスタントシャドーレギオンとは異なる生身の戦士だ。
 そしてだからこそと言うべきか、死に物狂いで襲いかかる彼らのパワーは恐るべきものだ。
 魔法少女部隊のマジカルアサルトコンボとシルヴァンスパワードスーツ部隊による一斉ガトリング射撃が熾烈にぶつかり合う。
 そこに割り込みをかけたのが『屋上の約束』雀青(p3x002007)と『月将』タイム(p3x007854)による混成中隊である。
 肩パッドとモヒカンの男達が斧と火炎放射器を担いで走り出す。
「また会ったわねあなた達! 今度はわたしの言う事よーく聞い……てない!」
 一人取り残されたタイムを余所に、『I♡てぇむchang』のTシャツをきたヒャッハーたちが総攻撃をぶちかます。
 まあそうなるよねと思いながら、タイムは手のひらを額にかざして敵陣を観察した。
「そういえば、ウェラさんをコピーしたパラディーゾが敵に居たよね。知ってる顔が悪さしてたら気分よくないしガツンと何かいってあげたいんだけど……見つけられそう?」
 丁度隣に立ち止まったロードに話しかけると、ロードは渋い顔をしていた。
 彼の編成した砲撃部隊が古代兵器から改造したというレールキャノンを撃ちまくり敵陣にぼんぼん物理敵な圧をかけていく中での渋面である。
「いや、まだだな……。反応が途絶えたのがこの先だから、戦っていればいずれ現れるとおもうんだけど……あっこら前に出すぎるな! 先頭は俺! 援護はお前たち! 命を大事にしながら進軍ーーーーー!!!!」
 ロードは刀を手に取ると敵陣めがけて突っ込んでいく。
 そこへ『屋上の約束』雀青(p3x002007)と『屋上の約束』アイ(p3x000277)の部隊も突入を開始した。
 雀青の部隊は『全員が近接戦闘に適性がある』こと以外まるで統一感のないチームであった。ある意味イレギュラーズらしいと言うべきだろうか。
 そんな彼らに剣を振り上げ、『恐怖に立ち向かい、己を守れ』と声を張る。
 一方で、揃いの軍服を纏った瞳(アイ)小隊。
「……さァ!僕らの未来を創るが為の戦いダ!
 例え終末的存在が有ろうと臆する事は一切なイ!
 何故なら此処には……君達が居ル!
 望みを捨てるな上を向ケ!
 臆する事なく前を視ヨ!
 諦めなけれバ!どんな未来だって作り出せるのだかラ!」
 アイと雀青二人による『突撃』の号令に合わせ、彼らは攻撃を開始。
 シルヴァンスパワードスーツ部隊めがけ殴りかかる雀青隊を援護する形で回復支援とカバー防御を行う瞳隊。
 アイと雀青はシルヴァンスパワードスーツ部隊の長であるレンチ将軍へと襲いかかった。
「輪舞する青の大鎌(ロンド・ブルーエコース)――!」
 雀青の放つ音の塊を拡張腕のシールドで防御するレンチ将軍。
 そこへアイの抜刀した天星で斬りかかる。
 がちんと刀がとめられる――が、そこへ激しい雷が落ちた。
「これは……」
 力の流れにどこか既視感を覚えたロードが空を見上げると、そこにはスケッチブックを広げた『チャネラー』が浮かんでいた。
「待たせたな」
 戦場の風になびく金髪を払い、不敵に笑う『チャネラー』。
「来て、くれたのか?」
「先に呼びつけたのはこっちだからな。貸し借りはこれでナシとしようか。それに……来たのは私だけではない」
 ピッと空を指さすと、どこからともなく黒いコートをなびかせたペストマスクの男が降下し。抜いたスーパーカーボン製ブラックソードでレンチ将軍の拡張腕を切断した。
「待たせたな」
「それさっきも聞いた」
 決め顔(仮面越し)で振り向く多次元侯爵ZEROに応えるアイ。ZEROは『そう言うな』といって自分の持った刀をぽいっとアイへと投げて寄越した。交換するようにアイも刀を投げてよこし、それぞれの刀を握ったと同時に彼らはレンチ将軍のパワードスーツを切断。
 むき出しになった生身に対して、雀青の『前奏たる赤の剣(プレリュード・レッドミ)』が貫通した。
 召喚した剣がタヌキ型獣種の胸を貫き、その動きを止める。
「さあ、もう一度世界を救おうか」

成否

成功


第1章 第8節

 ――時を遡ること、数十分前。

 大砲と大砲が飛び交い、爆発と爆発が交差する。
 巨大移動要塞ギアバジリカの進行は、数百という数のシャドーレギオン&ノーザンキングス連合軍を前に立ち止まらざるを得ない状況にあった。
 ROOネクスト世界、鋼鉄帝国南西部。世界の滅亡を駆けた大決戦の一幕である。

「ヴェルス、なぜ進まん。正面突破は鋼鉄の華だろう?」
 ギアバジリカ中央コントロールデッキ内にて、ガイウス・ガジェルドの言葉にヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズは額に手を当てた。
「まあ、君ひとりならそれで済むんだけどな……覚えてるか? 首都進撃時、ディアナ軍がギアバジリカにどう対抗してきたか」
「特攻兵器を連打し足を止め、強襲兵器で兵を流し込み、機関部まで攻め入った……だのう」
 ザーバ・ザンザがどこか穏やかに言って、ガイウスは低く唸った。
 己の身を頑強に鍛え上げる鋼鉄軍人やS級ファイターは忘れがちだが、『人は大怪我をすると死ぬことがある』のだ。
 前回の首都決戦が死者零人で済んだのは奇跡も奇跡。非戦闘員だらけのギアバジリカに浸透されれば死者数が跳ね上がってもおかしくはなかった。
「今は首都からかなり離れてる。いま移動要塞が持ってる役割は負傷して戻ってきた兵の収容と回復だ。病院が脚生やして戦場に突っ込んだら……な?」
 わかるだろ? というヴェルスの視線にガイウスは静かに目を瞑り、そして頷いた。
 世界は強者ばかりではない。そして、イレギュラーズたちの多くは『誰も死なせない戦い』を望んでいた。国を救われた彼らとしては、そのオーダーには全力で応えたい。
 世界を救うことは、人を救うことであると同義であると言ってもいいのだから。
 そして最大戦力であるヴェルスたちS級闘士が出撃しない理由は、そんなギアバジリカ自体を守護するためだ。負傷した何百と言う兵を敵軍から守るため、そして敵軍に今だ姿を見せないパラティーゾという強者たちへの警戒のためだ。
「えーっと、じゃあ今は助っ人を送るのがイチバンってことでいいのかな?」
 デッキにひょこっと顔を出したのはパルス・パッションだった。
 振り返るS級の面々にパルスが『ご紹介!』といって手をかざした。
 デッキには四人の人物が現れ、周りを見渡した。
 ――航海王国より、資産家にして『正義の社長』鵜来巣 朝時。
 ――正義国より、『秘密結社XXX四天王第三席次』多次元侯爵ZERO。
 ――同じく正義国より、介入対策局局長『オートマティスムチャネラー』。
 ――そして翡翠国より、ドールマイスターコウ。
 その中で代表して、ZEROが胸に手を当てて語り始めた。
「我々はイレギュラーズに命を、世界を、そして運命を救われた者たちだ。彼らの危機には必ず駆けつけると約束した者たちだ」
「友達が困ってたら助けたい……そう考えるのは、自然なことだしね」
 なんだか凄い人達にかこまれちゃったなと苦笑するコウ。朝時はフッとニヒルに笑った。
「この世には金で買えないものが三つある。運命と、信頼と、そして友だ。この戦い、あらゆる手段で支援させて貰うよ。手始めに、大量の医療品と食料物資を不凍港経由で運び込ませて貰った」
「他にも、イレギュラーズを支援したいと考える仲間は山ほど居る。この後続々とやってくるだろ。まずは、敵の鼻っ面をへし折ってやればいいんだろ? 嫌と言っても手伝わせて貰うぞ?」
 チャネラーはぐっと背伸びをして、そしてデッキを出て行った。
 彼らは(非戦闘員の朝時を除いて)早速出撃装置を使って前線へと飛び出していくらしい。
「それじゃ、ボクも行くね。友達が待ってる気がするんだ!」
 パルスも走り出し、デッキにはS級たちが残された。
「鋼鉄の未来も安泰、だのう」
「ああ、全くだ」
 ヴェルスとザーバたちは顔を見合わせ、そしてギアバジリカを死守する決意を新たにしたのだった。


第1章 第9節

 一方で……。
「さぁーって、そろそろアタシも働かねえとな!」
 戦場が割れた。
 ノーザンキングス連合軍に対し、イレギュラーズ率いる数百という規模の大隊がぶつかる最前線が、物理的にばっくりと裂けたのである。
 荒野の大地が裂け突然谷が生まれ、何十人という味方が転落していく。それを助けるべく飛行可能な兵たちが飛び込み救助するその様子を、裏蛮鳥ダークネス・ゲートリに跨がったダークネアンデルタールガールこと『トモコ』が見下ろしていた。
 そう、彼女によるハンマーの一撃によって、大地は裂けたのだ。部隊の誰かが叫ぶ。
「下がれ! 『アレ』を相手に数で攻めるのは自殺行為だ!」
「そーゆーコト」
 トモコ・ザ・バーバリアン(p3x008321)は拳を鳴らしながら前へ出て、引き連れていた部下達に下がるようジェスチャーした。
「アンタらは周りの軍勢を抑えといてくれよ。ヤツには隊長各が……アタシらイレギュラーズがブッコむのが一番だろ」

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※新規パートタグが追加されました!
 現時点からプレイングが募集され、有効参加人数が一定に達した時点で決行されます。

【ネアンデルタール】
 ダークネアンデルタールガールこと『天国篇(パラティーゾ)第一天 月天の徒』トモコが戦場に出現しました!
 魔種に相当する存在である彼女は非常に高い戦闘力を持ち、一般兵を戦わせると死亡の危険があります。
 そのため、周囲の兵は部下達に任せ、イレギュラーズたちだけで戦いを挑まねばなりません。
 戦闘難易度は高いですが、もし解決すれば敵戦力の要をひとつ消すことができます。
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第1章 第10節

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※イベント発生!

【ネアンデルタール】パートが規定人数に達しました。作戦が実行されます!
結果をお待ちください……
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第1章 第11節

ユグゴト・ツァン(p3x000569)
お母さん
入江・星(p3x008000)
根性、見せたれや
リゼ(p3x008130)
熊大将

 文字通りに引き裂かれた大地の上。隊の半数を失いかけていた『熊大将』リゼ(p3x008130)率いるリゼ隊は地上への復帰と隊の合流をはかっていた。
「隊長!」
 小型ライド『ティマイオスサーモン』をサーフボードのように乗りこなしたクマ獣種の女達がソルトハイドロジェットをふかして裂け目から飛び出し、転落しつつあった仲間を小脇に抱え着地した。
 アトランティスサーモンの上に立ち腕組みをしていたリセはそれを横目に見て、小さく頷く。
「コレがパラティーゾの実力ってワケか……この前はマジで『小手調べ』だったみたいだな」
 だが、ここで躓いているわけにはいかない。
 この巨大すぎる壁の先に、『彼女』が待ち構えているのは確実なのだ。
「ベルゼルガであるアタシが、他ならぬ自分《アタシ》に負けるわけには行かないんだよ……ヴィーザルのタフガールども! まずは邪魔な連中を食い破るよ!」
 ドゥッというジェット音と共にアトランティスサーモンで走り出すリゼ。構えたハープーンガンを構えると、左右で編隊を組むクマ獣種ガールたちも同じようにハープーンガンを構え、一斉に発射した。
「さながら群れにして1匹の獣のように、狡猾に狙い、獰猛に駆け、冷酷に喰らい付け!」

 あまりにも『衝撃的』な攻撃を受けたイレギュラーズ混成大隊。数百という部隊が再展開と再編成をはかるなか、『神落し』入江・星(p3x008000)率いる星屑小隊は再編成の時間を稼ぐために奔走していた。
「右翼側はリゼ隊に任しとき。連中なら生き残るやろ、タフやし。それより気張っとけや? こっちはこっちで暫くしんどいで」
「はい、星☆隊長!」
「その間に『☆』入れんのやめえや」
 あえて笑ってみせる星。部下の笹森は照れたような顔で笑った。
 刀を抜く彼の一方、星は銀の指輪をいくつもはめて拳を固める。
「ぶっちゃけこの国にゃあ何の因果も思い入れもないんやけど、なんでやろな。やり方は性に合う。
 ウチらの小隊名は星屑(スターダスト)小隊。
 一瞬の閃光のように、されど降り注ぐ流星のように。この戦場を突き進もうや。
帰ってうまい酒を飲むために!」
 迫るシャドーレギオンの軍勢。
 殴り合う男達。
 『母胎』ユグゴト・ツァン(p3x000569)はそんな中に混ざるようにしてユグゴト隊を突入させた。
 豊富なHPと反撃能力を備えたユゴクト隊は、さながら『巨大なユゴクト』であった。
「鎧着た仔がこんなにたくさん、素晴らしい列だと思わない?
 ふふふ。こんなに楽しそうなごっこ遊びは初めてよ?
 さあ、子供達、往くわよ! これが終わったら存分に抱いてあげるからね」
 ユグゴトの恐ろしさはこうした『時間稼ぎ』に凄まじく役立つ。敵側はユゴクトの厄介さに気付くまで時間がかかり、よしんば早期に気付けたとしても対応策が狭まってしまう。あまり一般的でないスタイルであるがゆえに適したカードもまた選択されづらいためだ。
 一応、割合ダメージに優れたBSを無理矢理押しつけて継続させたり、足止めしたまま放置したりといった対策があるが、相手が少数でかつ時間を稼ぐタイミングでぶつけられると『相手にしなければならない』ために非常に厄介なのだ。
「何だって受け止めてあげるんだから。全部ぜぇんぶ皆でかばって、最後には美味しい私料理を味わいましょうね」

成否

成功


第1章 第12節

シフォリィ(p3x000174)
クィーンとか名前負けでは?
梨尾(p3x000561)
不転の境界
ロード(p3x000788)
ホシガリ
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
アダム(p3x006934)
いちばんの友達
きうりん(p3x008356)
雑草魂
天川(p3x010201)
國定 天川のアバター

 仲間達がシャドーレギオンの軍勢を抑えているその間、『雑草魂』きうりん(p3x008356)や『生まれたものに祝福を』梨尾(p3x000561)たちは本件本命であるところのダークネアンデルタールガール……セーラー服に石斧を担いだ『天国篇第一天 月天の徒』トモコの前へと立ち塞がっていた。
「かかってこいやおらー! ネアンデルタールだかネルネルネールだかしらないけど雑草魂みせたるぞー! おらー!」
 シュッシュとシャドウするきうりん。単なるイレギュラーズアバターにしては纏うオーラが違う。
 そのことに、どうやらトモコも感づいたようだ。
「あんた……『グリーンガール』だな?」
「巷でウワサになってた? やだー。と見せかけてオラァ!」
 きうりんは照れモーションを途中でキャンセルし、トモコに雑草パワーをフルに集めた拳で殴りかかった。対抗してハンマーを打ち付けるトモコ。
 あろことかパワーは相殺され、互角であるようにすら見える――と思ったらきうりんの半身が吹き飛んだ。
「あやっばい死ぬ!」
「まともに食らったら根性(EXF)が意味無さそうですね……!」
 梨尾は空高くへと飛び上がり、二振りの赤い刀と灰銀狼を具現化させるとトモコへと放った。
 側面から直撃を受けたトモコは片腕で防御しつつも、その腕から血をふき灰銀狼のタックルめいた噛みつきによって押し倒される。更にきうりんが覆い被さりマウントをとった。
「よっしゃ! 私ごとやれ!!」
 が――。
「――舐めんなァ!」
 トモコが地面をドンと拳で叩くと大地が震撼し、きうりんと灰銀狼が吹き飛んだ。
 更にトモコは手にしていた石斧ダークネアンデルタールを空に向けて投擲。
「――!?」

 空で大爆発がおきた。
 トモコの放った石斧がなにかにぶつかり、その衝撃が爆発的に広がったためである。
「大物登場たぁ聞いてたが……ちと『大物』過ぎねえか?」
 『國定 天川のアバター』天川(p3x010201)が困った顔をしつつも、『陽光』と『月影』の小太刀を構えた。
「ま、俺向きではあるか。せいぜい一発でくたばらねえようにしねえとな……!」
 立ち上がったトモコめがけ、真正面から突っ込んだ天川は國定流小太刀術『背水廻刃(はいすいかいじん)』を繰り出した。
 カウンターのように拳を撃ち込んできたトモコのパワーを小太刀で受け、まるで独楽を回すかのように自らを急回転。トモコへ竜巻の如く斬りかかる。
 無論『受け』の時点で天川の肉体は8割方破壊されていたが、むしろ『好都合』だ。
 喰らったダメージを倍にしてたたき込むのが彼の技であり、それだけ鋭くなるのが彼の剣である。
 が、それだけではなかった。
「朋子さんの姿をしていても、これはNPCにして存在してはいけない仮初の存在、別物です! 壊させるわけにはいきません」
 衝突の寸前に『クィーンとか名前負けでは?』シフォリィ(p3x000174)の付与していた『Q・プロモーション』によって【反】属性を得ていたために、ダメージは更に加速していたのだ。
「何もかも破壊するなんて間違っています! この世界はこの世界の秩序を以て保たれているものです! どんな理由があったとしても、壊させたりなんかしません!」
「だったらどうすんだあ!? アタシを壊さなきゃあ、世界をぶっ壊すだけだぜ! シンプルイズベストォ!」
 激しい傷を全身に負いながらも天川を撃破したトモコはシフォリィへ接近。
 落ちてきた石斧をキャッチしスイング。シフォリィは4tトラック正面衝突並の衝撃を、しかし垂直に構えた剣で受けた。
「無闇に大地を削るとは。あちらは世界を壊す目的にしても、自然に優しいクマさんはげきおこです」
 そこへ『クマさん隊長』ハルツフィーネ(p3x001701)が乱入。もとい、クマさんが乱入した。
 セイクリッドフォームにチェンジしたクマさんは翼を羽ばたかせ突進すると、両腕からはやしたクマさんクローで斬りかかる。
「第一天だか二天だか知りませんが、クマさんを前に自由に動けると、思わないことです!」
 どうやらトモコ、二つのことを同時にできない性格のようだ。シフォリィを押し込もうとしている間にクマさんクローの直撃をうけ、小柄なJKボディが吹き飛んだ。
 大きな岩に激突し、ガハッと血を吐くトモコ。
「コウ、それにコウの大切なドール達、どうか今だけ力を貸して!
 ぬいぐるみ小隊の皆のこと、お願いね。
 戦いが終わったら、また君の素敵なおうちのお庭で、美味しいお茶を入れてほしいな!」
 そこへ追撃を仕掛けたのが『いちばんの友達』アダム(p3x006934)である。
 後ろを、そして仲間達をピッと二本指を立ててOKサインを出したコウに任せトモコめがけてジャンプ。そして構える。
「君と同じで、俺も戦いは好きじゃない。でも、君達が生きるこの世界を、俺はどうしても守りたい!」
 ぬいぐるみの両腕から集まったフルパワーのエネルギーボールが、トモコめがけて放たれる。
 『屋上の約束』ロード(p3x000788)もそれに続き、刀で思い切り斬りかかった。
 衝撃、炸裂、そして爆発。岩が砕け散り砂煙があがる。
 トモコは攻撃をよけなかった。避けられなかったのかはわからないが……。
 ぱらぱらと落ちる小石をよそに、ロードは確かな手応えを感じていた。
「チャネラーには後でちゃんと礼をしないと。こんぺいとう好きかなぁ……」
 などとつぶやき、パラティーゾを一体撃破したことを報告しようときびすを返した。
 ロードの部下達がかなり離れた場所でシャドーレギオン大隊を相手に派手に切り結んでいるのが見えた。
「ちゃんと他の兵を抑えに行ってるな。よし、そのままだ。すぐそっちに戻るから待ってろ」
 ロードが歩き出そうとした、その時。
 大地が再び震撼した。
 否。
 ――ひっくりかえった。
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※ボーナス獲得
 本節参加者は高度な戦闘に参加したため、獲得名声とGOLDにボーナスを得ています。
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成否

成功

状態異常
シフォリィ(p3x000174)[死亡]
クィーンとか名前負けでは?
梨尾(p3x000561)[死亡]
不転の境界
ロード(p3x000788)[死亡]
ホシガリ
ハルツフィーネ(p3x001701)[死亡]
闘神
アダム(p3x006934)[死亡]
いちばんの友達
きうりん(p3x008356)[死亡]
雑草魂
天川(p3x010201)[死亡]
國定 天川のアバター

第1章 第13節

セララ(p3x000273)
妖精勇者
トモコ・ザ・バーバリアン(p3x008321)
蛮族女帝
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録
天狐(p3x009798)
うどんの神
ミミサキ(p3x009818)
うわキツ
いりす(p3x009869)
優帝
ゼスト(p3x010126)
ROO刑事ゼスティアン

 真っ平らにならされた大地の上に、すらりと背の高い女が立っていた。
 トモコ・ザ・バーバリアン・オルタナティブ。
 『ネアンデルタールの戦士として理想的な成長を遂げたトモコ』としてデザインされたトモコのアバターを元に改造されたバグエネミーであり、パラティーゾトモコのいわゆる本気モードである。
「フ……世界を賭けた最終決戦ともなれば、この姿をさらす必要もあるということ、か」
 低く笑うトモコ。人格はおそらく、石斧ダークネアンデルタールのそれである。
 倒れた味方の代わりにというべきか、上空から投下された兵器ケースから『ステルスタンク』ミミサキ(p3x009818)がばこっと姿を現した。
「どうもー、美咲がお世話になってます。双子の姉のミミサキですっ……まあ、嘘ですが」
 出会い頭にジョークかどうか分からない嘘をぶつけるミミサキに、トモコは黙って小首をかしげた。
「どうした。あの娘を焚き付けたことがそんなに憎いか?」
「分かってるじゃないスかー」
 べろんと箱から巨大な舌を取り出すと、それを鈍器にしてトモコめがけて殴りかかる。 ――が、ミミサキ単身での攻撃では、ない。
「んじゃ、おれのマザーハンマーとも殴り合いだ、ねーちゃん!!」
 別方向から突っ込んできた『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)の振りかざしたハンマーが、ほぼ同時にトモコへと襲いかかった。
 トモコは一度ハンマーを手放しミミサキの打撃を右腕でキャッチ。更にルージュのハンマーを左手でキャッチ。
 舌とハンマーがそれぞれ同時に『握り潰される』気配を察した二人はゾッと表情を青くするが、その瞬間に上空から二人の影が襲来した。
「朋子ちゃんやっほー! 聖剣騎士団同士のバトルだね。手加減とかしないから!
 ――全力全壊! ギガセララブレイク!」
 雷撃を纏った剣とともに流星の如く突撃する『妖精勇者』セララ(p3x000273)。
 どういう理屈か空から降下されてきた『うどんの神』天狐(p3x009798)は屋台からジェット噴射(あご出汁)を仕掛け急接近。屋台をまるごと鈍器に変えると、天狐はそれをトモコめがけて叩きつけた。
「強敵に立ち向かう時に必要なモノは何か!
 即ち! 気合!
 あと閃きと運じゃ!」
 そらあと叫んで打ち込んだ打撃が、ルージュとミミサキをそれぞれ受け止めていたトモコの頭部に命中。セララの剣も叩きつけられトモコに直撃を与えた……筈だが。
「それで、手加減をしなかったと?」
 トモコはククッと笑って立っていた。
 二人の攻撃を受けた姿勢から、ほんの一粍たりともその場を動かず。直立姿勢のまま。今度こそルージュのハンマーとミミサキの舌を握りつぶした。
「うお……!?」
 つんのめるルージュ。一方のセララはあまりに『固い』手応えに一旦弾かれながらも、すぐにターンをかけた。
(朋子ちゃんとのバトルは楽しいけど、これは世界を救う戦いだからね。
 パワーでは負けてても、想いの強さでは絶対負けない!
 剣に込めるのは正義の想い。皆を守るため、ボクの命を賭けて戦おう!)
「ボクは一人じゃ無い。皆の力を合わせるよ。勝つのはボク達だ!」
「然様! 圧倒的パワーが相手だろうと! 力を合わせれば打ち砕けぬモノなど無い!」
 もう一発じゃ! とセララとコンビで繰り出した屋台アタックが、トモコのアッパーカットによって吹き上げられる。
 螺旋の暴風を纏って天空へ打ち上げられた拳で、セララや天狐たちが吹き飛んでいく……が、セララたちは片目をぱちりとあけてトモコを見た。
「大丈夫、効いてるよ! そうじゃなきゃ『払いのける』なんてことしない!」
 体にそよぐ微風を人は払わない。宙を舞う微量なホコリを払いのけない。払うのは、それが『邪魔』だと分かっているからだ。
 パラティーゾトモコにとって、無視しきれない障害であると。
 回転して戻ってきた石斧をキャッチするトモコ。
 それに向け、『ROO刑事ゼスティアン』ゼスト(p3x010126)と『優帝』いりす(p3x009869)が同時に構えた。
「あの恐ろしいまでの力は前の戦いでの話で知っています。
 後ろで待つ人、避難のために動いている人たちが被害に遭わないようにするために……。
 わたしたちが、ここで止めますよ!」
「ダークネアンデルタールガール! 貴様はこのROO刑事ゼスティアンが止めるであります! ゼスティアン、任務了解!」
 宙をかくように腕を回し、交差した腕にエネルギーを集中させるゼスト。
「ゼタシウムゥゥゥゥ……光線ッッッ!」
 いりすもまたライフルを構え、トモコの石斧を狙って射撃――をした途端。トモコはちらりと自分の手首を見た。
 いりすの放ったライフル弾頭が回転し手首に着弾……した途端に、まるで服にあてた鋲のようにひらたく潰れた。直後石斧の石部分に着弾したゼタシウム光線が、バチッと弾けて消えていく。
「この石斧が我が手から離れればよいと……そう思ったのか?」
「……」
 いりすは応えず、素早くレバーを操作して次弾を装填。
「もう一撃ッッッ! 超・電磁シュートォォォォッ!」
 ゼストは駆け込み、飛び上がりと宙返りを挟んでトモコめがけてドロップキックを放った。
 そのインパクトにぴったりとかさねるよに、いりすはピンポイントの射撃を行った。
 狙い違わずトモコの胸に集まった攻撃は、石斧のスイングによって打ち払われた。
「無駄だ。斧を例え落としたところでこの娘が力を失うことなどない」
 トドメだ。と呟いて振り上げた石斧。
 そこへ、『深海に揺蕩う月の花』エイラ(p3x008595)が思い切りタックルを仕掛けた。
 同時にエイラから飛び出した『くらげ火』が一斉に破裂。電撃を纏ったそれらがトモコの眼前で激しく瞬き、トモコの視界を覆う。
 がしりと石斧を持つ腕にしがみつくエイラ。
「さぁチェーンデスマッチと行こうかぁ?」
「無駄だと言っているのがわからんか!」
 石斧ごと振り回し、エイラをぶん投げる。あまりの衝撃にエイラは地面と水平に飛び、いりすへと激突して転がった。
 が、そんなエイラの腕には石斧があった。
「――ッ」
 思わずパラティーゾトモコは手を伸ばして走り出す。
「そこだオラァ!」
 『蛮族女帝』トモコ・ザ・バーバリアン(p3x008321)が跳躍。
 更にギリギリの体力で起き上がったミミサキやセララ、ルージュや天狐さらにエイラやいりす、ゼストたちが力を合わせ、エイラのパスした石斧へとパワーを集中させた。
「来ォい――デルさん!」
 手をかざしたトモコの手に、デルさんが石斧に変身し握られる。集中した八人の力が『神器ネアンデルタール』へと集まり、紅蓮の炎のごときオーラとなって燃え上がる。
「『デルさん』の性格で無駄だ無駄だっつうってことはよー。
 『アタシ』の性格でわざと手放したり素面で受けたりするってことはよー。
 ……『一番やられたくねえ』ってことだよなあ!」
「やめ――っ」
 手を伸ばすパラティーゾの目の前で、石斧……もとい『魔剣ダークネスネアンデルタール』が砕け散った。
 が、無事にではない。トモコの握る神器ネアンデルタールは反動で砕け、パワーを送っていた仲間達も放射状に吹き飛び転がり、そして光の粒子になって消えていく。
 最後に残ったのは仲間のパワーによってギリギリで守られたトモコと、手を伸ばしたまま目を見開くパラティーゾトモコの二人だけであった。

「あ? アタシは一体……」
 ぱちくりと瞬きするパラティーゾトモコ。
 トモコはこきりと首をならし、その正面に立った。
「ここでよお、『アタシはしょうきにもどった』とか言って間抜けヅラで仲間になるとかいう、クソみてーな演技はすんじゃねえぜ?」
「……」
 ニイ、と笑みを浮かべるパラティーゾトモコ。
「『アタシ』は分かるんだよ。デルさん握ったその日からヒャッハーしてたわけじゃねえ」
「……ああ」
 同じようにコキリと首をならすパラティーゾトモコ。
 二人は歩み寄り、握手でもするように手を伸ばし。
「「『アタシ』は!」」
「「『もとから』だ!」」
 たがいの顔面はなっぱしらド真ん中に拳の骨をたたき込んだ。
 血を吹き出しながらも歯を見せて笑い。今度は横っ面に拳をたたき込む。
 クロスされた拳は綺麗に互いの頬を打ち、どころか砕き、喋れもしないまま、『ハッ』と獰猛に笑った。
「楽しかったぜ……『トモコ』」

 ――そうして、『天国篇(パラティーゾ)第一天 月天の徒』トモコは消滅した。

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※ボーナス獲得
 本節参加者は高度な戦闘に参加したため、獲得名声とGOLDにボーナスを得ています。

※イベント達成!
 パラティーゾトモコを倒し、【ネアンデルタール】パートの成功条件を満たしました!
 敵主力メンバーのひとりを撃破したことで、残るネームドたちが出撃の準備に入っています。

 また、これにより【ネアンデルタール】パートの受付を終了します。
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成否

成功

状態異常
セララ(p3x000273)[死亡]
妖精勇者
エイラ(p3x008595)[死亡]
水底に揺蕩う月の花
ルージュ(p3x009532)[死亡]
絶対妹黙示録
天狐(p3x009798)[死亡]
うどんの神
ミミサキ(p3x009818)[死亡]
うわキツ
いりす(p3x009869)[死亡]
優帝
ゼスト(p3x010126)[死亡]
ROO刑事ゼスティアン

第1章 第14節

リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
樹里(p3x000692)
ようじょ整備士
ジャック翁(p3x001649)
吹雪(p3x004727)
氷神
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
玲(p3x006862)
雪風
うるふ(p3x008288)
銀河を狩る獣
かぐや(p3x008344)
なよ竹の
Λ(p3x008609)
希望の穿光
鬼丸(p3x008639)
鉄騎魔装
マチルダ(p3x009315)
その罪は譲らない
H(p3x009524)
ダークナイツ
CALL666(p3x010222)
CALL:Beast

 戦場にひとつの区切りがついた、その一方。
 巨大な円形のゲートに突入し『疑似宇宙』にて戦っていた空中母艦VDMは新たな脅威にさらされていた。
「前方より巨大物体接近! こちらと同型の空中空母です!」
「何ですって……!?」
 虎帝機ゴッドカイゼルVDMの修復中、中央コントロールデッキに戻っていた『虎帝』夢見・マリ家(p3x006685)は思わず身を乗り出した。
 モニターに映し出されたのは、はるか遠くに見える巨大な岩石状の『終焉獣デカラビア』と呼ばれる存在のみ。
 周囲の宙域を飛んでいた敵機は全て撃墜したばかりだ。
 ……いや、違う。
 真正面より迫るその船影が、デカラビアの色に混じってすぐに見えなかっただけだ。
 空中母艦VDMに似たそれは、大量の武装をそなえたまさに要塞であった。
 カタパルトから出撃するのは……。
「あれは、まさかあのときの」
 虎のような耳をつけた、赤い人型のロボット。立ち姿に見えるどこか孤独な鋭さは、いつかザーバ軍閥と戦う際にぶつかったROO内NPCの『マリア・レイシス』を思わせた。
 仮称マリア機がスッと腕を伸ばすしぐさをすると、命令に従事するかのように次々と敵のエクスギアエクスが敵空母から出撃しはじめた。
 そしてその全てが、強力なカスタム機であった。

「にゃっはっは! またもやこの機体に乗ることになるとはのう!
 遅かったではないか! 征くぞ、妾専用エクスギア・EX『雪風』!」
 対抗し母艦から飛び出した『雪風』玲(p3x006862)。
 そしてこの宇宙めいた風景に、ものすごく既視感をおぼえた。気のせいだとおもうけど。
「まあよい! 今回もパイルバンカーとレーザーブレードの剣豪アセンブルっ!
 好きに暴れ、理不尽に死ぬ。それが妾じゃ、肉体の有無ではないっ!」
 スラスターを噴射し正面から突っ込む雪風に対し、まるで黒い鎧武者のごとき敵機が腰から赤いブレードを抜き二刀流の構えをとった。
 戦闘フェイズへとシフトしたことで装甲各部が変化し、首元より赤いオーラ光がマフラーのごとくなびく。
「――上等」
 玲は笑い、同じく真正面から斬りかかる敵機とブレードを激突させ、そして腹部めがけてパイルバンカーをたたき込んだ。
 その横を回り込むように抜けていく『鉄騎魔装』鬼丸(p3x008639)の『鎧闘騎兵アハト・弐式改』。
 アハトを牽制するよに撃ち込まれる大量のビーム弾幕をかわしていると、敵母艦から出撃した戦闘機が素早く変形。
 肩にミニガン、腕に17ポンド戦車砲を備えた人型の形状をとり、アハトへとそれぞれの砲身を突きつける。
「なるほどね。『そちらも』ってことか」
 敵空母が現れた段階からうっすらと感じていたことが、鬼丸の中で形を帯びた。
「私達を意識してるんだね。この世界の外からやってきた『ウィルス』であるところの私達を、真似しようっていうのかい?」
 イレギュラーズを意識し、イレギュラーズを学習し、イレギュラーズに対抗する。そして生まれたのが目の前の『カスタム機』だということだろう。
「いいよ、相手になってあげる――貫け、螺旋徹甲双撃拳!」
 氷結拡散閃光砲と相手の戦車砲が正面から激突し相殺され、爆発のなかをダブルドリルを回転させたアハトが突っ込んでいく。
 激突。そして拮抗――したかに見えたその時。
「お待たせ」
 疑似宇宙へと突入してきた船から、数機のエクスギアエクスが飛び出した。
 そのひとつはかつて戦ったオニキス・ハート専用エクスギアエクスであった。
 フルバーニアンモードに拡張された全ての武装を展開し、一斉射撃。
 と同時に、ラムダ・アイリス専用エクスギアエクスが鋼の翼を広げて突っ切っていく。
「さ、いくよ。ボクを止めてくれた借りを返さなきゃ」
「オーケー。疾風れ黒麒! 楽しい楽しいダンスの時間だ!」
 母艦から飛び出した『黒麒』Λ(p3x008609)。専用機である『黒麒・改』を重装騎馬形態へ変形させるとラムダ機をのせ、対抗するように飛び出してきた赤い角の悪魔めいた敵機へと突っ込んでいく。
「よける? 回り込む? それとも――」
「わかってるくせに」
 Λはコックピット内で笑うと、レバーサイドのスイッチをカチンと操作。黒麒から展開された連装魔導噴進砲で乱射を行うと、両腕にツインエーテルブレードを纏わせた。
 と同時にラムダ機はダガーのような武器を構え、敵機は紫に燃えるブレードを構える。
 衝突。しかし、拮抗したのは一対一のパワーにすぎない。二人のパワーをぴったりとあわせたラムダたちは、敵機を粉砕しそのまま駆け抜けた。

「俺が呼ばれたのなら、どんな任務でも請け負おう。
 それが俺たちの明日を左右する任務でも」
 空中母艦のハンガーより移動するエクスギアエクス。直立する西洋のフルプレートメイルを思わせる外観に、鋼の槍を備えたように見える。
 カタパルトに至ったところで、ガイドレールが点灯。顔をあげた『666(ビースト)』はアイシールドの内側でギランとアイカメラを光らせた。
「初めての任務にしては重すぎるきもするが……CALL666、出るぞ」
 カタパルトから発射されたCALL666機は敵母艦から出撃した量産型エクスギアエクスたち相手にまずはまっすぐに突っ込み、構えた敵機の腹に槍を突き立てた。
 直後、槍を真ん中で分離させグリップやトリガーを展開。アサルトライフルモードに変形させると側面から回り込もうとした別の敵機へと連射、撃墜。
 脚をひっかけ槍を抜くと、今度はそれを前後ひっくり返したライフルの後部に合体させスナイパーライフルモードへ変形。距離をとろうとしていたまた別の敵機に狙いをつけ……。
「レンジを見誤ったお馬鹿さん共」
 放ったビームショットが、はるか遠くの敵機頭部を撃ち抜いていく。

 次々に現れる敵カスタム機たち。
 個性的な武装を展開し、癖のある動きと性能でこちらを食い破ろうとしてくる。その様子はまさにイレギュラーズがこれまで様々な敵を食い破ってきた姿に似ていた。
 が、しかし!
「不思議と恐れはないデス、信じられる愛機と一緒だからなぁ!」
 うるふ(p3x008288)は『アイアンウルフ』のコックピット内でぎゅっと拳を握り、そして目を輝かせた。
「行こうぜ、マチルダサマ。怪獣退治はロボの仕事と、昔っから決まってるんデスヨ!!」
「元気ねぇこの子……ただでさえこの電脳空間の動きにくさに辟易してるってぇのに宙域戦闘なんて聞いてないわよ」
 隣では専用機を駆る『銃の重さ』マチルダ(p3x009315)が備え付けの四連装ガトリング砲をひっつかんだ。
「だけどまぁこの大型銃火器をぶっぱなせるのはちょっとだけこの世界に感謝してやっても良いわ。さあて、楽しい戦争の時間だぁ!」
 突きつける砲身。唸る重低音。そして弾けるバレットパーティー。飛び散る大量の空薬莢を天の川のごとくひきながら飛ぶマチルダ機の一方で、敵カスタム機は二丁拳銃のような武装を握った。
 シスター服のようなシルエットをもつ機体だが、その動きは恐ろしく速い。
「追撃頼むぜ、マチルダサマ!」
 その動きに追いついた『アイアンウルフ』は握りしめた拳で殴りつける。
 至近距離で突きつけた二丁拳銃が『アイアンウルフ』の胴体に連発されるが、しったことかとばかりに打ち込まれたマチルダの銃弾が敵機を粉々に粉砕していく。
「いくっす、『オーバードラゴン』!」
 そうしておきた爆発を突き抜けて飛んでいく『竜は誓約を違えず』リュート(p3x000684)の『オーバードラゴン』。
 四脚の竜を思わせるそのフォルムは、開いた口からブレス攻撃のごとくメガビーム砲を発射。
 それを――紅蓮の鷹を思わせる敵カスタム機が凄まじい回避性能をもってかわし、備えた機銃によって『オーバードラゴン』へ連射を浴びせてきた。
「(われながら?)戦いづらい相手っす! けど……!」
「呼ばれた気がして助っ人参上! ですわ!」
 『なよ竹の』かぐや(p3x008344)がダブルバンブーランスを備えた『ムーン・エンパイア改』にのって現れた。
「ああ宇宙空間……わたくしにぴったりの大舞台ですわね。
 しかし興奮してばかりもいられません。
 狙いはズバリ、余裕ぶっこいて様子見しているパラディーゾを引っ張り出すこと!
 そして手段はそうおなじみ……竹槍(バンブーランス)!」
 カーボンファイバー製の槍をふたつ同時に投擲。ロケット弾のごとくジェット噴射をかけながら飛んだバンブーランスは鷹型の敵機を追尾。類い希なる回避性能を誇るその機体に槍を見事に必中させた。
 それも翼を射貫いて機動力を落とすという手段で。
 そこへ――!
「呼ばれた気がしたぱーと2です」
 『ようじょ整備士』樹里(p3x000692)が駆る整備ロボ。
 球体にロボットアームが二個ついただけの、控えめに言って鉄の棺桶みたいなやつにのって現れた。
「ようじょ整備士だってロボにのってたたかうじだい……と言いたかったですが、れーせいにかんがえるとそれってもうだいぶ敗戦色のーこうですね?」
 頻繁にひとが死ぬタイプの戦争アニメだったら光に包まれた後抗議電話が殺到するコンボである。
「しかし、わたしの受理はなされました。受理のろまんがある限り――」
 整備ロボ『Julie』の額に『くりぴん』の文字が輝き、更に『くりぼいす』の輝きが合わさった。
 光は膨らみ、柱となり、なんか凄まじく巨大な黄金の人型のロボが出現した。
 ロボの額にある謎のエンブレムが光の線を描き。開いた砲身から凄まじいビームが発射される。
 それに並び、リュートの『オーバードラゴン』がドラゴンハウリングを放った。
「かっこいい竜の咆哮をくらうっす!」
「まけるどーりはありませんね?」

 ついに母艦から出撃したマリアの『ゴッドカイゼルVDM』。
 合体を済ませようとしたその直後――。
 ドッという赤い稲妻が走り、飛んできた二機の合体メカが爆発四散した。
「カイザーブラックタイガー! エンペラーアルチュウ!」
 合体不全のまま、凄まじい機動力で飛び回る赤い敵カスタム機の猛攻を防御する。
 一方的に削り殺される……かと思われた、その時。
「諦めるのは早いわ!」
 『氷神』吹雪(p3x004727)の『雪花』が母艦より出撃。
「相手も今回の戦いのためにずいぶんな軍勢を用意していたみたいだけど、こちらの私は集団相手の戦いは得意なの。力を合わせるわよっ」
 まるで氷を散らすかのような光を引いて飛ぶ『雪花』は、青白いハープーンガンを構えた。
 一瞬で作り出された巨大な氷塊が、彗星のごとく放たれ赤い敵機へと命中していく。
 そこへ、敵機を保護するように現れたのは赤と黒のカラーリングをした人型機体が割り込み残る槍を迎撃していく。
 PAミサイルにフォトンバズーカ、単分子ブレイドに超電磁キャノンを備えた……それはSpiegelⅡの旧式装備によく似ていた。
「あのセンス……間違いあるまい」
 母艦より出撃した『陰』ジャック翁(p3x001649)は、同じく出撃したシュピーゲル専用機と共に敵機を観察した。
「……あのパイロット、きっと、シュピを鹵獲した研究員……」
 シュピーゲルのつぶやきに、ジャック翁は小さく頷く。
「ならば」
 ジャック翁のDexM001/AdX03XEX『十紋字丸(ジュウジマル)』はブレードを翳し、肩と背部に格納された武装マニュピレーターを展開。ブレードをジョイントさせると、凄まじく巨大なブレードへと変化させた。
「我が天啓を得たり。
 今こそ身命を賭す時。
 当方は帰って来た。
 闘争はここに!!!」
 こちらへと向いた敵機が超電磁砲撃を放つが、もはやかまうことはない。
 シュピーゲルに機動サポートに入ったことでとてつもない機動力と火力をそなえた十紋字丸が、敵の弾をよけ急速接近。
「幽鬼よ奔れ。汝らの渇きは今こそ満たされる時ぞ。
 獲物を探せ。獣を探せ――その悉くを飲み干そうぞ!!」

 斬撃がSpiegelⅡタイプの敵機を切り裂き爆発させた、その次の瞬間、敵(仮称)マリア機へ巨大なアーマーユニットが飛来。合体すると、巨大な人型兵器へと変化した。
 指ひとつひとつが超電磁砲となった手を広げ、全方位に砲撃を放つ巨大マリア機。
 マリ家や吹雪たちが必死で防御していると――。
「H――『イクリプスナイト』、現着」
 『ダークナイツ』H(p3x009524)のイクリプスナイトが割り込み、黒いグレートソードで砲撃を切り裂いた。
「だめ、一機だけじゃあれには――」
「おいおい」
 Hはロボットのマニピュレーターを器用に動かし、人差し指をチチチッと左右に振った。
「『もう一機』だ。ただし……スペシャルゲストだぜ」
 流れ出すイントロミュージック。
 吹雪はコックピット内で、もしくは魂の中で振り返った。
「この曲は――」
「「ぱっるすちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」」
 声援が一つとなり、パルス・パッション専用エクスギアエクス・アーマードフレームコート『パルスアリーナ』である。
「な、何でここに!?」
「助けに来たにきまってるでしょっ」
 展開したパルスアリーナ。誘導ビームによって引き寄せられた『雪花』『イクリプスナイト』、そして合体未完のゴッドカイゼルVDM。
 パーツが分離し、そして再合体を果たし、黒いかぶとのようなパーツを被ったことで生まれたのは巨大な人型ロボットであった。
 ついでに一緒になったコックピット内。ちょっと狭いツインシートにならんで座った吹雪とパルスは、同じレバーを握って顔を見合わせた。
「さ、一気に行くよー!」
「わっ、えっ、あ、う、わーーーー!」
 なんかもうキャラとか忘れて奇声をあげはじめた吹雪が一緒になってレバーを押し込み、凄まじい機動力と歌唱力(専用スピーカーからお送りしております)で敵の砲撃を掻い潜る巨大アリーナロボ。
「決めちまいな、虎帝陛下?」
 横でHがビッと親指を立てると、マリ家はコックピット内に現れた『とらぁボタン』をグーで殴り押した。
「ゴットカイゼル――ハウリング!」
 轟音と共に突撃するロボが、巨大な斧によって敵巨大ロボを真っ二つに切断。大爆発を起こした。
 勝利の咆哮が、疑似宇宙へ響き渡る。

成否

成功


第1章 第15節

勇(p3x000687)
あなただけの世界

 白く閃光のかすむ、宇宙(そら)。
 世界の果てだかこの世の終わりだかからやってきたという終焉獣(ラグナヴァイス)――その中でも特に強大な個体とされる『終焉獣デカラビア』が作り出す疑似宇宙空間は、空中母艦VDMや人型ロボットエクスギアエクスに乗っていなければ呼吸すらできないという。
 『あなただけの世界』勇(p3x000687)はおろしたてのシートに深く座り、呼吸もまた、深く三度繰り返した。
「……たぶん何処かで観てるんだろう、GMモドキ?」
 くすくすと笑う声が、耳元で聞こえた。いや、音響センサーはなにも拾っていないし、コックピットにいるのは自分ひとりだけだ。
 我知らず舌打ちしていると、母艦から無線接続された通信音声が流れた。
『聞こえているか、イレギュラーズ。邪魔な敵機は皇帝陛下が撃墜してくれた。あとはカラになった敵空母を落とすだけだ。が……』
「分かっているよ」
 勇はため息まじりに答えた。
「味方機はほとんど修復中だ。この一機でカーテンコールを演じろっていうんだろう? いいさ、『向いてる』からね……そういう役回りは」
 耳元で『不安なんですね、悪びれなくちゃ』と女が囁く声がして、首を振った。
「『Only・You』――出るよ」

 機体が宙域へと放り出された頃には、爆発の光は消えていた。
 あたり一面が岩とスクラップによるデブリだらけになったエリアを、デブリに紛れるようにして進む。
 敵空中母艦はこちらの接近に気付き機銃掃射による牽制を行うが、手足の装甲を正面に翳すようにしてスラスターを点火。あえて真正面から機体を突っ込ませた。
「お前だけは、僕だけで仕留める」
 囁き、そして拳を繰り出す動作によっ空母の装甲を貫き、内部へと侵入。
 『罪滅ぼしですか?』という耳元の声を振り払うかのように、勇はコックピット脇の赤いボタンを殴りつけた。なんのボタンかは、次におきた出来事が証明してくれる。

 こうして、敵空中母艦は爆発四散し、まだ出撃していなかった敵エクスギアエクスたちもまとめて散ることとなった。
 爆発の中心。『これでフィナーレだなんて、思います?』と耳元で誰かが囁いた気がした。

成否

成功

状態異常
勇(p3x000687)[死亡]
あなただけの世界

第1章 第16節

グレイ(p3x000395)
自称モブ

 疑似宇宙が爆発に呑まれる、その一分ほど前のこと。
「ん、久しぶりの相棒……」
 『マーター』グレイ(p3x000395)は専用機『マーター』を操り、カタパルトから出撃。まばらになった敵機の集団に視線をはしらせ、機体に装備された『拡張型炸薬式光刃機械鋸』を唸らせた。
 機体の調整にやや時間がかかったためにか出撃が遅れたが、遅れを取り返すかのように迫る敵ロボットをのこぎりで切り裂くように切断し突き進む。
「デカラビアっていうのは……あれかな?」
 遠くに見える星型の岩石。
 グレイはマーターの背部に装備した大型ブースターを点火。スラスターで姿勢を細かく制御しながらもまっすぐに岩石へと接岸した。
「さあて、終焉獣とやらを切り刻んでやろう!」
 回転するのこぎりをつきたてる。岩石のような表面装甲を削り切り拓き、そしてややかわった手応えを感じた……その途端。
 カッと爆発の光が後方に広がった。
 ここは危険かと離脱しようとした……その時。
 のこぎりを突き立てていた装甲部分……否。
 『巨大なまぶた』が、カッと開いた。

成否

成功


第1章 第17節

♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)
薔薇を追う
ソール・ヴィングトール(p3x006270)
雷帝
イデア(p3x008017)
人形遣い

 光が――はじめにあった。
 空中母艦VDMが突入した『疑似宇宙』へのゲートを中心として溢れた光は途端に闇の色を帯び、まだらに光が散ったかと思えば、それは全天球の星空の如き風景を作り出す。
 初めは疑似宇宙が破壊されたのだと皆思ったが……。
「違う。壊れたんじゃあない……『拡張された』んだ」
 『薔薇を追う』♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)はそう確信した。
 エクスギアエクスを用いなくては呼吸すらままならないと報告を受けていたが、連れていた部下精鋭メイド部隊の面々は呼吸が出来ることに驚き、そして自分達が『地に足を付けている』ことに驚いた。
「狼狽えんな。今更ココに命を惜しむヤツなんていねえだろうが」
 『自軍損耗率を軽減すること』と『死ぬ気で戦うこと』は別々のレイヤーで処理される。♱✧REⅠNA✧♱はその両立が出来る指揮官だった。
「ったく、これが世界が破滅する風景か? ご丁寧な事だねッ。
 悪いが世界の破滅を経験するのは2回目なんだ。英雄になるなら今がチャンスだぜ!」
 メイド部隊の面々はぎゅっと武器を握り、にやりと笑う♱✧REⅠNA✧♱に頷いた。
 こちらとほぼ同様の混乱にある敵陣へと、持ち前の偽装スキルで攪乱を広げながら戦いを続ける♱✧REⅠNA✧♱隊。
 その一方で、浮遊する巨大な岩のデブリ上に立った『雷帝』ソール・ヴィングトール(p3x006270)は槍のような武器を地に突き立てた。
 隣に仕えるように立つ『人形遣い』イデア(p3x008017)。
 彼女らは二個小隊を合流させ『雷帝中隊』としてシャドーレギオンの軍勢と戦っていた所だった。
「雷帝陛下。やはり、狙いはエーデルガルドを……?」
「無論。だが、その前に払いのけるべき敵があるようだ」
 同じくデブリ上に降り立ったのは、無数の半人型の怪物たちだった。
 それも、蜘蛛やオオトカゲのような下半身を持った者や大蛇に人の首だけついた者、形容しがたい生物に人の顔面だけがついた者など、あまりにも異常な姿に兵達がどよめいた。
 が、イデアたちは違う。砲撃の命令を下し怪物の群れへと砲の雨を降らせると、そこへソールの前衛騎士部隊が突撃。奇怪な力を操る怪物たちと魔法や剣でぶつかり合う。
「終焉の使徒……いや、終焉獣(ラグナヴァイス)と融合を始めた破滅主義者たちの姿だというのか。こんなものが……こんなものが貴様の欲した『テロリズム』か、エーデルガルト!」
 キッと顔をあげ、叫ぶソール。
「聞いておろう、エーデルガルト。貴様に勝ち、言っておきたいことがある。
 わざわざ出向くことはない。余自ら切り拓いてみせようぞ。
 ――そこで待っていろ」

成否

成功


第1章 第18節

アダム(p3x006934)
いちばんの友達
ゼスト(p3x010126)
ROO刑事ゼスティアン
天川(p3x010201)
國定 天川のアバター

「コウ……!」
 ぴょんとジャンプし、ぬいぐるみの馬にひかれた馬式戦車へと搭乗する『いちばんの友達』アダム(p3x006934)。
 備えられたバリスタが発射され、『終焉兵』とでも言うべき終焉の使徒たちへと降り注いでいく。
「ただいま、コウ。ぬいぐるみ小隊の皆。それから――」
 ごめんなさいと言おうとしたアダムに、コウはスッと人差し指を翳した。
「君が『死なない』のは分かってた。だから、『ちゃんと』悲しまなかったよ」
「――」
 展開するドールたち。そしてぬいぐるみボディの仲間達が構え、クリーチャーと化した終焉兵の突撃に備える。
「護るための『可愛さの魔法』、もっともっと魅せてあげなくっちゃね! さあ、いっくよー!」
 一斉に放たれる砲撃が敵前衛部隊で炸裂し、そこへ『國定 天川のアバター』天川(p3x010201)率いる天川隊の援護射撃が浴びせられた。
 クリーチャーとなったとはいえ個体ごとの戦闘力に大きな違いは出ていない。腕を斧状に変化させた小型の終焉兵たちを駆逐していく。
 これによって頭数を減らされることを恐れてか、中型の終焉兵がウサギのような脚で跳躍し前へ出ると、両腕を盾のように肥大化させて防御を始めた。
 が、そこへ突っ込むのが天川の役目である。
「とんでもねぇ連中だと思ったが、まだその上かよ……」
 小太刀による鋭い連撃が盾持ち終焉兵の表層を削る。それでも敵の突進は止まらない。
 引き下がりそうになった天川隊の兵たちが、踏ん張って射撃を続けた。
(俺の隊からは死人は出したくねぇんだよ。だが世界の危機だ。しくじればどうせ全員死ぬ。無理はしてもらうがな!)
「どうした!? 背水廻刃の威力はまだこんなもんじゃねぇぞ!」
 叫ぶ天川。その頭上に、巨大な終焉獣が飛来した。例えるなら恐竜のごとき巨体にカエルのような表皮をもち、広げた皮膜を羽ばたかせて飛ぶ怪獣である。顔面には数え切れないほど無数の目がつき、すべて別々の方向をぎょろぎょろと見つめ、そして開いた口からは更に巨大な眼球がぎょろりと周り、そして発光した。破壊的なビームが放たれ大地を削り、巨大なナイフで切り裂くかの如く天川たちへと迫る。
 退くか? 逃げるか?
 ここで踏ん張らなければ人が死ぬ。自分を信じた人が死ぬ。
 胸の中で溜まった灰が、まるで役目を思い出したかのように燃え上がるのを感じた。
「笑っちまうよな……こんな時によ!」
 踏み出すことを選択した天川の、その眼前に『ROO刑事ゼスティアン』ゼスト(p3x010126)の人型ロボットが着地。クロスアームでビームを防御した。
「任務了解! この巨大終焉獣は自分が相手をするであります!」
 3m程度の、パワードスーツと形容してもいいくらいのエクスギアエクスだが、追って到着した戦闘機の機銃射撃が、戦車の放つ砲撃が、ツインドリルを備えた重機とトラックによって解放されたミサイルポッドが終焉獣へと集中。細かい爆発が牽制した。
「トゥッ!」
 鋭く叫び跳躍するゼストアーマー。すると特殊な誘導ビームによって戦闘機、戦車、ドリルマシンと大型トラックが分解変形し、ゼストアーマーの両腕や両足、そして腰周りを覆っていく。最後に背へ装着された戦闘機が折れ曲がるように頭部にかかり、ヘルメットのように覆われたシールドがギラリと光った。
「超合体ROO刑事……パワードゼスティアン見参ッ!」
 ジェットの噴射によって終焉獣と同じ高さまで飛び上がり、構えるパワードゼスティアン。
「パワード、フルパワー――ゼタシウムゥゥゥ光ッ線ッッ!!」
 放たれた光が終焉獣を焼き、そして貫き爆発に包んでいく。
 と同時に爆発の中で小太刀を振り抜いた天川は敵最前衛を務めていた終焉兵リーダーの首を切り落としていた。
 見上げる天川と、見下ろすパワードゼスティアンが、同時に小さく頷き合った。

成否

成功


第1章 第19節

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※イベント発生!
 戦況が変化しています。

・戦場全体が『疑似宇宙』化しています。
 ただしエクスギアエクスに搭乗していなくても呼吸や通常行動が可能になっており、主に巨大な岩や空母の残骸などを足場に戦う事になります。

・【小隊指揮】パートの敵に『終焉兵』が加わりました。
 終焉兵は終焉獣デカラビアの影響を受け半クリーチャー化した終焉の使徒(人間)たちです。
 弱い個体は1m程度のやや肉体強化されただけの終焉兵ですが、リーダー格はその2~3倍の大きさや強さを持ちます。
 特殊な肉体変化を用いて戦うことが確認されており、通常兵器での攻撃も効果が確認されています。

・【ロボット】パートが広域化しました。
 また、敵に大型終焉獣が加わりました。
 デカラビア内部から放出される形で無数に発生した巨大な終焉獣たちで形状や能力はバラバラです。
 全体的に嫌悪をもたらす外見をしており、人間に対して極めて威圧的な空気を纏っています。

 パートやプレイングの変化は必要ありませんが、対応したい方は[2021/11/28 15:40~2021/11/29 13:00程度]までプレイングを未確認(ロック解除)状態に戻しますので編集を行って下さい。
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第1章 第20節

ロード(p3x000788)
ホシガリ
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
ルフラン・アントルメ(p3x006816)
決死の優花
リック(p3x007033)
ホワイトナイト
崎守ナイト(p3x008218)
(二代目)正義の社長

「おえあああどうしよ! ちょっと翡翠の方で頑張り過ぎたらログアウトできなくなってうわー! ってなってたら鋼鉄がなんか劇場版みたいな感じに!」
 『合わせ鏡の蔦』ルフラン・アントルメ(p3x006816)は射出された強襲棺エクスギアの扉をがばっと開き、同じく射出されてきた無数のエクスギアへ一度振り返ってから、改めて敵軍……終焉獣と終焉兵たちを見た。
「けど、ローレットのミッションはいつだって一つ! 『つよく殴れば解決する』!
 いくよフラン隊!」
「「ウホッホ!」」
 サムズアップしたゴリラたち。
 振り返って二度見するルフラン。
「あれ、このゴリラ既視感がある……なんだろう一度一緒に……」
「ウホ」
 ゴリラは優しげに頷くと、ルフランが予め作っていたチョコバナナクレープを掴み、がぶりと囓った。
「「ホアーッ」」
 ゴリラたちは光を纏い終焉兵たちを次々と殴り倒していく。
 いけいけーと言いながらシャドウするルフランのその頭上を、『ホワイトナイト』リック(p3x007033)の専用エクスギアエクス『ホワイトナイト』が巡航形態をとって飛んでいく。
 マーメイドの如く下半身を魚のように変形させたホワイトナイトはビームランスの粒子をハルバートモードに変形させ、真正面から迫る巨大魚型終焉獣へと叩きつけた。
 終焉獣の横っ面にぶつかった斧部分を中心にドッという衝撃が走り、終焉獣が殴り飛ばされていく。
「おお! 宇宙でも衝撃って伝わるんだな!」
「まあここ、宇宙であって宇宙じゃないしな……」
 呼吸もできるし音も伝わるし、と『屋上の約束』ロード(p3x000788)は呟いてから、未だ巨大魚型終焉獣と殴り合いを続けるホワイトナイトの下を走り抜ける。
 倒された終焉獣が墜落し地面の砂や小石を激しく舞いあげるなかを突き抜けながら、ぐっと奥歯をかみしめる。
(俺としたことが慢心! 死ぬかと思った! 死んだけど!)
 すぐにロードの部隊にいた部下達が合流し、砲撃支援OKのサインを送ってくる。
 部隊に加わったチャネラーに目を向け、ロードは気になっていたことを問いかけた。
「今の砂嵐砂漠エリアの状況ってわかるか?
 ランドウェラオルタたちの信号が砂嵐で途絶えてるから、砂嵐がこちらから手を出しにくい状態になっているか、砂嵐で別の場所に移動したかになると思うんだがどうよ」
「ん……」
 砲撃支援が行われ、ロードとチャネラーもまた同じように『飛ぶ斬撃』や魔砲によって砲撃を行いつつ、チャネラーは片手を顎に当てて考えるそぶりをした。
「途絶えたはずのシグナルが、近づいているのを感じる。けどまだ遠い。敵軍を壁にしてこっちの様子をうかがってる……って所じゃあないかな」
「てことは?」
「そういうことだな」
 ロードはンと頷いた。一度逃げたのにわざわざ近づいてくる必要はない。
 彼らはそもそもHadesの演算によって作り出された『破滅を実行するためのバグ』である。確固たる目的や使命として、自分達イレギュラーズの排除を選択したということだ。
 それは、この終焉獣たちを倒し突き進めば、ランドウェラオルタたちとの決着を付けられるということを意味する。
「なるほど……話はシンプルってわけだ」

 ぶつかり合う数百規模の敵と味方。
 その中を走り抜け、時には上空を飛び交う巨大終焉獣たち。
 『虎帝』夢見・マリ家(p3x006685)は一度パルスたちと分離し、新たにやってきたカイザーブラックタイガーたちと再合体することで『ゴッドカイゼルVDM』を完成させると、あのとき取り逃した『マリア機』を探し飛んでいた。
 眼前に浮いた立体ウィンドウに独特の効果音と共にマーカーが出現。
「そこですか……!」
 急加速をかけたマリ家のゴッドカイゼルVDM。
 それを察知したのか、赤いすらりとしたボディの敵マリア機は空中に止まりこちらを振り返る。
 思い出すのは、あの孤独な背中。
 夢見シスターズのコンビネーションアタックを破るだけの強さと、同時にそれを『諦めた』弱さがあの背中にはあった。
(『私』は『私のすべて』を見つけて、それまでのすべてを捨てられた。君は、捨てられなかったのかい……? それとも、見つけられなかった?)
 愚かな選択だったのかもしれない。けれど、その愚かさを愛したからこそ今があった。もし、あのマリアがそうでなかった自分自身だったのだとしたら。
「……決着を付けなければなりません。向き合うために! 今と、過去と、そしてすべての未来に!」
 レインボーギガブラスターを発射するマリ家。
 赤い稲妻を凝縮したような砲撃がマリア機から放たれ、相殺する。
 その爆発の中を、『(二代目)正義の社長』崎守ナイト(p3x008218)が社長走り(プレジデントダッシュ)で駆け抜けた。
「信じて待ってたぜぇ、朝時!
 現実では叶わなかった共闘を、こういう形で実現出来るなんて感無量だ。
 これならどんな敵にも負ける気がしねぇ。ネームドでも何でもかかって来いじゃねーの!」
 その横を球体型の1mちょっとのロボットが飛行、並走していた。正面のモニターに朝時の顔が映っている。
「俺の秘書(secretary)を奪ったんだ。みっともない戦い(business)は見せないでくれよ?」
「至極当然(off course)!」
 ギャッと球体ボディから手足がはえ、ナイトと同じ社長舞踏戦術の構えをとった。
 流れ出す陽気なクラブミュージック。
「シャッチョサーン!」
 秘書ティアンと社員一同が武装して集まり、一斉に射撃を開始した。
 狙いは正面の終焉獣。
「この世界で最高の戦場(stage)、楽しもうじゃねーの!
 俺達のダンスと情熱(passion)が世界に通用するって事を証明してやろうじゃねーの!!」
 終焉獣が爆発に包まれる。
 その衝撃がすぐ上空のマリア機のボディを揺らした。わずかな揺れだが、それが決定的な隙となる。
「そこです――レインボーゴッドアックス! 『SAKEBIN』!」
 ゴッドカイゼルVDMが構えた巨大な斧が、マリア機を切断。おきた爆発の中から、赤い光がどこかへ飛んでいったのをマリ家は見た。

成否

成功


第1章 第21節

フラッシュドスコイ(p3x000371)
よく弾む!
アクセル(p3x007325)
クリムゾン・ドラゴニア
Λ(p3x008609)
希望の穿光
アズハ(p3x009471)
青き調和
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

 崩壊した敵空中母艦が浮かぶ宙域を走る『黒麒』Λ(p3x008609)の『黒麒・改』。
 騎馬形態をとり背にROOラムダ機を乗せた黒麒は拡散魔導砲をばらまきながら小型の終焉獣たちを蹴散らし、巨大な甲板へと着地する。
 見上げると、そこにはあまりにも巨大すぎる終焉獣デカラビアが空を泳いでいた。
 巨大な岩石から首ののびた竜、といった外見だがそのサイズ感がおかしい。デカラビアの眼球一個がこちらのエクスギアエクスと同じくらいというおかしさだ。
「ていうか……最初に見たときよりかなり大きくなってない? こんな存在が通常空間に現れたらそれこそとんでもないことになるよね……」
「逆に『出られない』からこうして疑似宇宙を拡張したんじゃない?」
 全力の魔導砲を打ちこみダガーによる切り付けを行うが、デカラビアの巨大な表皮を傷つけることからして困難といった具合だ。
 後から『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)の『コンダクター』が着地し表皮部分を殴りつけるが、表皮を砕くには至らない。
 とはいえ、目的は破壊ではなく『ノック測定』である。
 跳ね返ってきた音の具合で装甲の厚さや内部の状態をある程度はわかるのだ。
「張り付いて一生懸命掘り進めれば、あるいはかすり傷を与えられる……って所か。今の人員じゃあ現実的じゃないな」
 コックピットの中でレバーを握り、フウと深く息をつくアズハ。
「さっきから、デカラビアは殻にこもるばかりでこちらに攻撃してこない。もしかしたらこの『疑似宇宙』を維持することに力をさいているのかもしれない。だとしたら、出現する終焉獣たちを倒していけば自分から戦いに出ざるをえなくなるはずだ。その時には、戦える程度のサイズに落ち着いてる筈さ」
 と、そこで。ドンとデカラビアの表皮へと着地する男の姿を発見した。
 赤い槍のような武器を構えた『クリムゾン・ドラゴニア』アクセル(p3x007325)とアクセル隊の面々である。
 そんな彼らを囲むように、デカラビアの表皮から小型の終焉獣がわららわと這い出してくる。固い甲羅を背負ったエビのような怪物である。
「チッ、砂嵐とは気候が違うたぁ思ってたが……違うどころじゃねえぞ」
 振り返ると星空しか見えない。だがそのずっと向こうには……。
(エリアス……彼女もこの国にいるのかね。このゴタゴタが片付いたら、探してみるのも一興か)
 ブンと槍をふるって終焉獣の放った謎の酸液を振り払うと、アクセルは敵陣めがけて突っ込んだ。
 立ち上がった終焉獣の腹を狙って槍を突きこみ、そのまま振り回して他の終焉獣へとぶつけてなぎ払う。
「あっち(混沌)じゃあ下手な戦い方はしねぇんだが――何回死んでも立ち上がれるのはいい。知ってるやつがここに居るうちは、全力を尽くしてやるよ!」

 と、そんな戦場に無数の強襲装置エクスギアが着弾。突き刺さる十字架がドガンと内側から突き破られ、リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガーが現れた。
 それも、小脇に『よく弾む!』フラッシュドスコイ(p3x000371)を抱えて。
「さぁ皆、出撃デス!」
「「ウラー!」」
 次の瞬間、周囲のエクスギアから一斉に学兵たちが飛び出した。
「しゃおらー! 宇宙来たぜ!」
 ジャンクビームライフルを抱えたジェイビーが終焉獣を撃ちまくるその隣でホランドがリュックサックのように背負ったジャンクの紐を引っ張り、四脚式二連装ガトリング砲を展開。仲間達が撃ちまくるその中を、フラッシュドスコイを抱えたリュカシスが走って行く。
「ねえ。まだちゃんと、お礼言ってなかったよね」
「そうかな?」
 ちらりと視線を動かしてリュカシスを見るフラッシュドスコイ。けど、リュカシスはそれ以上言わなかった。
 ぽーんとフラッシュドスコイを空中に放り投げると、両肘と脚に装着したジェット噴射機による高速オーバーヘッドキックによってフラッシュドスコイをシュート。
「ヘイ、パス!」
 流星のごとく飛んでいったフラッシュドスコイは終焉獣をぶち抜いていった。
「アッ、このコースは……!」
「オッケー!」
 豪快なカーブを描いて飛んでいったフラッシュドスコイのライン状に居たのは『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)だった。
 ルージュは思い切り振り絞ったマザーハンマーを全力スイング。
 側面まで迫っていた終焉獣の腹をフラッシュドスコイが貫いていく。
「トモコねーのパラティーゾは倒したけど。
 まだ、セララねーとかこっちの戦場に居るはずなんだよなー。
 そろそろでっけー敵が出てくる頃だぜ。にーちゃん達!」
 振り返って叫ぶルージュ。
 目の前まで迫る大型終焉獣は先ほどの甲羅を背負ったエビ型怪物の巨大版だが、きっと弱点は同じだ。銃を構えた男達が一斉にその腹部めがけて撃ちまくる。
 そこへアクセル隊やフラッシュドスコイダチコーチームが合流し、最後にラムダの黒麒とアズハのコンダクターがブレードによるクロスアタックを繰り出し大型終焉獣を粉砕した。

成否

成功


第1章 第22節

アーロン(p3x000401)
ロックンロール
樹里(p3x000692)
ようじょ整備士
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
VIVI・IX(p3x009772)
明時に流麗なる

 小型終焉獣たちを付き従えた終焉兵は、下半身を蜘蛛に変え鋼鉄の兵たちをなぎ払っていた。
「ククク、他愛もない。脆弱な世界よ、滅びはすぐそこまで来――」
「キエエエエエエエエエ!!!」
 そこへ突き刺さるロボットパンチ。
「収録データが消えたはらいせに混沌で悪者やっつけてたら、
 なんかこっちにも元凶が居るとか居ないとか聞いて、
 即ログインしてみたら……何かこっちも凄い事になってるっすね!?」
 『明時に流麗なる』VIVI・IX(p3x009772)が乗る猫耳のついた人型ロボット『六九六号(仮)』が立ち上がると、巨人の如き終焉獣やティラノサウルスめいた終焉獣たちが彼の後方へと着地。更に前方や側面に別の終焉獣たちが着地し身構えた。
「囲まれた? けど、遠近両刀のウチに死角はないっすよ! 三時間かけて収録編集したデータの仇ぃー!」
 とはいえ多勢に無勢。全方位からの一斉攻撃には流石に不利。一体の終焉獣を六九六パンチ(猫型のアームをなんかすごいジェットで飛ばす六九六の必殺技である)で殴り飛ばしつつも、全方位からのビームとクローを受けてがくりと膝をついた。
 と、そこへ。
「いくぜ、愛機『プレスリー』! HAHAHA、ロックンロールを聴かせてやるぜ、オーディエンスども!」
 巨大エレキギターを装備した『ロックンロール』アーロン(p3x000401)の専用エクスギア『プレスリー』が空から円盤状のフライトユニットに乗って現れた。
「HAHAHA、こんなところじゃねえとロボット……つまりは武器を使う事なんか無いだろうな。
 まあ、そうは言っても戦うわけじゃねえんだがな!
 大舞台だ、派手にやらせてもらうぜ!」
 かき鳴らすギターと魔力的に増幅されたボーカルサウンドによって終焉獣たちが次々に膝をつく。
 そこへ颯爽と(?)現れた『ようじょ整備士』樹里(p3x000692)の整備ロボットJulieが六九六号へとりつき謎のハンマーでかーんかーんと傷付いた装甲を叩き始めた。
 なんでかわからないが修復されていくロボット。
「ぜんせんでかいふくできるロボはちょーほーするって、えらいひとがいっていたのでほめてください」
「え、あ、はい……」
 Julieは一通り仲間のロボットを修復すると、そのボール状のボディに手足がくっついただけみたいな専用機(もとい専用重機)でゆっくりと振り返る。
「おや……まだたおしきってはいないようです」
 割とむき出しのコックピットから背伸びをし、ゴーグルを外す樹里。
 アーロンの『プレスリー』によるサウンドアタックを耐え抜いた巨人のような終焉獣が立ち上がり、こちらに狙いを定めている。
 だがそこへ、『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)の黒子隊を前に出した『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)のTeth=Steiner偵察隊が駆けつけた。
「そろそろネームドが出てくる頃合いかと思って寄ってみたが、丁度良かったみたいだな。頼むぞ黒子隊」
 隊から収集された情報をテレパシーによって集めたTethは、フライトユニットの上に立ち解析。そして黒子隊へと送信した。
 情報を受け取った黒子隊たちが適切に活用しながら、終焉獣へと襲いかかる。
 黒子隊は遠距離砲撃を主体としたメンバー8割に加えて2割の回復要員で構成されたチームである。
 黒子が闇旋を散布した敵へ砲撃部隊が追撃し、敵数漸減を念頭に損耗が酷い敵を優先して撃滅していく作戦をとっていた。
 この場に現れたのもTethの知らせを受け急行したためである。
「そっちは任せたぜ。俺様の隊は引き続き偵察だ」
 空をUターンして別のエリアへと向かうTeth。
「うっかり敵中に突っ込むなよ。偵察兵は生きてナンボだ。
 ボスクラスを見つけた奴には酒を奢ってやるぜ。とびきり上等なヤツをな」

成否

成功


第1章 第23節

アイ(p3x000277)
屋上の約束
梨尾(p3x000561)
不転の境界
リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
カイト(p3x007128)
結界師のひとりしばい
H(p3x009524)
ダークナイツ

 翼のはえたトカゲ型終焉獣が空を飛び、咆哮を上げる。
 対して、『竜は誓約を違えず』リュート(p3x000684)のエクスギアエクスは真正面から終焉獣へとぶつかった。
「大きいっすね、でも大きいからってリュートは負けないッスよ!
 ちっちゃいドラゴン、ドラゴンなロボも比較的小型だが火力だけなら一人前!」
 至近距離から互いのボディに牙を立て、そのまま炎のブレスを放射する。
 あふれ出た炎が爆発のように広がり、互いのボディを吹き飛ばし合う。とばされながらもリュート機は口を開き、咆哮の魔術砲撃を発射。
 そこへ『生まれたものに祝福を』梨尾(p3x000561)が周囲の岩デブリを操作しながら突撃をはかった。
 終焉獣の周囲からあがった光が直線的なビームへと変わり梨尾機を襲うが、遮るように動いた岩デブリに命中して岩を粉砕する。
 呼び出した巨大な灰銀狼が終焉獣へと食らいつき、その肉を食いちぎった。
 更に拡張された『纏炎』の魔術を放ち終焉獣を包み込むと、傘型の可変ウェポンを装備し終焉獣へと突き立てる。
「まずはデカラビアへの道を開かなきゃ。これじゃあ、攻撃だって届かないです……」
 機動力に優れた味方が強引に敵陣を突っ切ってデカラビアへ攻撃することは不可能ではないかもしれないが、それで孤立すればすぐに落とされてしまうだろうし、なによりそういうチクチクとした戦術が効果的な相手には見えない。おそらく向こうにもそれなりの自己回復能力があるだろうし、いたずらに味方を損耗させるだけになりかねない。
「つっても、次から次へ沸いてくるんだよなあ」
 『イクリプスナイト』を駆る『ダークナイツ』H(p3x009524)が、巨大な漆黒のブレードで終焉獣の首を切断。破壊された敵母艦の表面へと着地し、スライドするように180度反転した。
「ここらで敵の指揮官を潰しときたいところだが……」
 ザザ、とHのコックピット内にノイズの混じった通信が入った。
 ちらりとコミュニケーションウィンドウを見ると、これまたノイズ交じりの映像が流れる。
 男性の顔と声のように思えるが……。
「――ジ、――イジ――聞こえるか!」
 クリアになった映像に映ったのは……加羅沢昭利の顔だった。
「先輩!」
 真っ赤なボディに赤いラインが入った人型ロボットが、装備したビームガンを撃ちながら到着。近くの終焉獣を撃滅すると、Hの隣へと着地した。
「助けられてばかりじゃあな。俺らも、助けに来たぜ」
「俺ら……?」
 Hの疑問に昭利が答えるより先に、大きな飛空戦艦が出現した。その異様な姿と掲げられたエンブレムには見覚えがある。
「あれは……『暗黒大連合』か!」
 戦艦のワープビームによって転送されてきたのは無数の終焉兵とそれを指揮する三人の影であった。
「なかなか、おもしれえことになってきたなあ……オイ」
 軍服を纏い、非憎げに笑う男の姿。
 中隊を率い到着した『屋上の約束』アイ(p3x000277)と『結界師のひとりしばい』カイト(p3x007128)は、それが誰かを知っていた。
「「――『プロモーター』!」」
 カイトはチッと舌打ちをした。
 味方の到着によって敵軍の連携を寸断し、デカラビアへの道を開こうとしていたカイトたちだが……それを予め察知していたのか、『プロモーター』は秘密裏に協力関係を気付いていたテロ組織をこの拡張疑似宇宙へと呼び出し寸断されていた連絡路を接続。更にこちらの足止めを図ったのである。
 襲いくる半クリーチャー化した終焉兵たちとぶつかるカイト隊および瞳隊。
 忌々しげに顔を歪めたカイトだが、『勝機』は見いだせていた。
「何でもかんでも『手のひらの上』じゃなきゃあ気が済まねえアンタのことだ。
 自分を疑似反転させたパラディーゾが消え、Hadesも全面戦争状態に入った今となっちゃあ、もはややることが『足止め』くらいしかねえってことだ。だから……」
 無数の、青白く半透明なカードの束を召喚すると、まるでポーカー台に並べるかのように腕のひと払いでカードを展開。複数の結界術を発動させた。
 複合された結界が砲身の形を取り、『プロモーター』めがけて放たれる。
 そして『プロモーター』もまた手袋越しに手を翳し、開いた無数の軍用魔方陣を多重展開。冷気のビームが放たれ、二人の間で相殺された。
 ――否、弾けたかに見えたエネルギーが拡散したビームとなってカイト隊へと降り注いだのだ。
 咄嗟に氷の壁を作り出すカイトと、剣によってビームを切り落とすアイ。
「コスパを気にして、自ら『死ぬまで戦う』選択をとるってことだネ!」
 ならば数の利を活かして――とアイが部隊に砲撃を指示しようとした、その時。
 大量の鎖が大地へ突き刺さり衝撃によって隊の面々が吹き飛ばされた。
 戦艦から召喚されたのはなんと巨大な鎖の邪神。
「――マカライトオルタか! こんなタイミングで!」
「待て、あの戦艦が来てるってことは……」
 Hが機体を飛び退かせ、戦艦からの激しい砲撃を避ける――と、そこへ現れたのは巨大な人型ロボット『世界征服号』。そこから立体投射されたXXX総統ダークネスクイーンの姿に、Hは低く唸った。
「第二ラウンド開始……ってことか」

成否

成功

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